2011年 7月 Vol.33

だれもが安心できる良い医療と福祉を
患者さん、地域の皆さんとともに
力を合わせて実現します。
7
2011
大
手町
病 院 ふ れ あい 通
信
月
Vol.33
EN
GRE
7
「東京 上野不忍池」F10 号 油彩画(末永 千春/小倉健康友の会)
C O N T E N T S
泌尿器科紹介
2
ハロー! ドクター(田中医院)
4
職場紹介(ICU/HCU病棟)
5
聴診記
6
友の会通信
7
健和会大手町病院
泌尿器科紹介
大手町病院 泌尿器科主任部長
大手町病院の腎センター化に向けて
快適で高度な透析医療をめざして
医局長
栗栖 弘明
透析臨床工学士主任
川波秀次
池田 英夫
透析医療の現況
慢性腎不全患者は増加の一途を辿り、治療の甲斐なく
透析を導入される患者さんは、年間約37,000人にのぼりま
す。2009年末で慢性透析をされている患者さんは、統計上
290,675人で、現在は30万人を超えていると思われます。
(図表-1)福岡県でも2009年末で約13,000人の患者さん
が、透析を受けられています。
腎臓が慢性的に悪化しはじめると、悪くはなっても改善す
医局長(泌尿器科)
る可能性は極めて低く、透析導入となると、
それ以後ずっと
池田 英夫
透析をしていかなくてはなりません。
当院の透析室でも現在
約60人の患者さんが、週2∼3回病院に来て3∼5時間の透
腎代謝科(内科)主任部長
透析室 師長
是永 秀樹
渡邉 幸恵
析を継続されています。
透析患者さんの原疾患は、1980年代は慢
慢性透析患者の推移
人
300,000
【図表-1】
性糸球体腎炎が過半数を占めていましたが、
1998年に糖尿病性腎症が首位となってから
250,000
は、増加の一途を辿る一方です。
(図表-2)
200,000
糖尿病を悪化させないようにすることが必要
すなわち、透析患者さんを減らすためには、
不可欠と考えます。
150,000
100,000
50,000
0
原因別透析患者の推移
70
75
80
85
90
95
00
05
09 年
糖尿病性腎症
慢性糸球体腎炎
腎硬化症
多発性嚢胞腎
慢性腎盂腎炎
急速進行性糸球体腎炎
SLE腎炎
不明
%
70
60
50
【図表-2】
40
30
20
10
透析室担当医によるカンファレンスの様子
0
2
1983
85
87
89
91
93
95
97
99
01
03
05
07
09 年
大手町病院透析室の現況
私が大手町病院に転任してきた1994年頃は、常勤の泌
ている医師は、栗栖、是永、池田の3名しかいません。年もと
尿器科医師が3名、常勤の腎代謝科内科医師が3名、
それ
りました。気分は、
まだ20歳ですが、体がついてきません。
で
に初期研修医も2∼3名いて、泌尿器、腎代謝科で協力し
もがんばっています。
合いながら11階病棟(65症)
を管理していました。
そんな透析室の業務を支えてくれているのが、透析室の
しかし、
月日は流れ、医師不足が社会問題となっている昨
スタッフです。現在、渡邊師長を筆頭に看護師6名、若くは
今、当院も例外ではなく、内科医師の絶対的な不足により、
ないが粒ぞろいです。
また臨床工学士は川波主任を筆頭
内科各科が総合診療科としてまとまることとなり、泌尿器科
に7名こちらはベテランから若手まで層が厚いです。透析室
も、幾度となく病棟編成のあおりを受けて、現在、泌尿器科
はこの13名の頑張りで支えられています。
と腎代謝科は、別々の病棟で診療を行っています。
現在、泌尿器科は、栗栖主任部長と池田の2名、腎代謝
科は、是永主任部長と内村医師の2名(現在、内村医師は
育児休暇中のため実質1名)
と少数精鋭といえばかっこい
いですが、厳しいマンパワーの中、
日々の診療に奮闘してい
ます。
また、以前より、透析は泌尿器科、腎代謝科が協力しなが
ら管理してきた部門であり、現在もその形は変わっておりま
せん。1994年当時、透析室は20床でしたが、患者さんの増
加に伴い、現在26床まで増床され、現在約60人の腎不全
患者さんの透析を行っております。病床も増え、患者さんも
増加しているにもかかわらず、現在慢性維持透析に携わっ
大手町病院3階透析室
26床で約60人の患者さんの透析を行っています
腎センター化に向けての展望と課題
以前より透析室は第1、2エレーベーターで3階に上がった
ているようです。私は、下々の職員ですので詳細なことは把
ところにあります。入口付近はやや薄暗く、奥には、薬局、臨
握しておりません。
これから書く事は、私の希望ですが、実
床検査科、病理科などがあり、一般の方々は、通行できなく
現するか否かは、
わかりません。
なっています。
エレベーターを乗り間違えると同じ3階でも全
現在の透析室ではこれ以上の増床はスペース上不可能
く別の場所にいってしまうという不都合さもあり、特に入院中
ですので、病院内の移転を行い、入口も2箇所確保して、外
で、ベッドで透析室にこられる患者さんは、かなり遠回りをし
来患者さんと入院患者さんが別々に入室できるのがいいと
ないと来れない状況です。
考えます。
また、合併症よっては、隔離なども必要になります
また、入口も一箇所しかなく、外来患者さんの入室と入院
ので、個室も確保したいです。
患者さんの入室が重なると、
かなり窮屈で煩雑になってしま
さらに、患者さんが透析時に快適に過ごしていただけるよ
います。
ベッドも6床増床しましたが、透析室のスペースは以
う休憩室や待合室などの充実も図りたいと考えます。
そして
前と変わりないため、
かなり狭い印象を受けます。
何よりも大切なのは、
スタッフの充実です。看護師、臨床工
これからさらに増えるであろう透析患者さんのために、30
学士の充実はもとより、我々と一緒に、腎センターを盛り上げ
床まで増床を予定していますが、現在の場所では広さ的に
ていってくれる、若い先生方を切に希望しています。少しで
不可能です。移転が必要となります。
も興味のある先生は、是非透析室に見学に来てください。
おさゆきリハビリテーション病院の大手町への移転工事
透析が始まりますと、患者さんとは一生のお付き合いとな
が始まりました。
それに伴い、大手町病院内の病棟や施設
ります。
そのため、快適で安心できる透析をモットーに、
これ
の一部が、
そちらに移転することが決まっています。
そのた
からもスタッフ一同がんばっていきますのでよろしくお願い申
め、大手町病院内も一部リニューアルする予定です。
し上げます。
そのリニューアル計画の中に、透析室の移転計画も入っ
3
手を結んで地域の医療ネットワークづくりを推進しています
Hello! cooperative Clinic Doctor
大手町病院にご協力いただいている医院を訪問
ハロー! ドクター
32
内科・消化器科・循環器科
医療法人
田中医院
〒803-0861 北九州市小倉北区篠崎3-5-24
TEL 093-561-3066
FAX 093-592-1116 医療の方針を教えてください
専門である循環器系の疾患(動脈硬化・静脈瘤など)の
初期段階での早期発見に努め、
日々研鑽を行なっています。
そのために、常に新しい情報、知識を取り入れ、患者さんに
還元するように心がけています。
「どんな些細なことでもお気軽に」と語る院長の田中 秀幸先生
▲圧迫感を与えないかわいい外観
医院の特徴を教えてください
父が昭和40年に開業し、私が17年程前に引
継ぎ、現在に至ります。
当院の患者さんは、8割近くが地域の高齢者
です。循環器系疾患に加え、消化器系疾患な
ど他の疾患も抱えた患者さんがたくさんいます。
エコー、胃透視など各種検査機器を揃え、様々
な疾患に対応できるようにしています。
また、糖尿病や高血圧など様々な病気の原因になると言
われている睡眠時無呼吸症候群の診断も行っていて、
ポリ
グラフィーという検査機器を
導入しています。
趣味や休日の過ごし方は?
開業医は体を動かすことが少ないので、運動不足に
なりがちです。趣味はゴルフですが、趣味というより体
力、健康づくりのためにゴルフをしています。
また、昼休みには医院周辺を30分ほどウォーキング
するようにしています。
読者のみなさんにひとこと
▲睡眠時無呼吸症候群の
検査機、
ポリグラフィー
ご自身の身体で気になること、
わからないことがあれ
ば、
どんな些細なことでも対応いたします。お気軽にご
来院ください。
「なんでもご相談ください」という先生の言葉から、地域の患
者さんを支える優しい思いが伝わってきました。
★インタビュアー : 和田義廉(医師団事務部)
▲エコー
大手町病院
南小倉小
▲遠赤外線治療器インブレイス
大手町病院との連携について
▲ウォーターベッド
大手町病院は救急に力を入れていますし、受け入れの
難しい患者さん、状況でも快く受け入れていただけるので
大変助かっています。
4
TOTO
おぐまの
保育所
高 田
郵便局
篠崎2丁目
紫川JCT
都市高速道路4号線
田中医院
北九州市小倉北区篠崎3-5-24
TEL 093-561-3066
●職場紹介●
大手町病院の急性期医療を支える最前線です
ICU/HCU病棟
スタッフ数/45名(看護部で、一番人数の多い
病棟です)
病床数など
ICU:6床 外傷・各種術後・心筋梗塞・ショック・
重症感染症に対応
HCU:9床 一般病棟とICUのちょうど中間の管
理ができます
常に空気が張りつめた緊張の職場です
毎朝のカンファレンス
救急科の医師
信頼される看護を目指すICU・HCUスタッフ
スキルアップを欠かさない精鋭たち
患者さんとともに乗り越える喜び
私たちの病棟は、救急科がメインですが、全科の
医師と看護師がお互いの意見を尊重しあい、臨
医師に利用していただいています。そのため、
幅広い
床工学技士や、
リハビリスタッフなどの意見も反映
知識と看護技術・度胸・熱い心が要求されます。我が
しながら、
毎週1回、
回診をしており、
チーム医療の
病棟のスタッフは、
勉強熱心でスキルアップを欠かさ
醍醐味を感じられます。
ない精鋭揃いです。
業務内容は集中力を強いられ、神経をすり減ら
毎朝、
8時のICUカンファレンスから、
1日が始まり
すことも多いですが、
患者さんと共に急性期を乗り
ます。入室されている患者さんの病状・治療計画な
越えた喜びはとても大きいものです。
ど、
医師と看護で毎日デイスカッションして、
患者さん
今後も、
専門性を追求しながら、
患者さんやご家
にとって最善の治療ができるように意見交換をして
族に信頼される看護を目指していきたいと思ってい
います。
ます。
5
このたび被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げますとともに、
被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。
東日本大震災支援活動 レポート−
●3月11日の地震発生後
●3月12日……………対策本部を設置
●3月13∼ 1 5日……支援物資を東京まで搬送
原発の影響で第1次派遣を見送る
●3月17∼ 2 0日……第2次支援隊を派遣
●3月23∼ 27 日……第3次支援隊を派遣
●3月26∼4月1日……第4次支援隊を派遣
●4月9∼15日………第5次支援隊を派遣
●4月14∼21日………第6次支援隊を派遣
●5月9∼16日………第7次支援隊を派遣
▲今なおがれ
きが散乱する塩
釜
市
医療支援は救急から慢性疾患へ
震災から日が経つにつれ、救急医療が主だった医療支援
も次第に慢性疾患(薬が切れて急性増悪など)やインフル
エンザ、
ストレス性障害などへの対応へと役割を転化してい
くなかで、今後の支援については病院・避難所・地域とそれ
ぞれのニーズにあった専門医師(総合診療内科・心療内科)
やリハビリ、
これまで以上の看護師が必要となってきます。
▲支援拠点病院になった塩釜市の坂総合病院
第2次支援隊は院長を中心とし、医師1名と事務1名の計
3名で、塩釜市にある坂総合病院で医療支援を開始。その
後も順次、医師・看護師・薬剤師・臨床工学士など様々な職
種からの支援を行っています。
被災地の病院では、
トリアージ、各ブース(緑・黄・赤)、病
棟などに分かれての診療・看護を行いました。
また、避難所
での診療、物資の搬送と日々奮闘していますが、
ガソリン不
足が深刻なためそれほど数は回れません。
▲診療中の当院医師
現地ではまだまだ通常の医療活動ができる状態ではなく長期的支援が必要です。
引き続き支援を行っていきます。
「大手町地区病診連携の会」循環器ミーティング
■開催日 2011年5月13日(金)
場 所/ホテル ニュータガワ
参加者/61名
テーマ/「Holter 心電図で出会った症例」
講 師/帝京大学医学部付属溝口病院 第四内科
教授 村川 裕二先生
村川裕二先生の講演は、今回で3回目となります。先生の
出会った症例をもとに、解説を交えながらのわかりやすい講
義で、講義の終盤には大手町病院の検査科や研修医から
の質問が相次ぎ、今回も村川先生から多くのことを学びま
した。
6
三 宅 総 院 長を労う会
安全・安心の看護を求める大宣伝行動
5・14 ナースウェーブ
2011年5月14日
(土)に健和会から31人の看護師が「看
護の日」の宣伝行動に参加しました。第1部は、
リバーウォーク
■開催日 2011年5月20日(金)
場 所/小倉リーセントホテル
前で健康チェック・宣伝行動を行い、多くの方に署名のご協
力をしていただきました。
第2部では「爪ケア・上田さん支援集会」に参加しました。
健和会の看護師はもちろん、外部からも含めて、96人の参加
があり、非常に充実した1日でした。
▲三宅総院長を囲んで記念撮影
2011年6月1日をもって健和会大手町病院から健和会
京町病院へ異動することになった三宅昌総院長を囲み、記
念講演会とレセプションが開催され、健和会各事業所から
多数の参加がありました。三宅総院長の記念講演「大手町
▲リバーウォーク前で宣伝行動
病院の15年の歩みとミッション∼次世代へのメッセージ」
では、大手町病院に赴任してから15年間の思い出深い出
来事や、発展の歴史、今後への期待などを話しました。
大手町病院での15年間、
お疲れ様でした。
▲
上田さん支援集会
だれもが健康で安心して
住みつづけられる街づくりをめざして
佐賀県・祐徳稲荷神社と嬉野温泉へ
恒 例のバスハイク
5月29日(日)・6月5日(日)、小倉健康友の会恒例のバスハイクに行きま
した。
今年は佐賀県の祐徳稲荷神社と嬉野温泉でした。第1陣は台風接近で
あいにくの天気となり、
どうなることかと心配しましたが、祐徳稲荷見学中
は雨風が小康状態となり散策には問題ない程度でした。
第2陣は天気予報では
“大雨”
だったため、参加者さんから問い合わせ
のお電話などいただいて
おりましたが、
当日はお天
気に恵まれました。
総勢154名が楽しいひ
と時を過ごしました。
▲温泉湯豆腐と佐賀牛の食事を堪能
▲新緑が美しい祐徳稲荷神社
あなたも健康友の会に参加しませんか
1,000円の入会金で家族全員が生涯会員に!
お問い合わせは…
☎592-5513
▲
ハイ!みんないい顔で
友の会に
入ると…
●友の会健診が受けられます
●友の会ドックが受けられます
●楽しい行事に参加できます
●お友だちが集まれば、班会が開けます
7
(7月予定)
村上右児
三宅亮・角原・寺坂
寺坂 勇亮
古川 雄樹
野上健一郎
佐々木俊雄
唐木田真也
今井 彰子
古川 雄樹
東 真由
佐々木俊雄
唐木田真也
今井 彰子
佐々木俊雄
唐木田真也
今井 彰子
佐々木俊雄
唐木田真也
今井 彰子
佐々木俊雄
唐木田真也
今井 彰子
佐々木俊雄
唐木田真也
今井 彰子
香ロラハマン・
ムハマド・ファズル
感 染 症 科 八坂謙一郎(木曜)/小松 真成(金曜)
久田 裕史(月曜)
眼 科 輪 番(金曜)
ご注意ください ●第2・第4土曜日は休診になります。
●午後の内科診療は、
予約の方を対象とした専門外来のみです。
●内科午前の※印の箇所は初診及び紹介の方の診察は行っていません。
●診療体制が変更される場合がありますので、詳細はお問い合わせください。
表紙の絵
東日本大震災義援金は、5
月31日までに300,592円
集まりました。
ご協力ありがとうございま
した。
大手町病院 院長
東京 上野不忍池
健和会大手町病院 広報委員会
8
7月 3・9・10・17・18・
23・24・31日
8月 7・13・14・15・
21・27・28日
(油彩画/F10号)
今年3月、東日本大震災が起きる3日前、東京上野不忍池を散策し
ました。
その時の風景です。春、桜の咲くころは桜祭りに大勢の人で賑
わうところですが今年は中止となりました。池は葦(あし)
におおわれ、
キン
クロハジロなどたくさんの野鳥が水遊びをしていました。
その中で一羽、
ユリカモメの姿も印象的でした。
ここには寛永寺不忍池弁天堂があります。七福神の一人、
「福・徳・
智恵・財宝」
を与えてくれる神さまとして知られる弁財天が祀られており、
弁天様のご神徳によって、金運や開運招福などのご利益があるとされ
ています。
このほか、上野には美術館も多くあります。
●広報誌に関するご意見・ご要望は…
財団法人 健和会
休診日のお知らせ
〒803-8543 北九州市小倉北区大手町15-1
TEL 093-592-5511 FAX 093-592-5966
E-mail renkei@kenwakai.gr.jp
http://www.kenwakai.gr.jp/