パスポートとビザ免除プログラムに関する要注意事項

移民法関連
2004 年 4 月
パスポートとビザ免除プログラムに関する要注意事項
一昨年の同時テロ事件以来、名称、管轄省庁、手順、料金など、ビザ関連の移民法、諸規制は、めまぐるし
くルールが改訂されています。今回は、特にビザ免除プログラムで米国に入国する外国人を対象に、パスポ
ートに関する必要事項が加わりました。現在は、ビザ免除プログラムでの米国入国者のみに限られています
が、将来的には、ビザ入国者も対象とされる可能性もありますので、米国在住の駐在員の方とそのご家族、
人事担当者、また、日本から短期出張等で渡米される方にもご案内下さい。
•
機械判読パスポートとバイオメトリックス・パスポートの違い
Machine Readable Passport(機械判読パスポート、“MRP”)と呼ばれるものには、従来日本人が使用してい
るバーコード付きパスポート等が含まれ、文字通り、機械が読み取ることのできるパスポートを指します。
これとは別に、昨今、バイオメトリクスによる認証方式が、世界中のパスポートに用いられつつあります。
バイオメトリクスとは、指紋、声紋、虹彩等、身体的な特徴をデータ化した生体情報のことで、バイオメト
リクス・パスポートとは、こうした情報を含むパスポートです。今後の米国入国は、以下の通り、バイオメ
トリクスで、しかも機械判読可能なパスポートでの入国が必要とされる傾向にあります。
•
ビザ免除プログラムと MRP:2004 年 10 月 26 日実施予定
昨年、ビザ免除プログラムによって、米国への短期滞在にビザを免除されている条約国に対し、米国入国に
MRP が必要になるという動きがありましたが、これは期限が延長され、ごく一部の国(アンドラ、ベルギー、
ブルネイ、リヒテンスタイン、スロベニア)を除いては、MRP が必要とされるのは、2004 年 10 月 26 日から
と改訂されました。従って、2004 年 10 月 26 日以降に、日本人が米国へビザ免除プログラムで渡航する場合
は、MRP が必要となります。
•
ビザ免除プログラムとバイオメトリクス・パスポート:2004 年 10 月 26 日以降に発行されるパスポートに
必要
上記の MRP を要する新ルールの実施と期日を同じくして、ビザ免除プログラムで米国に訪れる場合、2004 年
10 月 26 日以降に発行されるパスポートは、バイオメトリクスであることが必要となる予定です。即ち、2004
年の 10 月 26 日より、日本人がビザ免除プログラムで米国入国する場合、以下の要項に沿う必要があります。
1)
2004 年 10 月 26 日以降に発行されたパスポートで米国入国する場合、パスポートは、MRP
で、しかもバイオメトリクスでなければならない。
2)
2004 年 10 月 25 日以前に発行されたパスポートで、2004 年 10 月 26 日以降に米国入国する
場合、パスポートは、バイオメトリクスである必要はないが、MRP でなければならない。
従って、2004 年 10 月 26 日以降は、MRP でないパスポートの場合、ビザ免除プログラムを用いての米国入国
は、できないことになりますので、ご注意下さい。
尚、日本では、各都道府県のパスポート発給には MRP が導入されていますが、将来的には導入予定としなが
らも、2004 年 4 月 5 日現在の外務省の発表では、バイオメトリクス方式は採用されていません。日本を含め、
諸外国では、バイオメトリクス方式を導入するにあたり、パスポート発行システムにかなり大掛かりな変更、
開発、基準統一等を余儀なくされるため、確実な詳細は、日本外務省からも発表されていないのが現状です。
当法務情報では、今後も引き続き、新しい情報が発表になり次第、ご案内申し上げますが、バイオメトリク
スに関する要項は、日本国外務省のパスポート発給対応に大きく左右されるため、米国国務省、移民局の発
表と共に、日本外務省の発表にも、ご注意下さい。
•
海外でのパスポート発給
2004 年 10 月 26 日から、ビザ免除プログラムでの米国入国者に必要となる MRP ですが、日本国内ではなく、
駐在先など、外国でパスポートを取得する場合、世界の各国では、バイオメトリクスは勿論、MRP の発行が
可能でない日本大使館、領事館も多く存在しています。シカゴ日本領事館では MRP を発給していますが、詳
しくは、外務省のパスポートに関する案内ウェブページ、
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/us_domestic.html をご覧下さい。
------------------------本ニュースレターは、法律の最新情報、動向を御案内するもので、いかなる場合も法務サービス、法務アドバイスの意味を持ちません。
移民法、ビザに関するご質問、当 Newsletter 配布のご希望は、Barnes & Thornburg の日本企業グループ部門責任者、山本真理(312.214.8335、
mari.regnier@btlaw.com)までお問い合わせ下さい。住所変更は、yoshiko.nakai@btlaw.com まで、E-mail にてご連絡下さい。