健脚美へのStep.8♪ 更新⽇:2012年4⽉1⽇ ⽇曜⽇ ふくしまの健脚美さん 福島のアスリートとして誇りを持って 整備された⼀般の道路ではなく、不整地であるオフロードを駆けるトレイルラ ンニング。福島県福島市在住(⻄⽩河郡⻄郷村出⾝)のマウンテントレイルラ ンナー眞舩孝道さんが、昨年12⽉⽶国ハワイ州オアフ島で開催された 「XTERRAトレイルランニングレース2011ワールドチャンピオンシップ」に て、⽇の丸をつけて世界への初挑戦を果たしました。普段は、私⽴⼤学職員と して働くサラリーマンアスリートであり、現在3歳のお⼦さんをもつパパさん アスリートでもある眞舩孝道さんに、健脚の秘訣をお伺いしました。 ⽩河リトルリーグ(⼩学校4年⽣)〜福島県⽴⽩河⾼校に⾄るまでの10年間を野球少年として過ごし、駿河台⼤学に⼊学して から陸上競技の⻑距離を始めました。もともと⾛るのが好きで駅伝への憧れがありましたが、当時の陸上競技部員数が少⼈数 のため駅伝に取り組むことはできませんでした。しかしそこには素晴らしい出会いがありました。現在の私の姿と同様に、⼤ 学職員として働きながら競技を続けている⽅がおりました。その⽅は、箱根駅伝6区の優勝メンバー(早稲⽥⼤学)として駆け 抜けた実績があり、陸上競技のトレーニング⽅法も知らなかった私にマンツーマンで指導をしてくださり、個⼈種⽬である 「フルマラソンを⾛ろう!」という夢を与えてくれました。野球から転向3年⽬となる、⼤学3年⽣の時(1999年)には「第 19回つくばマラソン」で2時間26分という結果を出すまで成⻑でき、2000東京国際マラソン(シドニーオリンピックの⽇本 代表選考会を兼ねたレース)への出場を果たすことができました。 卒業後は県内の私⽴⾼校に勤務し、陸上競技部(⻑距離)顧問とし て⽣徒たちを指導しながら共に汗を流していました。社会⼈2年⽬の 夏に、福島県総合体育⼤会、東北総体の⼭岳競技(縦⾛)で優勝 し、国体の福島県代表選⼿に選抜され、鉄板・鉛を⼊れた17kgの ザックを背負い登⼭道を駆けあがる過酷な競技と出会いました。そ れが⼭を⾛るきっかけとなります。その後、2007年に国体の縦⾛種 ⽬が廃⽌となり、翌年は⼭に⼊る機会がほとんどなくなってしまっ たのですが、「もう⼀度、⾃然の中を⾛りたい!」との思いにから れ、2009年から本格的に活動の舞台をトレイルランニングへ移⾏し ました。 昨年は⼤震災、原発事故(放射線問題)がありトレーニングができるよ うな状態にない時期もありましたが、細々とランニングは継続していま した。GW明け頃から「8⽉のレースで1番になりたい!」という思いが 強くなり、集中的にトレーニングを開始しました。震災後の福島県の状 況の中で、それまで⼭岳競技(縦⾛)の県代表として6年間も貴重な経 験を積ませていただいた恩返しがしたいという気持ちや、「⾃分が優勝 をすることで、何かしら福島県の為にできることがあるのではないか」 という思いで、トレーニングにも熱が⼊りました。結果、⽬標としてい た8⽉のレース(XTERRAジャパン)で優勝することができ、⾃⾝とし て初めて⽇の丸をつけて世界⼤会へ⾏くチャンスを⼿にすることができ ました。 世界への初挑戦ではありましたが、成績だけを⾒つめると満⾜感は全然ない です。やっぱり上位に⾷い込みたかった。その夜は悔しくて⼀睡もできませ んでしたね。「何がまずかったのか」「もっと何とかできたんじゃないか」 「もっと頑張れたんじゃないか」⾃分の中にある弱い⾯が嫌でした。こうい う経験も必要だなと思う反⾯とにかく結果に対しての原因探しですよね。ア スリートとして競技をしている限り、もちろん結果は気にします。「出場す るからには優勝したい」という思いは常にあります。だからこそ負けた原因 を追究し、その結果を真摯に受け⽌めて、必ず次へのステップになるように したいんです。そして、私はプロではありませんのでサラリーマンアスリー トに「引退」はありません。ですから、結果によって競技の進退を問われた りすることはありません。その不安がない分、全てを“次へのstep”という形 に変えられる。それも市⺠アスリートにとっての醍醐味なのかな。 世界各国で⾏われているレースに年間1〜2本は出て経験値を積みた いですね。トレイルランニングは世界各国でレースが開催されてい ます。ヨーロッパでは300kmを1週間かけて競われるような⻑距離 のレースもあります。将来的には、そういう舞台でも勝負したいで す。その夢を叶えるには、⾃分をサポートしてくれる⼈が⽋かせま せんので、いろんな⾯で“枝分かれする出会い”が必要で、⽇々の中で の出会いを⼤切にして過ごしていきたいと思っています。そして国 内でも海外でも“福島のアスリート”として『Japan/FUKUSHIMA』 という形で挑み続けたいです。福島県⼈としての誇りを持って、福 島で働き、福島で⼦育てをする親として、常に明るい未来をイメー ジしながらスタートラインに⽴ちたいです。福島には素晴らしい⾃ 然環境があるということをたくさんの⼈に知って欲しいですね。⾃ 分⾃⾝まだまだ⾛ったことがないような魅⼒ある⼭道(トレイル)も福島にはたくさんあります。そこにはアスリートとして まだまだ強くなれる要素があると思いますので、これからも県内のトレイルを開拓しながら⽇々トレーニングを積み上げてい きたいです。 福島県の⼤⾃然の魅⼒ 福島県内の⼭は、⼀番⾼いところでも南会津郡の燧ケ岳で2,356m。他の地域(甲信越地⽅)に⽐べてすごく標⾼が⾼い⼭々 が連なっているわけではないのですが、福島県の⼭々では、国内外の標⾼2000M〜3000M級のロケーションが⾒られるとい う魅⼒があります。例えば、安達太良連峰だと最⾼峰で約1700M級の標⾼ですが、⽉⾯的な噴⽕⼝(クレーター)や、森林限 界と呼ばれる⽊が⽣えていないロケーションは「海外で⾔う標⾼2000M〜3000M級のロケーション」だという写真家の⽅も います。実際に国内外の2000〜3000M級の⾵景を⾒ようと思ったら、それなりの装備や訓練が必要になりますが、福島県内 の⼭は、吾妻⼩富⼠までスカイラインを⾞で⾛らせアクセスできたり、安達太良⼭では、より⼭頂近くまでゴンドラが使えた りと整備された⽊道もあり、⽐較的気軽に⾏けて素晴らしいロケーションや空気を味わえるので、とても魅⼒的ですよね。ま た、雪解け後の5⽉下旬ぐらいの磐梯⼭では、登りはじめて猪苗代のスキー場のてっぺん辺りから、パッと後ろを振り返ると ドッーンと猪苗代湖が⾒渡せて、猪苗代湖から⽔を引いている⽥んぼに真っ⻘な稲が植えられているロケーションは、本当に 素晴らしい景⾊ですよ! トレイルランニングの魅⼒ レースで競い合う楽しみや、勝つことで得られる名誉だけが魅⼒ではありません。⾃然の中を⾏動していると⼼に響くことが たくさんあります。⽇々の⽣活の中から⾮⽇常的な空間に⾝を置くことで“⾃⾝を客観視”できるような気がします。⼤⾃然に ⾶び込むわけですから、もちろんリスクを感じながら、装備を整え、けして体⼒の過信をせずに。時には雄⼤すぎる⼤⾃然を 前に弱さを感じることもあります。震災後に福島市吾妻連峰の⼀切経⼭に⾏った時、本当に⼭が深呼吸しているような躍動的 な噴煙を⽬の当たりにし、⼈間の⼒ではどうにもできないことがあることを実感しました。そうした恐怖感を抱くことで神経 が研ぎ澄まされる部分もありますし、どれだけ便利な世の中になっても、⼤⾃然を相⼿に「いくら挑んでも勝てない部分がた くさんある」ことを教えられます。何千年、何万年もかけてつくられた空間に⾝を置き、⼤地を踏みしめると、⾃⾝を客観視 でき、⼼をリセットすることができます。⾃然界の中で⼈間は「⽣かされているんだなぁ」と感じて謙虚な気持ちにもなれま す。そしてそれが⽇々の⽣活への感謝の気持ちや⽣きる活⼒、新たな原動⼒へと結びついていきます! ブログ : mafu-blog +⼭と魂+
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