4 月号(第 22 号)2003.4 東京大学 分子細胞生物学研究所 広報誌 IMCB University of Tokyo IMCB Institute of Molecular and Cellular Biosciences University Tokyo The of University of Tokyo 目 次 新所長ご挨拶 宮島 篤 …………………………………………………1 お店探訪(加藤みのり) …………………………………………………13 甦るまぼろしの泡盛(三浦義治・横田 明)……………………………2 平成 14 年(2002 年)各研究分野業績発行物一覧 ……………………14 分生研 50 周年記念シンポジウム開催予告 ………………………………3 おめでとう!大学院博士・修士課程修了 ………………………………22 退官のご挨拶 (高橋秀夫、小磯邦子、温品惇一)……………………4 2002 年分生研セミナー一覧 ……………………………………………23 転出のご挨拶(松山伸一、金丸研吾)……………………………………6 2002 年分生研コロキウム一覧 …………………………………………24 第 18 回 バイオテクノロジー懇談会開催される(山口千秋) ………7 最近の新聞記事から ………………………………………………………25 ドクターへの道(西村(那須)教子)……………………………………8 平成 14 年度受託研究・共同研究一覧 …………………………………26 海外ウォッチング(西山賢一)……………………………………………9 知ってネット ………………………………………………………………26 OB の手記(岸下昇平)……………………………………………………10 Tea Time-編集後記(田村勝徳、山口武志)……………………………26 留学生手記(崔 善淑) …………………………………………………11 研究紹介(新家一男) ……………………………………………………27 研究室名物行事(機能形成研究分野) …………………………………12 研究最前線(生体超高分子研究分野) …………………………………28 新所長ご挨拶 宮島 篤 この度、分子細胞生物学研究所の所長を拝命することとなりましたので、一言ご挨拶 を申し上げます。本年度は国立大学が独立法人へと移行する激動の年であり、それに付 随した様々な難題が生ずることが予想されます。法人化の是非あるいは大学組織のある べき姿に関してはいまだ議論の尽きないところです。とりわけ付置研究所はその存在意 義が厳しく問われています。こうした時期に所長という大役を仰せつかり身の引き締ま る思いです。 分生研は、1953 年に東京大学の付置研究所として設立された応用微生物学研究所が 1993 年に発展的に改組して誕生いたしました。さらに、2001 年には分子情報・制御、分 子機能・形成、分子構造・創生の3大部門と1センターに再度改組され、本年は分生研設立 10 周年を迎えます。こ の間に分生研では博士研究員制度、いわゆる独立助教授制度、教官任期制度等を他に先駆けて導入して研究所の活 性化をはかってきました。こうした努力の結果、分生研の研究活動に関する評価は高まりつつあると感じておりま す。 一方、付置研究所という立場上、それなりの研究成果がでて当然との見方もあります。分生研は全国共同利用設 備を備えているわけではなく、法人化後は分生研における研究の質と量が厳しく問われることは必至です。しかし、 分生研は狭隘なスペースや常勤スタッフの慢性的な不足など、個々の研究者の努力だけでは解決されない、多くの 困難な問題を抱えています。新研究棟の建設も含めた研究環境の改善が今後の大きな課題です。また、応微研時代 からの伝統である産学連携の取り組みをさらに一層発展させることも、法人化に向けての重要案件と考えておりま す。このように、分生研には課題が山積しておりますが、微力ながら分生研の発展に全力を尽くす所存ですので、 皆様のご支援よろしくお願いいたします。 2 甦る幻の泡盛 三浦義治・横田 明(バイオリソーシス研究分野) 沖縄の特産である泡盛が広く好まれ、デパート、酒店での売 れ行きは年々上がっているそうである。泡盛は、Aspergillus awamori, Aspergillus saitoi, Aspergillus usamii などの黒麹菌で造ら れる世界でも例のない酒である。近年では沖縄サミットで各国 元首に飲まれ、古くは江戸時代末期の黒船到来で知られるペリ ー一行らが琉球(当時)での晩餐会においてフランスのリキュ ー酒のようだと印象を語っている(1) 。 「幻の泡盛」 戦前の沖縄県首里には多数の泡盛酒造所があったが、1945 年 (昭和 20 年)の沖縄戦で灰塵に帰し、酒屋ごとに伝えられてき た個性豊かな黒麹菌も消滅してしまったものとされていた。し かし、1935 年(昭和 10 年)故坂口謹一郎東大名誉教授らによっ て沖縄の酒造所 68 箇所の麹、発酵桶、周囲の土壌などから採集 された黒麹菌(2)が 60 有余年を経て東京大学分子細胞生物学 研究所に現存していることがわかり、伝統の黒麹菌の復活が遂 げられ、失われた伝統の味を現代に甦らせることができた。こ の間のことについて、1998 年(平成 10 年)6 月 23 日付沖縄タイムスの一面に「戦禍越えた黒こうじ菌」というセンセーショ ナルな見出しで大きく紹介され、つづいて朝日新聞が「よみがえる幻の泡盛」として報じ、天声人語にも取り上げた。さら に、TBS テレビの筑紫哲也 NEWS23 で特集「甦るか?幻の沖縄泡盛」が放映されるに及び、「幻の泡盛」造りに着手した酒 造メーカーに全国から予約が殺到した。 「IAM カルチャーコレクション」 1993 年に発効した生物多様性条約など、遺伝子資源として有用微生物の重要性があらためて見直されている。他国に遅れ ることなく、2002 年4月には国益のため独立行政法人生物遺伝資源センター(NBRC)が開設されている。IAM カルチャー コレクションは保有株約 3,700 のうち、分類学的位置の確実な微生物株、微細藻類約 3,000 株をその情報とともに広く国内外 の研究者に提供している。黒麹菌に関して、アミノアジピン酸還元酵素比較に基づく黒麹菌類の系統について研究し、2002 年(平成 14 年)度日本農芸化学会大会及び電子ジャーナル上(3)で発表している。 「幻の泡盛」復活 沖縄国税事務所鑑定官、酒造メーカーの方々の大変な努力で、ついに 2000 年(平成 12 年)春、沖縄の酒造メーカーから、 沖縄の酒器の中でもとりわけ格式の高いゆし瓶桐箱入りで幻の泡盛「御酒 うさき」[写真]として発売され、多くの人々 に芳醇な香りと深い味わいを提供した。雑誌「旅」のライター太田雅子さんは「御酒」の風味について、熱帯の花園のよう な濃密で複雑で甘やかな、例えて言えば女優の佐久間良子にギュッと抱きしめられたような匂いがした、ような気がすると 感想を述べている。 今回のロマンに満ちた数々の出来事も知らず、今も東京大学分子細胞生物学研究所の微生物株保存庫に「幻の泡盛」菌は静 かに眠っている。 東京大学分子細胞生物学研究所 50 周年を記念した記念ボトルを、祝賀の折りに是非お楽しみ下さい。 (1)あわもり −その歴史と文化− 沖縄県立博物館友の会(1992). (2)Sakaguchi, K., Iizuka, H., and Yamazaki, S.: A study on Aspergillus niger group (1) . J. Appl. Mycol., 3, 53-63 (1949) (in Japanese). (3)Aminoadipate reductase gene: a new fungal-specific gene for comparative evolutionary analyses. K. D. An, H. Nishida, Y. Miura and A. Yokota: BMC Evol. Biol., 2, 6, 2002. 3 東京大学細胞生物学研究所 50周年記念シンポジウム 開催予告 平成15年5月9日(金)、弥生講堂(東京大学農学部構内)にて分子細胞生物学研究所50周年を記念し、 「分生研の最先端研究─世界との関わり」と題してシンポジウムが開催されます。講演プログラムは、以下 の通りです。 東京大学分子細胞生物学研究所50周年記念シンポジウム 分生研の最先端研究 ─ 世界との関わり Frontier Research in IMCB: Its Relation to the World Scene 講演(英語) 9:30 〜 9:40 宮島 篤(東大・分生研) “Opening Remark” 9:40 〜 10:20 徳田 元(東大・分生研) “Transfer of lipid-modified proteins from inner to outer membranes of E. coli” 10:20 〜 11:10 W. T. Wickner (Dartmouth Medical School) “Mechanisms of membrane fusion” 11:10 〜 11:50 豊島 近(東大・分生研) “Structural basis of ion pumping by Ca2+-ATPase” 13:00 〜 13:40 後藤由季子(東大・分生研) “Cell fate regulation of neural precursors” 13:40 〜 14:30 J. Macklis (Harvard Medical School) “Cellular repair of complex cortical circuitry by neural precursors and induced cortical neurogenesis” 15:00 〜 15:40 加藤茂明(東大・分生研) “Co-regulator and chromatin remodeling complexes for nuclear receptors” 15:40 〜 16:30 P. Chambon (INSERM, France) “Characterization of mammalian gene function through targeted spatio-temporally-controlled somatic mutagenesis in the mouse” 16:30 〜 17:10 宮島 篤(東大・分生研) “Liver development and regeneration” 主催:東京大学分子細胞生物学研究所 後援:財団法人 応用微生物学研究奨励会 問い合わせ先:東京大学分子細胞生物学研究所 事務部 03-5841-7812 皆様方の多数のご参加をお待ちいたしております。 4 退官のご挨拶 高橋秀夫(分子遺伝研究分野 教授) ──来し方・行く末を想う── 本学における停年延長最初の年にかかって、図らずも先輩の方々よりも 1 年余分に在任することに なった。昭和 44 年(1969 年)4 月に応用微生物研究所第二研究部(遺伝・育種)の助手に任用されて から、3 年間の在外期間を除いてほぼ 30 年在籍したことになる。時計台の攻防で終わった東大紛争と 引き続いて地震研、応微研の臨時職員紛争(闘争)が始まる頃である。1960 年代の終わり頃は世界的 にも学生や労働者の運動が激化した時期でもある。後で知ったことであるが、私がイタリアの LIGB (Laboratorio Internazionale di Geneticae Biofisica)に職を得ることができたのもこのことと無関係ではなかった。1960 年代 に起こった研究所での労働争議に嫌気がさして外国から来ていたかなりの研究者が辞めることになり、お鉢が廻ってきた訳 である。一緒に仕事をすることになった Dr. J.F. Pulitzer とは、身分上は 2 人とも ricercatore (研究員)で同等であり、イタ リア科学省(CNR)のれっきとした国家公務員であった。それはさておき、3 年間不在の後戻っても応微研の状態は必ずし も改善されてはいなかった。しかし最盛期は過ぎており、苦労された方々には申し訳ないが、浦島状態で乗り切ることがで きたのは個人的には幸いと言わざるを得ない。 研究に入った初期の頃は、1953 年の Watson-Crick による DNA 二重らせんモデルの提唱に始まる分子遺伝学によって複製、 転写、翻訳などの遺伝の基本的な仕組みが明らかにされた時期と重なる。その後 70 年代の後半には日本でも遺伝子のクロー ン化や塩基配列の決定が可能となり、80 年代にかけて遺伝子狩りの時代に入る。90 年代の中頃からはゲノムの全塩基配列を 決める、いわゆるゲノム計画の時代となって現在に至っている。この間、組換え DNA 技術以前と以降、ゲノム研究時代の いずれにも研究者として関係できたのは幸運と言うべきだろう。分子遺伝学や DNA 研究が生物学全体から見ればマイナー であった 30 年前のことを思い起こすと、遺伝子や DNA の語彙が研究的にも一般生活にも氾濫している現在は今昔の感があ る。現在はポストゲノム時代と言われるが、二重らせんモデルから 50 年、DNA 中心の生物学研究は終焉を迎えつつあると 言う論調を多く耳にする。遺伝という具象にして非具象な概念を物質としての DNA は見事に受け止めてくれた。今のまま の延長線上には生命現象理解の道はない。残念ながら次の役者はまだ登場していない。 平成 5 年 4 月に応用微生物研究所は、現在の分子細胞生物学研究所へと改組された。相前後して大学院重点化の波が起こ り、大学院が部局化し、大学付置研究所の位置づけは微妙なものとなった。分子細胞生物学研究所への改組の頃、独自の大 学院を持つ可能性を時の水島所長を中心として探ったが、さまざまな障害で断念せざるを得なかった。柏キャンパスへの移 転計画はそのような流れの中で起こったものと理解するが、大石所長の時代に移転することを所として覆すことになる。こ の場所を離れたくないと言う教授総会メンバーが多かったことによるものであるが、その判断が良かったか否かは即断でき ない。 平成 16 年 4 月からは大学は独立行政法人へと移行することが決まっている。それに必要な法案はこれからであるが、どの ようなものになるのかは誰も説明できない。それでなくても世の中充分に先行き不透明であり、昨今の世界の様相は世紀末 的でさえある。バブル崩壊以降も科学技術への予算は増加しているが、公共事業中心の予算配分からの投資シフトの意味が 強い。EU 諸国でも科学技術への経済活動化への願いを込めた投資的予算配分の傾向は強い。しかしながら、税収よりも国 債発行額が多くなりつつあるような不健全さを抱えているのは我が国だけである。科学者が職業家する以前の 17-18 世紀に は錬金術に莫大な金が使われた。身の丈に合わない研究費は研究者の創造性を奪いスポイルすることにも意を介する必要が あろう。応用微生物研究所時代の中心軸は分子細胞生物学研究所になって次々に打ち壊されている。 Roma(Rome)は一 日にして成らず であり、研究にも研究の場にも prestige は不可欠である。新しい伝統と柱なしにはこれからの風雲の時代 を乗り切るのは難しい。諸氏の自覚と健闘を期待するのみである。 在任中は多くの方々のご支援、ご鞭撻を受け、また、ご迷惑をお掛け致しました。特に分子細胞生物学研究所並びに大学 院応用生命化学・工学の事務の方々には大変お世話になりました。この場を借りて感謝の意を表すると共にお礼を申し上げ ます。 5 小磯邦子(生体有機化学研究分野 講師) ──思い出すこと── 1964 年から今日までの 39 年間には東大紛争があったり、応微研から分生研に改組があったり、教 授も四代目になりましたし、語り尽くせないものがありますが、私にとって忘れられないのはやはり 元素分析のことです。 化合物の構造決定・純度の判定に元素分析は不可欠で、先輩の日野さんと、たくさんの依頼検体を 分析してきました。当時はどの研究室もそうでしたが、空調はなく、元素分析室は化合物を高温の電 気炉で燃焼するため、真夏の室温は、炎天下と変わらない位あったような気がします。おまけに秤量に使うミクロ天秤は、 温度の変化や風があると安定しません。そのため扇風機を使うわけにも行きません。三階の低温実験室の冷気を、ファンで 元素分析室に送るシステムがあり、夕方、分析を終えてから少し涼んでほっとしたものです。効率よく連続して分析を繰り 返すため、食事も秤量や分析操作の合間を縫うようにして、何回かに分けて取る様な忙しいときもありました。より少ない 試料で分析し、精度を上げようと努力した日々は、誇りとやりがいを感じる毎日でした。今でも元素分析の重要性に変わり はないと思っております。 私は7年ほど元素分析に従事しておりましたが、その後は天然物の構造研究に携わるようになり、今度は分析を依頼する 立場になりました。分析値が推定構造の計算値に一致しないと、試料の精製や乾燥に問題があったり、かつて何度も同じ試 料を分析に出されていた方のことも理解できました。元素分析、質量分析、その他の機器分析のデータを解析し構造を決め、 さらにその化合物の生理活性を解析することは大変楽しい仕事でした。 最期に、短期間ではありますが培養細胞を扱い、それまでと全く違った分野の研究に携わったのが、大変新鮮で面白く、 良い勉強になりました。 これまで続けてこられたのは、多くの皆様が支えてくださったお陰と、今は感謝の気持ちで一杯です。 温品惇一(生体超高分子研究分野 助手) ──退職にあたって── 分子発生学をめざす大学院生として応微研にきてから 39 年になりました。長い間多くの皆さんに お世話になり、ありがとうございました。東大闘争で初めて社会の現実、東大が果たしてきた犯罪的 な役割を知り、その変革を目指してきました。職員になった当時、応微研には 20 名以上もの臨時職 員(臨職)が定員内職員と同様の仕事をしながら、定員がないというだけで劣悪な労働条件を強いら れていました。東大全体で臨職は約 2,000 名に達していました。私は東大全学の職員、学生の皆さん と共に、この臨職の定員化を求め職員に対する差別と抑圧を糾弾する臨職闘争、職員の労働条件改善の運動、軍学共同に反 対する運動、発がん物質アスベストによる健康被害をなくす運動、薬害エイズに関する郡司教授の責任を糾弾する運動、そ して国立大の独立行政法人化に反対する運動などに取り組んできました。こうした活動を通じて東大のあり方を問い、ささ やかながらも成果をあげることができました。しかし東大の本質は何ら変わっておりません。教官の定年はお手盛りで延長 しながら、職員の定年はそのまま据え置き、ごく少数の職員を恣意的選択的に再任用するだけです。こうした姿勢の延長上 に、独立行政法人化を推進し、全国大学の頂点としての位置を維持しようとしています。このような東大のあり方はいずれ 変革されることでしょう。 6 転出のご挨拶 松山伸一(前細胞形成研究分野 助教授) 17 年あまり勤めた分生研を辞し、4月より立教大学理学部生命理学科に着任しました。水島昭二 先生から「東京大学応用微生物研究所(分生研の前身)へ移りたいので先発隊として研究室を立ち 上げてほしい。」と言われたのが、1985 年の秋でした。翌年1月、名古屋大学大学院を中退して4 研(現細胞形成研究分野)の教務職員として赴任しました。たったひとりの先発隊でしたが、4研 の内田先生、多胡先生、市毛さんたちのご協力、仕事上関係のあった1研(現生体超高分子研究分 野)、2研(分子遺伝研究分野)、9研(染色体動態研究分野)をはじめとする先生方のご支援によって、すみやかに研究を スタートさせることができました。88 年に徳田 元先生が助教授として来られたことによって磐石の研究体制ができあがり、 水島研究室の隆盛がご退官の 93 年まで続きました。 その後、分生研に改組されてしばらくは院生が少ないさびしい時期がありましたが、腰を据えてじっくり研究に取り組む ことができ、現在研究室の主要テーマになっている大腸菌リポタンパク質の選択的膜局在化に関与する因子を発見しました。 95 年、徳田教授のもとで、およばずながら助教授を拝命し、リポタンパク質一筋に今日まで研究を続けてきました。この間、 1年半ほど米国で仕事をする機会も与えていただき、貴重な経験を積むことができました。さらに、立教大学への赴任に際 しましても、格別のご配慮をいただきました。徳田研究室との共同研究の足を引っ張らぬよう1日も早く研究室を立ち上げ、 より一層の発展と新しい展開をめざすことがこれからの私の使命であり、徳田先生をはじめお世話になった分生研の方々へ のご恩返しと考えています。 17 年間の在任中にお世話になりましたたくさんの方々に心よりお礼申し上げます。 最後になりましたが、宮島新所長のもと分生研が独立行政法人化の波を乗り越えて大きく発展していくことを期待してお ります。 金丸研吾(前分子遺伝研究分野 助手) 3 月 1 日付けで、神戸大学農学部生物機能化学科生物化学教室の助教授に異動になりました。93 年 秋に名大をD 3 で中退後、遺伝研助手、米国 UCSD 博士研究員を経て、分生研に呼んでいただいたの が 97 年秋。終始寛大な姿勢で接してくださった高橋教授と、 近そうで遠い目標であり常に私を啓発 してくださった田中助教授はじめ、研究室の皆様、事務の方々に深く御礼申し上げます。遺伝研やア メリカでは「分相応」と「自己責任」を強く意識する機会が少なくなかったですが、分生研では「縁」 の大切さ、ありがたさ、そして妙をしみじみ感じることが多かったです。昨今の「就職難」は教育研 究者の世界も例外ではありませんが、片道切符での留学先から日本に戻って来ることができたのは、 たまたま院生時代に生化若手の会を通じて知り合った田中助教授に気をとめていただいていたのがきっかけでした。今回の 神戸転出も、たまたま留学中に知り合い、帰国後も偶然一緒に研究する機会やシロイヌナズナ cDNA アレイコンソーシアム でお世話になった、かずさ DNA 研の柴田先生が、赴任先の教授の後輩であったことがポイントだったのだろうと推察しま す。先方は、初めての完全公募での採用とのこと。私が新風となることを期待しているようですが、採用面接では、研究の こと以上に教育に対する姿勢や考えを問われました。これからしばらくは神戸に腰を据えて、これまで培った経験や知識を もとに、自分なりの教育スタイルや研究を膨らませていきたいと思っています。ただし、新風のつもりが波風にならないよ うに十分気を配りながら。妻と二歳の息子を東京に残して行くことを考えるとホントに切ない気分になってしまいますが、 家族でまた一緒に生活できる日を楽しみに、逆に一人だからこその利点と融通を活かして、カジュアル・ツインクル号(新 宿・大阪間夜行高速バス)も駆使しながら乗り切っていきたいと思います。 7 第18回 バイオテクノロジー懇談会開催される 山口千秋(財団法人 応用微生物学研究奨励会) 去る 2002 年 12 月 20 日(金)、東京大学弥生講堂・一条ホ ールに於いて「第 18 回バイテクノロジー懇談会」が開催さ 講演会(午後2時 30 分〜午後 5 時 45 分) 1)「ショウジョウバエを用いた脳の情報処理メカニズム れました。昭和 57 年に「第 1 回企画連絡会」として発足し の研究」 たこの会は、(財)応用微生物学研究奨励会にご援助下さ 分子細胞生物学研究所 助教授 伊藤 啓 る 13 社の企業の研究開発担当の方々と分生研メンバーとの 情報交換・交流を目的として開催されます。前会まで企業 2)「プラバスタチン(ML-236B)生合成遺伝子 の方々のご参加が少なく、企画を再検討しておりました。 クラスターの機能解析とその利用法」 今回は企業の方にご講演をお願いできればと依頼したとこ 三共株式会社探索研究所 阿部 有生 ろ、協和発酵工業(株)特別顧問で奨励会理事長の木下祝 郎様と三共(株)探索研究所所長で奨励会評議員の犬飼正 3)「抗腫瘍性グアニジン系天然物の化学的機能と 俊様がご推薦くださり、分生研からは若い先生方に演者を 活性発現機構」 お引き受けいただきました。参加者は 80 名で広い会場を埋 分子細胞生物学研究所 助教授 長澤 和夫 め尽くすというわけにはいきませんでしたが、活発な質疑 応答がなされ、学生からの質問もあり(これは前代未聞に 近いとのこと)予定時間を大幅にオーバーするという盛会 4)「米国バイオベンチャー最近の動向」 株式会社レクメド 社長 松本 正 となりました。今年の運営進行役の企業幹事は、萬有製薬 (株)とサントリー(株)が快くお引き受け下さいました また講演会終了後の懇親会は、会議室に於いてお料理は が、今年も年の瀬押し詰まっての開催でお忙しい企業の 昨年好評でした女子栄養大学「松柏軒」からケイタリングい 方々にはご迷惑をおかけしてしまいました。 たしました。司会は萬有製薬(株)つくば研究所名誉所長 の西村暹様がお引き受けくださり、こんなお偉い先生にと 鶴尾所長がおっしゃるとおりあつかましいお願いをしてし まいました。なごやかにお話がはずみましたが、最後に木 下理事長から講演者の在り方についてのご一 言が有り、演者の方々には少々耳の痛いお話 だったかもしれません。 寒い玄関で受付をお手伝いくださった萬有 製薬(株)の安達由香様、分生研の石原理加様、 そして会の運営をお手伝いくださった細胞形 成研究室の皆様にお礼申し上げます。 8 ドクターへの道 分子情報研究分野 博士課程2年 西村(那須)教子 みなさん、こんにちは。 私は、修士課程まで 3 年間を過ごした研究室から、分生 研に移ってきました。研究室を移ると、データ数などが一 つの研究室に在籍し続けている人に比べ必然的に少なくな るため、迷いもしましたが、今ではあの時決断して良かっ たと思っています。というのもかなり異なる分野に身を投 じたことで、より幅広い思考や技術を身につけることがで き、これから先長く続く(?)研究人生にとって非常に有 効であろうと思えるからです。 日本では研究室を多く渡り歩くことをあまり善しとしな い方がたくさんいらっしゃると聞きますが、これからは皆 さんもご存知のこの諺、“A rolling stone gathers no moss.” 右端が著者 のアメリカ的解釈がひろく流布する世の中になるのではな いかと期待しています。ということで、責任は持てません は何かのためになるのだろうかなどとふと疑問に思うこと が、他の分野への転身を迷っていらっしゃる方、思いきっ も多々あります。研究への情熱が風前の灯となることもな て羽ばたいてみてはいかがでしょう? いわけではありません。果たして、私は 27 歳にもなって、 さて、私は子供のころ博士という方々はみなその分野に 関して何もかも知っていらっしゃるとんでもなく賢い人だ 未だ学生の身分で、社会に対して何かの役に立っているの だろうかなどなど、本当に悩みは尽きません。 と思っていました。というか今もなお、博士という肩書き 修士課程の学生が博士課程への進学を迷う時、おそらく をお持ちの方々を尊敬の眼差しで見ずにはいられません 自分が研究者に向いているのか向いていないのかと言うこ が・・・。それ故、こうして自分が博士号取得のための道 とを考えているのではないでしょうか。途中で嫌になるの の真中に立った今、何とも消化しきれない感情を抱いてい ではないかなど不安に思う人もいるでしょう。私は今も自 ます。というのも常日頃より自分の知識のなさなどを痛感 分が研究者に向いているのかいないのか、自分では分かり しているだけに(身から出ている錆ですが)、今のペース ません。同級生をみていると、向いていないような気もし では険しい道を乗り越え、後1年で自分がたどり着けると ています。でも向いているかいないかより、自分は研究を は到底思えないからです。こんな自分が本当にいつか名実 したい、そして実験が楽しいと思えるために、私は今ここ ともに博士になれるのだろうかと考える度に不安に嘖まれ にいます。いつか私も研究生活が嫌になるかもしれません。 ます。この生活に足を踏み入れて早丸5年経ったわけです (今も年を重ねるごとに体力的に辛い時もあり、ちょっと が、時間の使い方がなんとも下手な私は、勉強と実験を未 嫌かもと思うこともあります。)このさきどうなるかわか だに両立できず、悩み多き日々のまっただ中にいるのです。 りませんが、私自身は研究へのモチべーションを維持でき そもそも私が研究の道を選んだのは、実験をすることが るかぎり、ゆっくりではあるかもしれませんがドクターへ 楽しいという単純な理由からでした。皆さんもそうだと思 の道を歩いていけるのではないか、そしてドクターとなり うのですが、結果が出た時のあの興奮を味わうために、毎 その先の道も歩いていけるのではないかと思っています。 日毎日1日中研究室で過ごしているのです。それでもやは 最後になりましたが、私の研究へのモチベーションを支 り、長く結果が出ない時など特にそうなのですが、毎日、 えて下さっている分子情報研究分野の秋山先生を始め、中 黙々と実験をしていると、自分は今何のために実験をして 村先生、森口先生、研究室の皆様、そして家族に感謝の意 いるのだろう、この実験は実を結ぶのだろうか、この実験 を表し結びとさせていただきます。 9 海外ウォッチング 西山 (細胞形成研究分野 賢一 助手) 分生研のみなさん、お元気でしょうか?早いもので、私 がこちらに来てもう1年あまりがたってしまいました。こ ちらに来るときはバタバタしていてろくにご挨拶もでき ず、色々な仕事も中途で放り出してしまって、申し訳なく 思っています。また、こうして留学生活を送っていられる のもみなさんのおかげだと、ひしひしと感じています。 ここフライブルク(Freiburg)はドイツの南西、黒い森 (といっても全然黒くはないのですが)の入り口に位置し、 フランスやスイスにも近接していて、国際色豊かな街です。 ドイツでは最も早く春が訪れる地で、年金生活者のあこが れの街ですが、低温感受性の私には十分すぎるほど寒いで す。気候で一番辛いのは、寒い日と暖かい日が交互に来る フライブルクの中心街。旧市街地には石畳が敷かれ、冬以外は小川。 ことでした。ひどいときには寒暖の差が 20 度以上あります。 ましたし、分生研でもセミナーをしたと聞いたので、ご存 もっとも、この一年の気候は異例ずくめだったようです。 知の方も多いと思います。研究テーマは膜タンパク質の膜 こちらに来た当初は2月にもかかわらず 20 ℃を超える日が 挿入機構の解析です。分生研では分泌タンパク質の膜透過 あったかと思うと、夏には 100 年ぶりの大雨がふったり 機構の研究をしていたので、なぜ同じような研究をしてい (しかもヒョウ混じりで)、この冬にもここではまれな大雪 るのかと疑問に思われる方も多いと思います。もちろん、 が積もったりと、平年の気候がどんなものかわからないま 膜透過と膜挿入で共通の因子もいくつかあって類似点はあ ま1年が経ってしまいました。 るのですが、膜挿入ではタンパク質合成を共役させる必要 フライブルクは古くからの大学街で、大学施設が街のあ があることが大きな違いで、そのため実験手法が大きく異 ちこちに点在していて、街全体が大学キャンパスのようで なっています。こうした違いもさることながら、ドイツで す。たとえば、私の通う生化学・分子生物学研究所は街の は時間の流れ方がゆっくりしていて、日本人はせっかちだ 中心から徒歩で5分くらいのところにありますが、公道を なと改めて感じさせられました。夏休みは誰でも3週間以 挟んで刑務所があったりします。大学院生はこちらの方が 上取りますし、天気の良い金曜日の午後は潮が引くように 刑務所だとこぼしていましたが。 人が消えていきます。金曜日の夕方遅くまでいるのは教授 研究室は Matthias Müller 教授をはじめとして総勢 15 人前 だけです。「過労死」という言葉は「盆栽」や「すし」と 後の比較的小さいグループですが、非常にアクティビティ ならんでドイツ人も知っている日本語ですが、ドイツ人は の高いグループです。Matthias は昨年、生化学会で講演し 決して過労死はしないでしょう。大教授になりたい人は別 ですが。 最後になりましたが、ここでは5月―7月の天気のいい 日はとても快適です。ヨーロッパ旅行をご計画の方はこの 時期がおすすめです。近くにお越しの際は、是非ご一報く ださい。あまりしょっぱくないドイツ・レストランにでも ご案内します。 研究報告セミナーの後 Matthias(左端)とディスカッションする筆者。 10 OB の手記 岸下 昇平 (中外製薬生物技術研究部 元情報伝達研究分野) 企業で研究をしていると実感する瞬間は、この 300L のリ アクターを用いて培養をしているときです。一回の検討で の培地の値段も、非常に高額になり、失敗の許されない状 況での培養は、まさに命がけです。それだけに、無事に培 養を終了したときの喜びもひとしおです。しかし、培養自 体がうまくいっても、小スケールでの結果をまったく反映 していないこともあり、頭を悩ましながら試行錯誤の日々 ですが、それだけにやりがいを感じています。最近では、 人手不足も手伝ってか、大きな仕事をまかされはじめ、少 しずつ社会人としての自覚と自信が芽生えつつあります。 前列右端が筆者 社会人になり、もうすぐ一年が経とうとしています。私 話は少し変わりますが、中外製薬はスイスに本拠を置く F ・ホフマン・ラ・ロシュ社との経営統合を行いました。 は修士課程の二年間を、情報伝達研究室でお世話になりま そして去年の 10 月には日本ロッシュとの合弁がなされ、生 した。最近では、研究室で毎日ウエスタン・ブロティング 物研究部にも、日本ロッシュの方が数名入って来られまし をしていた日々を懐かしく思い出します。今は、中外製薬 た。『新しい上司はスイス人!?』などと少し期待してい の生物技術研究部というところで働いておりますが、まだ ましたが、入って来た人達は普通の日本人でした。その人 まだ学生気分が抜け切らず、ぼちぼち社会人をしていると 達よりも、たかだか数ヶ月配属された期間が早かっただけ いった感じです。生物研究部は、東京都北区の浮間にあり、 で、私は先輩になってしまい、一回りも年上の人に「岸下 毎日地獄のような満員電車に揺られながら通勤していま さん」なんて呼ばれる場面もあり、社会の恐ろしさを肌で す。 感じています。 私達の会社では、薬のもととなる蛋白質をハムスターの 会社が外資になったり、人の出入りが激しかったり、社 細胞に作らせています。生物研究部の仕事内容としては、 会の荒波に戸惑うことも多くあります。しかし荒波にのま その薬のもととなる蛋白質の生産に向けて、株細胞の構築 れることなく、何事にもチャレンジしていく精神を常に持 から、培養法・精製法の確立、最終的には確立された技術 ち、自分の行っている研究を誇れるよう、これからのもが の移管を工場へ行い、研究と工場の架け橋的な役割を果た んばっていく所存です。 しています。 最後になりますが「OB 手記」の寄稿依頼を頂き、この 私が行っている仕事は、実際に生産を行うための培養条 一年間を振り返れたことに感謝します。情報伝達研究室の 件の確立です。細胞にとっての最適な条件を試行錯誤で見 皆様、年末は牡蠣に大当たりして、食べられない物が一つ つけ出し、始めは 100mL の小スケールから、最終的には 増えましたが、また何かあれば誘って下さい。 300L の大スケールまで検討を行います。私が扱っている 300L のリアクターは、制御がセミオートのため、ほとんど のバルブは手動で開閉を行う必要があり、滅菌のときはま さに戦場です。バルブの閉め忘れや、配管のズレなどで、 蒸気が噴出すことなんてザラです。また、剥き出しの配管 に高温の蒸気を通しますので、部屋の温度は異常に高くな り、暑いので腕をまくって作業していると、高温の配管に 腕が触れて、大火傷することも珍しくないです。『火傷の 数だけ、操作を覚える』という格言もあり、先輩の方々は、 根性焼きの痕を自慢げに見せてくれます。 11 留学生手記 崔 善淑 (染色体動態研究分野 技術補佐員) 留学生でもないのに留学生手記を頼まれた時は、何を、 どう書いたらいいのかけっこう悩みましたが、とりあえず 今までの日本の生活を振り返って見ることにしました。留 学生の家族として来日してからいつの間に3年半が経ち、 日本の生活にはもう慣れたと思うほどです。韓国で日本の イメージはそれほど良くなかったので、又、向こうの人も 韓国(人)に対する感情は同じだろうと思い込み、大きな 不安を抱きながら日本の生活を始めました。しかし、実際 日本で生活し始めたら、人の見た目もほぼ同じで、家の周 りも韓国とあまり違いがなかったので、これなら何とかな るかもと少しほっとしました。あの頃は長男が生まれて5 ヶ月を過ぎた位で忙しくて自分の時間はあまり取れなかっ 右が筆者 ます。 たので、日本語の勉強より家事がほとんどでした。子供の 染色体動態の皆様にこの場を借りて感謝の気持ちを伝え 成長と共に外の世界にも興味を持ち、出てみると、思った たいと思います。外国人との出会いが自分にとって、いつ 以上の大きい別世界が待っていました。 も役に立つとは言えませんが、その出会いが後になって宝 最初は言葉が下手でも心は通じるはずと信じていつも積 物になるかもしれませんし、お互いに異なる文化の中で育 極的に行動しようと思いました。そして、私が日本人では ったので、相手を通じて異なる文化も感じられると思いま ないことに気づき、戸惑う人々やむしろ興味を持ってくれ す。こういった面から、日本の学生たちにとっても留学生 た人々などの様々な人々との出会いがありましたが、一番 と付き合うのは世界に一歩近づくことになり、とても良い 辛かったのはやはり言葉の壁でした。大きな言葉の壁に直 経験ではないかと思います。 面して、自信満々の大声も最初の自信もとこかへ消えてし まい、その壁を段々ストレスとして感じ始めた頃、本研究 室の大坪久子先生から てみない? 保育園って知ってる?見学に行っ と話しかけられました。それはまるで暗雲の 切れ間から差した一筋の光のように感じられ、心躍り、と てもドキドキワクワクしました。それがきっかけでそれか らはラッキーなことばかり! やっと私は日本語の勉強が出来、長男も、最初の保育園 に慣れるまでの1ヶ月位は泣き虫でしたが、今はもう立派 な4才の男の子になりました。しかも、日本に来てから最 も大きな変化がありました。それはもう一人の家族が増え たことです。その次男ももう1才7ヶ月になり、お兄ちゃ んに負けないようにいつも頑張っています。けんかばかり しているようですが、やはり兄弟なんだと実感できる場面 も時々見せてくれるなど、素晴らしい兄弟愛を保ちながら、 長男と一緒に同じ保育園に元気に通っています。今は家族 に支えられながら様々な方々のおかげで染色体動態研究室 で働く亊も、留学生家族としての楽しさを十分味わう亊も 出来、私達って本当に幸せ者ではないかといつも思ってい 最後に、これからも暖かい目で見守って下さいますよう お願いします。又、留学生の皆さんも頑張って下さい。 12 研究室名物行事 機能形成研究分野 名物行事と言えるかどうかは分かりませ んが、うちのラボは年中行事が多い方じゃ ないですかね。まず、新人紹介を兼ねた4 月の花見に始まり、お台場で行われる夏の バーベキュー大会、年末の御殿場へのラボ 旅行などなど。その他、旨いものを開拓す るグルメツアーやハンバーガー大食い選手 権など、当局の関知しない行事も年中各地 で勃発している模様です。(「お前らいつ実 験しとんじゃ」とのお叱りを受けそうです が、ちゃんとやってますよ〜。)その中で も、今回はラボ旅行について紹介させてい ただきます。宮島研が分生研に発足して、 ほぼ7年になりますが、御殿場の「時之栖 (すみか)」という施設への一泊二日の旅行が当時から続く 突入です。一つの部屋に集まって、スポーツ・恋愛・研究 行事となっています。旅行当日、ラボに集合して4、5台 などジャンルを問わず、深夜まで喧々諤々。宮島教授も例 の車に分乗し、富士山を目指します(ここだけ聞くと族の 年2時頃まで付き合ってくれます。そして、B 君が管を巻 ようだ)。新人さんが宮島号に乗ることが習わしとなって きだすと、会もいよいよフィナーレを迎え、お開きとなる おり、研究に対する意気込みが試されます(ウソです)。 のが例年のパターンです。それでも、必ず朝まで飲んでい この旅行の楽しみの一つは温泉です。「絵」じゃないホン る輩がおり、起きられずに朝食の時間をスキップしてしま モノの富士山をバックに、露天風呂で宮島教授を囲んで野 うハメに(筆者もその一人である)。。。 郎共(学生)が汗を流す。6年間一人の女子学生も在籍し で足をのばして寿司を食いにいく者や、釣りを楽しんで帰 なかった宮島研の「男の園」ぶりが体感できる瞬間です。 る者など様々で、楽しいラボ旅行は終了となります。はな 帰りは、沼津ま (補足:お陰様で昨年ようやく修士の女子が一名入ってき れのコンドミニアムを借りると格安で泊れるし、セミナー ました。)サウナやスチームに入って、ひと時のダイエッ ルームもあるので、あなたのラボでも行ってみてはいかが トに励む者、死海の湯で浮かぶ者、擦り傷に滲みて痛がる ですか? 者など、いろんなヴァリエーションが楽しめる風呂です。 さて、温泉からあがったら、お待ちかねの食事の時間です。 西欧風の造りのビアレストランで地ビールに舌鼓を打つ。 銀河高原ビールを始め、ヴァイセン・デュンケル・ピルス ナー等の地ビールが楽しめ、ビール好きには堪らないひと 時です。また、おすすめのスペアリブとアイスバインが格 別で、ビールがすすむ事この上なし。ほろ酔い気分になっ た後は、パオ(遊牧民が住んでる円形の家)に移動し、宮 島杯争奪大ゲーム大会に突入します。言うなれば、小学校 でやった「おたのしみ会」みたいなもんですね。4つのチ ームに分かれて、ゼスチャーゲーム・利き酒・連想ゲーム 等々、複数の種目で競うわけです。競技の進行上、レフェ リーが必要となりますが、昨年は I 君が○ニー・ガール姿 で頑張ってくれました(目に毒危険!)。成績優秀チーム には豪華商品が手渡され、いよいよ部屋に戻って三次会に 13 お店探訪 Trattria La Sistina(トラットリア ラ・システィーナ) 加藤みのり(分子情報研究分野) 今回は趣向を変え、群馬県にあるお店をご紹介します。 ッフの応対も◎。席数が多くテーブルも広々としているの 関越道を渋川伊香保ICで降り、国道 17 号線を伊香保温泉 でグループで楽しめます。価格も驚くほどリーズナブル! 方面へ。沿道の「伊香保システィーナ美術館」と同敷地内 安心してお腹一杯召し上がれます。メニューは「グランキ にある「ラ・システィーナ」は気軽なトラットリアです。 オ」(わたり蟹のパスタ)1200 円、ピッツァ「ビスマルク」 お店のお勧めは自家製手打ちパスタと世界チャンピオン直 (舞茸とベーコン、こだわり卵)1300 円など。二人用コー 伝のピッツァ、銘柄肉を使ったお肉料理など。石窯で焼い ス(3800 円)は前菜の盛り合わせにお好きなピッツァとパ たピッツァ「ウーゴ」は生ハムがたっぷり、ルッコラなど スタ、デザート盛り合わせにエスプレッソまでいただけま ハーブ類もけちけちしていなくて嬉しい。アラカルトメニ す。玉原スキー場(夏にはラベンダーが咲き誇ります)か ューも充実しており日替わりで楽しめます。25 年もののバ らのアクセスも良いのでアフタースキーのディナーにいか ルサミコでいただく「とうきび牛のタリアータ」は見つけ がでしょうか。伊香保温泉で日本情緒を楽しんだ後にイタ たら是非どうぞ。ワインはリーズナブルなものでも良い状 リアンというのも良いですね。 態でサービスしてくれました。取り分け皿も温かく、スタ お店の名前:Trattria 住 La Sistina(トラットリア ラ・システィーナ) 所 : 群馬県渋川市折原 3709-8 TEL ランチ : 0279-20-1788(水曜日定休) AM11:00 〜 PM15:00 ディナー PM17:00 〜 22:00 14 平成 14 年(2002 年)各研究分野業績発行物一覧 分子遺伝研究分野(Laboratory of Molecular Genetics) 「原著論文」 「学会賞」 日本農芸化学会農芸化学奨励賞、田中 Transcriptional activation of NtcA-dependent promoters of 主要シグマ因子の多型性に関する研究」 Synechococcus sp. PCC 7942 by 2-oxoglutarate in vitro. 農学会日本農学進歩賞、田中 R. Tanigawa, M. Shirokane, S.-I. Maeda, T. Omata, K. Tanaka and H. マ因子の多型性に関する研究」 寛「真正細菌における 寛「真正細菌における主要シグ Takahashi: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99, 4251-4255, 2002 染色体動態研究分野(Laboratory of Chromosome Dynamics) Identification of Ku70 and Ku80 homologues in Arabidopsis thaliana: 「原著論文」 evidence for a role in the repair of DNA double-strand breaks. Complete nucleotide sequence of plasmid Rts1: implication for the K. Tamura, Y. Adachi, K. Chiba, K. Oguchi and H. Takahashi: Plant evolution of large plasmid. J., 29, 771-781, 2002 T. Murata, M. Ohnishi, T. Ara, J. Kaneko, C.-G. Han, Y.-F. Lee, K. Takashima, H. Nojima, K. Nakayama, A. Kaji, Y. Kamio, T. Miki, H. Role of phaseolotoxin production by Pseudomonas syringae pv. actini- Mori, E. Ohtsubo, Y. Terawaki and T. Hayashi: J. Bacteriol. 184, diae in the formation of halo lesions of kiwifruit canker disease. 3194-3202, 2002 K. Tamura, M. Imamura, K. Yoneyama, Y. Kohno, Y. Takikawa, I. Yamaguchi and H. Takahashi: Physiol. Mol. Plant Pathol., 60, 207- Transposition of cyanobacterium insertion element ISY100 in 214, 2002 Escherichia coli. A. Urasaki, Y. Sekine and E. Ohtsubo: J. Bacteriol. 184, 5104-5112, 「総説」 2002 真正細菌における主要シグマ因子の多型性に関する研究. 田中 寛:日本農芸化学会誌、76, 1168-1175, 2002 Presence of a characteristic D-D-E motif in IS1 transposase. S. Ohta, K. Tsuchida, K., S. Choi, Y. Sekine, Y. Shiga and E. シロイヌナズナ DNA アレイコンソーシアム(JCAA)の活動. Ohtsubo: J. Bacteriol. 184, 6146-6154, 2002 藤原徹、太田啓之、金丸研吾:蛋白質・核酸・酵素、47, 91-93, Evolutionary relationships among rice species with AA genome based 2002 on SINE insertion analysis. 複合ゲノム系における基本遺伝システムの解析. C. Cheng, S. Tsuchimoto, H. Ohtsubo and E. Ohtsubo: Genes Genet. 高橋秀夫:日本農芸化学会誌、76, 114-124, 2002 Syst. 77, 323-334, 2002 「出版本」 Expression of Arabidopsis LINEs from two promoters. 植物のパワージェネレーター葉緑体はいかにつくられるか? Y. Ohta, Y. Noma, S. Tsuchimoto, E. Ohtsubo and H. Ohtsubo: Plant 田中 J. 32, 809-818, 2002 寛:「明日を拓く植物科学、光エネルギーを生物エネル ギーにかえる植物の設計図を読む(第 16 回「大学と科学」公開 シンポジウム講演収録集)」、 pp.48-59, クバプロ, 2002 Role of petunia pMADS3 in determination of floral organ and meristem identity, as revealed by its loss of function Toxicity of syringomycins and its pathological significance. M. Kapoor, S. Tsuda, Y. Tanaka, T. Mayama, Y. Okuyama, S. K. Tamura, T. Teraoka and I. Yamaguchi: In Advances in Microbial Tsuchimoto and H. Takatsuji: Plant J. 32, 115, 2002 Toxin Research and its Biotechnological Exploitation (R. K. Upadhyay ed.), Kluwer Academic Publishers, New York, pp.141-150, 核内情報研究分野(Laboratory of Nuclear Signaling) 「原著論文」 2002 Nuclear receptor function requires a TFTC-type histone acetyl transIntergenomic transcriptional interplays between plastid as a cyanobac- ferase comples. terial symbiont and nucleus. J. Yanagisawa, H. Kitagawa, M. Yanagida, O. Wada, S. Ogawa, M. H. Takahashi and K. Tanaka: Molecular Anatomy of Cellular Systems Nakagomi, H. Oishi, Y. Yamamoto, H. Nagasawa, S. B. MacMahon, (I. Endo et al. Ed.), pp. 105-120, 2002 M. D. Cole, L. Tora, N. Takahashi and S. Kato: Mol. Cell, 9, 553-562, 2002 「訳本」 「バクテリアとファージの遺伝学」(Bacterial and Bacteriophage Androgen-dependent neurodegeneration by polyglutamine-expanded Genetics. 4 Ed. , by Edward A. Birge, Springer-Verlag, New York human androgen receptor in drosophila. Inc.). K. Takeyama, S. Ito, A. Yamamoto, H. Tanimoto, T. Furutani, H. 高橋秀夫、宍戸和夫(共訳):フェアラーク東京, 2002 Kanuka, M. Miura, T. Tabata and S. Kato: Neuron, 35, 855-864, 2002 th Ligand selective potentiation of rat mineralocorticoid receptor activa- 15 tion function-1 (AF-1) by a CBP-containing HAT complex. Employment of the human estrogen receptor b ligand-binding domain H. Kitagawa, J. Yanagisawa, H. Fuse, S. Ogawa, Y. Yogiashi, A. and co-activator SRC1 nuclear receptor-binding domain for the con- Okuno, H. Nagasawa, T. Nakajima, T. Matsumoto and S. Kato: Mol. strution of a yeast two-hybrid detection system for endocrine dis- Cell. Biol., 22, 3698-3706, 2002 rupters. H.-S. Lee, ,K. Miyauchi, Y. Nagata, R. Fukuda, S. Sasagawa, H. Transcriptional regulatin of the mouse steroid 5alpha-reductase type II Endoh, S. Kato, H. Horiuchi, M. Takagi and A. Ohta: J. Biochem., 131, gene by progesterone in brain. 399-405, 2002 D. Matsui, M. Sakari, T. Sato, A. Murayama, I. Takada, M. Kim, K. Takeyama and S. Kato: Nucleic Acids Res.,30, 1387-1393, 2002 分子情報研究分野(Laboratory of Molecular and Genetic Information) Androgen receptor structure and function from Knock-out Mouse. S. Kato: Clin Pediatr Endocrinol, 11, 1-7, 2002 「原著論文」 Identification of link between the Tumor Suppressor APC and the Kinesin Superfamily of Proteins. Molecular Genetics of Vitamin D-Dependent Hereditary Rickets. T. Jimbo, Y. Kawasaki, R. Koyama, R. Sato, S. Takada, K. Haraguchi S. Kato, T. Yoshizawa, S. Kitanaka, A. Murayama and K. Takeyama: and T. Akiyama: Nature Cell Biol. 4, 323-327, 2002 Hormone Research, 57, 73-78, 2002 Overexpression of Icat Induces G2 Arrest and Cell Death in Tumor Stabilization of androgen receptor protein is induced by agonist, not by Cells Mutant for APC, b-catenin or Axin. antagonists. T. Sekiya, T. Nakamura, Y. Kazuki, M. Oshimura, K. Kohu, K. Tago, T. Furutani, T. Watanabe, K. Tanimoto, T. Hashimoto, H. Koutoku, M. S. Ohwada and T. Akiyama: Cancer Res. 62, 3322-3326, 2002 Kudoh, Y. Shimizu, S. Kato and H. Shikama: Biochem. Biophys. Res. Commun, 294, 779-784, 2002 SPAL, a Rap-specific GTPase Activating Protein, is Present in the NMDA receptor-PSD-95 Complex in the Hippocampus. Requirement of fibroblast growth factor 10 in development of white B. C. Roy, K. Kohu, K. Matsuura, H. Yanai and T. Akiyama: Genes adipose tissue. Cells. 7, 607-617, 2002 H. Sakaue, M. Konishi, W. Ogawa, T. Asaki, T. Mori, M. Yamasaki, M. Takata, H. Ueno, S. Kato, M. Kasuga and N. Itho: Genes & The SH3, HOOK and Guanylate Kinase-like Domains of hDLG are Development, 16, 908-912, 2002 Important for its Cytoplasmic Localization. K. Kohu, F. Ogawa and T. Akiyama: Genes Cells. 7, 707-715, 2002 Molecular mechanisms underlying the action of environmental endocrine-disrupting chemicals. Binding of the mammalian homolog of the Drosophila discs large H. Nawata, K. Goto, H. Morinaga, T. Yanase, J. Yanagisawa, S. Kato, tumor suppressor protein to the ribosome receptor. M. Nomura, Taijiro. Okabe and R. Takayanagi: Environmental M. Kim, H. Ogawa, K. Kohu, M. Ichikawa, K. Satoh, T. Ishidao, S. Sciences, 9, 057-070, 2002 Nada and T. Akiyama: Biochem Biophys Res Commun. 294, 11511154, 2002 .Adrenomedullin, an endogenous peptide, counteracts cardiovascular damage. Mutation and expression of the b-catenin-interacting protein ICAT in T. Shimosawa, Y. Shibagaki, K. Ishibashi, K. Kitamura, K. Kangawa, human colorectal tumors. S. Kato, K. Ando and T. Fujita: Circulation, 105, 106-111, 2002 T. Koyama, K. Tago, T. Nakamura, S. Ohwada, Y. Morishita and T. Akiyama: Jpn. J. Clin. Oncol. 358-362, 2002 Role of FGF 10/FGFR2b signaling during mammary gland development in the mouse embryo. Binding of the Human Homolog of the Drosophila Discs Large Tumor A. A. Mailleux, ,B. Spencer-Dene, C. Dillion, D. Ndiaye, C. Savona- Suppressor Protein to the Mitochondrial Ribosomal Protein MRP-S34. Baron, N. Itoh, S. Kato, C. Dichson, J. P. Thiery and S. Bellusci: F. Ogawa, S. Adachi, K. Kohu, K. Shige and T. Akiyama: Biochem. Development, 129, 53-60, 2002 Biophys. Res. Commun. 294, 1151-1154, 2002 FGF10 maintains stem cell compartment in developing mouse incisors. Phosphorylation-dependent migration of retinoblastoma protein into H. Harada, T. Toyono, K. Toyoshima, M. Yamasaki, N. Itoh, S. Kato, the nucleolus triggered by K. Sekine and H. Ohuchi: Development, 129, 1533-1541, 2002 binding to nucleophosmin/B23. M. Takemura, F. Ohka, M. Perpelescu, M. Ogawa, H. Matsushita, T. Stimulation of smad1 transcriptional activity by ras-extracellular sig- Takaba, T. Akiyama, H. Umekawa, Y. Furuichi, P. R. Cook and S. nal-regulated kinase pathway: a possible mechanism for collagen- Yoshida: Exp.Cell Res. 276, 233-241, 2002 dependent osteoblastic diffrentiation. M. Suzawa, Y. Tamura, S. Fukumoto, K. Miyazono, T. Fujita, S. Kato and Y. Takeuchi: J. Bone Miner. Res., 17, 240-248, 2002 16 情報伝達研究分野(Laboratory of Cell Signaling) 「原著論文」 T. Fabian-Marwedel, M. Umeda and M. Sauter: Plant Cell, 14, 197210, 2002 Akt enhances Mdm2-mediated ubiquitination and degradation of p53. Y. Ogawara, S. Kishishita, T. Obata, Y. Isazawa, T. Suzuki, K. Spatial distribution of the 26S proteasome in meristematic tissues and Tanaka, N. Masuyama and Y. Gotoh: J. Biol. Chem., 277, 21843- primordia of rice (Oryza sativa L.). 21850, 2002 Y. Yanagawa, S. Kimura, T. Takase, K. Sakaguchi, M. Umeda, A. Komamine, K. Tanaka, J. Hashimoto, T. Sato and H. Nakagawa: The phosphatidylinositol 3-kinase (PI3K)-Akt pathway suppresses Bax Planta, 214, 703-707, 2002 translocation to mitochondria. F. Tsuruta, N. Masuyama and Y. Gotoh: J. Biol. Chem., 277, 14040- Expression pattern of Aux/IAA genes in the iaa3/shy2-1D mutant of 14047, 2002 Arabidopsis thaliana (L.). Y. Oono, C. Ooura and H. Uchimiya: Ann. Bot., 89, 77-82, 2002 SWAP-70 is a guanine-nucleotide-exchange factor that mediates signalling of membrane ruffling. Glufosinate-tolerant tobacco plants directed by the promoter of adeny- M. Shinohara, Y, Terada, A. Iwamatsu, A. Shinohara, N. Mochizuki, late kinase gene of rice. M. Higuchi, Y. Gotoh, S. Ihara, S. Nagata, H. Itoh, Y. Fukui and R. H. Fukuzawa, S. Arai, M. Kawai-Yamada, A. Das, M. Tagawa and H. Jessberger: Nature, 416, 759-763, 2002 Uchimiya: Ann. Bot., 89, 351-354, 2002 JNK functions in the non-canonical Wnt pathway to regulate conver- Induction of mammalian cell death by a plant Bax inhibitor. gent extension movements in vertebrates. L.-H. Yu, M. Kawai-Yamada, M. Naito, K. Watanabe, J. C. Reed and H. Yamanaka, T. Moriguchi, N. Masuyama, M. Kusakabe, H. H. Uchimiya: FEBS Lett., 512, 308-312, 2002 Hanafusa, R. Takada, S. Takada and E. Nishida: EMBO Rep., 3, 69-75, 2002 GFP accumulation controlled by an auxin-responsive promoter as a non-destructive assay to monitor early auxin response. Characteristic behavior of viscosity and viscoelasticity of E. T. Aspuria, C. Ooura, G. Q. Chen, H. Uchimiya and Y. Oono: Plant Aureobasidium pullulans culture fluid. Cell Rep., 21, 52-57, 2002 H. Furuse, T. Amari, O. Miyawaki, T. Asakura and K. Toda: J. Biosci. Bioeng., 93, 411-415, 2002 Transgenic rice plants conferring increased tolerance to rice blest and multiple environmental stresses. Silicone rubber membrane bioreactors for bacterial cellulose produc- H. Uchimiya, S. Fujii, J. Huang, T. Fushimi, M. Nishioka, K.-M. Kim, tion. M. Kawai-Yamada, T. Kurusu, K. Kuchitsu and M. Tagawa: Mol. M. Onodera, I. Harashima, K. Toda and T. Asakura: Biotechnol. Breed., 9, 25-31, 2002 Bioprocess Eng., 7, 289-294, 2002 「総説」 「総説」 器官形成における細胞分裂の制御機構. 神経系前駆細胞の生存と死の制御 梅田正明:蛋白質 核酸 酵素増刊「植物の形づくり−遺伝子から 後藤由季子、鎌倉幸子:神経研究の進歩、46、194-201、2002 見た分子メカニズム」, 47, 1628-1632, 2002 神経系前駆細胞の生存に関する分子機構 除草剤耐性作物の分子育種. 後藤由季子、吉松剛志:医学のあゆみ、201、391-394、2002 内宮博文:農業および園芸, 77, 226-227, 2002 細胞機能研究分野(Laboratory of Cellular Functions) ビアラフォス抵抗性植物の分子育種. 「原著論文」 内宮博文:農業および園芸, 77, 494-497, 2002 The ANGUSTIFOLIA gene of Arabidopsis, a plant CtBp gene, regulates leaf-cell expansion, the arrangement of cortical microtubules in 「出版本」 leaf cells and expression of a gene involved in cell-wall formation. CDK-activating kinases in higher plants. G.-T. Kim, K. Shoda, T. Tsuge, K.-H. Cho, H. Uchimiya, R. M. Umeda :「Cdk-Activating Kinase (CAK)」(P. Kaldis, ed), pp.55- Yokoyama, K. Nishitani and H.Tsukaya: EMBO J., 21, 1267-1279, 64, Landes Bioscience, Georgetown, Texas, 2002 2002 「学会賞」 Arabidopsis CAP regulates the actin cytoskeleton necessary for plant 日本植物細胞分子生物学会奨励賞、山田(川合)真紀「細胞死 cell elongation and division. 制御因子のクロストークに関する研究」 R. A. Barrero, M. Umeda, S. Yamamura and H. Uchimiya: Plant Cell, 14, 149-163, 2002 細胞増殖研究分野(Laboratory of Cell Growth and Regulation) 「原著論文」 The rice cyclin-dependent kinase-activating kinase R2 regulates S- Dominant-negative inhibition of breast cancer resistance protein as phase progression. drug efflux pump through the inhibition of S-S dependent homodimer- 17 ization. Enhancement of L-cystine transport activity and its relation to xCT K. Kage, S. Tsukahara, T. Sugiyama, S. Asada, E. Ishikawa, T. Tsuruo gene induction at the blood-brain barrier by diethyl maleate treatment. and Y. Sugimoto: Int. J. Cancer, 97, 626-630, 2002 K. Hosoya, M. Tomi, S. Ohtsuki, H. 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A. Nakashio, N. Fujita and T. Tsuruo: Int. J. Cancer, 98, 36-41, 2002 H. Seimiya, T. Oh-hara, T. Suzuki, I. Naasani, T. Shimazaki, K. Tsuchiya and T. Tsuruo: Mol. Cancer Ther., 1, 657-665, 2002 Reduced sialidase expression in highly metastatic variants of mouse colon adenocarcinoma 26 and retardation of their metastatic ability by Transforming growth factor-β nduces expression of receptor activator sialidase overexpression. of NF-κ B ligand in vascular endothelial cells derived from bone. M. Sawada, S. Moriya S. Saito, R. Shineha, S. Satomi, T. Yamori T. A. Ishida, N. Fujita, R. Kitazawa and T. Tsuruo: J. Biol. Chem., 277, Tsuruo, R. Kannagi and T. Miyagi: Int. J. Cancer, 97, 180-185, 2002 26217-26224, 2002 Inhibition of P-glycoprotein by flavonoid derivatives in adriamycin- Akt-dependent phosphorylation of p27Kip1 promotes binding to 14-3-3 resistant human myelogenous leukemia (K562/ADM) cells. and cytoplasmic localization. T. Ikegawa, H. Ohtani, N. Koyabu, M. Juichi, Y. Iwase, C. Ito, H. N. Fujita, S. Sato, K. Katayama and T. Tsuruo: J. Biol. Chem., 277, Furukawa, M. Naito, T. Tsuruo and Y. Sawada: Cancer Letters, 177, 28706-28713, 2002 89-93, 2002 Nuclear localization of proteasomes participates in stress-inducible MS-209, a quinoline-type reversal agent, potentiates antitumor efficacy resistance of solid tumor cells to topoisomerase of docetaxel in multidrug-resistant solid tumor xenograft models. II-directed drugs. M. Naito, Y. Matsuba, S. Sato, H. Hirata and T. Tsuruo: Clinical Y. Ogiso, A. Tomida and T. Tsuruo: Cancer Res., 62, 5008-5012,2002 Cancer Res., 8, 582-588, 2002 Prediction of sensitivity to STI571 among chronic myeloid leukemia Estrone and 17 β-estradiol reverse breast cancer resistance protein- patients by genome-wide cDNA microarray analysis. mediated multidrug resistance. Y. Kaneta, Y. Kagami, T. Katagiri, T. Tsunoda, I. Jin-nai, H. Taguchi, Y. Imai, S. Tsukahara, E. Ishikawa, T. Tsuruo and Y. Sugimoto: Jpn. J. H. Hirai, K. Ohnishi, T. 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Horikoshi: Acta Crystallogr. D, 58, 859-860, 2002 the inner membrane. 19 JDP2, a repressor of AP-1, recruits a histone deacetylase 3 complex to J. V. M ソ ller, G. Lenoir, C. Marchand, C. Montigny, M. le Maire, C. inhibit the retinoic acid-induced differentiation of F9 cells. Toyoshima, B. S. Juul and Philippe Champeil: J. Biol. Chem., 41, C. Jin, H. Li, T. Murata, K. Sun, M. Horikoshi, R. Chiu and K. 38647-38659, 2002 K.Yokoyama: Mol.Cell.Biol., 22, 4815-4826, 2002 生体有機化学研究分野(Laboratory of Bioorganic Chemistry) Identification and characterization of CIA as an interactor of bromod- 「原著論文」 omains associated with TFIID. Conformation of Ligands bound to the muscarinic acetylcholin recep- T. Chimura, T. Kuzuhara and M. Horikoshi: Proc. Natl. Acad. Sci. tor. U.S.A., 99, 9334-9339, 2002 H. Furukawa, T. Hamada, MK. Hayashi, T. Haga, H. Hirota, S. Yokoyama, K. Nagasawa and M. Ishiguro: Mol. Pharmacol., 62, 778- Crystal structure of creatine amidinohydrolase from Actinobacillus. 787, 2002 B. Padmanabhan, A. Paehler and M. Horikoshi: Acta Crystallogr. D, 58, 1322-1328, 2002 Novel Non-Steroidal/Non-Anilide Type Androgen Antagonists with Isoxazolone Moiety. Purification, crystallization and preliminary X-ray diffraction analysis T. Ishioka, A. Kubo, Y. Koiso, K. Nagasawa, A. Itai and Y. of yeast nucleosome-assembly factor Cia1p. Hashimoto: Bioorg. Med. Chem., 10, 1555-1566, 2002 B. Padamanabhan, K. Kataoka, N. Adachi and M. Horikoshi: Acta Crystallogr. D, 58, 1876-1878, 2002 Thalidomide and Its Analogues as Cyclooxygenase Inhibitors. T. Noguchi, R. Shimazawa, K. Nagasawa and Y. Hashimoto: Bioorg. A conserved motif common to the histone acetyltransferase Esa1 and Med. Chem. Lett., 12, 1043-1046, 2002 the histone deacetylase Rpd3. N. Adachi, A. Kimura and M. Horikoshi: J.Biol.Chem., 277, 35688- Total Synthesis of Crambescidine 359. 35695, 2002 K. Nagasawa, A. Georgieva, H. Koshino, T. Nakata, T. Kita and Y. Hashimoto: Org. 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Chem. 277, 37098-37104, 2002 「原著論文」 Synthesis of the proposed structure and revision of stereochemistry of Detection of the mevalonate pathway in Streptomyces species using kaitocephalin. the 3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A reductase gene. M. Okue, H. Kobayashi, K. Shin-ya, Y. Hayakawa, H. Seto, H. T. Kuzuyama, S. Takahashi, T. Dairi and H. Seto: J. Antibiot. 55, 919- Watanabe and T. Kitahara: Tetrahedron Lett., 43, 857-860, 2002 923, 2002 A novel neuronal cell protecting substance, halxazone, produced by Contribution of the mevalonate and methylerythritol phosphate path- Streptomyces halstedii. ways to the biosynthesis of gibberellins in Arabidopsis. H. Kato, K. Shin-ya, K. Furihata, K. Furihata and Y. Hayakawa: J. H. Kasahara, A. Hanada, T. Kuzuyama, M. Takagi, Y. Kamiya and S. Antibiot., 55, 508-510, 2002 Yamaguchi: J. Biol. Chem. 277, 45188-45194, 2002 21 「総説」 Appl. Microbiol., 48, 243-250, 2002 Mevalonate and nonmevalonate pathways for the biosynthesis of isoprene units. A preliminary report of phylogenetic diversity of bacterial strains iso- T. Kuzuyama: Biosci. Biotechnol. Biochem. 66, 1619-1627, 2002 lated from marine creatures. M. Kurahashi and A. Yokota: J. Gen. Appl. Microbiol., 48, 251-259, 見逃されていた薬剤開発のターゲット−多様なイソプレンユニ 2002 ット生合成系−. 高木基樹、瀬戸治男、葛山智久: 蛋白質核酸酵素 47, 58-65, 2002 Evaluation of the hypervariable region in the 16S rDNA sequence as an index for rapid species identification in the genus Paenibacillus. 新規テロメラーゼ阻害物質 telomestatin −その制癌剤としての可 K. Goto, Y. Kato, M. Asahara and A. Yokota: J. Gen. Appl. 能性. Microbiol., 48, 281-285, 2002 新家一男: バイオサイエンスとバイオインダストリー 60, 37-38, 2002 出土木材PEG含浸槽におけるPEG分解菌 木川りか、横田 微生物から見いだされたテロメラーゼ阻害物質 telomestatin テロ 明、西尾太加二:考古学と自然科学、44, 77- 88, 2002 メアの構造に作用し酵素作用をブロック.制癌剤として高まる期 待. Proposal of Pseudorhodobacter ferruginus gen. nov., comb. nov. for a 新家一男: 化学と生物, 40, 142-144, 2002 non-photosynthetic marine bacterium, Agrobacterium ferrugineum, related to the genus Rhodobacter. 高次構造研究分野(Laboratory of Structural Information) 「原著論文」 Y. Uchino, T. Hamada and A. Yokota: J. Gen. Appl. Microbiol., 48, 309-319, 2002 Mushroom bodies are not required for courtship behavior by normal and sexually mosaic Drosophila. Tistrella mobilis gen. nov., sp. nov., a novel polyhydroxyalkanoate- A. Kido and K. Ito: J Neurobiol. 52, 302-11, 2002 producing abacterium belonging to α-Proteobacteria B.-H. Shi, V. Arunpairojana, S. Palakawong and A. Yokota: J. Gen. GETDB, a database compiling expression patterns and molecular loca- Appl. Microbiol., 48, 335-343, 2002 tions of a collection of Gal4 enhancer traps. S. Hayashi, K. Ito, Y. Sado, M. Taniguchi, A. Akimoto, H. Takeuchi, Phylogenetic position of Mixia osmundae inferred from 28S rDNA T. Aigaki, F. Matsuzaki, H. Nakagoshi, T. Tanimura, R. Ueda, T. comparison. Uemura, M. Yoshihara and S. Goto: Genesis. 34, 58-61, 2002 W. Sjamsuridzal, H. Nishida and A. Yokota: J. Gen. Appl. Microbiol., 48, 121-123, 2002 Embryonic and larval development of the Drosophila mushroom bodies: concentric layer subdivisions and the role of fasciclin II. Aminoadipate reductase gene: a new fungal-specific gene for compara- M. Kurusu, T. Awasaki, L. M. Masuda-Nakagawa, H. Kawauchi, K. tive evolutionary analyses. Ito and K. Furukubo-Tokunaga: Development. 129, 409-19, 2002 K. D. An, H. Nishida, Y. Miura and A. Yokota: BMC Evol. Biol., 2, 6, 2002 Genetic analyses of essential genes in cytological region 61D1-2 to 61F1-2 of Drosophila melanogaster. Disruption analysis of DR1420 and/or DR1758 in the extremely M. Saito, T. Awasaki and C. Hama: Mol Genet Genomics. 268, 446-54, radioresistant bacterium Deinococcus radiodurans. 2002 H. Nishida and I. Narumi: Microbiology, 148, 2911-2914, 2002 バイオリソーシス研究分野(Laboratory of Bioresources) 「原著論文」 Group I introns from Zygomycota: evolutionary implications for the fungal IC1 intron subgroup. Y. Tanabe, A. Yokota and J. Sugiyama: J. Mol. Evol., 54, 692-702, 2002 Phylogenetic analysis of the geneus Aquaspirillum based on 16S rRNA gene sequences. L.-X. Ding and A. Yokota: FEMS Microbiol. Lett. 212, 165-169, 2002 Application of the hypervariable region of the 16S rDNA sequence as an index for the rapid identification of species in the genus Alicyclobacillus. K. Goto, K. Mochida, M. Asahara, M. Suzuki and A. Yokota: J. Gen. 22 おめでとう!大学院博士・修士課程修了 平成 15 年 3 月をもって大学院博士課程および修士課程を修了 される方々と論文タイトルは、以下の通りです(かっこ内は所 加来田 属大学院研究科、研究分野)。長い間の研究活動の結実、おめで とうございます。分生研での研究生活を糧として、さらに各界 でご活躍されることを期待しています。 博貴 創製」 清水 知宏 〈博士課程〉 明知 (農学生命科学、分子遺伝) グマ因子群の研究」 (農学生命科学、分子遺伝) 「シロイヌナズナの葉緑体分化における転写システムの変換と 転写制御の研究」 謙 寛 勇久 (農学生命科学、染色体動態) 慎一郎 (農学生命科学、核内情報) 「核内レセプターの新規転写共役因子に関する機能解析」 小林 陽子 (農学生命科学、核内情報) 「脳神経分化における細胞形態形成の制御機構−新規 Rho GTPase 活性化蛋白質 Nadrin の機能解析−」 金 ミン池 (農学生命科学・分子情報) 「癌抑制遺伝子 DLG の機能解析」 足達 俊吾 文憲 (工学系、情報伝達) 「キナーゼによるミトコンドリア依存的細胞死の制御機構の解 析」 樋口 玲 (工学系、情報伝達) (理学系、細胞機能) 「酵母の Bax 誘導性細胞死を阻害する植物遺伝子の解析」 六代 範 (薬学系、細胞増殖) 「抗癌剤に誘導される Akt の脱リン酸化を介した TRADD の発 現機構」 楊 莉玲 (医学系、細胞増殖) NSCLC and the Antitumor Effect of the Targeting peptide」 (ヒト非小細胞肺癌における IAP による癌選択的アポトーシス 抑制とその標的ペプチドを用いた抗腫瘍効果の解析) 崇 (農学生命科学、細胞形成) 「大腸菌リポ蛋白質の局在場所を決定する選別シグナルの解 析」 江指 (16S rRNA, gyrB, rpoC1 および rpoD1 遺伝子に基づくシアノバ 〈修士課程〉 千葉 恵子 (農学生命科学、分子遺伝) 「シロイヌナズナにおける AtKu70/80 ヘテロダイマ−の機能解 析」 三崎 悟郎 (農学生命科学、染色体動態) 「シロイヌナズナの LINE,ATLA のコードするタンパク質に関 する研究」 太田 信哉 (農学生命科学、染色体動態) 「挿入因子 ISl がコードするトランスポゼースの構造と機能」 紗弥 (農学生命科学、核内情報) 「ショウジョウバエを用いた核内レセプター転写制御機構の分 子遺伝学的解析」 吉田 輔 (農学生命科学、核内情報) 「新規女性ホルモンレセプター転写抑制因子複合体の同定およ 藤木 亮次 (理学系、機能形成) (胸腺内マクロファージの起源、分化機構及び機能の解析) 啓史 (理学系、生体超高分子) 「HERG(human ether-à-go-go related gene product) チャネル不活 性化ゲートを利用したカリウムイオン選択フィルターについ ての研究」 (農学生命科学、核内情報) 「核内レセプター新規クロマチンリモデリング複合体精製系の 試み」 上田 奈緒子 (農学生命科学・分子情報) 「老化関連シグナル分子 p66Shc と酸化ストレスによる細胞死 の関わり」 健明 (理学系・分子情報) 「APC 結合蛋白質 Neurodap1 ノックアウトマウスの作製」 壁谷 佳典 (理学系・分子情報) 「癌抑制遺伝子産物 APC の機能解析」 吉松 剛志 (工学系研究科、情報伝達) 「神経幹細胞の自己複製を制御する分子機構」 田中 美帆 (工学系研究科、情報伝達) 「神経幹細胞の未分化性に関与するシグナル伝達の解析」 平林 永二 「Development and function of thymic macrophages」 清水 (農学生命科学、バイオリソーシス) 「Studies on phylogeny and evolution of cyanobacteria based on 16S 新井 「Tumor Selective Suppression of Apoptosis by IAP in Human 原 必守 び機能解析」 麻衣子 「原癌遺伝子 Akt による細胞運動の制御」 潘 徐 伊藤 (理学系・分子情報) 「新規β-catenin 結合因子 B9L の単離及びその機能解析」 鶴田 (農学生命科学、活性分子創生) クテリアの系統進化に関する研究) 「イネのレトロポゾン p-SINE1 の転写とその産物の解析」 竹澤 海龍 (農学生命科学、染色体動態) 「挿入因子 IS3 の転移中間体形成の分子機構」 大沢 の研究」 朴 rRNA, gyrB, rpoC1, and rpoD1 genes」 (農学生命科学、染色体動態) 「挿入因子 IS3 の転移経路の解明」 峰松 (農学生命科学、活性分子創生) 「分子シャペロン GRP78 の発現を抑制する物質に関する研究」 光正 槌田 泰次郎 「癌遺伝子導入細胞に対して選択的に作用する新規抗腫瘍物質 「葉緑体の分化とストレス応答に関わる RNA ポリメラ −ゼシ 華岡 (農学生命科学、活性分子創生) 「原核生物におけるイソプレノイド生合成に関する研究」 富川 永島 (薬学系、生体有機化学) 「ピューロマイシン感受性アミノペプチダーゼ特異的阻害剤の 祐介 (新領域創成科学、情報伝達) 「神経系前駆細胞における Wnt シグナルの機能」 渡邊 香 (新領域創成科学、細胞機能) 「植物細胞死に関わる因子の単離と解析」 河野 淳 (理学系、細胞機能) 「シロイヌナズナ D 型サイクリン CYCD4 の機能解析」 吉永 恵子 (農学生命科学、細胞機能) 「アポトーシス促進因子 Bax により誘導される植物細胞死の解 析」 23 片山 量平 (薬学系、細胞増殖) 「アポトーシス抑制分子 FLIP の蛋白質分解系制御機能の解析」 渡辺 晃 (理学系、形態形成) 「ショウジョウバエの成虫翅における新規パターン形成遺伝子の 探索」 小沢 (理学系、形態形成) 失型スクリーニングおよび解析」 麻子 金谷 (農学生命科学、細胞形成) (理学系、機能形成) 「胸腺樹状細胞の分化誘導機構の解析およびその機能解析」 笠原 大資 (理学系、機能形成) 「マウス胎仔肝臓における Delta-like(Dlk)発現細胞の造血支持 浩和 龍明 哲也 (薬学系、生体有機化学) 荘 蘇寧 (薬学系、生体有機化学) 浦野 信行 (農学生命科学、活性分子創生) 「Streptomyces niveus における novobiocin の生合成に関する研 究」 五月女 宜裕 (農学生命科学、活性分子創生) 「Telomestatin 誘導体の合成研究」 山下 知輝 (農学生命科学、活性分子創生) 「IGF-1 依存性癌細胞に対して選択的に作用する抗腫瘍物質に 関する研究」 (理学系、機能形成) 「巨核球マーカーの抗原の同定および発現パターンの解析」 水谷 (薬学系、生体有機化学) 「新規環状グアニジンを用いる不斉触媒反応の研究」 能の解析」 松下 安紀子 「ストレス誘導性新規 RING finger protein の解析」 ー LolCDE の膜サブユニットの膜内配向性」 寛明 (農学生命科学、生体超高分子) 「サリドマイドをリードとした抗糖尿病化合物の探索」 「大腸菌リポ蛋白質を膜から遊離させる ABC トランスポータ 伊藤 京 「TOR 経路を構成する情報伝達因子の活性制御機構の解析」 喜多 豊彦 「ショウジョウバエ翅の形態形成に関わる新規遺伝子の機能欠 井口 米山 (理学系、生体超高分子) 謝 承暉 (農学生命科学、バイオリソーシス) 「Derxia 属を中心とする Proteobacteria の系統分類に関する研 究」 「Ca2+-ATPase の ATP 結合中間体の X 線結晶構造解析」 金子 雅昭 (農学生命科学、生体超高分子) 「ホスファターゼ特異的に非感受性を示す酵母浸透圧応答経路 MAP キナーゼ Hog1p 変異体の単離と解析」 2002 年分生研セミナー一覧(平成 14 年 6 月 20 日現在) 02.1.16 山本 雅之 教授 (筑波大学 TARA センター) 「転写因子による血液細胞の分化と癌化の制御機構」 02.1.18 辻村 亨 助教授 (兵庫医科大学 第一病理) 「c-kit ミュータントを用いた肝幹細胞システムの解析」 01.2.6 Dr.Dae-Jin Yun (Gyeongsang National University) 「Elucidation of mechanism of action of plant defense protein in yeast system」 Dr.Chae-Oh Lim (Gyeongsang National University) 「Exploring Genome-wide Expression in Plants」 02.2.12 杉田 有治 博士 (分子科学研究所、総合研究大学院大学) 「計算機シミュレーションによる蛋白質の自由エネルギー解析」 02.2.28 Dr.Elisabeth Knust (Heinrich-Heine Universitaet Duesseldorf Institut fuer Genetik) 「Protein scaffolds and cell polarity in Drosophila」 02.2.28 Dr.Jose Antonio Campos-Ortega (Institut fur Entwicklungsbiologie Unversitat zu Koln) 「Cell type specification in the developing central nervous system of the zebrafish」 02.4.3 濱田 文彦 博士 (MRC Labolatory of Molecular Biology, Cambridge, United Kingdom) 「細胞間接着における大腸癌抑制遺伝子産物 APC の役割〜ショ ウジョウバエホモローグの解析から〜」 02.4.17 鈴木 裕 先生 (旭川医科大学医学部) 「Organization and roles of the cytopalsmic domains of Ca2+ − ATPase as revealed by site-specific proteolysis」 Dr Philippe Champeil (INSERM, Centre d Etudes de Saclay) 「Role of the A-domain and its C-terminal link with the transmembrane region for the function of the calcium pump」 Dr.David Mclntosh (University of Cape Town) (Insights into the mechanism of a calcium pump through mutagenesis) 02.6.7 Prof. Ross Dalbey (オハイオ州立大学) 「Membrane protein biogenesis in bacteria : Yidc」 02.6.19 三沢 典彦 博士 ((株)海洋バイオテクノロジー研究所主任研究員) 「組換え微生物を用いた代謝工学と生触媒工学−カロテノイドと 芳香族化合物の場合−」 24 02.6.19 鈴木 崇之 博士 (Group Dickson, Research Institute of Moleculear Pathology, Vienna, Austria) 「ショウジョウバエの視神経軸索投射を制御する遺伝子」 02.7.11 清水 重臣 博士 (大阪大学 医学部) 「細胞の生死決定機構におけるミトコンドリアの役割」 02.7.19 阿呆 達彦 博士 (岡山大学 理学部) 「細菌の新規翻訳機構 trans-translation」 02.7.31 油谷 浩幸 博士 (東京大学先端科学技術センター 「マイクロアレイ解析と癌研究」 ゲノムサイエンス部門) 02.9.4 須田 貴司 教授 (金沢大学・がん研究所・分子標的薬剤開発センター) Fas リガンドの炎症誘導作用と疾患 02.9.12 鄭 雄一 助教授 (東京大学医学部骨軟骨再生講座) 「内軟骨性骨化における軟骨と骨の相互作用」 川口 浩 講師 (東京大学医学部整形外科学講座) 「老化による骨粗鬆症の分子メカニズム」 02.10.11 Prof. Matthias Mueller (ドイツフライブルグ大学生化学分子生物学研究所) 「Specific features of the biogenesis of inner membrane proteins of E.coli」 02.10.18 野間 健一 博士 (Cold Spring Harbor Laboratory) 「Distinct histon methylation patterns define active and scilent chromatin states」 02.10.18 米原 伸 先生 (京都大学ウィルス研究所がんウイルス部門生体発がん研究分野) 「アポトーシスの分子機構」 02.10.22 松山 茂実 博士 (Principal Investigator,Cell Biology,Blood Research Institute and Assistant Professor,Department of Biochemistry, Medical College of Wisconsin) 「 New mechanism of apoptosis regulation,one step before mitochondria」 02.10.28 北尾 彰朗 先生 (日本原子力研究所) 「 コンピュータ顕微鏡 で探る蛋白質のダイナミクスと機能」 02.10.28 藤井 郁雄 博士 (生物分子工学研究所 機能制御部門) 「試験管内進化によるオーダーメード生体機能分子の創出」 02.10.29 喜田 聡 助教授 (東京農業大学応用生物科学部バイオサイエンス学科) 「転写調節因子 CREB による記憶固定化の制御」 02.10.31 Dr.Wellyzar Sjamsuridzal (インドネシア大学 講師) 「Exploration of yeasts diversity on mangrove ecosystems」 02.11.1 植木 浩二郎 博士 (Instructor in Medicine,Harvard Medical School Joslin Diabetes Center) 「Regulatory mechanisms of PI 3-kinase-dependent signaling in insulin/IGF-1 actions;Lessons from knockout mice studies」 02.12.4 田内 哲三 講師 (東京医科大学第一内科) 「慢性骨髄性白血病の分子標的療法:テロメラーゼ阻害剤の臨床 応用に向けて」 02.12.16 Dr.Ricardo Dolmetsch (Stanford University School of Medicine, Dept.of Molecular Pharmacology) 「Detecting protein-protein interactions in single cells with high sensitivity using beta-lactamase complementation」 02.12.20 西岡 憲一 先生 (University of Medicine and Dentistry of New Jersey) 「ヒストン H 4の20番目のリシン残基を特異的にメチル化する 酵素・ PR-Set 7の同定と解析」 コロキウム一覧(2002.1 〜 2002.12) 02.1.17 川崎 善博 博士研究員(分子情報) 「癌抑制遺伝子 APC の機能」 川合 真紀 助手(細胞機能) 「動植物の細胞死制御因子のクロストーク」 02.4.18 冨田 章弘 助手(細胞増殖) 「DNA トポイソメラーゼの分解制御と抗がん剤耐性の克服」 鎌倉 幸子 博士(情報伝達) 「神経系前駆細胞の生存促進メカニズム」 増山 典久 助手(情報伝達) 「Akt による神経突起の制御」 02.7.18 佐藤 純 助手(形態形成) 「Roles of Drosophila FGF and origin of the adult tracheal system」 金丸 京子 研究員(細胞形成) 「大腸菌 ABC トランスポーター、LolCDE 複合体のリポタンパク 質輸送システム 〜リポタンパク質局在化シグナルの認識メカニズム〜」 02.10.24 田中 稔 助手(機能形成) 「造血および肝臓におけるオンコスタチン M(OSM)の機能解析」 掘越 正美 助教授(発生分化構造) 「クロマチン:生命現象の拠点」 25 最近の新聞記事から 新聞等に掲載された分生研の研究成果をご紹介します。 生体超高分子研究分野 神戸新聞 2002 年(平成 14 年)9 月 11 日(水曜日) 分生研ニュースでは、皆様からの情報をお待ち致して おります。 長澤(nagasawa@iam.u-tokyo.ac.jp)または分生研ニュ 日経産業新聞 2002 年(平成 14 年)8 月 8 日(木曜日) ース編集委員までお知らせ下さい。 26 平成 14 年度受託研究・共同研究等一覧(2002.12 月以降追加分) 〈協力研究〉 ◆京都大学 タンパク 3000 プロジェクト:「ペリプラズム機能を支えるリポ 蛋白質群の構造と機能に関する研究」 12,000 千円 平成 14 年度奨学寄附金受入状況(平成 15 年 3 月 3 日現在) 総件数 40 件 総 76,510 千円 額 http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/office/keijiban.html 掲示板 〈知ってネット〉 平成 15 年度(社)日本化学工業協会長期自主研究(LIRI)研究 募集( (社)日本化学工業協会) 募集先 2003.5.9 締切 教官公募(2003.3.1 現在) 詳細は分生研研究助成掛へお問い合わせ下さい。 職員の異動について TEL:03-5841-7803 / E-mail:imcbras@iam.u-tokyo.ac.jp 以下のとおり異動がありましたのでお知らせします。 最新の情報は、ホームページで公開しております。 ○平成 15 年3月1日 http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/office/keijiban.html 〈転出〉金丸研吾助手(分子遺伝研究分野) 東北大学教授1名(大学院医学系研究科) :神戸大学農学部生物機能化学科助教授へ 2003.4.30 締切 姫路工業大学助教授または講師1名(大学院理学研究科) 2003.5.6 締切 研究助成等公募(2003.3.1 現在) 図書室だより 詳細は分生研研究助成掛へお問い合わせ下さい。 TEL:03-5841-7803 / E-mail:imcbras@iam.u-tokyo.ac.jp 本図書室は、今年度より図書・雑誌の購入を中止します。 最新の情報は、ホームページで公開しております。 Tea Time−編集後記 新年度に入るに当たり、密かに?新たな目標を立ててみた。 気がつけば早いもので分生研に勤めてもう一年以上たってし 目標その1、専門書や研究論文の他に少しでも本を読むこと。 予想した通り時間に追われて少々挫折気味である。そんな中、 まいました。いつまでたっても仕事を覚えきれず皆さんにご迷 惑をおかけしていますが、今後ともよろしくお願いいたします。 最近読んだ1冊の本に心惹かれた。20 年程前の SF 映画「バッ ク・トゥ・ザ・フューチャー」で主人公を演じたマイケル・ ところで分生研の野球部がありまして、去年の大会では準優勝 してしまいました。金曜日のお昼休みに練習をやってますので、 J・フォックスの自伝「ラッキーマン」である。パーキンソン 運動不足でお悩みの皆様方どうぞご参加下さい。 病の闘病の苦しみ、有名映画俳優としての苦悩のみならず、家 族や友人の支えによってパーキンソン病疾患を与えられた"機会 "を前向きに捕らえ、自らを ラッキーマン(幸運な男) と感 じるようになった心境の変化が実に巧みに綴られている。なか なかのお薦めである。 そして目標その2、江戸探索。せっかく東京に住んでいるの だから、地方出身者としては江戸の町を方々歩いて探索したい ものだ、と最近思い始めた。関係ないかもしれないが、徳川家 康が江戸に幕府を開いて今年でちょうど 400 年。こちらは実行 できそうな予感がする。 (分子遺伝研究分野 田村勝徳) (庶務掛 山口武志) 分生研ニュース第 22 号 2003 年4月 1 日号 発行 東京大学分子細胞生物学研究所 編集 分生研ニュース編集委員会(田村勝徳、金井由美子、増山典久、芳 賀直実、長澤和夫、松尾美鶴、山口武志) お問い合わせ先 編集委員長 長澤和夫 電話 03 − 5841 − 7848 電子メール nagasawa@iam.u-tokyo.ac.jp 27 研究紹介 テロメアの安定化と細胞老化に関する研究 置換した場合では、全く 阻害活性を示さずテロメ 新家 一男(活性分子創生研究分野) ア配列に極めて特異的に 作用することが判明し 癌は、日本をはじめ先進国において長きにわたり死因の第一 た。前述したよう、 位をしめている。近年、従来の抗癌剤の開発とは異なる、癌生 telomestatin は、通常よ 物学の研究より見出された癌細胞特有の性質に基づいた、いわ り極めて短期間のうちに ゆる癌分子標的治療薬の開発が盛んに進められており、これま テロメアの短縮を誘導す で化学療法が困難であった癌に対しても有効な薬剤が見出され るが、一般に細胞老化が てきている。テロメラーゼは、テロメア長を維持する酵素であ 誘導されると考えられているテロメア長まで短縮させなくても、 り、哺乳類では一部の組織を除き発現していないが、癌細胞で 細胞増殖抑制あるいは細胞死を誘導するケースが見られる。最 は 90%以上という高頻度でテロメラーゼ活性が検出されるため、 近の研究により、テロメラーゼはテロメアを伸長させるだけで 優れた癌分子標的の一つと考えられている。我々の研究室で見 なく、テロメア自信の安定性にも関与していることが示唆され 出した微生物由来の新規テロメラーゼ阻害剤 telomestatin は、特 てきている。また、TRF2 と呼ばれるタンパク質とテロメアとの 異的な構造からなると共に、現在報告されているテロメラーゼ 結合を阻害すると、テロメア長は短縮しないにも拘わらず細胞 阻害剤のうち最も強力な活性を示す。テロメア長は、末端複製 老化が誘導される。TRF2 は、末端を内側に折り畳むことによっ 問題により一回の細胞分裂でおよそ 100 kb から 200 kb 短縮する て、テロメア末端をループ状に変換し染色体同士の融合などか と考えられており、ヒト正常細胞は約 50 〜 100 回分裂を繰り返 ら染色体を保護する役目を担っている。以上を考慮すると、 すと細胞老化を迎え増殖が停止する。これに対し、telomestatin telomestatin はテロメアに作用し、テロメラーゼや他のテロメア は処理濃度や癌細胞の種類にもよるが、数回の分裂でテロメア 結合タンパク質をテロメアから解離することにより、テロメア 長の短縮と細胞老化を誘導する。これは、生理的なテロメア短 全体の不安定化を誘導しているのではないかと考えられる。今 縮速度よりもはるかに速くテロメアの短縮が誘導されることを 後、telomestatin を用いて更なるテロメア安定化機構を解析する 示す。そこで、本物質の作用を解析したところ、telomestatin は ことにより、細胞の癌化やライフスパンの延長など基礎および テロメラーゼ酵素そのものを阻害するのではなく、テロメアに 応用の両面に貢献できるものと考え研究を進めている。 GRC, NIA, NIH の Mattson 教授室にて 作用することが判明した。 テロメアはヒトでは TTAGGG の繰り返し配列からなるが、こ の配列が 4 回繰り返さ れると、4 分子のグア ニン残基が水素結合し た平面構造がさらに 3 つ重なりあった、Gquadruplex と呼ぶ特 殊な三次元構造を形成 する。この G-quadruplex が、telomestatin のような薬剤により安 定化されると、テロメ ラーゼのみでなく DNA に作用する様々 な酵素が反応できなく なる。これまで報告さ れている DNA に作用 する薬剤の一部は、こ の G-quadruplex を安 定化させるが選択性は 低い。それに対し、 telomestatin はテロメ ア配列を TTAGAG に Telomestatin と G-quadruplex、および結合モデル 28 研究 究最 最前 前線 線 研 筋小胞体カルシウムポンプのカルシウムの離脱に伴う構造変化 野村博美・豊島 近(生体超高分子研究分野) Nature 418: 605-611, 2002 P 型 ATPase はその反応過程で自己リン酸化が おこるためにその名があるが、このファミリー には Na + K +− ATPase や胃の pH の維持に関わる H + K +− ATPase 等、生体のイオン環境の恒常性 維持に非常に重要なポンプが含まれる。筋小胞 体カルシウム ATPase は P 型 ATPase ファミリーを 代表する分子量 11 万の膜蛋白質であり、カルシ ウムによる生体反応の調節という、今日ではご くごく常識となっている概念の最初の例となっ た。現在もっとも構造解析が進んでいるメンバ ーである。P 型 ATPase は E1E2 型 ATPase とも呼 ばれる。Ca 2+− ATPase の場合、細胞内から外 部(小胞体内腔)へカルシウムを運ぶわけだが、 カルシウムに対して高い親和性を持ち、結合部 位が細胞内を向いているのが E1 状態であり、細 2+ 胞外を向いて低親和性の状態が E2 状態である。 図1.筋小胞体 Ca − ATPase のカルシウム結合時と離脱時の構造。 親和性と結合部位の向きの変化が能動輸送の実 左下に反応スキームを示す(但し正反応のみ)。TG はカルシウム非存在下の構造を安定化する ために用いた阻害剤、タプシガーギンを示す。 体と考えられている。 既に我々は、カルシウム運搬サイトに2個のカルシウムを結合したE1Ca 2+ に関して、2.6 Å 分解能で構造を決定している(Nature 405:647-655,2000)。 今回我々は、カルシウム非存在下で強力な阻害剤であるタプシガーギン (TG)を結合した E2(TG)状態の結晶を作ることに成功し、3.1 Å分解能で 構造を決定することができた。幸いにも、この結晶に取り組む前に燐酸の 類似物である MgF 42−を結合した E2P(MgF 42−)の構造もほぼ解けており 、それを出発点として分子置換法を用 (E2P(MgF 42−)に関しては未発表) いて解くことが出来た。ここでは E1Ca 2+と E2(TG)の構造の違いについ て述べる。 得られた E2(TG)の構造は、E1Ca 2+とは分子全体にわたって大きく異な っており(図 1) 、構造の違いの意味、分子の各部分の有機的結びつきを理 解する為には多大の時間を要した。起こっていることは、大きくは 4 つある (図 1,2) 。①3つの細胞質ドメインは E1Ca 2+では離れているが E2 では閉じ た構造体を作っている。② E1 ではまっすぐな M5 へリックスは、E2 では Gly770を支点として大きくA ドメインの側へ湾曲し、それとともにP ドメイ ンが膜に近づくように〜30°傾く。③M4へリックスは小胞体内腔側へαへ リックスの 1 巻き分動く(つまり、サイトⅡに結合したカルシウムを押し出 す) 。それと連動し、P ドメインともつながった M3 が同じ方向へ動く。④ A ドメインは約110°回転する。これだけの違いが熱エネルギーだけ(Ca 2+の 有無のみであり、ATPも燐酸化も不要)で実現されることに驚かされる。 当研究室では、すでに発表されている E1Ca 2+、E2(TG) 以外にも、す でに構造が解けている E2P(MgF 42−)や、他の中間状態である E1ATP およ び E1P_ADP においても結晶が出来ており、P 型 ATPase による能動輸送機構 図2.カルシウム離脱に伴う膜貫通へリックスの再配置(a)と、M5 の傾斜によって M4 の膜面に対し垂直な方向の運動が生まれる の全貌を原子構造に基づいて解明できるのはごく近い将来のことと考えて よさそうである。 ところを説明した図(b)。ほぼ膜面に沿って図 1 と反対側から 見た図。M9 は削除してある。二重丸は剛体運動の支点を示す。
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