WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 2699号 WING DAILY 【HEADLINE NEWS】 ★SJAC、JKA補助事業に補助金申請 CAEP活動参加や国際標準化推進で 日本航空宇宙工業会(SJAC)はこのほど、JKA補助事業に 補助交付金要望書を申請した。この要望書のなかでSJACは 「航空機工業の標準化対応に関する調査研究等補助事業」と 「航空機工業の国際標準化推進に関する補助事業」に関して 補助金を申請。総額401万2000円の補助交付金を要望する申 請が出された。SJACによると、今後JKAの審査を受けること になるが、その内示額は来年3月の理事会で報告される予定 だ。 JKA補助事業は競輪の収益の一部を使って補助を行うもの だが、行政刷新会議の事業仕分けで取り沙汰されたことで、 「JKA補助事業及び交付金還付事業のあり方検討ワーキング グループ」で議論が繰り広げられた。SJACは従来、『航空 機工業の国際競争力強化に関する調査研究等補助事業』で革 新的な航空機技術について企業に委託して研究を行っていた ほか、国際航空ショーの出展資金に充てるなどしていた。た だ、JKA補助事業が前述の通り仕分け対象となったことで補 助金の仕組みが見直されたこともあって、補助金申請額は大 幅に減少している。 今回申請された「航空機工業の標準化対応に関する調査研 究等補助事業」への申請額は141万円で、自己負担額は70万 6000円。航空機分野におけるCO2等の環境排出物の規制強化 に関する国際民間航空機関(ICAO)の航空機環境保全委員会 (CAEP)の活動に参画するために要望した。来年2月にモン トリオールで開催するCAEP9では、CO2排出基準設定が決定 される予定で、SJACとしてはCAEP9での決定事項を関係者 に周知すると共に、個々の航空機に設定される規制値などの 最新情報を入手していきたい方針だ。また、並行して開催さ れる予定の窒素酸化物・航空機騒音等の規制強化の検討活動 にも参画していく。 一方、「航空機工業の国際標準化推進に関する補助事 業」の補助金要望額は260万2000円で、自己負担額は130 万1000円。国際標準化機構(ISO)や国際電気標準会議 (IEC)の国際会議に参画して、日本発の規格提案や他国 提案に対して日本の意見を織り込むことを狙うほか、国際 会議で入手できる最新情報を国内産業界に伝達していきた い考え。 SJACによると、航空機の規格は、ボーイングやエアバ スのルールが事実上の標準として使われている、いわゆる デファクト規格が中心となっているが、航空機製造のグ ローバル化が進んでいるなかでは、ISOやIECを活用して 国際的に統一化する動きが高まっているという。 そこで、日本としても得意の技術力を使って、ISO/ TC20(航空機及び宇宙機)、SC1(航空宇宙電気系 統)、SC9(航空貨物・地上機材)、SC10(航空宇宙用 流体系統)、さらにIEC/TC107(航空用電子部品プロセ 2012年(平成24年)10月4日(木曜日) (1) Airline & Aviation E-mail News 発行所 航空新聞社:W I N G D A I L Y 編集部 〒1 0 7 - 0 0 5 2 東京都港区赤坂 4 - 8 - 6 赤坂余湖ビル3 階 TEL(03)3796-6647 FAX(03)3796-6643 URL=http://jwing.com E-mail=mail@jwing.com 購読料 半年33,600円 年間63,000円(消費税含む) スマネジメント)といった国際会議に参画して、日本が遊離 となるように主張していきたい考え。 なお、SC1では半導体電源遮断器の規格改定やアルミ電線 の規格化などが推進、SC9はパレット・コンテナの規格化、 SC10で高圧配管の規格化などが進められているほか、 TC107で鉛フリー電子部品の対応が検討されている。 【航空関連ニュース】 ★スクート、10月29日に成田線開設決定 台北9540円〜、シンガポールは1万4780円〜 シンガポール航空の子会社の格安航空会社スクート(3レ ター:SCO、2レター:TZ)は、成田−台北(桃園)−シン ガポール線の就航日を10月29日決定した。運賃は東京−シン ガポール間で1万4780円(シンガポールドル:199ドル)。ビ ジネスクラスに当たるスクートビズを利用しても2万2780円 (シンガポールドル:349ドル)と格安だ。また、経由する 台北までの運賃は9540円(1998台湾ドル)で、スクートビズ を利用した場合の運賃は1万9540円(4999台湾ドル)。チ ケットは10月3日から開始した。なお、航空局は10月3日、ス クートからの外国人国際航空運送事業の経営許可申請を認可 した。 スクートは昨年6月に設立されたばかりのシンガポール航空 傘下の格安航空会社。スクートのキャンベル・ウィルソン最 高経営責任者(CEO)は6月に来日した際、スクートの日本 路線の目標搭乗率については「年間およそ30万座席を提供し て、L/Fは75%以上を目指している」との見解を明らかにし ていた。 日本地区総代理店を務めるエア・システムによると、「ま ずは成田−台北間を売り込みたい」とのこと。ただ、日本と 台湾の間では、台湾側が日本の尖閣諸島の領有権を主張して いるという大きな課題を抱えていて、台湾の漁船が領海に侵 入したりするなど緊張が高まっている。スクートとしても スクートの777-200型(提供:スクート) WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 2699号 2012年(平成24年)10月4日(木曜日) (2) かし航空局では、より正確な騒音レ ベルを反映するべく、2013年4月1日 からLden(時間帯補正等価騒音レベ ル)に変更することを決定してお り、このセントレア周辺調査もこれ に準ずると見られる。 Ldenでは航空機騒音の単発騒音暴 露レベルに19〜22時の単発騒音暴露 レベルには5デシベル、22〜翌07時 には10デシベルを加えて、1日の騒 音エネルギーを加算したのち、1日の 時間平均をとってレベル表現する。 ★ソラシド、機体活用プロジェク ト「空恋」1号 綾町をPR、「綾 ユネスコ・エコパーク号」 『エコノミークラス(ストレッチシート)』と『スクートビズ』(提供:スクート) 「これ以上悪化せずに沈静化することを期待したい」と話し ていて、事態の沈静化を願っている段階だ。 スクートの日本就航は10月29日からとなるが、去る9月18 日から週3便でシンガポール−台北間を運航開始。成田−台北 間の運航開始にあわせてシンガポール−台北間もデイリー化 する。 スクートのビジネスモデルは、日本で今年相次いで設立さ れた格安航空3社とは異なっていて、本邦LCCはA320を使っ た短距離ネットワークを主軸として展開していることに対 し、スクートは777-200型機(402席仕様:エコノミー370 席、スクートビズ:32席)を保有し長距離路線展開。シンガ ポールを拠点に、シドニー、ゴールドコースト、バンコク、 天津などにもネットワークを有する。先頃、同じくシンガ ポールに拠点を置くタイガーエアウェイズ・シンガポールと パートナーシップに関する覚書を交わしている。 なお、成田−台北−シンガポール線の運航ダイヤは以下の 通り。 ▼TZ202=シンガポール00時55分→台北着05時40分→台北発 06時50分→成田着10時40分 ▼TZ201=成田11時55分→台北着14時35分→台北発15時45 分→シンガポール20時10分 ★セントレア、航空機騒音の定期調査で基準値下回る 愛知・三重の10地点で1週間測定 中部国際空港(セントレア)は10月3日、定期的に実施す る航空機騒音の調査について、愛知・三重県内10地点で実施 した平成24年度第1回目定期監視調査結果をまとめた。これ は6月10〜16日の調査期間中の連続測定の結果で、全地点で 航空機騒音に関する環境基準値のWECPNL70を下回る結果と なった。 調査地点と測定結果については、愛知県常滑市常滑西小学 校でWECPNL50、南知多町町民会館体育館で50、愛西市愛 西市役所で52、弥富市十四山西部小学校で56、弥富市鍋田公 民館で59、三重県桑名市大山田地区市民センターで51、木曽 岬町農村集落多目的共同利用施設で56、四日市市海蔵地区市 民センターで48、伊勢市神社みなとまち館で47、鳥羽市鳥羽 東中学校で26となった。 基準としているWECPNLは加重等価平均感覚騒音レベルと いって、音の大きさの感じ方が回数や時間帯で異なることを 考慮した評価で“うるささ指数”として用いられている。し ソラシドエアは機体活用プロジェクト「空恋から空で街と 恋をする〜」の第1弾として、宮崎県の綾町「綾 ユネスコ・ エコパーク号」を10月18日に初フライトすると発表した。機 体活用プロジェクトは地域振興を目的としたプロジェクト で、機体側面に九州・沖縄の自治体名を表示すると共に、機 内では自治体の独自アイデアでPR活動を展開する。1機1自治 体1年間を基本として、ソラシドエアと自治体が共同で取り組 んでいく。 また、ソラシドエアは就航10周年キャンペーンとして、 「親子で飛ぶ 宮崎・綾ユネスコ エコパークの旅」と題 し、親子ペア15組30名を宮崎県綾町に招待する。 綾町は今年7月に、国内では32年ぶりに「ユネスコ エコ パーク」に登録。手つかずの大自然や伝統工芸に触れて、地 元食材を堪能するなど、宮崎の魅力を味わってもらう。 ★中部圏、巨大地震時の防災拠点の配置決定 高次支援機能を静岡空港と名古屋飛行場に 東海・東南海・南海地震対策中部圏戦略会議防災拠点の ネットワーク形成に向けた検討会は、中部圏における防災拠 点の配置の在り方を決定した。それによると、高次支援機能 は静岡空港と名古屋飛行場、そして名古屋港に置くことが決 まった。司令塔機能は静岡県庁と名古屋市三の丸地区に置 く。 検討会は今年度2回(5月、7月)開催されており、中部圏 における防災拠点の配置のあり方を検討してきた。10月2日 に開催された第3回会議において、検討会の事務局である中部 地方整備局から最終案が報告され、前述の通り、基幹的広域 防災拠点(司令塔機能)、基幹的広域防災拠点(高次支援機 能)に置くことにした。 また広域防災拠点は、静岡県内では西部地区(「浜松地 域」、「中東遠地域」)、中部地区(「志太榛原地域」、 「静岡地域」)、東部地区(「沼津地域」、「伊豆半島地 域」)の6カ所が候補となった。 静岡県によると中部地方整備局では、中部圏の自治体や防 災関係機関からなる中部圏戦略会議において「中部圏地震防 災基本戦略」に位置づけ、中部圏全体の総意としたうえで、 内閣府等を交えて具体的な拠点の整備手法、整備優先度等の 検討を進め、平成25年3月を目途に「中部圏広域防災ネット WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 2699号 2012年(平成24年)10月4日(木曜日) (3) ワーク整備計画」を策定する予定にあるという。 静岡県としても、既に基幹的広域防災拠点が整備されてい る首都圏、京阪神都市圏と同様、中央防災会議が決定する防 災基本 計画に中部圏が位置づけられ、具体的な整備が進め られていくよう、内閣府をはじめとする国の関係機関に働き かけていく方針だ。 ★NAA、成田空港カレンダーを5日より販売 成田国際空港会社(NAA)は10月5日から、成田空港オリ ジナルカレンダーの販売を行う。2013年版は「成田から世界 へ」をコンセプトとして“彩りある旅を、NARITAから”と いったテーマに基づいて製作したとしている。 販売店舗は空港内が、改造社書店、三省堂書店、千葉ト レードセンター、ちばぼうきょう、日本土産専門ショップ 桜、バイプレーン、Fa-So-La DRUGSTORE南ウイング 店、Fa-So-La TAX FREE AKIHABARA(出国手続き後)、 まきば。そのほかの販売店は、航空科学博物館、紀伊國屋書 店新宿南店、三省堂書店神保町本店および名古屋高島屋展、 書泉グランデ(神保町)、書泉ブックタワー(秋葉原)、の りもの倶楽部(市ヶ谷)、BOOK Depot書楽(北与野店)な ど。また「amazon.co.jp」では送料無料でインターネット販 売を実施する。 販売価格は税込1260円、販売数は約2500部でなくなり次第 終了となる。 瞬時に爆発物の微粒子を検知することができる搭乗ゲート (提供:日立製作所) 【航空工業/宇宙関連ニュース】 題も浮き彫りとなっている。 そこで日立製作所ら3者は共同で搭乗券やIC端末に付着した 微粒子を効率的に採取して分析する装置を開発。搭乗券とし て使われるICカードや携帯端末を読み取り部にかざした際 に、高速の気流を利用して付着微粒子を採取する技術の開発 に成功した。 採取した微粒子を高感度で質量分析するために、不要な空 気を逃がす必要があることから、回収した気体から微粒子の みを効率的に分離し、貯めこむことのできるサイクロン方式 の遠心分離技術を採用。 その上で、真空中でイオン化した試料分子をリニア領域(線 形領域)に保持・濃縮して分析を行う、リニアオントラップ 型の感度質量分析技術を応用した電源系と制御系の実装を工 夫することで、小型の質量分析装置を開発し、搭乗ゲートに 内蔵した。 なおこの装置は、10月17日から東京ビッグサイトにて開催 される「テロ対策特殊装備展'12」で、連続運転試験を兼ねた 実機展示を行う予定だ。また、来年度から、公共交通機関に おける実証試験を予定にあるという。 ★日立ら、搭乗券等付着微粒子で瞬時に爆発物探知 搭乗ゲート試作、1時間で1200人の検査可能に ★IHIジェットサービス、航空転用GT移動電源車を東電に 3万6000キロワット級、原発非常電源として 日立製作所、日本信号、そして山梨大学は共同で、空港な ど公共施設のさらなる安全強化を目的として、爆発物の探知 装置を内蔵した搭乗券読取装置を試作した。この搭乗ゲート は、搭乗券として使われるICカードや携帯端末に付着した微 粒子を効率的に採取し、内蔵した装置によって分析すること で爆発物の有無を1〜2秒で探知するもの。この方式を使え ば、1時間あたり約1,200人の検査が可能とのことで、例えば 搭乗直前でゲートを通過する乗客の流れを妨げることなく全 員を対象に検査ができることから、安全強化と利便性を両立 させた爆発物持込みの防止・抑制に寄与する技術として期待 されるところ。なお、この研究開発は文部科学省の科学技術 戦略推進費で実施した。 空港におけるテロ対策は9.11同時多発テロ以降、保安検査 態体制が強化されている。安全・安心を担保するための取り 組みだが、一方で厳重な検査によって時間を要するなど、課 IHIの子会社IHIジェットサービスはこのほど、東京電力柏崎 刈羽原子力発電所および福島第二原子力発電所向けに3万 ★成田、期間限定でアンダーウエア専門ブランド 成田国際空港は10月4日〜2013年1月31日の期間、第1旅客 ターミナルビル本館4階にアンダーウエアショップ「LuncH (ランチ)」が期間限定でオープンしている。 同ブランドは空港初出展で、インナーだけでなくアウター としても着こなせるユニークな賞品を取りそろえる。営業時 間は08時00分〜20時00分。 東電に納入した3万6000キロワット移動電源車(提供:IHI) WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 2699号 6000キロワット移動電源車を納入した。 これはロールスロイス社製航空機転用型ガスタービンを25 トントラックに搭載したもので、一般道走行が可能なため機 動性に優れ、特に原子炉冷却用の大容量ポンプの電動機を直 接駆動することができるという。 システムは2台のトラックで構成され、25トントラックに 発電機とガスタービン、15トントラックに制御機器、バッテ リー、燃料タンクを搭載している。航空機転用型ガスタービ ンは立ち上がりが早く、緊急時の即応性に優れることが特 徴。 IHIジェットサービスでは、これまでに40台の移動電源車を 電力会社、通信会社に納入しており、ロールスロイス社製航 空転用ガスタービンの主整備工場認定を受けて、国内での重 整備まで実施している。 【防衛関係ニュース】 ★海自、哨戒機対潜能力向上の研究要求 P-1の搭載品更新時期に合わせて実施へ 防衛省は「哨戒機搭載システムの対潜能力向上の研究」を 2013年度概算要求に盛り込んだ。対象となる哨戒機はP-1哨 戒機で、今後予定される「COTSリフレッシュ」(民生品に よるハードウエア等の更新)の時期に合わせて、能力向上を 図る考えだ。2013年度概算要求額は約30億円、研究試作総額 は約82億円を見込み、2013〜2016年度にかけて研究試作、 2015〜2016年度にかけて所内試験という計画。 内容は音響システム、非音響システム、戦闘指揮システム のそれぞれについて能力向上の研究試作を行い、2020年代以 降に予想される潜水艦の静粛化や高性能化に対して、優位性 を拡大しようとするもの。 潜水艦の技術動向は一層の静粛化、音響ステルス化、潜望 鏡のステルス化、航続距離の延伸化が予想され、今年度末に 就役を開始するP-1の当初搭載システムでは将来探知が困難 になると予想される。 例えば、音響システムでは、米国は複数のソノブイにより 相互の音波送受信信号を組み合わせて潜水艦を探知するマル チスタティック戦術を開発しているといわれるが、日本に技 術開示される可能性は少なく、日本独自での研究開発を行っ ており、基礎研究から実機搭載に向けての研究試作が今回の 要求に含まれる。 非音響システムには、レーダー、光学センサが含まれ、潜 望鏡を探知できるレーダーの一層の性能向上や潜没潜水艦の 航跡を探知できる光波センサの研究の実用化を図る。 戦闘指揮システムは、音響系、非音響系を合わせた大量の センサ情報を融合処理して、哨戒機搭乗員に最適な探知戦術 のリコメンドを自動的に行えるよう一層の能力向上を図る。 海上自衛隊はこれまでライセンス生産したP-3Cについて米 軍の近代化の一部導入や独自の改良を行ってきたが、1機毎に 細かい仕様が異なるとまで言われるように運用、維持整備上 の問題もあった。純国産のP-1では開発段階から、維持整備 の合理化のため統合後方システムの概念を徹底し、開発完了 後も近代化計画を計画的に進めていく方針を持っている。 開発期間の延伸により、実機就役と同時に近代化計画がス タートする形となったが、10年以上に及ぶ開発期間を考慮す れば、当初見通しの不備や開発結果が不十分という訳ではな 2012年(平成24年)10月4日(木曜日) (4) く、長期に亘り装備品を維持していくためには、このような 継続的な近代化は不可欠と言える。哨戒機は戦闘機に比べ飛 行環境が厳しくないので、COTS(民生品)の電子部品を採 用して、コストを押さえ、適切な近代化を繰り返し行うこと が予想される。 ★相模湾で自衛隊観艦式が14日に 航空機は陸海自含め45機参加 海上自衛隊は10月14日に相模湾で「平成24年度自衛隊観艦 式」を開催する。自衛隊中央式典として3年に1度開催される もので、今回は艦艇48隻、航空機45機(支援用航空機を含 む)の規模で実施され、米、豪、シンガポール軍艦各1隻が祝 賀航行を行う予定。また、統合行事として陸自航空機6機、空 自航空機7機も参加する。 初参加の最新鋭艦としては昨年度末就役した護衛艦「あき づき」(基準排水量5050トン)が受閲部隊旗艦として先頭を 切る。 実施責任者は海上幕僚長・河野克俊海将、執行者は自衛艦 隊司令官・松下泰士海将。 海自では「守る この海・夢・未来」を公募により今回の キャッチフレーズとしている。 祝賀航行する外国艦艇は、豪フリゲート「シドニー」、シ ンガポール揚陸艦「パーシステンス」、米巡洋艦「シャイ ロー」。 観艦式後に訓練展示が行われるが、展示項目は前回と同じ で、特に動的防衛力整備を強調するものは見られない。 受閲航空部隊は海自21機、陸自3機、空自6機で9群を構 成、指揮官は海自航空集団司令官・畑中裕生海将が指揮官機 UP-3Cに搭乗する。受閲編隊はSH-60J×3機とUH-60J×2 機、MCH-101×3機、MH-53E×3機、陸自CH-47J×3機、 TC-90×3機、US-1A×1機とUS-2×2機、P-3C×3機、空 自F-2×3機、空自F-15J×3機。その他観閲官を輸送する陸 スーパーピューマなど輸送任務などで12機が支援任務を行 う。 【海外メーカーニュース】 ★ボーイング、貨物市場の成長は年5.2% 長期的には需要伸張、アジアが業界成長リード ボーイングは今後20年間の世界航空貨物市場予測を発表し た。その予測によると、航空貨物市場は今後20年間で約2倍 に拡大する世界のGDPが牽引役となり、年平均5.2%で成長 すると予測した。 航空貨物市場はリーマン・ショックの影響から立ち直りが みられた2010年に需要が回復する傾向にあったものの、欧州 の財政危機や米国が「財政の崖」に立たされたことで、急速 な経済成長を遂げていたアジア経済にもややブレーキがか かっていることもあって、2011年には需要が減少。今年も昨 年の需要を下回る見通しだ。ただ、ボーイングは長期的には 航空貨物量は増加すると試算している。 ボーイング民間航空機部門のビジネス開発&戦略統合担当 のリージョナル・ディレクターであるトム・クラブツリー氏 は、「近年の業界の不確実性により、航空貨物の将来の見方 には大きな差があります。が、世界のGDPや生産量といった WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 2699号 経済の動向が今後も航空貨物市場を牽引する主要因となるこ とは変わりない。3.2%のGDP成長予測やより高い運航効率 の必要性といった指標が長期にわたって市場に影響を与える だろう」との見通しを示した。 ボーイングでは2031年までの20年間で貨物機の機数は現在 の1738機から3198機に増加すると予測。このうち新造機が 935機(2500億ドル)、旅客機からの改造機が1820機となる みている。 これらの航空機の機体需要をサイズ別にみると、航空会社 が機数を増やすことなく航空貨物の伸びに対応出来る効率性 や性能を持つ大型貨物機の需要が高く、747型機や777型機に 代表される大型貨物機 の占める割合が現在の31%から36%に増加すると予測してい る。 世界の航空貨物需要が前述の通り年平均5.2%成長していく ことが予測されているなか、地域別でみると、アジア太平洋 市場が業界の成長をリード。特に中国国内は8.0%(2001年2011年:10.9%)、アジア域内も6.9%(2001年−2011年: 4.5%)と予測されているほか、北米—アジアが5.8%(2001 年−2011年:5.8%)、欧州—南アジア間が5.8%(2001年− 2011年:6.1%)、欧州—アジアが5.7%(2001年−2011 年:6.2)、欧州−中東間でも5.7%(2001年−2011年:9.5 %)と予測されるなど、世界平均を上回る成長が見込まれて いる。 〔今後20年間の航空貨物需要の成長率〕 ▼世界=2011年−2031年:5.2%、2001年−2011年:3.7% ▼北米域内=2011年−2031年:-1.5%、2001年−2011年: 2.3% ▼ラテンアメリカ−北米=2011年−2031年:5.6%、2001年 −2011年:1.8% ▼ラテンアメリカ−欧州=2011年−2031年:5.3%、2001年 −2011年:3.2% ▼欧州−北米=2011年−2031年:3.5%、2001年−2011年: 1.5% ▼欧州域内=2011年−2031年:2.4%、2001年−2011年: 1.6% ▼中東−欧州=2011年−2031年:5.7%、2001年−2011年: 9.5% ▼アフリカ−欧州=2011年−2031年:4.8%、2001年−2011 年:3.2% ▼アジア−北米=2011年−2031年:5.8%、2001年−2011 年:4.3% ▼欧州−アジア=2011年−2031年:5.7%、2001年−2011 年:6.2% ▼アジア域内=2011年−2031年:6.9%、2001年−2011年: 4.5% ▼南アジア−欧州=2011年−2031年:5.8%、2001年−2011 年:6.1% ▼中国国内=2011年−2031年:8.0%、2001年−2011年: 10.9% ★ボーイング、GECASから737MAX等100機を正式受注 受注総額は60億ドルの大型契約に ボーイングは10月3日(シアトル現地時間)、GEACASと 2012年(平成24年)10月4日(木曜日) (5) の間で737MAXなど計100機の大型受注契約を正式に交わし た。これは今年のファンボロー国際航空ショーでコミットメ ントされていたもので、正式契約を交わすことに当たり GECASは、737-800型機を15機追加発注。ボーイングによ ると、受注総額は60億ドルに達する。 GECASが発注した737MAXの内訳は、737MAX8が75機、 737-800型が25機(うち15機を追加発注)。今回の受注で、 737MAXの確定受注数は累計821機となった。 【海外エアラインニュース】 ★EVA、スター加盟向けアマデウス アルテア導入 アライアンス推奨ITプラットフォームを採用 アマデウスの発表によると、エバー航空(EVA)ではス ターアライアンス加盟に伴い、国際線旅客管理システムにア マデウス アルテアを導入する。システムの完全稼働は2013年 を予定する。EVAでは現在、アライアンス正式加盟に向け準 備を進めているが、この導入により状況が一歩進捗したこと になる。 スターアライアンスはアルテアを推奨ITプラットフォーム としており、現在加盟航空の64%が同システムを導入してい る。EVAとしてはアルテアの導入で、アライアンス各社との 連携をより強固なものにできるというメリットがある。 EVAではアルテアの導入に併せ、アルテア レベニューマネ ジメントも導入する。これは航空会社が従来から利用する収 益管理方法に加え、需要予測や意志決定支援ツールを提供す るというものになる。 ★DAL、9月の太平洋線ロードファクターは84.3% ASM2.2%増・RPM5.3%増、運航完了率99.8% デルタ航空(DAL)9月の太平洋路線の輸送実績は、座席 供給量を示す有効座席マイル(ASM)が前年同月比2.2%増 としたのに対し、旅客需要を示す有償旅客マイル(RPM)は 5.3%増となり、ロードファクターは2.5ポイント増の84.3% を記録した。 全路線網のASMは0.6%減、RPMは1.1%減で、ロードファ クターは0.4ポイント減の83.2%だった。 旅客単位収益(PRASM)については、前年同月比0.5%増 と、DALの当初見込値を下回る伸び率となった。DALではこ の点について、当日購入の搭乗者が予測を下回ったこと、運 航の完了・達成率が向上したこと、およびチャーター便運航 によるキャパシティ増加に伴うもの、と説明している。 なお、9月の定時到着率は89.4%、幹線の運航完了・達成率 は99.8%だった。 ★サウスウェスト、デンバーに乗員センター開設 サウスウェスト航空は10月1日(現地時間)、デンバー国 際空港に乗員センターを開設した。サウスウェスト航空に とって、この乗員センターは9番目の拠点で、パイロットおよ び客室乗務員およそ800人規模(パイロット:約400人、客室 乗務員:約400人)のホームベースとなる。なお、同社は同 日、ラインメンテナンスをデンバーで開始した。 サウスウェスト航空は2006年1月3日にデンバーに就航。現 WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 2699号 在では1日166便を54地点に向けて運航している。 【旅行関連ニュース】 ★フランス観光開発、女性とシニアに重点施策 来年「女子会」発足、日本向け予算は例年並み フランス観光開発機構のフレデリック・メイエール日本代 表は本紙らのインタビューに対し、来年以降のプロモーショ ン方針について、「女性とシニアにターゲットを絞り込んで アピールしていく」考えを示した。年明けにも女性向けのプ ロモーションとして「フランス女子会」を開始する計画。シ ニア層向けにはフェイスブックなどのSNSを活用し、新しい 角度からアプローチしていくことを視野に入れる。 女性向けの「フランス女子会」では、女性が興味を持ちそ うな美容やショッピング、ファッションなどに焦点を当て、 パリをはじめフランス全土にある“かわいい!きれい!たの しい!フランス”を紹介していく。同機構が展開中の「感動 大国、フランス。」キャンペーンと連動させ、フランス女子 会専用サイトの試験運用を今年8月から開始、来年には本格運 用する計画だ。 シニア向けのプロモーションはまだ具体化していないもの の、「日本のシニア層はソーシャル・ネットワークなどのIT も活用することから、新しいプロモーションの方法を取り入 れたい」(メイエール氏)考え。現地のホテルや観光施設な どのサプライヤーには、日本人シニア層が求める快適性など のニーズを的確に伝えるなど、受け入れの水準を高める取り 組みも行っているという。 来年度のプロモーションにかける予算については、「フラ ンスの日本に対する投資は堅調。増えはしないが、減りもし ない」として、今年度と同規模の広告展開や販促活動を行う 方針。今年9月に実施した交通広告は、来年4月にも首都圏を 中心に大規模な実施を予定する。また、インターネット上で の展開も強め、「感動大国、フランス。」のキャンペーンサ イトをより充実させていく考えだ。 一方、フランス観光開発機構は今年のJATA旅博でのブー ス出展を見送った が、その理由につ いてメイエール氏 は、「フランス観 光開発機構の全世 界的な方針として 見本市への出展を 少なくする傾向に ある」としたうえ で、「(見本市へ の出展は)国やデ スティネーション の知名度が低けれ ば効果はあるが、 フランスはそうい う段階を終えてい る。これからは ターゲットとテー マを絞って消費者 フランス観光開発機構の にアプローチして フレデリック・メイエール日本代表 2012年(平成24年)10月4日(木曜日) (6) いくべきだと考えている」と話した。 上半期日本人客7〜8%増、地方への分散化進む 第2回ノルマンディー印象派展など来年目玉に フランスへの日本人需要は堅調に推移している。今年上半 期(1-6月)の時点でフランス全土の日本人宿泊数は、前年 同期より7〜8%増加したもよう。「今年末までには人数、宿 泊数ともに前年を上回るだろう」(メイエール氏)と見てい る。 量的な拡大に加え、「パリだけでなく地方都市へ行く日本 人も増えている」のが最近の傾向。「フランスの魅力は地方 ごとに異なる顔を見せる多様性だが、それに日本人が気付き 始めたのではないか」として、旅行会社に対しても地方周遊 の商品をさらに拡大してもらうよう呼びかけていく。展開中 の感動大国キャンペーンでも、地方にある体験素材をより積 極的に紹介し、消費者の需要喚起につなげていく。 2013年のセールスポイントでは、第2回目となる「ノルマ ンディー印象派フェスティバル」と「マルセイユ欧州文化都 市」の2つを目玉にする。また、エールフランス航空の日本就 航60周年や、パリにあるギャラリー・ラファイエット百貨店 パリ・オスマン本店の100周年といった周年事業も活用して いく。 また、“フランスの美しい村”が最も多いミディ・ピレ ネー地方や、プロヴァンス最南端に位置するイエール地方と いった、地方の中でもさらに深い地域の紹介にも力を入れて いく。 同機構では今年11月15日締め切りで「フランスツアー企画 コンテスト」を実施しているが、来年度の同コンテストで は、地方への旅行企画をテーマにする計画だという。ちなみ に、今年度はフランスの名所巡りをテーマにしており、ベス トプランニング賞に選ばれた人にはフランス旅行をプレゼン トする。 なお、今年の業界向けワークショップ「S A K I D O R I FRANCE 2012」は10月2日に大阪、同3日に東京で開催。現 地から24企業・団体、30名の担当者が来日し、商談や最新情 報の提供をおこなった。 【組織・人事】 ★国土交通省人事 (10月2日付) ▼大臣官房(大臣官房人事課長補佐(兼)国土交通副大臣秘 書官事務取扱)鈴木貴典 ▼大臣官房人事課長補佐(兼)国土交通副大臣秘書官事務取 扱(総合政策局政策課企画専門官)高田公生 ▼総合政策局政策課企画専門官(大臣官房人事課付(兼)国 土交通大臣政務官秘書官事務取扱)岩川勝 ▼大臣官房人事課付(兼)国土交通大臣政務官秘書官事務取 扱(総合政策局海外プロジェクト推進課海外プロジェクト推 進官)渡邉敬
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