昭和 年 月 日 第 種郵便物承認 広島県医師会速報(第 号) 年(平成 年) 月 日( ) 県地対協では、平成 年度から「終末期医療のあり方検討特別委員会」を設置し、医療選択にあたっ て本人の意思をできるだけ反映させることができるようアドバンス・ケア・プランニング(以下、 ACP)のツール『ACPの「手引き」 』や『私の心づもり』などを作成いたしました。 広島県医師会の会員の先生方にも、ACPについてもっとご理解をいただきたく考えておりますので、 ACPを題材とした文章などを掲載していきます。 先生方のご意見等ございましたらお聞かせいただけますと幸いです。 ACP (アドバンス・ケア・プランニング)の普及に向けて 新しいアイデアとそれまでのプロセス 終末期医療のあり方検討特別委員会委員 “TOP”という名の会社がある。昔、武生松下 電器㈱と称した福井県のパナソニック関連の子会 社だった会社である。僕たちが広めようとしてい るアドバンス・ケア・プランニング(ACP)との 関係はもちろん無い。ただ、放映されたY社長の 会社再興の話が、聞きようによってはACPに通 じる部分があると感じて、僕は気になったのだ。 勝手なこじつけと笑わないでほしい。 武生松下電器㈱はモーターを製造してグルー プ企業に卸していた。しかし生産拠点を中国に 移すという本社の方針で、思いがけず閉鎖と なったという。想定外の“もしも…の時”が起 こったのだ。そのためY氏を含む有志は不安の 中で資本金を集め、 “TOP”を起業したという。 “労働者のために会社存続を”という当初の内向 きの考えは、 “地域に残った技術力に期待して新 しいもの作りを”という外向きの考えへの転換 によって、“新しいモーターが生まれ、安定し た会社”になったのである。この考え方の転換 有田 健一 は、僕にとって“医師の処方による与える医療 から患者の思いや希望に沿った支える医療へ” というACP活動の端緒となった医療のあり方の 変化に重なってみえたのだ。 そして再び想定外のリーマンショック。「何 かできることはないか」と休耕田を借りて米ま で作る執念が功を奏して、電気自動車用のモー ター製造に販路は広がり、経営も再び軌道に乗 ることができたという。 「それまでのプロセスが あって、初めて新しいアイデアが生まれた」の だとY氏は述懐する。もしも…の時に備える ACPに話を戻すなら、医療への希望や思いを考 え、自分の病気を理解しながら家族やかかりつ け医と話合うという積み重ねがACPの神髄だ。 このプロセスがあって、初めて自分の価値観が 明らかになり、医療への希望や思いをまとめる ことにつながる。この先“ACPは人生の羅針 盤”という思いを広げるアイデアを探すのは僕 たち医療者の役目なのだ。 前回 /号の地対協コーナーではACPに関する説明をいたしました。 今後は下図によって、意思決定の枠組みとされるそれぞれの文言について一つずつご紹介していきたいと思います。 【LW(リビングウィル)とは?】 LW(Li v i ngWi l l )は、将来病気や事故などで、意識が不明 瞭になった場合や、判断能力の回復が見込めなくなった時に 受ける医療行為について、事前に医療者や家族に文書化して 知らせる指示書のことを言う。 人工呼吸器の装着、心臓マッサージといった生命維持に関 する限られた要望である場合が多いが、高カロリー輸液や胃 瘻の造設に関する意向、希望する療養環境、死後の家族への 要望などを含んだ文書にすることもある。 ACP(AdvanceCar ePl anni ng)が医療者や家族との話し 合いのプロセス(手順)をさすのに対して、AD(Advance Di r ect i v e)やLW(Li v i ngWi l l )は、自分一人が決めることが できる点で違いがある。
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