017 CAEPF通信 9号

CAEPF通信
第9号
2009 年 7 月 15 日
特定非営利活動法人 西域生態系保全フォーラム
Central Asia Ecosystem Preservation Forum
事務局:〒421-2124 静岡市 葵区 足久保口組 2181-5
TEL/FAX:054-296-6536
E-mail:aitapeapea@yr.tnc.ne.jp
URL: http://www4.tokai.or.jp/saiiki/
郵便振替:00810-7-116029(加入者名:西域生態系保全フォーラム)
2009年春中国新疆天山野生動植物保護地内植林事業
2008年春、天山野生動植物保護地緑化協力事業で、11人の参加による植林事業が、新疆のウルムチの地に
おいて実施されましたが、今年も引き続き(社)国土緑化推進機構から、交付金による支援を受けることになりま
した。そこで、昨年同様に、1日の植林活動のほかに、緑豊かな伊犁カザフ自治州の野生果樹の群落や草原や天山
の山々を眺めるAコースと、タクラマカン沙漠とシルクロード時代の遺跡、そして少数民族のルツボである南疆を
尋ねるBコースの2コースを計画し、参加くださる希望者を募りました。
その結果、植林ツアーへの参加者希望者は、B案に本会会員の安藤弘氏
1人のみの希望で、申し訳ないことでしたが中止とさせていただきました。
A案には大石理事長の大学院時代の友人の周野文博・周野朋子ご夫妻、静
岡市駿河区で営業されている(株)ソーマ化粧品の加藤文昭社長さん他、
加藤久美子・加藤紗綾香・加藤惇ご一家およびその御親戚の橋本好民・橋
本真理子父娘、そのお友達の倉島正氏の9名があり、大石惇を含めて10
人での決行となりました。その他に出発1週間前に、本会のHPを見たと
いう高田稔氏から電話連絡があり、4月25日にウルムチに行っているの
で、植林に現地参加させてほしいとの要請があり、総勢11人で行うこと
植林を終わって
になった。
活動の成果
昨年は春平成19年緑の募金交付金により、生態林として乾燥地に対して適応性が高く抵抗力のある生態林と、
苹果、海棠の果樹を植林した。今年も引き続き平成20年緑の募金交付金により、昨年と同じ白楡、大葉楡(ニレ
類)、沙棗(スナナツメ)
、紫穂槐(クロバナエンジュ)、紫丁香(チャボハシドイ)のほかに、緑化とともに観賞並
びに趣向作物として、苹果(リンゴ)、海棠(イヌリンゴ)に加えて、新たに山楂(サンザシ)、山桃(ヤマモモ)
植
植
林
風
景
、
白
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援
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植林
林風
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から
らの
の応
応援
援隊
隊
植林風景、道路に沿って3列の白楡の植林
の果樹類を加えて植栽した。
苗木はウルムチ市の国営苗圃から購入し、日本から植林に参加した11人は、4月25日にすでに用意された植
穴に順次植栽した。昨年よりは風も弱く野生動植物保護地の職員約30人と一緒に楡樹200本、その他100本
を約2時間かけて植樹した。現場には、ウルムチ市 TV、新聞社1社、インターネット社1社が取材に駆けつけ昨年
1
は日本人の何人かがインタービューを受けたが、今年は理事長が集中的に長い時間取材を受けていた。
「2年続けて
の植林の目的は?」と聞かれて、
「第1は日中友好、そして緑化による防風防砂機能を果たすのみならず、青少年や
市民に対して緑化の重要性、地域の生態系保全意識の高揚に役立てたい」と伝えていた。
新聞には報道されなかったが、ウルムチ市近郊にウルムチ市TVで、インターネット社からは中国全土に報道さ
れた。広域に報道された点からみれば、新聞よりもインターネットによる報道が勝れる。植林に先立ってウルムチ
市林業局副局長樊江氏から「ウルムチ市周辺の緑化に、遠い日本から11人も来ていただいて心から感謝している。
2年も続けて新疆にお出でいただいて、我々としても一層力を入れて完成に向けて努力しなければならない」との
挨拶があった。本フォーラムの大石惇理事長から「昨年夏の旱魃
にも拘わらず、昨年植えた木々が緑の葉を茂らせ、皆さんの水管
理の努力に感謝したい。これからも一緒に植林することによって、
より深く交流を深めてゆきたい」との返辞の言葉があった。隣接
する動物園は、ウルムチ市のみならず新疆の人達の憩いの場にな
っている。その一角にこの緑の森が拡大することは、新疆と日本
の間の協力と友好の象徴となることは間違いない。植林当日野生
動物園に、15台以上の大型バスでウルムチ市の一高校の全校生
徒が来ていた。森の中で生息する動植物たちを観察しながら、環
境を考える場になれば、将来のウルムチ市民と子供たちの緑化へ
の機運も高まるものと確信している。
インターネットによる報道
2009年春植林前の伊犁地区訪問行動記録
瓦礫の斜面に天山桜桃の開花株を見つけ、写真に撮
る。
12:45~13:50尼勒克で昼食。初めての尼
勒克だが、どこの街も似たようなもの。上流に向か
うも、道が次第に悪くなり、あきらめて予定より手
前の低い峠を越えて新源県に。
16:20新源貴賓館着。
16:40閻国栄先生と大石理事長は新源林業局の
張書記と劉さんと打ち合わせのため訪れる。張書記
と3人で会談。
「こちらできちんとやるので安心して
ください」。
「林業局が300ムーの苗畑を持ってい
て実生苗を育てている。苗は1年に60cm伸びる。
苗は植えられるまで14〜16カ月かかる。11月
播種、春発芽。昨年20ムー播種したものがもう発
芽してきている。」「アーリームラッチさんと連絡し
て、明日巨樹の所に行けるかどうか決める。」
17:15打ち合わせ終了。
20:00~22:10張書記の招待で夕食。とて
も和やかでよかったと満足。
22:20ホテルに帰着。
4月22日(水)新源から那拉提から巩留へ。夜から
かなりの雨。
10:50資源圃では雲が低く垂れこめリンゴの開
花はほとんど見る事が出来なかった。寒い。野生リ
ンゴの分布図の前で伝播について説明。那拉提で昼
食。新しいホテルが出来てかなり開発が進んでいる。
肖尓布拉克の白酒工場と「西域酒文化博物館」見学。
酒度68度の酒はまろやかでうまかった。
4月18日(土)18:30中部空港東横インに集合
4月19日(日)名古屋から北京経由でウルムチへ
9:00中部空港出発
11:20最も新しい北京3号空港着陸。約50分
出迎えなくウルムチへの航空券も無く戸惑い混乱。
12:40やっと中青旅が頼んで呉れた案内人の関
さんと合流できた。しかし、北京オリンピック用に
作られた3号空港は、地元の人もまだよく分からな
い、駐車場への移動にウロウロ、時間は迫るし心細
い。やっと国内線の 1 号空港へ。
16:05離陸。
19:50ウルムチ空港に到着し、李さん閻さんの
出迎えを受け、20:40翼竜大酒店にチェックイ
ン。
4月20日(月)ウルムチから伊寧へ
9:10中青旅の新しい40人乗りのバスで、閻国
栄先生の院生于瑋瑋(ウ・ウエイウエイ)さんを加
えて出発。
14:20精河賓館で昼食
17:10賽里木湖、果子溝下から昨日開通したば
かりの高速道を通り、霍尓果斯口岸(国境)を見学
21:30将軍ホテルにチェックイン。
21:45~23:30談笑しながらの長い夕食。
4月21日(火)伊寧から尼勒克県から新源へ。
9:30出発。喀什河の手前の麻扎郷から初めて尼
勒克県に向かって進む。喀什河沿いに大草原が広が
りパーインブルクに似た美しい場所だ。リンゴの白
い花、紅肉苹果の赤い花が農家の庭先で咲いている。
2
21:15~22:50ホテルで夕食。
22:50~23:50高田稔氏と面会。
4月25日(土)ウルムチにて植林日
9:40出発。
10:30動物園着。
11:00現場着ただちに植林、ウルムチTV、ウ
ルムチ日報の取材を受ける。植林後12:50まで
車の中から動物園見学。
15:30~16:50ウルムチ市内観光。大石は
廖康先生とウルムチ市園林局の事務所にて来年度の
植林計画打ち合わせ。
20:40~23:00市園林局の招待による夕食
会。夜強い風。
4月26日(日)ウルムチから北京へ 砂嵐
7:30空港へ。昨夜の砂嵐のため北京からの飛行
機が着いていないため飛行機が飛べないらしい。遅
延の証明書発行してもらう。豚インフルエンザの発
生の報道。広がったら大変、帰れなくなるかも。
8:50チェックインしたら、12:00出発予定
の航空券が渡される。北京~名古屋便に間に合うか
どうか心配。12:00出発がなんと16:40に
ウルムチ空港を飛び立った。
北京到着は20時過ぎ。間に合わずに仕方なく北京
泊。海南航空で翌日の北京~名古屋間の航空券は買
ってくれたが、北京での宿泊が余儀なくされた。
4月27日(月)北京~名古屋
19:45巩留賓館着、外国人が来ないためか部屋
も狭いし、汚いしサービスも悪い。
21:00~22:30ホテル内で夕食。
4月23日(木)巩留から特克斯から伊寧へ
閻国栄先生と于瑋瑋さんは許正さんの車でスナナツ
メの調査。伊寧で夕刻合流して、伊寧県書記の李寧
平さんの招待で伊犁州林業局の朱新生書記と一緒に
夕食の予定となる。特克斯の八卦城を見学
14:45将軍ホテル着。
15:30~19:30まで伊寧の街を自由行動。
20:00~23:00李寧平書記の招待による宴
会、ウイグル族、カザフ族の唄と踊りもあり、全員
盛り上がった楽しい一時だった。
4月24日(金)伊寧からウルムチ
伊寧空港の滑走路工事のため、バスでウルムチに戻
ることになった。9:45伊寧を出発。
12:50賽里木湖で車が止められ、高速道の下り
線で事故らしい。車はこちらには来るが動かない、
どのくらい待つのか不安がよぎる。
13:25乗用車やバスが動き出す。トラックは止
められたまま。気の毒。
13:55事故現場通過。
14:55沙山子通過。
15:20~16:00精河賓館で遅い昼食。
19:10石河子パーキング。
21:00翼竜大酒店着。
‘09年春塔城地区訪問
かなり荒れているのが一目で
わかる(額敏県野果林)
倒れた野生リンゴ(額敏県野果林)
野果林の中の枯れた野生リンゴ(額敏県)
3
2009年4月26日~5月4日
参加者:大石惇、閻国栄、于瑋瑋(天津農業大学院生)
4月26日(日)植林ツアー団をウルムチ空港に見送
り後カラマイ(克拉瑪依)へ
12:00ホテルをチェックアウトして、12:3
0ジープでカラマイに向け出発。ウルムチは砂嵐で
飛行機が飛ばなかったが、ジュンガル盆地も砂嵐で
見通しは悪い。道の両側はかなり塩が吹いて白い。
16:20カラマイの明珠大酒店にチェックイン。
李さんからの携帯で植林ツアー団の人達の飛行機が、
16:00頃離陸したらしいとの報告。大変な旅行
になってしまった。我々の明日からの計画をたてる。
4月27日(月)克拉瑪依(カラマイ)~額敏(イー
ミン)3日続いた砂嵐も止み快晴
9:40出発。克拉瑪依から額敏にむけて、新しい
快適な道。
11:05鉄鉱沟街。風が強くて有名なところ、寒
い。風力発電の塔が100本くらい立っている、こ
れから増やして達坂城規模にはなるだろう。
12:20塔城地区林業局副局長梁孟凱(閻国栄先
生と八一農学院時代の同級生)、額敏県林業局長馮建
新(伊犁州政府李湘林書記とクラスメート)
、額敏県
森林保護局主任陳建明、弁公室から加納提(チャナ
テ)の各氏が出迎えてくれて、来た道をバックして
額敏の野果林の現場に向かう。悪路の連続。
13:05野果林着(野猪溝)。8000ムーくらい、
だいぶ荒れている。冬の野焼きが類焼して大木が枯
死した。リンゴの開花が始まっている。伊犁地区よ
り10日~2週間開花が遅い。李さんからのメール
で、植林ツアー団は、昨日20:00に北京に到着
し、1泊してCA便で今日日本に帰国したとのこと。
14:50額敏賓館着、額敏は紅花の大産地で紅花
油も有名。
16:00明日から天気が崩れそうだとのことで、
托里に向け出発。
16:45托里の野果林、巴旦杏の林に着く。托里
県林業局長牛春国氏談「3年前から保護区に指定さ
れ、公益管理人が配置され、5~6年前から比べて
かなり良くなった」。さらに上の標高890mに遊牧
民の管理人住居があり、遊牧民を住まわせ、保護区
を管理させている。この保護体制が保護区を守るの
に非常に良い方法だと感じた。
18:10別の谷に入り、過放牧のところに最近雨
が多くなってきているのか、小川だったところが深
くえぐられ2mくらいの深い溝になり崩壊している。
リンゴがわずかに開花し始め、伊犁地区より1週間
~10日遅い。途中「老風口」に立ち寄る。恐ろし
く風の強いところで、雪が1~2m積る。雪が積っ
4
たら通行止めになり、塔城は陸の孤島になる。道路
の両側に、高木のポプラ、その下に楡、その下にス
ナナツメと木の高さをうまく組み合わせ、上手に配
植樹してある。
19:30額敏着。
19:30~21:40渡仮村で招待夕食。
「放牧と
野果林保存は難しい問題で、まず保護、そして増殖、
植林。林業局でも実生苗を育成している。小面積に
柵を設け、移植して保護しゆっくり生態系を回復す
るしかない。我々も州や自治区政府に働きかけて、
資金を得るようにしたい」
。
4月28日(火)額敏~塔城~裕民~塔城 曇りのち
雨のち曇り
10:25額敏を出発しとりあえず塔城に向かう。
11:25塔城地区賓館着。雨が激しく降って裕民
の巴旦杏保護地への視察は諦める。
12:00巴克図口岸の海関長が閻国栄先生のクラ
スメートで、案内してもらうことになった。
12:20~13:10口岸見学。普通では見られ
ない国境のそばまで入れてもらう。雨の中紅花の種
子を求めて裕民へ走る。紅花の種子5kg、ベニバ
ナ油、黄色人参種子を購入。
20:30から夕食、
「裕民県の巴旦杏保護地は自然
保護区になっており10万ムーある。世界的にも有
数の大面積に分布している地域で、中国でも新疆の
みにしか無い。カザフスタン側で冬に野焼きをやり、
類焼して枯死してしまった木も多い。タルパガタイ
山麓でも、1995年、2000年の火事でどれだ
け失ったかわからない。高さ5~6mくらいの大樹
まで失われた。塔城は昔から鶴が飛来するところで
白鶴城という名もある。150万平方キロメートル
がロシアにとられて国境が引かれている。オランダ
から園芸研究者が来て「伊犁の野生のチューリップ
と異なり塔城のものが原種であると言った」。
4月29日(水)塔城~ウルムチ 曇り小雨
李新革さんから「弁公室が明日会いたいので、今日
中にウルムチに帰ってきてほしい」とのことで、今
日帰ることとする。
「塔城は積雪30cm、多い時8
0cm、最低気温マイナス39度」。
10:20額敏通過。額敏~鉄鉱沟間はパーインブ
ルク級の大草原。タルパガタイ山が近く、馮依塔斯
(マイトス)草原と名付けられている。
12:40克拉瑪依(カラマイ)市通過。
16:15烏奎高速入口。三坪(サンピン)付近の
大葡萄園。
17:30ウルムチスーパー(8)ホテル着、車と
スピーカーの音がうるさくて狭い。
19:55近くの別のホテルを下見に行き、明日移
ることにする。
21:00~22:15ジャージャ麺、紅焼茄子
(ホンショウチエザ)西紅柿炒鶏蛋(シーホーン
シーチャージータン)で夕食。
4 月 30 日(木)ウルムチ沈殿
12:25 99金航酒店にチェックイン。
13:30~15:15まで、弁公室の計画を聞
く。(植林計画の概要参照)。
5 月 1 日(金)ウルムチ沈殿
11:00昌吉付近の弁公室の植林地の現場に向
かう。于瑋瑋さんは今夜20:00発の列車で北
京に帰る予定。荷物の整理貨物で発送など忙しい。
12:00浜湖郷の現場着。まず車で一回りして、
その後宿泊施設の中で説明を受ける。是非協力し
たい、
13:10昼食をして15:20ホテル着。
19:10李新革さんの車で、于さんを見送りに
ウルムチ南站まで。
5 月 2 日(土)ウルムチ~北京
8:00空港着、空港までの高速道がただになっ
たとかで早い。
8:15チェックイン。
9:00離陸。
12:30着陸。
13:15タクシーで北京大学勺園へ。閻国栄さ
んは、バスで天津へ。北京大学の勺園は、開学記
念日で学生の家族が大勢宿泊。
18:30~20:30豪華ホテル(西門から南
へ一寸、李麗霞さんの友達が経営)のレストラン
で、夕食。明日14:00に北京大学の車で空港
まで送ってくれるとのこと、ありがたい。
5 月 3 日(日)北京~名古屋(東横インに1泊)
9:00~10:20から北京大学キャンパス内
を散策。皇居の中に中国風の研究棟や教室が埋ま
っているような感じだ。一般の人にも自由に開放
されていて、業者も入って生協で売っている北京
大のTシャツなど、飲み物なども売っている。
10:20~11:30クーラーをかけて休む。
13:00~13:50生命科学部棟(東門のす
ぐ右)の地下 1 階の李さんのオフィスで歓談。
13:55車が勺園の玄関で待ってくれていてす
ぐに乗って空港へ。
14:25北京3号空港着。
17:17離陸。20:45中部空港到着。イン
フルエンザの影響か、アメリカからの飛行機の乗
客と重なり検疫が渋滞、時間がかかる。
5 月 4 日(月)中部空港~静岡
10:00静鉄バスで出発。
13:30静岡駅着。
托里県野果林中の巴旦杏の開花
雨が多く、流れる水が野果林をえぐる(托
里県野果林)
谷筋の湿度の高いところに点々と巴旦杏の群落(托
里県野果林)
5
2009年夏の新疆計画
(7月5日の騒乱のため中止)
以前から気になっておりました、伊犁地区以外にもう1か所の野生リンゴの群生地の塔城地区を訪問したいと考
えておりました。今年の春の植林ツアーが終了してから、塔城地区の野果林と裕民県の巴旦杏の保護地を見たいと
考え、天津農業大学の閻国栄先生と2人で4月の末に出かけました。塔城地区は伊犁地区よりもだいぶ北にあるた
め、4月末から5月の初めでも、開花はまだ数本の木にチラホラの状態でした。それに天候が悪く、雨が降ればジ
ープでも登れないところということで、ほんの1~2時間眺めただけの訪問でしたので、今年の夏は、果実が実っ
て落ちない時期の訪問を計画しました。8月11日から13日までの行動がそれに当たります。
その後、1日かけて阿拉山口を経てポロ(博楽)を通り、賽里木湖から伊犁地区に入る計画です。
伊犁には入ってからは、8月16日から8月18日まで新源の資源圃と新源林業局、そして標高1980mに存
在する「野苹果王」の周りを囲んだ柵の、一冬を経過した後の状態の点検と、柵の中に今春植えていただいた、1
00本の実生苗の活着と生育状況を視察する予定です。
一旦ウルムチに戻り、8月20日に静岡県日中友好協会の会長以下幹部数名を出迎え、新疆自治区政府の要人と
の面会を準備し同行します。これは昨年秋、今年の春の2回、新疆自治区政府の外事弁公室との間で、日中の若い
人たちの交流促進と昌吉市の郊外の植林に静岡県日中友好協会が協力することで表敬訪問するものです。
それ以外にも、静岡大学は、新疆農業大学と研究協力協定を結んでいますが、その上に静岡大学と中国科学院生
態与地理研究所(以前の新疆生物土壌沙漠研究所)と新疆大学との研究協力協定を結ぶ気運が高まっていますので、
それも促進出来ればと考えています。
8月10日(月) 静岡~ウルムチ (航空機)
ウルムチ泊
静岡11:45 KE780 仁川 13:55
仁川21:00 KE○○○ ウルムチ 1:25
11日(火) ウルムチ~塔城 (ジープまたは航空機)
額敏泊
または ウルムチ15:00 XO9939 塔城 16:10
12日(水) 額敏~托里
(ジープ)
托里泊
額敏野果林、托里野果林
13日(木) 托里~裕民~博楽 (ジープ)
博楽泊
裕民巴旦杏自然保護区
14日(金) 博楽~伊寧
(ジープ)
伊寧泊
15日(土) 休日
(ジープ)
伊寧泊
16日(日) 伊寧~新源~資源圃~新源(ジープ)
新源泊
17日(月) 新源~巨樹~新源(ジープ)
新源泊
18日(火) 新源~資源圃~伊寧(ジープ)
新源泊
19日(水) 伊寧~ウルムチ(ジープ)
ウルムチ泊
20日(木) ウルムチ滞在 大石は日中友好協会訪問団と合流 ウルムチ泊
21日(金) 新疆自治区政府 胡偉副主席表敬訪問 外事弁公室表敬訪問
昌吉浜湖郷訪問(植林予定現場)
ウルムチ泊
22日(土) ウルムチ~伊寧空港(航空機)
伊寧付近~カザフスタン国境~新源(自動車)
新源泊
23日(日) 新源~資源圃~那拉提空港
(自動車)
那拉提空港~ウルムチ(航空機)
ウルムチ泊
24日(月) 新疆農業大学・新疆大学・中国科学院生態与地理研究所表敬訪問 ウルムチ泊
25日(火) ウルムチ~ソウル~成田
ウルムチ 2:35 KE○○○ 仁川 8:15
仁川
10:15 KE703 成田 12:30
自宅泊
参加予定者
8/10~8/25
8/10~8/21
8/10~8/15
8/20~8/25
大石惇、閻国栄
池ヶ谷のり子、藤井五十鈴、山梨亜紀子
陳興貽、
静岡県日中友好協会渥美会長他数名
6
2008年夏
天山有用植物資源圃周辺の学術調査報告
廿日出
正美
5)収支(1元 15 円換算)
2008年4月26日から中国新疆天山野生動物保
護地内植林事業に参加することを心待ちにしていたと
ころ、4月10日、突如歯痛に襲われ、歯科医の診断
書を旅行会社に送りキャンセルしていただいた。6月
になって静岡大学農学部山岳部 OB 会(なための会)が
8月23日~9月5日にかけて新疆旅行を計画してい
ることを知り、新疆ウイグル自治区南北縦断ツアーに
ア ル タ イ
ク ナ ス
参加した。北は阿尓奏山脈の麓、喀納斯湖からカラマ
イ、ウルムチ、クチャ、アクス、タクラマカン砂漠を
横断しホータンまで、そしてウルムチへと約7,00
0kmの大旅行を体験した。改めて新疆ウイグル自治
区の広大さを再認識した。
9月5日(金)早朝、山岳部 OB の方々を見送りし、大
石先生、閣国栄先生と私の3人は、ウルムチ空港か
ナ ラ テ
ら16:00に出発、17:00に那拉提空港に到
着。我々3人の出迎えに伊犁州林業局2台、新源県
林業局1台、許正さんのジープ1台、計4台の車で
18:40新源貴賓館に到着。20:00から21:
30まで歓迎会がひらかれ、伊犁州林業局総工程師
孫清江氏、伊犁州森林保護センター長徐毅氏他5名
のスタッフと会食した。
9月6日(土)昨夜から慈雨が静かに降り、大石先生
と閻国栄先生は、打ち合わせのためイーニンに向か
い、私と資源圃に常駐する研究員の許正さんと2人
が資源圃で暮らすこととなった。許正さんには中国
語学習電子辞書をプレゼント。午前中は朝食後に中
国語を学習することとした。
9月7日(日)、昨夜の雨が雪に変わり、資源圃の裏山
(標高1730m)にも初雪が降り、朝日に照らさ
れて美しい風景を楽しませてくれた。以前から伊犁
州の農家の経営状況に興味を持っていたので許正さ
んにお願いして農家を訪問することとした。
9月8日(月)突如、許正さんが手配していただいた
農家の方が資源圃に来てくれた。早速農家経営につ
いて聞き取り調査を行った。
1)農 家 名:蒋廣華さん(55 歳)
2)家族構成:4人(父、母、息子2人、労働力4人)
3)耕地面積:24ムー(150.4アール)
*1ムー=66アール
4)内
訳:
小麦栽培:16ムー(105.6アール)
ひまわり栽培:4ムー(26.4アール)
牧 草 地:4ムー(26.4アール)
140頭羊の肥育(子羊を購入して2年間
肥育後売却する。毎年 70 頭ずつ販売する。
)
科
目
元
円
備
考
麦
15,840
237,600
450kg × 16
(ムー)×
2.2 元
ひまわり
4,000
60,000
250kg×4(ム
ー)×4 元
35,000
525,000
70 頭×500 元
54,840
822,600
化学肥料
500
7,500
20kg×5 袋×
5元
除 草 剤
100
1,500
2 本 ( 500ml
入)×50 元
子羊購入
7,000
105,000
70 頭×100 元
合
7,600
114,000
47,240
708,600
収入の部
小
羊
合
計
支出の部
計
収支差額
*種子は自家採集、堆肥は自家製で年間約14ton 生産
新源県で大
学院卒の公務
員の年収は9,
600元(14
4,000円)
と比べて、蒋さ
んは4人家族
で働いている
が、かなりの高
収入を得ている。2007年度から中国政府は農民の
所得格差をなくすため、土地の税金はゼロとなった。
資源圃(野生リンゴ園)の昆虫採集を行った。チョ
ウ類、ハエ類が主で、昨年の5月上旬のリンゴ開花時
のような訪花昆虫は殆ど見当たらなかった。
蒋さん自宅
ひまわり畑
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新疆自治区政府外事弁公室の方々と
新疆ウイグル自治区政府外事弁公室の植林計画の概要
日 時: 2009年4月30日 13:30~15:15
ザン・シアオデイ
面会者: 張 暁 迪 新疆ウイグル自治区人民政府外事弁公室副主任
レン・シンジュン
任 新 軍 新疆ウイグル自治区人民政府外事弁公室来賓処処長
ズウ・ジュン
朱 俊 新疆ウイグル自治区人民政府外事弁公室来賓処副処長
外事弁公室が中心となってやっている35ha の土地の70%を植林し
たい。一緒に植林に加わって協力してほしい。70%を植林すれば、残り
30%の土地は自由に使ってよいとする政令がある。静岡市や静岡県との
友好都市関係も結べる。また、新疆は豊かな資源(農産物、石油、石炭、
レアメタル、工業製品など)を中国東部方面よりも中央アジアに向けた輸出を考えている。この豊かな新疆に、日
本企業も大いに来てほしい。便宜を図りたい。新疆に拠点を置いて、ロシア、カザフスタン、キルギス共和国、タ
ジキスタン、ウズベキスタン、パキスタン、アフガニスタンに向けて輸出できる。
35ha の用地に、いろいろな種類の木を植えて「日中友好林」と名付けてもよい。一緒に開発しよう。是非、現
場を見てほしい。その中に「日中友好記念館」も作りたい。その用地も用意してある。
場所は昌吉市の郊外で、ウルムチ空港から40kmくらい。静かで近くて便利なところで、皆さんが来られても
泊めてあげられる宿泊施設も中に造ってある。ブドウも果樹も作っている。昨年は、外国からの留学生も集めて植
林した。今年も春と秋に植林の計画が組まれている。上海の弁公室が一番大きく、2番目が新疆で職員は160人
いる。
現 地 見 学
日 時: 2009年5月1日
案内者: 張振民 服務中心主任
劉 諢 服務中心副主任
場 所: 昌吉市浜湖郷、ウルムチから50km
面 積: 486ムー÷15=32,4ha
施 設: 培訓中心(門のそば)幹部の研修施設
建物完成
蘇公楼(国界信息)情報管理センター
建物完成
建設予定の国界信息中心生態園の完成予想図
客の招待処
5棟完成
会館予定地
未完
井戸2基(深さ230m)
完成
池 2個
水はまだ満たされていない
2005年中ごろから計画が始まった。青写真 1/1000(2006年3月)。地下3、1mに水脈があり水
は豊富な場所で、ポプラなどは灌水無しでOK。地下230mからくみ上げる水は飲み水、暖房、冷房に利用。ア
ルカリ性の強い土壌、76種の樹種を植える計画。すでにかなりの植林が進んでおり、門の入り口から海棠果やス
モモや花木類が見られる。林業科学院から苗の提供を受けている。
納の方に、振り込み用紙を同封させていただきました。本会
の2009年度は、2008年10月から本年9月30日ま
ででございます。出費かさむ折、どうかよろしくお願いいた
します。行き違いの場合は、どうかご容赦いただきたいと思
います。
2009年度会費納入いただいた方々
山本剛、戸賀里守、横井孝恵、安藤弘、五十嵐満、鈴木紳弌、
藤波和之、大石修、喜多茂、吉川宏一、大石惇、藤井五十鈴、
周野文博、水野俊哲、小松春喜、俣野晴彦、三輪輝夫、児玉
史章、石井慎一、水野恵子、中山滋、伊達大和、横内孟、伊
藤祥、西島洋一、森誠、広瀬義輝、山本良三、荒巻浩行、高
木敏彦、糠谷明、小嶋睦雄、大村三男、切岩祥和、田原康孝、
杉山公男、浅井辰夫、八幡昌紀、吉川晴治郎、伊藤英利、山
崎正興、山崎俊弘、須田淑夫、重岡廣男、杉山二郎、橋本益
男、池田恵、岩本純一、坂野久子、山本征志、三谷喜紀、尾
崎久芳、山梨亜紀子、鵜飼暢雄、山田硅二、望月峰子、飛田
宣二郎、福田明、菅家美果、新海裕悟、以上60名
(敬称略6月30日現在)
事務局から
今年の1月に発刊しましたCAEPF8号から早くも6カ
月が過ぎてしまいました。ここに9号をお届けします。
今年の春は、昨年に引き続いて天山野生動植物保護地で無
事植林を済ませてまいりました。昨年と異なり数日早かった
にもかかわらず、風もなく穏やかな植林日よりでした。
5月4日に帰国してからの1カ月は、春の植林の報告書、
5月末締め切りの今年の林業NGO{「野苹果王」の周りの実
生苗の植林}への申請書、6月半ば締め切りの来年度の天山
野生動植物保護地の植林の申請書の3つを書き上げ発送に、
ほとんど時間を費やしました。また、5月はいろいろな会合
の総会などが重なり、とりわけ忙しい5月でした。
また、新疆ウイグル自治区の外事弁公室が、独自に昌吉市
郊外に32ha の生態園を作る予定で、その植林に静岡県日中
友好協会が協力することになって、今年の8月20日から5
日間、会長以下数人の幹部がウルムチに赴くことになりまし
た。順調に進めば、来年から少なくとも3年間は植林事業が
続くのではないかと思われ、益々忙しくなるでしょう。
会報の発送と同時に、6月末現在、2009年度の会費未
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