視覚刺激による脳波意志伝達 会話システムの開発 熊本大学 大学院自然科学研究科 教授 村山 伸樹 1 Brain Computer Interface 非同期式BCI・・・・脳波の一瞬一瞬のパワーの変化 同期式BCI P300・・・・検出方法が比較的簡単 ターゲットを意識する必要がある SSVEP・・・ターゲットを意識する必要がない 自動検出が困難 SSVEP: Steady State Visual Evoked Potential 2 従来技術とその問題点 解析時間:4秒 加算回数:10回 選択項目:4択(5, 7, 8, 13Hz) 5Hz 8Hz 8Hz 7Hz 7Hz 13Hz 13Hz パワー密度 [|μV|2/Hz] 5Hz 3600 2.0 13Hz ターゲット:13Hz 2700 1800 900 0 0 4 0 13 26 13 49 26 80 周波数 [Hz] 13Hzより高頻度の刺激に対するSSVEPの 自動検出は困難 3 従来技術とその問題点 現在盛んに研究されているものは、1回の脳波記録が 最長4秒として、これを1〜4秒間でFFTを行い、パワー スペクトルを求め、この後、ノイズをキャンセルするため に10回加算を行うというものであるが、自動検出が難 しい。 ・3Hz以下およびα波帯域のパワーが強く、 13Hz以上の光刺激の自動検出が不可能 ・3Hzの倍数の光刺激は使用できないため 個数が限定されている 等の問題があり、広く利用されるまでには至っていない。 4 新技術の特徴・従来技術との比較 4秒間FFT 40秒間FFT 加算回数:10回 加算回数:1回 14 Hz パ ワ ー [|μ V|2] 2 パ ワ ー [|μ V| ] 14 Hz 周波数 [Hz] 周波数 [Hz] 5 パワースペクトル密度[|μV|2/Hz] 検出方法 FFT測定波形 (1) 16Hz 17Hz 周波数 [Hz] 6 パワースペクトル密度[|μV|2/Hz] 検出方法 FFT測定波形 (2) 16Hz 20Hz 17Hz 19Hz 周波数 [Hz] 7 パワースペクトル密度[|μV|2/Hz] 新技術による自動検出方法 α帯域(8~12Hz)のパワーがSSVEPに 比べ大きい パワーの大きさによる検出は困難 20Hz 周波数 [Hz] 8 パワースペクトル密度[|μV|2/Hz] 新技術による自動検出方法 α波帯域 ターゲット 周波数 [Hz] 9 新技術による自動検出方法 前後の周波数とのパワー比(PR)に着目 PRn-1= n [Hz]のパワー値 n-1 [Hz]のパワー値 PRn+1= n [Hz]のパワー値 n+1 [Hz]のパワー値 n [Hz]のパワー比=min (PRn-1, PRn+1) n=整数 n-1 n n+1 周波数[Hz] 10 パワー比 新技術による自動検出方法 周波数 [Hz] 11 新技術による自動検出方法 前後の周波数とのパワー比(PR)に着目 PRn-1= n [Hz]のパワー値 n-1 [Hz]のパワー値 PRn+1= n [Hz]のパワー値 n+1 [Hz]のパワー値 n [Hz]のパワー比=min (PRn-1, PRn+1) 最もパワー比が大きい周波数 刺激周波数またはその高調波 検出成功 それ以外の周波数 検出失敗 12 各被験者の自動検出結果 解析時間:40秒 加算回数:1回 14Hz 16Hz 17Hz 19Hz 20Hz 22Hz 23Hz 25Hz S1 S2 S3 S4 S5 S6 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ○ ○ ○ ○ × ○ × ○ ○ × × × 20Hzまで検出可能 13 検出方法 周波数分解能測定 5.00Hz 5.00Hz 5Hz 5.10Hz 8H z 5.05Hz 5.05Hz 7H z 5.15Hz 5.05 5 5.10Hz 5.15Hz 5.10 5.15 周波数 [Hz] 14 各被験者の自動検出結果 解析時間:40秒 加算回数:1回 5.00Hz 5.05Hz 5.10Hz 5.15Hz S1 S2 S3 S4 S5 S6 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 15 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来技術の問題点であった、13Hz以上の光 ターゲットの自動検出可能にした。 • 従来は光刺激の個数が制限されていたが、周 波数分解能が改善されることで100個でも使 用できる可能性がある。 • 加算を使用しないで済む為に1回当たりの計 測時間が短縮できる。 • 本技術の適用により、英語だけではなく日本 語の会話システムも開発が期待される。 16 想定される用途 • 意識しないでもターゲットを検出できる為に、 現在、脳卒中患者やALS患者等の運動失調 症等に使用されているP300による会話システ ムに代わるシステムとして使用可能である。 • 上記以外に、コンピュータゲームといった分野 や用途に展開することも可能と思われる。 17 実用化に向けた課題 • 現在、脳波計測装置(電極、その他)について 未解決である。 • 今後、光刺激の間隔や光刺激の強さ等の最 適パラメータについて実験データを取得し、患 者に適用していく場合の条件設定を行ってい く。 18 企業への期待 • 未解決の脳波測定部については、種々の電 子デバイスの技術により克服できると考えて いる。 • 電子でバイスの技術を持つ、企業との共同研 究を希望 • また、福祉機器分野への展開を考えている企 業には、本技術の導入が有効と思われる。 19 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :刺激特定方法、刺激特定 装置及びプログラム • 出願番号 :特願2014-117019 • 出願人 :国立大学法人熊本大学 • 発明者 :村山伸樹、栗原佑典、山村将平 20 産学連携の経歴 • 2002年- 大学発ベンチャー企業設立 • 2004年-2006年 JST RSP事業に採択 • 2005年-2007年 文科省 都市エリア産学連携促進 事業 (発展型)に採択 • 2006年-2013年 くまもと革新・融合技術研究会 (RIST) 会長 21 お問い合わせ先 熊本大学 マーケティング推進部 産学連携ユニット 研究コーディネーター 松浦 佳子 TEL:096-342-3145 FAX:096-342-3239 E-mail: y-matsuura@jimu.kumamoto-u.ac.jp 熊本大学 イノベーション推進機構 産学連携部門准教授 緒方 智成 TEL: 096-342-3967 FAX: 096-342-3239 E-mail: t_ogata@kumamoto-u.ac.jp 22
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