MAbPac HIC-10 カラム - Thermo Scientific ホーム

CHROMATOGRAPHY CONSUMABLES
Product Specifications
MAbPac HIC-10 カラム
高分離モノクローナル抗体分析用 HICカラム
Thermo Scientific™ MAbPac™ HIC-10カ ラ ムは、モ ノ ク
ローナル抗体(mAb )および生物製剤を疎水相互作用により
高分離するシリカ基材のカラムです。他の HICカラムと比較
してユニークな修飾のため、生体試料に対する優れた適合性、
選択性、および高分離をご提供します。
製品の特長
・mAbに対する選択性を高めるユニークな固定相
・生体試料に対する優れた適合性と、低いキャリーオーバー
・高分離および高効率
・有機溶媒および水系移動相を使用可能
・優れた堅牢性
抗原結合部位
(Antigen-binding site)
重鎖
(Heavy Chain)
VL
軽鎖
(Light Chain)
CH1
CH1
CL
VL
グルタミンもしくは
グルタミン酸から、
ピログルタミン酸の生成
アスパラギンの脱アミド
(Asparagine deamidation)
CL
アスパラギン酸の異性化
(Aspartic acid isomerization)
CH2
C H2
CH3
C H3
モノクローナル抗体は、
バイオ医薬品の中
グリコシル化
(Glycosylation)
Fc
K
グラフィーとは異なる分離を示し、
HICカ
生物製剤の約1/3を占めます。また、高い
抗体のフラグメント、
酸化、
C末端リジンの
選択性と生体内で取り込まれやすい性質
変異、
および医薬品有効成分を結合させた
のため、
生物製剤マーケットで急速に成長
mAbの分析に、優れた性能を発揮します。
すると予想され、特に自己免疫疾患、循環
このため、
医薬品の安定性や有効性のモニ
器疾患、感染症、および癌に高い効果があ
タリングに使用されています。
ることが知られています。モノクローナル
リジンのトランケーション
(Lysine truncation)
クター化を目的としたイオン交換クロマト
スクシンイミド(succinimides )
、
でも優秀な治験および治療結果が得られ、 ラムは、
VH
VH
Fab
はじめに
メチオニン酸化
(Methionine oxidation)
抗体による治療は広まってきていますが、
この医薬品は生化学的な影響を受けやす
K
ジスルフィド
(disulfide)
結合の還元もしくは脱離
図1:IgGの構造と代表的なバリアント
く変異します。このため、安全性と治療効
カラムテクノロジー
MAbPac HIC-10カラムの充填剤は、球状、
ワイドポア(1,000 Å )
、
粒子径5 µmの高
率を一定にするために、
キャラクター化が
純度シリカを基材としています。官能基
還元、
脱アミド化、
異性化、
およびリジンの
合されています。最新の結合テクノロジー
特許取得済みのアルキルアミドが結
求められるようになってきました。酸化、 には、
トランケーションなど、
モノクローナル抗
体にはさまざまな反応が起こり、
これら反
応生成物が混ざり合っています(図1)
。
疎水相互クロマトグラフィー(HIC )は、
モ
ノクローナル抗体を含むタンパク質の疎
水相互作用を利用して分離するテクニッ
クです。HICで使用する移動相は、塩析に
使用する溶媒を使用しています。移動相
の塩濃度が高いと試料を保持し、
塩濃度を
下げると試料が溶出します。サイズ排除ク
ロマトグラフィー(SEC )
や、
mAbのキャラ
のため、化学的に安定で高効率、ユニーク
な選択性を提供します。他の HICとは異
なる特長を持つため、
モノクローナル抗体
の分析に適しています。
タンパク質の高分離および
高速分離
図2で示すように、
分析
MAbPac HIC-10は、
時間10分以内にタンパク質を高効率に高
分離できるカラムです。高分離が可能であ
4
120
るため、
解析が容易になります。また、
分取
80
抗体の薬物複合体(ADC )は、癌細胞に
対する治療薬として急速に広まっていま
す。ADCは、細胞毒性のある医薬品成分
(cytotoxic drugs )を結合させたもので、
2
4
6
8
0
0
0
100
100
タンパク質標準品
ピーク:
1. Myoglobin
2. Ribonuclease A
3. Lysozyme
4. α-Chymotrypsinogen A
10
Retention Time(min)
図2:タンパク質標準混合物の高速分離(4 .6×100)
カラム:
カラム温度:
移動相A:
MAbPac HIC-10, 5 µm
4.6 × 250 mm
2 M 硫酸アンモニウム、
100 mM リン酸ナトリウム、pH 7.0
移動相B:
100 mM リン酸ナトリウム、pH 7.0
グラジエント: Time
(min) %A
%B
-10.0
100
0
0.0
100
0
2.0
100
0
30.0
0
100
40.0
0
100
流速:
0.6 mL/min
カラム温度: 30 ºC
注入量:
10 µL
検出:
UV(280 nm)
サンプル:
タンパク質標準品
100
4
80
抗体の選択性を利用し、ターゲット癌細
3
60
1
2
40
20
ピーク:
0
胞に 働きかけます。ADCは、結 合してい
0
る薬物の結合位置の違いや結合数の違い
により、非常に複雑な不均一性を有して
流速:
注入量:
カラム温度:
検出:
サンプル:
0
Absorbance(mAU)
抗体-薬物複合体
(Antibodyの
Drug Conjugates、
ADC )
分離
-5.0
100
0.0
100
1.0
100
7.0
0
10.0
0
1.0 mL/min
10 µL
30 ºC
UV(280 nm)
1 2
40
になります。図3で示すように、
高分離が必
ズが適しています。
3
0
して高純度のタンパク質を得ることが可能
要な場合には、
4.6 x 250 mmのカラムサイ
カラム:
MAbPac HIC-10, 5 µm
カラムサイズ: 4.6 × 100 mm
移動相A:
2 M 硫酸アンモニウム、
100 mM リン酸ナトリウム、pH 7.0
移動相B:
100 mM リン酸ナトリウム、pH 7.0
グラジエント: Time
(min) %A
%B
160
Absorbance(mAU)
アプリケーション
5
10
15
20
25
30
35
40
Retention Time(min)
1. Myoglobin
2. Ribonuclease A
3. Lysozyme
4. α-Chymotrypsinogen A
図3:タンパク質標準混合物の高分離(4 .6×250)
います。そして、
mAbに 結 合された 医 薬
品成分の数は、直接 mAbの安全性や薬効
に影響を与えます。一方医薬品成分が結
合していない抗体と比較して、ADCは医
薬品成分を含むため、腎臓での迅速な代
ジスルフィド結合
の還元
謝が 必 要となります。このため、ADCの
開発および製造段階において、医薬品成
ることは非常に重要です。
疎水相互クロマトグラフィーは、
mAbの
チオール基に
特異的に結合
Cys-薬物複合体
ADC
mAb
分数をキャラクター化およびモニターす
= 重鎖(Heavy Chain)
= 軽鎖(Light Chain)
= 医薬品成分
図4 a:システインを結合させた抗体薬物複合体ミミックの調製
細胞毒性成分の結合により、
mAbの疎水
性が変化するため、一般的に ADCの分析
40
カラム:
MAbPac HIC-10, 5 µm
カラムサイズ: 4.6 ×100 mm
移動相A:
1.5 M 硫酸アンモニウム、
50 mM リン酸ナトリウム、pH 7.0 /
イソプロパノール
(95:5 v/v)
移動相B:
50 mM リン酸ナトリウム、pH 7.0 /
イソプロパノール
(80:20 v/v)
グラジエント: Time
(min) %A
%B
3
に利用されています。医薬品成分が結合
していない抗体は最初に溶出し、
ADCに
おいては医薬品成分が多く結合している
抗 体ほど、より 保 持されます。そのため
HICは、ADCにおける薬物 -抗体比(drugto-antibody ratios,DARs )を算出する際
に利用されます。スルフィドリル基のある
システイン残基を、
薬物と結合させること
により、
図4aで示すような薬物が1 ∼ 8個
30
Absorbance(mAU)
2
20
2
10
5
4
1
流速:
注入量:
カラム温度:
検出:
サンプル:
6
0
0
5
10
15
20
25
30
ピーク:
Retention Time(min)
結合した ADCミミック(ADC模倣体)を
調製しました。図4 bは、薬物の代わりに
システインを結合させた ADCミミックを
MAbPac HIC-10カラムで分析した例で
す。DAR値が2 ∼ 8の ADCと、
システイン
が 結 合していない 抗 体を MAbPac HIC-
10カラムで分離することができました。
mAbフラグメントの分析
Fabと Fcの分析は、バイオ医薬品および
図4 b:システインを結合させた ADCミミックの分離
-5.0
100
0.0
100
1.0
100
30.0
0
35.0
0
0.5 mL/min
5 µL(5 mg/mL)
25 ºC
UV(280 nm)
0
0
0
100
100
システインを結合したmAb
1. システインが結合していないmAb
2. DAR 2
3. DAR 4
4. DAR 6
5. DAR 6
6. DAR 8
Fab
これに含まれるさまざまなモノクローナ
Fab
ル抗体のキャラクター化において、非常
に重要です(図5 a )
。 HICは、
Fabと Fcの
パパイン消化
フラグメント、および親水性もしくは疎
Fc
水性のバリアント分離に適しています。
図5bは、
MAbPac HIC-10によるインタク
図5 a:モノクローナル抗体をパパインで消化した場合の生成物
ト(intact )の mAbと、パパインで消化し
た mAbの 分 析 例です。MAbPac HIC-10
30
カラム:
MAbPac HIC-10, 5 µm
カラムサイズ: 4.6 × 100 mm
移動相A:
1.5 M 硫酸アンモニウム、
50 mM リン酸ナトリウム、pH 7.0 /
イソプロパノール
(95:5 v/v)
移動相B:
50 mM リン酸ナトリウム、pH 7.0 /
イソプロパノール
(80:20 v/v)
グラジエント: Time
(min) %A
%B
インタクト(Intact)
a
Absorbance(mAU)
20
10
0
20
Fab
b
15
流速:
注入量:
10
Fc
カラム温度:
検出:
サンプル:
5
0
0
2
4
6
8
10
-5.0
0.0
1.0
15.0
20.0
1.0 mL/min
100
100
100
0
0
パパイン消化:
インタクトmAb:
25 ºC
UV(280 nm)
a. インタクトmAb
b. パパイン消化
0
0
0
100
100
10 µL 1 mg/mL)
2 µL(5 mg/mL)
により、
Fabと Fcのフラグメントおよびバ
リアントを分離することができました。バ
リアントのピークは、
酸化およびその他の
変異が起こったことを示しています。
凝集体の分離
タンパク質および抗体の凝集体は、細胞
培養による発現段階、もしくはこれより
後の精製もしくは保管段階において生成
します。これらの凝集体は、
医薬品の安全
Retention Time(min)
図5 b:インタクト mAbと、モノクローナル抗体をパパインで消化した場合のクロマ
トグラム
に関わるような免疫反応を起こす可能性
があります。SECは、
バイオ医薬品中の凝
集体を定量するテクニックとして、広く
カラム:
MAbPac HIC-10, 5 µm
カラムサイズ: 4.6 × 100 mm
移動相A:
1.5 M 硫酸アンモニウム、
50 mM リン酸ナトリウム、pH 7.0 /
イソプロパノール
(95:5 v/v)
移動相B:
50 mM リン酸ナトリウム、pH 7.0 /
イソプロパノール
(80:20 v/v)
グラジエント: Time
(min) %A
%B
300
Absorbance(mAU)
250
200
150
100
50
流速:
注入量:
カラム温度:
検出:
サンプル:
凝集体
0
0
2
4
6
8
10
12
-5.0
100
0.0
100
1.0
100
15.0
0
20.0
0
1.0 mL/min
5 µL(8 mg/mL)
25 ºC
UV(280 nm)
0
0
0
100
100
利用されています。しかし、
凝集体の除去
に HICを 使 用している 科 学 者もいます。
図6は、
MAbPac HIC-10カラムを使用し
て抗体に含まれる凝集体を分離した例で
す。SECカラムとは異なり、
HICカラムに
よる分析では疎水性が高くなるため、メ
インピークの後にモノクローナル抗体の
凝集体が溶出します。
モノクローナル抗体
融合タンパク質
(Fusion Protein )の分離
14
Retention Time(min)
図6:モノクローナル抗体に含まれる凝集体の分離
融合タンパク質は、元々異なるタンパク
質の遺伝子をまとめて、
1つのタンパク質
カラム:
MAbPac HIC-10, 5 µm
カラムサイズ: 4.6 × 100 mm
移動相A:
2.0 M 硫酸アンモニウム、
100 mM リン酸ナトリウム、pH 7.0 /
イソプロパノール
(93:7 v/v)
移動相B:
100 mM リン酸ナトリウム、pH 7.0 /
イソプロパノール
(93:7 v/v)
グラジエント: Time
(min) %A
%B
600
Absorbance(mAU)
500
400
300
流速:
注入量:
カラム温度:
検出:
サンプル:
200
100
0
0
5
10
15
20
25
30
Retention Time(min)
図7:融合タンパク質(fusion protein )の分離
-5.0
95
0.0
95
30.0
0
40.0
0
1.0 mL/min
10 µL(1 mg/mL)
30 ºC
UV(214 nm)
融合タンパク質
5
5
100
100
として 発 現させたものです。 組み 換え
タンパク質(recombinant fusion protein )
は、
バイオの研究やバイオ医薬品に利用さ
れています。GFPは、タ ー ゲ ッ トとなる
タンパク質の細胞内での局在を解析する
ツールとして、これまでに種々のタンパ
ク質と融合され、利用されています。融
合タンパク質の医薬品の中でも Fc融合
タンパク質が一般的で、現在6種類の医薬
品が承認され販売されています。多くの
研究者は、タンパク質の安定性および効
き目を向上させるために、モノクローナ
ル抗体の Fc部分を融合します。図7は融
合タンパク質を分析した例で、融合タン
パク質、いくつかのアミノ酸残基がとれ
た融合タンパク質、三次元構造がゆがん
だ融合タンパク質の三つのピークから成
ります。他の HICカラムでは分離できま
せんでしたが、MAbPac HIC-10では 三
つの成分を分離することができました。
3
カラムデータ
MAbPac HIC-10
カラム固定相
特許取得済みアルキルアミド
シリカ基材
球状、高純度、全多孔性シリカ(1,000 Å)
粒子径
5 µm
比表面積
20 m2/g
細孔径
1,000 Å
Product Specifications
製品名
仕様と推奨パラメーター
カラムサイズ
(mm )
推奨流速
(mL/min )
流速の上限
(mL/min )
耐圧
(psi )
温度限界
(℃)
pH 範囲
4.6 × 100 mm
0.4∼1.0
1.5
6,000
60
2.0∼8.0
4.6 × 250 mm
0.4∼1.0
1.5
8,000
60
2.0∼8.0
4.6 × 10 mm
0.4∼1.0
2.0
6,000
60
2.0∼8.0
溶媒耐性
100%有機溶媒
使用可能
オーダーインフォメーション
詳細
粒子径
製品番号
MAbPac HIC-10, Analytical 4.6 × 100 mm
5 µm
088480
MAbPac HIC-10, Analytical 4.6 × 250 mm
5 µm
088481
MAbPac HIC-10, Guard Cartridges 4.6 × 10 mm (2/pk)
5 µm
088482
ー
069580
Guard Cartridge Holder
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サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社
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www.thermoscientific.jp
販売店
E1410