用語解説

◎用語解説
・位相差顕微鏡(光学顕微鏡)
現在、国内で規定されている建材等の分析方法は、平成 18 年 8 月の厚生労働省通達により JIS A
1481(2008)によるものとされており、位相差顕微鏡を用いた分散染色法は、含有の有無(定性分析)を判断
する検査方法 JIS A 1481(2008)で示される分析方法です。
対象となる繊維と周囲との位相量の差(屈折率の差)を、光の干渉を利用することにより明暗のコント
ラストに変換して観察できるようにした顕微鏡です。
JIS A 1481(2008)では、位相差顕微鏡による分散染色法と、エックス線回折法の両方で評価します。
位相差顕微鏡
・X線回折法
X線回折法は、対象物(結晶)にX線を照射することにより生じた対象物からのX線反射(回折X線)
を測定し、その試料に含まれている結晶構造を調べる方法です。
アスベストは、天然鉱物であり、固有の結晶構造を持っているため、どの種類のアスベストが入ってい
るのかが分析できます。
X線回折法による定性(同定)分析は、X線回折パターンを測定後、登録されている 76 万種以上の化合
物パターン(ICDD)と比較し、どの鉱物が入っているかを識別します。
ま た、 回 折X 線強 度か ら、 ど の程 度 のア スベ スト が含 ま れる の か( 定量 分析 )が 分 かり ま す 。
X線回折装置
・偏光顕微鏡法
現在、国内で規定されている方法である JIS A 1481(2008)では、偏光顕微鏡による消光角法は削除され
ていますが、ISO 法やアメリカの EPA 法で採用されるなど、海外では広く使用されています。
また、アスベストモニタリングマニュアル(第 4.0 版)
(環境省、2010 年)では、解体現場等における
大気中の濃度を測定する際、迅速性が求められることなどからも位相差/偏光顕微鏡法が紹介されていま
す。
複数の光学的特長(複屈折、消光角、伸長性の正負、色、多色性)および分散染色の特徴によって、ア
スベスト鉱石、繊維を区別して同定します。
偏光顕微鏡法
・電子顕微鏡法
透過型電子顕微鏡と、走査型電子顕微鏡がありますが、いずれもアスベスト分析の中では最も精度が高
い分析法で、高い分解能を要する側面で用いられます。
位相差顕微鏡や偏光顕微鏡は、対象物質に光をあてて拡大する光学顕微鏡ですが、電子顕微鏡は、光の
かわりに電子をあてて観察します。
分析走査電子顕微鏡法(A-SEM 法)による石綿繊維計数