今号の内容 ◆ 探訪KOE 「誘導加熱(IH)による省エネ改造技術で海外市場に挑む」 熱対策事業部の取り組み (その2) ◆ 中国環境政策・市場の動き (1) 深刻な土壌汚染 千億元の投資で修復に向けて戦いの狼煙をあげる (2) 国務院エネルギー発展十二次五カ年計画が発表 七つの重点任務が明確に ◆ 中国製の輸出向け製品の供給情報 ◆ 北京市 技術移転・投融資に補助金制度 ◆ 探訪KOE「誘導加熱(IH)による省エネ改造技術で海外市場に挑む」 熱対策事業部の取り組み (その2) 前回に続き、KOE熱対策事業部のインタビューをお伝えします。前回は、KOEの誘導加熱による省 エネ改造がどのようにタイで展開しているのかをご紹介しました。今回は、今後いかにこの事業 を発展させ、特に日本のパートナーと組んでいきたいのかについてお伝えします。 超え環境ビジネス株式会社 熱対策事業部 部 長 慶保存 (概要)誘導加熱技術(IH技術)は日本、ドイツなどの技術先進国から 生まれましたが、その応用研究・開発は中国で幅広く行われました。し かし、技術性能の向上、高品質の製品づくりの意味では、日本、ドイツ などの力と技術を借りて中国製のものを絶えずレベルアップさせなけれ ばなりません。日本、ドイツのしっかりとした基礎研究と中国の多元化 応用研究とを融合させれば、更に市場需要にマッチし、消費者に認めら れるような製品を作り出せると信じています。 —— IH技術は、日本、ドイツなどの技術先進国に由来します。熱対策事業部 が現在行っているIH工業省エネ改造プロジェクトも日本の基礎研究を参考に したと思いますが、今後も引き続き日本のIH技術を学び続けるのでしょうか。 慶: 日本における電子分野の研究は、極めてしっかりとしています。研究 開発の面での考えがとても綿密で、製造工程も優れて良いです。日本での IH技術は、主に電機制御の分野に応用されています。日本のヒーティング ワイヤー、熱交換器、保温材料などの電熱製品は、効率が高く、品質もよ り安定的です。この面で、日本の力と技術を借りて、自らの製品を絶えず 改善させなければなりません。 1 慶: 一方で、日本の電熱製品は優れていますが、価格が高すぎる場合、消 費者から受け入れられるわけではありません。中国の場合、効率のやや低 く、品質の劣っているものが使われていますが、トータルコストは、日本 よりはるかに低いです。従って、我々は、日本の研究開発の理念を見倣い、 日本の基礎研究と中国の応用研究・開発と融合させて中国国内で部品調達 し、海外まで省エネ改造プロジェクトを行っています。 無論、日本の技術を吸収し続けるのも必要ですが、前提として、我々自身 の事業をまず成熟させなければなりません。技術が一定のレベルに達して こそはじめて、自分にマッチングするような海外技術を良く見極め、改善 できると思います。 ― 熱対策事業部は、既にIH省エネ改造技術をタイ市場に持ち込みましたが、 将来は、どのようなビジョンを持っていますか。 慶: 日本、ドイツのしっかりとした基礎研究と中国の多元化応用研究と 融合させれば、更に市場需要にマッチングし、消費者に認められるような 製品を作り出せると信じています。タイで完成したプロジェクトは、タイ 市場のポテンシャルを感じさせました。将来、ミャンマー、インドネシア などの東南アジアの国々は、我々の市場になると思います。 自分自身として、改善しなければならないところがまだたくさんあります。 応用技術、各種材料に対する研究を深め、材料・電子・化学工業分野の人 材を引きつけ、チームの力を充実させながら、日本企業との技術連携を強 化させていきます。ニッチ市場で奮闘している私たちは、近い将来、自ら の実力をもって海外市場に勝負できると信じています。 注: IH省エネ改造技術は、電磁誘導原理で金属材料本体を高速発熱させることによって、理想的な加熱効果を得 られます。高速加熱、熱の流失を抑えることでの省エネ効果、生産現場の環境改善といったメリットがあります。当 システムは、プラスチック・ゴム製品機械、原油運送パイプ、食品加工機械、医薬化学工業機械、平面流動床ガス 炉などに適用可能です。 ※ 詳細については、日本語資料がございますのでご連絡頂ければメールにてお送り致します。 熱対策事業部のチーフ技術者 タイ工場で完成したIH省エネ改造プロジェクト 2 中国環境政策・市場の動き ◆ 深刻な土壌汚染 千億元の投資で修復に向けて戦いの狼煙をあげる (概要)2006年から、環境保護部と国土資源部が10億元(約127億円)の投資を行い始動した 中国初の全国土壌汚染状況調査は、ようやく最終調査報告が完成した。調査結果によれば、 現在中国の汚染された土壌は既に全国耕地面積の1/5程を占め、総面積は2000万ヘクタールを 超える。『土壌環境保護「十二・五」計画』によると、「十二・五」期間、汚染土壌修復に 用いられる中央財政資金は300億元に達し、波及効果は産業総投資で数千億元に達するという。 土壌汚染が厳しい状況に直面 土壌汚染の深刻な事態に直面し、環境保護 部が作成した『土壌環境保護「十二・五」 計画』は中国国務院の審査手続きを受けて おり、近日正式に公布される見込みである。 土壌修復はいまだ第一歩の段階にあり、同 計画及び土壌汚染調査報告の公表により、 今後産業政策面から全国の土壌修復プロジ ェクトが始動し、土壌修復の産業化が進ん でいくだろう。 都市部の汚染土壌修復は主に歴史遺留と 開発時の汚染土壌である。修復責任主体 は修復工事の入札を実施、落札した修復 業者は土壌置換を通して修復する。修復 後評価が基準に達すれば、修復会社は不 動産業者から収益を得られる。これは都 市部土壌修復の主な運営形式となってお り、プロジェクトの収益率は10%~20%が 一般的である。現在、都市汚染土壌修復 は主に上海や北京等の一線都市に集中し ている。 良好な基礎を備える土壌修復市場と技術 現在、パイロットスケール実験段階にある 中国国内の土壌修復技術は10年以上にわた り蓄積されてきた。技術の種類も百に上り、 伝統の物理化学の除染方法以外、生物処理 技術も徐々に将来の中国土壌汚染対策を満 たす主流となってきている。確実な技術蓄 積が土壌修復産業の発展の土台をなしてい る。 耕地汚染土壌の修復方法は主に、食物連 鎖に入らない植物を栽培することにより、 土壌に含まれる重金属を吸着する。現在、 330万ヘクタールの汚染灌漑耕地が重金属 に汚染されている。汚染耕地の修復はほ ぼ手つかずの状態であるが、将来性のあ る市場である。耕地汚染土壌修復用の植 物と関連薬剤は少数の企業のみが所有し ており、そのため技術の差別化もはっき りしている。 また、「十二・五」期間において、中国重 要科学技術プログラムが国内独自の生物処 理除染方法の技術をサポートするという。 目下、重金属汚染の深刻な内モンゴル、江 蘇省、浙江省、江西省等14の省や地区をモ デルケースとして、砒素、鉛、クロム、水 銀等重点汚染物の汚染源減量と土壌修復を 始めると『土壌環境保護「十二・五」計画』 に規定している。 将来の計画政策は、産業に活力を注ぐ 『土壌環境保護「十二・五」計画』によ れば、「十二・五」期間において、全国 汚染土壌の修復に使用される中央財政資 金は300億元(約3838億円)に達するとい う。数千億元の関連産業投資に波及する 見込みだ。 土壌修復関連市場に明るい前途 中国国内の土壌修復事業化の発展傾向から 見ると、将来の土壌修復の重点は都市部の 汚染土壌開発と汚染耕地の二つである。 3 最近、環境保護部は中国国家土壌汚染防 治と修復の重大科学技術プログラムを始 動した。技術の研究開発とプロジェクト のモデルケースが土壌修復の支持政策の 要点となる。 都市部の歴史遺留の汚染土壌について、 様々な責任主体が担う修復プログラムに対 して30%~45%の財政補助をするという投資 補助政策が中央財政により提出されている。 都市部の新規開発された土地の土壌修復に ついては、関連部門は土壌修復コストを土 地開発コストに入れようと検討中である。 これにより、不動産事業者も積極的に土壌 修復を行うと考えられる。 耕地の土壌汚染が食品食糧の安全と密接 に関係しているため、耕地の汚染土壌修 復分野において、中国は一連の財政税金 補助政策の発布によって耕地汚染土壌の 修復を全面的に始動させる予定である。 将来は、汚染を吸着できる植物の栽培に ついて補助政策が発表されるとの見込み である。 出所:グローバル省エネエコネット 2012‐8‐15 http://www.gesep.com/news/show_2_321347.html ◆ 国務院エネルギー発展十二次五カ年計画が発表 七つの重点任務が明確に (概要)中国政府ネットによれば、10月24日温家宝国務院総理が主催した国務院常務会議は、 討論の末、『エネルギー発展「十二・五」計画』を通過させた。当計画では、「十二・五計 画」期間において、エネルギー生産・利用方法の変革を加速、省エネ戦略を強化、エネルギ ーの開発・利用功率を全面的に高め、エネルギー消費総量を合理的にコントロール、安全・ 安定・経済的・クリーンな現代エネルギー産業体系を構築することが明確にされた。 重点任務は下記の通り。 (一)中国国内の資源探査と開発を強化する。安全且つ功率的に石炭、従来型の天然ガスを 開発する。シェールガスと炭層ガスの開発を強化し、水力、風力、太陽エネルギーな ど再生可能エネルギーを段階的、且つ積極的に発展させる。 (二)エネルギーの効率化やクリーン化を促進する。石炭発電の効率・クリーン化及び選鉱・ 精錬の推進、石油精製産業の集約化、及び天然ガスの段階的な発展を進める。 (三)エネルギーの供給方式の変革を促進する。分散型エネルギーを大いに発展させ、スマ ートグリッド建設を推進する。新エネルギー自動車の燃料供給施設の建設を強化する。 (四)エネルギーの貯蔵・運搬設備の建設を加速し、貯蔵や緊急時の保障能力を向上させる。 (五)エネルギーの民生プロジェクトを実施し、都市部及び農村部の公共サービスの均一化 を推進する。 (六)エネルギー消費総量を合理的にコントロールする。省エネ・効率化を全面的に促進し、 エネルギー使用管理を強化する。 (七)電力、石炭、石油天然ガスなど重点分野の変革を推進し、エネルギー価格形成メカニ ズムを整備し、民間資本のエネルギー分野への参入を促す。技術の発展を促進し、技 術設備をレベルアップさせる。国際協力を強化し、エネルギーの安全保障を守る。 出所:グローバル省エネエコネット 2012‐10‐26 http://www.gesep.com/News/Show_176_324787.html 4 中国製の輸出向け製品の供給・技術ニーズ情報 下記の企業が日本のビジネスパートナーを求めています。 (1)会社名:深セン市仁道科学技術有限公司 (2)会社名:東莞市キン海金属製品有限公司 (1)会社名:深セン市仁道科学技術有限公司 主要製品:LED用アルミ基板 所 在 地:広東省深セン市龍岡区 敷地面積:1,000㎡ 従業員数:200人 ISO認証取得:ISO9001:2008、SGS、ROHS、CEC、CQC認証 主要取引先:北アメリカ、南アメリカ、東南アジア、 中東、東アジア ホームページ:http://www.szrwpcb.com (ホームページ上の名称は工場名となります。) 高品質の高精密度プリント基板(PCB)をご提供できるよう努めております。 (2)会社名:東莞市キン海金属製品有限公司 主要製品:フィンタイプLEDライトカップと関連パーツ、各種規格のプロテ クトチュー、ブキャップ(銅)、リード線キャップ(銅) 所 在 地:広東省東莞市長安鎮 敷地面積:6,000㎡ 従業員数:310人 輸出実績:2000万ドル ISO認証取得:ISO9001:2008 ホームページ:www.xinhaimetal.com 業界初のプレス加工方法でフィンタイプ放熱ライト カップを製造し、優れた放熱効果の他、照度減衰の 低減、照明器具寿命の延長にも効果的です。お客様 の要望に応じて各種の金属パーツの設計から表面処 理まで、一貫したサービスを提供しております。 5 北京市 技術移転・投融資に補助金制度 北京市科学技術委員会は、技術サービス組織における専門能力を向上、科学技術の産業化を 促し、北京における科学技術サービス業と戦略的振興産業の発展を導くとしている。そのた め、2012年度の技術移転サービス促進の取り組みとして、専門基金を設け、補助金を通して 条件に適した組織を支援する。補助金の金額は、30万~50万人民元(約380万~630万円)と している。 補助金の申請組織の、必要条件は下記の通り。 北京行政区域で登記し、独立法人資格を有する組織または法人組織の内部組織。 技術仲介、技術運営・経営、技術投融資などの技術移転サービスを主な業務とし、少なくと も2年間、技術移転サービス分野で実質的な業務を展開し、良好な実績と持続可能な発展能力 を備えること。 組織の内部管理が規範化され、業務・財務制度が健全で、2年間不良記録を持たないこと。 少なくとも5人以上の専門チームで構成されなければならない。そのうち、大卒以上の学歴を 持つ者が、全体の30%以上を占めること。 組織は、業務展開に必要な執務条件と施設を備えること。 KOEは、上記補助金の申請条件を満たす為、同委員会に申請書類を提出中である。 また、同委員会は「世界都市及び科学技術都市北京」建設を着実にし、グローバルなイノベ ーションリソースを効果的にマッチさせ、北京国際科学技術協力のモデルを推し進めるべく 「北京市国際科学技術合作基地」の応募も同時に開始した。そこでKOEでは同委員会国際協力 センターにも申請書類を提出している。 中国における技術の国産化は至急の命題であり、今後もこうした制度・支援策に注目していく。 ニュースレターに関するご意見、お問合せ等は、以下のアドレスまで。 koe_newsletter@cncdm.jp 6
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