アジアモンスーンの大都市近郊山地の窒素問題研究

グローバル COE2・3グループ合同 公開研究会
「アジアモンスーンの大都市近郊山地の窒素問題研究」
【主 旨】
世界的に人為起源の窒素が,生態系に与える影響が懸念されている.ヨーロッパや北アメリカでは,森林が
利用するよりも多くの窒素が大気から負荷されることで,
生態系の大きな変化が起こることが観測されている.
一方,日本を含むアジアモンスーン気候下では,窒素の挙動が異なるとの意見があり,窒素負荷による生態系
の変化については十分に研究されていない.しかし,温暖化の進行よりも窒素負荷の方が早期に生態系に影響
を及ぼすとの意見もある.
神奈川県西部に位置する丹沢山地は,東京や横浜といった大都市の近くにあり,飲用水を始め,さまざまな
生態系サービスを担っている一方で,すでに,渓流水の硝酸態窒素が全国平均より高くなっていることが知ら
れている.
山地ではどの程度大気経由の窒素負荷が増大しているかは観測が困難なこともあり,十分にデータがない.
窒素負荷の増大が森林に与える影響をとらえることも難しい.
また,
都市で利用可能な水の水質を考える際に,
山地に降った雨が河川および地下水にどのように分配されるかを広域にとらえることも必要である.
本研究会では,相模川・金目川流域とその水を利用している神奈川県東部を神奈川拡大流域圏と考え,森林
の持つ生態系サービスを維持するために,都市からの窒素の負荷,森林における窒素の挙動,および地下にお
ける水の流れをいかに結びつけて研究を進めていくべきかについて議論したい.
●日 時:2008年7月19日(土)10:30∼17:00
●場 所:環境情報1号棟5階共同セミナー室(515室)
●プログラム
○午前の部:発表 20 分・質疑 5 分
10:30−10:55 金子 信博(横浜国立大学)
:主旨説明(およびモニタリングサイト紹介)
(仮題)
10:55−11:20 有馬 眞(横浜国立大学)
:丹沢における渓流水窒素濃度の経年変化
11:20−11:45 佐土原 聡(横浜国立大学)
:神奈川拡大流域圏の空間情報基盤
11:45−12:45 【昼食休憩】
○午後の部①:発表 30 分・質疑 5 分
12:45−13:20 神成 陽容(元(財)計量計画研究所、国立環境研究所客員研究員)
:窒素発生源のインベントリ
13:20−13:55 近藤 裕昭((独)産業技術総合研究所)
:神奈川県への窒素沈着量 −大気シミュレーションか
らの推定−
13:55−14:30 林 健太郎((独)農業環境技術研究所)
:陸域生態系の窒素循環およびその数値モデルの事例
14:30−15:05 大手 信人(東京大学)
:アジアモンスーン森林の窒素循環の特徴(仮題)
15:05−15:20 【休 憩】
○午後の部②:発表 20 分・質疑 5 分+討論
15:20−15:45 藤巻玲路(横浜国立大学)
:丹沢山地における森林生態系の窒素動態
15:45−17:00 総合討論
司会:金子 信博、副司会:佐土原 聡
●問い合わせ・連絡先:横浜国立大学大学院環境情報研究院 佐土原聡
TEL:045-339-4247
e-mail:sadohara@ynu.ac.jp