公 共 政 策の新たな扉を開く 北海道大学 公共政策大学院 2016 大 学 院 案 内 グローバル社会に求められる 視点を身につけた、 新たな時代を担う公共政策の フロンティアたちを育成。 北 海 道 大 学 公 共 政 策 大 学 院 4 つのK E Y W O R D 既 存の学 問の枠を越えた、新しい知の体 系から生まれるもの。 文と理 の 融 合 北海道大学公共政策大学院の最大の特徴は、法学研究科・経済学研究科・工 グローバル化と多様化が進む社会において 学院による「文理融合」という理念です。 「公共経営コース」 「国際政策コー 公共部門の政策提起能力がますます問われる一方、 ス」 「技術政策コース」の3コースを併設。相互に刺激し合いながら、既存の学 民間企業や非営利団体の発信する政策も重視されています。 政策の担い手が飛躍的に増大する時代のニーズに応え、 問分野やこれまでの専門領域を超えて、公共政策に必要な学問領域を横断 的・体系的に学ぶことができます。 柔軟な発想と豊かな知識で新たな政策課題に対応できる、 現代社会が必要とする公共政策の担い手を育てること。 これが北海道大学公共政策大学院の使命です。 理 論と実 務のコラボレーションで、社 会が抱える課 題を解 決する力を養う。 構 想 力と実 現 力 公共政策の研究者等に加え、中央省庁や政府機関など、各界の第一線で活躍 されている実務家を教員として迎え入れています。理論と実務との連携を重視 し、個別の政策課題の解決に当たって必要な「構想力」と「実現力」の融合を 図ることによって、 これからの社会に求められる「政策の創造者」となる実務者 の養成を目指しています。 ボーダーレス化する国 際 社 会と地 域 社 会を、 フレキシブルな視 点で考 察する。 「 グローカル 」 な 視 点 現代において、全世界共通のグローバル化によって生まれている諸課題に対す る国際的な知見と行動力を持つことが求められる一方、 グローバリゼーション が地域(ローカル) に与える影響を認識することも重要です。双方を見据えた 「グローカル」な視点で、現代社会が直面する様々な問題解決を図るための政 策形成・実施能力の獲得を目指します。 CONTENTS 01 公共政策大学院の目指すもの 04 公共政策大学院特別座談会 07 教員メッセージ 09 コースとカリキュラム 北 海 道という土 地の特 性を理 解し、地 域の実 情に適 合した公 共 政 策を提 案 。 北 海 道 発の公 共 政 策 地域主権の時代を迎え、市町村の自治を広げる流れが続いています。 しかし、地 方の自立は、 その地域に活力がなければ実現することはできません。産業や雇 用を創出し、持続的に成立させるためには、 その地域の実情を踏まえた公共政 12 実践的な講義内容 13 在校生の声 策が重要です。地方からの視点を活かした、北海道という土地にしっかりと足の 15 修了後の進路/国際交流 ついた政策を考えます。 17 学修の支援 19 研究と発信/社会との連携 21 入学試験について 01│ Hokkaido University Public Policy School Hokkaido University Public Policy School │02 多様な価値観に触れて、 新しい視点を手に入れる。 D e an ’s M e ssag e 公共政策大学院 新たな存在意義の創造へー 。 2005年4月に開学した北海道大学公共政策大学院(HOPS) は、本年3 月末で10周年を迎えました。約300名の卒業生が、官公庁、 マスコミ、民 間企業など、幅広い分野で活躍しており、 ようやく現実の社会とつながる 存在になってきたものと考えています。 開学の時分は、 専門領域に特化した従来の高等教育の延長上に縦割り の社会構造があり、時代の変化のなかである種の閉塞感も強まってきた 頃でした。 そうした状況を踏まえ、文系や理系の枠にとらわれず、公共政 策に真に必要な学問領域を体系化して学ぶ大学院を目指してきました。 授業科目を様々な研究科の領域に広げ、文系と理系の教員が共同して 同一授業を実施するといったことにも取り組んでいます。 また、 構想力と実 現力を養うために、 徹底して学と実務との連携を図っています。研究者に 加え、各界の第一線で活躍されている方々を実務家教員として迎えると ともに、 直接実務に接する授業科目も多く用意しています。卒業生からよく 「文系と理系出身者が、 同じテーマで議論することで多くの啓発を得た」 「年の離れた社会人学生に実務のありようを肌感覚で教えられた」 といっ 公共政策大学院 院長 石井 吉春 豊富な経験を有する実務家教員。 学ぶ重要性は増していくでしょう。 小浜 なるほど。小磯先生はどうお考えですか。 小浜 現代における公共政策の重要性につい 小磯 原発の問題とか、中東での紛争問題と て、 まず遠藤先生からお伺いします。 か、現実社会にはいろんな課題が生まれていま 遠藤 たとえば、 日米同盟をどうするかといった す。それをどうやって解決すればいいのか、 この ことは、 日本の安全保障のみならず隣国との関 問いに応えるのが公共政策です。研究者の道 係に直結します。それ以外にも、TPPと北海道 を歩むだけじゃなくて、社会人として自覚的に生 の関係や原発の問題などは実際に我々の生活 きたいという学生に対して、公共政策を学ぶ意 国際社会では、 アジア地域の経済発展などを背景に、資源・食料制約や に響いてきますから、公共政策というのは誰もが 義を伝えることが重要だと思います。 無関心ではいられないものなんです。 小浜 原田先生はいかがですか。 環境問題が顕在化しており、地域的な紛争も増加しています。 わが国で 域的にみても、 エネルギー依存が高い北海道は経済的な停滞が顕著で す。 グローカルな視点にたって、 それらの課題解決の道筋を考える公共 北海道大学公共政策大学院(正式名称:北海道大学大学院公共政策 学教育部) は、2005年開学、北海道大学が掲げる4つの基本理念<フ 専門職大学院は、科学技術の進展や社会・経済のグローバル化に伴う、 ロンティア精神・国際性の涵養・全人教育・実学の重視>の下、公共政策 社会的・国際的に活躍できる人材養成へのニーズの高まりに対応するた にかかわる専門的素養を身に付け、社会の様々な問題解決に向けたアプ め、高度専門職業人の養成に目的を特化した課程として、平成15年度 ローチを構築する人材の育成を教育目標にしています。 本大学院で授与する学位は 「公共政策学修士 (専門職) 」 です。 国 際 的な問 題だけではなく、身 近な日常 生 活にも 公 共 政 策 大 学院( 専 門 職 大 学 院 )の使命 深 く 関 わる 公 共 政 策 。それを 学ぶために必 要 な い視野を持つ実務家として育ってくれることを、 心より期待しています。 ﹁グローカルな視 点 ﹂を養う環 境として、 なぜ北 大 問題認識を持ち、変化に対応した柔軟な発想を持つ人材が入学し、広 はふさわしいのでしょう。 さまざまな価 値 観が融 合 応して新たな存在意義を創造していく時期に入っています。現状に強い 公共政策大学院〈HOPS〉 特別座談会 する北 大 公 共 政 策 大 学 院の魅 力を、4 人の先 生 HOPSとしては、 当初10年間の基盤確立の時期を経て、 様々な課題に対 R ound Table Talk が語り合いました。 政策への期待はますます高まっています。 03│ Hokkaido University Public Policy School 事をしています。そういう意味でも、公共政策を た声を聞きますが、 こうした特色が活きている証左と受け止めています。 も、少子高齢化の進展や格差の拡大などの課題が山積しています。地 (2003年度) に創設された新しいタイプの大学院です。 文理を超えて集まった研究者教員と 小浜 だから政策を学ぶ必要があるわけです 原田 公務員の仕事は前例踏襲が常で、今ま よね。 での政策は、欧米の先進諸国の事例を日本流 遠藤 はい。中央であれ地方であれ、実際に政 にアレンジしたものが目につきます。 しかし、人口 治の現場では政策プロフェッショナルが必要で 減少の進むこれからの日本ではそれが通用しな すが、公共政策というのは非常に裾野が広く くなります。 まったく新しい局面を切りひらいてい て、任い手はいわゆる政府や役所だけじゃない く政策が必要で、 そのためには、法学や経済学、 んですね。大量破壊兵器の拡散について、情報 工学といった既存の学問体系だけではなく、関 を実際にチェックしているのが、商社の一室だっ 連するものを広く横断的に学んでいくことが必 たり、原子力に関しても、電力会社が公的な仕 要だと思います。 Hokkaido University Public Policy School │04 小磯 修二 原田 賢一郎 特任教授 教授 旧北海道開発庁(現国土交通省)を経て99年から釧路公立大教 93年旧自治省 (現総務省) 入省。三重県菰野町副町長、内閣府 授、08年学長就任。12年から現職。著書に『地方が輝くために』 など多数。 地方分権改革推進室参事官等を経て13年より現職。専門は地 方自治、 地方行財政、 地方分権改革。 遠藤 乾 教授 オックスフォード大学博士 (政治学) 。98年北海道大学助 教授。06年教授。専門は国際政治。 『統合の終焉―EU の実像と論理』 で読売・吉野作造賞受賞。 R ound Table Talk 小浜 祥子 文理の融合、 理論と実践の融合から生まれる新たな知。 部にて博士号(国際関係) を取得。 10年より 現職。専門はアメリカ外交、国際紛争。授業 では現代アメリカ政治外交論を担当。 公共政策に関する高い専門性をもつ職業人を目指す。 前例が通用しない時代に、 経験を経た研究者という立場で、地域の政策や 案というのは決して科学的で合理的な方法論に ますます重要となる公共政策。 課題に対して、 できるだけ実践的に、 できれば解 則っているわけではなく、 どちらかというと経験 決策まで示せるような研究活動を心がけていま 的に行われている、残念ながらそういう面が強 れているのが、 いい政策といえます。 小浜 遠藤先生は研究者教員、小磯先生、原 した。その経験を公共政策大学院で伝えていこ いと言わざるを得ません。大学にある様々な知 田先生は実務分野の出身でいらっしゃいます うと思っています。地域が活性化し変革するとき 見を公共政策の現場につなげることが必要だと 准教授 ヴァージニア大学ウッドロー・ウィルソン政治学 国人留学生もいる。多様な背景をもった先輩や いですね。開拓から一世紀たたずして人口500 想の方向性を示して、 その枠組みの中で最もい 仲間たちと議論しながら切磋琢磨する中で、 自 万、規模で言うとデンマーク並みの地域を作り い政策を行政が考える。そのバランスがうまくと らの視野を広げられる。学生たちは意外と気が 上げた北海道は、発展途上国や新興国からす つかないんですが、 これも得難い財産になると ると奇跡的な地域開発例なんです。それを成し 思います。 遂げた明治政府の最初の政策が人材育成で 図るというのが大事な仕事なんです。政治が理 が、それぞれの立場からどのようにお考えです に一番大事なのは、 その地域の人たちのモチベ 思います。私は実務家教員ですが、研究者教員 文系と理系の融合をはじめ、 か。私自身はアメリカ政治が専門なので、基本 ーションです。理論に裏打ちされた説得力のあ の先生のお力も借りながら、 そういう知見を国や 多様な価値観に触れられる環境。 的にはアメリカと日本の社会を比較する中で、 る状況説明が必須ですから、実際に地域社会に 自治体に提案していければと考えています。 新しいものを発見したり、問題解決の糸口を見 向き合う経験の中で「理論と実践の融合」を学 遠藤 大学の先生という立場と、実際の行政 小浜 次に、 これから入学を考えている学生の つけることができるのではないかと考えながら び取ってほしいと思います。 現場での立場では、仕事に対するスタンスが 皆さんに向けたお話を伺いましょう。 まず公共政 に面談を行ったり、 いろいろな相談にも乗ってい ています。グローバルだけじゃなく、 ローカルだ 国や地方の公共政策の実務現場に、 やっぱり違うのではないかと思うんです。そのあ 策大学院の特徴についてお願いします。 ます。教員をうまく使いながら、 自らのキャリアを けでもない、グローバルとローカルがつながる ている実験だとか統計だとか、科学的な手法を たりの感覚を教えていただきたいんですが。 遠藤 専門職大学院としてはわが国で最初に、 形成していってほしいですね。 接点としての北海道を意識しながら、北海道大 使うことによって、 より深みのある政策提言がで 大学として貢献できることとは。 小浜 興味深い質問ですね。お二人はどう考 そして未だに唯一なのではないかと思います えられますか。 が、 「文理融合」を謳ったんですね。それという 北大ならではのグローカルな視点と と思います。 構想力 と実現力を身につける。 授業をしています。 また、 自分の研究の中で扱っ きるんじゃないかと。そういうところでも研究者と 小浜 原田先生は学生のキャリア支援も担当さ す。北大で学ぶ以上は、札幌農学校の精神や れています。 伝統というものをしっかり身につけて、地方の感 原田 実務家教員を中心として、就職を志望し 性でどんどん活躍してほしいと思います。 ている学生に対してキャリア支援として定期的 遠藤 我々も「グローカル」な部分を大事にし 学ならではの公共政策大学院にしていきたい 小浜 北大でしか学べない事に情熱をもって取 して公共政策に新しく貢献できるのではないか 小浜 小磯先生は長く地域の現場で政策研 原田 大学の教壇などでは自由に言えても、省 のも、危機管理の場であれ原子力の問題であ と考えているのですが。 究に携わられてきた経験がおありですが、公共 庁に戻るとさすがに言えないということもありま れ、公共政策の現場は文系も理系もまったく関 遠藤 公共政策というのは、ある限定的な選 政策の実務現場と大学との接点をどう捉えて すね (笑)。そういう意味での難しさはあります。 係ありませんから。 小浜 公共政策大学院として、 どのような学生 に、学生に対するメッセージをお願いします。 択肢の中で選択せざるを得ないものです。 「こ いますか。 私は若手の頃から「政治主導というのは間違い 原田 「文理融合」も大きな特徴の一つです 像を期待しますか? 原田 特に学部から直接進学する学生に言い れしかない」という選択肢はたぶん嘘で、 どの 小磯 これからの大学は、やはり社会に役立つ なく強い」と実感してきています。よく官僚主導 が、教員と学生の比率の贅沢さも際だってい 遠藤 公共政策に関する高い専門性をもつ職 たいのですが、同世代の友人とばかり会話して 段階でも必ずいくつかの選択肢があるはずなん 存在にならなければ。社会に大学がどう寄与し などと言われますが、少なくとも私の担当した仕 ます。1学年30人という定員に対して、専任の 業人になるという意志ですね。そのために必要 いては、政策を現実に展開するような実現力は です。その選択力が問われるわけですよね。そ ていくか、社会的な課題や問題を解決するため 事においては、 まず政治家のビジョンがあり、そ 教員が24人もいます。学生が希望すれば、 も なのが、一つは深い構想力、 もう一つは政策を 身につきません。親以外の大人ときちんと対話 れにはもちろん知識が必要だし、実務的にどこ の知的情報を発信していく、そういう大事な役 れを実際の法制度として成立させるために、官 のすごく密な指導が受けられる手厚さで、他 現実に展開するような実現力です。二年間の修 や議論をすることが大事です。 まで可能かという判断も必要です。そんな中で 割を担っているという意識が大事だと思います。 僚がある種の職人のような立場で制度化してい の公共政策大学院に比べても突出していると 了期間でこの二つの力を必ず身につけるという 小磯 教員と密な関係が持てる環境なわけで どの選択肢を選ぶか、歴史と理念の双方にさか 小浜 原田先生は総務省からいらっしゃってい ましたね。 思います。 気概をもつべきでしょう。 すから、我々をどんどん活用してほしいですね。 のぼって考える力を養う、私のような研究者教 るわけですが、大学と実務の現場との考え方の 小磯 私の時代は、役人から学者に移るという 小浜 国際交流の機会の多さも特徴のひとつ 小浜 教員から与えられるのを待つのではな 遠藤 異質なものとの出会いは、 自分の能力を 員が寄与できるところはそこかなと思います。 違いのようなものを感じますか。 ケースがまだ珍しくて、あれこれ詮索されました ですね。希望する学生の背中を、 どんどん世界 く、 自分から積極的に学ぶという姿勢を持ってほ 高めてくれます。ぜひ公共政策大学院で成長し 小浜 小磯先生はいかがでしょうか。 原田 今は、事前に政策評価あるいは事務事 (笑)。行政で法律を作る時には、いろんな思惑 へ向けて後押ししていますから。 しいですね。小磯先生はいかがですか? てください。 小磯 前に勤めていた大学では、行政の実務 業評価というものがありますが、現実の政策立 や価値観を持った人たちを調整して合意形成を 原田 社会人学生が約3割を占め、 さらには外 小磯 やっぱり北海道大学へのこだわりがほし 小浜 今日はありがとうございました。 05│ Hokkaido University Public Policy School り組む学生を歓迎したいですね。それでは最後 Hokkaido University Public Policy School │06 教員メッセージ Messages from the Faculty Members 労働経済学では、統計データから 労働の現状を理解します。 自分とは異なる立場の観点から、 人のための政策を考える。 安部 由起子│Yukiko Abe 池 炫周 直美│Hyunjoo Naomi Chi 日本と諸外国では、女性の活躍の度合いはど 川、福井、鳥取、島根)では78パーセントでし 21世紀の東アジアの国々は大きな変化を経 る力」を習得してもらいたいと願います。数多 う違うのでしょう?女性がどのくらい働いてい た(2010年国勢調査)。この国内の地域差 験しています。安全保障、歴史認識、領土問 くの情報を集めて分析することはもちろん、常 るかを、女性人口のうち就業している割合、す は、先進国間の女性の就業率の差とほぼ同じ 題などといった問題も抱えながら、一方で少子 に「その情報は正しいか?」という疑問を持つ なわち就業率によって測るとします。日本は女 水準です。統計はいろんなことを示してくれま 高齢化、ケア、労働、環境といった共通の政策 ことも大事です。また、実際に自分の目で見る 性の就業率が低い国とされていますが、日本 すが、時には常識と反しているようにみえるこ 課題にも直面しています。これらの問題に取り フィールドワークも重視してほしいと思います。 の中でも女性の就業率に大きな地域差があ ともあります。一方で、なぜ統計がそのような 組み、人間にも環境にも優しい社会を実現す 学生一人ひとりの成長を手助けし、多角的視 ることはそれほど知られていません。25−54 傾向を示すのか?これを考えるのが経済理論 る「人のための政策」を一緒に考えていきた 野で物事をとらえ、 しっかりとした基礎の上に 歳の女性の就業率は、東京で69パーセントで の役割です。労働経済学では、統計データを いです。学生の皆さんには、自分の立場だけ 専門知識を身につけてもらえるよう、一緒に探 したが、日本海側地域(山形、新潟、富山、石 使って政策を評価する手法を学びます。 ではなく、異なる立場の観点も考慮した「考え 求していきます。 医療や介護、貧困対策、子育て支援などの 社会保障政策を具体的に学ぶ。 公共政策にとって、 工学を学ぶことは大きな力になる。 西村 淳│Jun Nishimura 高野 伸栄│Shinei Takano (厚生労働省より出向) 社会保障は、病気、老齢、失業などの際に生活 療や介護を支える地域包括ケアのあり方につ 少子高齢化、人口減少は避けられない大きな み、地域からの発案とそれを展開していく力が を支える助け合いの仕組みです。給付額は国 いて、実際の制度や地域における仕組みづくり 課題です。また私たちは東日本大震災の経験 必要とされます。公共政策の遂行には、道路、 民経済の4分の1を占め、国や地域社会のあり を考えていきます。ほかにも、厚生労働省や道 から、巨大地震の発生を前提としたまちづくり 空港などのインフラ施設整備や土地利用のあ 方を考えるときに欠かせない公共政策です。 内自治体の実務担当者のゲスト講義、福祉施 の重要性を思い知らされました。時代は、様々 り方を定める都市計画が極めて重要です。プ 設や市町村行政の現場訪問、理想とする福祉 な領域の学問を知恵として吸収し、実践する ロジェクトの基礎理論や災害論、 インフラ整備 究」などでは、医療・介護、子育て支援、年金・ 立法の起草や模擬国会審議なども行います。 人を求めているのです。これまでの基準やマ 論、都市計画技術など、ハードの技術以外に 「現代社会保障論」 「福祉労働政策事例研 生活保護などの政策について、社会保障行政 学生の皆さんには、 はっきりとした目的意識と、 ニュアルだけでは解決できない、地域毎に異 も多様な蓄積がある工学の学びを活かす場と の長い実務経験を持つ教員の指導の下で具 政策の専門職になるという強い意志を持って なる命題を解いていかなければなりません。公 しての公共政策について、建設畑を歩んでき 体的に学びます。例えば、地域で高齢者の医 学んでほしいと思います。 共政策の担い手には、地域の実情を心に刻 た経験を元に実践的な講義を行います。 豊かな環境の恵沢を生かし、 循環型社会の構築へ。 国境を超える技術の変化に、 国際政治はついていけるのか? 外山 洋一│Yoichi Toyama 鈴木 一人│Kazuto Suzuki (環境省より出向) わが国は、過去に高度経済成長を支えた産業 の射程は、資源制約の観点から循環型社会 科学技術と国際関係を研究テーマとしている う対処するのか、いかにして国連安保理決議 発展の陰で公害や甚大な環境破壊などの悲 の構築や、地球温暖化への対応まで広がり、 ことから、現在、国連安保理のイラン制裁委員 の履行を確保するのか、など山積する問題に 劇を経 験し、先 進 的な技 術の導 入も図りつ 環境政策の手法も様々に展開されています。 会の専門家パネルで勤務しています。限られ 毎日頭を抱えています。必然的に中東問題の つ、多大な努力と投資をしてこれを克服してき 環境政策の根底には、豊かな環境の恵沢を た国だけに認められている「核技術の軍事利 分 析もするので、I S I L(いわゆる「イスラム た歴史があります。幸い、日本は、激甚な公害 将来世代にどう引き継ぐかという視点が一貫 用」という、元来不平等な仕組みを維持しつ 国」)やイエメン、 シリアの内戦などにも目配り を克服し、貴重な経験や技術を蓄積できまし して流れています。教員としては新米ですが、 つ 核 の 平 和 利 用を求 める「 核 不 拡 散 条 約 しています。技術を持てる国と持てない国の たが、途上国では、今、日本が経験してきたよ 産業や社会活動と人間を取り巻く環境に対す (NPT)」を実現するための仕事です。不安定 格差をどう埋めるのか、インターネットや宇宙 うな問題が繰り返されつつあり、日本の協力 る政策について、皆さんと一緒に考えていけ な中東地域でイランの核の平和利用が実現 開発など国境を超える技術に国家はどう対処 が期待されています。さらに近年、環境問題 ればと思っています。 するのか、イランの軍事的影響力の拡大にど するのか、一緒に考えてみましょう。 07│ Hokkaido University Public Policy School Hokkaido University Public Policy School │08 コースとカリキュラム Programs and Curriculum 教 育プログラム ┃根幹科目 世代も経験も多様な人々が門をたたく公共政策大学院。その学修システムは、政 策研究の前提となる「前提科目」から3つのコースに沿った「根幹科目」、そして 「展開科目」へと積み上げられる科目群が主柱となります。 これに、実務家教員と ┃政策事例研究科目 ┃リサーチペーパー 各コースを学ぶ上で、基本となる科目です。主に、政策を構想し、分析 実際の政策事例を取り上げ、 これを検討、 評価しながら学んできた知識 様々な授業で学んだ知識を体系化して、今日的な公共政策に関する するための理論や方法に関する科目を配置しています。 を総合化するための科目です。実務家教員と研究者教員のチーム・ リサーチペーパーを書き、単位を得ることが修了要件となります。履 ● 公共哲学 ● マクロ経済学 ● 社会資本政策論 ティーチングや、 実務と理論の融合などが特色です。 修に当たっては、 それぞれの学習スケジュールなどにより、異なるタイプ のリサーチペーパーから選択することができます。 ● 政策評価論 ● 環境経済学 ● 民事法入門 ● 公共経営事例研究 ● 研究者教員が共同で担当する「政策事例研究科目」、政策の実現力を育む「実 災害危機管理事例研究 ● 現代社会と私法秩序 ● 国際経済学 ● 国際関係法 ● 環境政策事例研究 ● 国際政治経済政策事例研究 践科目」が、有機的に組み合わされています。 ● 行政法秩序論 ● 環境技術政策論 ● グローバル・ガバナンス論 ● 社会資本政策事例研究 ● ミクロ経済学 ● 都市技術政策論 ● プロジェクト・マネジメント論 ● 福祉労働政策事例研究 ● 公共政策特別研究Ⅰ ● 公共政策特別研究Ⅱ 公共経営コース 国際政策コース 前提科目 根幹科目 政策事例 研究科目 展開科目 実践科目 リサーチ ペーパー 技術政策コース ┃展開科目 ┃前提科目 様々な分野から本大学院に集まる学生 が、公共政策を学ぶ前提知識を身につけ るための科目です。 ● 地方自治法 ● 情報過程論 ● 公共経営特論Ⅰ ・Ⅱ・Ⅲ ● 福祉社会政策論 ● イノベーション・マネジメント論 ● 技術政策特論Ⅰ ・Ⅱ 各コースにわたり、専門性の高い、幅広い知識を身につけるための科目で ● 環境法Ⅰ ● 現代社会保障論 ● 廃棄物技術政策論 ● 国際政策特論Ⅰ ・Ⅱ す。政策分野毎の理念、 政策課題、 対応方策などについて学びます。 ● 環境法Ⅱ ● 比較地域福祉論 ● 国際人権法 ● 国際政策特別講義 ● 競争法政策 ● ジェンダー政策論 ● 開発経済学 ● 北海道開発政策論 国際協力論 ● 現代日本政治外交論 ● 現代アジア政治外交論 ● 比較防災政策論 ● 社会資本整備論 ● 財政学 ● 環境政策論 ● ┃実践科目 政策の立案、 合意形成、 執行という政策推進を支える技法を修得する ための科目です。政策ペーパーの書き方、交渉や合意形成の方法、 さ らには外国語のトレーニングなどが含まれます。 ● 公共政策学 ● 法政策学 ● 環境リスク管理論 ● 労働経済学 ● リーダーシップ論 ● 租税政策論 ● 現代政治思想論Ⅰ ● 現代アメリカ政治外交論 ● 公共政策実務演習 (エクスターンシップ) Ⅰ ・Ⅱ ● 社会調査法 ● 政治過程論 ● 国際公共政策学 ● 自然災害論 ● 金融政策論 ● 現代政治分析 ● 現代労働法政策 ● 現代政治思想論Ⅱ ● 現代ヨーロッパ政治外交論 ● 官民連携実務演習 (エクスターンシップ) Ⅰ ・Ⅱ ● 交渉・合意形成手法 ● 技術政策学 ● 統計分析 ● 地域政策論 ● 農業政策論 ● 比較政府間関係論 ● 福祉法政策学 ● 現代法思想 ● 現代比較アジア法 ● 法政策ペーパー技能演習 ● 英語実務演習Ⅰ ・Ⅱ ● 経済政策論 ● 公共経済学 ● 森林環境保全論 ● 立法過程論 ● 行政法制度論 ● NGO/NPO経営論 ● 日本経済論 ● 政策討議演習 ● 中国語実務演習 ※科目は変更になる場合があります。 理 念をかたちにするカリキュラムで多 様な関 心に応える 修了要 件および1 年 修了、長 期 履 修 制 度 本大学院には3つのコースが設けられており、入学時の知識・経験・希望する進路に応じて選ぶことができます。入学後はいずれのコースからも、 自分自身 の関心の広がりや深度に合わせて柔軟に履修できるカリキュラムとなっています。各コースには必修科目が2科目設定されており、公共経営コースは「技 術政策学」・ 「統計分析」、国際政策コースは「法政策学」 ・「技術政策学」、技術政策コースは「経済政策論」 ・ 「法政策学」となっています。 ┃修了要件 本大学院を修了し、公共政策学修士(専門職)の学位を授与されるには、標準的には2年間で、42単位以 上の修得が必要です。ただし、科目群ごとに必要な修得単位が決められています(前提科目8、根幹科目 4、展開科目6、実践科目と政策事例研究科目8以上、 リサーチペーパー2以上)。 公共経営コース 国際政策コース 技術政策コース 国や地方の自治体および民間セクター各 著しく変化する世界の中でいかに国際的 社会の福祉や安全に影響を及ぼす技術革 分野において公共政策に関わる人々が増 公共秩序を展望するか、日本を含む東ア 新、急速に発展するテクノロジーを、 いかに 大する中、それぞれの立場からいかに政 ジア、アメリカ、 ヨーロッパにおける内外諸 社会のニーズにむすびつけるか。技術と社 策過程にかかわっていくか、公共的価値と 政策上の課題をとらえ、その打開の道を 会を連結する行政計画やプロジェクトの推 個別的利益、公正と効率の調和をどのよ 探ります。 進および評価、危機管理に関する実際的・ うに図るかを学びます。 外務、国際公務員、 ジャーナリスト、開発協 専門的な技術政策を学びます。 国家・地方公務員や行政に隣接する分野の 力関係の官民指導者のほか、活動の拠点 理工系の知識を具体的な政策に返還し 専門職業人、官民のパートナーシップを推 を地域におきつつ国際的な観点から公共 ていく技術系公務員、民間における技術 進する民間企業の指導者の育成を目標とし 政策に立案に携わる、地方公務員や民間 政策や公共サービスの中核となる人材の ています。 セクターの人材育成を目標とします。 育成を目標としています。 09│ Hokkaido University Public Policy School ┃1年修了制度、長期履修制度 出願時に公共政策関連での実務経験を有する社会人等に、 1年修了の可能性を開いています。ただし、通 常の履修条件をベースに出願時に1万字のレポートを提出し、1年前期に「政策評価論」を履修、実務経験 を基礎にしたリサーチペーパーを提出するなどの条件を満たした者に限ります。 また、職業を有している等で、通常の学生よりも単位修得のための学修時間が制限され、標準修業年限(2 年) を超えて在学しなければ課程を修了できないと考える学生のために、長期履修制度も用意しています。 申請に基づき、教授会が審査・許可した上で、一定の期間(4年以内) にわたり在学し、計画的に履修して修 了することになります。 本大学院の講義・演習は、平日昼間の開講を基本としていますが、一部の科目については土曜日や夏・冬の集中 講義で行われるものもあります。ただし、平日の昼間に行われる開講科目をすべて除いて履修し、修了することは 困難であるため、現職の社会人学生も有給休暇などの活用により、昼間の講義などを受ける必要があります。 Hokkaido University Public Policy School │10 実践的な講義内容 Lectures 政策事例研究 ┃開講科目・担当教員 科目名 担当教員 (1)前提科目 科目名 担当教員 科目名 担当教員 環境政策論 外山 洋一 公共経営特論Ⅲ ☆ 宮脇 淳 リーダーシップ論 白鳥 潤一郎 技術政策特論Ⅰ ☆ 政治過程論 鈴木 一人 現代政治分析 空井 護 技術政策特論Ⅱ ☆ 泉 典洋 比較政府間関係論 山崎 幹根 国際政策特論Ⅰ 池 炫周 村上 裕一 行政法制度論 岸本 太樹 国際政策特論Ⅱ ☆ 技術政策学 経済政策論 法政策学 展開科目群 公共政策学 鈴木 一人 地方自治法 人見 剛 国際政策特別講義 池 炫周 町野 和夫 立法過程論 岡田 信弘 北海道開発政策論 小磯 修二 環境法Ⅰ 田中 啓之 比較防災政策論 山下 竜一 高松 泰 国際公共政策学 中村 研一 環境法Ⅱ 児矢野 マリ 原田 賢一郎 統計分析 鈴川 晶夫 競争法政策 中川 寛子 石井 吉春 国際協力論 山内 康一 (2)根幹科目 辻 康夫 租税政策論 田中 啓之 政策評価論 武藤 俊雄 現代労働法政策 森戸 英幸 現代社会と私法秩序 吉田 邦彦 福祉法政策学 加藤 智章 行政法秩序論 米田 雅宏 福祉社会政策論 小舘 尚文 ミクロ経済学 久保田 肇 現代社会保障論 西村 淳 環境経済学 久保田 肇 (未定) 展開科目群 マクロ経済学 官民連携実務演習 (エクスターンシップ) Ⅰ ・Ⅱ 実践科目群 基本科目群 公共哲学 公共政策実務演習 (エクスターンシップ) Ⅰ ・Ⅱ 柿澤 未知 政策討議演習 最近の中国情勢と日中関係 外務省大臣官房総務課長 垂秀夫 国土交通省観光庁国際観光課外客誘致室長 佐藤久泰 民主主義は日本うなぎになるのか? 衆議院議員・民主党 岸本周平 社会保障・税番号制度への自治 体における対応 横浜市総務局しごと改革推進部しごと改革推進課社会保障・ 税番号制度担当課長 田中里沙 日韓関係の現状と課題 前韓国正義党国会議員 魯会燦 空き家問題を考える 富士通総研経済研究所上席主任研究員 米山秀隆 東南アジアにおける日米協力 米国戦略・国際問題研究所(CSIS)東南アジア研究 室副主任 マレー・ヒーバート ODA事業を通じた地域企業の海 外でのビジネス展開 JICA北海道市民参加協力課長 二見伸一郎 先進事例から考える公共施設マネ ジメントの実際 福島原発事故と原子力規制改革 公明党と理念と安全保障政策 参議院議員・公明党代表 山口那津男 民主化の波から日本の国際的責任を考える 元台湾国家安全保障会議秘書長 邱義仁 秦野市政策部公共施設再配置推進課長 志村高史 高萩市経営戦略部経営企画課課長補佐 大森壮一 グローバル化時代の北海道農業 ∼TPPとその影響 柳京煕 (酪農学園大学准教授) 、青木誠雄 (北海道 農政部農業経営課長) 、 遠藤乾 (本学教授) の対談 環境省長官官房秘書課長 深見正仁 世界の中の北海道 ノンフィクションライター 渡辺一史 国家安全保障会議と安部政権の 国家安全保障戦略 国家安全保障局企画官 室田幸靖 我が国における安全保障環境と 防衛政策について 防衛省地方協力局次長 山本達也 総務省行政評価局評価監視官 (農林水産・環境・防衛担当) 生沼裕 水みらい広島企画部総務・企画課長 谷口淳 NHKプロデューサー 井上恭介 世界遺産をめぐる政治過程 文化庁記念物課前世界文化遺産室長 小林万里子 ソーシャルメディア時代の政治はどうなるか メディア・アクティビスト 津田大介 武藤 俊雄 沖縄県の物流ハブ構想 沖縄県商工労働部国際物流推進課長 玉城恒美 卒現代と社会イノベーション 前文科省副大臣 鈴木寛 生活保護自給者の自立支援政策 釧路市社会的企業創造協議会 永続敗戦論をめぐって 政治学者 白井聡 西村 淳 成長戦略と北海道経済 北海道経済産業局長 増山壽一 政治への期待、 実際、 未来:体験的政治論 衆議院議員・みんなの党国対委員長 山内康一 北海道観光のこれから 鶴雅グループ代表 大西雅之 日本外交の行方 外務省北米局審議官 秋葉剛男 武藤 俊雄 須賀 宣仁 現代日本政治外交論 前田 亮介 交渉・合意形成手法 蛯子 准吏 環境技術政策論 高橋 正宏 現代政治思想論Ⅰ 権左 武志 英語実務演習Ⅰ 佐々木 雅寿 都市技術政策論 髙野 伸栄 現代政治思想論Ⅱ 眞壁 仁 英語実務演習Ⅱ 池 炫周 社会資本政策論 髙野 伸栄 現代法思想 尾﨑 一郎 中国語実務演習 柿澤 未知 民事法入門 松久 三四彦 NGO/NPO経営論 樽見 弘紀 国際関係法 伊藤 一頼 情報過程論 後藤 篤志 グローバル・ガバナンス論 遠藤 乾 イノベーション・マネジメント論 蛯子 准吏 プロジェクト・マネジメント論 髙野 伸栄 廃棄物技術政策論 古市 徹 社会資本整備論 小磯 修二 環境リスク管理論 松井 佳彦 自然災害論 泉 典洋 開発経済学 樋渡 雅人 地域政策論 石井 吉春 現代アジア政治外交論 中島 岳志 公共経済学 板谷 淳一 現代アメリカ政治外交論 小浜 祥子 財政学 小山 光一 現代ヨーロッパ政治外交論 吉田 徹 労働経済学 安部 由起子 現代比較アジア法 鈴木 賢 金融政策論 早川 仁 日本経済論 石井 吉春 農業政策論 山本 康貴 公共経営特論Ⅰ 原田 賢一郎 森林環境保全論 柿澤 宏昭 公共経営特論Ⅱ 外山 洋一 村上 裕一 外山 洋一 小磯 修二 事例研究科目群 展開科目群 国際経済学 環境政策事例研究 外山 洋一 社会資本政策事例研究 髙野 伸栄 福祉労働政策事例研究 西村 淳 災害危機管理事例研究 泉 典洋 中島 岳志 リサーチペーパー 公共政策特別研究Ⅱ 三重県菰野町長 石原正敬 夕張市長 鈴木直道 武藤 俊雄 公共政策特別研究Ⅰ 持続可能なまちづくりに向けて 日本の国際観光戦略 地域再生を目指して 社会調査法 国際政治経済政策事例研究 国際政治経済政策事例研究 里山資本主義 中村 敏子 常本 照樹 公共経営事例研究 水道事業の民間化を考える ジェンダー政策論 児矢野 マリ ■ 最近の開講例 佐藤 立 小舘 尚文 国際人権法 を通じ、臨場感ある政策分析・形成の能力を高めることを目的にしています。 国の行政評価・監視の現状と課題 ∼温室効果ガス排出削減対策を 題材に 比較地域福祉論 公共経営事例研究 経営者、研究者を招いて直接話を伺い、政策課題への理解を深めます。各分野の第一線で活躍するゲストとのディスカッション 武藤 俊雄 寺田 英司 法政策ペーパー技能演習 現に展開されている公共政策の事例について、文献・資料による検討を行うとともに、国・地方の行政官、ジャーナリスト、企業 部武俊 ※肩書きは当時のもの。 エクスターンシップ 多方面との交渉やプレゼンテーションなど、政策をめぐる実現力の養成にむけた実践科目です。学生が行政機関、民間企業、国際機 関等に一定期間出向き、実務の現場に触れることを通じて、多彩な領域で公共政策の実践力の向上を目指すものです。社会体験を 通して進路選択を考える機会でもあることから、専任の教員がアレンジを支援し、単位認定を伴う授業科目として開講しています。 ┃2014年度体験記 地方議会の現場から公共政策について考える機会に 有坂 濯│三重県議会事務局 国会や地方議会の「議会審議が形骸化しているのではないか」と 審議を活性化させるためには、議員の議案に対するモチベーショ いう仮説を立て、通年議会制の導入など先進的な取り組みをして ンを高めることが必要であり、 そのためには県民が議会に関心を持 いる三重県議会へのエクスターンシップを希望しました。事務局幹 つことが重要という結論に達しました。議会審議の充実を図ること 部の講義や議会の傍聴などを通し、 これまでの改革を学び、今後 は、公共政策を考えることそのものでした。エクスターンシップは自 の議会運営に関する改革の提案を行いました。結果として、議会 分自身を伸ばす貴重な機会です。ぜひ体験してみてください。 鈴木 一人 吉田 徹 政策について考え抜く 「思考体力」の重要性を実感 大橋 亜美│国土交通省 遠藤 乾 「豊かな暮らしの実現∼魅力あるまちづくりの推進・地域交通の充 域コミュニティバスの国営化などを考えましたが、仮説の検証結果 実∼」というテーマのもと、国土交通省のサマージョブに5日間参 として「今後も地方自治体が地域政策の主体であり、 その環境づく 専任教員 加しました。今回のエクスターンシップでは、 「国土交通省主体の りが国土交通省の役割である」ということがわかりました。 また、他 専任教員 過疎地域における活性化モデルの実現の可否」という仮説を設 の公共政策大学院生たちとのグループワークを通して、 とことん考 定し、具体的には国交省が管轄する先行研究的都市再開発や地 え抜く「思考体力」の重要性を体感したことも大きな収穫でした。 ※担当教員・科目は変更になる場合があります。☆は不定期開講の科目です。 11│ Hokkaido University Public Policy School Hokkaido University Public Policy School │12 在校生の声 Voices from the Current Students 公共政策のプロをめざした、 それぞれの理由。 農学部出身 農学部での学習をベースに、 環境政策のプロを目指します。 外国人留学生 【9期生】福村 望│Nozomu Fukumura 国際社会を理解するための たしかな足がかりを得ました。 【9期生】王 野│Ye Wang 農学部森林科学科で学んでいた学部時 に招いて原子力や科学技術の安全・倫理 日本で政策を学びたいと思い、東京の語 ロッパで最も高い失業率に悩む国です。貧 代後半から環境政策に関心を抱くように について学んだことがとりわけ印象に残っ 学学校で1年間日本語を勉強してから公 しい地域では教育や医療が求められてい なり、環境省への入省を志すようになりま ています。 共政策大学院を受験しました。もう1校受 ることを知ったことで、医療機器メーカー した。農学部からでは技官としての採用と 国家総合職や地方上級など同じ目標を持 験していたのですが、のびのびした雰囲気 への就職を決めました。海外市場を開拓 なりますが、政策にも関わりたかったので、 ち、社 会 問 題に関 心が高い仲 間が多く、 と、先生と学生の距離の近さに惹かれて する部署で、東ヨーロッパの企業を担当す 公共政策大学院に進学しました。中でも ミーティングルームでの活発な議論を通じ 北大に入学しました。みなさんがとても親 るのが目標です。日本の優れた医療機器 興味深かったのは「環境政策論」と「環境 て日々刺激を受けています。自治体の取り 切に接してくれて、すぐに日本語にも北海 を海外に広めることで、必要とされる「医 政策事例研究」という講義です。地球温 組みや政策について実際に話を聞く機会 道での生活にも慣れることができました。 療 」に間 接 的に貢 献したいです。続いて 暖化や廃棄物問題、生態系保護など様々 が多いところも魅力です。また、環境省から 最も印象に残っている科目は「国際政治経 「シャムロック・プログラム」にも参加を希 な問題について「政策論」で学んだ後、講 出向されている先生から、実務の具体的な 済政策事例研究」です。アジア圏にばかり 望し、ダブリンに留学しました。日本の学生 師を招いて実 際 の 例について「 事 例 研 お話を伺うこともできます。修了後は、公共 関心を寄せていた私が、 ヨーロッパや中東 も留学生もフラットに見てくれて、やる気が 究」で学ぶというものです。例えば排出権 政策大学院で学んだ政策提起の考え方や に視野を向けるきっかけになり、その後「バ ある学生にはどんどんチャンスをくれる北 取引についてゲーム形式で考えたり、原子 論理的な思考力を活かし、仕事に取り組ん ルカン・プログラム」でマケドニア共和国へ 大の公共政策大学院を選んで良かった、 力賠償支援機構(当時)の方をゲスト講師 でいきたいと思います。 行きました。コソボの紛争地域を抱え、 ヨー 心からそう思います。 法学部出身 先生や仲間に恵まれた環境で、 学習に関する意識が変わりました。 【10期生】星 麻沙美│Asami Hoshi 社会人学生 ここで学んだ政策づくりを 福祉の現場に活かしていきます。 【9期生】池田 真紀│Maki Ikeda 法学部で法律の基礎知識を学んでいたと 少人数制のため、講義の予習などは大変 障害や高齢者の介護、ひとり親から女性保 入れ、災害福祉はこうでなければと目を開 き、法学(法解釈学)では救えない人々の ですが、その分先生とのコミュニケーション 護、児童、そして貧困と、多分野にわたる福 かれる思いでした。福祉と災害は共通する 存在に気づきました。将来は法制度を作 が密で、普段は接する機会のないような専 祉の現場で仕事をしてきました。その中で、 ことも多く、大変参考になりました。私はフ り、変える「 政 策 立 案 」に関わりたいと考 門家に直接質問できることも恵まれた環 現場と政策を繋げるために公共政策大学 リーソーシャルワーカーとして、福祉やひと え、様々な知識や社会の現状を学ぶこと 境だと思います。また様々な興味・関心の 院で学びたいと思い、仕事と子育てをしな が生きるための支援をライフワークにして ができる公共政策大学院への進学を決め もとで勉学に励む友人や先輩とのグルー がら長期の計画を立てて入学しました。北 います。一つの支援を単なる事例にとどめ ました。 プワークや議論は、自分の視野を大きく広 海道大学を選んだのは、市町村が179もあ ず、そこから政策へつなげ、普遍的なもの 学 部 時 代は学 習に関して受 動 的でした げてくれました。留学生や年の離れた仲間 る北海道には「壮大な地方自治」を問う素 にしたいのです。つまりは憲法第25条の実 が、それまで関心がなかった分野や、気に との交流もとても楽しく、HOPSで学ぶこ 材が多いのではと思ったからです。住んで 践です。市民活動や福祉の専門職からの なったニュースなどについて能動的に調べ とができてよかったと思っています。将来 みて、北海道には人間が最も自然体でいら ソーシャルアクション、 さらには自治体行政 るようになりました。実務家教員の授業は、 は、社会保障や福祉に関する政策立案に れるチカラがあると実感しています。 との連携事業や人材育成という視点での 世の中の現状を取り入れた演習形式のも 関わり、自分が理想とする社会に少しでも 特に興味深い科目が「比較防災政策論」 参加、あるいは政治を通じて、多様なアプ のが多く、幅広い知識が身につくとともに、 近づけるよう実際に行動できる人間になり です。先生は現場での豊富な実践を背景 ローチで政策を訴え、実現にむけて行動し 論理的な思考力を養うことができました。 たいです。 に、 タイムリーな情報もいち早く講義に取り ていきたいと思います。 13│ Hokkaido University Public Policy School Hokkaido University Public Policy School │14 修了後の進路 国際交流 Employment after Graduation International Exchange 充 実の就 職支援 世界各地へ広がる研修の場 修了生の進路は、文理・官民を問わず、幅広い分野にわたっています。新卒就職をする学生には、入学当初からエクスターンシッ グローバル化に対応した人材養成を推進するため、北海道大学では海外4箇所に拠点オフィスを設置するとともに、約40カ国・地 プ等の授業と連携したはたらきかけを行い、就職担当教員による個別面談指導も定期的に実施しています。また、 「北公会/H 域、150の機関と交流協定を結び、交換留学等の交流活動を行っています。公共政策大学院でも、台湾の国立政治大学、国立金 OPS進路支援室」で各種セミナー・勉強会の場を設けている他、全学組織のキャリアセンターでは全国多数の企業・官庁が参 門大学社会科学院と独自の交流協定を結んでいるほか、パリ政治学院、マケドニア「ユーロカレッジ」、アイルランド国立大学 加する説明会を開催しています。手厚い就職支援により、修了生には全国各地で活躍する道が拓かれています。 (UCD)への研修派遣プログラム (奨学金付) を用意しています。 H OP S 留 学プログラム体 験 記 修了生就職先(1期生∼8期生) 〈主な就職先〉 厚生労働省、 国土交通省、 財務省、 財務省税関、 総務省、 内 【 国 家 公 務 員 】 環境省、 閣府、 農林水産省、 文部科学省、 外務省専門職、 北海道労働局 〈業種内訳〉 その他の民間企業 7人 NPO・その他 3人 国家公務員 総合職 17人 サービス・広域事業 16人 札幌市役所、 旭川市役所、 横浜市役所、 京都市役所、 広島市役所 日本年金機構、 日本郵政公社、農林中央金庫、 【独法・政府系金融等】 日本政策金融公庫、 産業技術総合研究所、 都市再生機構 【 シンクタンク 等 】 アビームコンサルティング、 日本能率協会コンサルティング、 野村総合研 国家公務員 究所、 みずほ情報総研、 ライズコンサルティング・グループ (総合職以外) 【 報 道 機 関 】 朝日新聞社、 共同通信社、 北海道新聞社、 読売新聞社、 日本放送協 9人 会、 北海道文化放送、 北海道放送、 毎日放送、 日本テレビビデオ 情報・通信業 9人 製造・建設業 13人 金融・保険 12人 【 地 方 公 務 員 】 北海道庁、青森県庁、石川県庁、東京都庁、千葉県庁、兵庫県庁、 計164人 【 金 融 ・ 保 険 】 三菱東京UFJ銀行、 ゆうちょ銀行、新生銀行、 シティバンク、 日興コー 地方公務員 43人 ディアル証券、 旭川信用金庫 【 製 造・建 設 業 】 栗田工業、 ダイキン工業、 東芝、 富士ゼロックス、 ブリヂストン、 新日鉄エ 独法・政府系 金融等 10人 ンジニアリング、 JFEエンジニアリング、 住友林業ホームテック、 大成建設 【 情 報・通 信 業 】 アイネス、 インターネットイニシアティブジャパン、 エスアイシーシー、 コスモ スイニシア、 NTTコミュニケーションズ、 NTTデータシステムズ 【サービス・広域事業】 北海道ガス、 北海道電力、 双日、 日本たばこ産業、 東日本旅客鉄道、 東 報道機関 10人 シンクタンク・ コンサルティング 10人 日本高速道路、 ヤマト運輸、 郵便局、 全国農業共同組合連合会 【 そ の 他 】 日本防災技術センター、 東急不動産、 リクルート、 国連UNHCR協会 最前線で活躍する修了生たち 国土交通省・国家公務員 I 種技術系 (※現在は国家公務員総合職) 竹内 帆高【 1 期生】 1期生として修了後、 国土交通省に6年勤め、 現在は職場の制度を利用して 2012年度 パリ政治学院春季研修プログラム ◎パリ政治学院(Sciences Po) 2011年度 バルカン・プログラム ◎スコピエ市(マケドニア共和国) 水野 慎也 【 8期生】 千葉 幹 【 7期生】 EUの成り立ちから異なるコミュニティの共存の在り方を研究することと、国 土砂災害の防災対策に関する仕事に携わっており、 社会人学生としてHOPS 際機関や現地NGO等を訪問し、各機関間のよりポジティブな協力関係の で学ぶうちに、 幅広い観点から自分の仕事を考えたくなりました。 約2週間の本 在り方を探ると共に、 自分自身のネットワークを構築することを目的に、 本プロ プログラムは、 その思いを実地で試す好機でした。経済成長とのバランスが求 グラムに参加しました。EUならではの視点からの内容なので、 あらためて気 められる防災対策、 他国と連携したインフラ管理が必要なエネルギー問題、 越 付かされることも多く、 また、現地の学生と議論をする機会を通して多様な 境してつながる河川の洪水や環境の問題など、 バルカン諸国の状況に触れ、 価値観を共有するなど、 留学だからこそ得られる学習ができました。 技術政策が社会の様々な面と密接に関連していることを実感しました。 共同通信社静岡支局・記者職 福原 昌代【 3 期生】 平成21年に修了し、 共同通信社に記者として入社しました。初任地の大分 ワシントンD.C.の大学に留学をしています。 国家公務員を志した理由は、 「公 支局で3年間働き、 現在は静岡支局で県の行政や経済の取材を担当してい の仕事に従事したい」 こと、 そして「よりスケールの大きい仕事に関わりたい」 ます。 高校時代から新聞記者に興味を持ち、 ジャーナリストとしての基盤を固 という想いからでした。 これまで、 外務省出向による政府開発援助 (ODA) の めるため、 HOPSでは国際政治を中心に、 マクロ経済学や地域政策論の授 仕事や、 国交省での東日本大震災における災害廃棄物の処理、 また、 九州・ 業など幅広く受講しました。 エクスターンシップで、 1年の夏に国際協力機構 山口の産業遺産群の世界遺産登録のための推薦書作成の仕事などに携 (JICA) のシリア・アレッポ県での母子の健康に関するプロジェクトに参加した 英語力の低さがコンプレックスで、留学で克服したいと思い参加しました。 わり、 学生時代の想いはほぼ体現できていると感じます。HOPSにおいて得 ことが心に強く残っています。 その地に根づいた非科学的な風習に対し、 正 10週間のプログラムは、全てのスキルにおいてアカデミック英語やビジネス 政機関の「原住民族委員会」 を訪問し、 日本とは異なる原住民政策につい たものは、政治・行政の学問を通じ、論理的思考能力を鍛えたことに尽きま しい情報を発信した経験から、 記者という仕事への思いが強まりました。取 英語を学べる充実した内容です。到着してすぐの頃は、 アイルランド独特の て学んだことは非常に勉強になりました。 台湾の歴史博物館を訪ね、 台湾か 2014年度 シャムロック・フェローシップ ◎ユニバーシティ ・カレッジ・ダブリン (アイルランド) 2014年度 ナルワンフェローシップ ◎金門大学(台湾) 大野 晴香 【 9期生】 小倉 政貴 【 10期生】 1週間という短い滞在期間でしたが、 台湾での研修は貴重な経験でした。 行 す。文理融合、 社会人学生、 実務家教員など、 HOPSの人材の多様性も自 材をしていると、 県の職員や企業の広報担当者が、 独特の言葉を使ってい 英語を聞き取ることも難しく焦りましたが、 英語漬けの日々を過ごすうちに、 ど ら見た日台関係を学んだことも、 相互理解という点で非常に意義深いものだ 身の幅を広げてくれる要素でした。 2年間の学業は自身の中でしっかりと根を ると感じることがあります。 それを分かりやすく読者に伝えるために、 HOPSで んどん英会話が上達しました。本大学院修了後は海外展開もしている企 ったと思います。 また、 学生から外交官まで様々な立場の人々と交流すること 張っており、 社会での活動の礎となる重要なステップだったと思います。 文系理系関係なく勉強し、 議論したことが役に立っていると感じます。 業に勤務するので、 身に付けた英語力を活かして活躍したいです。 で、 日本に対する台湾人の認識についてより深く理解することができました。 15│ Hokkaido University Public Policy School Hokkaido University Public Policy School │16 学修の支援 Suppor t for Students 経済面からのサポート 快 適な学 修 環 境 ┃多 様な奨学金 制 度 公共政策大学院生の生活は、講義・演習用の教室がある「人文・社会科学総合教育研究棟」と自習室がおかれた「文系共用 棟」が主な拠点となります。 「文系共用棟」には、 フロアを隔てて専任教員の研究室も配置されており、学修上の質問や進路関係 入学金及び初年度授業料の全額免除制度に加え、入学金及び初年度授業料の半額免除に相当する の相談が必要な時には、すぐに連絡をとれる距離が保たれています。 奨学金(1人40万円) を設け、経済的に研究に集中できる環境づくりに注力しています。国家公務員総 合職試験合格や留学をバックアップする制度も各種設けています。 ┃自習室・ミーティングルーム 1 2 3 入学金・初年度授業料の免除 HAT奨学金 HOPE奨学金 入学試験において特に成績が優秀な入学者 (3名) 公共政策大学院には4室の自習室が割当てられており、各々の学生 に専用のデスクと書棚スペースが確保されています。デスクには、 台とプリンターが配備されています。当該施設が授業で使用されて 1人40万円を支給 (技術政策コース2名) LAN接続が可能な情報コンセントを備えてあり、 自習室内でインター いないかぎり、24時間の利用が可能です。 また、自習室に隣接して、公共政策大学院生用のミーティングルーム も設けてあります。ネットワーク接続されたパソコンと印刷用複合機を 4 リサーチプログラム奨学金 5 HOPS奨学金 1人25万円を支給 (2年次在学生2名) 6 霞ヶ関フェロー 入学後に国家公務員総合職試験に合格した者に、官公庁訪問費用などを支援するため、 1人10万円を支給 7 パリ政治学院留学奨学金 1人35万円 (2名) 8 バルカン・プログラム奨学金(マケドニア) 1人20万円 9 シャムロック・プログラム奨学金(ダブリン) 1人70万円 (2名) ナルワン・プログラム奨学金(台湾) 法学研究科と共有のPC室には、 ネットワーク接続されたパソコン33 ネットや共用プリンターを利用することが可能です。 1人40万円を支給 (基準特別選考に合格し入学した者から4名程度) 志望理由書をリサーチペーパーのテーマに結び付けていくためのリサーチ (学会出席、 事例調査、文献調査、研究会開催など) に1人5万円の奨学金を給付 (20∼25名) 10 ┃共有P C 室 配備し、政策討議等のグループワークや作業用スペースとして対応 できるようになっています。 ┃I T 環境 北海道大学の全学共通システムHINESによる電子メールサービス を利用し、公共政策大学院生全員に電子メールアドレスを付与して 若干名 ┃図書館 (2015年4月1日現在) このほかにも、 日本学生支援機構の奨学金が利用できるほか、経済的な理由等による授業料減免制度の利用も可能となっています。 北海道大学には、正門近くの大学附属図書館(本館)、キャンパス北 部の北図書館に加え、16の部局図書館が設置されており、総蔵書 数380万冊を超える国内有数の学術図書館となっています。本学の 学部生・大学院生は学生証をそのまま図書館利用証として、各館の 学生を支 援するネットワーク ┃ 北 公 会 / H O P S進 路 支 援 室 います。教務関係の通知や、教材配付、教員・学生間の連絡ツール として、十分なコミュニケーション網を整えてあります。 ┃法令判例新刊雑誌室 所蔵資料やデータベースを利用することができます。 法学研究科におかれている「法令判例新刊雑誌室」には、法令集・ 図書館本館と公共政策大学院の自習室がある文系共用棟は渡り廊 判例集のほか、約1000誌の新刊雑誌が配架されています。法学・ 下で結ばれており、1200席の閲覧席や無線LANを備えたオープン 政治学分野の入門誌・研究誌や各大学で発行する紀要等を速やか スペースを利便性よく活用することができます。 に手にすることができます。 北公会は、国家公務員総合職(いわゆるキャリア官僚) を目指す学生の 支援組織です。現役官僚を招いてのセミナーや政策ディスカッション、模 擬面接等の機会を設けて実戦的な力を鍛えるとともに、様々な関連情報 17│ Hokkaido University Public Policy School ┃HOPS院 生 協 議 会 を提供しています。支援室では各種公務員試験の問題集の貸し出しも 院生協議会は、本大学院学生による自治組織です。学生間の親睦 行っています。 を深めることを通じて研究交流の活性化を促し、研究条件や生活環 また、卒業生等とのネットワーク形成・維持にも努めており、各分野OB・ 境の維持・向上をはかることを目的としています。活動・運営の中心 OGとの勉強会や懇談会も活発に行っています。本大学院の学生は、官 として幹事会がおかれ、学生の意見を集約しながら、良好な学修環 民の希望進路を問わず、就職活動のサポートを受けています。 境の維持につとめています。 Hokkaido University Public Policy School │18 研究と発信 社会との連携 Research Activities Social Outreach 様々な研究会やプロジェクトを展開 地域とのパートナーシップを重視 2007年に本学院附属機関として発足した公共政策学研究センターは、公共政策学連携研究部における研究推進の要として、 北海道に位置する公共政策大学院として、地域とのパートナーシップを重視し、道内を中心とした地方自治体や諸団体、企業と 様々な研究会やプロジェクトを展開しています。これら研究活動との関わりは、学生にとっても、最先端の知見に触れ、有識者を 幅広く連携・協働する体制を築いています。各種共同事業に学生が参画する機会も設け、実践的な視点を有したキャリア形成 はじめとした様々な人材に出会う機会となって、 より広い人的ネットワークの構築に役立っています。 に結びつけています。 公開行事 HOPS研究会 学内外の研究者や諸機関と連携しながら、研究活動の充実をはかると HOPS教員・研究員等による研究発表を中心に、最新の公共政策学に関 ともに、広く一般市民に教育・研究成果を発信しています。 連する研究や動向を報告しあい、 相互の研鑽を深める機会としています。 ■ 2014年度開催例 ■ 2014年度開催例 地方議員向けサマースクール 〈北海道市議会議長会・北海道町村議会議長会後援〉 地方議会の活性化と地方議会議員の自己啓発・自己研鑽に寄与するこ 北海道自治イノベーション研究会 北海道内の町長有志による勉強会に協力し、人口減少、財政難、雇用の 確保など多くの課題に直面する地方自治体の地域政策について、情報・ とを目的に、2008年にスタートした公開講座です。現職の地方議会議員 意見交換の場を設けています。2015年2月には公開シンポジウムを開催 および議員を志す方を対象とし、本大学院教員による講義と参加者によ し、今後の地方創生の方向性を展望しました。 る討議演習を並行したプログラムで、地方自治の担い手としてのスキル 人口急減ショック「縮小社会」をどう生き抜くか 2014年6月21日 ◎講演者/五十嵐智嘉子 (北海道総合研究調査会理事長) Crisis in Ukraine as a Challenge to Liberal International Order アップをはかっています。 2014年5月22日/トーマス・カラゼク (チェコ・カレル大学講師) 開沼博 (福島大学特任研究員) ◎オーガナイザー/吉田徹 (北大公共政策大学院准教授) ピケティ 『21世紀の資本論』によせて―資本蓄積と格差 2014年9月25日/佐々木隆生 (北星学園大学教授) 北海道/防災・減災リレーシンポジウム ― 冬の防災・危機管理を考える ― 東アジア国際秩序の構造変動と日中関係の行方 プログラムA/ 2014年10月17日 於 北見工業大学 プログラムB/ 2014年10月23日 於 室蘭市 殿 2015年2月5日/柿澤未知 (北大公共政策大学院准教授) 、帰泳涛 (北 京大学国際関係学院准教授・北大公共政策大学院特任准教授) プログラムC/ 2014年10月30日 於 北大学術交流会館講堂 ◎講演者/高橋清 (北見工業大学教授) 、岸隆幸 (網走地方気象台観測 予報管理官) 、原田賢一郎 (北大公共政策大学院教授) 、木村 克俊 (室蘭工業大学教授) 、南哲行 (北大農学研究院特任教 授) 、谷岡勇市郎 (北大理学研究院教授) 、岡田成幸 (北大工 学研究院教授) 、 羽鳥光彦(前気象庁長官) ◎オーガナイザー/高松泰 (北大公共政策大学院特任教授) 東アジア研究部門プロジェクト 所属教員の対外活動 東アジア市民社会間の対話シリーズ≪北海道ダイアログ≫を組織し、 中国・ 韓国・台湾の知識人と共に、 環境・福祉・メディア・地方自治など共通・共時的 究者を客員教授等に招き、 日常の交流にも努めています。 これからの地域政治のゆくえ 種々の連携・対外活動の一環として、学生も事業に参画する機会を設 け、具体的な政策現場の調査・見学や提言を実体験する場として活用し 地域振興・環境・福祉等、地域政策に関わる広範な分野の委員を務め な問題を率直に話し合う試みを行っています。各国第一線で活躍中の研 スコットランド独立運動の教訓と 学生のフィールドワーク る中で、各教員の専門的知見を提供し、地域の発展に寄与しています。 ■ 2014年度受嘱実績例(北海道内) ています。 ■ 2014年度フィールドワーク例 2014年6月 ◎釧 路 市/都市経営・釧路湿原自然再生の実践に 北海道政策評価委員会委員、北海道運輸交通審議会委員、北海道環 関する現地視察 境審議会専門委員、北海道開発局事業審議委員会委員、北海道開発 2014年12月6日 2014年9月 ◎富良野市/ 「富良野自然塾」 の体験型環境教育参加 局総合評価審査委員会委員、北海道地域振興条例検討懇話会委員、北 ◎報告者/ポール・ケアニー (スターリング大学教授) 2014年10月 ◎登 別 市/商店街現地調査 海道「国土強靭化地域計画」有識者懇談会委員、 「 北海道の人口減少 ◎討論者/新垣毅 (琉球新報編集委員) 問題に関する有識者会議」委員、石狩市総合計画策定審議会委員、恵 志子田徹 (北海道新聞社ロンドン支局長) ◎帯 広 市/フードバレー構想に関する現地視察 庭市企画専門委員、江別市行政改革推進員会委員、釧路市自治基本条 若松邦弘 (東京外国語大学教授) ◎岩見沢市/障がい者就労継続支援事業所等見学 例検討委員会委員、札幌市都市計画審議会議員、札幌市行政評価委 ◎オーガナイザー/山崎幹根 (北大公共政策大学院教授) 員会委員、芽室町総合計画アドバイザー、胆振海岸技術検討委員会委 ∼外部視点による地域資源と課題の発掘∼ (株) 石狩LNG基地見学会 ◎石 狩 市/北海道ガス 2015年2月 ◎札 幌 市/除雪・防災事業等見学会 員、 サロマ湖漁協漂砂対策技術検討委員会委員長 他 年報 公共政策学 19│ Hokkaido University Public Policy School 自治体・企業との連携 公共政策に関する研究成果の発表、 なら 喜茂別町、網走市、芽室町議会、斜里町議会とは、包括的連携協定を締 びに実践と研究の交流を通じた公共政策 結し、 より緊密な連携体制をとって、職員・議員・住民への学習機会の提 学の発展を目的とした学術論文誌で、 2007 供や、共同調査・研究等を行っています。 年の創刊以来、8号を刊行しています。論 また、富士通総研、 日本政策投資銀行、北海道新聞社との包括的連携協 文は研究者、実務者を問わず公募してお 定のもと、 シンポジウムやセミナーの共催、継続的な研究プロジェクトの推 り、 レフェリーの審査を経て掲載となります。 進、 人材交流等を行い、 地域経済社会の活性化を促進しています。 Hokkaido University Public Policy School │20 入学試験について Admissions 多様なバックグラウンドや志望動機をもつ学生を受け入れるため、 「一般選考」とともに、社会人や外国人留学生を 対象とした「特別選考」を設けています。また、一般選考は、東京会場でも実施します。 入学試験に関する最新情報は、 随時ホームページでお知らせしています。http://www.hops.hokudai.ac.jp/ ※入試情報の詳細については、 平成 28 (2016) 年度入学者用学生募集要項をご覧ください。 2016(平成28)年度入学者選抜試験スケジュール 試験区分 出願資格審査 選考方法等 出願期間 (必要な方のみ) 選抜試験 合格発表 下記の結果を総合評価 ●入学願書等の提出書類審査 A 一般選考 ●専門科目試験 (Ⓐ∼Ⓕの6区分より1つを選択し、 2科目を受験) 科目区分 Ⓐ法律 Ⓑ行政 Ⓒ政治 Ⓓ国際関係 Ⓔ経済 Ⓕ工学 出 願 期 間:7/21 (火) ∼ 24 (金) 審査結果通知:8/3 (月) 願書提出期間: 8/24 (月) ∼ 27 (木) 専門科目試験・口述試験:9/19 (土) 10/2(金) 願書提出期間: 8/24 (月) ∼ 27 (木) 口述試験:9/18 (金) 10/2(金) 願書提出期間:8/24 (月) ∼ 27 (木) 口述試験:9/19 (土) 10/2(金) ※東京での受験も可能です。 ●口述試験 本大学院設定の基準に該当し、顕著な業績を持つ者を対象とし、 B 基準特別選考 下記の結果を総合評価。 ●入学願書等の提出書類審査 ●学部時代の成績 ●口述試験 出 願 期 間:7/21 (火) ∼ 24 (金) 審査結果通知:8/3 (月) 広く公共性を要求される分野・領域において出願時点で2年以上 の社会経験を有する者を対象とし、下記の結果を総合評価。 C 社会人特別選考 ●詳細な学習計画を記載した入学願書等の提出書類審査 ●口述試験 出 願 期 間:7/21 (火) ∼ 24 (金) 審査結果通知:8/3 (月) ※1年修了希望志願者は出願時に1万字程度のレポート提出必要 D 外国人留学生特別選考 (第1次・第2次) 日本国籍を有せず、一定の日本語能力を有する者を対象とし、 ●第1次 出 願 期 間:7/21 (火) ∼24 (金) ●第1次 願書提出期間: ●第2次 出 願 期 間:11/9 (月) ∼12 (木) ●第2次 願書提出期間: 審査結果通知:8/3 (月) 下記の結果を総合評価。 ●入学願書等の提出書類審査 ●小論文試験 ●専門科目試験 (1科目を選択して受験)●口述試験 審査結果通知:11/24 (火) 8/24 (月) ∼ 27 (木) 11/30 (月) ∼ 12/3 (木) ●第1次 小論文試験・専門科目試験・口述試験: ┃受験資格 ┃基準特別選考 本大学院は、次世代を担う政策専門家・政策プロフェッショナルにふさわ 特色あるカリキュラムを展開している本大学院で学ぶためには、 その教育 北海道大学の法学部・経済学部・工学部において一定以上の成績を修めた卒業生または しい高度な専門性と幅広い視野、長期的な視点に基づいた総合的判断 内容を確実に修得することのできる基礎的な学力が求められます。ただ 卒業見込者、 あるいは本学の学生に限らず、一定期間内の国家公務員採用試験(総合職試 力を身につけた職業人の養成を目標としています。 し、 ここでいう学力とは、いわゆる4年制大学の卒業という「学歴」とイコ 験)の合格者、 またはTOEFL等の英語能力に関する試験で一定以上の成績を修めた者な そのため、入学試験においては、 ールではありません。高等学校や短期大学、各種学校等の卒業生であっ どを対象にしています。十分な学力を前提に、口述試験やそれ以外の学修成果、学修計画 ◎基礎的な教養と社会問題に対する鋭敏な感性 ても、入試委員会の「出願資格審査」により4年制大学卒と同程度の学力 の内容から適性を総合的に判定します。 ◎公共政策の実現に必要な分析力、思考力および表現力などの能力 があると認められた場合、本学の受験資格が得られます。 を観点に選抜を行っています。 ■ 募集人員:30名程度 「公共経営」 「国際政策」 「技術政策」の3コースに定員は設けておりません。 またいずれ のコースを志望する場合でも、 専門科目試験区分は、 自由に選択することが可能です。 ■ 出願資格審査要件 出願時に、最終出身学校の成績証明書・卒業証明書、志願理由についてのレポート (2000字程度) を提出してもらいます。また、著書や取得資格などの能力を証するも のを提出することができます。 ※大学卒業者・卒業見込者は必要ありません。 ┃入試説明会・相談会 10/2(金) 2/5(金) 公共政策大学院入学者 入学者内訳 (1期生∼10期生 総数335名) 外国人留学生 特別選考 3% 社会人 特別選考 29% 一般選考 54% 札幌・東京などで行う入試説明会・相談会では、本大学院教員が入試制度やカリキュラム の説明を行うほか、学生生活全般について幅広い相談を受けています。在学生と直接話 ができる機会も設けていますので、ふるってご参加ください。なお、 日程などの詳細情報に つきましては適宜ホームページでご確認ください。 21│ Hokkaido University Public Policy School ●第 2 次 1/30 (土) ┃入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー) ◎継続的な教育に耐えうる知的素養・忍耐力 ●第 1 次 9/19 (土) ●第2次 小論文試験・専門科目試験・口述試験: 基準特別選考 14% Hokkaido University Public Policy School │22 ┃アクセス 新千歳空港 JR線/快速エアポート 37分 高速バス/札幌都心行 70∼80分 JR札幌駅 地下鉄南北線 北12条駅 徒歩12分 徒歩10分 北海道大学 公共政策大学院 ┃公共政策大学院周辺地図 大野池 人文・社会科学 総合教育研究棟 公共政策 大学院 法学部 〒060-0809 札幌市北区北9条西7丁目 北海道大学大学院法学研究科・法学部教務担当(公共政策大学院担当) TEL(011)706-3120,3121 E-mail kyomu@juris.hokudai.ac.jp http://www.hops.hokudai.ac.jp/ 至旭川・▶ 千歳方面
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