23 平成23 23年度 大学研究成果事業化促進事業 創薬・臨床に向けた質量分析によるタンパク質解析用 前処理技術の実用化開発 問い合わせ先 笹倉由貴江 (研究代表者、横浜国立大学 成長戦略センター 講師) 〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-5 横浜国立大学 ベンチャービジネスラボラトリ 211号室 TEL:045-339-3598、FAX:045-339-4467、E-mail:y-sasa@ynu.ac.jp 臨床検査や医薬品開発における、血中タンパク質解析 解析に必要な、血液前処理を簡便に行うキットを開発し ています。 タンパク質前処理用マイクロフローチップ (株式会社リッチェルによる試作品) 研究の背景 近年の臨床検査や医薬品の開発において、血中タンパク質の解析が必要となっています。 ・ 臨床検査 ・ 医薬品の開発 健常者と患者の血中タンパク質を比較し、 疾患に関与するタンパク質を同定します。 疾患タンパク質のみに作用する医薬品を開 発し、副作用を防止します。 従来の医薬品 健常者 タンパク質医薬品 (分子標的医薬) 患者 正常 病気 細胞 細胞 採血 血液中のタンパク質の量を比較 疾患タンパク質 病気細胞だけでなく、 正常細胞も攻撃 病気細胞だけを 攻撃 タンパク質解析の流れ 血中タンパク質を、タンパク質分解酵素によってペプチド(または修飾ペプチド)へと断片化した後、修飾部 位遊離酵素によって修飾基を分離し、質量分析によってスペクトルデータを取得・解析します。 前処理工程 タンパク質 分解酵素 血液 修飾部位 遊離酵素 ペプチド or 修飾ペプチド 血中タンパク質 ペプチド 修飾基 解析工程 測定工程 健常者 タンパク質 比較 患者 修飾基 パターン判定 質量分析スペクトル取得 この際、前処理工程(上図の赤枠部分)の精度や効率を向上させることが、正しい結果を得る ための最重要ポイントの一つになります。 開発している技術 従来の前処理は、溶液中で酵素とタンパク質を混合する方法で行われています(下図左)。私たちは酵 素をマイクロフローチップの流路内部に固定することで、前処理を効率化することに成功しています(下図 右)。 ・ 従来技術(溶液反応) ・ 新技術(固定化酵素による反応) 従来技術との性能比較 溶液反応 固定化酵素 12時間 30分~5時間 酵素のサンプル中への混入 あり なし 酵素の再利用 不可 可能 複数酵素による同時処理 不可 可能 処理時間
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