ベーカリー製品における米国ホエイ原料の利用 - ThinkUSAdairy by the

APPLICATIONS MONOGRAPH BAKERY
ベーカリー製品に関する研究報告
アメリカ乳 製 品 輸 出 協 会
ベーカリー製 品における米 国ホエイ原 料 の利 用
執筆者:Mar
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ng,Bend,Or
egon,USA
編集者:Ki
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c
ons
i
n,USA
発泡や起泡、優れた溶解性、粘性、褐色化、
ホエイ原 料は、ベーカリー産
業 において数 十 年 にわたって
最適なホエイ原料の選択
た風味を提供する。ホエイ原料の機能特性
利 用されており、今日でもほと
んどは昔と同じ理由で利用され
ている。当初、市販のホエイ原
料といえばスイートホエイのみ
であった。ベーカリー製 品にお
いてその有用性は、焼き色促進、
要求を可能にするホエイ原料の選択には、
に関する詳細は、アメリカ乳製品輸出協会
それぞれのホエイ原料の組成や機能特性
us
dec.
or
g.
)
で公開され
のウェブサイト
(www.
を理 解することが必 要となる。大 部 分のホ
ている「米 国ホエイおよびラクトース製 品に
エイ原 料は、タンパク質 、ラクトース、灰 分 、
関する参考マニュアル( Ref
erence Manual
脂質および水分で構成されている。
f
orU.
S.WheyandLact
oseProduct
s)
」が
ホエイ原料には特有の能力があり、乳化、
利用できる。
生地の食感向上、コスト削減が
あげられる。
今日では、機能性を高めたホ
エイ原 料も開 発、商 品 化され、
有益性も格段に向上している。
ベーカリー製品の開発では、ケー
キ、クッキー、パン、ペストリーに
関わらず、機 能 面と栄 養 面 の
両方から、ホエイ原料の新しい
利用機会が数多くある。
e3.12.1
ゲル化、栄養の強化、水結合性とすっきりし
1
A P P L I C AT I O N S M O N O G R A P H
BAKERY
■
ホエイプロテインは、一方で親水性、他方
品に及ぼす他の影響、それが有益かどうか。
卵 の 代 替
で親 油 性をもつ両 親 媒 性 分 子である。こ
Lサイズの卵 1個は 52∼ 55gで、その 75%
は水で構成される。全卵の代替にホエイ原
の特性により自然の乳化剤となる。一般に
タンパク質は、乳化 、発 泡 、優れた溶 解 性 、
焼成を要する製品の中でも、ケーキは組
料を使用する場合は、水も加える必要がある。
水 結合 性と関 連 する。このため、タンパク
成、テクスチャー、風味において卵が重要な
卵の機 能 特 性としては、タンパク質が代 替
質の含有量を高めたホエイ原 料(タンパク
役割を果たす。ケーキの組成で欠かせない
可能な成分である。代 替は等しいタンパク
質 34∼ 90%)では、これらの 機 能もさらに
のがタンパク質である。大半のケーキは砂糖
質 量で行う。生 卵では 12%、乾 燥 卵では
向上する。
の配合が多く、ハイレシオケーキと呼ばれる。
46%がタンパク質である。ホエイ製品のタン
タンパク質はまた、ラクトースと熱のコンビ
ハイレシオケーキは、砂糖の重量が小麦粉
パク質濃度は、
スイートホエイの 11%から分
ネーションで焼き色をつける役目も果たす。
よりも多く、砂糖はグルテンの形成を抑制す
離ホエイプロテイン
( W PI)
の 90%以上まで
メイラード反 応はアミノ酸と還 元 糖の 化 学
ることで知られている。小 麦 粉から生 成さ
の範囲がある。
反応で、通常、加熱によって起こる。これは
れるグルテンが少ないということは、中はより
通常、卵の代替に推奨されるのは、タン
カラメル化と同 様の 非 酵 素 的な褐 変 反 応
しっとりとし、鮮度も長持ちする。砂糖により、
パク質 含有量が 34∼ 80%の濃 縮ホエイプ
であり、完 成 製品の風 味を向上させる。ホ
小麦粉グルテンの生成に必要な温度が高く
ロテイン
( WPC)
である。
エイ原料に含まれる脂質はリン脂質に富み、
なり、でんぷんのゲル化に必要な温度も高く
乳化作用の一端を担うが、これは原料の脂
なる。こうした砂糖の特性は、生地を固まり
WPC80は、クッキーやビスコッティな
肪分に依存する。多くの場合、ホエイ原料
にくくする。このため焼成行程において、生
どの焼き菓子で、卵の代替として有用で
に含まれる脂 質は 8%未 満である。
地が適切なポイントで固まるには、より低い
ある。卵を代 替 する技 法は製 品により
温 度で固まるタンパク質( 卵など)
を加える
異なるため、慎重に検討する必要がある。
必要がある。この理由から、卵の一部代替
クッキーなど“伸展性”
の生地にWPCを
についてはレイヤーケーキで推奨される。
使用する場合、油脂と砂糖をクリーム状
ホエイ原料を卵の代替品として使用する
に混 合 する段 階で加えると良い 。卵の
にあたっては、考慮 事 項が 多くある。例え
液体分の代替( 水など)
は、通常の卵を
ば、代 替 するのは生 卵か 乾 燥 卵か。また、
加える段階で加える。これにより生地の
代 替するタンパク質の総 量、ホエイが完 成
伸びすぎを防ぐ。
米国ホエイ原料の成分 構 成およびベーカリー製 品に使 用する際の優位 点
ホエイ 混 合 物
タンパク質
炭水化物 *
脂 質
ミネラル(灰分)
優位点
カルシウムおよび他の乳ミネラルの供給
●/
ホエイパーミエイト
3 ∼ 8%
68 ∼ 85 %
1.5 %
8 ∼ 20 %
(最大値)
黄金の焼き色の促進
●/
ラクトースの高含有による機能性の向上
●/
塩の代替にもなりうる
●/
(食品グレード)
風味の向上
●/
スイートホエイ
WPC 34
WPC 80
WPI
11 ∼ 14.5 %
34 ∼ 36 %
63 ∼ 75 %
1 ∼ 1.5 %
8.2 ∼ 8.8 %
焼き色の向上
●/
カルシウムおよび他の乳ミネラルの供給
●/
48 ∼ 52 %
3 ∼ 4.5 %
6.5 ∼ 8 %
タンパク質の強化
●/
焼き色の向上
●/
カルシウムおよび他の乳ミネラルの供給
●/
80 ∼ 82 %
90 ∼ 92 %
4 ∼ 8%
4 ∼ 8%
3 ∼ 4%
タンパク質の高含有によるタンパク質の強化と
●/
機能性の追加
●/
0.5 ∼ 1%
0.5 ∼ 1%
2 ∼ 3%
タンパク質の高含有によるタンパク質の強化と
●/
機能性の追加
●/
脂質や炭水化物をほとんど付加しない
●/
焼き色の促進
●/
ラクトース(乳糖)
0.1%
99 ∼ 100 %
(最小値)
0%
0.1 ∼ 0.3 %
風味の向上
●/
鮮度の保持を助ける
●/
甘さを抑える
●/
しっとり感を保つ
●/
*主にラクトース(乳糖)として
2
e3.12.2
A P P L I C AT I O N S M O N O G R A P H
■
BAKERY
一般に、卵の代替にホエイ原料を使用す
る場合、卵の状態により製法は異なる。液卵
焼き 色の 促 進と 風 味の 強 化
の場合ホエイと共に液体も加える必要がある。
WPC 80・15n
+
水・75n
生の全卵 100n
⇒
生の全卵 100n
WPC 34・35n
+
⇒
水・75n
乾燥の全卵 100n
⇒ WPC 80・57n
スイートホエイやWPC34の主成分はラク
トースで、これは乳原料の糖分である。どち
らの原料も、メイラード反応
(表面の褐色化)
を促 進し、最 終 製品の甘みの程 度や柔ら
かさに影 響を及ぼす。
イエローケーキ(卵の 50% 代替)
材 料
は同 様に、乾 燥 行 程において風 味が 損な
配合
(%)
ウィーン風、チョコチップ、スニッカードゥー
われるといった問題がある。ホエイ原料は、
ドル、ソフトレモンなどのクッキー類は、油脂と
フレーバーと結合して風味の強化を助ける。
卵の部分的な代替にWPC34が使用できる。
場合によっては、風味の程度を下げることも
代替製法のクッキーは、材料のコストダウン
可能になる。特定の条件下なら、ホエイ原
に加えて、焼き色や食感、ふちの丸さ、保存
料は乾燥行程でむしろ風味を強調し、最終
性が良くなる特長をもつ。WPC80は、パン
製品に強烈な風味特性を与えることも示さ
やケーキ、クッキー
(ドライおよびソフトタイプ)
、
れている。
マフィンにおける卵の代替に有用である。ホ
目的が製品表面の焼き色とカラメルのよう
エイ原料による全卵の代替では、材料費の
な風味の開発であるなら、スイートホエイや
削減に繋がり、必要に応じてより柔軟なテク
DPS
( Dai
r
y Pr
oductSol
i
ds
:ホエイパーミ
スチャーも可能となる。
エイトや脱タンパクホエイとも呼ばれる)
など、
1. ショートニングと砂糖を低速で1分ミキシングする
ベーカリー製品の規格はさまざまで、
ドライ
低タンパク質で高ラクトースのホエイ原料が
2. WPC 34、SMP、水、バニラ、卵を加え、低速
やハード、クランチな噛み応えが望ましい場
推奨される。DPSはベーカリー産業では用
合もある。ホエイ原料をビスコッティ生地に使
途の広い原料で、炭水化物の代替や減塩
用した場合、乾燥を早め、焼き色を促進し、
にも利 用できる。さらに、良 好な風 味とミネ
栄養価が強化できる。これらはビスコッティ
ラルの添加をベーカリー製品に提供する。
ケーキ 用 小 麦 粉
グラニュー 糖
水
汎用ショートニング
生 卵( 全 卵 )
WPC 34
スキムミルクパウダー( SMP)
バニラエキストラクト
ベーキングパウダー
塩( 顆 粒 )
合 計
29.17
24.96
18.79
13.12
7.24
2.83
1.40
1.20
0.69
0.60
100.00
製 法
で 2 分ミキシングする
3. 小麦粉、ベーキングパウダー、塩を加え、高速
で 2分ミキシングする
丸型に、油を塗り紙を敷き生地を
4. 20 b( 8インチ)
流し込む
にとっては好ましい特性である。バータイプ
のクッキーやビスコッティでは、ホエイ原料の
( 350 ,)
で17 分焼成する
5. 177 ;
使用でより安定しクラムの発生も減少、カッ
ティングや包装時の破損も防ぐため、
さらなる
栄 養 成 分( 100n当たり)
エネ ル ギー
総脂質
飽和脂肪
トランス 脂 肪
コレステロール
ナトリウム
総炭水化物
食物繊維
砂 糖
タン パク 質
コスト削減にも繋がる。
350 kcal
15n
3.5n
3.5n
30 m
330 m
51n
1n
28n
4n
製法提供:Wi
sconsi
nCent
erf
orDai
r
yResear
ch
e3.12.3
ビスコッティやラスク、サヴァラン、クラッカー
3
A P P L I C AT I O N S M O N O G R A P H
■
BAKERY
DPSは、スイートホエイを限外ろ過( UF)
し、WPCやWPI
を精製する際に生産される。
ベーカリー 製 品における
UF膜を通 過 する乳成分は、主に水やラク
ホエイの 栄 養 的 利 点
トース、灰分であり、これがホエイパーミエイト
や DPSとなる。DPSは、健康に良く栄養価
■ 炭水化物の低減
の高い自然 食 品であり、カルシウムやリン、
消費者の健康志向は世界的に高まって
カリウム、ナトリウムといった栄養をベーカリー
おり、多くの場合、その健康管理はダイエッ
製品に提供する。また、実際の塩分量を増
トからスタートする。結果、近年は低炭水化
やすことなく塩味を強くする、栄養面からも
物ダイエットの人気が高まっているが、これら
効果的な調味料のような働きをする。
の食事ではタンパク質の摂取が焦点となる。
クラッカーも、ホエイ原料の使 用による利
ホエイプロテインはその優れた機 能 性のた
点がある。クラッカーは、甘くも、しょっぱくも
め、低 炭 水化 物ダイエットの多 様な食 品に
でき、膨 張 剤としてイーストや重 曹、ベーキ
適している。
ングパウダーも使 用できる。膨 張 手 段に関
ベーカリー製品は、非常に炭水化物が高
わらず、クラッカー製品は共通の特長を備え
くタンパク質は低いことから、ホエイプロテイ
ており、それは低い水分活性による常温保
ンを使 用し、これを低 炭 水 化 物 化とする製
存性である。多くの場合、市販クラッカーの
法は相当なチャレンジとなる。炭 水 化 物は
賞味期限は、未開封の状態で 6
ヶ月である。
ベーカリー製品の 重 要な組 成 要 素であり、
また、ほとんどが低糖か無糖であり、小麦粉
この組成を変更するにはシステムズアプロー
はタンパク質 11.
5∼ 13%
(ベーカーズパーセ
チを用いることが必要となる。
ント)
のパン用小麦粉を使用する。WPC34
WPC80やWPI
といったホエイプロテイン
は、4∼ 5%
(ベーカーズパーセント)で同 重
原料を糖アルコール、食 物 繊 維 、人口甘 味
量の 小 麦 粉に替えて使 用でき、良い結 果
料と共に使用することで、ベーカリー製品の
が得られている。生 地の発 酵 時 間が長い
炭水化物含有量を減らすことができる。大
ほど、完 成 品の風 味と保 存 性が向上する。
半のベーカリー製 品は、タンパク質 含 有量
膨 張 剤にイーストを使 用するクラッカーは、
が 1人分 2g以下。製品特性を保つためタン
(またはそのまま)
、焼き
6. 任意のフィリングを入れ
WPC34の利 用が有 効であり、理由はラク
パク質の増 量は、1人分 4∼ 5gまでが現 実
色がつくまで 204 ;
( 400 ,)
で 15 分焼成する
トース含有量による。ラクトースはイーストに
的である。
ホエイパーミエイトを使用したパイクラスト
材 料
オールパーパスフラワー
ショートニング
冷 水
ホエイパーミエイト
バター
砂 糖
塩
合 計
配合
(%)
51.00
22.25
15.30
6.20
3.00
1.50
0.75
100.00
製 法
1. 小麦粉、ホエイパーミエイト、砂糖、塩を混合
する
2. ショートニングとバターを加え、粗い粉状になる
よう混 合する
3. 水を加え、混ぜて生地をまとめる
4. 丸めてラップをし、しばらく冷蔵庫でねかす
5. 打ち粉をして生地を伸ばし、パイ型に敷く
よって代 謝されないため、安 定した焼き色
の効果が 得られる。結 果 、甘 蔗 糖や甜 菜
栄 養 成 分( 100n当たり)
エネ ル ギー
総脂質
飽和脂肪
トランス 脂 肪
コレステロール
ナトリウム
総炭水化物
食物繊維
砂 糖
タン パク 質
450 kcal
26n
7n
6n
10 m
400 m
46n
1n
7n
6n
製法提供:Wi
sconsi
nCent
erf
orDai
r
yResear
ch
糖の不 要な甘さを加えることなく、クラスト
の 焼き 色が向上できる。
ベーカリー製 品 に 推 奨する D P S( Dairy Product Solids)の 使 用レベ ル
●
パン、ロールパン、ピザクラスト、クラッカー
●
ケーキ、カップケーキ、マフィン
●
ケーキ、クッキーのアイシングおよびグレーズ
●
パイおよびタルト生地
(脂肪分50%以上)
● フルーツタルトおよびパイフィリング
4
小 麦粉の 02 ∼ 03 %
砂糖の 10 ∼ 14 %
砂糖の 10 ∼ 20 %
小 麦粉の 06 ∼ 08 %
砂糖の 10 ∼ 20 %
e3.12.4
A P P L I C AT I O N S M O N O G R A P H
クランベリーとオレンジのブランマフィン
材 料
水
マルチトールシロップ
オールパーパスフラワー
卵
植物性ショートニング
プラムパウダー
クランベリーピース
オーツファイバー(細かく挽く)
玄 麦ブラン
WPC 80
ベーキングパウダー
オレンジピール
イヌリン
塩
キサンタンガム
スクラロース
合 計
配合
(%)
23.29
22.87
13.76
8.04
6.77
6.60
5.59
4.13
2.91
2.54
1.38
1.17
0.53
0.32
0.09
0.01
100.00
■
BAKERY
■ 脂肪の低減
この 20年、さまざまなベーカリー製品で、
脂肪の低減が栄養面での目標とされてきた。
クッキーやケーキといった甘いものは、一般
に高 脂 肪でつくられており、脂 肪を減らす
ための良い対 象とされてきた。タンパク質
34%のW PCは、脂 肪の 擬 態となるほか、
一 般に 水を加えることで脂 肪 の 代 替とし
て利 用されている。
ホエイプロテインは、加熱によって変性し、
分子結合が分解して拡散する。タンパク質
分子の拡散により水結合部位も拡がり、さら
に水結合性が高くなる。WPCは、
ケーキや
ソフトクッキー、マフィンなどの湿潤性が高い
ベーカリー製品で、脂肪の擬態として有用で
ある。W PCの擬 態 特 性は、その水 結合 能
製 法
1. プラムパウダーと玄麦ブランをボウルに入れ、
水を半分加えて混ぜ合わせ、置いておく
2. 他のボウルにオーツファイバー以外の粉材料
力に起因する。低脂肪とする製法で、WPC
はさらに水を結合し、高脂肪の製品に近い
柔らかな食 感を生みだす。WPCを使 用す
れば、脂肪分の 50%カットも可能である。大
を入れ、混ぜ合わせ、置いておく
3. マルチトールとショートニングを最高速で 4 分ミ
幅な脂肪の低減は重要であり、実際に多く
キシングし、途中で 2 回ミキサーを止めてボウル
の消費者は、原材料名や栄養成分表示を
の中身をかき寄せ、クリーム状にする
注視し、特定の脂肪を避けたり、脂質量か
4. 3 に卵を少しずつ加え、低 速でミキシングし、
ら製品を選んだりしている。脂肪の代替に
途中で 2 回ミキサーを止めてボウルの中身を
WPCを使用する製法で、より消費者を魅了
かき寄せる
する食用に適した一括表示が可能となる。
材 料
重 曹
31.64
15.14
11.87
9.50
8.11
7.17
5.27
5.20
2.62
1.89
0.53
0.44
0.40
0.22
合 計
100.00
チョコレートチップ
高果糖コーンシロップ( HFCS )
ブラウンシュガー
水
WPC 34
グラニュー 糖
汎用ショートニング
加工でんぷん(インスタント)
大 豆 オイル
ナチュラルバターフレーバー
バニラエキストラクト
塩( 顆 粒 )
製 法
1. 油、ショートニング、ブラウンシュガー、HFCS 、
2. 水を加え、高速で 3 分ミキシングする
グする
3. 小麦粉、重曹、塩、でんぷんを加え、低速で 2 分
6. さらに 2 の半分、残りの水、2 の残り半分、オー
ミキシングする
ツファイバーを順に加えながら、全体がなじむ
4. チョコレートチップを加え、低速で1分ミキシング
よう混ぜ合わせる
7. クランベリーピースとオレンジピールを加え、ざっ
する
5. クッキー1個が20nになるよう生地を分け、天板
くり混ぜ合わせる
8. マフィン型の 2 ⁄ 3まで流し込む
に並べる
( 400 ,)
で15 分焼成する
9. 204 ;
( 350 ,)
で 7分焼成する
6. 177 ;
栄 養 成 分( 100n当たり)
栄 養 成 分( 100n当たり)
エネ ル ギー
総脂質
飽和脂肪
トランス 脂 肪
コレステロール
ナトリウム
総炭水化物
食物繊維
砂 糖
タン パク 質
配合
(%)
漂白オールパーパスフラワー
WPC 34、
フレーバーを高速で 2分ミキシングする
5. 次に1を加え、均一になるまで低速でミキシン
230 kcal
9n
3n
0n
40 m
300 m
46n
8n
4n
5n
製法提供:Wi
sconsi
nCent
erf
orDai
r
yResear
ch
e3.12.5
50%脂肪カットのソフトクッキー
エネ ル ギー
総脂質
飽和脂肪
トランス 脂 肪
コレステロール
ナトリウム
総炭水化物
食物繊維
砂 糖
タン パク 質
5
390 kcal
12n
1.5n
1.5n
0m
250 m
64n
2n
32n
6n
製法提供:Wi
sconsi
nCent
erf
orDai
r
yResear
ch
A P P L I C AT I O N S M O N O G R A P H
■
BAKERY
■ タン パク 質 の 強 化
アルチザンブレッドの開発
スポーツやフィットネスの市場では、プロテ
インの強化が一般的となっており、ベーカリー
製品のタンパク質強化もこのカテゴリーとなる。
中種法やプーリッシュ法、ビガやサワー種
ベーカリー製品でタンパク質を強化する製法
スターターなど、長時間の発酵工程をともな
は、炭水化物の低減と同様、伝統的に低タ
うアルチザンブレッドには、W PC34が 有用
ンパク質である製品の味や食感を劇的に変
である。WPC34の使用で、機械工程にや
化させる可能性がある。1人分 2∼ 3gという
さしい取り扱いやすい生地に仕上がり、クラ
タンパク質の増量が、製品にとっては50%以
ムの柔らかさと強い風味を生みだす。だが、
上の増加となる場合もある。WPC80やWPI
の使用は、
トルティーヤやピザクラスト、パン、
クッキーなどの製品で、タンパク質の強化に
最 大の利 点は保 存 性の向上にある。ホエ
チーズクラッカー
イプロテインによる機 能の 多くは化 学 物 質
材 料
配合
(%)
点がある。これらに関する詳細は、USDEC
28.36
エクストラシャープチェダーチーズ(すりおろす) 21.13
19.56
バター
9.78
WPC 60
7.82
ホエイクリスプ 50(最小サイズ)
5.87
ホエイパーミエイト
5.09
水
ナチュラルチェダーチーズフレーバー 2.35
0.04
カイエンペッパー
発行の「ホエイプロテインと身体組成
(Whey
合 計
推奨できる。フレーク形状や粒状ホエイプロ
テインを利用することで、さらにタンパク質含
量を上げ多彩な食感を加えることができる。
ホエイプロテインの添加は、体質の改善、筋
肉の回復、満腹感など、栄養的に多くの利
オールパーパスフラワー
100.00
Pr
ot
ei
nandBodyCompos
i
t
i
on)
」や、
「 運動
時の栄養補給における米国ホエイプロテイン
(U.
S.WheyProt
ei
ni
nSport
sNut
ri
t
i
on)
」
を参照されたい。各報告はウェブサイト
(www.
us
dec.
or
g.
)
に公開されている。
でも得られるが、今日の“自然 食”市 場には
マッチしない選 択となる。ホエイプロテイン
( 単にホエイではなく)
を加えた製 法では、
自然 食 品との 表 示も可能だが、発 酵 促 進
剤や乳 化 剤といった化 学 物 質を生 地に添
加するとこれはできない。さらに、化学物質
によるタンパク質の強 化や、炭 水 化 物と脂
肪の低減は容易ではない。ホエイは自然の
素材であり、製品の栄養面も改善すること
製 法
ができる。
1. 全材料をボウルに入れ、球状にまとまるまで低
アルチザンブレッドは、長時間発酵させる
ことによって更なる利 点を得る。長 時 間の
速でミキシングする
( 0.5×0.75インチ)
2. 厚さ10 aに伸ばし、1.3×1.9 b
に切り分け、クッキー用シートに並べる
発 酵 中、糖 分は酵 母の 栄 養として消 費さ
れる。生 地の糖 分は、アルコールに変 化し
■ スクロースの 代 替
( 325 ,)
で 25 分焼成する
3. 163 ;
て気泡が発生し、外部に発散される。小麦
ベーカリー製品では機能性の利点か
4. クッキー用シートのまま冷ます
粉の重 量に対し、1∼ 4%のWPC34
または
3∼ 4%のラクトース
(いずれもベーカーズパー
ら、スクロースの代替としてラクトースが
使 用される。他の糖 類に比べラクトー
スは甘さが少なく、焼き色、乳化、保湿
エネ ル ギー
性、非吸湿性、風味づけなどを促進す
総脂質
る効果がある。スクロースの代替( 50%
まで)
にラクトースを使用する利点には、
質 感や鮮 度の 向 上 、ボリュームアップ、
低 脂 肪 化 、発 泡の保 持 、風 味の強化
などがあり、アイシングやフロスティング、
フィリングへの利用に適している。
セント)
は、製品の栄養を高めつつ焼き色も
栄 養 成 分( 100n当たり)
450 kcal
26n
16n
0n
70 m
440 m
31n
1n
6n
18n
飽和脂肪
トランス 脂 肪
コレステロール
ナトリウム
総炭水化物
食物繊維
砂 糖
タン パク 質
製法提供:Wi
sconsi
nCent
erf
orDai
r
yResear
ch
促進する。ラクトースは酵母の栄養分として
消費されないため、高い風味と黄金の焼き
色が実現できる。ラクトースには風味を吸着
する特 性があり、特に繊 細な味わいのパン
で役に立つ。ラクトースは酵 母の栄 養 分と
して消費されないため、その特性は冷凍保
存した生 地を焼いた場合でも維 持される。
栄養の強化や他の機能を求める場合には、
ラクトースに代えてWPC50や WPC80も使
用できる。配合は 5%
(ベーカーズパーセント)
を上限とし、これ 以上はパサつきの原 因に
なるため推 奨できない。
6
e3.12.6
A P P L I C AT I O N S M O N O G R A P H
■
BAKERY
ハラペーニョのチェダーブレッド
全粒粉が含む食物繊維の量や種類はさ
材 料
配合
(%)
元 種
[ 69.87]
35.91
30;
(85,)
のぬるま湯
26.68
全粒粉
3.96
WPC 34
2.22
塩
0.92
固 形 生イースト
0.18
[ 30.13]
パン 生 地
チェダーチーズ(すりおろす)
15.25
ハラペーニョ 缶 詰(水切りし刻む) 7.62
パン 用 小 麦 粉
6.86
固 形 生イースト
0.40
パン 用 小 麦 粉
全粒粉の使用
Di
et
ary Fi
ber/総食物繊維含有量 )
は約
食 物 繊 維の摂 取 量は、世 界 的なレベル
54%、全 粒 小 麦 粉は 12%である。玄 米 粉
でその推奨量に満たない傾向にある。パン
の TDFは約 5%だが、それでも製品に大き
は、穀 類と食 物 繊 維の摂 取を増やすため
な影響を与える。
のポピュラーな製品である。
ライ麦、フラックスシード、オーツ麦、大麦、
全粒粉とは、殻のみを取り除いた穀物を
粟などの雑穀粉は、水溶性食物繊維が豊
挽いたものであり、全く精 製されていない。
富で粘りが強くなる。粘り気は最もホイロに
精 製された小 麦 粉を全 粒 粉に置き換える
不 向きといわれ 、このような生 地を業 界で
ことは容易に思えるが、実際の工程は単純
は“バッキー
( 硬くちぎれやすい生 地 )
”
と呼
ではない 。鍵となる課 題は、水の管 理とコ
んでいる。理由は、ゆるくべとつき扱いにく
ントロールである。全粒粉の成分が、水とど
いため、
“ねかせすぎて”硬く乾きすぎる生地
のように相互作用するのかを理解し制御す
となるからである。この 粘りの 問 題により、
ることは、機 能 性を引き出しつつ保 存 性を
全粒粉の使用は難しく時には不可能となる。
高めるために非常に重要である。ホエイプ
いくつかの全粒粉では、水溶性繊維による
ロテインは、こうした問題を解決する助けと
粘りの問題をホエイプロテインで軽減できる。
なる。ホエイプロテインは雑味やクセのない
水溶性繊維には保湿性があり、クラムを均一
味で、機 能 面では、水 結合 性が 製品の保
にして鮮度を保ち、保存性を高めるためベー
5. 生地にカバーをし、1 時間ねかす
存 性を向 上し食 感を改 善 する。全 粒 粉を
カリー製品に適している。一方、扱い方によっ
( 18 oz)
に分け、ローフ状に成
6. 生地を約 510n
使 用するベーカリー製 品が 抱えるいくつも
ては鮮度を落とす原因にもなる不溶性繊維
の課題に、自然に対応できる素晴らしい素
は、ベーカリー製品に望ましくない。
合 計
100.00
製 法
1. 元種の乾燥材料をミキサーボウルに入れる
2. ぬるま湯を加え、均一になり粘って垂れない程
度まで 7 ∼ 8 分ミキシングする
3. 元種をねかせ、他の材料を計量する
4. 元種にパン生地の材料を全て加え、チーズが
溶けないよう注意して 2 ∼ 3 分ミキシングする
形する
( 380 ,)
で、焼き色がつくまで 35 分焼
7. 193 ;
成する
材としてホエイプロテインは注目されている。
また、ホエイは全 粒 粉の低いグルテン濃 度
にも対処できる。全粒粉は精製粉に比べて
グルテン濃度が低く、製品のローフボリューム
栄 養 成 分( 100n当たり)
エネ ル ギー
総脂質
飽和脂肪
トランス 脂 肪
コレステロール
ナトリウム
総炭水化物
食物繊維
砂 糖
タン パク 質
280 kcal
8n
4.5n
0n
20 m
570 m
39n
2n
2n
11n
に悪影響を及ぼしやすい。
製法提供:Wi
sconsi
nCent
erf
orDai
r
yResear
ch
e3.12.7
まざまである。全粒オーツ麦粉のTDF
( Tot
al
7
A P P L I C AT I O N S M O N O G R A P H
■
BAKERY
粘りをコントロールするため、数種類の穀
Q ベーカリー製品に使用する場合、スイートホエイと
物粉を使用することがあるが、WPCの使用
脱タンパクホエイの違いは?
も優れた方法である。ホエイプロテインは高
A スイートホエイと脱タンパクホエイは、非常によく似
い水結合性を備え、全粒粉を使用するパン
た成分構成で、主な違いはタンパク質の含有量で
の応用に有力な原料となる。この水結合性
す。脱タンパクホエイは、DPSやホエイパーミエイト
は、水分の管理とコントロールを助け、鮮度
Q ベーカリー製品にホエイ原料を使用する場合、事前
の保持にも貢献する。
全 粒 小 麦 粉は本 来、精 製 小 麦 粉よりも
グルテン含量 が 低いため、ベーカリー製 品
で全粒粉に転向するにはチャレンジが生ず
A 事前の水和は必要ありません。ホエイ原料は、配
合の他の乾燥材料と共に加えることができます。
作用や発泡作用があり、ホエイプロテインのような
機能を提供します。スイートホエイも脱タンパクホエ
リーミングの段階で加えます。
WPCを全粒粉の製法に使用する他の利
イもラクトースが豊富で、焼き色を促進します。脱
タンパクホエイは灰分を多く含み、製品に自然な塩
Q ホエイプロテインの原料は、生地から大量の水分
造特性を助け、低いグルテン含量をおぎなう。
トホエイのタンパク質含有量は 12∼ 13%で、乳化
クッキーやケーキなどの用法では、多くの場合、ク
る。ホエイを原料に加えれば、そのタンパク
質がグルテンの擬態となり気泡含有性や構
とも呼ばれ、タンパク質含有量が 3∼ 8%です。従っ
て、スイートホエイほど機能は高くありません。スイー
の水和は必要ですか?
味を提供することから、塩分の低減も可能にします。
ホエイ原料を使用する目的が 焼き色であり塩味が
を吸収しますか?
A ホエイプロテインは、生地の形状や粘性を大きく変
えるほど、大量の水分を吸収することはありません。
容認できるのであれば、多くの場合、脱タンパクホ
エイがより良くムダのない選択となります。
点として、保湿性や風味、食感の改善があ
高い水結合性をもつ部分変性ホエイプロテインなど、
げられる。WPCの水結合性は、通常、生地
機能を修正したホエイプロテイン原料も製造されて
Q タンパク質を強化する場合、濃縮ホエイプロテイン
の調整剤なしにクラムの構造やテクスチャー
います。多くの水分と結びつく特性は、脂質を低減
( WPC 80 )
と分離ホエイプロテイン
( WPI )
では、どち
を改善する。生地の調整剤とは、イーストフー
する用法に有効です。
らが良いですか?
A どちらの原料でもタンパク質の強化に利用できます。
ドや食品添加物のことで、一般に“パンの改
WPC80は、80%のタンパク質、約 6%の脂質と約
良剤”
と呼ばれ、特定の改良目的で生地に
4%のラクトースを含みます。一方、WPI
は、90%以
添加される物質である。ホエイ原料は、自然
上のタンパク質、通常 1%未満の脂質と2%未満の
素材の“改良剤”であり、アルチザンブレッド
ラクトースを含みます。WPC80の方が安価ですが、
同程度のタンパク質量を目標とするなら、
より多量に
の製造者も安心できる。また、
ホエイを加える
加える必要があります。
ことでメイラード反応が促進され、ベーカリー
製品のクラストに黄金の焼き色を提供する。
Q ホエイプロテイン原料は、インスタントとそれ以外の
ホエイ原料には複数の機能があり、ベー
どちらが良いですか?
A ベーカリー製品のほとんどの製法では、インスタント
カリー製 品の製 法に応じた計 画ができる。
ではないホエイプロテイン原料が推奨されます。例
理 想の風 味 、テクスチャー、栄 養 的な特 質
外として、タンパク質を強化した家庭用ベーカリー
など、それがベーカリー製 品のどのような目
ミックス
(水、油分、卵を加えて手作業でかき混ぜる
的であっても、その達成を助けるホエイ原料
もの)があります。この場合は、インスタントホエイプ
がある。ホエイ原料の種類の違い、成分と
ロテイン原料の方が混ぜやすく、
ダマになりません。
対 応 する機 能をよく知ることにより、あなた
のビジネスに最適な選択が可能となる。
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2009-9/2,000
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