7(2003年8月)

2003.8 Vol.
.7
平成15年7月20日発行(第7号)隔月刊
INDEX ● 特集:≪ネットショッピング≫ …1
● 連載:≪道しるべ≫「新しい商品分類と販促パターン」 …7
● 連載:≪アンビションを具現化するマーケティング戦略≫参
発行者:坂上眞介 編集長:永澤祥
…8
所在:渋谷区渋谷2-19-15 宮益坂ビル
株式会社市場開発研究所
連絡先:℡:03-3498-1561
Fax:03-3498-7342
調査の背景と目的
平成14年総務省「通信利用動向調査」によると、平成14年末におけるインターネット利用者数は、対前年比1,349万
人増の6,942万人、この人数は世界第2位のインターネット利用者数とのことです(第1位は米国)。人口普及率でも
54.5%(対前年比10.5ポイント増)と初めて50%の水準を越えました。また、総務省が公開している「DSL普及状況」による
と、平成15年6月末時点でのDSL加入者数は8,257,118に達し、インターネットへの常時接続もあたり前といった状況に
なりつつあり、ますますインターネットが身近なものになっているようです。
今回の特集は、こうしたインターネットや常時接続の普及により、今後ますます利用の増加が見込まれるネットショッ
ピングについてです。ネットショッピング経験者に、ネットショッピングの利用状況、どのような商品をネットで購入した
いのか、ネットショッピングのイメージなどについて聞いてみました。
調査の概要
◆調査期間:2003年3月7日~3月10日
サンプルは、弊社インターネットモニターになりますので、一般のインター
ネットユーザーと比較した場合、日頃からインターネットを積極的に使用し
ていることが考えられます。ご注意の上、結果をご覧ください。
◆調査方法:インターネット調査(抽選による懸賞付き)
◆調査対象:MDRインターネット調査モニター
◆サンプル:獲得総数3,160
10代
男性
女性
46
106
20代
245
778
30代
266
977
40代
50才以上
185
83
396
78
計
825
2335
ネットショッピング利用経験者をランダムに再割付
分析対象 : ネットショッピング利用経験者658
ットショッピング利用経験者
10代
男性
女性
20代
28
70
30代
70
70
1
40代
70
70
70
70
50才以上
70
70
計
308
350
●ネットショッピングの利用頻度・利用金額(利用経験者n=658)
Q.あなたは、オンラインショッピングをどの程度利用されていますか。
Q.あなたが、昨年一年間(2002年)にオンラインショッピングで使った合計金額をお知らせください。
ページを見て商品を
眺める程度
n=
全 体
658
男性10代
28
20代
70
30代
70
ほぼ毎日
週に2~3回
13.4
月に2~3回
21.0
14.3
40代
70
70
20代
70
17.1
30代
70
17.1
40代
70
50代
70
25.7
8.6
18.6
17.1
17.1
20.0
8.6
2.9
0.0
4.31.4
15.7
15.7
25.7
0%
1.4
14.3
28.6
12.9
1.4
10.0
24.3
5.7
12.9
10.0
20.0
27.1
15.7
2.9
8.6 0.0
11.4
14.3
18.6
22.9
7.1
10.0
28.6
18.6
25.7
20.0
3.6
10.0
20.0
18.6
14.3
2.1
17.9
28.6
20.0
28.6
10.0
10.7
22.9
20.0
10.0
2.9
年に1回以下
12.2
25.0
27.1
年 50代
代
別 女性10代
年に2~3回
24.6
7.1
14.3
14.3
月に1回
16.7
21.4
14.3
70
週に1回
5.7 2.9
11.4
2.9
17.1
全体では、ほぼ半数
の人が週に1回以上、
ページを見て商品を眺
めていることがわかり
ます。
また、性年代別では
週に2~3回以上ページ
を見て商品を眺めてい
るようなヘビーユーザ
ーは、男性女性ともに
30代がもっとも多く約
4割いることがわかり
ます。
5.7
50%
100%
実際に商品を
購入する程度
全 体
1.23.3
658 0.5
28
20代
2.92.9
70 0.0
40代
年 50代
代
別 女性10代
70
0.0
0.02.9
70
1.4 4.3
0.0
0.0
70 0.0
1.4
70
30代
70
40代
70
50代
70
年に2~3回
32.1
10.0
41.4
24.3
15.7
47.1
20.0
11.4
48.6
28.6
0%
50%
100%
オンラインショッピング
に使った金額(昨年)
n=
年
代
別
全 体
658
男性10代
28
20代
70
30代
70
40代
70
50代
70
女性10代
70
20代
70
30代
70
40代
70
50代
70
全体では、年に2~3
回程度実際に商品を購
入しているという人が
もっとも多く41.8%、
また約半数の人が月に
1回以上実際に商品を
購入していることがわ
かります。性年代別で
は、男性女性ともに30
代がもっともネットシ
ョッピングをしている
ことがわかります。
7.1
41.4
22.9
20.0
11.4
34.3
31.4
14.3
8.6
35.7
28.6
21.4
8.6
48.6
24.3
14.3
5.7
48.6
24.3
15.7
7.1
35.7
31.4
15.7
年に1回以下
10.5
28.6
22.9
2.9 5.7
0.0
1.4
1.4 5.7
月に1回
41.8
17.9
14.3
18.6
1.4
0.0 2.9
0.0
1.4 4.3
月に2~3回
25.8
0.0
70 0.0
1.4 10.0
20代
週に1回
16.9
3.6 3.60.0
男性10代
30代
週に2~3回
ほぼ毎日
n=
78,889
41,929
58,808
133,479
99,143
118,929
25,007
41,100
78,687
92,300
77,329
2
※数字は平均金額(円)
男性30代がもっともネ
ットショッピングでお金
を使っていることがわか
ります。お買い物という
と女性のほうが積極的に
色々なものを買っている
印象がありますが、意外
にも各年代で男性の方が
お金を使っていることが
わかります。
また、女性は40代で購
入金額がピークになって
いますが、男性は40代が
あまりお金を使っていな
い状況がわかります。男
性40代は、他にお金がか
かりすぎて買い物どころ
ではないのでしょうか。
●利用したことがあるネット店舗(利用経験者n=658)
Q.あなたが、オンラインショッピングで利用されたことのあるサイトをすべてお知らせください。
100
100
84.5
ページを見て商品を眺めた
実際に商品を買った
80
80
59.1
60
60
52.7
40
40
32.4
27.5
21.3
23.4
17.5
20
そ の他
メ ンズ プ ラザ ア オキ
カ タ ログ シ テ ィ
ミ キ ハウ ス
S o- n e t e- m a r t
ア カ チ ャ ンホ ンポ
高島屋
逸品 . com
三越
花 キ ュー ピ ッ ト
S h o p p i n g@ n i f t y
b k 1 ブ ック ス ト ア
デ ィノ ス
ソ ニー プ ラ ザ
g o oシ ョ ッ プ
生協
HMV
伊勢丹
B I G L O B E シ ョ ッピ ン グ
EPSON
コジ マ 電 機
セ シー ル
DELL
N i ssen
セ ブ ン ド リ ー ム ・ド ッ ト コム
S of m a p
ビ ック カ メ ラ
無印良品
チ ケ ット ぴ あ
UNIQLO
ヨ ド バ シ カ メラ
a m a z o n . c o .j p
Y a h o o! シ ョ ッピ ン グ
楽天市場
0
21.0 20.2
18.7 17.5 17.3 17.2 17.0 16.7
27.2
20
15.2 13.5
13.2 12.5 12.3 11.6 11.4 11.2
10.0
9.1 9.1 9.0 8.5 8.2 7.4
6.5 6.2 7.9 3.2
8.5
6.5 6.1 5.5
4.3
2.9
5.6 1.5
2.3 2.7 1.5
4.0 2.1
2.0 5.2
3.6
1.4 0.2
2.3 3.8
1.1 2.3 3.6 1.4 3.0
0.6 2.9 1.7 1.1
0.5 0.5 0.2
0
※「ページを見て商品を眺めた」順にソート
ページを見て商品を眺めたことがある、実際に商品を買ったことがある、ともに楽天、Yahoo、amazonの3強が圧倒的という
結果になっています。下のグラフでは、上のグラフを元に「商品購入/ページを見た」の数字をとっています。3強以外では、
Nissen、セシール、生協、花キューピットといったあたりが高くなっており、初めから購入を目的としてサイトを訪れるユーザー
が多いといえそうです。検索の都合、また、知っている業者という安心感が購買を促すと考えると、ネット店舗にもブランド力
が重要といっていいかもしれません。
購入確率が高い店舗
( 実際に商品を買った人数 / ページを見て商品を眺めた人数 )
100.0
100
98.9
80
69.9
58.8
60
55.9
54.0
49.1
40.4
40
35.7
30.9
25.3
25.0
17.4
17.1
20
47.5
36.6
32.8
30.1
27.8 29.5
17.0
20.5
18.7
23.8
9.2
メ ンズ プ ラザ ア オキ
そ の他
カ タ ログ シ テ ィ
ミ キ ハウ ス
S o- n e t e- m a r t
ア カ チ ャ ンホ ンポ
高島屋
逸品 . com
三越
花 キ ュー ピ ッ ト
b k 1 ブ ック ス ト ア
S h o p p i n g@ n i f t y
デ ィノ ス
ソ ニー プ ラ ザ
g o oシ ョ ッ プ
HMV
生協
伊勢丹
B I G L O B E シ ョ ッピ ン グ
EPSON
コジ マ 電 機
セ シー ル
Ni ssen
DELL
セ ブ ン ド リ ー ム ・ド ッ ト コム
S of m a p
無印良品
チ ケ ット ぴ あ
ビ ック カ メ ラ
UNIQLO
ヨ ド バ シ カ メラ
a m a z o n . c o .j p
Y a h o o! シ ョ ッピ ン グ
3
27.5
16.5
13.4 12.1
12.0
11.4
楽天市場
0
48.6
40.0
39.1
※「ページを見て商品を眺めた」順にソート
●リアル店舗orネット店舗
明治学院大学の上原教授は、リアル店舗に対してネット店舗が選ばれる条件を次の(1)式のように定式化しています。
商品特性により、左辺に比べ右辺が大になればなるほど、消費者がネット店舗を選択する確率が高くなるとしています。
R
P
<
S
DH
R
S
P
D
H
・・・・・(1)
:
:
:
:
:
現物をみることによって魅力や信頼を感じる程度 (リアル店舗での便益)
店舗建設・維持のための費用の負担 (リアル店舗での犠牲)
品選びの要求を満たす程度 (ネット店舗での便益)
宅配費用の負担 (ネット店舗での犠牲)
調達時間の長さを不便に感じる程度 (ネット店舗での犠牲)
●ネット店舗で購入される確率が高い商品
例1)品選びへの欲求が強く(Pが大きく)、ブランド力によって品質に信頼がもたれている(Rが小さい)商品 → シャネル
のネクタイなど
例2)皆に知れわたっている品類(Rが小さい品類)で、差別化が求められる(Pが大きい)商品 → 健康器具など
例3)在庫型商品で調達時間の長さをそれほど気にしなくてもよく(Hが小さく)、まとめ買いによって単位当たり宅配費用を
安くできる商品 → ミネラルウォーターなど
●リアル店舗で購入される確率が高い商品
例4)鮮度が要求される商品や今まで世に出ていなかった商品とか人間的ふれあいが要求されるサービス(いずれもRが
大きい商品・サービス)
※原典
『ダイレクト化に向けてのマーケティングの進化』上原征彦
「Direct Marketing Review vol.2」Journal of the Academic Society of Direct Marketing(2003.3.31)
ここでは上記の上原教授の包括的な理論を念頭におき、ネット店舗で購入したことがある商品について、およびこの商品
を買うならネット店舗なのかリアル店舗なのか、聞いてみました。
●ネットでの購入商品(利用経験者n=658)
Q.あなたが、オンラインショッピングで購入されたことのある商品をすべてお知らせください。
100
※「商品カテゴリー」順にソート
80
60
R小
40
20
28.4
30.4
40.0
11.4 13.1
6.7
21.0
6.7
R小
R小H小
P大R小
19.5
12.5
19.8 19.5
17.9
7.1 8.8
5.2
28.0
23.4
19.1
10.6
9.4
4.3 3.2
2.0
11.4
8.5
7.8
12.2
8.7
12.8
11.2
7.4 7.8 7.4 6.7
2.6
3.2
9.1
5.6
0.9 0.5
11.9
4.1
そ の他 株 式 ・保 険 な ど 金 融 商 品 バ イク ク ル マ ・バ イ ク 用 品 C D ・D V D ・ゲ ー ム
ク ルマ ペ ット ・ペ ット 用 品 A V機 器 楽器 家電 そ の他 の飲 み物 パ ソ コン 日本酒 水 そ の 他 の 食 べ物 ワイ ン 米 菓子 肉 ・肉 加 工 品 果 物 ・野 菜 水産物 防 犯 グ ッズ ス ポ ー ツ用 品 旅 行 ・ホ テ ル ・航 空 券
日曜大工 そ の他 植 物 ガ ー デ ニ ング 用 品 花束 本 ・雑 誌 ・ コ ミ ック 文具 日 用 品 ・生 活 雑 貨 食 器 ・調 理 用 具 家 具 ・イ ン テ リ ア 美 容 ・化 粧 品 医薬品 健康用品 健康食品 香水 洋服 下着 腕時計 ジ ュ エ リ ー ・ア ク セ サ リ ー
バ ッグ 0
P大
P大
「本・雑誌・コミック」がもっとも高く、40%の人が買ったことがあるという結果でした。本や雑誌は大きな品質のバラツキがないので、リア
ル店舗で実物を見る必要はそれほどない(R小)、ということでネット店舗にもっとも適した商品と言えそうです。Amazon.co.jpはじめ、bk1
や紀伊国屋、丸善の通販など店舗数が多いのも納得の結果です。同様の理由で「CD・DVD・ゲームソフト」も28.0%の人が購入経験があ
りました。ネットの本屋では、本とともに「CD・DVD・ゲームソフト」も販売していますが、同質の商品ですので非常に理に適っていると言え
そうです。
続いて高かったのは、「健康食品」30.4%ですが、リアルの店舗の場合、特定の健康食品というのはその商品を取り扱っている店に行か
ないと入手できませんので、ネット店舗との相性が非常に良いようです(P大)。また、「洋服」も高く28.4%でしたが、リアル店舗で自分に合
わせる必要がある商品かと思いましたが、意外にもネット店舗でもかなり買われていることがわかります。
4
●この商品買うなら、リアルorネット?(利用経験者n=658)
Q.あなたは次の商品を買うとしたら、実際の(リアル)店舗とネット店舗、どちらで購入したいですか。
リアル
どちらとも
いえない
ややリアル
ややネット
55.2
R大 ルイヴィトンのバッグ
テンピュール低反発安眠枕 16.7
19.9
ブランドものではないバッグ
16.7
IBMシンクパッド
9.0
R小 映画のDVDソフト
R大 ナイキのスニーカー
青森産のりんご
18.7
セリーヌのタオルケット 20.5
ユニクロのフリース
21.7
R小 プレイステーションのゲームソフト 10.3
18.4
ブランドものではないネクタイ 17.2
7.4 4.7
9.0 3.8
23.7
21.4
15.3
20.4
30.1
7.3
10.9
17.0
47.9
24.8
7.6
R小 ベストセラーの小説(単行本) 21.6
36.3
19.9
11.7
26.3
33.7
17.2
22.0
21.0
26.7
16.7
10.8
48.2
0%
7.3
14.0
27.8
17.0
5.8
12.3
28.6
22.6
13.8
13.1
H大 六甲のおいしい水
14.7
30.2
40.9
6.5
12.8
23.7
35.6
8.2
15.5
24.2
29.8
9.4
R大 フランスベッドのダブルベッド 4.7 2.3
34.5
16.6
7.3
10.8
41.3
32.2
6.4
30.1
22.2
23.9
「ルイヴィトンのバッグ」や「エルメスのネク
タイ」などのブランド物は、商品に大きなばら
つきが少ないので、ある程度はネットで買わ
れてもいい商品かと思っていましたが、リア
ルで買いたいという意見が非常に多く、また
ネットで買いたいという人はほとんどいませ
んでした。リアル店舗で実物を見てから買い
たい、ネットではニセモノを買わされるかもし
れないなどの理由が考えられますが、信頼
性の高い(誰もがニセモノを売るはずがない
と思える)小売店であれば、ネット販売もあり
な商品かもしれません。
同様にプラズマテレビやダブルベッドもリア
ルでの購入意向が高い商品でした。店員の
説明が重要な商品は、リアル店舗での購入
意向が高いのかもしれません。
一方、ネットでの購入意向が高かったのは
「DVDソフト」「ゲームソフト」といった商品で
した。商品にばらつきがないですし、今すぐ
に欲しいということでなければ、どんどんネッ
トで買われるのではないでしょうか。レンタル
ビデオ屋などのリアル店舗で見たい映画の
タイトルを探そうとしてなかなか見つからな
いという経験がよくあります。ネットでは検索
システムがあるので、そのようなストレスも
まったくなく、そういった点からもネットとの相
性が非常によい商品と言えそうです。
11.9
17.0
19.5
23.1
カルフォルニア産グレープフルーツ
8.4
16.1
17.2
41.6
R大 HITACHIプラズマテレビ 18.1
40.7
43.5
R大 エルメスのネクタイ
3.02.1
21.4
44.2
18.2
25.8
39.8
11.6
10.9
フランス産ワイン
35.7
15.2
22.5
H大 海洋深層水
13.8
17.0
20.8
魚沼産コシヒカリ
ネット
6.8
50%
100%
●ネットショッピングに関するイメージ(利用経験者n=658)
Q.あなたはオンラインショッピングに関してどのようにお考えでしょうか。
かなりそう思う
ネットショッピン
グの楽しさ
決済などの不安
見たり試したりし
商品が写真ではわからない
たい
実際にモノを試せないのでダメ
色違いなどがなかったりする
店員の説明
店員の説明がないと買いずらい
28.0
18.4
34.7
3.3
8.2
5.3
12.3
1.44.4
2.0
10.6
19.6
0%
14.0
39.4
16.4
31.8
54.6
28.6
5
3.8
7.8 2.0
14.1
28.1
50%
2.1
0.3
0.5
7.1
3.0
9.0
26.3
31.5
9.9
12.8
44.4
24.9
39.2
5.2 1.1
0.2
0.3
6.7 3.61.8
26.1
20.2
3.81.7
7.0 2.1
0.5
0.5
13.2
24.0
40.7
28.4
2.70.8
0.0
9.7
19.8
19.1
26.3
14.6
5.6 1.4
4.0 1.7
0.3
19.8
25.4
22.9
11.4
13.8
16.6
37.5
19.1
1.44.6
5.9 1.1
14.4
31.8
23.6
4.61.2
12.5
28.0
31.3
12.2
14.6
33.0
32.2
38.9
店員が寄ってこないのでいい
満足度や今後の 満足感が高い
継続意向
今後の購入意向
36.0
16.1
返品や交換がしずらい
品揃えに関して 欲しいものにたどりつかない
22.3
32.5
38.4
クレームを言いずらい
品揃えが不十分
19.6
23.4
3.5
6.8 2.6
49.8
21.1
家まで届くので便利だ
配送などが手軽
重いものを持たなくてよい
で便利
手軽な感じがする
14.1
18.5
33.1
15.0
8.5
6.1 2.91.1
26.6
19.1
18.1
3.8 2.6
24.2
35.9
18.4
9.3
危険な感じがする
4.61.2
1.1
9.1
33.4
44.4
9.4
4.3 1.8
0.6
13.2
31.6
25.2
23.1
3.6 7.0
決済に不安がある
27.2
23.3
9.6
実際の商品を見ないとわからない
交換やクレーム
17.8
3.2 6.7
1.5
3.5
7.4 2.3
0.6
13.4
30.1
30.2
9.1
6.4 1.8
0.6
27.7
23.3
28.4
9.9
価格や割引など ネットの方が価格が安い
のお得感
ネット特有の割引などある
写真より実際の商品が悪い
22.8
22.5
商品を選ぶのが楽しい
22.0
30.2
21.4
あれこれ眺めるのが楽しい
粗悪品が多い
ややそう思うどちらともいえない
あまりそう思わない
そう思わないまったく思わない
22.9
16.0
ネットショッピングが好き
粗悪品や手違い 手違いがおきやすい
そう思う
16.0
ネットショッピングは楽しい
4.10.0
7.4
10.3
1.4
0.0
0.3
8.4
3.30.9
9.6
2.7
0.2
100%
あれこれ商品を選んだり、調
べたり、安い価格のものを探し
たり、割引をうまく利用したりと、
ネットショッピングをうまく利用し
楽しんでいる人がたくさんいるこ
とがわかります。配送の便利さ
や手軽さもよく認識されており、
今後の購入意向も高いことから
今後ますますネットショッピング
の市場が大きくなっていくことが
予想されます。
また、写真より実際の商品が
悪いと思っている人が3割程度
いますが、粗悪品が多いと思っ
ている人はほとんどいませんの
で、過去の経験からそれなりに
納得できる商品が届くことがわ
かっているようです。
ただし、決済に不安を感じてい
る人は依然として多く、危険な感
じがするとしている人も多いです
ので、ネット店舗としては安全な
支払方法を用意してあげること
や顧客との信頼関係を築くこと
が重要と言えそうです。
今後はリアルの店舗で信頼性
やブランド力を持ったネットショッ
プが有望かもしれません。
●ネットショッピングの満足度に関する回帰分析(利用経験者n=658)
独立変数:前頁好意度、満足度、継続意向を除く23質問
ステップワイズにより7変数を選択
標準化係数
ネットショッピングは楽しい
0.255
ネットの方が価格が安い
従属変数:ネットショッピングへの満足度
色々な商品を眺めたり、選んだり、思
わぬ掘り出し物を見つけたりと、そうした
「ネットショッピングの楽しさ」をネット上
で提供することが非常に重要であること
がわかります。
また、価格が安い目玉商品を定期的
に出品したり、買ってくれたお客さんに
は満足のいく商品を届け、なるべく安心
感をもって取引ができるよう心がけるこ
とが重要なことのようです。
ネットと商品との相性でいえば、写真
からの判断があまり必要のない商品が
ネットには向いていると言えそうです。
検定
**
0.211
**
写真より実際の商品が悪い
-0.113
**
危険な感じがする
-0.105
**
手軽な感じがする
0.102
**
商品が写真ではわからない
-0.085
*
店員が寄ってこないのでいい
0.080
*
調整済み決定係数
0.289
●オンラインショッピングにおける優良セグメントの選別(利用経験者n=658)
アルゴリズム:CHAID(Chi-squared Automatic Interaction Detector)
基準変数:昨年一年間にネットショッピングで使った金額 説明変数:デモグラフィック変数
●ゲインズチャート
●ディシジョンツリー
ノードごと
累積確率
ノード ノード: n ノード: % 利益 インデックス (%) ノード: n ノード: % 利益 インデックス (%)
1
373
56.7 99,319
125.9
373
56.7 99,319
125.9
5
55
8.4 88,109
111.7
428
65 97,879
124.1
7
71
10.8 86,437
109.6
499
75.8 96,251
122.0
6
71
10.8 26,035
33.0
570
86.6 87,505
110.9
3
88
13.4 23,080
29.3
658 100.0 78,889
100.0
ネットショッピング経験者
平均購入額78,889円
n=658
100%
未既婚
ノード2 未婚
ノード1 既婚
平均購入額99,319円
n=373
56.7%
平均購入額52,149円
n=285
43.3%
平日インターネット利用時間
ノード3
1時間半未満
ノード4
1時間半~4時間未満
ノード5
4時間以上
平均購入額23,080円
n=88
13.4%
平均購入額56,236円
n=142
21.6%
平均購入額88,109円
n=55
8.3%
年齢
ノード6 ~21才
平均購入額26,035円
n=71
10.8%
ノード7 22才~
平均購入額86,437円
n=71
10.8%
ディシジョンツリーの起点を見てみると、ネットショッピング経験者全
体658人での昨年の平均購入金額は78,889円であることがわかりま
す。ターゲットを特に絞らなければ、ネットショッピング経験者は年間
にこの程度の金額を使ってくれそうということです。
起点の1つ目の分岐は、「未既婚」という説明変数が平均購入額の
高いセグメントを抽出するのに最適であることを示しています。ゲイン
ズチャートを見てみると、ノード1「既婚者」は373人で全体の56.7%を占
め、平均購入額が99,319円ともっとも高いセグメントであり、全体平均
と比較すると125.9%の購入額であることがわかります。
一方、「未婚者」の平均購入額52,149円ですが、「平日のインターネ
ット利用時間」という説明変数でさらに分けることで、平均購入額
88,109円のノード5「4時間以上利用者」というセグメントが抽出される
ことがわかります。同様に、ノード7未婚で平日インターネット利用時
間が1時間半~4時間未満で「22才以上」は、平均購入額86,437円と
かなり高いセグメントが抽出されています。
少し乱暴なものの見方にはなりますが、ネット店舗を始めるのなら
ば、ノード1、5、7の3つのセグメントに買ってもらえるような品揃え、
来てもらえるような集客戦略を試してみてはいかがでしょうか。
今回の調査を通じて、ネットショッピングを楽しんでやっている人が思いのほかたくさんいるんだなあ、という印象を持ちました。特に値
段が安い掘り出しものを見つけることに、面白さを見出している人が多かったように思います。PCのサイトは現在8千万~1億サイトが
あると言われていますが、そうした膨大な情報の海の中を検索エンジンやリンク集などを駆使してすいすいと泳ぎまわり、周りの人よりも
安い価格で商品をゲットしたり思わぬ掘り出し物を見つけたりするのは確かにかなりの快感なのでしょう。店員が寄ってこなくていいとい
う意見も多数あり、一人でのんびりと気兼ねなく楽しめるというのも大きな便益となっているようです。
一方で、今回の調査対象者はネットショッピング経験者だったわけですが、依然として危険なイメージや決済への不安を感じている人
も相当数いることがわかりました。今後の利用意向や満足度への影響もかなり大きいので、重要なポイントと言えそうです。
また、ヴィトンのバッグやプラズマテレビなどは今回の調査では圧倒的にリアルの店舗で買いたいという結果でしたが、ヴィトンのバッ
グなどはネットで情報収集をしたり、安く買える店を探したりした後にリアルの店舗で購入したり、逆にプラズマテレビなどは、リアルの店
舗で映像や音、その他形状などをチェックした後に、ネットの店舗で購入するといったように、一口にどっちで買うかというよりも、双方の
便利なところをうまく利用していく消費者が今後ますます増えていくのではないかと思いました。 (営業企画部/坂上眞介 sakagami@mdr-j.co.jp)
6
別表
①探索時間 C短期探索型
(非計画想起購買)
②調達時間
「新しい商品分類と販促パターン」
A調達即時必要型
(店舗購入)
ガム、生鮮三品
食品、たばこ、調味料
救急医薬品
新聞、週刊誌
酒類、飲料、菓子
弁当、アイスクリーム
香典袋
切手、はがき
洋服、贈答品
ファッション衣料、靴
めがね、パソコン
家庭電器、インテリア
高級時計
CD、DVD
化粧品
ゴルフ用品
B調達翌日許容型
(無店舗購入)
洗剤、消臭剤
紙おむつ
米、水、酒類
月刊雑誌
ペットフード
出前予約
コピー用紙
トイレットペーパー
テイッシュ
文具
家屋、マンション、不動産
自動車、ブランド時計
書籍、家具、教育機器
家庭電器、インテリア
ランジェリー
専門雑誌
ホテル予約
産地直送品
宅配デイナー
チケット、株式
多摩大学経営情報学部教授 大槻博
アスクルが先日の新聞に全面広告を載せた。その
メッセージは「重いもの、カサばるもの、アスクルで
注文を受け付けます」というものであった。紙上には
2リットル・ペットの水やお茶、キッチンやトイレの洗剤
や消臭剤、乾電池やウエットタオルの写真が並んでい
る。
こうなると、最寄品・買回品・専門品という従来の
商品分類や、最寄品店・買回品店・専門品店といった
小売業の類型が、いかにも時代おくれのものに思われ
る。今や、無店舗販売をふくめた新しい分類の基準が
必要とされるのである。そしてその分類基準は、たん
なる思いつきではなく、消費者が商品を購入する習慣
と動機にもとづくようなものでなくてはならない。
D長期探索型
(計画的探索購買)
主要販促手段 一覧性展示
プロモーション
検索補助
プロモーション
その手始めに、店舗販売と無店舗販売について考えれてみれば、かつては最寄品が、無店舗販売で購入される
ことはまれなことであったが、宅配便の普及がアスクルのような事例を輩出するに至ったことに気づくのである。
最寄品であっても、発注してから実際に入手するまでの調達時間が1日以上でもかまわない商品は、無店舗販売で
購入される可能性があるということである。明治学院大学の上原征彦教授はこの基準をもってすべての商品を、
A:調達即時必要型と、B:調達翌日以降許容型の2つに分けている。
一方、同教授は、消費者がその商品を買うことを思い立ってから、実際にどの銘柄のどのアイテムを買うかを
調査検討し決めるまでの時間の長さを「探索時間」と呼ぶとすれば、すべての商品はC:短期探索型とD:長期
探索型に分けられる、とも述べている。銘柄などにこだわらない単価の小さい商品の場合は前者であることが多
く、逆に銘柄等にこだわり単価の大きい商品は後者であることが多い。
A、Bの調達時間を表側にとり、C,Dの探索時間を表頭にとれば、商品分類の新しいグループ分けができる。
すなわち、AC商品群、AD商品群、BC商品群、BD商品群の4グループである。
これらのグループそれぞれに、具体的な商品を当てはめて考えれば、どういうことになるであろうか。そこに
新しい流通ビジネスのチャンスが見つかるかも知れない。わたくしが教えている大学院の学生に考えてもらった
結果が、別表である。
この表をマーケテイング的に考えると、表頭のCとDでは、販促手段が異なることに気づく。左側のAC商品
群(たとえばセルフサービス型店舗で売られている日用品)やBC商品群(新聞紙上やカタログで売られるアス
クル型通信販売商品)では、探索時間が短くその場の思いつきで発注されることが多い。したがって、商品自ら
が消費者の目に触れるように努めて想起購買を誘発するように努めなければならない。思いついてもらうように
するためには、商品が一覧性をもって提示されることが、販促の重要な手段となる。
他方、右側のAD商品群(たとえば専門店で販売される高額品)やBD商品群(インターネット通販のこだわ
り・わけあり商品)は、消費者が探索時間を長くかけてでも、探し求めてくれる。したがって、売り手は消費者
の探索行動を効率化してやればよい。そこで販促で重要となるのは、「検索」補助の仕組みである。
この補助作業は、コンピューターでおこなわれる場合もあれば、商品に精通した店員の対面販売によってなさ
れることもある。
(www.mdr-j.co.jp)
弊社ホームページ
に今回のネットショッピング特集
の自由回答結果を一部公開いたしました。是非ご覧ください。
「お勧めのネット店舗とその理由」と「ネットショッピング今後の利用意向とその理由」の二
本立てです。お勧めのネット店舗では、amazonやyahoo、楽天といった有名どころから初めて
名前を聞くお店まで色々なお店が紹介されています。また、その理由では、そのお店の便益が
端的に表現されています。ネットショッピング今後の利用意向とその理由では、その人が感じ
ているネットショッピングの便益や不満点から、利用の実態を垣間見ることができます。
7
アンビションを具現化するマーケティング戦略
上原先生の所属されるプロジェクトで行った経営トップを対象にした意識調査で
は、21世紀におけるマーケティングのあり方のキーワードは、「アンビション」「スピー
ド」「顧客満足」でした。「スピード」「顧客満足」については以前から盛んに議論され
てきています。「アンビション」を持ったマーケティング戦略とは一体どのようなことか、
わかり易く7回に分けて連載いたします。
参. 「商人の重要な資質としての機会主義の発揮」
商人の重要な資質としての機会主義の発揮」
明治学院大学経済学部教授 上原征彦
上述において、私は、アンビションはマーケティ
ング展開力の基礎となると述べたが、ここで、そう
したアンビションから生み出され、かつ商人に必要
とされる資質そのものでもある機会主義について述
べてみよう。
商人(ここでは商法でいう商人を指し、商行為を
展開する主体を意味しているため、ほとんど全ての
ビシネス主体が商人に含まれる)の基本的能力とは
どのようなものであろうか。それは機会主義の発揮
という概念で表現できる。機会主義には2つの解釈
がある。1つは、ウィリアムソンやコースの流れを
くむ取引コストの理論を研究する経済学者がいう機
会主義で、それは、先駆けてルールを破り利己的に
振舞う、といった経済行為を意味する。いま1つは、
経営学者バーナードのいう機会主義で、それは戦略
構築能力を指す。私がここでいう、商人の基本的能
力としての機会主義は、この戦略構築能力を指して
いる。
戦略を構築するためには、まず制約要因を発見し
なければならない。これを見つけ出し、それを打破
する策を講ずるのが戦略である。その発見した制約
要因が大きければ大きいほど、それを解決すれば他
者と大きく差別化できることになる。小さな制約要
因の発見では日常的な行動そのものであり、戦略的
な意味は小さい。
したのが飯田氏であった。その制約要因とは、当時の
警備サービスがガードマンを顧客のところに常駐させ
るシステムであったため、顧客が増えれば増えるほど
人件費が嵩み、時が経るにつれ、これが売上高の成長
を超える恐れがある、というものであった。飯田氏は
それに人より早く気づき、これを克服する策として、
ガードマンを顧客のところに常駐させず、顧客のとこ
ろにセンサーを置き、事故が起こるとそのセンサーが
情報ネットワークを通じてしかるべき場所からガード
マンを呼び出す、というシステムを作り出した。これ
によってセコムは圧倒的なコスト優位を確保しただけ
でなく、センサーと情報ネットワークの機能を基盤と
して事業の多角化を図り、大成功を収めてきた。
松下幸之助氏も、制約要因の発見に長けていた。家
電製品が普及し始めた当時の最大の制約要因の1つは、
消費者の家電についての知識不足であり、そのためク
レームや修理のミスマッチなど様々な問題が生じてい
た。松下氏は、これを大きな制約要因と認識し、これ
を乗り越える戦略は消費者への情報提供とメンテナン
スに他ならないと考えた。そこで、情報提供とメンテ
ナンスのための拠点としてナショナルショップを次々
と作っていった。これが松下電器産業の競争優位の源
泉となったことは周知の通りである。
編集後記
セコムの創業者である飯田亮氏は、大きな制約要
因の発見・克服によって現在のセコムの成長基盤を
築き上げたと言える。日本警備保障(現在のセコ
ム)などが警備サービスを日本に導入してからその
需要は急速に拡大していった。警備会社の各々は、
そうした需要の拡大を享受して、積極的な規模拡大
を図っていた。そこには成長にとっての大きな制約
要因があったが、それに逸早く気づき、これを克服
はじめまして。この7号より編集長をやらせて頂いてま
す、永澤と申します。宜しくお願いします。
そろそろ夏だというのに涼しい日が続いています。今年は
7月下旬から暑い日が続くみたいですね。この号が出る
頃には暑くなるのでしょうか。
天気といえば、02年の降雨的中率は81%と過去10年
で最低の水準だったのだそうな。
驚いたのは8割も当たっているということ。私はよく布団を
干した日に雨に降られたりするので、サイコロとかあみだ
くじの方がまだ当たると思っていたんです(笑)。
(営業企画部 永澤
8
nagasawa@mdr-j.co.jp)