n - 新技術説明会

JST 二次電池/次世代エネルギー
新技術説明会
低温高速スパッタエピ成長法による
Si系太陽電池の製造技術
島根大学大学院 総合理工学研究科
准教授 葉 文昌
1
研究室概要
(2010~ )
島根大学大学院 葉研究室
 プロセス装置はすべて自作
 太陽電池、TFT等の半導体デバイスを研究室内で試作・評価
特徴
 迅速なアウトプット (太陽電池は最短3日間で試作・評価完了)
 安全な実験環境 (危険ガス・有機溶剤不使用)
 装置は随時柔軟に改造
2
研究室装置紹介
自作プロセス装置




高濃度オゾン水洗浄装置(>50ppm)
376nm紫外ダイオードレーザアニール装置
3クラスター型スパッタ装置×2
反応性スパッタ装置×2
その他のプロセス装置
スクリーン印刷手摺装置
高温アニール炉 ×5
評価・測定装置
物性
電子顕微鏡(フィラメント型)
UV・VIS・NIR分光光度計
顕微ラマン分光
電気的特性
過剰キャリアライフタイム測定
ソーラーシミュレータ
IV測定
CV測定
太陽電池内部量子効率測定
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低コスト化シナリオと太陽光発電の展開
NEDO資料
本研究の目標
単結晶Siをベースに、Ge、SiCを加えた単結晶多接合型太陽電池
4
単結晶型Si/Ge多接合太陽電池のメリット
AM1.5Gフォトン流量と光浸透深さ
10
Si薄膜が吸
収する光
子:36%
5
Ge薄膜が余
分に吸収でき
る光子:52%
8
7
4
6
5
3
4
2
3
Si Si吸収端
1
1.Ge膜で余分に52%取出
9
Ge
2
1
0
光の浸透深さ(μm)
フォトン流量(×1018 個/s/m2/nm)
6
2.Si/Ge-Ge並直列構造
⇒並列で電圧マッチング
Ge 0.3V
0.6V Si
Ge 0.3V
実現への鍵:
Si/Geの低温高速エピタキシ
0
0.0
500.0
1000.0
波長 (nm)
1500.0
5
Si/Geのスパッタエピタキシー(SE)法
想定される用途:
Si基板上Ge成長で安価Ge基板提供 (太陽電池、LED)
Si(Ge)膜のエピ成長厚膜化 (太陽電池)
Si上へGeヘテロエピ膜形成 (次世代LSI、光デバイス)
金属とn-Geのオーミック接触 (太陽電池、次世代LSI)
SE法の特徴と従来方法との比較
大面積化 速度@200℃ 安全性 コスト
膜質
SE
◎
>3nm/s
◎
◎
?
CVD
◎
<0.3nm/s
×
〇
◎
MBE
×
<0.3nm/s
◎
×
◎
6
なぜSi/GeのSE法が注目されて来なかったか?
• プラズマダメージにより、膜質がCVDより劣るのは事実
• しかし、ディスプレイ産業ではIGZO膜をスパッタで形成する例
からわかるように、デバイス作製にも応用できる
• 特にディスプレイや太陽電池のような大面積エレクトロニクス
では、性能よりも生産性、大面積化と低コストが要求される
• この観点からすると、SEは大面積エレクトロニクスに最も適し
た方法である
• またSE法ではCVD法で実現できない1020cm-3以上のn+-G
e膜が形成可能であり、次世代LSI産業にも応用可能
7
SE法のこれまでの発展
1.Ge on Si
G.Bajor et. Al., Appl. Phys. Lett.,40, (1982)696
RF, HV、T=470℃, v=0.24nm/s
2. Si on Si
東北大 大見先生, J. Appl. Phys. 66 (1989) 4756.
RF+基板バイアス, UHV, T=320℃, s=0.1 nm/s,
3. Si on Si
葉 文昌ら, Electrochem. Solid-State Lett., 12(2009)H67
DC, HV,Ts=175℃,s=3 nm/s
4. Ge on Si
葉 文昌ら 第58回応用物理学関係連合講演会 2011年
DC, HV,Ts=350℃,s=3 nm/s
本研究室
8
本研究室のこれまでの成果
1.
2.
Si on Si SE
葉文昌ら, Electrochem. Solid-State Lett., 12(2009)H67
葉文昌ら 2014 Jpn. J. Appl. Phys. 53 025502
RHEED
成長速度
断面TEM
Si
SE膜
界面
Si 5000 nm 成長表面
Si
Ge on Si SE 葉 文昌ら 第58回応物 2011
1000 nm
断面TEM
拡大
10 nm
成長速度
基板
Ge
SE膜
Si
基板
Ge
Si
Ge on Si基板はポスター展示!
スパッタエピ‐Ge膜の光吸収特性
R
p--Ge, d=5μm
Si wafer,104Ωcm
T
α=
1
T
ln
− d (1 − R)
α-λ特性
104
103
102
2μmのGe薄膜は波長1500nmまで吸収可能
10
本研究室におけるSE法の応用
世界で初めてSE法を使って製作したSi太陽電池
W. Yeh et al 2014 Jpn. J. Appl. Phys. 53 025502
電流電圧のエミッタ膜厚依存性
10 nm
50 nm
50 nm
Ag
SE形成n+-Si
エミッタ
100 nm
500 nm
10 nm
内部量子効率
従来の熱拡散法
500 nm
IQE
100 nm
p-Si基板
R
従来の熱拡散法
Al
面積20mm角
最高温度175℃
• 鏡面、AR膜なしでも24mA/cm-2と極めて高い短絡電流
• エミッタ膜厚10nmでは紫外光でも50%と高い量子効率
⇒太陽電池にSE法を用いることで高効率化が可能
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Si膜のダイオードレーザアニール(DLA)
レーザ
特徴:
 光ビームで局所加熱
 107W/cm2と大きなパワー密度
Si
SiO2
これまでの問題点:
Si、ITO、ZnO等の半導体は可視光での吸収効率が低く、
青紫外レーザが望ましいが安価な高出力光源がなかった
本研究が開発した紫外レーザ結晶化装置
 376 nm紫外レーザ (0.2W×1個)
 高倍率集光
0.2W
集光後のパワー密度P =
= 2 × 10 6 Wcm − 2
1µm × 10 µm
12
• エキシマレーザに匹敵するパワー密度
Si膜のDLAによる全面結晶化
特願2013-047407
Si膜SEM像(単一回走査)
Si膜SEM像(単一回走査)
スポット短軸傾斜角45°
Si膜SEM像(複数回走査)
目標:単結晶薄膜の形成
SEの想定される用途①
単結晶Siをベースにした
Si/Ge多接合太陽電池
共同研究希望
化合物多接合太陽電池
の出発基板
特開2012-138556
バルク型
電極
電極
電極
光
MBE又は
MOCVD法
近赤外
吸収
安価な
Ge基板
薄膜型
電極
レーザア
ニールSi膜
効果:多接合太陽電池の低コスト化
光
効果:Siの限界効率を打破
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SEの想定される用途②
共同研究希望
裏面接合型太陽電池
シャドウマスクによる直接パターニング
堆積
マスク
エピ膜
Si基板
裏面接合型太陽電池 裏面エミッタコレクタを
電極
シャドウマスク形成
p+Si n+Si
従来の熱拡散法との比較
Si基板
 密なpn周期が可能→高効率化
光
 プロセスが簡単→低コスト化 15
SEの想定される用途③:
n-Geと金属のオーミック接合
共同研究又はライセンス可能
n-Geの問題点:金属電極間との大きい抵抗
電極
φB
n-Ge
FLP障壁により大きい接触抵抗
Metal
φB-(Ec-Ef)
n-Ge
従来のその他の解決方法
1.PとSの共イオン注入後偏析させる ⇒高価で複雑なプロセス
2.極薄絶縁膜の界面への挿入 ⇒酸化膜トンネリング抵抗が残る
本研究のアプローチ: SE-n+-Ge薄膜の挿入 特願2012-184731
電極
n-Ge
⇒極めてシンプル
SE-n+-Ge
eMetal n+ n-Ge
>2nm
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電流電圧特性のn+層厚依存性
葉ら、第73回応物 11p-F5-11、2012
5, 20, 50nm
Al
n-Ge
Al
SE-n+-Ge
SBH=0.42 eV
n0: 8.4×1019 cm-3
極めてシンプルな方法でオーミック接合を実現
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オーミック接合の具体的な応用例
大電流集光型太陽電池
のGeコンタクト
Top
AR Contact
Top Cell
GaInP 1.8 eV
Tunnel Junction
Middle Cell
GaAs 1.4 eV
Tunnel Junction
Bottom Cell
Ge 0.67 eV
次世代Geトランジスタ
のS/Dコンタクト
S電極
ゲート
絶縁膜
Ge
D電極
SE-n+-Ge
SE-n+-Ge
Bottom Metal
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まとめ
企業への期待




共同研究、又は特許のライセンス
大学研究室でのデバイス試作・評価
大学研究室設備を利用した共同開発
人的交流
共同研究を希望する内容




単結晶SiをベースにしたSi/Ge多接合太陽電池
低コストGe基板
裏面接合型太陽電池
紫外DLAとSi膜の単結晶化
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本技術に関する知的財産権
•
•
•
•
発明名称:
出願番号:
出願人:
発明者:
n+型Ge半導体層形成方法およびオーミック接触構造
特願2012-184731
JST-ALCAプロジェクト成果
国立大学法人島根大学
葉 文昌
•
•
•
•
発明名称:
出願番号:
出願人:
発明者:
Si膜形成方法
特願2013-047407
国立大学法人島根大学
葉 文昌
JST-ALCAプロジェクト成果
問い合わせ先
島根大学 研究機構 産学連携センター 連携企画推進部門
准教授・産学連携マネージャー 丹生 晃隆(タンショウ テルタカ)
TEL : 0852-60-2290
FAX : 0852-60-2395
E-mail: crcenter@ipc.shimane-u.ac.jp