Delta NMR ソフトウェア リリースノート v5.0.3

Delta NMR ソフトウェア
リリースノート
v5.0.3
JEOL RESONANCE, Inc.
January 2013
目次:
推奨環境とサポートしているワークステーション: ............................................................................................ 1
サポートしている分光計: .................................................................................................................................... 1
Delta のインストール方法: .............................................................................................................................. 2
留意事項: ............................................................................................................................................................. 3
変更点概要: ......................................................................................................................................................... 6
Delta v5.0.3 の新機能: ....................................................................................................................................... 8
Delta v5.0.2 からの変更点: ............................................................................................................................. 19
補足: .................................................................................................................................................................. 24
1 マジックシミング(Magic Shimming)の概要............................................................................................ 24
2 マジックシミングの操作............................................................................................................................. 25
シンプルモード簡易マニュアル ................................................................................................................... 37
著作権情報
© JEOL RESONANCE, Inc. 2012
本書には,著作権によって保護されている情報が掲載されています。
本書の一部またはすべてを無断で複製・転載・改変することは禁止します。
JEOL RESONANCE, Inc.
196-8558 東京都昭島市武蔵野 3 丁目 1-2
http://www.j-resonance.com
登録商標
• Acrobat®,PDF® は Adobe Systems Incorporated の登録商標です。
• OpenGL® は SGI Corporation の登録商標です。
• Mac OS X® は Apple Computer, Inc.の登録商標です。
• Windows XP®, Windows Vista®, Windows 7® は Microsoft Corporation の登録商標です。
推奨環境とサポートしているワークステーション:
必要システム構成
2GB 以上の RAM
1.5GHz Intel プロセッサ
OpenGL 高速 3D グラフィックスカード
CD-ROM またはメディアリーダ
イーサネット
1280 × 800 ピクセル 16 ビット以上のカラーディスプレイ
Windows XP SP3/VISTA/7 32 ビット Intel®対応コンピュータ
MacOS X (10.4.11*, 10.5.x, 10.6.x, 10.7.x) 32 ビット Intel®ベース
Apple コンピュータ
* - OS X 10.4.x のプレビューでは PDF マニュアルを開くことができません。
サポートしている分光計:
分光計タイプ
ECAII, ECXII, ECA, ECX, ECS
分光計制御システム
Windows ベース Rev B (GE VME 7751)
Windows ベース Rev C (USB インターフェース付き 1U サーバ)
分光計の Delta v5.0.3 へのアップグレードに関する情報につきましては,最寄りの
JEOL RESONANCE 支店または代理店までお問い合わせください。
Delta v5.0.3 は旧バージョンの Delta ソフトウェアで処理されたデータを扱うことが
できます。
Delta v5.0.3 リリースノート
1
Delta のインストール方法:
ウェブダウンロードによる Windows/MacOS X へのインストール:
1. 管理者アカウントでログインしてください。
2. 以下の NMR サポートウェブサイトのソフトウェアページから Delta をダウンロードして
ください。
3.
http://nmrsupport.jeol.com
Windows エクスプローラまたは OS X ファインダを使用して Delta ウェブキットを
ダウンロードしたフォルダを開きます。
4. zip/dmg ファイルをダブルクリックして開いてください。
5. Delta インストールプログラムをダブルクリックして指示に従ってください。
zip ファイルを解凍して exe ファイルを展開する必要はありません。
6. インストール完了後,Delta のライセンスキーが必要になります。
7.
[オプション] → [ライセンスキー] をクリックしてライセンスキーを設定してください。
既に Delta ライセンスキーお持ちの場合には,新規に申請する必要はありません。
現在お持ちの Delta ライセンスキーを使用できます。
ライセンスキーの設定終了後,Delta を再起動してください。
以上で Delta のインストールは完了です。
CD-ROM による Windows へのインストール:
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
管理者アカウントでログインしてください。
Delta ソフトウェア CD-ROM をコンピュータまたはメディアデバイスに挿入します。
マイコンピュータから CD-ROM 内の Delta¥Windows フォルダを開きます。
Delta のインストーラをダブルクリックして表示される指示に従ってください。
Delta がインストールされたら,マニュアルのインストーラをダブルクリックして表示される
指示に従ってユーザーズマニュアルをインストールすることも可能です。
インストールが完了したら,CD-ROM を取り出してください。
インストール完了後,Delta のライセンスキーが必要になります。
[オプション] → [ライセンスキー] をクリックしてライセンスキーを設定してください。
既に Delta ライセンスキーお持ちの場合には,新規に申請する必要はありません。
現在お持ちの Delta ライセンスキーを使用できます。
ライセンスキーの設定終了後,Delta を再起動してください。
以上で Delta のインストールは完了です。
CD-ROM による Mac OS X へのインストール:
1. Delta ソフトウェア CD-ROM をコンピュータまたはメディアデバイスに挿入します。
2. OS X ファインダから CD-ROM 内の Delta/Mac_OS_X フォルダを開きます。
3. Delta のインストーラをダブルクリックして表示される指示に従ってください。
管理者の承認が要求されます。
4.
Delta がインストールされたら,マニュアルのインストーラをダブルクリックして表示される
指示に従ってユーザーズマニュアルをインストールすることも可能です。
5. インストールが完了したら,CD-ROM を取り出してください。
6. インストール完了後,Delta のライセンスキーが必要になります。
7.
[オプション] → [ライセンスキー] をクリックしてライセンスキーを設定してください。
既に Delta ライセンスキーお持ちの場合には,新規に申請する必要はありません。
現在お持ちの Delta ライセンスキーを使用できます。
ライセンスキーの設定終了後,Delta を再起動してください。
以上で Delta のインストールは完了です。
Delta v5.0.3 リリースノート
2
留意事項:
A) 多くの場合、Delta プログラムがフリーズした場合でも Control プログラムの再起動は不要です。
Delta プログラムを再起動しても、分光計コントロールウィンドウの分光計リストに分光計が表
示されない場合、分光計への接続がブロックされている可能性があります。この場合、ブロッ
クを解除することで、Control プログラムを再起動することなく、分光計の使用を再開すること
ができます。
以下に、分光計のブロック解除方法を示します。
1. Delta を再起動し、分光計コントロールウィンドウを開きます。
分光計コントロールウィンドウを開く
2. 分光計リストに使用する分光計が表示されているかどうか確認します。
 表示されている場合には、このまま分光計を使用することができます。(左図)
 表示されていない場合には、以下の操作を行ってください。(右図)
分光計リストに分光計が表示されている場合
分光計リストに分光計が表示されていない場合
3. Delta コンソールウィンドウの [補助ツール] プルダウンメニューから、[サービスマネージ
ャ] を起動します。
サービスマネージャの起動
Delta v5.0.3 リリースノート
3
4. サービスマネージャの最下部にある [ブロックされたデバイス] に、使用する分光計が表示
されているかどうか確認します。(ブロックされたデバイスは、IP アドレスで表示されます。)
 表示されている場合には、手順 5 へ進んでください。(左図)
 表示されていない場合には、Control プログラムの再起動が必要です。(右図)
分光計がブロックされている場合
Control プログラムの再起動が必要な場合
5. [ブロックされたデバイス] の中から、使用する分光計を選択し、[ブロック解除] ボタンを
クリックします。結果が反映されるまで 2, 3 秒かかります。
分光計のブロック解除
 分光計コントロールウィンドウの分光計リストに分光計が表示された場合には、このま
ま分光計を使用することができます。
 分光計コントロールウィンドウの分光計リストに分光計が表示されない場合には、
Control プログラムの再起動が必要です。
Delta v5.0.3 リリースノート
4
B) メモリリークとハンドルリークが改善されました。Delta v5.0.3 は v5.0.2 に比べて長期間ご利
用いただけます。Delta を長時間使用していて,プログラムの動作が遅くなるような場合には,
使用できるメモリ量が減少していると考えられます。そのような場合には,
Delta または Control
プログラムを再起動することで,プログラムが使用していたメモリが解放され,通常の動作速
度に戻ります。(ワークステーションまたは分光計の再起動は必要ありません。)
Delta プログラム再起動の手順は,チュートリアルマニュアル (1.1 Delta プログラムの起動と
終了) を,Control プログラム再起動の手順は,装置管理者マニュアル (5.3.4b Control の再
起動) を参照してください。
C) グラジエントシムを実行しているにもかかわらず分解能が全く上がらない場合には,グラジエ
ントシムのパラメータがきちんと取得できていない可能性が考えられます。その際は,グラジ
エントシムツールを開いてパラメータの値を確認してください。パラメータの値が表示されて
いない,または NULL と表示されている場合には,Control プログラムを再起動していただく
ことで正常な状態に戻ります。(装置管理者マニュアル 5.3.4b Control の再起動)
D) 分光計コントロールウィンドウのパラメータバーの表示が更新されない場合には,分光計に再
度ログインし直していただくことで、パラメータバーの値が更新されます。
E) Delta 上のボタンを何度も連続してクリックすると,Delta プログラムが誤動作する可能性が
あります。
F) Queue に Job が残っている状態で Control プログラムまたは分光計の再起動を行った場合には,
再起動後に測定が自動的に開始されます。
Delta v5.0.3 リリースノート
5
変更点概要:
Delta v5.0.3 の新機能
以下の 14 項目が追加されました。
1
2
3
分類
装置サポート
装置サポート
分解能調整
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
分解能調整
分解能調整
チューニング
操作性
操作性
操作性
操作性
印刷
測定溶媒
パルスシーケンス
測定パラメータ
測定パラメータ
測定パラメータ
処理パラメータ
項目
ECAII, ECXII 分光計対応
AUTO TUNE II ユニット対応
Magic Angle Sample Spinning 下でのグラジエントシム(マジックシム)の
実装
グラジエントシムにおける Z0 シムの補正方法最適化
グラジエントシムツールでのパラメータ変更の認証
PreTune 失敗時のリカバリー機能の追加
簡易操作用モード (シンプルモード) の追加
Job リストへの測定時間表示
ファイルブラウザを閉じないようにする機能追加
軸ルーラの表示/非表示設定の追加
印刷時の線の太さ設定の追加
測定溶媒の追加
パルスシーケンスの追加
生体分子用 15N ドメインの追加
103
Rh のγ値の変更とドメインの追加
HSQC 測定用のパルスシーケンスの断熱パルス対応
低温プローブ用 Blip 処理パラメータの追加
Delta v5.0.2 からの変更点
以下の 39 項目が変更されました。
1
2
3
4
5
分類
装置サポート
分解能調整
分解能調整
分解能調整
分解能調整
6
7
8
9
10
自動測定
自動測定
自動測定
自動測定
自動測定
11
12
13
14
15
16
17
操作性
操作性
操作性
操作性
操作性
操作性
操作性
Delta v5.0.3 リリースノート
項目
プローブファイルの更新
グラジエントシムツールからのグラジエントシム実行条件の変更
グラジエントシムツールが複数起動する問題の修正
グラジエントシムツールにおけるパラメータ読み込み・更新時の表示変更
グラジエントシムによって計算されたシム値が制限値を超えた場合の
計算値と制限値の表示
“temp_delay” パラメータが複数回実行される問題の修正
自動測定スクリプト noD のパラメータの修正
自動測定スクリプト Multinuclear の 29Si DEPT 測定のパラメータの修正
自動測定スクリプト Multinuclear の 15N HMBC 測定のパラメータの修正
自動測定スクリプト Solvent Suppression の Presaturation HSQC 測定の
パラメータの修正
メモリリーク,ハンドルリーク,その他フリーズの修正
ネットワーク処理の改良
分光計コントロールウィンドウの表示の一部変更
ドメイン名の化学式表記に関する問題の修正
サンプル定義が削除できない問題の修正
複数サンプルによる測定の中断に関する問題の修正
非温度可変プローブで温度可変制御パネルが有効である問題の修正
6
18
19
20
操作性
操作性
操作性
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
操作性
操作性
操作性
操作性
操作性
操作性
操作性
操作性
操作性
測定溶媒
パルスシーケンス
パルスシーケンス
パルスシーケンス
パルスシーケンス
パルスシーケンス
測定パラメータ
測定パラメータ
測定パラメータ
測定パラメータ
測定パラメータ
41
処理
42
43
処理
処理
Delta v5.0.3 リリースノート
固体および FG MAS プローブ接続時のサンプル定義の変更
ファイル名が OS の最大許容文字数を超える場合の問題の修正
データファイルの [filename] パラメータのコピー&ペーストに関する
問題の修正
Job 名変更モードの表示変更
Job 名変更モードにおける [キャンセル] ボタンの不具合修正
[シムのリセット] 機能の改善
モニタのデータ消去機能の不具合修正
データ表示ウィンドウ起動時の化学シフト基準値の初期化
回帰計算解析ツールにおける指数プロット時の単位表示の不具合修正
ファイルブラウザにおける [マイドキュメント] 表記の変更
中国語表示全面改訂
オンラインマニュアル更新
3 種類の溶媒について表記の変更
パルスシーケンスのカテゴリ設定の更新
Shifted laminar パルス使用時の問題の修正
HMBC 測定用パルスシーケンスの修正
WET による溶媒信号除去付きのパルスシーケンスのパラメータの修正
固体 NMR 用パルスシーケンスの修正
mod_save パラメータの不具合修正
15
N ドメインの offset, sweep の値の変更
43
Ca のγ値の訂正
一部のパルスシーケンスにおける磁場勾配強度計算の自動化
固体 NMR 測定パラメータ "contact_time" が書き出し時に表示されない
問題の修正
回帰計算解析ツールから複数のフィッティング曲線印刷時の Y-scale 表示
切替オプションの追加
ibase_correct ポイントファイルに関するフィルタ拡張子の修正
日本語メッセージの修正
7
Delta v5.0.3 の新機能:
1.
ECAII, ECXII 分光計対応
ECAII, ECXII 分光計をサポートしました。
2.
AUTO TUNE II ユニット対応
AUTO TUNE II ユニットをサポートしました。
3.
Magic Angle Sample Spinning 下でのグラジエントシム(マジックシム)の実装
Magic Angle Sample Spinning 下でのグラジエントシム (マジックシム) が可能となりました。
マジックシム概要
Magic angle sample spinning 下でのグラジエントシム (マジックシム) が可能となりました。マジ
ックシムは,溶液 NMR で日常的に用いられているグラジエントシムを Magic Angle Spinning
(MAS) NMR に展開した手法です。Delta v5.0.3 では,通常の室温シムにより得られる ”Homospoil”
グラジエントシムと室温シム項の適切な組み合わせ (Y(X), X2, Z3) を用いて,MAS 軸方向の磁場
分布が均一になるように自動的に補正します。
Z0 以外の室温シムを全て 0 にした状態 (下図左) から,Y, X2, Z3 シムの 3 項を使ってマジックシ
ミングを行ったときの MAS 軸方向の磁場分布を以下に示します。最初広い領域に分布していた静
磁場が 2 回のマジックシミングによって均一性の高い磁場分布に補正されたことが分かります。
シリコンゴムの 1H MAS NMR を用いて得た MAS のもとでの磁場分布
Z0 以外の室温シムを全て 0 にしたときの磁場分布 (左)
1 回目のマジックシミングの後の磁場分布 (中)
2 回目のマジックシミングの後の磁場分布 (右)
マジックシミング後のアダマンタンの 13C NMR スペクトルを以下に示します。わずか数分程度の
マジックシミングによって,0.0077ppm もの分解能を得ることができます。
アダマンタンの 13C-{1H} MAS NMR スペクトル (500MHz ECA,3.2mm MAS プローブ)
シリコンゴムを用いてマジックシミングを行った後,サンプルを交換して測定した。
Delta v5.0.3 リリースノート
8
マジックシムの使い方
マジックシムは,固体プローブまたは FG MAS プローブを接続するだけで使用できます。溶液プ
ローブと固体プローブを入れ替えた後にグラジエントシムツールを開くと,プローブに合ったシ
ム項が表示されます。測定方法の詳細は巻末をご参照ください。
グラジエントシム (溶液プロ―ブ接続時)
マジックシム (固体/FG MAS プローブ接続時)
プローブの接続方向
マジックシムを行うためには,試料回転軸が YZ または XZ 平面内に配向している必要がありま
す。通常,固体または FG MAS プローブは MAS 軸が –Y 軸方向を向き,YZ 平面内に入るように
接続されます。この場合,マジックシムで用いられるシム項は Y, X2, Z3 となります。しかし,
MAS 軸が XZ 平面に入るように接続されている場合には,Y シムの代わりに,X シムを使った,
X, X2, Z3 のシム項でマジックシムを行う必要があります。(シムコイルの X 軸方向には,赤い点
が打ってあります。)
シミングする項を Y から X に切り替えるためには,
分光計コントロールウィンドウの [環境設定]
から,[Miscellaneous] タブ内の [Probe Direction] を “X” に切り替えてください。グラジエント
シムツールのシム項の選択ボックスが Y, X2, Z3 から X, X2, Z3 に変わります。
Delta v5.0.3 リリースノート
9
[Probe Direction] の切り替え
4.
グラジエントシムにおける Z0 シムの補正方法最適化
グラジエントシムにおける Z0 シムの補正方法を最適化しました。これにより,グラジエントシ
ムにかかる時間は短縮され,以下の条件下では最短 120 秒でシミングが完了します。
・実験法
・核種
・溶媒
・その他
:
:
:
:
Homospoil
2H
Acetone-D6, Benzene-D6, D2O, DMSO-D6, Tetrahydrofuran-D8
初期設定
グラジエントシムの前に Z0 シムを補正する必要がない場合には,Z0 シムの補正をスキップする
ことができます。
グラジエントシムにおける Z0 シムの補正をスキップするには
Delta では,Z0 シムの補正を AUTOLOCK によって行っています。グラジエントシムで良い分解
能を得るためには,Z0 シムを補正した上でシミングを実行する必要があります。
ただし,日常的に用いる溶媒が同じ場合,もしくは,溶媒に含まれる 2H 核の化学シフトが近い
溶媒を用いる場合には,Z0 シムの補正が不要な場合があります。このような場合には,分光計コ
ントロールウィンドウの [環境設定] から,[Miscellaneous] タブ内の [Skip AUTOLOCK] チェッ
クボックスを OFF にすることで,グラジエントシム時に Z0 シムの補正が行われなくなります。
これにより,グラジエントシムにかかる時間を 15-30 秒短縮することができます。
[Skip AUTOLOCK] チェックボックス
Delta v5.0.3 リリースノート
10
5.
グラジエントシムツールでのパラメータ変更の認証
グラジエントシムツールの [このサンプルのみに適用] チェックボックスのチェックをはずす
場合に console 認証が必要となりました。
グラジエントシムツールのパラメータの変更方法
グラジエントシムツールは,[このサンプルのみに適用] チェックボックスが常に ON の状態で起
動します。この状態でグラジエントシムのパラメータを変更しても,現在使用しているサンプル
以外にはその変更は適用されません。他のサンプルにもパラメータの変更を適用したい場合には,
[このサンプルのみに適用] を OFF に切り替えてからパラメータを変更してください。変更された
パラメータは,次回以降そのパラメータの新たな初期値として設定されます。Delta v5.0.3 では,
このとき特権ユーザー認証が必要になりました。認証ダイアログが開きますので,console アカウ
ントのユーザー名とパスワードを入力してください。
[このサンプルのみに適用] が ON の状態でパラメータを変更した場合でも,このとき使用して
いたサンプル定義を書き換えて,別のサンプルに対しても使用する場合には,そのサンプルにも
前のサンプルのパラメータの変更が適用されます。新たに測定したいサンプルに対しては,新規
に作成したサンプル定義を使用してください。
[このサンプルのみに適用] の認証ダイアログ
6.
PreTune 失敗時のリカバリー機能の追加
Pretune に失敗する原因の 1 つに,
HF ダイアルが 1H 核に合っていないことが考えられます。
Delta
v5.0.3 では,Pretune に失敗した場合には自動で 1H のチューニングを実行した後,再度 Pretune
を行います。再度 Pretune に失敗した場合には,失敗のメッセージを表示して Pretune を終了し
ます。
Delta v5.0.3 リリースノート
11
7.
簡易操作用モード (シンプルモード) の追加
測定法・測定条件が限定されるお客様を対象に,より簡便に操作できるモード (シンプルモード)
を追加しました。シンプルモードは,使える機能を限定し,サンプル・Job・Queue タブを 1 つ
の画面で表示することで,より直感的に操作することが可能です。
シンプルモードの使い方はチュートリアルマニュアル[シンプルモード編]または巻末のシンプ
ルモード簡易マニュアルをご参照ください。
8.
Job リストへの測定時間の表示
測定にかかる所要時間が [Job リスト] に表示されるようになりました。これにより,測定を開
始する前に測定時間を知ることができます。ただし,以下の動作時間は含まれません。
・サンプル投入・排出
・スピニング
・温度変調
・チューニング
・ロック
・グラジエントシム,高速シム,オートシム
・オートゲイン
自動測定の測定時間の計算には数秒程度の時間を要します。操作性に支障が出る場合には,測定
時間表示を OFF にすることも可能です。OFF にするには、Delta コンソールウィンドウの [環境
設定] の [Tools] タブから,[Show Total Time] チェックボックスのチェックをはずして,Delta
を再起動してください。これにより,測定時間の計算による遅延はなくなります。
測定時間表示機能の ON/OFF
Delta v5.0.3 リリースノート
12
9.
ファイルブラウザを閉じないようにする機能追加
ファイルブラウザ右上のピンアイコンを から に変えることで,ブラウザを開いたまま,
データを連続して開くことができるようになりました。
ファイルブラウザのピンアイコン
10. 軸ルーラの表示/非表示設定の追加
スペクトルデータの X, Y, Z 軸ルーラの表示/非表示の設定を Delta コンソールウィンドウの環境
設定の [Data] タブに,"X Ruler", "Y Ruler", "Z Ruler" として追加しました。
X, Y, Z 軸ルーラの表示/非常時設定
Delta v5.0.3 リリースノート
13
11. 印刷時の線の太さ設定の追加
Delta コンソールウィンドウの環境設定の [Printing] タブから、ルーラ、スペクトル、等高線、
波形分離スペクトル、積分曲線の印刷時の線の太さを変更することができるようになりました。
印刷時の線の太さの変更
12. 測定溶媒の追加
・Benzene-D6+O-Dichlorobenzene
・Benzene-D6+1,2,4-Trichlorobenzene
・1,2,4-Trichlorobenzene
・1,2,4-Trichlorobenzene-D3
13. パルスシーケンスの追加
・1_1_adequate.jxp
・cosy_pfg_quadec.jxp
・dept_dec_adiabatic.jxp
・dept_jmod.jxp
・hmqc_pfg_quadec.jxp
・hsqc_tocsy.jxp
・mrs_hmqc_abs.jxp
・roesy_1d.jxp
・single_pulse_quadruple_dec.jxp
・single_pulse_quintuple_dec.jxp
1_1_adequate.jxp
[測定の目的]
1
H 観測で測定する 13C 2 量子遷移測定です。
f2 軸は INADEQUATE と同様の信号が得られます。1JCH と 1JCC で測定する ADEQUATE です。
4 級炭素の帰属や HMBC で区別がつかない 2JCH と 3JCH の相関の判別に使うことができます。
[概要]
ADEQUATE 測定です。
Delta v5.0.3 リリースノート
14
cosy_pfg_quadec.jxp
[測定の目的]
直接結合しているピーク間の相関信号を観測します。
これによって 1H 信号間のつながりが分かります。パルス磁場勾配を利用することによって,積
算回数 1 回で測定が可能です。QUA チャンネルを使用することで,異種核デカップリングが可
能です。通常,19F デカップリング付き 1H COSY もしくは 1H デカップリング付き 19F COSY の
測定に使用します。
[概要]
同種核シフト相関の測定です。
dept_dec_adiabatic.jxp
[測定の目的]
各炭素に直接結合した水素の数を判別します。
断熱パルス (adiabatic pulse) を使用することによって,超高磁場での広帯域デカップリングの効
果が改善され,データの改善が見込まれます。
[概要]
炭素の級別のスペクトルを作成できます。
dept_jmod.jxp
[測定の目的]
各炭素に直接結合した水素の数を判別します。
JCH の値を変化させながら測定することで,分子内の JCH の値のばらつきによる信号の歪みを補
正します。標準の DEPT シーケンスと同じ内容です。
[概要]
炭素の級別のスペクトルを作成できます。
hmqc_pfg_quadec.jxp
[測定の目的]
直接結合している 1H と 13C の相関信号を測定します。
1
H を観測するため,13C 観測異種核シフト相関法に比べて S/N 比が向上します。
QUA チャンネルを使用することで,X,Y ドメイン以外の核種のデカップリングが可能です。
通常,19F デカップリング付き 1H -13C HMQC,1H デカップリング付き 19F-13C HMQC の測定に使
用します。
[概要]
絶対値型のパルス磁場勾配を用いた 1H 観測異種核シフト相関 HMQC 測定です。
hsqc_tocsy.jxp
[測定の目的]
直接結合している 1H と 13C との相関信号を測定するだけではなく,その 1H を含むスピンネット
ワークに属する 1H との相関信号を観測します。1H 観測によって 13C 観測異種核 TOCSY 法に比
べて S/N 比が向上します。標準シーケンスです。内容は,hsqc_tocsy_dec_club_pn.jxp と同じです。
[概要]
HSQC-TOCSY 測定の標準シーケンスです。
Delta v5.0.3 リリースノート
15
mrs_hmqc_abs.jxp
[測定の目的]
直接結合している 19F と 13C の相関信号を測定します。
19
F を観測するため,13C 観測異種核シフト相関法に比べて SN 比が向上します。広い 19F の化学
シフトに対応するため,19F の励起に shifted laminar パルスを使った選択励起パルスを使用してい
ます。
[概要]
13
C デカップリング付き 19F 観測異種核シフト相関 HMQC です。1H デカップリングも同時に可
能です。19F の励起に shifted laminar パルスを使ったパルスシーケンスです。
shifted laminar パルスとは,
特定の波形パルスに,
RF 強度変調と位相変調を加えることによって,
複数の周波数領域のみを選択的に励起するようにしたものです。
roesy_1d.jxp
[測定の目的]
ある特定のピークを選択的に励起して,このピークとの間で生じる ROE (回転座標系の NOE) 信
号だけを観測する方法です。NOE の観測しにくい中程度の分子量 (1000~5000) のサンプルに対
して有効です。標準シーケンスです。内容は,roesy_1d_dpfgse.jxp と同じです。
[概要]
シェイプドパルスを使った DPFG 1 次元 ROESY 測定です。
single_pulse_quadruple_dec.jxp
[測定の目的]
2 つ以上の核に対してデカップリングを行いながらシングルパルスで測定します。
13
C 観測{1H}{19F}{19F}デカップリング測定に使用します。
[概要]
2 つ以上の核に対するデカップリング付きのシングルパルス測定です。
IRR, TRI, QUA, QRI の 4 チャンネルがデカップリングに使用できます。デカップリング条件を計
算する機能がついています。13C 観測{1H}{19F}{19F}{19F}デカップリング測定に使用します。
single_pulse_quintuple_dec.jxp
[測定の目的]
2 つ以上の核に対してデカップリングを行いながらシングルパルスで測定します。
13
C 観測{1H}{19F}{19F}{19F}{19F}デカップリング測定に使用します。
[概要]
2 つ以上の核に対するデカップリング付きのシングルパルス測定です。
IRR, TRI, QUA, QUI, SEX の 5 チェンネルがデカップリングに使用できます。デカップリング条
件を計算する機能がついています。13C 観測{1H}{19F}{19F}{19F}{19F}デカップリング測定に使用
します。
Delta v5.0.3 リリースノート
16
14. 生体分子用 15N ドメインの追加
IUPAC で定義されている生体分子に対する 15N の γ 値 (NH4Cl) を "Nitrogen15-NH3Bio" ドメイ
ンとして追加しました。
γ
: -4314226.526[Hz/T]
offset : 100[ppm]
sweep : 200[ppm]
15.
103
Rh のγ値の変更とドメインの追加
"Rhodium103" ドメインの γ 値を IUPAC で定義されている Rh(acac)3 の 103Rh の γ 値に変更しま
した。Delta v5.0.2 まで "Rhodium103" ドメインとして設定されていた値は,新たに追加された
"Rhodium103-Metal" ドメインへと引き継がれました。
・"Rhodium103"
γ : 1345413.45[Hz/T] → 1356651.75[Hz/T]
・"Rhodium103-Metal" (新設 - Delta v5.0.2 での"Rhodium103"ドメインに相当)
γ : 1345413.45[Hz/T]
16. HSQC 測定用のパルスシーケンスの断熱パルス対応
以下のパルスシーケンスを断熱パルス (adiabatic pulse) に対応するように変更しました。
断熱パルスを使用することで,超高磁場での広帯域デカップリングの効果が改善され,データの
改善が見込まれます。
・hsqc.jxp
・hsqc_dec_club_pn.jxp
・hsqc_edit_dec_en.jxp
・hsqc_tocsy_dec_club_pn.jxp
・hsqc_tocsy_dec_pn.jxp
・hsqc_tocsy_edit_dec_phase_pfgzz.jxp
Delta v5.0.3 リリースノート
17
17. 低温プローブ用 Blip 処理パラメータの追加
低温プローブによるベースラインの歪みを補正するために,新たに低温プローブ用後方線形予測
処理を [Blip Cld] (Backward Linear Prediction for compensation of long delay) として追加しました。
低温プローブによるベースライン歪みの補正
低温プローブは室温プローブよりラジオ波の消え残りが長く,FID の初めの数ポイントは取得さ
れません。そのため,通常のデータ処理ではスペクトルのベースラインに歪みが生じる場合があ
ります。Delta v5.0.3 では,低温プローブによるベースラインの歪みを補正するために,新たに
低温プローブ用後方線形予測処理を [Blip Cld] (Backward Linear Prediction for compensation of
long delay) として追加しました。
[Blip Cld] 処理
[Blip Cld] のパラメータ
パラメータ名
数
サンプル
追加
説明
次数を指定します
使用するポイント数をします
追加するポイント数をします
以下に,[Blip Cld] 処理前 (上) と処理後 (下) のスペクトルデータを示します。
[Blip Cld] によって処理することで,ベースラインの歪みが解消されたことが分かります。
[Blip Cld] 処理の効果 (ECA600,低温プローブ)
[Blip Cld] 処理前(上),[Blip Cld] 処理後(下)
Delta v5.0.3 リリースノート
18
Delta v5.0.2 からの変更点:
1. プローブファイルの更新
プローブファイルの内容を更新しました。
2. グラジエントシムツールからのグラジエントシム実行条件の変更
グラジエントシムツールからグラジエントシムを実行する場合には,サンプル定義の [gradient
shim] チェックボックスが OFF の状態でも実行できるように変更しました。
3. グラジエントシムツールが複数起動する問題の修正
グラジエントシムツールが同時に 2 つ以上起動しないように変更しました。
4. グラジエントシムツールにおけるパラメータ読み込み・更新時の表示変更
グラジエントシムツールのパラメータの読み込みまたは更新時に,さらなるパラメータの変更
を受け付けないようにするために,グラジエントシムツールの表示がマスクされるように変更
しました。パラメータの読み込み・更新には数秒を要します。
5. グラジエントシムによって計算されたシム値が制限値を超えた場合の計算値と制限値の表示
グラジエントシミングによって計算されたシム値がシム値の上限・下限を超えた場合に,計算
されたシム値とその制限値を表示するようにしました。この情報は,制限を超えてしまったシ
ム項を別の項で補正する際に役立ちます。
6. “temp_delay” パラメータが複数回実行される問題の修正
"temp_delay" が複数回実行される問題を修正しました。
"temp_delay" が実行されると,目的温度到達後から測定開始までの間に待ち時間が設けられます。
7. 自動測定スクリプト noD のパラメータの修正
noD.jaf 自動測定スクリプトの 1D WET 測定において,溶媒消去パルスのアッテネータ値の内部
計算を見直しました。また,13C デカップリングの照射位置パラメータ (irr_offset) を 100ppm か
ら 40ppm に変更しました。
8. 自動測定スクリプト Multinuclear の 29Si DEPT 測定のパラメータの修正
Multinuclear.jaf 自動測定スクリプトの 29Si DEPT 測定のパラメータを 29Si 専用のパラメータに修
正しました。
9. 自動測定スクリプト Multinuclear の 15N HMBC 測定のパラメータの修正
Multinuclear.jaf 自動測定スクリプトの 15N HMBC 測定 (1H-15N HMBC) のパラメータを修正しま
した。
10. 自動測定スクリプト Solvent_Suppression の Presaturation HSQC 測定のパラメータの修正
Solvent_Suppression.jaf 自動測定スクリプトの Presaturation HSQC 測定のパラメータを修正しまし
た。
11. メモリリーク,ハンドルリーク,その他フリーズの修正
メモリリーク,ハンドルリーク,その他フリーズを修正しました。
12. ネットワーク処理の改良
ネットワーク通信が切断される問題を修正しました。
Delta v5.0.3 リリースノート
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13. 分光計コントロールウィンドウの表示の変更
・オーナー権限を取得していない場合の表示を変更しました。
・サンプルの投入・排出中には,サンプル投入・排出ボタンの表示を ”投入中”,”排出中” と
表示するように変更しました。
・サンプル投入・排出ボタンがマスクされている場合には,ボタンのポップアップヘルプにマ
スクの解除方法を記述するようにしました。
・新規にサンプル定義を追加したとき、サンプルの情報を入力したときに、そのサンプル定義
が自動的に選択されるようになりました。
・サンプル定義の選択色が水色から緑色に変更になりました。
14. ドメイン名の化学式表記に関する問題の修正
ドメイン名に含まれる化学式の表記が小文字になってしまう問題を修正しました。
15. サンプル定義が削除できない問題の修正
削除したいサンプル定義に関連する Job または Queue が残っていない場合でもサンプル定義が
削除されない問題を修正しました。
16. 複数サンプルによる測定の中断に関する問題の修正
複数サンプルが割り当てられている Job を測定中断した場合に,Job が即座に終了するように修
正しました。
17. 非温度可変プローブで温度可変制御パネルが有効である問題の修正
温度可変のできないプローブでは,温度可変を実行できないように修正しました。
18. 固体および FG MAS プローブ接続時のサンプル定義の変更
固体プローブまたは FG MAS プローブ接続時に作成されるサンプル定義において,[gradient
shim] チェックボックスの初期値を OFF に変更しました。
19. ファイル名が OS の最大許容文字数を超える場合の問題の修正
データファイル名の長さがオペレーションシステム (OS) の制限を超える場合には,分光計か
らファイルをダウンロードする際に,ファイル名を OS の最大許容文字数まで切り取るように変
更しました。
20. データファイルの [filename] パラメータのコピー&ペーストに関する問題の修正
データファイルの [filename] パラメータを Experiment ツールにコピー&ペーストする場合に,
ファイル名のみがペーストされるように変更しました。絶対パス名はペーストされません。
21. Job 名変更モードの表示変更
Job 名の変更時に [Job リスト] の表示をマスクするように変更しました。これにより,Job 名変
更モードに切り替わったことが分かりやすくなりました。
Delta v5.0.3 リリースノート
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22. Job 名変更モードにおける [キャンセル] ボタンの不具合修正
Job 名変更モードにて,[キャンセル] ボタンが機能していない問題を修正しました。
23. [シムのリセット] 機能の改善
分光計コントロールウィンドウの [シム]プルダウンメニューから,[シムのリセット] メニュー
を実行した場合でも,Z0 シムはリセットされないように変更しました。
24. モニタのデータ消去機能の不具合修正
[モニタ] タブ内の [Clear Vector] ボタンまたは [モニタのクリア] プルダウンメニューを実行
しても [モニタ] 上のデータが消えないまたはフリーズする問題を修正しました。
25. データ表示ウィンドウ起動時の化学シフト基準値の初期化
データ表示ウィンドウ下部の [化学シフトの基準] ボックスの値を,データを開くたびに "0.0"
に初期化されるように変更しました。
26. 回帰計算解析ツールにおける指数プロット時の単位表示の不具合修正
回帰計算解析ツールにおいて,フィッティング結果を指数プロットした場合に,X 軸の単位表
示が [abundance] に変わってしまう問題を修正しました。
27. ファイルブラウザにおける [マイドキュメント] 表記の変更
[ファイルブラウザ] の左ペインの [場所] に表示される [マイドキュメント(書類)] の表記を
[マイドキュメント] に変更しました。
28. 中国語表示全面改訂
中国語表示を全面改訂しました。
29. オンラインマニュアル更新
オンラインマニュアルを更新しました。
30. 3 種類の溶媒の表記の変更
以下の 3 つの溶媒に関して,溶媒名に含まれる D (重水素) 核の数の表記を,Lock に関与する D
核の数から溶媒分子に含まれる全 D 核の数に変更しました。
・Acetic_Acid-D3 → Acetic_Acid-D4
・Methanol-D3
→ Methanol-D4
・Toluene-D3
→ Toluene-D8
溶媒名変更に伴う注意事項
保存された CSV ファイルに上記 3 つの溶媒が設定されている場合には,溶媒を再度設定し直し
ていただく必要があります。再度設定し直さない場合には,溶媒名が"Acetic_Acid-D4" と表示
され,NONE 溶媒として測定されます。
[CSV ファイルを開く] メニュー
Delta v5.0.3 リリースノート
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31. パルスシーケンスのカテゴリ設定の更新
パルスシーケンスのカテゴリ設定を更新しました。
32. Shifted laminar パルス使用時の問題の修正
shifted laminar パルスの照射ポイントを増やしていくと,shifted laminar パルスの強度励起プロフ
ィールが飽和してしまう問題を修正しました。
33. HMBC 測定用パルスシーケンスの修正
hmbc_pfg.jxp のパルスシーケンスで,Low Pass J Filter の数を変更できるようになりました。
[low_pass_J_filter] パラメータを "3LP" とした場合には,Delta v5.0.2 の hmbc_pfg.jxp の条件と
同じになります。
34. WET による溶媒信号除去付きのパルスシーケンスのパラメータの修正
WET による溶媒信号除去付きのパルスシーケンスに関して,13C デカップリングの照射位置パ
ラメータ (irr_offset) を 100ppm から 40ppm に変更しました。対象となるパルスシーケンスは,
以下の 3 つです。
・single_pulse_wet_slp.jxp
・single_pulse_wet_slp_lc.jxp
・single_pulse_wet_slp_miccs.jxp
35. 固体 NMR 用パルスシーケンスの修正
以下の固体 NMR 用パルスシーケンスを修正しました。
・hetcor_solid.jxp
・hetcor_toss.jxp
・mqmas-s9-3q_fam2_split-t1_echo.jxp
・mqmas-s9-3q_fam2_split-t1_echo_setup.jxp
36. mod_save パラメータの不具合修正
mod_save が 256 回以上実行されると測定に失敗する問題を修正しました。
mod_save を設定すると,指定した積算回数ごとに測定データを保存することができます。
37. 15N ドメインの offset, sweep の値の変更
"Nitrogen15", "Nitrogen15-NH4", "Nitrogen15-NO2Me" ドメインの offset と sweep の値を以下のよ
うに変更しました。
・"Nitrogen15"
offset :
0[ppm] → 300[ppm]
sweep : 600[ppm] → 700[ppm]
・"Nitrogen15-NH4"
offset :
0[ppm] → 300[ppm]
sweep : 1000[ppm] → 700[ppm]
・"Nitrogen15-NO2Me"
offset :
0[ppm] →
0[ppm]
sweep : 1000[ppm] → 600[ppm]
38. 43Ca のγ値の訂正
"Calcium43" ドメインの γ 値に誤りがあったため,以下のように修正しました。
γ : 2865133.50[Hz/T] → 2865402.18[Hz/T]
39. 一部のパルスシーケンスにおける磁場勾配強度計算の自動化
一部のパルスシーケンスにおいて,選択されているドメインに応じたパルス磁場勾配強度が自
動で計算されるようになりました。
Delta v5.0.3 リリースノート
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40. 固体 NMR 測定パラメータ "contact_time" が書き出し時に表示されない問題の修正
プロセスリスト付きでスペクトルを書き出す場合にも,CP MAS 測定で使われる "contact_ time”
パラメータが表示されるように変更しました。
41. 回帰計算解析ツールから複数のフィッティング曲線印刷時の Y-scale 表示切替オプションの追加
回帰計算解析ツールにて複数ピークのフィッティング曲線を印刷するときに,Y-scale の表示方
法を切り換えるオプション [Scale to view] を追加しました。[Scale to view] にチェックが入って
いない状態では,印刷されるフィッティング曲線のそれぞれに対して,Y-scale の大きさを最適
化します(標準設定)。チェックをした場合には,現在回帰計算解析ツールにて表示されているフ
ィッティング曲線の Y-scale に合わせます。
[Scale to view] チェックボックス
複数ピークを選択すると,最初に選択された
ピークのフィッティング曲線が表示されます
[Scale to view] にチェックが入っていない場合
[Scale to view] にチェックが入っている場合
42. ibase_correct ポイントファイルに関するフィルタ拡張子の修正
[Base Correct (Interactive)] 処理にて,保存された補正点のポイントファイルを読み込む際のフィ
ルタ拡張子を修正しました。
43. 日本語メッセージの修正
[データ処理] ウィンドウの [オプション]-[処理の所要時間を表示] メニューを有効にした場合
に表示される日本語メッセージを修正しました。
Delta v5.0.3 リリースノート
23
補足:
1 マジックシミング(Magic Shimming)の概要
分解能調整(シム調整)は,測定サンプルの受ける磁場が均一になるように,超伝導マグネット内部に
ある複数のシムコイルに流す電流を調整する作業です。それぞれのシムコイルが異なる形状の補正
磁場を作り,それらを足し合わせたもので磁場の不均一を補正します。
従来のシム調整では,適当なサンプルの NMR 信号を観測しながら,信号の線形がシャープで左右
対称になるようシム値の組み合わせを探します。この場合,シムを手動で調整しますので,ある程度の
経験が必要であり,初期のシム条件が悪い場合は,熟練者でもかなりの時間を要します。
手動シム調整に対して,溶液 NMR ではグラジエントシムと呼ばれる自動調整法があり,誰でも簡単
に分解能を向上させることができます。マジックシミングは固体 MAS NMR などでも,溶液同様の自
動調整を行なう方法です。
マジックシミングでは磁場勾配を印加しますが,その方法としてホモスポイル(homospoil)を用いま
す。このため,マジックシミングはすべての分光計と MAS プローブに適用できます。
■ マジックシミングの特徴
溶液に対するグラジエントシムでは,磁場勾配を使ってサンプル部の磁場分布を測定し,サンプルの
磁場マップが平坦になるようなアクシャルシム項(Z1~Z6)の値を計算します。つまり,静磁場方向の
シム調整を自動的に行なっています。
これに対してマジックシミングでは,マジックアングルスピニング軸(MAS 軸)方向のシム調整を行ない
ます。その際,用いられるシムコイルは1~3次で,それぞれ Y,X2,Z3 の値を自動調整します。
マジックシミングでは,標準サンプルを用いて Y,X2,Z3 のシム項が作る補正磁場を計算します。この
補正磁場を磁場マップと呼び,その測定を「キャリブレーション」と呼びます。マジックシミングでは磁場
マップに応じた「自動シム」を行ないます。
マジックシミングでは,次の3段階の操作を行ないます。
1. 1次項(Y)のみのキャリブレーションと自動シム
2. 1次項と2次項(Y と X2)のキャリブレーションと自動シム
3. 1次項,2次項,3次項(Y,X2,Z3)のキャリブレーションと自動シム
Delta v5.0.3 リリースノート
24
2 マジックシミングの操作
■ 準備
• 標準サンプルとして,円筒形のシリコンゴムを詰めたサンプル管を用います。
• プローブは,MAS 軸が超電導磁石に取り付けられたシムの YZ もしくは XZ 平面内に入るような向
きに固定します。シムの X 軸方向にマークがしてありますので,MAS 軸が X(Y)軸と直角をなすよう
にします。
• プローブに入れたサンプルを 5kHz 程度で回転させます。
• Z0 以外のシムの値をすべて 0 にしておきます。
■ 1次項のキャリブレーションと自動シム
1.
Console ユーザーで分光計にログインする。
ユーザーを Console に変更するには,[分光計コントロール]ウィンドウのメニューバーで,
[接続]-[ユーザーの変更]を選び,ユーザー名を Console にします。
2.
メンテナンスモードに移行する。
[分光計コントロール]ウィンドウの [設定]-[メンテナンスモードに移行]を選択します。
図 2.1 メンテナンスモードに移行
3.
サンプルを選択し,[分光計コントロール]ウィンドウの[サンプル]タブを開き,
ボタンをクリックする。
図 2.2 [サンプル]タブ
Delta v5.0.3 リリースノート
25
4.
ボタンをクリックする。
[グラジエントシム]ウィンドウが開きます。
図 2.3 グラジエントシムツールウインドウ(キャリブレーションモード)
5.
6.
シム軸として Y を指定する。
その他の測定条件を指定する。
[実験法]:
Homospoil
[核種]:
1H
[フリップ角]:
90[deg]
[積算回数]:
4
[データポイント]:
256
[X Sweep] :
4[kHz]
[X Offset] :
0.1[ppm] もしくは,自動最適にチェックを入れます。
[レシーバゲイン]: 20
[Relax Delay]:
3[s]
[Tau-D] :
4[ms]
[Tau-P]:
0.2[us]
[∆Tau-P]:
20[ms]
Delta v5.0.3 リリースノート
26
7.
ボタンをクリックし,キャリブレーションを開始する。
自動的に[ステータス]タブに移り,現在の進行状況が表示されます。
図 2.4 [ステータス]タブ
8.
[分光計コントロール]ウィンドウの[モニタ]タブを開き,サンプルの範囲を読み取る。
スペクトル表示領域でマウスを右クリックし,[単位の選択]-[Percent]を選択し,信号のある領域
を読み取ります。この操作はキャリブレーションが終了する前に行なってください。
図 2.5 [モニタ]タブ
キャリブレーションが終了すると,[グラジエントシム]ウィンドウに”Calibration finished”のメッセ
ージが表示されます。
Delta v5.0.3 リリースノート
27
9.
[グラジエントシム]ウィンドウを閉じた後,メンテナンスモードを終了する。
[分光計コントロール]ウィンドウの[設定]-[メンテナンスモードを終了]をクリックします。
図 2.6 メンテナンスモード終了
10.
11.
ユーザーを console から delta などのユーザーに変更する。
12.
ボタンをクリックする。
[グラジエントシム]ウィンドウが開きます。
[分光計コントロール]ウィンドウの[サンプル]タブを開き,
する。
ボタンをクリック
図 2.7 グラジエントシムツールウインドウ(ユーザーモード)
13.
14.
シム軸として Y を指定する。
Range に切り替えて,上の手順 8 で読み取った始点と終点を[%]単位で入力する。
Delta v5.0.3 リリースノート
28
15.
ボタンをクリックする。
[ステータス]タブに切り替わり,グラジエントシムの進行状況が表示されます。
図 2.8 [ステータス]タブ
16.
完了したらウィンドウを閉じる。
図 2.9 Field Map
Delta v5.0.3 リリースノート
29
■ 1次項と2次項のキャリブレーションと自動シム
1.
2.
Console ユーザーでログインした後,メンテナンスモードに移行する。
[サンプル]タブの
ボタンをクリックする。
[グラジエントシム]ウィンドウが開きます。
図 2.10 グラジエントシムツールウインドウ(キャリブレーションモード)
3.
4.
シム軸として Y と X2 を指定する。
Delta v5.0.3 リリースノート
ボタンをクリックし,キャリブレーションを開始する。
30
キャリブレーションが終了すると,”Calibration finished”のメッセージが表示されます。
図 2.11 [ステータス]タブ
5.
6.
7.
8.
[グラジエントシム]ウィンドウを閉じた後,メンテナンスモードを終了する。
ユーザーを console から delta などのユーザーに変更する。
[分光計コントロール]ウィンドウの[サンプル]タブを開く。
ボタンをクリックする。
[グラジエントシム]ウィンドウが開きます。
図 2.12 グラジエントシムツールウインドウ(ユーザーモード)
Delta v5.0.3 リリースノート
31
9.
10.
シム軸として Y, X2 を指定する。
ボタンをクリックする。
図 2.13 Field Map
11.
完了したらウィンドウを閉じる。
Delta v5.0.3 リリースノート
32
■ 1次項,2次項,3次項のキャリブレーションと自動シム
1.
2.
Console でログインした後,メンテナンスモードに移行する。
[サンプル]タブの
ボタンをクリックする。
[グラジエントシム]ウィンドウが開きます。
図 2.14 グラジエントシムツールウインドウ(キャリブレーションモード)
3.
4.
シム軸として Y,X2,Z3 を指定する
Delta v5.0.3 リリースノート
ボタンをクリックし,キャリブレーションを開始する。
33
キャリブレーションが終了すると,”Calibration finished”のメッセージが表示されます。
図 2.15 [ステータス]タブ
5.
6.
7.
8.
[グラジエントシム]ウィンドウを閉じた後,メンテナンスモードを終了する。
ユーザーを console から delta などのユーザーに変更する。
[分光計コントロール]ウィンドウの[サンプル]タブを開く。
ボタンをクリックする。
[グラジエントシム]ウィンドウが開きます。
図 2.16 グラジエントシムツールウインドウ(ユーザーモード)
Delta v5.0.3 リリースノート
34
9.
10.
シム軸として Y, X2,Z3 を指定する。
ボタンをクリックする。
図 2.17 Field Map
11.
完了したらウィンドウを閉じる。
Delta v5.0.3 リリースノート
35
■ 自動シムのエラー時の対処法
マジックシムで計算されたシム値が限界値を越えてしまい,自動シムが異常終了することがあります。
図 2.18 [マジックシミング]エラー
この場合,同じ効果を持つ他のシム項の値を限界値まで入力することで,エラーを回避することができ
ます。同じ効果を持つシム項を下にまとめます。
• Y ⇔ -Z
• X2 ⇔ YZ
• Z3 ⇔ X2Z,YZ2,-Y3
図 2.18 のエラーメッセージは,Z3 項が下限値-500[Hz]を越えたことを表しており,X2Z 項に下限値
いっぱいの値-1[kHz]を入力するなどしてから,再度,グラジエントシムを行なうことでエラーを回避する
ことができます。
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