人間情報学研究室 運動機能評価に関する研究

研究内容
【研究概要】 人間情報学(Human Informatics)を研究基盤として,
人間の感覚・認知・行動に関する心理特性や生理特性の科学的な解明
と医用・福祉・生活・生産などへの応用研究を行っています.
人間情報学研究室
Human Informatics Laboratory
【研究テーマ】







総合情報学専攻
経営情報学コース
水戸 和幸
筋機能情報の検出と評価法の確立
加圧トレーニングによる筋活動様式の解明
視覚障害者のコミュニケーション支援
ベッド柵事故防止システムの開発
PCソフト起動時間のイライラ度評価
物体色彩と重量知覚の関係
匂いと色彩の感情評価
mito@inf.uec.ac.jp
1
Kazuyuki MITO
Kazuyuki MITO
2
研究室と環境
 西5号館4階
 主な実験機器
 405室:教員室
 407室:実験室
 413室:学生部屋&実験室
 学生数:13人
 4年生 =6人
 修士1年=4人
 修士2年=3人
Kazuyuki MITO







生体アンプ 8ch×4台
エアロバイク
脚筋力測定装置
視覚刺激装置
点字ディスプレイ
力覚生成装置
発汗計
運動機能評価に関する研究
3
Kazuyuki MITO
4
1
研究テーマ:運動機能評価
研究テーマ:運動機能評価
筋電位:運動終板(神経・筋接合部)で
発生し、筋線維に沿って伝播
(3~6m/s)、筋末梢(腱)で消滅
筋電図(EMG)
筋線維伝導速度(MFCV)
(活動量,疲労度,筋組成, etc)
運動・動作モデルの構築
表面電極
高齢者のレジスタンストレーニング法の確立
効果的なリハビリテーション手法の確立
運動機能情報を反映した福祉機器の開発
5
研究1:筋機能情報の計測・解析手法の確立
6
Kazuyuki MITO
研究1:研究の特徴・着目点
腱(末梢,肘)
MFCV
(m/s)
MFCV (m/s)
数理工学的(理論的)研究
どの位置の 12
どの値が
妥当か?
計算のみで人体の
運動・動作を生成
医用・福祉分野へ応用



筋力
計測・解析手法
数理工学的(理論的)研究
10.2kg
脊髄
Kazuyuki MITO
臨床的(実験的)研究
臨床的(実験的)研究
運動機能情報の計測・解析
→ 運動・動作特性の解明
計測・解析手法の開発
荷重
変換器
加速度
センサー
+
筋音図(MMG)
モデルの開発と改良
筋活動状態の定量的評価
-
運動
動作
運動機能評価システム
筋電図,筋線維伝導速度,
筋音図,筋力
筋機能情報
10
8
16ch De
1ch
MFCVの定義:運動終板で発生した
1ch
筋電位は、その形状と大きさを保ちな
がら一定の速度で伝播(単一筋線維)
2ch
3ch
• 形状の変化 →相関係数
• 大きさの変化 →振幅比
4ch
5ch
6
6ch
4
7ch
腱(肩)
proximal
2
40 ms
9ch
–60 –50 –40 –30 –20 –10 0 10 20 30 40 50 60
移動
y(t)
8ch
腱(肘)
distal
x(t)
t
10ch
運動終板帯からの距離 (mm)
Distance from end–plate: Le (mm)
0.2 mV
11ch
表面電極
Kazuyuki MITO
腱(肩)
運動終板帯
10 ms
Rxy(T)
1
0.8
0.6
0.4
0.2
12ch
筋腹(中央)
 筋電図(EMG)、筋線維伝導速度
(MFCV)の適切な計測位置と
条件の確立
腱(肘)
13ch
運動終板帯
14ch
-10
15ch
16ch
伝播
0.5 mV
100 ms
(運動終板帯:信号の極性が反転)
7
相関係数
(最大値)
t
伝播
-8
-6
-4
-2
-0.2
-0.4
-0.6
0
Ts
Rxy(Ts)
2
4
6
8
10
移動時間: T (ms)
MFCV  De Ts  De  5 mm
Kazuyuki MITO
8
2
研究成果1:結果
研究1:まとめ
MFCV
MFCV(m/s)
(m/s)
 運動終板帯、腱(筋末梢)
 筋電位の相関係数(形状)
と振幅比(振幅)の低下
→MFCVの増大
s
0.9
xy
相関係数
R (T )
 相関係数≧0.9
 振幅比 ≧0.8
→MFCV=3.90±0.38 m/s
臨床的(実験的)研究
数理工学的(理論的)研究
計測・解析手法
**
**
1
0.8
振幅比
AMR
 運動終板と腱を除く領域
16
14 ** :p<0.01
12
10
8
6
4
2
**
0
Mito K, Sakamoto K:
Electromyogr. Clin. Neurophysiol.
43(2), pp.137-149, 2002.
0.7
0.6
**
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0
5
**
**
** **
10 15 20 25 30 35 40 45 50 55
 MFCVの検出条件と計測位置の確立
Distance from motor end–plate: Le (mm)
運動終板帯からの距離(mm)
MFCV検出条件の確立
(筋電位の波形形状と大きさに着目)
(測定位置の決定法)
9
Kazuyuki MITO
研究2:筋電位モデルの構築
10
Kazuyuki MITO
研究2:研究の特徴・着目点
臨床的(実験的)研究
数理工学的(理論的)研究
計測・解析手法
筋電位・筋収縮モデル
各筋電位の総和(干渉波) 皮膚
運動終板帯
• 筋電位の発生
表面筋電図
• 伝播方向が異なる
表面電極
16
** :p<0.01
MFCV (m/s)
14
?
神経
12
皮膚
r 
伝播
10
8
筋線維
6
4
r cos
腱
2
0
0
**
5
** **
10 15 20 25 30 35 40 45 50 55
筋電位
Distance from motor end-plate: Le (mm)
• 一方向に伝播
 MFCVと測定位置との関係を論理的に解明
(なぜMFCVは測定位置で異なるのか?)
Kazuyuki MITO
腱(筋末梢)
• 筋電位の消滅
運動終板帯と腱以外
生理学および解剖学的知見に基づいた
数理工学的モデルの構築
11
Kazuyuki MITO
12
3
 表面EMG(モデル)
3
2
1ch
 運動終板と腱を除く領域
Channel
…
 筋電位の相関係数(形状)と
振幅比(振幅)の低下
→MFCVの増大
0.05 mV
筋電位
(双極子)



 相関係数,振幅比≧0.9
→MFCV≒4.0m/s(一定)
0
50
100
時間 (ms)
12
8
4
0
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
0.9
0.8
-0.6
-0.8
-1
1
臨床的研究の結果と一致
13
14
活動筋線維数:2本
筋電位: 双極子モデル
伝播速度:4.0 m/s(一定)
28
24
20
1
相関係数
12 11
1
筋電位(双極子)の発生
2
と伝播にともなう表面筋
3
4
電図の分布を計算
5
→境界要素法(BEM)
6
7
8
9
10
11
運動終板帯
12
 運動終板帯,腱(筋末梢)
振幅比
 数理モデル
…
研究2:結果
MFCV (m/s)
研究2:モデルの概念と計算法
150
研究2:まとめ
0.6
0.4
0.2
-5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
運動終板帯での筋電位の発生と腱で
の消滅、および干渉がMFCV推定に
影響することを理論的に証明
13
Kazuyuki MITO
0.8
運動終板帯からの距離(mm)
14
Kazuyuki MITO
研究3:運動形態と筋活動特性
臨床的(実験的)研究
数理工学的(理論的)研究
臨床的(実験的)研究
数理工学的(理論的)研究
計測・解析手法
筋電位・筋収縮モデル
計測・解析手法
筋電位・筋収縮モデル
運動形態
Mito K, Kaneko K, Makabe H,
Takanokura M, Sakamoto K:
Med. Sci. Monit. 12(4),
pp.115-123, 2006.
 種々の運動形態における筋活動状態をEMGとMFCV
にて評価(詳細な筋活動情報の獲得)
 数理モデルによる筋電位の発生とMFCVの分布の再
現が可能
→関節角度(筋長の変化),収縮形態,運動速度との関係
→皮膚表面で計測されるMFCVは見かけ上変化
Kazuyuki MITO
15
Kazuyuki MITO
16
4
研究3:結果
 肘関節角度(筋長)
50°~130°
肩側
(短い)
2
3
 収縮形態(3種):
等尺性:筋長を一定にして
4
5
Channel
筋力を発揮
短縮性:筋長を短くしながら
筋力を発揮
伸張性:筋長を伸ばしながら
筋力を発揮
*筋長→筋の長さ
6
7
4
3.5
:運動終板帯

収縮形態

運動速度
20ms
90
110
130
関節角度 (°)
関節角度
1mV
角度 ∝ MFCV (筋長 ∝ 1/MFCV)
長い ← 筋長 → 短い
詳細な筋活動情報を
獲得することが可能
17
70

12
13
50
肘側
11
(相関係数,振幅比→MFCV)
°/s)
°/s)
3
10
計測・解析手法の成果を投入
Kazuyuki MITO
4.5
°/s)
°/s)
8
9
 運動速度:
0,10,20 °/sec
:伸張性(20
:伸張性(10
:等尺性
:短縮性(10
:短縮性(20
5
(c) 130°
Proximal side
(b) 90°
Distal side
(長い)
(a) 50°
1
MFCV (m/s)
研究3:研究の特徴・着目点
短縮性 > 等尺性 > 伸張性
短縮性: 速度 ∝ MFCV
伸張性: 速度 ∝ 1/MFCV
Kazuyuki MITO
18
研究3:まとめ
臨床的(実験的)研究
数理工学的(理論的)研究
計測・解析手法
筋電位・筋収縮モデル
その他の研究
運動形態
水戸和幸, 安西理, 金子賢一,
坂本和義,清水豊: 日本福祉工
学会誌 9(2), pp.40-46, 2007.
 運動形態の違いをMFCVおよびEMGにて
評価することが可能
→検出条件の取り決めが重要
Kazuyuki MITO
19
Kazuyuki MITO
20
5
PCソフト起動時間のイライラ度評価
物体色彩と重量知覚の関係
 イライラしないPCソフトを設計・開発するには?
 把持物体の色彩が重量知覚に与える影響は?
限界時間(sec)
時間 (sec)
20
ストレス増加
作業効率の低下
許容時間
重量予測(視知覚)
同じ重さ,大きさ
で色彩情報が異
なる場合は?
15
重そう
心理的
限界時間
10
軽そう
5
0
パターン1
パターン2
重量感
(触・力覚)
パターン3
起動条件
起動法とイライラ
するまでの時間
との関係
パターン1
パターン2
パターン3
(起動画面無し)
(起動画面有り)
(残り時間表示)
意外と軽い
+2:待てる
±0:どちらでもない
-2:待てない
重い
同じ重さであっても大きさが異なると小さい
物体を重く感じる(Size-weight illusion)
21
Kazuyuki MITO
では・・・
明度では重量予測と
重量感で異なる(錯覚有)
色相,彩度では個人差が
大きい
22
Kazuyuki MITO
視覚障害者向けイメージ伝達法の検討
ベッド柵センサーの開発
 視覚障害者にイメージ(図)を伝える方法は?
触察
提示
 ベッド柵による事故を防止するには?
触覚ディスプレイ
 側面への身体圧迫
 上部への頭部,頸部の乗り上げ
予備知識
学習時間
理解度
上部
上部
通知
側面
柵の上部,側面に圧力スイッチを設置
 効果
 事故に遭遇する機会の減少(看護スタッフの身を守る)
 患者の行動パターンの把握(生活リズムの改善)
Kazuyuki MITO
23
Kazuyuki MITO
24
6