2009 9月 南アルプス縦走報告書

2009 9月 南アルプス縦走報告書
*聖岳∼北岳*
09,09,09 11:22 荒川岳∼高山裏避難小屋の下り
09/06∼09/13
日程:9月6日∼13日
行程:易老渡∼聖岳∼北岳∼広河原
メンバー:小平貴則(現1)L
小島弾人(現1)
土田孝浩(現1)
気象 渉外 会計
装備 医療
食糧 報告書
目標:初の1年のみによる本格的縦走となるので一人一人がしっかりと考え行
動する事。
 詳細な報告
6日
ボックスで縦走準備を済まし松本駅へ行く。
平岡駅まで電車に揺られること五時間。
駅で良い場所を見つけ、ステーションビバーク。
南アルプスに行くには交通があまり良くないが、そこまでして行く程価値のある山々があ
そこにはあった。
駅に良い寝場所があり、雨も降らず快適に眠れた。
7日 5:30 起床
6:05 タクシーに乗り易老渡へ行く。前日に予約をしておけばもっと早く出発で
き、大型タクシーで他の登山者と一緒に行けるのだと怒られた。常に先を見て動こう
と思う。易老渡に近づくにつれ落石が多くなるらしく、運転手が時々石をどかしなが
ら進んでいった。
7:25 易老渡到着。天気は快晴でとても気持ちが良い。
7:43 出発。ずっと平坦で歩きやすい道が続いた。三人とも体調に問題は無いよ
うだ。
8:43 西沢渡手前で一本。今まで初日は必ず悪天候であったので、一日目から晴
れるのは初めてだった。雨男の江川さんがいないためだろうか?
9:47 一本。ずっと登りが続いているが、弾人はしっかりついて来ている。道が
木に囲まれ時々吹く風がとても気持ち良い。最高の登りだしだ。
10:50
1900m付近の平らな場所で一本。弾人が腿裏の痛みを訴える。北アルプス
の縦走から運動をほとんどしていないらしいので、運動不足じゃないのか。とりあえ
ずしばらく様子を見ることに。それにしても気持ちが良い。黄緑色の葉、倒木と苔、
降り注ぐ太陽の光、全てがそろい最高の空間を作り出している。すばらしい!
11:56
2300m付近で一本。結構登っているがみんな好調であるようだ。林の中の
静けさが体に染みわたる。弾人の足は特に問題ないようだ。
13:24
聖平小屋到着。真っ平らで、天気が良く居心地が良かった。小屋へ受付を
しに行った時に頂いたお茶とクッキーが非常にうまかった。
この日はみんなしっかり歩けていた。夏合宿でガラガラの歩きにくい場所を歩いたので、
道がしっかりしているととても楽に感じた。ヤカンを持っていかなかったためお茶の関係
で面倒だったので、ヤカンやその代りになるものが必要。歩きだしはゆっくり歩き早めの
一本を心がける。休憩が残り二分になったら出発準備をする。この日の晩飯はシチューだ
ったがコーンスープみたいになってしまった。だけど以外に上手かった。
8日 4:00 起床
5:22
出発。この日は三時起き四時出発であったが、一時間寝坊をしてしまった。
コースタイムに余裕があったからよかったが、一時間のタイムロスは大きなことであるの
で気をつけなければならない。
5:55 一本。キジうちのため早めにとる。天気は快晴だったが、聖岳山頂はガス
っていた。
7:14 聖岳山頂少し手前で一本。ずっと長い登りなのできつい。ガスっているお
かげでブロッケン現象が見られた。風も出てきているがみんな元気そうだ。
7:42 聖岳山頂到着。ものすごい達成感を得た。景色は全く良くない。
8:00 奥聖岳山頂。暫くとどまっていたらガスがはれ富士山が見えてきた。
9:45 兎岳手前のコルで一本。途中でルートを間違えてしまい、引き返さなけれ
ばならなくなった。迷ったら地図を必ず見る。
10:35
兎岳山頂。登りで結構疲れた。みんな疲れたようだが、気を取り直し中盛
丸山へ目指していく。
11:50
中盛丸山手前のコルで一本。途中で小兎岳を通過する。天気は快晴で時々
吹く風が心地よい。ただ疲れてきた。
12:52
大沢岳山頂。途中の中盛丸山がきつく大沢岳も登ったが、誰もバテず皆し
っかりと歩けている。
13:50
百間洞山の家に到着。大沢岳からは長く急な下りであったので神経を使う。
膝が痛い!
寝坊してしまったことは非常に良くないことなので、目覚ましをセットし確実に起きられ
るようにする。小平と土田が下痢気味であった。食べ物に問題があるかもしれないが様子
を見ることに。道が分からなくなったら、分かる所まで戻り地図で確認する。間違えない
ことが大前提。途中でボーっとしてしまう時があるので、深呼吸や先頭交代をする事で気
持ちを入れなおす。聖岳はとにかくでかくて格好良かった。ぜひまた行きたいと思った。
今日はみんな良く頑張った。
9日 3:00 起床。夜中に少し雨が降っていた。
4:05 出発。朝飯が焼きそばで早くでき、撤収もテキパキと済んだため早く出発
できた。雲量がかなりあった。
4:47
百間平で一本。歩きやすい道が続く。雲が少しずつ薄くなっているようだ。
5:57 赤石岳手前のトラバースを抜け一本。このトラバースでは落石に要注意で
あった。日が当たらないため少し寒い。
6:42 赤石岳山頂。でかい山だったが、以外にあっさり登ることができた。風が
強く寒いが天気は良い。これから暖かくなってきそうだ。
7:50 大聖寺平で一本。とにかく平らであった。
8:46 荒川小屋で一本。水4ℓを補給。新しく小屋を建設中であった。
9:54 中岳、前岳分岐手前の尾根で一本。急な登りであったが、全然疲れず全員
元気そうである。天気は快晴で風が少しある。
10:15
荒川中岳登頂。
10:40
前岳登頂。山頂では少しゆっくりして行く。悪沢岳へも行けばよかった。
11:11
急な下りを降りたところで一本。膝を傷めないよう、慎重に歩く。
12:13
森林の中に入って行き一本。単調な道を歩いた。弾人に先頭を歩いてもら
う。
12:14
高山裏避難小屋に到着。小屋にはだれもいなかった。置かれていた記録ノ
ートに一言書いておく。ここの水場は結構遠く、サンダルでは絶対言ってはいけない。
この日は出発がかなり早く、非常に良かった。焼きそばにはウインナーやふりかけを
入れるとよい。水分はしっかり取る必要がある。寒くても飲む。読図は丁寧に。一日
中気持ち良く歩け、みんな快調だったが小平は若干不腸。腹の調子があまり良くない
ようだ。
10 日 2:00
起床
3:20
出発。快晴で星や月が非常によく見えた。街の明かりもある。
4:00
小屋をすぎて平らな場所で一本。途中で三回程度道を間違えてしまう。
崖の場所を無理に行こうとせず、脇へ続く道をしっかり確認していく。危険な所に
大抵道は無い。
4:52
板屋岳手前で一本。弾人が危険な転び方をした。ヘッドライトの調子が
悪く歩きながらいじっていたようだ。この事は真剣に考えることにする。思ったよ
りも道が悪く、つまずきそうになる。(※別項に詳細有り)
板谷岳手前で一本。本当にここは板屋岳手前なのだろうか?地図で見ると全く進ん
でないように思える。
6:40
小河内岳到着。いつの間にか二つも山を越え、三つ目の山にたどり着い
ていた。快晴で気持ちが良く富士山がすごく大きく見える。
7:47
烏帽子岳登頂。稜線を土田が先頭で歩いていく。快適な稜線歩きだ。
8:33
三伏峠小屋到着。弾人に先頭を歩いてもらう。途中で道を間違えるが、
しっかり歩けている。
無意味な早出により、暗い中を長時間歩かなければならなかった。そのため道を間
違えたり、地面が見えず転んだりと非常に危険である。どんなに早くとも四時出発
にする。歩きながら作業をせず、やりたいときは止まってもらうことを心がける。
いつの間にか小河内岳についていたのは驚きであった。
11日 3:35
起床。三時起きを予定していたのだが、また寝坊してしまった。反省が生
かされていないのは問題だ。
4:50
出発。出発まではスムーズに行った。
5:35
本谷山山頂付近で一本。比較的歩きやすい道が続いた。
6:36
権右衛門山の巻道にある沢で一本。全員元気そうである。
7:30
塩見岳山頂手前で一本。弾人に先頭をやってもらう。急な登りであった
が良いペースでよく頑張っていた。天気は曇っている。
8:17
塩見岳登頂。風が強く寒い。雪の粒まで吹き付けてきた。早めに下る。
9:20
尾根途中のピークで一本。天気が回復し、快適な稜線歩きができた。み
んな元気そうだ。稜線なので土田が先頭を行く。
10:42
一本。弾人がバテはじめてきている。
11:32
安部荒倉岳山頂。途中に熊の平小屋まで二時間という看板があったが、
これは掛かり過ぎだ。この程度の荷物ならコースタイムは楽に切れる。
12:05
熊の平小屋到着。雲が結構出てきて寒い。コースタイムを二時間以上縮
められたのは皆頑張ったからだ。弾人がバテ気味であったので先頭を歩かせたら、
かなりしっかり歩けていた。
今日は長い行程であったがみんな頑張って歩いた。小屋の人が言うには明日は天気
が悪いらしい。天気図を書いたが、どうして悪天候になるのか全く読みとる事が出
来なかった。
12日 2:45
4:10
起床。
出発。少し時間がかかってしまった。
三峰岳手前で一本。みんな元気で快調であったが、ひどくガスっていて何も見えな
かった。風は弱い。
6:00
間の岳手前で一本。霧が濃くてとにかく風が強い。五分後山頂に到着し
た。
7:17
北岳山荘到着。風がこれまで経験しことが無いぐらい強い。天気が悪い
ので騒いでテンションをあげていく。一気に山荘まで行った。時々見える太陽や景
色に勇気づけられた。特にみんな問題ないようだ。
8:22
北岳山頂。とうとう日本第二位の山に来た。この縦走の最終ピークなの
で感慨深いものがあった。登りを弾人先頭で行ったが、かなり良いペースで歩けて
いた。ただ風がものすごく強い。強い時は歩くのも困難なぐらいであった。雨も降
り出してきて急いで下山をする。
9:05
北岳肩の小屋到着。テントを立てたとたん雨が強くなってきたので、良
いタイミングであった。
これからが本当に大変だった。風がテントを襲い、あったまった空気をごっそり持
って行ってしまう。午後には雷まで鳴り出し、どうすればよいか分からずとりあえ
ず小屋へ避難する。ストーブがありとても温かい。一時間ほどしてテントに戻った
ら、土田が寝る隅の方に水たまりが。お玉で水を出していたが、テント内のすべて
のものがびちょびちょで悲惨な状況であった。夜中は寒くてよく眠れない。トイレ
に行くのさえ一苦労であるのに小平は腹の調子が悪い。何度便所へ行ったことか。
何とか夜を乗り切り外へ出たら美しい朝日が迎えてくれた。一面が黄金で富士が美
しい。
13日 4:30
起床。
6:05
出発。あの夜を乗り切ったからこそ心にしみる朝日であった。
6:54
一本。急な坂を下ったが、思ったほど大変な下りではなかった。
7:30
白根御池小屋で衣類調節をする。少し下るだけで暑くなってきた。
8:22
第一ベンチで一本。下りが続いているため膝がいたくなってくる。しか
しすがすがしいほどの樹林帯の中を歩くことができ気持よかった。
9:05
広河原到着。やっと到着したという感じであった。バスが十時半発だっ
たのだが、別のパーティーが乗るタクシーに一緒に乗せてもらう。とてもありがた
く感じた。
11:49
甲府発の電車で松本へ帰った。
一年だけで長期山に入っていたが、全員無事に下山しやりきることができ良かった。
この経験は自分たちにとって大きなものとなり次の山行につなげていけると思う。
そして先輩が誰もいないということが少し気を楽にし、楽しむことができた。反省
すべきことや、このまま維持しなければならないことなど多くあったがすべてを真
剣に受け止め各自成長していこうと思う。とにかく今回成功できたことがとても良
く、次の山行が楽しみだ。
小平
貴則
各係からの報告
 食糧係の反省

担当土田
今回準備の際に指示がうまく伝わっておらず、いくつか重要な調味料を持っていき忘
れた。次からは2重チェックを怠らないと共にしっかりと意思の疎通を図る必要性を
感じた。

なにかと使えるので調味料の中にカレー粉を加えたいと思う。

下山日の前日天場に9時頃到着してどうせ翌日下山だからとお昼に予備食のラーメン
を食べてしまった。予備食はあくまでも予備食で、完全に下山するまで手を付けるべ
きではなかった事と何もしない事があれほど強烈な空腹感を引き起こす事を改めて認
識した。

食糧係的にはヤカンを持ってき忘れた事が痛かった。
 医療係の反省

担当小島
毎日ビタミン剤と栄養剤を飲んだ。バンテリンは良く使ったので、そろそろ買い足す
必要があるかもしれない。怪我や病気がなくてよかった。しかし行動3日目の7時頃
に皆の手がむくむという現象が起きた。これは原因を調べ、予防していく必要がある
と思う。
 装備係の反省
担当小島

白ガス、約1200ml消費
メタ、約15本消費

紛失、なし

メタは持っていく量を事前にしっかり確認しておくべきであった。漏斗を忘れて、ガ
忘れ物、ガス用の漏斗
ス入れの時に苦労したので、装備チェックを皆で行った方が良い。

ツェルトが雨に当たると膨れて重くなるので、防水をした方が良いかもしれない。

良いメタが無くなったので買い足した方が良い。
 気象係の反省

担当小平
小屋の人の話から天気が悪化すると分かっていて天気図を書いたのだが、どうして天
気が悪くなるのかが全く理解できなかった日があった。メンバー全員の気象に対する
認識の甘さが浮き出る形となった。
 渉外・会計係の反省

担当小平
タクシーは事前に連絡しておくべきだった。一方で帰りのタクシーの様な嬉しい誤算
もあった。

会計は今回から事前に経費を集める方法を採用したが不慣れなせいであまり効果的に
機能しなかった。慣れが必要。
南アルプス縦走の反省
今回は一年のみの長期山行であった。また自分がこのリーダーを務めたのだが、正直う
まくやれるのかという不安が強かった。縦走計画の段階で一年全員で日程を考えるのでは
なく、全て一人で決め説明も不十分であったことは反省すべきことであった。なぜなら三
人で考えていたら、時間に余裕のある日は多くの山に行けるルートを選ぶことや、無理な
日程を考え直すこともできるからだ。リーダーとはいえ、まだ一年で経験不足なので一人
で考え込むべきではなかった。
山で生活をしている時は土田や弾人に支えられることも多々あったが、何とかまとめて
行動できたのではないかと思う。行動中は先輩がいなかったため、山頂で長めに一本をと
ったり、夜中にくだらない話に花を咲かせたりと楽しかった。こうやって楽しむことがで
きたのも、集中すべき時とだらける時とのメリハリがあったためだろう。メリハリある行
動が一年だけでできたことは大きな成長であり、次へのステップにつなげていきたい。
この縦走は天気に本当に恵まれていた。常に日が出ていて景色を堪能することができ、
テン場に着いて物を干したり、外でダラダラすることもできた。ただ 6 日目だけは違って
いた。朝起きてからずっとガスっており、強い風が吹いていた。今までずっと良い天気で
あったし、次の日はただ下るだけであるので頑張ろうと思い出発した。天気は回復するよ
うすを見せず、少しずつ悪化していく。何だこの風は、今まで経験したことが無かったた
め少し焦った。しかしこの天気に皆気持が萎えてしまうのではなく、逆にテンションをあ
げて歩けたことが本当に良かった。おかげで何事もなくテン場に到着ができた。ただこれ
からが大変だった。雨がどんどん強くなり夕方からは雷までなりだした。このような状況
に対しどう行動すればよいのかという知識が無かった事は反省すべき点だった。本を読み
山で起こりうる事態に適切に対処できるようにならなければならないと強く感じた。また
この日天気が悪化するということは、前日に小屋の人やFM富士の天気予報で分かってい
た。天気が悪化すると分かっていて天気図を書いたのだが、どうして天気が悪くなるのか
が全く理解できなかった。天気図の練習不足や、気象の知識不足が招いたことであり、い
かに気象を把握することが大切なのかということをしった。
今回反省すべきことは多くあったが、その一つ一つを心に強く留め次へつなげて行こう
と思う。また一年のみで七日間山で生活しきれた事は、自分たちにとって大きな成果であ
る。来年後輩を連れて山へ行くにはまだまだ経験不足であるので、体力、技術、生活、リ
ーダーシップ等々基礎的な事をパワーアップさせる必要がある。とにかく自分の山に対す
る気持ちが今回強くなっているので、それなりの態度で練習に励みたい。
頼りないリーダーであったが、支えながらついてきてくれた土田と弾人には心から感謝
したい。本当にありがとう。そしてこれからも三人一緒に頑張っていこう。
一年
小平貴則
南アルプス縦走記
零日目、BOX∼平岡駅まで想定外の交通費に文句を言いながら電車で GO。コインラ
ンドリーでザブザブ洗って臭いの落ちたガッシャーと供に行く。あぁ、遠い。そ
の日は平岡駅前でビバーク。ボンドさんから頂いたシュラフをツバリングでゲッ
ト。速実戦投入。
初日、平岡駅∼聖平小屋まで。当日の朝タクシー会社に連絡すると「なんで昨日
までに連絡してくれなかったのだ」となぜか怒られる小平。まぁ、確かに事前に
連絡を入れなかったのは反省点だ。易老渡に着き単調な上り。何事も無く聖平へ
到着。ここは見晴らしがとても良かった。
2日目、聖平小屋∼百間洞山の家まで。振り返ってみると今回の山行で一番しん
どい上りだった聖岳。途中ガスってきたためブロッケン現象に遭遇。山頂に着き、
空身で奥聖まで行きわずかな晴れ間に富士山を拝む。この後、上り下りを繰り返
して百間洞露営地に到着。ここは水場、トイレともに少し遠かった。
3日目、百間洞山の家∼高山裏避難小屋まで。今回の山行で一番楽しかった日を
挙げるならこの日です。朝出発してすぐ百間平。平たんな道をサクサク歩く。少
し上って赤石岳。
そこから500m 程下り荒川小屋。
荒川岳はまた3000m 級だ。
そして天場のある高山裏避難小屋は2400m を下回る。なんともダイナミックな
行程だった。体が慣れてきたのかこの日はいくら歩いても一向に疲れない、むし
ろ快適に登れた。
4日目、高山裏避難小屋∼三伏峠小屋まで。今回の山行で一番短い行程8時過ぎ
に天場に到着。薄シュラフが災いして非常に寒い。全衣類を装着して寝る。
5日目三伏峠小屋∼熊の平小屋まで。この日は今回の山行で一番長い行程だった
が塩見岳を超えてしまうと後はなだらかな道。予定よりも大幅に早く着く。
6日目熊の平小屋∼北岳肩の小屋まで。風が強く非常に寒かったが、行程自体は
短く9時に北岳肩の小屋に到着。激しい雷と雨に遭遇して小屋へ避難させてもら
う。夜、あまりの寒さに眠れず、雨が止んだのを見計らって、テントから這い出
て筋トレ。なんで山の中でこんなことをしているのだろうか。
7日目北岳肩の小屋∼下山。BOX まで。北岳からの下りは思っていた程でもなく楽
に下山。BOX につき片づけを済ませ、いざ和(かのう)へ!・・・・・・と思った
ら和は準備中。失意の中 OB の岸本さんがバイトをしていたという噂のモスバーガ
ーへ。満更でもないハンバーガーをほおばりながら反省会をして縦走終了。
今回の縦走は南アルプスの聖岳∼北岳を1年3人で行くことになり今までの山行
とは比較にならない程色々な事を考え、感じる事が出来たと思う。これはやはり
周りに上回生がいない事で気兼ねなく行動できたこともあるが、これまでの山行
では先輩に頼り、主体的に行動できていなかったということである。何かが起こ
ったときそれを対処するのも責任を被るのも自分達。なんだかようやく舞台に立
つことが出来たような気持ちだ。
・・・・・・そうすると一人での山行をこなした
ら何が見えるのだろうか。
1年
土田 孝
浩
南アルプス縦走
感想と反省
今回は1年生のみでの7日間に渡る山行であった。荷物は軽くテントは広く、ゆとり
のある行程だったため、僕は良く食べ良く写真を撮り、楽しく過ごすことができた。
しかし今回、自分には改善すべき点が多く観られた。これはもしかすると、先輩のい
ない中、1年同士で活発に意見を交わしあったおかげかもしれないし、今まで気付いて
も直す心の余裕の無かったものが、一週間という時間の中で次第に大きくなってきたた
めかもしれない。
まず持ち物の問題である。1つめ、僕は記録ノートを用意し忘れ、地図の裏に記録を
取っていた。これではしっかりとした記録などは残せず、山へ登った行為が幾らかでも
無駄になりかねない。今からでも記録をきちんと取りつつ山に臨む姿勢を持ちたい。2
つめにヘッドランプがある。僕は発光ダイオードのものを買うように周りから何度も忠
告されたにも関わらず、電池交換さえ面倒臭がらなければ大して問題あるまいと思って
電球式の古いものを使っていた。しかし今回、朝早くに比較的足場の悪い登山道を歩い
た際、その明るさ、軽さに対して発光ダイオードとの圧倒的な性能差、また時代の差を
肌で実感し、さらには換え電池すらポケットに入れ忘れて電池が切れ、暗い中躓いて危
うく林の中を転がり落ちかけるという、とても無視できかねる事態を引き起こして他の
二人に大きな迷惑をかけてしまった。山での装備の不良は直接に命にかかわる問題であ
るから、ランプに限らず、中古の装備はしっかりと見直し、お金をケチらずに良いもの
を買うべきである。3つめに衣服の問題がある。9月の山は予想より少し寒かったので
暖かい服を余分に持っていくべきであった。また、下山時に臭い服の着っぱなしは周り
への迷惑となるので、シャツだけでなくズボンの換えも持つべきだった。
それからもう一つの大きな問題点は、防水に関してである。6日目の北岳肩の小屋に
テントを張った際、一晩中続いた雨によって、いくつかの個人装備が濡れてしまった。
スタッフバッグに頼り過ぎず、ジップロックやビニール袋をしっかり使い、穴の空いた
古い袋は捨て、また、大きなビニール袋を余分に必ず持って行くようにしたい。
体力面の問題は新人合宿の時から言われ続けていることであるから、体力は最大の持
ち物であると思ってトレーニングに励みたい。
僕は他の二人に比べて靴ヒモ結びと食事に時間が掛かってしまうので、これもなるべ
く改善していきたい。
このように色々と気付かされることの多い山行であった。怪我をする前に気付けたと
いう点で、夜の寒さや北岳の激しい風と雨には感謝したい程である。
一年
小島弾人
小島弾人の滑落について
5月10日、AM4:30頃高山裏避難小屋を少し歩いたところで小島弾人が転んだ。幸い
木にとめられ怪我無かったが、この事をぞんざいに扱わずしっかり受け止めようと思う。
歩いていた道は右側が切れ落ち、一人歩ける程度の幅で石や木の根が邪魔し気をつけな
ければつまずいてしまうような道であった。朝早かったため辺りは暗くヘッドライトがな
ければ歩けなかった。弾人のヘッドライトは電池が切れかかっていたため光が弱かった。
そして歩きながらライトをいじっており、道を踏み外しひっくり返るようにして転落。先
頭の小平が落下に気づいたとき、小島は2mほど下の背の低い木の上に乗っかるような形
で倒れていた、一人では起きれそうになかったため手を貸して起こした。以上が事故当時
の状態である。
原因 ①当日の行程はコースタイムで5時間程と短かったにもかかわらず、二時起床、三時
出発という無意味に早出してしまったため暗い中長い間歩かなければならなかったこと。
②弾人が歩きながらライトをいじっていたため、足もとへの注意がおろそかになっ
たこと。
③小平が先頭を歩いていたが、暗いからこそ足もとを注意するよう頻繁に言ってい
れば注意におろそかにならずに済んだこと。
④弾人のライトが旧式の豆電球のものであり、また替えの電池をボックスに転がっ
ていたものを使っていたため明るさや、寿命に問題があったこと。
対策 ①1年のみの山行では原則として早くても四時出発とし、暗い中の長時間行動を慎む。
②基本的に歩きながら物をいじることはせず、どうしても何かしたいのであれば先
頭を行く人に事情を話し行動を止めてもらうようにする。
③普段は通過になんともない場所ではあっても、周囲の状況から危険だと感じたら
些細なことであっても注意を呼び掛けるようにする。
④リーダーが不在なので正式な決定ではないが、1年は頻繁に電池の交換を必要と
する豆電球式のヘッドランプの使用を禁止して、ライトはLEDのものを使うこと。そし
て替え電池は買ったものを用意しておくようにする。

以下は小島弾人の反省文
 夜道で転んだことについての反省
4日目の9月10日4時半頃、板屋岳∼大日影山付近において、僕は針葉樹林帯の狭
い登山道を2番手で歩行中、木の根らしきものに躓いてバランスを崩し、谷側に倒れ5
0cm程ずり落ちました。幸い怪我は全く無く、すぐに手を貸してもらい立ち上がって
歩き続けることができましたが、これは一歩間違えれば大きな事故にも繋がりえるもの
でした。
難所という訳ではないものの、月明かりは高い木に遮られ、出発時間が早めであった
こともあり道は暗く、良いヘッドランプがあっても歩くのに注意が必要な場所でした。
僕は1日前にランプの電池を交換したばかりだったので、この朝ぐらい大丈夫だろう
と油断して換え電池をすぐ出せる所にしまわずに出発しました。事故の30分ほど前か
ら電池の機嫌が悪くなり、明かりが次第に暗くなっていき、ついには切れたので、僕は
電池を取り出してポケットに入れ保温すれば幾らか復活するだろうと思い、頭からラン
プを外して電池を抜こうとし、そのとき転倒して木に引っ掛かり止まりました。幸いズ
ボンのポケットに半分切れかかった古い電池があったので、事故後明るくなるまではそ
れで持たせました。
事故の原因
性能の悪く暗い電球式ランプを使っていた。
BOXにあった古く怪しい電池を使っていた。
換え電池をすぐ出せるようにしておかなかった。
朝早い中、ゆっくり歩く慎重さと集中力に欠けていた。
先頭に声を掛けず、暗く足の悪い中歩きながらランプをいじくっていた。
対策
山の中で信頼するに足る電池とLEDライトを購入する。
行動中に問題が発生すればすぐ周りに言う。
電池はいつでも常に交換できるようにしておく。
日程には充分に余裕があったので、不必要な早出、睡眠時間の短縮は避ける。
初の1年生3人のみでの1週間の縦走中、最も反省すべき事態でした。土田と小平に
は迷惑をかけました。これからは一層真剣に山と向き合いたいと考えています。
以上
編集後記
今回初の1年のみによる本格的な山行をすると言うからに
はしっかりと報告書を作成して初めて一つの山行をこなし
たと言えると考えたのだが「しっかりと」冊子の様にするた
めにはどうやらあと1ページ必要みたいなのでこの様なペ
ージを設けてみた。
 編集してみて思った事
 どの程度編集してよいのか
なるべく本人の文章をそのまま載せたかったのだが、書式やレイア
ウトが各人であまりにも違っていたため、初めにコピー&ペースト
で作成した試作品はツギハギの様で読みにくいものとなってしまっ
た。従って今回の報告書を作成するにあたってかなり手が加えられ
ている事を断っておきます。
 結構大変
結構大変なのに編集しているうちにあれやこれややりたくなってな
かなか終わらない。気づけば11時過ぎ。あら不思議、4時間半も経
っている。実にサッカー3試合分である。ようやく完成!
編集長
嵐はいつか必ず止むものだ
09,09,13 5:45 激しい雷雨が過ぎ去った北岳肩の小屋からの富士山
土田