PRESS RELEASE [プレスリリース日本語訳] 2013 年 12 月 4 日 エルゼビア・ジャパン株式会社 Contacts: Kyoto University, iCeMS EuroStemCell Elsevier Name: David Hajime Kornhauser, Manager, Overseas Affairs and Planning / Public Phone: +81-(0)75-753-9748 / 9755 Name: Clare Blackburn, Coordinator, or Dr. Jan Barfoot, Public Engagement Manager Phone: +44-(0)078-1022-3009; +44-(0)131 651 9506 Email: C.Blackburn@ed.ac.uk; J.Barfoot@ed.ac.uk Name: Ludivine Allagnat, Analyst, Global Academic Relations Email: david@icems.kyoto-u.ac.jp Phone: +81-(0)3-5561-5620 Email: l.allagnat@elsevier.com エルゼビア、京都大学 iCeMS と EuroStemCell と共同で 幹細胞研究の動向と展望の調査レポートを発表 ― 世界平均の倍速で拡大する成長分野を網羅的に分析 ― 2013 年 12 月 4 日、米国サンディエゴ ― エルゼビア、EuroStemCell、および京都大学 物質―細胞統合シス テム拠点(以下 iCeMS)は、World Stem Cell Summit(世界幹細胞サミット、以下 WSCS)で、幹細胞研究の動 向と展望をまとめた報告書 Stem Cell Research: Trends and Perspectives on the Evolving International Landscape(以下レポート)を発表しました。本レポートは、成長著しい幹細胞研究全般を網羅的に分析しつつ、 さらに ES 細胞・ヒト ES 細胞・iPS 細胞について、国レベルおよび研究大学/研究機関レベルの研究動向比較、 共同研究状況などを調査したものです。 客観的データに基づき広範かつ透過的に研究活動を明らかにするため、本レポートでは研究をリードしている 各国の論文発表や被引用度、共同研究の度合いなどの分析データを用い、国家間の重点領域や成長度合い について調査しました。対象論文データの収集にはエルゼビアの世界最大級の抄録・引用文献データベース Scopus(スコーパス)を使用し、科学者や政策関係者からの意見として研究の現状および将来の希望を含め た多様な見解が示されています。本レポートの知見は、WSCS の最終日 12 月 6 日に、中辻憲夫(京都大学 iCeMS)、Stephen Minger (GE Healthcare)、Brock C. Reeve(Harvard Stem Cell Institute)、Deborah J. Sweet(Cell Press)、Brad Fenwick(Elsevier)により発表される予定です。 本レポートの主な内容を以下に抜粋します: 幹細胞研究分野の論文総増加率は年 7 パーセントで、世界平均の 2.9 パーセントの倍以上。特に 2012 年にノーベル医学・生理学賞を受賞した iPS 細胞の研究分野の論文数の増加は目覚ましく、 2008 年からの成長率は 77 パーセント。 幹細胞関連の論文は、分野補正後の相対被引用度(field weighted citation impact: FWCI)による世 界平均と比べて 1.5 倍多く引用される傾向がある。ES 細胞論文の相対被引用度は平均 1.8 以上を維 持(2008-2012 年)、ヒト ES 細胞論文は 2008 年の 2.35 から 2012 年は 2.08 に減少、成長著しい iPS 細胞関連は幹細胞分野の最高数値で、FWCI は 2.93(2008-2012 年)。 幹細胞関連論文の約半数が「drug development(創薬)」または「regenerative medicine(再生医療)」 に関連したキーワードを含んでおり、現在臨床での応用を目指した研究が活発であることを表している。 幹細胞論文では「regenerative medicine」が 47 パーセント、「drug development」が 2 パーセント程度、 キーワードとして含まれている。一方 iPS 細胞論文では「drug development」が 11 パーセントに上り、 被引用度も高い。 幹細胞研究が国内で相対的に活発なのはシンガポール、イタリア、米国、日本、イスラエルで、論文の 絶対数は米国と中国が最多。 幹細胞研究は、新たな医療の可能性をもたらします。これまで治療が難しいとされていた疾患や重篤な損傷の 新たな治療法の開発が期待されており、2006 年に iPS 細胞が発見されてからは、創薬から人工細胞までを視 野に入れたあらゆる研究活動が一段と活発になっています。世界各国がこの分野を優先課題の一つに掲げる 一方で、国ごとに独自の倫理と規制をめぐる議論に基づく科学政策が立案されており、研究活動への影響も想 定されます。 iCeMS の設立拠点長である中辻憲夫教授は、「今後ヒト多能性幹細胞が本格的に医療と創薬に実用化される ためには、多分野に跨がる学際的研究に加え、産官学の本格的な連携が必要です。高品質の多能性幹細胞 や使用目的に応じた分化細胞の大量培養と生産システムの確立などによる、安全性や信頼性の高レベル確 保が重要な課題となります。また、研究開発に対する適切な支援と加速を実現するには、各国政府が複眼的 に世界のトレンドを把握し、客観的データに基づいて政策を立案することが重要です」と述べています。 EuroStemCell のプロジェクト・コーディネーターであり、エジンバラ大学再生医療センター医学研究審議会メン バーおよび組織幹細胞生物学の Clare Blackburn(クレア・ブラックバーン)教授は、「このレポートは世界の幹 細胞研究を俯瞰することができ、より踏み込んだ書誌計量学により国単位および国際レベルの研究トレンドが 分かります。例えば、幹細胞研究に強い地域や急拡大している組織というのはどこなのか、各国の研究資金政 策は高インパクトの成果をもたらしているのか、といったことを読み取ることができます。示唆に富むこれらの情 報を分析することは大変刺激的でした。読者の皆様にとっても、未来の科学政策に影響を与えうる研究分野の 理解を深める一助になればと思います」と述べています。 「このレポートの目的は、網羅的な分析を専門家の知見に照らして概観することで、幹細胞研究の科学政策立 案を支援することにあります。エルゼビアは EuroStemCell と京都大学 iCeMS、およびその専門家の皆様の叡 智によりレポートを作成することができ、大変光栄に思っています」とエルゼビアの SciVal 製品担当(AGIM)マ ネージング・ディレクターNick Fowler(ニック・ファウラー)は述べています。 Stem Cell Research の PDF(14MB): http://info.scival.com/UserFiles/Stem-Cell-Report-Trends-and-Perspectives-on-the-Evolving-Internation al-Landscape_Dec2013.pdf オンラインブック形式: http://issuu.com/eurostemcell/docs/stem-cell-report-trends-and-perspec # # # 【用語補足】 • ES細胞(Embryonic stem cell、胚性幹細胞) • ヒトES細胞(human embryonic stem cell、ヒトの胚性幹細胞) • iPS細胞(induced pluripotent stem cell、人工多能性幹細胞) ES細胞やiPS細胞は多能性幹細胞(生物のさまざまな細胞に成長しうる能力を持つ細胞)であると考えられている。 【取材窓口】プレスリリース上部のコンタクト先参照 • 仙石 慎太郎 准教授、京都大学iCeMS • Clare Blackburn, Professor, Tissue Stem Cell Biology, MRC Centre for Regenerative Medicine, University of Edinburgh and Project Coordinator of EuroStemCell • Anders Karlsson, Vice President, Global Academic Relations, Asia Pacific, Elsevier 【2013 World Stem Cell Summitホームページ】 http://www.worldstemcellsummit.com/ 【京都大学iCeMSについて】 京都大学 物質―細胞統合システム拠点(Institute for Integrated Cell-Material Sciences: iCeMS、アイセムス)は、 京都大学が強みを持つ細胞研究と物質科学研究を統合し、世界レベルでの革新的かつユニークな研究環境を目指 して設立されました。生化学、化学、物質科学、物理学を統合してメゾスコピック領域(バルクとミクロの中間領域)の 細胞および細胞関連物質を研究しています。独自のアプローチにより、医学・薬学研究および環境・産業界において 常に注目を集めています。http://www.icems.kyoto-u.ac.jp/ 【EuroStemCellについて】 EuroStemCellは2010年3月に設立され、欧州委員会の第7次研究枠組み計画(Seventh Framework Programme: FP7)の資金により運営、ヨーロッパの90以上の幹細胞および再生医療の研究機関を統合してEU市民に対する幹 細胞研究の啓蒙活動を行っています。EuroStemCellは科学者、臨床医、倫理学者、社会学者およびサイエンスコミ ュニケータ―と提携し、教員や患者代表と緊密に活動しています。http://www.eurostemcell.org/ 【エルゼビアについて】 エルゼビア(www.elsevier.com)は、科学・技術・医学分野の製品およびサービスを専門とする、世界有数の学術出 版 社 で す 。 科 学 ・ 医 療 コ ミ ュ ニ テ ィ と グ ロ ー バ ル に 連 携 し て The Lancet ( www.thelancet.com ) や Cell (www.cell.com) を含む2,000 誌以上のジャーナル、MosbyやSaundersの百科事典を含む20,000点を超える書 籍を刊行しています。電子製品としては、ScienceDirect(www.sciencedirect.com)、Scopus (www.scopus.com)、 SciVal ( www.scival.com ) 、 Reaxys ( www.reaxys.com ) 、 ClinicalKey ( www.clinicalkey.com ) 、 Mosby’s Suite (www.confidenceconnected.com) などを提供し、科学と医療の専門家の生産性向上や、研究・医療機関におけ るよりよい成果の実現、コスト効率の良い運営を支援しています。 エルゼビアは、オランダのアムステルダムに本社を置き、社員7,000名を抱えるグローバル企業です。リード・エルゼ ビア・グループ(Reed Elsevier Group PLC、www.reedelsevier.com/Pages/Home.aspx)の傘下企業で、世界でも トップクラスの出版社かつ情報プロバイダーです。Reed Elsevier PLC とReed Elsevier NVによって共同保有され ています。リード・エルゼビア・グループのティッカーシンボル(証券コード)は、REN(Euronext Amsterdam)、REL (ロンドン証券取引所)、RUK およびENL(ニューヨーク証券取引所)です。 【日本語版に関するお問い合わせ】 エルゼビア・ジャパン株式会社 サイエンス&テクノロジー マーケティング 神田 Tel.: 03-5561-5034(代表) 03-5561-5069(直通) Email: n.kanda@elsevier.com 日本語ホームページ: http://japan.elsevier.com
© Copyright 2024 Paperzz