各国の政治不安により原油価格が高騰 - AMG Financial Group

March 2011
各国の
各国の政治不安により
政治不安により原油価格
により原油価格が
原油価格が高騰
北アフリカと中東では“ジャスミン改革”が引続き扇動されている。リビアでの反政府運動は、早くも武力衝突
に至り、今となっては事実上の内戦状態に陥った。この紛争が悪化するにつれ、原油価格は高騰した。WTI原油
は1バレル100米ドルを超え、ブレント原油は116米ドルまで上った。
この騒動は1ヶ月以上前にチュニジアで勃発したが、リビアがこのような惨事に至るまでは、原油価格はビクとも
しなかった。その理由は、チュニジアやエジプトとは違い、リビア内の紛争は、原油の生産と供給の途絶を意味
するからだ。国際エネルギー機関(IEA)の推計値によると、リビアの原油生産は、1日85,000~1,000,000バレル
も減ったと言う。また、いくつかのOPECメンバーは、この原油産出のロスを、供給余力(スペア・キャパシテ
ィ)で埋め合わせをすると約束した。OPECの持つスペア・キャパシティが1日あたり計400万バレルであること
を考慮すると、リビアの1日の産出量である160万バレルの全てが失われたとしても、市場が深刻な原油不足に
陥ることは防げるはずだ。
今、世界の原油市場と金融市場において最大のリスクは、サウジアラビア、イラン、イラク、そしてクエートと
言った、主要な原油輸出国に影響が及ぶことだ。幸いなことに、主要輸出国では、チュニジア、エジプト、リビ
アのように反政府デモが活発でない。サウジアラビアのデモ隊は、ほとんどがシーク教徒であり、国内でも少数
派だ。クエートにおいては、非永住者が、公民権を巡って戦っている。さらに、これらの国ではデモが過激な暴
動に発展しておらず、原油産出に影響を及ぼす程ではない。
スペア・キャパシティで、失われた分の原油生産の埋め合わせが出来ると言うことは、国際原油市場への直接的
な影響は抑えられるはずだが、反政府運動が続くことにより起こる供給不安が、価格の高騰に反映されているよ
うだ。原油生産の途絶が現実にならなければ、原油取引は100~120米ドルの範囲内になると思われる。そして、
このレベルであれば、世界経済の回復が途絶えることはないはずである。
米国:
米国:強気
今年2月に、非農業部門就業者数が発表された。先月には、総就業者数は192,000人増加し、民間部門で220,000
の雇用を創出した。就業者数の増加は、米国の雇用市場が引続きゆっくりと回復している事を示し、1月の数字の
低迷は、豪雪により仕事が出来なかった人が一時的に増えただけだったようだ。
高まる商品価格と、上昇するインフレリスクが、米国の政策方針に関する憶測を招いている。
政策を決定するのは連銀であるので、投資家の方達には連銀の動きに気をつけることをお勧めする。最近の
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当資料は内部資料として主にプロフェッショナルアドバイザーのためだけに作成されたものです。当資料は特定の金融商品または投資戦略
判断のための勧誘や売買推奨を目的としたものではありません。また、当資料は弊社が信頼する AMG ファイナンシャルグループ及び関連会
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者および著者も責任をもつものでもありません。筆者の見解は当資料の受領者への通知なしに変更することがあります。過去のパフォーマ
ンスは将来のパフォーマンス、投資価値および投資価値の上昇による収入、市場変化や通貨により下落することを示唆、保証するものでは
ありません。当資料に疑いの点がある場合は、担当アドバイザーにお問い合わせください。当文章は日本人の方が参考として用いるためだ
けに作成された文章です。翻訳には万全を期しておりますが、日本語訳の記述にあいまいな点があった場合、英文を正文と致します。
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FOMCの議事録によると、連銀は、これからインフレと、インフレ予想率の変動に更なる注意を払う、とはっき
り述べている。しかし、彼らは、商品価格高騰により発生するインフレ圧力は長くは続かないと考えている。コ
アインフレとインフレ予想率は抑制されている。また、FOMCは、連銀の資産買い取りプログラムは、予定通
り6月末で完了すると確証した。このことから、私たちは金融政策の変更はしばらくないと考える。また、恐らく
連銀も、次の動きを決めるまでの数か月間、雇用状況とインフレ数値の変動を注視していくだろう。
ヨーロッパ:
ヨーロッパ:中立
ユーロ圏では、消費価格インデックス、すなわちインフレ指標が2.4%上昇した。これは、過去12か月の政策目標
だった2%を超える結果だ。ECBは先月、利上げを控えた。しかし、上層部は、利上げに対しては、タカ派の構え
だ。政策会議の後に開かれた記者会見で、トリシェ総裁は、“物価におけるアップサイドリスクは、引き続き警戒
して注視していかねばならない”と強調した。来月すぐに利上げを行うという意味では無いものの、ECBは明らか
に、市場に利上げの準備をさせようというシグナルを送っている。前回の利上げサイクルを取ってみても、会見
で“強い警戒”という言葉が出てから、最初の利上げが行われるまで、13か月のタイムラグがあった。そのため、
ECBは今、利上げのサインを市場に送り始めたばかりで、実際にそれが起こるまでにはまだ時間がありそうだ。
早ければ2011年第四四半期に利上げが行われるというのが私たちの予測だが、それもインフレが想像以上に進ん
だ場合であろう。
中国:
中国:強気
2月の経済データによると、中国ではインフレ圧力と新規銀行融資は低下し、インフレと流動性の抑制を目的とす
る金融政策の狙いどおりとなった。このデータで喜んでいる方もいるようだが、私達は、旧正月という季節的な
影響が大きいと考える。そのため、この金融政策が目的を達成したと言うにはまだ早そうだ。中国では更なる引
締めが続くと考える。
新興市場:
新興市場:インドネシア:
インドネシア:強気
食品価格が下落したせいでインフレ率が低下した先月。今年2月のCPIは6.86%で、前年比では、昨年1月より
0.16%低い。これは主として、16.2%から14.85%へ減少した食品価格インフレの低下によるものだ。また、次の
3カ月で、インドネシアは米の収穫期に入る。統計局によると、今年のコメ収穫量は6300万トンに及び、400万ト
ンの余剰分が見込まれている。インドネシアの主要食用作物である米の十分な供給により、インフレ圧力は低下
するだろう。
商品:
商品:強気
中東での政治的緊張が続く中、原油価格は上昇した。WTI原油は1バレル100米ドルを超え、ブレント原油は1バレ
ル110ドルで高止まりした。しかし、国際エネルギー機関のオイルマーケットレポートによると、リビアからの輸
出途絶にも関わらず、市場に原油の深刻な不足は無いという。サウジやイラン、イラク、クエートといった主要
原油輸出国にトラブルが発生しない限り、原油価格は100から120米ドルの間、高くても150米ドル以下に留まる
だろうというのが私達の見解だ。
この混沌とした状況から投資家が安全資産へ逃避したこともあり、金は再び1オンス1,400米ドルと、好調だ。
ヘッジファンド:
ヘッジファンド:中立
バークレイヘッジファンド指数は2月に1.19%上昇し、バークレイCTA指数は0.94%上昇した。
政府国債
政府国債:
国債:弱気
米国債とドイツ国債に、ネガティブな評価が続いている。先月にも言ったように、上昇するインフレ圧力が、米
国債とドイツ国債の価値を下げている。さらに、最近では連銀とECBが、インフレ上昇についての懸念をはっき
りと表した。両国債が、高インフレのダメージを受けることは明らかだ。
市場展望:
市場展望:
中東での紛争が金融市場にもたらす最大のリスクは原油産出への影響、すなわち原油価格である。今の所、リビ
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アを除いては、産出国に大きな影響はなく、国際的な原油市場へのダメージもまだない。石油産出が大きく減少
しない限り、価格は120米ドル以下に留まると考える。
これまで、米国と欧州が開始した緩和政策が、世界経済と金融市場の最大の回復要因となっていた。今では、
ECBはタカ派に転向し、連銀の次の動きも不透明だ。
米国と欧州における利上げの可能性が高まり、金融市場のボラティリティの原因となりそうだ。
*全ての数値は、International Energy Agency (IEA), Bloomberg.com & Barclay Hedge を参照しました。
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