声明 「特定秘密保護法案廃案を重ねて求め、日本版 NSC 設置・米軍新基地 建設に反対する」 政府・与党は、特定秘密保護法案の衆議院での採決を強行し、参議院での審 議を進めている。特定秘密保護法案は、国民の知る権利を奪い、広範な分野の 科学研究をも阻害するものであり、日本国憲法の原理と両立し得ない悪法であ る。このことについては、本会もすでに繰り返し声明を発し、また他の学会や 団体・マスコミなども指摘してきたところである。世論調査でも過半数の国民 が反対の意志を示し、福島での公聴会では与党推薦者を含む全員が同法案に強 い反対や重大な懸念を表明した。近隣諸国や国連機関関係者も同法案を批判し ている。政府与党が、こうした四面からの痛烈な批判を一顧だにせず、採決を 強行して今国会で成立させようとしていることは、まさに「民主主義の死」を もたらす暴挙であり、絶対に容認できない。 また、日本版 NSC 設置法も成立した。NSC の設置によって、重要な安保情 報・政策を内閣の一部のみが専管するようになる。したがって、その活動をチェ ックし暴走を防ぐことが極めて重要な課題となるが、それを阻むものこそ「特 定秘密」の壁である。 一方、沖縄の新基地建設をめぐり、自民党は沖縄県選出議員に、選挙公約を 破棄させ名護市辺野古への海兵隊航空基地建設を容認させた。沖縄県民は繰り 返し県民総意を示して、新基地建設拒否・普天間基地撤去を求めてきた。だが、 安倍政権は、辺野古以外はあり得ないと迫っている。県民総意を踏みにじるう えに、政府・与党が自党の国会議員に選挙公約を破るよう強要するなど、民主 国家にあるまじき暴挙であり、到底許されない。 特定秘密保護法案、NSC の設置、沖縄での横暴な軍事基地建設とその推進手 法は、いずれも、国民主権・基本的人権といった憲法の根本原理に反し、近代 立憲主義を否定するものである。すなわち、安倍政権は、国会両院での多数を たのみに、あたかも日本国憲法がないかのごとき政治を行っている。このよう な、数を頼んだ強権的な統治は、かならず国民生活の荒廃をもたらすものであ り、看過できない。 本会は、平和で民主的な社会・持続可能な社会の構築に資するようつとめる 学会として、このような一連の暴挙を決して許さない。 特定秘密保護法の廃案、辺野古への新基地建設断念と普天間基地の即時無条 件撤去、NSC の廃止、安保分野を含む政府公文書の適切な保存と公開制度の構 築を重ねて求める。 2013 年 12 月 2 日 日本科学者会議 事務局長 米田 貢
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