プレスリリース - 諸橋近代美術館

プレスリリース
2010 年 2 月 8 日
財団法人諸橋近代美術館
館長
諸橋英二
絵画作品購入のご報告
この度、諸橋近代美術館(耶麻郡北塩原村)では、2 月 2 日から 4 日まで、英国ロンドンの競売商
クリスティーズ及びサザビーズにおいて開催されました「印象派・近代芸術」のオークションにて
下記の 4 作品を落札・購入しましたのでご報告申し上げます。
今年度の購入作品は、昨年 11 月に購入しましたサルバドール・ダリの絵画作品「オリンピアの
ゼウス像」に続いて 5 作品となり、当館の収蔵作品総数は 399 点となりました。
尚、本作の公開は今年 7 月以降を予定しております。
記
No 作品名(仮題)
作家名
1
大胆な試み
サルバドール・ダリ
2
蛸(タコ)
サルバドール・ダリ
3
炸裂する頭部
サルバドール・ダリ
4
ポントワーズ丘陵、牛飼いの少女
カミーユ・ピサロ
【本件に関するお問い合せ】
諸橋近代美術館
学芸員
℡:0241-37-1088
宗形敦子(むなかたあつこ)
e-mail:morohashi@dali.jp
〔郡山事務所〕〒963−8024
福島県郡山市朝日 3−6−20
作品写真をご利用の場合は当館までご連絡願います。
サルバドール・ダリ
《大胆な試み》 1964 年
35.5×47.6 ㎝
グワッシュ・インク・コラージュ
この作品は 1972 年 12 月米国にて発行されたファッション誌「ヴォーグ」のために制作されたフォトコラー
ジュです。当時同誌の客員編集長だった映画監督フェデリコ・フェリーニから制作依頼を受けたダリは、
ファッションと芸術の融合という画期的な表現をしました。本作は、芸術の一つであるファッションが
消費社会において一般化されつつある時代を捉え、後のポップアートにも影響を与えた貴重な
一点です。
サルバドール・ダリ
《蛸》 1963 年
50.3×58.6 ㎝
インク
【参考】葛飾北斎《喜能會之故眞通 蛸と海女》
ダリは、17 世紀の巨匠ピーテル・パウル・ルーベンスの名作《メデューサの頭部》から引用したシリーズを
制作しています。蛇の頭をもつ女性を緻密に描いたルーベンスに対して、ダリは墨を付けた蛸を紙に転写
するという大胆な技法を用いています。また、女性の股間を描き 加えている構図は、葛飾北斎の艶本
《蛸と海女》に近似しており、ピカソ同様ダリもエロティシズムの表現において日本の春画に影響を受けた
可能性があるといえます。
サルバドール・ダリ
《炸裂する頭部》 1952−54 年
28.2×23.5 ㎝
グワッシュ
爆発した頭の破片は、ダリが 1951 年に発表した「核神秘主義宣言」に基づく理論から描かれたものです。
当時ダリは、物質の構造を解明した原子物理学に共感し、原子核を神秘主義的な微粒子として描きまし
た。この作品では微粒子が、ダリが最高の美的構造と賛辞していた犀の角の形として描かれ、ダリの
高度なデッサン力により、微粒子が高速回転しているような躍動感とスピード感が表現されています。
©Salvador Dali, Fundació Gala-Salvador Dalí, VEGAP & SPDA, 2010
カミーユ・ピサロ
《ポントワーズ丘陵、牛飼いの少女》 1882 年
46×38.1 ㎝
グワッシュ
この作品は、ピサロが 30 代半ばから長年過ごしたフランス中央部のポントワーズで描かれました。主題
の農村風景は、ピサロが早くから影響を受けたバルビゾン派のコローやミレーの定型的な主題です。
印象派画家の中でも最年長であったピサロは温厚な性格で、セザンヌやゴッホからも慕われました。心安
らぐ主題に、丁寧な筆のタッチと爽やかな色彩からは、ピサロの穏やかさが伝わってきます。