文吾林造園株式会社 「木のお医者さん」として 樹木の診断、治療に取り組む リフォーム・リニューアル 文吾林造園株式会社(長野県飯田市) No.02-17-08 / 0131 「木のお医者さん」として樹木の樹勢回復のための診断、治療や後継樹の保護育成などに携わる専門家集団であ る文吾林造園㈱。社内に 2 名の樹木医が在籍する企業は県内には珍しいことから、個人、行政、そしてプロからの相 談が非常に増えており、売上げも順調に伸びている。専門的な知識と技術を活用しながら、地域の緑の普及啓発に活 躍している。樹木医資格の取得を目標としながら、若手社員が切磋琢磨する活気に溢れた企業である。 環 境 分 野 1 取組の概要 背景・きっかけ 先輩の造園家に樹木医がいたことから、その方に勧められ て、取り組みをスタートした。 農林水産業 事業化に当たって苦心したことは樹木医資格の取得である。 樹木医になるための応募資格は、樹木の診断、治療等に関す る業務経験が 7 年以上のものとされ、1 次(筆記試験等)、2 次 審査(2 週間の研修、筆記試験)及び面接などに合格しなけれ ばならない難関となっている。もう一つは心の教育。例えば単 なる工事とは違い、樹木は患者であるという感覚を浸透させる クロマツ樹勢回復手術の作業風景 ということには非常に苦労した。 福祉・介護 取組の概要 名木の保全や保存、工事支障樹木の保存、樹木枯損原因 の判定、樹木病害虫の診断、被災樹木の診断など樹木および 街路樹に関する診断・管理・樹勢回復・危険度判定調査、住宅 団地等における既存樹木移植技術開発調査、家畜排泄物等 を活用した樹木の環境保全型治療技術開発調査、樹木の樹 形矯正、樹木移植計画策定と根回し工事監理調査術調査、 学校労災緑化の設計と防災植樹に関する調査、芝草育成管 そ の 他 理技緑の文化財ともいうべき全国各地の貴重な巨樹・古木を 樹勢回復手術を終えたクロマツ 保存するため、樹木の診断、治療などを行う。 活動領域は長野県内、及び東京である。差別化のポイントは、県内で 19 名しかいない資格である。ま た樹木の生理、生態、病虫害の診断、防除、材質腐朽病の診断対策など、多くの知識を兼ね備え、豊富 な経験で正しい知識を伝え、治療によって、少しでも樹にとって良い環境をつくり、予防医療を目指すこ となどもセールスポイントとなっている。 新分野進出事例集 1 「木のお医者さん」として樹木の診断、治療に取り組む 実施体制 社長が樹木医の有資格者であり、技術リーダーである。その下に優秀なスタッフを揃えている。従業員 リフォーム・リニューアル の教育については、OJTや外部研修への参加などにより行なっている。また新規の人材確保等の方法は、 インターネットによる人材募集やインターン制度を活用(造園業も含む)している。情報収集先は、日本 2 樹木医会である。 2.ここ2年間の状況 樹木医が認知され始めたことにより、近年では相談件数が大幅に増加 し、売上げも伸びている。受注は官からのものが若干減りつつあるものの、 その分民間からのものが増えており、個人宅や工場などの庭木の剪定や 環 境 分 野 管理なども同時に請け負うことにも繋がり、本業にも大きく貢献している。 実績が定着し始めた結果、顧客からの紹介が増えるとともに、造園業仲間 からの紹介も出始めている。地元飯田市には樹木医資格を有する個人は いるものの、造園事業者としてはいない、さらに社内に 2 名いるという企業 は県内にはないことから、プロからの依頼も見られるようになっている。 農林 林水 水産 産業 業 農 3 大トチの診断 取組の成果、本業への影響 付加価値の創造や、顧客満足度が向上し、社員がプライドを持てるようになったことは大きな成果で ある。官民問わずに反響は大きいが、特に行政からは計画段階から相談を受けるような信用信頼関係 を築いている。また若い社員が樹木医資格に挑戦する機会も出始めている(平成 17 年には 3 人受験)。 樹木医の仕事は一つのやりがいを与え、樹木医資格を手に入れるという目標をもって仕事に取り組み 始めていることなども好影響となっている。この仕事がやりたいという大卒なども入社してくることから 社員の質の向上にも繋がっている。 福祉・介護 さらに、シルバー人材の素人作業とは異なり、プロとしての仕事ぶりに、単価が高いとしても支持され 4 るようになったことも成果である。 現在の課題と今後の展望 勉強できる体制をつくり、さらに資格者を増やすことが課題である。さらに今後の展望としては、現在 から行なっていることではあるが、治療した樹木を毎年定期的に検診して、治療後のデータを蓄積して いる。多くの樹木のデータが長年にわたり蓄積されることで、データデース化され、よって様々なケースへ の対応が可能となる。事業の継続が事業をさらに拡大することにつながるものとして取り組んでいる。 そ の 他 2 K 財団法人建設業振興基金 文吾林造園株式会社 事業者プロフィール 会社概要 代表者名 原 孝昭(50 才) 所在地 長野県飯田市 会社創業時期 大正 15 年 3 月 業 種 ■専門工事業(造園) 主要受注先 ■国、公団等の国の機関 ■都道府県及びその機関 ■市町村及びその機関 ■民間発注者 ■官公庁工事の下請 建設業許可番号 建設業許可番号:00-011882 役職員数 25 人(うち建設業従事 約 25 人) 資本金額 20 百万円 直近年度の売上高 688 百万円(平成 14 年度) 環 境 分 野 文吾林造園株式会社 リフォーム・リニューアル 会社名(団体名) 農林水産業 新分野・新市場への取組又は先進的な取組の概要 ■環境分野(緑化) 取組の類型 ■既存技術の応用 ■既存人材の有効活用 事業の段階 ■事業展開段階(既に展開している) 取組体制 ■自社単独(別会社設立) ■産学連携 工業所有権の有無 ■取得は考えていない 福祉・介護 取組分野 問い合せ先 文吾林造園㈱ 担当者氏名(役職) 原 孝昭(代表取締役) 所在地 飯田市北方 3883-3 電 話 0265-25-3928 eメール t-hara@bungobayashi.com URL http://www.bungobayashi.com そ の 他 会社名(団体名) 平成 17 年9月12日現在 新分野進出事例集 3
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