レーザーマイクロダイセクションを用いた サイトスピン塗抹標本からの

アプリケーションノート
Countess II FL 自動セルカウンター
サイトスピン 4
®
EVOS イメージングシステム
Arcturus XT™ LCM システム
®
レーザーマイクロダイセクションを用いた
サイトスピン塗抹標本からのシングルセル回収
大滝真作 1、鈴木千恵 2、荻上伸子 3、白神博 3
( 1 サーモフィッシャーサイエンティフィック アナトロミカルパソロジー部、2 サーモフィッシャーサイエンティフィック カスタマーサポート本部
3
サーモフィッシャーサイエンティフィック ライフテクノロジーズジャパン株式会社 )
要約
近 年、シングルセ ル解 析が注目されてい
る。浮遊細胞の塗抹標本をサイトスピンで
作成し、レーザーマイクロダイセクションで
シングルセルを回収した例を紹介する。
イントロダクション
これまで浮遊 細 胞サンプルに対し、サイ
トスピ ン を 用 いて 塗 抹 標 本 を 作 成した
後、顕微 鏡観察を行うことが長年行われ
てきた。しかし、この場合、顕 微 鏡 観 察
が目的となるので、この 標本より細 胞を
回収し、更なる実 験 が 行われることは希
であった。
レーザーマイクロダイセクションは組織標
本からレーザーを用いて細 胞を回収する
技術である。サイトスピンで作成した標本
から、レーザーマイクロダイセクションに
て自由に細 胞を回収することが できれば
細胞研究の幅が広がることが期待できる。
本アプリケーションノートではサイトスピ
ンで調整した塗抹標本からレーザーマイク
ロダイセクションを用いてシングルセルを
回収した例を紹介する。
方法及び実験材料
最適サイトスピン条件の検討
ヒト急性T細胞性白血病細胞由来細胞株で
あ る Jurkat 細 胞 を 培 養し、Countess® II
FL 自動セルカウンターで細胞数を計測した。
この 細 胞 液を 使 用し、サイトスピン 4 を
用 いて 細 胞 塗 抹 標 本 を 作 成した。標 本
作 製にはシングルサイトスライド バック
サークル、コートタイプ(ThermoFisher
Scientific, 5991056)と EZ シングルホワ
イトサイトフューネルス(ThermoFisher
Scientific, A78710003)を用いた。サイ
トスピンは 1000 rpm、Acceleration を
mid で 5 分間行った。
出 来 上 が った 標 本 は 室 温 に て 風 乾 し、
EVOS® XL Imaging System を用いて顕
微鏡観察を行った。その結果、1.0 × 10 4
細胞を使用した場合には適 度に細胞が散
在していた ため、この 条 件でシングルセ
ルのレーザーマイクロダイセクションを実
施することとした(図 1)。
1.0 × 104 細胞
400 µm
2.0 × 104 細胞
400 µm
3.0 × 104 細胞
400 µm
細胞数測定
サイトスピン
顕微鏡観察
Countess® II FL
Cell Counter
Cytospin™ 4
Cytocentrifuge
EVOS® XL
Imaging System
レーザーマイクロ
ダイセクション
Arcturus XT ™
LCM System
図 1. 各細胞数によるサイトスピン標本の細胞密集
度の違い
シングルセルの分離には 1.0 × 10 4 の Jurkat 細胞
をサイトスピンするのが適当と思われた。
レーザーマイクロダイセクション
① 1 細胞回収前
マイクロダイセクション用の PEN Membrane
Glass Slides(LCM0522)をスライドグラス
として用い、
EZ シングルホワイトサイトフューネ
ルス(ThermoFisher Scientific, A78710003)
にセットした。そして 1.0 ×104 の Jurkat 細胞を
1000 rpm, 5 分 間、Acceleration を mid で
サイトスピンした。
出来上がった細胞標本を用いて ArcturusXT ™
LCM System でレ ー ザ ー マ イクロ ダ イ セ
クションを行った。 細胞のキャプチャーには
CapSure® HS LCM Cap(LCM0214)を用 い
た。 そ の 結 果、CapSure® HS LCM Cap
上に Jurkat 細胞のシングルセルを回収する
ことに成功した(図 2)。
② レーザー 照 射 後
100 µm
100 µm
③ CapSure ® に回 収された 1 細 胞
④ 1 細胞回収後
考察
今 回 の 実 験 で は サ イト ス ピ ン を 用 い て
Jurkat 細胞の塗抹標本を作成し、そこから
レーザーマイクロダイセクションでシングル
セルを回収した。この手法は血液、髄液、尿
などの臨床サンプルにも適 応できると期待
される。
また、近年、血中を循環している Circulating
Tumor Cell(CTC)が注目されているおり、
CTC の塗 抹 標本もサイトスピンで行われて
い る(参 考 文 献 )。本 手 法 を 用 い れ ば CTC
を 顕 微 鏡 観 察下でシングルセ ルとして回 収
することも可能であると期待される。
100 µm
100 µm
図 2. レーザーマイクロダイセクションによるシングルセルの回収
マイクロダイセクションで回収したシングルセルを矢印で示した。レーザーマイクロダイセクションを用いれば、
スライドグラス上に塗抹した細胞標本よりシングルセルを回収することができる。
近 年、次世代シーケンサなどの遺伝子解 析
装 置 が 進 歩しており、シングルセ ル解 析 の
需 要 が 高 まって い る。サイトスピ ンとレ ー
ザーマイクロダイセクションを組み合わせれ
ば、体液サンプル中のシングルセル の解 析
が更に進むと期待される。
本アプリケーションノートが 皆 様 の 研 究 の
一助となれば幸いである。
参考文献
Igawa, S. et al,: Circulating tumor cells as a
prognostic factor in patients with small cell lung
cancer. Oncology Letters 7: 1469-1473, 2014
Ordering information
製品名
サイズ
製品番号
1式
AMQAX1000
1式
A78300003
®
Countess II FL 自動セルカウンター
™
Cytospin 4 Cytocentrifuge
EVOS XL, NO OBJ/ AU CORD
XT ™
Arcturus
AME3300
本体のみ *
®
IR & UV レーザーベーシックシステム
™
1式
ARCTURUSXT-B
Cytospin 4 Cytocentrifuge 消耗品
シングルサイトスライド バックサークル、コートタイプ
100 枚
5991056
EZ シングルホワイトサイトフューネルス
Arcturus
XT ™
40 個
IR & UV レーザーベーシックシステム 消耗品
Membrane Glass Slides
A78710003
50 枚
®
CapSure HS LCM Cap
LCM0522
32 キャップ
LCM0214
* ご使用には別途対物レンズ等のアクセサリーが必要になります。
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