株式会社西条庭園 女性だけの事業部 「ガーデンスタジオコピス」 リフォーム・リニューアル 株式会社西条庭園(広島県東広島市) No.05-34-01 / 0187 庭園と公共工事を手がけてきた西条庭園は独自のアンケート調査を行い、個人の庭造り需要を探り当てた。このよ うな庭造りを専門に行う「ガーデンスタジオ コピス」事業部を立ち上げた。コピス事業部はアンケート結果から若い女 性の感性を活かすために女性だけの事業部となっている。事業は順調に伸びており、主に東広島市内の個人家庭を 中心とした顧客開拓も進んでいる。 環 境 分 野 1 取組の概要 背景・きっかけ 従来、日本庭園と公共工事を手がけてきたが、受注が減少し、今の時代に適用しないのでないかと 不安が出始めた。このため、平成 10 年、庭づくりに関する消費者の 農林水産業 ニーズを把握するために、東広島市内を中心に市場調査を行った。 調査対象として、庭がある家や、庭がなくても植木がある家約 200 件に対して、自らアンケート調査を実施した。 調査の結果、顧客は、「自分達で管理できる庭」「家族団欒の場 としての庭」を求めていることがわかった。具体的には、①自分の家 の庭木は、自分で剪定できるようになりたい、②家族が集まる庭が ほしい、③管理しやすい草の生えない庭を作りたい、などであった。 このような結果から、今までの業者まかせの庭づくりから、消費者 福祉・介護 の要望に沿った庭造りの必要が感じ取られ、女性事業部「ガーデン 女性の感性が映るコピスのHPの写真 スタジオ コピス」をコピス事業部として、平成12年に立ち上げた。 その際、①従来からのイメージが定着している「西条庭園」という名前は使わない、②新しいビジネス には世代交代が必要である、③21 世紀は女性の時代であるなどの理由で、「ガーデンスタジオ コピス」 という名称の若手女性が中心の部署を設立した。実際、顧客の要望により、ガーデニングと和風庭園に 分け、若い顧客に対しては若い女性スタッフが対応するようにしている。 最も苦労していることは、人材確保である。せっかく教育しても、ある程度技能を身につけると、独立 そ の 他 しようとすることが少なくない。一方、若い女性の場合は、夢と現実のギャップのため、長続きしないこと や、結婚すると仕事から離れ、逆に子育てが終わると復帰を望むということがみられ、対応が難しい。在 籍中は一所懸命に働いてもらうように努めている。 成功の要因としては、顧客のニーズをアンケート調査により把握、分析し、女性スタッフによる企画営 業・提案の事業部をタイミングよく立ち上げたことである。また、事業部の業務については、担当者に一 任し、決して口を挟まないことや、思い切って若い世代に任せ、その期待にこたえることができる人材を 獲得したことが、新しい顧客開拓、事業拡大につながっていると考えられる。 新分野進出事例集 1 女性だけの事業部「ガーデンスタジオコピス」 取組の概要 (株)西条庭園の女性事業部「ガーデンスタジオ コピス」の 業務は、庭づくりの企画営業・設計である。本事業部では、顧 リフォーム・リニューアル 客の要望を聞いたり、実際にガーデニングのサンプルをみて もらったりする場所として、西条庭園と隣接した土地にガーデ ンショールームを設けた。また、ホームページを開設したり、地 元の情報誌に広告を掲載したりしている。顧客からの問合せ に応じて、ショールームで打合せをしている。設計・企画業務は、 多額ではないが有料で行っている。庭づくりのプランが決まっ たら、実際の施工は西条庭園の工事部門(庭園部)が行う。 コピスが手がけた造園例 主な顧客は会社所在地である東広島市の住民である。 環 境 分 野 「ガーデンスタジオ コピス」の事業は、顧客のニーズを聞いて、庭づくりの計画を提案している。計画は 有料で行っているが、顧客からは理解を得られている。また、実際にガーデニングのサンプルを見せて、 顧客にイメージを確かめてもらっている。また、自社の発展だけでなく、地域に奉仕することが重要と考 えている。具体的には、顧客のニーズを踏まえ、「自分の家の庭木は自分で剪定できるようになってくだ さい」という趣旨で、社長自らが講師として、剪定講習会を開催している(東広島能力開発センター:有 料)。 また、その授業の一環として、手入れをしていない病院の庭の手入れを無償で行っている。ローカルテ 農林水産業 レビでは、「庭木の剪定、プロが裏技教えます」(放映月1回1週間連続、計2年間)の番組に出演している。 これは、反響が大きく、新たな顧客の問い合わせが増え、仕事につながっている。このような地域への還 元が、他社との差別化になっていると考えられる。今後も、社長としては、地域への還元に力を入れてい きたいと考えている。 実施体制 社長は、方針を決めたら後は担当者に任せ、黙ってみている。 福祉・介護 責任は社長がとる。このことは、経営者にとって一番つらいこと であるが、実行している。具体的には、造園設計・施工の技術的 なことは社長が指導しているが、ガーデニングのデザインなどは 担当の女性に任せている。 社会人としての基本的な教育は、本事業の立ち上げ時に協 力してもらった広島の企画会社に依頼した。その後は、OJTで教 育している。本事業部の人材確保については、広島の造園専門 そ の 他 学校から女性の人材を採用している。最近、一般家庭の契約 本田社長が講師の「松剪定講座」 出所:東広島能力開発センター楽学ネットHP 者の1/3程度が女性で、子育てをしている主婦も多いことから、今春には、主婦を採用することにしてい る。そのほか、会社全体としては、久しぶりに職人を募集したところ、九州の短大卒の男性からの応募が あり、採用した。 事業部の立ち上げ時には、女性のみの企画会社の指導を受けた。事業が始まってからは、自社独力 で行っている 2 財団法人建設業振興基金 株式会社西条庭園 2 リフォーム・リニューアル 2.ここ2年間の状況 会社全体の売上および利益はともに伸びてきており、今年度の売 上は前年度比 105%と伸ばすことができた(2億 500 万円)。利益も 同じ程度増加している。従来、公共事業が中心(40∼60%)であった が、最近は公共事業の売上比率は下がっており、平成 14 年度の比 率は約 20%である。 コピスは、現在、インターネットによる宣伝にも力を入れている。 環 境 分 野 3 花の祭典 2005 に出展したコピスの作品 取組の成果、本業への影響 綿密なマーケティングによって、庭づくりの企画段階から顧客と信頼関係を築けたこと。また、それに 農林水産業 よって、企画・提案型のガーデニング事業は大きな成果をあげ、会社の収益に貢献している。また、広島 花の祭典 2004、2005 に出展し、コピスをアピールした。 思い切って若い世代に任せ、その期待にこたえることができる人材を獲得したことが、新しい顧客開 拓、事業拡大につながっている。 現在の課題と今後の展望 以前からの課題として、新入社員でも理解できるような当社独自の業務マニュアルを作成すること 福祉・介護 4 があげられていたが、これまでに行った業務の分析やまとめを行い、それに基づいてマニュアルを作成し た。 各家庭の個性、要望に応じたガーデンスペース作りを目指している。 K そ そ の の 他 他 新分野進出事例集 3 女性だけの事業部「ガーデンスタジオコピス」 事業者プロフィール 会社概要 リフォーム・リニューアル 環 境 分 野 会社名(団体名) 株式会社西条庭園 代表者名 代表取締役 本田 逸男(56 才) 所在地 広島県東広島市 会社創業時期 昭和 23 年 3 月 業 種 ■専門工事業(造園業) 主要受注先 ■民間発注者 建設業許可番号 建設業許可番号:広島県知事(特14)第1276号 役職員数 18 人(うち建設業従事 約 16 人) 資本金額 10 百万円 直近年度の売上高 205 百万円(平成 16 年度) 新分野・新市場への取組又は先進的な取組の概要 農林水産業 取組分野 ■その他(具体的に造園の企画提案) 取組の類型 ■その他(具体的に 女性スタッフによる庭づくりの企画提案 事業の段階 ■事業展開段階(既に展開している) 取組体制 ■自社単独 工業所有権の有無 ■取得は考えていない 福祉・介護 問い合せ先 会社名(団体名) 株式会社西条庭園 担当者氏名(役職) 本田 逸男(代表取締役) 所在地 〒739-0142 広島県東広島市八本松東 2-15-9 電 話 0824-28-5971 eメール s-teien@beach.ocn.ne.jp URL http://www.coppice.co.jp/ 平成 17 年 8 月 17 日現在 そ の 他 4 ) 財団法人建設業振興基金
© Copyright 2024 Paperzz