海水中の微量元素分析 サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 キーワード Technical Note EL14003 iCAP Q ICP-MSによるガス希釈導入法を用いた ドで行いました。 ICP-MS /海水/微量元素/安定性試験 表1:メソッドパラメーター 概要 このテクニカルノートでは、 Thermo Scientific™ iCAP™ Qc ICP-MSを用いた海水 中の不純物分析について、 その検出性能と安定性を報告します。 試験の目的 海水をガス希釈導入法※により直接導入し、Ni, Cu, Zn, As, Se, Cd, Pb, Uを測定しました。海水認証標準物質を測定して認証 値との比較と1 µg/Lの添加回収試験を行い、定量値の信頼性を 確認しました。また、標準溶液を添加した海水を4時間連続測定 し、定量値の安定性を評価しました。 パラメーター ネブライザー 設定 PFA 0.4 mL/min スプレーチャンバー 石英製サイクロン型 インジェクター 石英製内径2.5 mm インターフェイス ネブライザーガス流量 高周波出力 QCell Heガス流量 Ni製高マトリックス用(Insert: 3.5 mm) 0.2 L/min 1550 W 4.2 mL/min QCell KED設定電圧 +3 V 添加ガス流量(Ar) 0.6 L/min ガス希釈導入法(エアロゾル希釈法)はネブライザーからの試料 ※ 導入量を抑え、チャンバーとトーチの間に希釈ガスとして Arを導 入する方法で、海水などの高マトリックス試料を手希釈無しで直 接導入できます。プラズマをより堅牢な状態にできるため、酸化 物や水酸化物の干渉を抑えられます。しかし、試料が直接チャン 結果 表 2に各元素のメソッド検出限界(n=10のブランク測定の3 σ)、 海水認証標準物質の定量結果を示します。ほとんどの元素は数 バー内まで導入されるため、メモリーに注意する必要があります。 十 ng/L ∼ 1 ng/L 以 下の 検 出 限 界 値が 得られ、Seについても 測定試料 0.2 ng/Lの検出限界が得られました。海水の定量値は、すべて 下記の海水試料を測定に使用しました。 ・海水認証標準物質 NASS-6(NRC Canada ) ・海水認証標準物質 NASS-6(NRC Canada )に標準溶液を添 加した試料 の元素について認証値の範囲内あるいは認証値±10%の範囲内 となり、1 µg/Lの添加回収率も100±10%と良好な結果が得られ ました。 また、海水の4時間連続測定(105検体)では、すべての元素で相 対標準偏差10%以下という安定した結果を確認しました(図2)。 試験内容と手順 検量線を作成後、ブランクを10回繰り返し測定し、メソッド検出 限界(3 σ)を算出しました。 海水認証標準物質および海水に標準液1 µg/Lを添加した試料の 測 定を行いました。また、海 水に Zn 10 µg/L、As, Se, Cd, Pb 2 µg/Lを添加した試料を約4時間連続分析しました。 装置と機器構成 測定には iCAP Qc ICP-MSを使用しました。主な試料導入系の 構成と、機器パラメーターを表1に示します。エアロゾル希釈のた め、チャンバーの添加ガス導入ポートより Arガスを導入します(図 1)。添加ガスの流量はマスフローコントローラーにより iCAP Q のソフトウェア Thermo Scientific Qtegra™上で制御されます。 また、すべての元素の測定は He KEDコリジョンモードの1メソッ まとめ iCAP Q ICP-MSはその強靭なプラズマと QCellテクノロジーに よる卓越した干渉除去性能で、 He KEDの1メソッドで海水に含ま れる複雑なマトリックスに起因する妨害干渉を除去できます。こ れにより海水中の微量元素について、優れた検出性能と分析値を 提供します。 測定元素 m/z Ni Cu Zn As Se Cd Pb U 60 65 66 75 78 111 208 238 (µg/L ) DL 認証値 (µg/L ) (µg/L ) NASS6 NASS6 +1 µg/L 添加回収率 (% ) 0.03 0.02 0.02 0.02 0.2 0.003 0.0007 0.00002 0.301±0.0025 0.248±0.0025 0.257±0.020 1.43±0.12 ̶ 0.0311±0.0019 0.006±0.002 3(参考値) 0.29 0.29 0.24 1.51 <0.2 0.034 0.0083 3 .17 1.34 1.34 1.23 2.5 1.09 0.965 0.983 4.24 105 105 99.0 99.0 109 93 .1 97.5 107 Technical Note EL14003 表 2:メソッド検出限界、海水認証標準物質の定量結果および添加回収試験結果 図1:添加ガス(Ar )導入ポート 14 12 濃度 (µg/L ) 10 66Zn (KEDS) 8 75As (KEDS) 78Se (KEDS) 6 111Cd (KEDS) 4 208Pb (KEDS) 2 0 0 20 40 60 80 100 120 検体数 図2:海水(標準液添加試料)の4時間(105 検体)連続測定の安定性結果 Ⓒ 2014 Thermo Fisher Scientific K.K. 無断複写・転載を禁じます。 ここに掲載されている会社名、製品名は各社の商標、登録商標です。 ここに掲載されている内容は、予告なく変更することがあります。 サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 分析機器に関するお問い合わせはこちら TEL 0120-753-670 FAX 0120-753 -671 〒221-0022 横浜市神奈川区守屋町3 -9 E-mail : Analyze.jp@thermofisher.com www.thermoscientific.jp E1406
© Copyright 2024 Paperzz