フレキシブルエレクトロニクス用 高性能フレキシブル基板の開発 芝浦工業大学 工学部 応用化学科 教授 大石知司 背景 フレキシブルエレクトロニクス 薄い・軽い・曲げられる Fig.1: Flexible plastic LCD ディスプレイ(LCD,有機EL)・照明 太陽電池・電子ペーパー 大きな発展が期待 市場規模:2012年 94億6000万 米ドル 2022年 632億8000万 米ドル 技術課題 (株)グローバルインフォメーション調査資料 ① 柔軟性,ガスバリア性,透明性を持つ基板開発 ② 簡便なプロセス技術 現在の基板材料 有機材料 無機材料(ガラス) <長所> <長所> ・柔軟性に優れる <短所> ・ガスバリア性に優れる ・耐熱性に優れる ・耐熱性に乏しい ・低ガスバリア性 <短所> ・脆く、割れやすい ガスバリア性、柔軟性に優れた基板材料 フレキシブル基板の新材料設計概念 超薄板ガラスと高耐熱性,高透明性を有す TACフィルムの複合化 有機フィルム-TAC 接着層TMOS-DAC 超薄板ガラス 接着層TMOS-DAC 有機フィルム-TAC 超薄板ガラス 70μm TAC film Fig2:フレキシブル基板断面模式図 期待される特徴 ・ ガラス基板による高ガスバリア性 ・ 有機材料によりガラス基板の脆さの補強 とフレキシブル性の向上 接着層-有機無機ハイブリッド樹脂 有機-無機ハイブリッド Diacetylecellulose TAC film OCOCH3 HO OCOCH3 H3COCO O O O OCOCH3 O OH 高親和性 n OCOCH3 HO ゾルゲル法 O 重縮合反応 TMOS O C H3 3HCO S i O C H3 O CH3 n O 化学結合 O Si O O O Si O n O O Si O O 高密着性 O Si O Si O Si O 超薄板ガラス フレキシブル基板の作製 TMOS-DAC樹脂合成 TMOS/dioxane 積層プロセス概略 1) 超薄板ガラス上に接着溶液塗布 HCl/dioxane H2O/dioxane 60 ℃2 hours stirring DAC/dioxane 60 ℃2 hours stirring 2) TACフィルムを重ね、溶液押し出し cyclohexanone 基板作製 アプリケーターによるTAC film積層 80℃ 10min prebake 100℃ 30min 乾燥機 有機無機ハイブリッド フレキシブル 基板 3) 裏面にもフィルムを重ね、サンドイッチ フレキシブル基板の透明性,密着性 Transmittance / % 100 高密着性 25 80 20 60 15 40 10 全剥離 20 5 0 0 300 400 500 600 700 Wavelength / nm 800 DAC単体 TMOS-DAC TMOS-DAC 対ガラス 対TAC film 対ガラス 作製したフレキシブル基板は高透明性・高密着性 フレキシブル基板のフレキシブル性試験法 ひねり強度試験 曲率限界半径試験 基板をアームに固定 基板を円筒に挿入後、丸める r 基板が割れた円筒半径を測定 片腕を回転し、 基板の割れた角度を測定 20 強 18.0 mm 15 ひねり強度試験 曲率限界半径試験 70 60 15.2 mm 14.3 mm 50 12.7 mm 10.8 mm 10 柔軟性 回転角度/° 柔軟性 曲率限界半径/mm 弱 フレキシブル基板のフレキシブル性試験 46.0 °47.3 ° 43.8 ° 38.0 ° 40 30 20 5 17.2 ° 超薄板ガラス70μm 0 ガラス 40μm 60μm80μm 100μm 単体 積層TAC フィルム厚 超薄板ガラス70μm 弱 強 10 0 ガラス 40μm 60μm 80μm100μm 単体 積層TAC フィルム厚 Film厚の増加に伴い、柔軟性向上 フレキシブル基板の断面構造 基板断面図 TAC/ハイブリッド層 40μm 超薄板ガラス 70μm TAC/ハイブリッド層 40μm 接着樹脂によりガラス基板とTAC filmは良好に密着 ハイブリッド樹脂とTAC filmの一体化が示唆 フレキシブル基板のまとめ 密着性試験 0/25 25/25 (DAC単体膜) (ハイブリッド膜) ひねり強度 17.2° (70μmガラス) 47.3° (100 μm film) 曲率限界半径 作製したハイブリッド基板 18.0 mm (70μmガラス) 10.8 mm (100 μm film) ガスバリア性・透明性・フレキシブル性 に優れた基板の開発に成功 新技術の特徴・従来技術との比較 新技術の特徴 ・高ガスバリア性(気体透過度H2O,O2: ~0) ・高透明性(透過率90%、400-800nm) ・高フレキシブル性(曲げ強度、ひねり強度) ・塗布、張り合わせによる簡便な作製法 従来技術 有機フィルム上への無機薄膜形成 高真空設備 スパッタ法 高コスト化 低ガスバリア 真空蒸着法 多層膜形成 実用化に向けての課題と企業への期待 ・ フレキシブル基板の生産技術の確立 ・ 接着剤の合成法の確立 ・ 合成技術、塗布技術、フィルム接合技術を 持つ企業との共同研究を希望。 ・ フレキシブルエレクトロニクス用部材を 開発中の企業、またフレキシブルエレクト ロニクス分野への展開を考えている企業 には、本技術の導入が有効と考えられる。 本技術に関する知的財産権 ・ 発明の名称: 接着剤及び積層体並びに これらの製造方法 ・ 出願番号: PCT/JP2013/0890938 台湾102142834 ・ 出願人: 芝浦工業大学 ・ 発明者:大石 知司 お問い合わせ先 芝浦工業大学:産学官連携・研究支援課 産学官連携コーディネーター:吉田 晃 TEL: 03-5859-7180 FAX: 03-5859-7181 E-mail: i036451@ow.shibaura-it.ac.jp
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