ARCHITECT 2015. 1. JAN.

316
ARCHITECT
1. JAN.
NO.
2015.
CONTENT S
年頭に当たって-2015年… …………………………………………………………… 2
石田 壽・鳥居久保・村松 篤・水野豊秋・加藤幸治・中西修一
第5回 水生生物との関わり
シーラカンス…………………………………………………………… 古田正美… …… 6
第31回 JIA 東海支部設計競技 2次審査結果………………………………………… 8
「特定秘密保護住宅」
●学生の部 金賞 住田百合耶
審査員特別賞 稲垣拓見
銀賞 下釜健吾、廣田竜介・藤関利光
銅賞 宮田典和、藤田恭輔、石部健多
●一般の部 金賞 市川雅也・久保田貴大
審査員特別賞 山口貴司
銀賞 加藤圭介・中原大貴、椎橋 亮
銅賞 水谷夏樹、齋須幸太郎、佐野勇太・中島永騎
<審査経過> 矢田義典
<講評> 島田陽・道家 洋・川本敦史・川本まゆみ・出口基樹・寺下 浩・牧ヒデアキ
第31回 JIA 東海支部設計競技 記念講演会
島田陽氏「これまでとこれからのあいだで」… ……………………… 八木紀彰… …… 16
JIA愛知発 建築家フェスティバル2014 初の試み「ダンボールカード」も来場者とともに楽しむ …………… 西村和哉… …… 17
保存情報 第158回 前田利家の郷・荒子集落… …………………… 尾関利勝… …… 18
サンロード……………………………………… 塚本隆典… …… 18
理事会レポート………………………………………………………… 石田 壽… …… 19
東海支部役員会報告… ………………………………………………… 吉元 学… …… 20
東海とっておきガイド 74 番外編… ………………………………… 榎戸正浩… …… 21
地域会だより…………………………………………………………………………… 21
新年広告………………………………………………………………………………… 22
編集後記… …………………………………………………… 相原宏康・酒井直子… …… 24
Intuition Ⅹ
漁村の
コンテンポラリーハウス
偶然なのか。このような建物を見ると何か意匠的なデザインがされているのではないかと錯覚する。もちろん
建築家が設計しているわけではない。必要に迫られた機能のみでつくられているのは間違いないが、見た目の
バランスが結構良いところまで来ている気がしてしまう。たぶん、ちょっと小綺麗に仕上げれば、建築家が 設計
したと言っても誰も疑わない。
この建物は愛知県知多半島の漁村の中にある。半透明のポリカーボネード波板の外壁は内部に十分な光を
取り入れつつ、風を防ぐという単純な目的によって選択されているが、ここまでふんだんに使えば夜景はかなり
綺麗だろうなと想像がつく。
2階建てのように見えるが、作業スペース兼車庫と思われる木造平屋の上に、陸屋上とベランダが広がってい
る。防風のためだとは思うが、屋上部分を壁として立ち上げて、まるで一体の建物のように見せているあたりが
憎い。アクセントになっている右上の部分は、階段室と収納のようだ。
よく見ると手前駐車スペースの右側の塀にもポリカの波板が横使いで張られており、敷地全体で、素材の統
一感がある。これはもう、ナチュラルにデザインされていると言えるかもしれない。
左の写真は母屋と離れの間をポリカーボネード波板で囲ってしまい、植物園のような玄関先を
作ってしまった家。これがまた気持ちがいい。小手先のデザインでない説得力がある空間。こち
らも海近くの漁村にある。
横関浩| STANDS ARCHITECTS
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■年頭に当たって─ 2015 年
支部大会開催の年、新会員制度、
会員増強、支部運営もさらに議論を
本部理事・東海支部長
石田 壽
東海支部の皆様、新年明けましておめでとうございます。年頭
諸々の問題が解決されるのか、新年早々から取り組んでいかねば
に当たり皆様のご多幸とご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
なりません。もっと議論していく必要があるように思います。
昨年は自民党安部政権のアベノミクスによる経済効果が及ば
さて、東海支部の事業としては、本部から移管され支部ですべ
ず、消費増税の影響もあり景気回復が果たせないままの一年とな
ての運営がなされた「JIAゴールデンキューブ賞」で選出された
りました。
活 動「 建 築 と 子 供 た ち ネ ッ ト ワ ー ク 仙 台 」が、UIA 一方、建築業界は、一昨年よりの建設費高騰、建設技術者不足
Architecture & Children Golden Cubes Awardsにおいて最優
など、まだまだ混迷から脱け出せないでいます。東日本大震災の
秀賞を獲得しました。本当にすばらしいことで、実行委員会と関
復興も進まない中、2020年の東京オリンピックの誘致が決定し、
係者の皆さんの努力が報われるものでした。11月にはその発表
地方はますます苦境に陥ることが予想されます。今後の建設費
も兼ね「こどもの建築活動発表交流会」が開催されました。
の行方、建設技術者不足の上の関東集中、デザインビルドによる
また、
「第21回東海学生卒業設計コンクール」、
「第31回 JIA 東
発注方式、オリンピック後の問題など、注視し解決していかねば
海支部設計競技」が実施され、支部の活動の歴史の重みを感じさ
ならない課題が山積しています。
せるものでした。「JIA 東海住宅建築賞」は第2回となり、初回の
そうした中で JIAは公益法人として2年目を迎え、実質的な活
応募作品数を上回る54作品の応募があり、活発な事業となりつつ
動の年となりました。本部財政の健全化を図り、組織の再編を進
あります。公益事業として若手建築家に JIA の活動を理解して
め、
「公益寄与と公益保護」に立脚し、社会に必要とされる建築
もらえる絶好の機会でもあり、会員増強の一環としても機能して
家の団体としての活動を推進しています。
いる事業となっています。本当に各事業に携わり尽力された皆
その一歩として全国会議がいよいよ動き出そうとしています。
さんには頭の下がる思いです。
地域に根ざした活動の延長上に全国会議は位置づけられている
ただ事業が増え活動が活発になった反面、活動にかかわる人
のですが、なかなか思うようにはいきません。支部・地域会の全
的支援の問題、また支部財政の問題などを抱えています。新年
国ネットワークとして活動を展開していくことが望まれます。
早々、少々重い話題になりますが、東海支部の現状は本部からの
また、昨年の総会後に開催された意見交換会では、
「正会員は
支部運営費収入では運営が厳しくなっています。このことは今
すべて登録建築家に」との芦原太郎会長の「正会員ルート」が提
に始まったことではありませんが、固定費の削減・事業の見直し
案され、大きな議論を巻き起こしています。これは建築家資格制
を迫られています。新会員制度に基づく会員増強を図ることは
度に関するJIAの基本スタンスである、試行→社会制度→国家資
必要ですが、その上で支部会費を徴収するのか、このことも今年
格へというステップを踏んで現行の建築士法を改正するという、
は検討しなければならない重要な課題です。
いわば「社会制度経由ルート」が情勢の変化などにより頓挫し、
今年は支部大会の開催年となります。愛知地域会が主管で取
見通しが立てにくい状況に陥っていることが背景にあります。
り組みを開始しています。ぜひとも支部の会員の皆さんに参加
この制度の改正には、現行の JIA 会員規程や会費制度の変更が必
していただいて、大いに盛り上げてほしいものです。
要となる重大な提案ですが、いまだ全会員に周知されているとは
登録建築家の問題も含め、
「社会に対しても会員にとっても分
言い難い状況です。
かりやすい JIA」
「地域に根ざし社会に貢献できる建築家の団体、
支部では、昨年9月の「CPD 支部講習会」にて芦原会長から説
JIA」を目指して支部運営を考えていきたいと思います。皆さん
明を受け、12月には会員集会を開催し周知を図りました。今年
のさらなるご協力を必要としています。
の総会で決議し、7月にも新制度をスタートさせたいとの非常に
今年もよろしくお願いします。 (中建設計)
厳しいスケジュールで、本当に全会員の理解が得られるのか、
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公益社団としてのスタンスを意識し、
地域に根差した公益事業活動を市民と共に
本部理事
鳥居 久保
東海支部の会員の皆様、新年あけましておめでとうございま
動を展開したことだと思います。これこそが JIA の専門性を大
す。本年もよろしくお願いいたします。
いなる資源として公益に寄与し、公益を保護している好例であ
昨年暮れ、7月から9月までの GDP の成長率が実質マイナスと
り、JIAとしての象徴的活動であると思います。さらに JIA が標
なって、安倍政権は消費税率再引き上げの延期と解散総選挙を
榜する「コミュニティアーキテクト」という立場から、このよう
決めました。大義なき解散とも言われた今回の総選挙も自民党
な行政へのアドバイスや災害時の行動規範を示すことの重要性
が安定多数の議席を確保する圧勝となり、一強体制を継続させ
を社会に提示し、JIAの存在価値を高め、東海支部そして各地域
る結果となりました。デフレ脱却のためのアベノミクスも第2幕
会とも信頼される市民のパートナーとなれるよう活動していく
を迎えますが、その一方で疲弊する地方が存在する現状を見る
ことが大切だと思います。
と、政治だけではどうにもならない経済のむずかしさとともに、
昨年のダーバンでの UIA 世界大会では、東北支部から応募し
未来につながる成長戦略が本当に地域を元気にするのか、われ
たネットワーク仙台の「子どもたちが応援する歴史的建造物の震
われは大いにその実態に関して建築やまちづくりの視点から進
災復興~地域・小学校等との協働プロジェクト~」が UIA 建築
言し、提言をしていく責務があると思います。
と子どもゴールデンキューブ賞2014の国際審査において、部門の
さて、JIAにとってその成り立ちの根幹を成す登録建築家の
最優秀賞を見事獲得しました。
制度は一昨年の総会終了後の意見交換会において芦原太郎会長
そもそもこの国際審査会の前段階として存在するのが日本代
から正会員=登録建築家とする「正会員ルート」の考え方が新た
表作品選考会を兼ねた「JIAゴールデンキューブ賞」という審査
に示されました。これは、建築士会連合会との合意に基づく「社
会であり、その運営を担当したのが東海支部(ゴールデンキュー
会制度経由ルート」が長い間思うように動かず、その局面の打開
ブ賞実行委員会)だったわけで、今後の本部との関係性を構築し
のために別ルートでの可能性を求めたものです。去年の総会後
ていくうえで、支部、地域会からのポジティブなスタンスを今後
にもやはり意見交換会が催され、同じテーマでの説明が職能・資
も維持して、公益への貢献をしていければと思います。
格制度委員会からなされました。さらに、11月の理事懇談会で
ただこうしたさまざまな活動を担保していくのは、やはり会員
は会長から「JIA が公益保護、公益寄与を掲げる職能団体である
数の十分な確保であり、準会員、協力会員を含めての会員増強で
からには、UIA 基準の登録建築家資格は最後の砦である。JIA
あると思います。現状で4,200名を割っている正会員数をどう増
正会員全員が登録建築家になることによって、CPDなどで正会
加に転換していくかは、組織としての大きな課題です。地域に根
員の質を高く保ち、それによってUIAの国際基準に準拠させ、そ
付いた継続的活動のためには、次の世代への継承を可能とする
こに JIAの存在意義を見つけるべき」とのコメントがありました。
厚みのある会員構成が必要となります。唯一の建築家の専業団
つまり、まずは JIAの内部的な問題としてとらえ整理したうえで、
体として、また職能団体として、今後とも、支部、地域会で会員
新たな制度実現に向かって事態を動かそうとするものです。12
の掘り起こしに力を入れるべく、協力を切にお願いいたします。
月には支部の会員集会が行われ、いよいよ今年は、この正会員
このように2015年を迎え、JIAはさらに公益社団としてのスタ
ルートに対して、制度的な動きがありそうです。多くの会員が関
ンスを強く意識し、東海支部は愛知、岐阜、三重、静岡の地域会
心を持って、制度実現に向けての議論に参加されることを望みま
と連携を取りながら、一層の幅広い活動を展開していくことが必
す。
要になると思います。今後も市民にも会員にも開かれた支部運
昨年のJIAとして特筆すべきことは、神奈川地域会が横浜市と、
営のために一層努力するつもりでおりますので、ご協力のほど、
奈良地域会が香芝市、広陵町と、それぞれまちづくり協定や災害
よろしくお願いいたします。
協定を結んで、公益社団法人として地域に根ざした公益事業活
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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市民と行政
つなぐ仕掛けづくりを
みんなで進もう
社会に受け入られる JIA へ
静岡地域会長
愛知地域会長
村松 篤
水野 豊秋
新年あけましておめでとうございます。
新年明けましておめでとうございます。
大先輩の尾林孝雄前会長からバトンを受け、今日まで JIA 静岡
早いもので地域会長職も9カ月が過ぎました。しかしながら
の発展のために無心で駆け抜けてまいりました。最初は若輩者
会長職が板につきません、会員皆様の支えで何とか時間が過ぎ
の私にこんな大役が務まるのか不安で一杯でしたが、静岡地域
たというのが感想です。
会の役員をはじめ会員の皆様に助けられたおかげで、さまざまな
昨年は長者町ゑびす祭りにおいての建築家フェスティバル
事業を遂行することができました。あらためて感謝申し上げま
「災害時に役立つダンボール工作」、白鳳小学校建築教室、プロ
す。
フェッショナルセミナー 2014「構造」シーズン2(3回シリーズ)、
思えば、事業に明け暮れた9カ月でした。昨年の5月と6月には
「建築トラブル回避法」と題した弁護士による講演会、JIA 愛知・
「建築設計競技の意義と課題」と題した公開シンポジウム、1泊2
法人協力会主催の CPD 研修、など事業を行ってまいりました。
日の建築ウォッチング(軽井沢)を、それぞれ開催しました。また、
年明けには建築見学ツアーも予定されています。ご協力ありが
7月には法人協力会員企画による企業ウォッチング(天竜産材の
とうございました。
実情を探る)と建築家講演会(益子義弘氏)を、8月には木に焦
しかしながら学生卒業設計コンクール、設計競技、東海住宅
点を絞ったデザインフェア(浜松会場:建築作品展示、JIA 塾、ワー
建築賞、ゴールデンキューブなどの支部事業に、かなり愛知地
クショップ、デザイナー講演会)を、すべて初事業として開催し
域会のコアメンバー会員の活動時間が割かれ負担が増している
ました。そして、12月には「地域をみつめなおす」をテーマにし
ように思われ、財政の問題と共に委員会活動の構成を見直す時
た建築フェア(静岡会場:建築家講演会、建築&企業ウォッチン
期に来ていると感じています。また就任時に掲げた会員増強が
グ、ワークショップ、建築作品展示)を開催しましたので、まさ
進んでいません。反省を踏まえつつ、今年は具体的な数値目標
に一心不乱に走り続けてきたように思います。
を立て、強力に推し進めたいと思います。
来年度は、少し腰を据えて事業に取り組んでいく所存です。今
年末に開かれた支部会員集会では、芦原会長の方針のもと
年度2回実施した JIA 静岡のフェアは1回とし、市民と行政をつな
「JIA 会員」が全員「登録建築家」になることをめざす資格制度
ぐための仕掛けを検討したいと思っています。例えば、防災とい
について、白熱した議論がされました。この原稿を書いている
う視点からウォッチング、ワークショップなどを交えた参加型イ
時点では内容は分かりませんが、JIA の根幹にかかわる方針転
ベントや、静岡の地盤について歴史から学ぶことで現代社会の盲
換であり、今年の総会に向けてますます意見の集約をしていか
点を浮かび上がらせるようなセミナーを企画する予定です。こ
なければと思います、しかしながら制度設計に明け暮れ職能の
れまで実施してきた JIA 塾や講演会については、内容と人選を吟
確立に向けた運動としての根本を見失わないようにしていかな
味して取り組んでいきたいと考えています。
ければいけない、との思いが募ります。
そのほか、会員参加による運営の在り方や会員増強のためのア
今年11月には支部大会が愛知で開催されます。まだ場所も骨
イデアも喫緊の課題だと理解しています。魅力あるJIAとは何な
子も固まっていませんが、地域に根ざし、社会に対して開かれ
のか、われわれの活動が目に見える形を必死に考えていかなけれ
た、楽しい大会にしたいと思っていますので、たくさんの会員
ばなりません。昨年、全国地域会長会議に参加し、各地域会が工
に参加いただきますようお願いいたします。
夫を凝らしながら積極的に市民と接している現実を知りました。
本年が良い年となりますように。 (ヤスウラ設計)
市民にとって関心の高いこと、行政が抱えている悩みなどに耳を
傾けることが、これからのJIA静岡にとって大切なのではないか
と自問自答しています。今年1年、粉骨砕身の覚悟で頑張ります
ので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
(村松篤設計事務所)
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JIA の体制問題と
JIA 岐阜地域会の
再構築を目指して
少数精鋭、知恵を出し、
より訴求性のある事業を
岐阜地域会長 三重地域会長
加藤 幸治
中西 修一
新年明けましておめでとうございます。新年を迎えるにあた
あけましておめでとうございます。
り会員の皆さまのご多幸を祈念いたします。また、JIA 活動へ
昨年4月に三重地域会の会長を引き継がせていただいて9カ月
の皆さま方のご協力に感謝を申し上げます。
が過ぎました。この間、地域会のみなさんと共に少しずつ事業
私は10年前の2004年度に岐阜地域会長を務め、今年度より再
を重ねてきました。振り返ってみますと、6月には和歌山地域
度務めさせていただいています。公益社団法人となり、現在、
会の森岡茂夫氏を講師にお招きし新規事業の一環として研修会
芦原会長の方針で、
「JIA 正会員」が全員「登録建築家」になる
を行い、7月には四日市四郷地区を「建築散歩」、9月には「森羅
ことについていろいろと議論がなされており、2015年度も引き
万象匠塾」として版画家の立原位貫氏にご講演を、11月には「建
続き大きな課題を抱えることになると思います。また、会員の
築ウォッチング」として滋賀県草津「追分」宿場町の散策など
減少は、どの団体も抱えている問題ですが、JIA においても会
を実施してきました。「森羅万象匠塾」や「建築ウォッチング」
員増強が問題の一つでもあります。当地域会は会員が少ないこ
では一般の方の参加もあり、少しずつではありますが外へ向け
とから、他の建築団体とは性質は異なりますが、各団体と相互
ての情報発信もできたのではないかと感じています。また、静
に協力し、扶助し合うことが必要と考えています。
岡地域会や奈良地域会のイベントにも参加し、他地域会との交
現在、事業展開として、会員はもちろん会員以外の方や若い
流も持てました。その中で横のつながりの大切さを肌で感じま
方に参加していただきたいと、
「JIA の窓」という対話形式の会
した。
を進めています。2015年度もこうした参加型の継承事業に取り
さて、2月には「建築文化講演会」を控えているわけですが、
組んでいきたいと考えています。準会員(学生会員)の PR や教
次年度の活動へも目を向けていきたいと考えています。単年度
育側へのアプローチも視野に入れ、参加していただける機会を
予算の事業体ではありますが、それにとらわれることなく企画
設けていきたいと思います。また地域活動が、建築家の存在を
をすすめていきたいものです。地域会会長の立場になって改め
最も一般の方に知っていただくことではないでしょうか。われ
て感じることですが、この三重では JIA を知っている方が本当
われ建築家が市民に認知され、社会から信頼されるためにも、
に少ない。いろいろな事業を通じて一人でも多くの方に私たち
これからの課題であり、行動をしていく必要があると考えます。
JIA を知ってもらいたいと思います。隔年発刊の『アーキテク
全国的にも人口減少で、教育界も困難な時代に入っています。
トみえ』も JIA 三重を PR する大切な次年度の事業ですので有効
岐阜県でも人口減少が各市町村でも年々進む状況にあり、団地
に活用していきたい。人数的には30名余りと小さな地域会です
などにも空き家が多く、対策が必要となっています。こうした
し、財政的にも余裕があるとはとても言えません。できること
ことから、岐阜県は7団体に呼びかけ、2014年10月に岐阜県住
も限られてきますが、少数精鋭で、みんなで知恵を出し合い、
宅リフォーム推進協議会を設立しました。私たち JIA として、
より訴求力のある事業を行っていきたいと考えています。
どのようにかかわっていくかが今後の課題です。
それと今年も会員拡大に向けて注力していきます。志を同じ
また、岐阜市に「みんなの森 ぎふメディアコスモス」という
くする仲間がひとりでも多く欲しいと切に感じています。
図書館複合施設が完成する予定で、新岐阜市庁舎の計画もあり、
また、法人協力会のみなさんともこれまで以上に一体感を
注目したいと考えています。
持って共に活動を行っていきたいと考えています。
本年は、愛知にて JIA 東海支部大会2015が開催される年です。
JIA 三重のみなさん、東海支部のみなさん、今年もよろしく
東海支部4地域会の会員・法人協力会員の皆さま方により、よ
お願いいたします。 (shu建築設計事務所)
りよい大会になりますよう、ご協力をお願いします。
本年も会員の皆さまのご協力をよろしくお願い申し上げます。
(加藤計画工房)
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水生動物との関わり 第 5 回
「シーラカンス」
シ ー ラ カ ン ス の 化 石 は、1844 年
ら れ て い ま し た が、1997 年 9 月 に
にスイスの博物学者によってロンド
コモロ諸島からおよそ 1 万 km 離れ
ン北東の二畳紀(2 億 5000 万年前)
たインドネシア共和国のスラウェシ
の地層から初めて発見されました。
島北部で発見され、現在では 2 種類
「生きているシーラカンス」が発見さ
古田正美
が知られています。
れるまでの 100 年間におよそ 80 種
シーラカンスは 1989 年にワシン
類の化石が見つかりました。それら
トン条約(絶滅のおそれのある野生
は 古 生 代 デ ボ ン 紀(3 億 7000 万 年
動植物の種の国際取引に関する条約)
前)から中生代白亜紀(7000 万年~
付属書1にランクアップされ、研究
調査目的はシーラカンスの捕獲で
8000 万年前)の地層で発見されてい
目的以外では国際間取引が禁止され
すが、生息海域の水温(表層~水深
ただけで、シーラカンスは絶滅した
ています。1990 年代には、生息数が
600m)の計測、塩分濃度、pH、溶
ものと考えられていました。
大変少なく絶滅を危惧されていまし
存酸素などのデータの集積や水中ロ
たが、サメなどの深海漁の発達によ
ボットカメラと生物を捕獲するため
りモザンビーク海峡周辺国でシーラ
のトラップに取り付けた暗視カメラ、
現 生 の シ ー ラ カ ン ス は、1938 年
カンスの混獲が見られ、考えられて
そして潜水と釣りによる生物相の調
12 月 22 日 に 南 ア フ リ カ 共 和 国 の
いたよりその生息数は多いことがわ
査など、シーラカンスを取り巻く生
南部イーストロンドン近郊にあるチ
かってきました。
息環境の調査も行いました。
I 生きている化石シーラカンス
ャラナム川の河口沖で捕獲され、ま
さに人類へのクリスマスプレゼント
調査中の「パシフィック・オーク」号
I シーラカンス調査紀行
のように現れました。当時は緊急の
私は 1988 年 11 月に初めてコモロ
連絡網がなくクリスマス休暇で研究
イスラム連邦共和国(現・コモロ連
者は不在で、イーストロンドン博物
合)を訪れ、グランドコモロ島でシ
館の学芸員ラティマー女史は魚の特
ーラカンスの写真を持って漁村を巡
徴のスケッチとメモを残し、内蔵を
り、聞き取り調査をしました。この
取り除いた腐敗の進んだ魚体から
折りに、アーメド・アブダラ大統領
世紀の大発見となりました。2 体目
(当時)に拝謁がかない、鳥羽水族館
私たちはグランドコモロ島、アン
は、第二次世界大戦後の 1952 年の
とコモロ国立博物館が共同で捕獲調
ジュアン島、モヘリ島の沿岸で昼夜
12 月にコモロ島で捕獲され、大発見
査を行う許可を頂くことができまし
を通して調査を行いましたが、水深
から 1989 年までの半世紀でおよそ
た。これが、私がシーラカンスに関
200m 周辺に生きるシーラカンスに
200 体がコモロ諸島で捕獲されまし
わった始まりです。翌年の 1989 年
遭遇することは困難を極めました。
た。近年ではアフリカ東岸のモザン
9 月に私たち捕獲調査隊は空路グラン
残念ながら、生体の捕獲はできませ
ビーク共和国、ケニア共和国、マダ
ドコモロ島に入り、チャーターして
んでしたが、奇跡的に洞窟内に潜む
ガスカル共和国の沿岸でも捕獲され、
いたイギリス船籍のサルベージ船「パ
シーラカンスを水中映像でとらえる
2000 年以降では深海潜水士によって
シフィック・オーク」号で調査を始
ことができました。
水中撮影がなされています。
めました。
予定していた調査終了の日が近づ
当初、シーラカンスは 1 種と考え
生物捕獲用トラップ
き、アンジュアン島で機材の撤収準
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備をしていた 11 月 27 日に大統領が
族館の「生きている化石」のゾーン
暗殺されるクーデターが起こり、空
で終日放映されています。当時とし
港は閉鎖され調査船は出港停止の状
ては、日本にこの映像しかなかった
態に置かれました。私たちは、空港
貴重なシーラカンスの水中映像です。
の開港を待つか、モザンビーク海峡
I コモロイスラム連邦共和国
(現・コモロ連合)
を横断してケニア共和国のモンバサ
へ渡るかの二者選択の決断を迫られ
冷凍庫のシーラカンス
コモロ諸島は、アフリカ東岸のモ
ました。一方では陸上映像班が所持
していたフィルムが没収されたとの
「生きているシーラカンス」をじか
ザンビーク共和国とマダガスカル共
噂が広がり、虎の子のシーラカンス
に見たのは、10 月 30 日 21 時 30 分
和国の間のモザンビーク海峡にあり
のビデオ映像が没収されないか気を
に漁師が調査船に持ち込んできたも
ます。首都モロニがあるグランドコ
もんだものでした。さらに、調査船
のだけでした。生きてはいましたが
モロ島、モヘリ島、アンジュアン島、
にシーラカンスの死体や生きたもの
釣り上げたときに鰓(えら)の後ろ
マヨット島(フランス領)の主に 4
を持っていると疑われ、軍に不所持
側に太いフック(鉤・かぎ)が打ち
つの島からなっています。
の誓約書を書かされました。
込まれ、さらにカヌー(現地の漁師船)
何とか 12 月 2 日 10 時 30 分に調
に支えられていたために瀕死の状態
査船の出港許可が下り、11 時にグラ
でした。この体長 157cm の生きてい
ンドコモロ島のモロニ港からモンバ
るシーラカンスは、紫色の体に白い
サへ向けて出港ができました。モザ
斑紋、目はエメラルドグリーンに輝
ンビーク海峡を 52 時間で横断し、モ
き、驚くほどに美しいものでした。
ンバサ港には 12 月 4 日の 15 時に到
着しました。モンバサで困難を共に
首都モロニ(1988 年当時)
した「パシフィック・オーク」号と
い ず れ も 火 山 島 で 水 深 150 ~
別れ、多くの方々の手助けにより首
200m 付近まで水温はおよそ 15℃と
都ナイロビへ移動することができま
暖かく、海中溶岩洞窟が発達して隠
した。その後、ロンドンのヒースロ
れ家のように、太古からシーラカン
ー空港を経てアラスカのアンカレッ
ジ経由で成田国際空港にシーラカン
漁師のカヌーと釣り上げたシーラカンス
スが生き残れるシェルターができて
いたと思われます。
スの映像と共に無事に帰国できまし
残念ながら飼育を試みるには困難
この国は近年まで政治不安が続き、
た。これがシーラカンス調査紀行の
な状態で、計測と聞き取り調査のみ
クーデターが頻繁に起きていました。
顛末記です。
を行い、コモロ国立博物館へ持参す
2001 年には国名をコモロ連合と変更
るように漁師へ指示をしました。
し、マヨットを除く 3 島から交互に
また、私たち調査隊が海底で初め
大統領を選出して統治されています。
コモロ諸島では、シーラカンスに 3
てシーラカンスに遭遇したのは、10
日本からは遠い国ですが、バニラビ
回遭遇することができました、1 回目
月 9 日正午のことでした。グランド
ーンが特産品の美しい島国です。
は日本が ODA で建設した冷凍庫の中
コモロ島のバンバニ沖水深 184m の
でアメリカのスタインハルト水族館
溶岩洞穴内で、水中ビデオカメラが
などが捕獲したもの、2 回目は水中ロ
捉えた暗闇の中に、輝く 3 つの光る
ボットカメラで撮影したもの、3 回目
目が船上のモニターに突然現れ興奮
は漁師が釣って調査船に持ってきた
したものでした。わずか 5 分ほどで
ものでした。
したが、これが最初で最後の遭遇で
I シーラカンスに出合って
した。その時の映像は、今も鳥羽水
ふるた・まさみ
鳥羽水族館 元館長 (公益)日本動物園水族館協会会友
昭和 23 年(1948 年)生まれ。三重県立大学水産学部卒。
専門は水生動物の飼育と研究。
著書に『いたずらっこのチャチャ』
(学研)
、
『海獣水族館』
(共著 東海大学出版会)
、スナメリ(共著 月刊海洋 2003
年 8 月号)など。他『スナメリの飼育と繁殖』
(海洋と生物
2008 年 2 月号)
、
『スナメリ飼育の歴史』
(海洋と生物)
・
『海
洋と生物』
(2014 年 2 月,4 月号)など多数雑誌に寄稿。
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第 31 回 JIA 東海支部設計競技 2次審査結果
「特定秘密保護住宅」
■学生の部
■一般の部
金 賞 「棲息する壁」住田百合耶(横浜国立大学 4 年)
金 賞 「浮かび上がる隠された場所」 市川雅也(立命館大学 M1 年)
審査員特別賞 「Making Secret Kit」 稲垣拓見(名古屋市立大学 4 年)
久保田貴大(立命館大学 M2 年)
審査員特別賞 「ユカ、カベ、ヤネとネコ」 山口貴司(フリーランス)
銀 賞 「-カクレ・イエ-」 下釜健吾(名城大学 4 年)
銀 賞 「揺らぐ境界」 加藤圭介(大阪工業大学 M1 年)
「モグラたちの隠れ家」 廣田竜介(立命館大学 4 年)
中原大貴(大阪工業大学 M1 年)
藤関利光(立命館大学 4 年)
「大きい部屋から遠い部屋 -水による秘密の再認識-」
銅 賞 「受け継がれる傘」 宮田典和(東京理科大学 3 年)
「見えない相席」 藤田恭輔(名城大学 4 年)
銅 賞 「2X 世紀 健康住宅」 水谷夏樹(愛知淑徳大学助教)
「居場所を求める家」 石部健多(愛知工業大学 4 年)
「glass composition」 齋須幸太郎(法政大学 M2 年)
「置き去りにされた風景の向こうに」 佐野勇太
(メルボルン大学 M1年)
中島永騎(メルボルン大学 M1年)
椎橋 亮(東電設計㈱)
審査委員(順不同・敬称略)
◎島田 陽
(タトアーキテクツ /
島田陽建築設計事務所)
川本まゆみ
(エムエースタイル建築計画)
○道家 洋
(道家洋建築設計事務所/
ローテクス)
出口基樹
(日新設計)
川本敦史
(エムエースタイル建築計画)
寺下 浩
(スマイロ・アーキテクツ・ユニット)
牧ヒデアキ
(makira DESIGN)
(◎:ゲスト審査員 ○:審査員長)
■審査経過
する壁」の 2 作品が同数(9 点)で並んだ。議論の末、「棲息す
設計競技特別委員会 委員長 矢田義典
る壁」が金賞を受賞し「Making Secret Kit」は審査員特別賞となっ
た。
11 月 22 日(土)に「第 31 回 JIA 東海支部建築設計競技」公
続いて、一般の部を行い、エントリー No.5「浮かび上がる隠さ
開 2 次審査会が名古屋大学 ES 総合館で行われた。今回から審査
れた場所」が 8 点、No.13「ユカ、カベ、ヤネとネコ」が 10 点で
方法を見直し、公開 1 次審査会(10/11 開催)、公開 2 次審査会
学生の部同様に拮抗した展開となった。議論の末、ゲスト審査員
と 2 段階の審査会を経て順位を決めることとした。
の点数が変わり、2 作品が同数(9 点)で並ぶ結果となったが、
1 次審査会で選ばれた各部 4 作品が 2 次公開審査会へと進み(1
視点の面白さから「浮かび上がる隠された場所」が支持され金賞
次審査会の詳細は 12 月号に掲載)、会場では白熱した議論が展開
を受賞し、「ユカ、カベ、ヤネとネコ」は審査員特別賞となった。
された。学生の部からスタートしプレゼン終了後、審査員が点数
各部残りの 2 作品(銀賞)も 1 次審査会を通過しただけの実力は
を入れ、エントリー No.14「Making Secret Kit」と No.33「棲息
あり、優れたプレゼンではあったが上位 2 作品には及ばなかった。
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■審査総評
■審査を終えて
審査員長 道家 洋
ゲスト審査員 島田 陽
随分と無理なお題にしたものだと、若干の後悔がなかったわ
「特定秘密保護住宅」。今回の設計競技のテーマだ。まあとに
けではない。「何でそれなの?」という訝しげな周囲からの声
かく、難題によく立ち向かって多くの方が応募してくれたもの
もなかったわけではない。関係者の中からも、不満や不興がな
だ。というのが、はじめに書くべきことだろうと思う。どうや
かったわけでもない。
ら他の設計競技の案の流用を避けるためもあって、このような
つまり、だからそれなのだ—というのは、少なからずあり
独自性の強いテーマを設定されたようだ。時事性とアクの強い
得る答えだと思う。重要なのは、その「抵抗感」なのだと。世
テーマに対し、われわれが選んだ提案がやや穏当なものだった
の中全般の「空気」が、スキルだの戦略だのと、賢しげでスムー
ことに、出す側の勇気との齟齬がなかったか不安もあるが、審
スでシームレスな、社会の、というより企業の要求へ応える人
査はたのしかった。結果的に秘密保護をプライバシーの問題と
材を高く評価する。実際私たちもそれに乗っかっているし、そ
捉えた提案が多かったように思う。
こでの「価値」というのは避けがたい。本コンペというより私
一般の部審査では後述の通りややもつれたが、特定秘密の保
自身が、がその「価値観」から一歩たりとも出ているとは思わ
護とは何かというテーマに、他とは違う視点で応えているよう
ないけれど、周囲と文脈、とどのつまりが TPO をわきまえた
に思えた市川雅也「浮かび上がる隠された場所」を最終的には
真っ当なものではなく、あえて「引っかかるもの」を出してみ
推した。ただ美しく、よく解かれているだけでは難しく、テー
よう、というのがお題の真意といえば真意である。
マをどう咀嚼したのか問われる、難しい審査だったとも言える。
際物めいたお題にどのような反応があり得るのか、関係者の
学生の部金賞の住田百合耶「棲息する壁」は壁(の地下)に住
方々の心配はいかばかりだったかとおもんぱかりつつ、いざ蓋
むという、やや趣味的で秘密という言葉と戯れ過ぎそうな提案
を開けてみると、予想を裏切る数の応募があった。どれもこれ
になりそうなところを、本来であれば内部であった場所を開放
も、知恵を凝らし、頭をひねり、内容もまた濃く、そこから数
し、周辺住人の秘密保護に開くことで拡がりのある提案として
点の入賞作を選ぶことはなかなかの困難であった。
踏みとどまったもので「自分ならこう解く」などの可能性を感
実は今回は、金賞、審査員特別賞、銀賞入賞者を対象とした
じさせる案だった。そういう意味では下釜健吾の提案は壁に
プレゼンと公開審査が、受賞者決定の過程での新たな試みと
よって閉ざされた庭と外部の関係にもう一つ捻りが可能だった
なった。というのも、昨年の本コンペ授賞式で、受賞者から話
のではないか。椎橋亮の提案は詩的で美しい提案だったが、そ
を聞いてみると、作品の印象ががらりと変わるというような体
の美しさを超える何かが必要だったろう。加藤圭介・中原大貴
験もあったからだ。公開審査のライブ感は、審査される側は無
らの提案はゲルハルト・リヒターの、8 枚のガラスの重なりと
論のこと、審査する側としてもスリリングな体験だったと思う。
反射によってつくられた作品のように奥行きとプライバシーを
プレゼンは、皆よくできていた、とは思う。しかし、またあ
両立させるような提案かと期待していたのだが、やや違った。
えて、ということになるのだが、そのいかにもよくできたプレ
もう少し練られていれば良い提案になっただけに惜しい。廣田
ゼンというのは一体何なのだと、引っかかる。好ましいストー
竜介・藤関利光らの提案はプレゼンも美しく、大規模なもので
リーを、むしろ審査の側におもねるようにして用意する、これ
あったが地下であること、秘密の場所ということに、もう一歩
またある意味で「正しいプレゼン」というのに、大人げないと
踏み込んでいれば、と思わされた。銅賞にも言及したい案が多
思いつつこちらが抵抗感を抱い
い の だ が、 水 谷 夏 樹 の 提 案 は、
てしまうような場面もなかった
他とは一線を画すアイロニカル
わけではない。
な提案で印象深かった。
さはさりながら。送られてき
また審査とは直接関係ないが、
たすべての作品に、「駄」という
特別にお願いして東海地区の住
文字を加えるべきものは一つと
宅や建築などを幾つか見せてい
してなく、貴重な時間と労力を
ただき、この地域の建築家たち
かけて、この「とんがった課題」
のポテンシャルとホスピタリ
(応募者の学生からの発言)に参
ティを感じ取れたことはとても
加してくださった、すべての皆
刺激になった。
様に深く感謝する次第です。
受賞者と審査員の記念写真
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■ 学生の部
金賞
「棲息する壁」
住田百合耶(横浜国立大学 4 年)
今回のコンペで特徴的だったのは、あ
る種の「既視感」ではなかったかとも思
う。それは作品の一つ一つに、「どこかで
見たような気がする」というような印象
がつきまとっていたということなのだ
が、あるいはデータベース化がいわれる
この社会で、私たち自身が常にそのデー
タベースに触れている可能性を考えれ
ば、これもまた無理からぬことかもしれ
ない。
そうした中で本作品は、公共空間と私
さが、何か類推的に現代を物語るような
の地下空間の表現があったらもっとよ
的空間が図らずも隣り合わせになってい
気さえする。
かったのに、などと欲張りなことを考え
る、という通常起こっているであろうそ
「秘密」という連想から来るものか、そ
てしまった。と同時に、公共空間と私的
の隣接的関係を、あたかも皮膚感覚的に
の地下への侵蝕に関して疑問視する意見
空間との関係を、貫通させたり入れ子状
喚起させるという意味で、ユニークで
もあったが、ブロツキー&ウトキンのド
にさせたりすることで、さらに複雑に発
あった。個人的にはその隣接関係の危う
ローイングなどを思い浮かべながら、そ
展できそうな気がする。 (道家 洋)
すぎて周りの環境と繋がってしまった終
感じ、より深く考えることが可能だった
局の姿が示されたのですが、ではその場
のではないかと惜しまれます。
審査員特別賞
「Making Secret Kit」
稲垣 拓見(名古屋市立大学 4 年)
この作品は、秘密の保護について考え
させられる良い提案でした。発泡スチ
ロールを掘っていき秘密を確保するので
すが、秘密を多く持てば持つほど保持が
難しいというジレンマを空間として示し
ているように感じました。
発泡スチロールを掘ったり積層したり
して空間をつくった例としては谷尻誠が
2011 年に「You Make The Rule・再描写
を試みる家展」で、近藤春司が自邸で試
みているなど、それほど新鮮な提案とい
うわけでありません。ただ秘密を保持し
すぎると漏れだしてしまい、繋がってし
まうという、その過程に面白さを感じま
した。
プレゼンテーションでは秘密を保持し
合、残余の発泡スチロールとは何を示し
(島田 陽)
ているのかなど、考えこんでしまいまし
た。質疑応答を聞いていると、やや安易
に考えているのではないかという疑問も
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銀賞
「-カクレ・イエ-」
下釜 健吾(名城大学 4 年)
この課題に対して家族間や周囲に対す
るプライベートを守ります…という回答
では物足りなさを感じてしまう。建築は
環境や周囲との関わりを再構築=リノ
ベーションできるチャンスであるから
だ。
この作品は、ブロック塀を嵩上げして
できた囲まれた場=自由な場として空間
を描いている。境界を定義するためだけ
のブロック塀に厚みをもたせて空間と
し、敷地境界と建築が交わる状態が、ご
しかし、道路に対するブロック塀のス
社会になってしまう。建築は周囲や町並
く身近に存在する塀の新たな可能性を感
ケールがもたらす閉塞感がいただけな
みに対して開き、関わりを構築すること
じさせてくれた。この厚壁に屋根を架け
い。住宅という個人の所有物において、
が大切である。この堅苦しい課題を素直
内外の空間や半屋外空間を構成している
閉鎖することで住人だけが心地良い状態
に読み解くのではなく、打破するための
点はリアルな住宅として建っていても良
を獲得することは、都市のマンションの
必要性を考えてほしかった。(川本敦史)
い。
ように隣の住民の顔も知らない…と同じ
銀賞
「モグラたちの隠れ家」
廣田 竜介(立命館大学 4 年)
藤関 利光(立命館大学 4 年)
現代社会において「特定秘密保護住宅」
というテーマを掲げる必要があるのか?
最大の疑問であったが、少しでも明る
い未来を描ける可能性を見つけたいと審
査に臨んだ。
この作品は、モグラに例えた人々が、
都市や住宅地の地下を耕しネットワーク
を構築しながら、地表面を介して都市と
の関係性を生み出している。地下に広が
る断面構成とネットワークが拡張してい
く様子は魅力的であるが、これでは現存
する都市の地下街に別の役割を与えてい
るだけで新たな地下との建築的な関わり
とは言えない。
根底的に人が地下に居住する必要性が
あるのか? まして建築において難しい
地下を構築する価値が見出せなかったの
レゼンテーションから作者の力量を感じ
が残念だ。地下に建築を構築しなければ
るからこそ、建築をつくる意義を考える
いけない設定を強くするか、地上のよう
必要性を提示したい。 (川本敦史)
な地下をつくるのでなく、もっと地下の
魅力や役割、新しい地上との関係性を模
索する必要があった。圧倒的に上手いプ
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銅賞
「受け継がれる傘」
宮田 典和(東京理科大学 3 年)
現在の日本社会は多くの問題を抱えて
銅賞
「見えない相席」
藤田 恭輔(名城大学 4 年)
銅賞
「居場所を求める家」
石部 健多(愛知工業大学 4 年)
集合住宅に仕掛けられた数々の空間の
廃線と廃駅、森と間伐材を利用し、秘
いる中で、不透明な不動産事情や人口減
秘密を隣人、近隣の人々と共有すること
密を保護するために空間的距離・距離感
少、既存建築に新たな価値観を見出すこ
で住民間のコミュニケーションを深めて
をコントロールするという操作で、「特
となく平均寿命約 30 年程度といった新
いくという提案である。
定秘密保護住宅」に応えた提案であった。
築偏重国が空き家問題を生んでいる。い
その仕掛けとして集合住宅を地下に埋
プレゼンテーションは直感的に分かり
まだ人は都市部へ流れる傾向も変わって
没させる、住戸間の壁を絡み合わせるな
やすく好感が持てた。間伐材を建てる量
いないため、空き家増加は、直面する現
ど幾つかの手法が取られている。複雑な
によって生じる疎・密の関係を、空間と
実的な未来となっている。
界壁で内部空間が隣り合うだけでなく知
して必要とされる間仕切りの機能に応じ
この作品は、「特定秘密保護住宅」と
らず知らずのうちにテーブル、本棚といっ
て変化させる手法(装飾によるバリエー
いうテーマに対して、異なる都市建築ス
た家具を共有しているというアイデアが
ションあり)はプリミティブで面白いと
ケールとヒューマンスケールを対極の存
興味深かった。淡い色彩で描かれたドロー
思った。何より森の中の樹林としての木
在として新たな空間性の獲得を期待しな
イングにも、家具を共有している不思議
と間伐材の柱を呼応させ一体化させる手
がら、空き家を 「傘 」 に例え屋根下の余
な感覚を十分にイメージすることができ
法、森にとって不要となった木を必要な
白を外部空間として改築し、そこを中心
る。
モノとして森に戻していくかのようなシ
に住空間で包容している。建築そのもの
ただし集合住宅を地下に埋めている理
ステムの提案、自分が移動して環境を変
や場所が持つポテンシャルや記憶を、そ
由の一つとして地表面に公共の広場を設
える家としての提案は新鮮だった。
の傘下の外部空間から継承・派生できる
けるためとあるが、地下空間である必然
他人を説得するコンセプチュアルな部
状態をつくっている点が良かったのでは
性にもう少しストーリーが欲しかった。
分での強さが他の提案と比べて不足して
ないだろうか。
中途半端に公共スペースを設けるよりは、
いる印象から、審査員の中でも評価が分
建築は、周辺を含めた風景によってつ
住戸間の壁と家具を共有するというアイ
かれた。個人的には、この提案の理屈が
くり出される記憶を重ねて地域や環境を
デアを深化させていく方がさらに魅力あ
勝ちすぎていない全体としてのバランス
つくっていくので、ストックを活かしな
る提案になったのではないか。
を評価したいと思う。
がらわずかなスケール操作で緩やかに記
この作品のコンセプトを読んで思い浮
審査の経過の中で、条件設定の謎めい
憶を継承するその小さな行為には、屋外
かんだことは「秘密の共有」は人の好奇
た部分や実質的な話も出たが最終的に銅
空間を含めて住まいだけではない持続可
心を刺激し行動を誘発する反面、共有す
賞に落ち着いた。この設計競技はアイデ
能な建築の在り方を生み出していく可能
る目的、グループによってはかなり危う
アコンペなので、このような提案が残っ
性を感じた。 (川本まゆみ)
い状況をつくってしまう。
てよかったように思う。 (牧ヒデアキ)
この課題のキーワード「特定秘密」はま
さにその危険性を孕んでいる。
(寺下 浩)
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■ 一般の部
金賞
「浮かび上がる隠された場所」
市川 雅也(立命館大学 M1 年)
久保田貴大(立命館大学 M2 年)
今回のコンペで特徴的だったのは、
「特定秘密」などというあからさ
まに政治的な含みを避けて、
「プライバシー」という身近な問題に焦点
を合わせた作品が多かったことではないかと思う。もちろんその含み自
体が住宅という範疇には捉えにくいところもあり、それは無理からぬこ
とではある。
そうした中で、本作品は街の中の私的空間に隠された「秘密=ゴミ」
を公共空間で保護してしまう、
という点で、
異なるアプローチが際だった。
秘密を保護する共有空間が、町=公共空間の隠された別な次元の空間
(ネットワーク)をも露見させる、というプレゼンテーションも秀逸で、
何より作者本人が来なかったことが特筆される。恐らく作者本人が「ゴ
ミ・コミュニティ」なる、共同体内でのゴミ捨て場を中心とした、ある
種の隠れた次元を説明し、ややもすれば中途半端な感興を呼び起こす
ところ、あろうことかその作者の代理人は「ゴミ・コミュニティ」なる、
共同体内でのゴミ捨て場を中心とした、ある種の隠れた次元を説明し、
その隠された秘密の空間を審査員に鮮やかに見せてしまったのである。
意見が割れたところで最後に起こった逆転劇だった。 (道家 洋)
※「代理人」の久保田貴大さんは後日、共作者であることがわかり、入賞者として連名とさせていただいています。
審査員特別賞
「ユカ、カベ、ヤネとネコ」
山口 貴司(フリーランス)
一般の部の審査はややもつれ、最初の投票結果では金賞に最も
近かった山口貴司「ユカ、カベ、ヤネとネコ」が審査員特別賞と
なりました。もつれた原因はゲスト審査員である自分が評価を変
えたからであるのですが、それは評価できないとした点のあった
市川雅也「浮かび上がる隠された場所」を、この厄介な「特定秘
密保護住宅」というテーマに対しての応答として評価し直しただ
けであり、山口さんの提案への評価が揺らいだものではなかった
ことを記しておきます。
個性的なドローイングや案の構成など秀逸で、ヤネとユカとカ
ベがそれぞれ異なる領域を囲い取りながら、総体として集合住宅
をつくり出すもので、実際に建築されれば(硝子が入り込んでき
てより複雑な様相になるでしょうが)、見てみたいと思わせる充実
した案でした。私有と共有の境界が曖昧な、路地のような有り様に、
現在的な建築の夢を見た気がしています。 (島田 陽)
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銀賞
「揺らぐ境界」
加藤 圭介(大阪工業大学 M1 年)
中原 大貴(大阪工業大学 M1 年)
洗練されている。プレゼンテーションの
表現も上手いが、感心したのは建築として
の完成度の高さ。実施を伴うコンペであっ
ても十分通用するレベルである。建築デザ
インコンペの場合、やはり実現可能性は重
要な評価軸になる。その評価軸において、
この作品は抜きんでた存在であり、それが
高評価につながった。
課題への回答においても、重層化された
ガラスの境界によって、直列配置された空
間に透過度の違いによる階層をつくり出し、
秘密のグラデーション化を図るというコン
セプトは秀逸であるし、ガラスを重ねるこ
とにより秘密を保護しつつ、緩やかに街に
繋がっていくストーリーも魅力的である。
意匠性も高く、家型のフレームが一直線に
伸び、屋根に穿った開口から光が差し込む
様は、ガラスの透過と反射による効果も相
まって、美しくかつ心地良い空間をつくり
出すであろう。総合的な完成度において、
より上位の作品に比べなんら劣るものでは
ない。
しかし一方で、洗練されているがゆえ、
突出した個性にやや欠けることもまた事実
である。既成概念の殻を打ち破ったときこ
そ、作者の真価が発揮されるであろう。
(出口基樹)
銀賞
「大きい部屋から遠い部屋
-水による秘密の再認識-」
椎橋 亮(東電設計㈱)
この堅苦しい言葉 「 特定秘密保護住宅 」 というテーマに対して、
保護的・保守的な要素をもとに建築化するという提案が多かった
のではないだろうか。
その中で、この作品は住宅といった観点ではリアルに欠けてい
て発展性があるのかといった点が多少疑問ではあったが、秘密の
再認識を 「水 」 という要素に着目し、その水の動きや幅といった
変化によってさまざまな距離感をつくり出す状態は、日常的に感
じる保護や秘密といった視覚的な境界や概念が一切取り払われ、
「情 」 を特定化しているという点が心理合戦のようであり、ユーモ
アがあったように感じる。また、極めて危うい状態にもなり得る
スリル感を持ち合わせている点も笑えた。住宅での提案でなけれ
ば良かったのだろうとも考えた。
しかしながら、定まらない・決まりのない状態が人の行為や心
理にどのような働きをもたらすのか、また、視覚という感覚が秘
めている可能性を大いに引き出してみたいと感じた作品であった。
(川本まゆみ)
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銅賞
「2X 世紀 健康住宅」
水谷夏樹(愛知淑徳大学助教)
銅賞
「glass composition」
齋須幸太郎(法政大学 M2 年)
銅賞
「置き去りにされた
風景の向こうに」
佐野 勇太(メルボルン大学 M1 年)
中島 永騎(メルボルン大学 M1 年)
この提案は何と言っても設定が面白
無数の窓がランダムに散りばめられた
この作品はポエムである。ふんわり白
い。他の提案が踏み込まない部分にあえ
ドローイング、建築をあえて表現しない
い光に包まれた、まるで白昼夢のような
て踏み込み、物議を醸し出している。そ
プレゼンーションに強く惹かれた。また
絵づくりが美しい。そして言葉が優しく
もそも今回の設計競技のタイトルは「特
住人の秘密は窓辺(窓)に現れ、たくさ
心に響く。森に置き去りにされたオンボ
定秘密保護住宅」であった。そしてこの
んの窓辺が集まることで、秘密を埋没さ
ロ車に乗り込み反対側のドアを開ける
提案は、原子力関連施設のメルトダウン
せ秘密を保護しながら暮らしていくとい
と、「僕らの住む風景」がひろがる。森
後の放射能と住宅の問題に対するフィク
う独特の解釈から、現代の都市に乱立す
に護られただけの秘密の風景は、やがて
ションを設定し、健康をうたった住宅の
る無個性な高層マンションに変わるファ
見つかるかもしれない限りある美しさを
パンフレットとして、設計競技の提案に
ザード豊かな建築が建ち上がっていくと
みせる。森の木々から吊るされたガラス
応えている。
いうストーリーが面白い。
球でつくられた柔らかいイエの輪郭。そ
プランの内容は、いかにもメーカーに
具体的なアイデアは、高層マンション
のひとつひとつのガラス球に取り込まれ
ありがちな痒いところに手の届いたよう
の巨大なコンクリート躯体に大きさ、素
た風景は、「僕ら」がその風景に溶け込
なフリをした細かい部分での配慮を売り
材、開口形式がバラバラの小さな住宅用
むメタファーであろう。溶け込むことで
にしている。しかしながら内部は極めて
サッシを住人が好きな数だけ取り付け、
心に取り込んだその風景は「僕ら」だけ
チープな空間構成で計画され、外観は畑
窓を自由にデザインし窓辺の暮らし方を
の永遠の秘密に昇華するのである。秘密
にある小さなビニールハウスが並んでい
発見していくというもの。
の保護をテーマにしながら、「僕ら」が
るかのように処理されている。この提案
少し残念な点として、窓辺の暮らしを
秘密を共有することで生まれる絆を描
は、日本という国の街並みの多くはハウ
提案するのであれば、窓だけではなくバ
く。
スメーカーの住宅が立ち並ぶことで成立
ルコニーの提案にも踏み込んでほしかっ
この作品において秘密は後ろ暗いもの
し、多くの人が欲しているのはちょっと
た。現代の集合住宅におけるバルコニー
ではなく、あたたかく、心の中に大切に
便利そうな機能であり、建築家が求めて
の佇まいこそ、無味乾燥な都市に対し新
しまっておくものとして扱われている。
いる空間性・芸術性などでは決してない
しい表情をつくり出すと思えるからだ。
課題への回答、プレゼンテーションの完
ことを、アイロニカルに表現しているよ
上下階の住人が窓を共有で賃貸し、住
成度ともに申し分ないが、建築デザイン
うに感じた。
戸の境界を曖昧にするなど現実的には難
コンペとして評価すると、建築的要素が
極めて緻密に逆説的に組み立てられた
しいアイデアもあったが、「秘密」のポ
やや乏しいことがマイナス要素となり、
提案であり、審査の経過の中で「こうい
ジティブな解釈とデザインによって新し
惜しくも銅賞となった。作者の建築的要
う提案があってもよいのでは?」という
い都市風景をつくってやろうという心意
素を前面に押し出したプレセンテーショ
意見もあって最終的に銅賞に落ち着い
気を評価したい。 (寺下 浩)
ンをぜひ見たいと願うものである。
た。 (牧ヒデアキ)
(出口基樹)
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第 31 回 JIA 東海支部設計競技 記念講演会
「これまでとこれからのあいだで」
講師:建築家・島田陽氏(タトアーキテクツ/島田陽建築設計事務所)
会場:名古屋大学 ES 総合館ホール
平成26年11月22日(土)16時45分より、第31回 JIA 東海支部設計
は、建築と家具を混ぜることでほ
競技でゲスト審査員を務めてくださった建築家の島田陽さんに
かの家具も存在しやすい、包容力
よる記念講演会が行われました。
のある空間を提案しています。
「これまでとこれからのあいだで」をテーマに、冒頭ではまずご
認識をずらすことで、建築の形
自身で使っているレシートのように名前や住所が印字された名
式と生活に付かず離れずの距離が
刺を紹介。いろいろなものの「あいだ」をとることで、堅苦しいも
生まれ、さまざまな空間体験をも
のを日常的なものにして自由にしていきたいという思いに触れ
たらし自由な感じがしてくる建築
られ、講演が始まりました。
でした。
島田さんの空間づくりの原点は京都市立芸術大学で過ごした
後半では建築と環境とのかかわり方を紹介。「六甲の住居」で
学生時代。大学1年でつくったダンボールシェルターで空間が人
は、眺望の良い敷地で2階に眺望を開き周りを壁で囲む従来のや
の認識に働きかけることに興味を持ち、2年の文化祭ではインス
り方ではなく、あえて方向性を持たずに1階で周りとフラットに
タレーションアートとして、階段を上り卵型のドームにアクセス
つながる在り方を指向しています。
するインフォメーションブースを制作。このとき感じた「この先
また、通行量の多い細い路地に面した「川西の住居」では、路地
に何かあるぞ」と思わせる感覚は、現在の作品づくりにおいても
側を塞いで内側に自分たちだけのサンクチュアリをつくるので
ずっと共通しているとか。
はなく、逆に路地を立派にして足元に引き込み、どこまでが自分
また阪神大震災の年に迎えた学部の修了考査では、5万円以下
の家か分からない住宅を提案。住人以外の人も何となく入り込め
の値段でできる緊急避難住宅(¥39,800 HOUSE)を制作。材料に
そうな「余地」のようなものが非常に魅力的でした。
は、ほかの建築家のようにどこにあるのか分からない紙管ではな
世界各地の高床式住居への関心やオーストラリアのクイーン
く、ホームセンターで誰にでも簡単に手に入るラワン合板、ポリ
ズランダーの特徴など、作品の解説と交えいろいろなお話を聞き
カ波板、荷造り紐を使用。被災地神戸の出身らしく、等身大で現実
ながら島田さんの設計の特徴について感じたことは、
「空間意識
感のある提案をされています。
の開放」でした。
近作ではまず、モノを複製した作品をつくるアーティストのア
建築界であまりいいイメージで捉えられない形式性というも
トリエ住宅として、イエ型の複製が三つ連なる「比叡平の住居」を
のに対し、それをいいように利用して誤読させることで新しい空
紹介。
間を獲得していく。学生時代から空間の中の「なにか」を探し続
人が心のなかで描く小屋のイメージや、大きくとられた窓のス
け、等身大の人柄で向き合ってきた島田さんならではの手法と感
ケールによって、イエが実際より小さく見えるトリックが仕掛け
じました。貴重な勉強の機会をいただき、ありがとうございまし
られています。内部においては天井面を外周の複製にすること
た。
島田陽さん
で、住空間がどこまで広がっているか分からないようになってお
り、率直な形態に単純な仕組みを施すことで複雑な体験ができる
建築となっていました。
また、外壁に均等に窓を配置した「彦根の住居」では、住宅に強
い形式を取り込みながらも中に入ると想像していたものと全然
違う空間が広がる世界を構築。
階段を家具として建築から切り離して設けた「伊丹の住居」で
八木紀彰|
八木紀彰建築設計事務所
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JIA 愛知発
建築家フェスティバル 2014
初の試み「ダンボールカード」
も来場者とともに楽しむ
JIA 会員も笑顔で一緒に
11月8日(土)、9日(日)第14回長者町ゑ
したが、平面図では簡単に思った迷路も実
ち上げ(高橋先生ありがとうございます)、
びす祭りに参加するかたちで、本年も「建
際迷ってしまいました。狭い通路と低い天
そして当日は4,000枚のカードを会場の真
築家フェスティバル2014」が開催されまし
井、またそこから解放される感覚は人間ス
ん中で、時間を忘れ、年齢問わず大人も子
た。昨年の第1回目は愛知トリエンナーレ
ケールの究極でしょうか、建築家としての
どもも取り組み、常時大盛況でした。
もあって大盛況に終わり、本年も長者町ゑ
楽しみ方も発見できました。もともと災害
紙コップではできなかった「積み上げ
びす祭り実行委員会よりイベント参加の
時の避難所におけるプライバシーウォー
る」ではなく「組み上げる」構築が可能とな
依頼がありました。2回目となる今回をモ
ルであることの PR の必要性も感じまし
り、どんな可能性があるのか楽しみにして
デルケースとして成功させ継続していく
た。
いた初企画。「建築物」や「脊椎動物」に見
ことにより、JIA が地域に広まり根付いて
「災害時用ダンボール家具」は、来場者で
立てた作品がどんどん出来上がりました。
いくことを目的として、今回もオール JIA
興味がある人はいらしたのですが、常に製
壊れないこともあり、幼児でも十分つくり
愛知の協力のもと無事、成功することがで
作過程を見学できる状況をつくる、開催時
上げていました。今後は中に入って空間体
きました。
間を設定するなど、ワークショップに参加
験できるような作品も見てみたいと思い
今回は屋外のみで、①ダンボール迷路②
するきっかけをつくる検討が必要と感じ
ました。構築することの知恵と創造するこ
災害時用ダンボール家具③家づくり相談
ました。子ども向けイベントが中心なので
との教育に役立つ、まだまだ可能性を秘め
会④ダンボールカードの4つの企画を立ち
難しいですが、一般の方には大切な知識で
た「ダンボールカード」。今後、順次枚数を
上げました。
あり、改良して時間をとって世の中に広め
増やしていき、ワークショップも開催して
今回の「ダンボール迷路」には、
「長者町」
られればと思います。
いきたいと考えています。
との関係性を持たせる試みで、長者町の歴
「家づくり相談会」は準備期間がとれず、
初日は気持ちのいい晴天で(2日目は今
史を振り返る写真を迷路内壁面へ貼りま
充実した体制がとれませんでした。こちら
年もあいにく雨でしたが)、親子連れがた
した。その写真には戦後からの街のさまざ
も子ども向けイベントが中心となってい
くさん来場して楽しんでいる傍ら、協力し
まな様子が写されていました。街ができる
る中では難しく、JIA の広報方法、パネル
ていただいた会員の皆さんが笑顔で楽し
過程を知り その歴史を大切にしていくこ
の展示方法、環境など検討事項も多々あり
んでいる様子が印象的でした。
との重要さを、子どもたちだけでなく大人
ますが、
「相談会」にとどまらず、JIAを社
今回お誘いいただいた長者町ゑびす祭
にも知っていただける仕掛けができれば
会へ向けて発信していく「基地」的な役割
り実行委員会(田中様)には備品協力、小
と思いました。また、大勢の方(約25名)の
に改良していければと思いました。
中学校へのちらし配布などご協力いただ
協力のもと迷路完成まで3時間30分、待ち
「ダンボールカード」は、今回初というよ
き、ありがとうございました。また、ダン
くたびれた親子もいて改良も必要なとこ
りJIA 愛知として初企画。屋外ということ
ボール迷路組立にご協力いただいた地元
ろでしたが、オープンからは大盛況でし
で、昨年使用の紙コップではないものとし
銀行・学生ボランティアの皆様、ありがと
た。私、大人も童心に返りチャレンジしま
て考案されたものです。設計、試作品の立
うございました。そしてご参加いただいた
JIA 愛知の皆様、ご苦労さまでした。
公益性の点からも十分評価される成果
を実感することができた2日間でした。見
直し改良する点もありますが、さらにバー
ジョンアップして次回へつながることを
願います。
西村和哉|
左|会場の様子。手前はダンボールカードに取り組む来場者の方々。奥にダンボール迷路 右|ワークショップの様子
h+de−sign/architect
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保存情報 第 158 回 J I A 愛知保存研究会
データ発掘(お気に入りの歴史的環境調査)
前田利家の郷・荒子集落
至名古屋駅
あおなみ線
地下鉄
東山線
荒子
高畑
●荒子観音
荒子4丁目
山本邸
南荒子
屋敷の祠、馬の塔蔵
奥村邸
■発掘者コメント
文5(1536)年再建の市内最古の木造建築であ
たまちづくりが始まり利家にちなむ梅の里づ
大都市の名古屋で旧農村集落の面影を各所
る国の(重文)多宝塔を持つ。観音寺について
くりが行われ、まち歩きの際には茅葺き民家
で見ることができる。今の市街地は都心の戦
は故保浦文夫会員のレポート(※)を参照され
が公開される。このほか、馬の塔(おまんとう・
災復興土地区画整理、郊外の耕地整理、組合
たい。
市博物館展示)の伝統行事が伝わり、その復活
区画整理で市街化され、その際、旧集落地を遺
観音寺から南に広い参道があり、その東西
がまちづくりのテーマとなっている。復活し
した基盤整備が農村集落の形状を遺してきた。
に集落がひっそりとたたずまいを見せ、集落
た馬の塔を見る日が待ち遠しい。
城下町以前の名古屋は中世の荘園時代から
内を結ぶ細い路地、槇の生け垣、旧農家の門、
※「ARCHITECT」2006年7月号「保存情報」掲載。
発達した肥沃な田園地帯で、ほぼ市の全域が
屋敷(自治単位)に遺る秋葉さんの祠に、かつ
荘園に属していた。荒子はその典型である。
て栄えた荒子の姿が偲ばれる。
前田利家出生地(他説がある)と伝わる荒子
観音寺門前の店は空き家化し、町並みは現
は中世の伊勢神宮に関わりの深い一柳御厨の
代住宅に変わりつつあるものの、まだ旧農家
ほぼ中央に位置する。このことから荒子は千
の形状をよく遺し、庭先の植栽が見事である。
所在地:名古屋中川区荒子町、荒子4丁目
アクセス:名古屋市営地下鉄「高畑」下車 南東徒歩
10分、あおなみ線「荒子」下車、南西徒歩8分
年以上の歴史を持つと言うことができる。
ここには今では珍しい手入れの行き届いた
集落北に円空仏で有名な尾張四観音の一つ
茅葺き民家が2軒遺され、歴史を大切にする地
尾関利勝|
観音寺がある。天平年間高畑に創建され、天
域の気風が感じられる。近年、歴史を活かし
地域計画建築研究所
データ発掘(お気に入りの歴史的環境調査)
サンロード
メイチカ
屋駅
名古
高島屋
サンロード
ホテル
名鉄
近鉄
サンロード
平面図
立面図
■発掘者コメント
地下鉄開通と同時に北と南の改札口の間に地下
ルトランドセメント製造
(湿式)
に貢献したのは尾張藩
東京銀座の三原橋地下街の解体が決まり、平
鉄名古屋地下街
(メイチカ)
も開業し、サンロードとメイ
士神谷半右衛門の三男として生まれた宇都宮三
郎で、現在豊田市の幸福寺に葬られています。今
成26年3月27日、最後の店舗であるカレーコーナー
チカ
(別組織)
で一大地下商店街を形成しました。
三原が閉店しました。昭和27年12月1日に完成し
地下鉄は名古屋駅から錦通りにかけカーブしてい
後、郷土の人物としてこの宇都宮三郎にも注目して
た地下街でした。
るため、地下鉄隧道に沿ってつくられた地下街も名
いきたいと思います。
アロハマーケット図面資料提供:
㈱城戸武男建築事務所 城戸康近
資料:『ナゴヤ地下街誕生物語』藤川壽男
「もぐらのチカチャン」
と聞いて思い出される方も多
古屋駅方面から歩いていくと左方向に弓なりにカー
いと思いますが、現「サンロード」
(開業当時は「ナゴ
ブしています。通路幅も地下隧道の制約を受け5m
ヤ地下街」)が開設したのが、1957(昭和32)年3
に決められたそうです。
月。名古屋→栄間の地下鉄開通の8カ月前です。
施工は竹中工務店で、建設当時の工事費は3
地下街は、名古屋駅周辺の交通渋滞、交通事
億5千万円とのこと。
故の緩和を図るために計画され、1950(昭和25)
地下鉄工事の着工に伴い整理された、錦通りに
年名古屋地下街建設実行委員会結成、3年後の
あったアロハマーケットの図面を㈱城戸武男建築事
1953(昭和28)
年名古屋地下街株式会社が設立
務所より提供していただきましたので掲載します。
されました。
地下鉄は、いわゆるコンクリートの塊。日本初のポ
所在地:名古屋市中村区
開業日:1957(昭和32年)年3月
会社名称:名古屋地下街株式会社
商業施設面積:4,586㎡
延床面積:10,756㎡
最寄駅:地下鉄・JR 名古屋駅
塚本隆典|
塚本建築設計事務所
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理 事 会 レ ポ ー ト
会員拡大の体制急務、支部でも検討を
本部理事 石田 壽
第222回理事会は10月23日、今年度初の理事全員出席の快挙!理
められた。審査基準は、2014年度の重点項目に合致する事業、特色の
事24名、監事2名、事務局3名が出席、堀越教育表彰委員会委員長が
ある事業、市民との共同作業を意識した事業を優先した。予算の範囲
オブザーバー参加し、建築家会館1階大ホールにて集合形式で開催さ
(350万)でもう少し多く採択してもよいのでは、との意見が出た。今回落
れた。
ホールの使用予定があり、予定通り16時30分に終了した。
【審議事項】
選でも、今後も申請の権利はある、落選の理由をきちんと説明できるよう
すること。
1.
入退会の件(筒井専務理事、浅尾事務局次長)
4.
「JIA25年賞」見直しについて
(堀越教育表彰委員会委員長)
新規入会希望:正会員1名、準会員;ジュニア1名、学生1名、協力会員;
ユニークな賞であるが問題点もあり、アワード的な性格以外に地域の
法人5名、会員種別変更:正会員→シニア1名、退会希望:法人協力1名。
良作を拾い上げるセレクション的性格を備えた制度の必要がある。支部
今年度は特に正会員の減少が激しく、会員増強が待ったなしの状況で
へのシフトも検討し、
「JIA25年顕彰」を創設したい。
ある。2013年度の減少は138名で、2014年度は半期で167名、特に関東
5.
「JIA 環境会議」WGの設置の報告および WG 委員の報告(筒井
甲信越と近畿が著しい。(筒井専務) 承認
専務理事)
2.
フェローシップ委員会委員の件(筒井専務理事)
委員の指名のみでどういうWGを設置するのか明確でない。旧環境
新委員:平尾稔幸(北海道)、中桐慎治(中国)、伊良波朝義(沖縄)。
ラボを温存したいとの意図がみられ、差し戻しとする。
今期会員増強に力を入れるので、各支部でも対策を検討するよう要請
6.
後援名義の件(会長専決)
(筒井専務理事)
あり。 承認
7.
景観整備機構指定について
(滋賀県)
(松本副会長)
3.
「JIA保存再生会議」設置および議長・副議長の件(筒井専務理事)
JIAとして大津市へ景観整備機構としての指定を申請する旨の報告
議長:石井和浩(近畿支部保存再生部会部会長)、副議長:鰺坂
があった。
義男(九州)
・篠田義男(関東甲信越)
・氏家清一(東北保存再生部
8.
全国住宅部会連絡会議報告(鈴木理事)
会部会長)。運営規約については再度検討。 承認
9.
JIA・KIT・NPO 法人建築文化継承機構三者覚書の件(森副会長)
4.
役員候補者選挙規程改正の件(上浪総務委員会委員長)
今回審議の予定であったが、新たな内容が出たので現在検討中、12
第9条2(会長候補者選挙の特例)は、例がなく今後もないとのこと。公
月の理事会で審議をお願いしたいとのこと。
益社団法人のルールに合わないこともあり削除。附則の各支部の理事
10.
非構造部材の安全確保に向けてJSCAの提言について
(森副会長)
の選出の中で東海支部の選出方法について質問あり。 承認
構造設計者をはじめ建築関係者の果たすべき役割を明確にし、具体
5.
会長専決による後援名義承認の取り扱いについての改正の件(筒
的な提言を行うということ。意匠設計者が中心となって安全性確保を行
井専務理事)
うべきである。設計業務量の増加が見込まれるものもあり、設計料の増
会長専決事項である「後援名義等」に推薦図書等を追加する。推薦
額を図るべきである。
図書等とは電子媒体(DVDなど)を含む。新たな団体などの後援名義
11.
「JIA 建築家大会2016」について
(事務局)
などは理事会承認が必要となる。 承認
2016年の開催地を検討するにあたり、開催地のルールが変わってい
【報告事項】
るので、各支部の負担軽減を考えながらルールづくりをしたい。
1.
職能・資格制度委員会報告(大澤職能資格制度委員会委員長)
12.
オリンピック・パラリンピック施設整備について
(芦原会長・上浪副
四国で意見交換および説明を行ったが、十分な理解が得られておら
会長)
ず、各支部長より支部・地域会に持ち帰り議論をしてほしいとのこと。
(会長)意見交換会の記録の発表が近々にある。5会として河野太郎
2.
フェローシップ委員会報告(道家フェローシップ委員会委員長)
氏と11月上旬に打合せ予定。5会、3会、JIA、それぞれのやれることを考
岡山大会のフェローシップ委員会および全国地域会長会議の報告が
えることが必要である。
され、会員拡大への緊急体制が必要であるとして、会員増強委員会の
(上浪副会長)9月に関連施設のデザインビルドについて都財務局と
発足を各支部で検討することとなった。会員資格の停止・退会の取り扱
意見交換を行った。
いについて、準会員・協力会員も正会員に準ずるとの説明。「会員資
13.
その他
格停止願い」
「退会届」の書式を添付。会員管理はフェローシップ委員
連 理 事より、JIAは「 良 質な建 築・まちづくりのアドバイス機 構
会から総務委員会に移し、会員拡大に集中するとのこと。
(CABE)」による専門家のまちづくりへの参加を提案するとの報告があ
3.
「JIA 事業活動助成」について
(赤羽事業委員会委員長)
り、そのノウハウをJIAで共有する仕組みが必要とのこと。各支部での活
採択結果は別紙の通り
(3事業計88万)ですべて公益目的事業と認
動を報告してほしい。
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東海支部役員会報告
初めてのレポートをさせていただく支部幹事の吉元です。2015年11月
④第4回東海支部建築家資格制度委員会第5回愛知地域会職能・資
の支部大会の準備が谷村茂委員長のもと、いよいよ本格化します。
まず
格制度委員会合同委員会の報告(9/11)
(鈴木)
は予算が問題になりそうです。愛知地域会では会報誌の担当をさせて
さまざまな意見が出た。「会員集会には本部委員が出席してくれる。
いただいています。
このままの支部の予算では「ARCHITECT」の発行
ただし事前に方向性が決まったような会では困る」
「ヒヤリングやアンケー
についての再検討も必要になりかねません。常に会員にとっての紙媒体
トも必要ではないか」。「このスケジュールでは11、12月に会員集会を開
の意義と必要性を考えながら毎月の編集に携わりたいと思っています。
催する必要がある」
(久保田)
また、来年の総会に向けて建築家資格制度について東海支部の意見
⑤法人協力会退会の報告(静岡地域会)
(村松)
集約を進めることが求められています。
藤村龍至氏が近著『批判的工学
3社が退会
主義の建築』
(NTT出版/2014)
の中でル・コルビジェが100年前の「パリ」
(3)各地域会からの報告(各地域会長) ※ P21「地域会だより」参照
から「建築をめざして」の中で新しい建築家像を捉えたように、現代の「東
京」で建築家像を捉え、
新しい「建築をめざして」
をめざしています。
3. 審議事項
私はこれからの建築家像は今すでにある建築家達の活動にヒントが
①事業報告「東海学生卒業設計コンクール2014」
(吉川) 承認
あると思っています。それは建築家個人が主役であり、建築分野にかか
②フェロー会員推薦について
(加藤)
わらず活躍する建築家像です。
“雲のような存在”で常に社会のさまざ
岐阜地域会から藤井孝一会員を推薦 承認
まな場所に恵みの雨をもたらすようなイメージです。「東海」支部や「愛
③後援名義使用のお願い
知」
「岐阜」
「三重」
「静岡」地域会の活動こそがそれ
(一社)日本コンストラクション・マネジメント協会「2014年度 第1回
らの道に続いていると思っています。「東京から」は、
CM 講演会」
(11/28)
(久保田) 承認
もう終わりにしましょう。
吉元 学|ワーク○キューブ
4.
協議事項
①会員増強について
日 時:2014年10月31日(金)16:00 ~18:30
各地域会にて今後議論して下さい。(久保田) 定款、組織など申
場 所:昭和ビル5階 JIA 東海支部会議室
込用紙やパンフレットなどを事務局で整理しておいて下さい。(水野)
出席者:支部長、本部理事、幹事9名、監査2名、オブザーバー7名、
②2015年 支部大会について
(谷村茂大会委員長)
欠席者2名
11月中に実行委員長と副委員長を決める。支部からの予算がいくら
か検討してほしい。三重での大会のときは支部支出は60万円、静岡のと
1.
支部長挨拶
きは100万円だった。
資格制度については重要な課題であるので、地域会に持ち帰って議
③会員種別一覧について
(見寺)
論をしていただきたい。
専門会員、シニア会員の会費18,000円のうち本部への配分は4,000円
とする。
審議に変更とする。
承認 事務局にて保存、
今後運用していく。
2.
報告事項
(1)本部報告
④東海支部運営規則(案)
について
(見寺)
慶弔規定と旅費規定を決めたい。審議に変更とする。承認 10月31
①第222回 理事会(10/22)
(石田) ※ P19「理事会レポート」参照
日制定とする。事務局にて保存、今後運用していく。
②第15回フェローシップ委員会(10/15)
(谷村)
⑤ JIA 西日本災害支援ネットワークについて
(石田)
③第7回 本部広報委員会(10/21)
(奥野)
東海と北陸でネットワークを組んでいきたい。
④ CPD 評議会(10/22)
(塚本)
(2)支部報告
5.
その他
①第5回 東海支部 CPD 評議会の報告(10/3)
(塚本)
①各地域会 法人協力会員組織 ・ 体制の再確認について
(久保田)
②「第31回 JIA 東海支部設計競技」一次審査会および会計経過報告
支部事業の協賛のお願いの宛先として統一したい。
(10/11)
(矢田) ②2014年度 JIA 事業活動助成要領(12/29締切り)
(久保田)
10月11日に一次審査会が開催され、40名ほどの参加がありました。
地元
再度申し込みをして下さい。締切に注意して下さい。
の学生も数名入賞しています。
学生会員への勧誘をお願いいたします。
③静岡地域会「ARCHITECT」残暑・新年広告
(会員)
について
(村松)
③支部会報委員会 ・ 愛知地域会ブリテン委員会より
(牧)
「ARCHITECT」の残暑・新年の挨拶広告について支部幹事の負
「ARCHITECT」の内容転載、
「ARCHITECT」の支部保管期限に
担を減らすため地域会より60,000円を支出する。ただし会員個人の判断
ついて
となる「会員へのお願い」の配布は同じ。
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※今回は東海4県ではありませんが、特別に掲載させていただきます。
74 |番外編 |
東海とっておきガイド 榎戸正浩(石本建築事務所名古屋支所)
海際の集落
へしこ
現場常駐監理のために福井県敦賀市で2年間暮らした。太平洋側で
気候風土と共に、食文化も大変興味深く幸せな経験であった。
生まれ育った私にとって、日本海沿岸での生活はとても新鮮であった。1
まずは冬の味覚「かに」。
“越前がに”
“松葉ガニ”はオス、
“せいこ
年を通してほとんど快晴と言える青空の日がないこと、冬に強烈な雷が轟
がに”
“こうばこがに”はメス。そのほかにも“うに”
“いさざ”
(春に遡
き、閃光の直後に暗黒(停電)が訪れること、春には水仙や水芭蕉など
上し“おどり”で食べる)
、
“越前そば”などなど、挙げればキリがない
たくさんの花が咲き雪解けを知らせてくれること。
ほど四季折々の味覚が楽しめる。
さまざまな自然や文化の中で特に太平洋側との違いを感じたのは海岸
その中から紹介したいのが“へしこ”
。
沿いの風景。海際まで家が建ち、海面すれすれの道にも防波堤などほと
鯖(さば)に塩を振り糠漬けにした保存食で、若狭から丹後半
んど見ない。台風の直撃が少ないことと潮の干満が少ないことに起因す
島にかけてつくられる伝統料理。まずは薄く切って生で食べるの
るのであろう。気象庁のデータを見ると年間潮位差は、名古屋3mに対し、
がお薦め。薄切大根で塩抜きしてから食べると本当に美味い。そ
舞鶴1m。
の次はブツ切りを軽く炙ってお茶漬け。これもじんわりと心に沁み
スケッチは丹後半島伊根の集落。1階が海面を引き込んだ舟揚場で2
る。そして最後は鯖の周りに付いている“糠”
、これを乾煎りすると
階が居室。200棟ほどが肩を寄せ合って静かに佇んでいる。
上品なフリカケができあがり、本体なき後もしばらくはその余韻が楽
しめる。
地域会だより
<静岡>
11/29・30 <第1回子どもの建築発表交流会>(名古屋都市センター大研修室)
11/20
2014年度JIA静岡建築フェア特別委員会
12/1
建築八団体連絡会議
12/3
2014年度JIA静岡建築フェア「第2回建築家講演会(講師:前田圭介)」
12/3
白鳳小学校 建築教室
支部総務委員会
12/4
014年度JIA静岡建築フェア・
「第2回建築ウォッチング(㈱ROKI研究
12/4
開発棟)+第2回企業ウォッチング(法人協力会員:佐藤工業㈱)」
1/9 建築八団体新年互礼会
12/16
静岡ガス本社見学+ワインの夕べ
1/13
総務委員会
12/18
2014年度JIA静岡建築フェア・空間デザインワークショップ
1/16
役員会
12/18
12月静岡地域会定例役員会(拡大)、忘年会
12/22 ~ 25 JIA静岡建築フェア・
「建築家作品展」
<岐阜>
1/15
1月静岡地域会定例役員会(拡大)
11/8
2014年度第2回「JIAの窓」講演会 16:30 ~ 20:00
防災対策委員会による報告会
場所:円相 玉宮 3階
1/23
建築関係団体新年会の共同開催
講師:置塩淳夫氏 テーマ:
「私にとっての建築」
<愛知>
参加者:16名
11/10
第5回 役員会 18:30 ~ 20:00 11/17
ブリテン委員会・支部会報委員会
場所:ハートスクエアG 小研修室2
11/18
CPD研修(見学会)
(JIA・愛知法人協力会)
12/15
第6回役員会 18:30 ~ 11/20
事業委員会
場所:ハートスクエアG 小研修室
11/22
<第31回設計競技2次審査・表彰式・作品展示・記念講演会>
(名大・ESホール)
<三重>
11/25
総務委員会
11/1
第27回建築ウォッチング(草津宿場町ほか)
11/28
支部大会実行委員会第2回、愛知地域会役員会
2/7
建築文化講演会 講師:三分一博志氏(アスト津 アストホール)
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新年あけましておめでとうございます 2015 年
㈱ 石 井 建 築 事 務 所
企業組合 針谷建築事務所
代表取締役会長 増澤信一郎
理事長 鳥居久保
相談役 高田雅司
熱海市田原本町 3-1 熱海魚熊ビル 2F
TEL 0557-82-4171 FAX 0557-82-4174
静岡市駿河区小黒 3-6-9
TEL 054-281-1155 FAX 054-282-5502
公益社団法人日本建築家協会東海支部
静 岡 地 域 会(JIA 静 岡 )
会員構成 2014 年 11 月現在
JIA 正会員 69 名・法人協力会員 24 社
主な活動
ア−ル・アンド・エス設計工房
㈱ 石 本 建 築 事 務 所
名古屋支所
建築ウォッチング・企業ウォッチング・建築フェア
建築家講演会・デザイナー講演会
実務勉強会・JIA 塾・ワークショップ
所長 谷村 茂
執行役員支所長 植野 收
建築相談・防災対策関連
名古屋市千種区猫洞通 4-30 安田ビル3F
TEL 052-782-3452 FAX 052-782-9941
名古屋市中区栄 4-3-26 昭和ビル
TEL 052-263-1821 FAX 052-264-1990
JIA 静岡 NEWS の発行・ホームページの開設
㈱伊藤建築設計事務所
㈱
浦
野
設
計
㈱城戸武男建築事務所
代表取締役会長 森口雅文
代表取締役社長 小田義彦
代表取締役社長 浦野廣高
取 締 役 会 長 浦野三男
代表取締役 城戸康近
名古屋市中区丸の内 1-15-15 桜通ビル
TEL 052-222-8611 FAX 052-222-1971
名古屋市西区八筋町 90
TEL 052-503-1211 FAX 052-503-1212
名古屋市中区丸の内 2-11-23
TEL 052-231-5451 FAX 052-231-5450
久保田英之建築研究所
㈱ 黒 川 建 築 事 務 所
㈱黒野建築設計事務所
久保田英之
代表取締役 黒川喜洋彦
代表取締役 坂田孝之
名古屋市東区東大曽根町 29-11 共栄ビル5C
TEL 052-979-0755 FAX 052-979-0756
名古屋市昭和区鶴舞 2-10-5
TEL 052-882-0281 FAX 052-871-1884
名古屋市緑区鳴海町字北浦 29
TEL 052-892-1711 FAX 052-892-8957
光崎敏正建築創作所
(資 )三 共 建 築 設 計 事 務 所
㈱ 三 和 建 築 事 務 所
光崎敏正
服部 滋
見寺昭彦
名古屋市千種区四ツ谷通 1-7 ビレッジ四ツ谷 2F
TEL 052-781-5523 FAX 052-781-5524
名古屋市中区伊勢山 1-1-1
TEL 052-321-9591 FAX 052-321-9594
名古屋市港区港栄 4-5-5
TEL 052-661-2211 FAX 052-661-2247
㈲設計室ユウアンドアベトウ
㈱ 田 中 綜 合 設 計
㈱地域計画建築研究所
名古屋事務所
神谷勇雄
代表取締役 佐藤東亜男
取締役中部担当 尾関利勝
名古屋市昭和区川名町 5-23 カーサU 1F
TEL 052-762-0789 FAX 052-762-0679
名古屋市中区丸の内 1-8-39 三信ビル
TEL 052-211-4035 FAX 052-201-9285
名古屋市中区錦 1-19-24 名古屋第一ビル
TEL 052-202-1411 FAX 052-220-3760
一級建築士事務所 デザイン スズキ
㈱ 東 畑 建 築 事 務 所
㈱
中
建
設
計
代表取締役社長 石田 壽
鈴木利明
名古屋事務所
代 表 取 締 役 社 長 香西喜八郎
執行役員名古屋事務所長 西村 隆男
名古屋市中区栄 2-2-12 NUP 伏見ビル
TEL 052-222-7850 FAX 052-222-7856
豊橋市東小鷹野 4-4-8
TEL 0532-61-4245 FAX 0532-61-4215
名古屋市中村区 太閤 3-1-18 名古屋KSビル
TEL 052-459-3621 FAX 052-459-3623
22 ARCHITECT 2015 − 1
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新年あけましておめでとうございます 2015 年
㈱中建築設計事務所
㈱
錦
建
築
設
計
㈱ ヤ ス ウ ラ 設 計
取締役会長 森川 礼
代表取締役 廣瀬高保
代表取締役 柏本良三
代表取締役 水野豊秋
名古屋市中区新栄 1-27-27 広瀬ビル
TEL 052-262-4411 FAX 052-262-4414
名古屋市中区栄 2-1-12 ダイアパレス伏見
TEL 052-232-3911 FAX 052-232-3912
名古屋市中区新栄 2-35-6
TEL 052-241-7211 FAX 052-241-7333
㈱ ワ ー ク◦ キ ュ ー ブ
㈱ 車 戸 建 築 事 務 所
㈱デザインボックス
桑原雅明 吉元 学 平野恵津泰
代表取締役 車戸愼夫
取締役相談役 山田貴明
名古屋市昭和区福江 1-7-2
TEL 052-872-0632 FAX 052-872-0633
岐阜県大垣市鶴見町 73-3
TEL 0584-78-8311 FAX 0584-73-3401
岐阜市日野南 9-1-10
TEL 058-240-7899FAX FAX 058-240-7866
清 水 設 計 事 務 所
㈱中村建築設計事務所
代表取締役 藤井孝一
代表 清水一男
代表取締役 中村 久
岐阜県各務原市那加門前町 3-83
TEL 058-383-9516 FAX 058-383-9519
津市栄町 1-803
TEL 059-227-1854 FAX 059-227-2268
三重県員弁郡東員町北大社 1325-9
TEL 0594-76-2102 FAX 0594-76-8717
㈱
藤
㈱
野
井
村
設
商
計
店
㈲
代表取締役 野村玲三
彌
紙
店
サーマエンジニアリング㈱
代表取締役 福田哲三
代表取締役 尾関和成
静岡県伊東市荻 578-216
TEL 0557-44-6600 FAX 0557-44-6618
ジ ャ パ ン パ イ ル ㈱
柏
名古屋市中区丸の内 3-2-29
TEL 052-955-1455 FAX 052-971-1398
名古屋市中区橘 1-4-6
TEL 052-331-8681 FAX 052-331-8891
総
合
資
格
学
院
大
光
電
機
㈱
中部支店
名古屋校
名古屋支店
中部支店長 荻野法明
代表取締役 岸 隆司
支店長 和田信男
名古屋市東区東桜 1-14-11 DNI 東桜ビルディング 3 階
TEL 052-746-9141 FAX 052-955-0672
名古屋市中区錦 1-2-22 中部資格ビル 1F
TEL 052-202-1751 FAX 052-202-1755
名古屋市南区曽池町 2-29
TEL 052-821-6276 FAX 052-821-6284
パ ナ ソ ニ ッ ク ㈱
エ コ ソリュ ー ション ズ 社
富
士
変
速
機
名古屋照明EC 所長 神谷 実
代表取締役社長 國米利政
名古屋市中村区名駅南 2-7-55
TEL 052-586-1061 FAX 052-581-7734
岐阜市中洲町 18
TEL 058-271-6521 FAX 058-276-2722
㈱
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天竜材の良さを伝え、
地域が
「つながる場」
を創出
法人協力会通信⑮
<静岡>
鈴木 諭|㈱鈴三材木店 代表取締役
当社は昭和37年に創業し、今年で50年と
一棟分の資材を取りそろえるようになりまし
かわるさまざまな業種が、自らの魅力を積極
いう節目を迎えました。
日々の仕事を通じて社
た。
的に伝え、消費者に信頼され、安心と安全を
員一人一人が、知恵を出すこと、勇気を持つ
そんな中、これからは資材の販売だけでは
届ける「つながる場」であり、地産地消を推進
こと、感謝すること、誰からも愛される心を持つ
なく、地元天竜材の良さを消費者に伝える場
する産業の垣根を越えた連携によって地域
こと、そして社会貢献への意識を持つことを
所と、得意先様と地元の人たちがつながるこ
経済と住宅産業の活性化および発展、雇用
学ばせてもらっています。
とのできる場を提供することで新たな価値を
の創出に寄与することを目的としています。第
創業当時の当社は関東地区の材木屋さ
生み出したいと考え、4年前から異業種連携
4回目となった今年は2日間で過去最多の
んに地元天竜材の卸販売を行っていました
の「遠州バザール」というイベントを開始しまし
15,680人の来場者があり、たくさんの出会い
が、時代の変化にともない現在は静岡県と愛
た。遠州バザールは、地元の衣・食・住にか
をつくることができました。
これからもJIAの皆
知県の大工、工務店、住宅会社、設計事務
様と、今まで当社に関係してくださったすべて
所様への小売販売でご愛顧をいただいてい
の方々に感謝し、未来の50年を希望をもって
ます。当社の取り扱い商材は、国内・国外の
語り合い、仕事を通して夢を実現していく企
木材はもちろんのこと合板や断熱材といった
業でありたいと思っています。
基礎資材から、システムキッチンやユニットバ
スなどの住宅設備機器、近年ではサッシや太
陽光発電の施工・販売まで行うようになり、家
編 集 後 記
●株式会社 鈴三材木店
〒434-0041 浜松市浜北区平口5584-12
遠州バザールの様子
TEL 053-585-1000 FAX 053-585-1017
さつにもあるように、JIA正会員=登録建築
家による「正会員ルート」の話が大きな焦点
になり、本誌でも関連記事の掲載は必要に
●第31回JIA東海支部設計競技2次審査結果
なってくるだろう。
(入賞作品)の内容には考えさせられた。テー
この後記を執筆する際、新年のあいさつか
マが「特定秘密保護住宅」である。審査講評を
ら見たからなのか、今年(2014年)が終わって
読むと、作品が「秘密」
「保護」を単純に外部か
しまったかのような錯覚に陥り一瞬焦りを
ら遮断された空間だけとは考えず、いろいろ
感じたことは、新年1月号ならではのことな
な観点から発想を広げて設計されているの
のでしょう。 (相原宏康)
が分かる。秘密保護の範囲を個人なのか、家
●「年頭に当たって-2015年」を拝読すると、
族なのか、近隣なのかなど、どの範囲で考え
2014年が事業盛りだくさんの年であったこ
るのかによって住宅のあり方も変わること
とが分かる。そしてそれにかかわる多くの会
を深く感じ取させるものであった。今年度よ
員の方々の時間的、体力的に大変なご努力に
り審査方法が見直されたことで、昨年まで12
も頭が下がる思いがする。ワークショップや
月号に掲載していた入賞作品が今月号に移
作品展、ウォッチング、まちづくり、そして防
動した。大きな内容の記事が号を移動するこ
災・減災への取り組みなど、ますます行政や
とによる編集の難しさを少し感じた。 市民とのつながり強く、職能を認識される
来年度は、東海支部長や各地域会長のあい
2015年になりますように。 (酒井直子)
ARCHITECT
第 316 号
発 行 日 2015.1.1(毎月1回発行)
定 価 380 円(税込み)
発行責任者 石田 壽
編集責任者 牧ヒデアキ
編 集 東海支部会報委員会
愛知地域会ブリテン委員会
建築ジャーナル内
ARCHITECT 編集部
名古屋市東区泉 1-1-31 吉泉ビル 703
TEL(052)971-7479 FAX 951-3130
発 行 所 (公社)日本建築家協会東海支部
名古屋市中区栄 4-3-26 昭和ビル
TEL(052)263-4636 FAX 251-8495
E-Mail:shibu@jia-tokai.org
http://www.jia-tokai.org/
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