12a-B4-8 第62回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集 (2015 東海大学 湘南キャンパス) 様々なドーピング密度を有する p 型 4H-SiC のホール効果の温度依存性 Temperature dependence of Hall effect in p-type 4H-SiC with various doping concentrations ○ 浅田聡志, 奥田貴史, 木本恒暢, 須田淳(京大院工) ○ Satoshi Asada, Takafumi Okuda, Tsunenobu Kimoto, Jun Suda (Kyoto Univ.) E-mail: asada@semicon.kuee.kyoto-u.ac.jp はじめに 4H-SiC は高温動作集積回路を実現可能な半導体材料として期待されている。そのような 4H-SiC 集積回路の設計には、キャリア密度や移動度の高温における温度依存性は重要である。n 型に関しては詳 しく調べられているが、p 型に関しては、報告が少ない[1,2,3]。そこで、本研究では、ドーピング密度が 1014~1019 cm-3 の p 型 4H-SiC に対してホール効果測定を 160~900 K の範囲で行った。 実験 n 型 4H-SiC(0001) 4°オフ基板上に、アルミニウム(Al)ドープの p エピ層 100 µm を成長したサンプル を用意した。p 層のドーピング密度は SIMS により実測し、5.8×1014~7.1×1018 cm-3 の 9 種類ある。サンプル は 5 mm 角で 4 隅に電極を形成した。良好なオーミック接触を得るため、電極直下に Al イオン注入及び活 性化アニールを施した。電極材には Ti/Al を用いた。van der Pauw 法によりホール効果測定を行った。測定 温度は 160~900 K、磁場は 0.515 T である。なお、ホウ素(B)の密度を SIMS により測定し、1013 cm-3 以下で あることを確認している。 結果 160~900 K における正孔密度のアレニウスプロットを Fig. 1 に白丸で示す。ここで、ホール散乱因子 は 1 として求めている。実線はアクセプタの励起状態を考慮し、半導体統計から求めた理論曲線を示す。 理論曲線のパラメータとして、アクセプタ密度 Na は SIMS により実測した Al の密度[Al]とし、イオン化エ ネルギーEa、ドナー密度 Nd は 200 K 以下のフィッティングから求めた値とした。測定値 pexp は高温で理論 値 pth よりも大きくなった。これは、ホール散乱因子を 1 と仮定したが、実際は 1 とは異なっていることに よると考える。そこで、散乱因子の温度依存性を pth/pexp より計算したところ Fig. 2 のようになった。低温 における理論曲線はフィッティングパラメータに大きく依存するため、出払い領域に近い 400 K 以上に注 目した。散乱因子はすべてのサンプルで 1 よりも小さくなり、温度上昇と共に低下した。散乱因子が 1 よ りも小さくなる現象は p 型 Si でも報告されており、 価電子帯の非放物線性によるものと解釈されている[4]。 p 型 4H-SiC においては Pensl らにより最初に報告され[1]、 最近 Parisini らも同様の結果を報告している[2]。 過去の p 型 4H-SiC では、1 より小さい散乱因子はドーピング密度に依存しないと述べられているが[1,2,3]、 本研究では、Fig. 2 のようにドーピング密度が大きくなるにつれて散乱因子が低下する結果が得られた。 SIMS の測定精度や理論計算の精度を含めて更なる検討を進めたい。 [1]G. Pensl, et al, Mater. Sci. Forum, 433-436, 365 (2003). [2]A. Parisini, et al, J. Appl. Phys, 114, 243703 (2013). 800 Temperature (K) 200 500 Hall Scattering factor for holes Hall hole concentration (cm -3) [3]F. Schmid, et al, Silicon Carbide. Recent Major Advances (Springer, 2004), p517. [4]J. F. Lin, et al, Solid-State Electon. 24, 827 (1981). ptheory -3 -3 Na(cm ), Nd(cm ), Ea(eV) 18 16 7.1x10 , 1.2x10 , 0.17 17 14 3.0x10 , 5.0x10 , 0.19 16 14 2.0x10 , 1.0x10 , 0.20 15 13 1.5x10 , 1.0x10 , 0.21 14 13 5.8x10 , 4.0x10 , 0.22 1018 1016 [Al] (cm-3) 7.1x1018 3.0x1017 1014 1012 1 1.2x1016 1.5x1015 5.8x1014 2 3 4 5 6 7 1000/T (K ) Fig. 1. Temperature dependence of Hall hole concentration from 160-900 K. The colored circles are measurement value and the colored solid lines are theoretical value. 13-099 5.8x10 14 cm-3 16 -3 2.0x10 cm 17 -3 3.0x10 cm 7.1x10 18 cm-3 0.8 0.6 0.4 0.2 0 400 8 -1 © 2015年 応用物理学会 1 500 600 700 800 Temperature (K) 900 1000 Fig. 2. Temperature dependence of Hall scattering factor for holes from 400-900 K.
© Copyright 2024 Paperzz