プレス発表資料 平 成 27 年 3 月 25 日 秋 田 大 学 秋田県産の小型観測ロケット開発を目指して 秋田県産観測ロケット試験機の打上実験を実施 秋田大学(学長:澤田賢一)は 3 月 26 日(木)~29 日(日) 、能代市落合浜海水浴場跡地で秋田大 学イノベーション創出総合研究機構「秋田宇宙開発研究所」による秋田県産観測ロケット試験機の打 上実験を実施します。 秋田県産の小型観測ロケット開発を目指し、音速へ到達できるロケットにおける飛翔データ取得及 び打上回収システムの技術実証を目的としています。 日 程:平成 27 年 3 月 26 日(木)~29 日(日)打ち上げ予定時刻 午前 6 時 ※予備日:3 月 30 日(月) 場 所:能代市落合浜海水浴場跡地 実施者:秋田大学イノベーション創出総合研究機構「秋田宇宙開発研究所」 ○実 施者:所長:和田 豊(秋田大学大学院工学資源学研究科・講師) ロケット概要 【図 1】3D モデリング 名称(型番) 秋田県産小型観測ロケット試作 3 号機(ASSR-TF03) 全長[mm] 2,436mm 直径[mm] 102mm 質量[kg] 17mm モータ 1.5kN 級ハイブリッドロケットモータ 到達高度[m] 3,700m ・ハイブリッドロケットモータ 搭載物 ・ガス展開フロート ・固体フロート ・テレメトリ(特定周波数ビーコン) ・加速度計 【図 2】機体寸法 ・無火薬式分離機構 ・パラシュート ・気圧センサ ・地磁気センサ ・気象観測装置 ・ジャイロセンサ ・カメラ ロケットの機体材料である CFRP は秋田県産業技術センターとの共同研究により開発し、株式会社東 総が製造したものを使用し、点火には株式会社アクトラスが開発したロケット用無線点火装置を用い ます。モータと機体の一部は株式会社三栄機械が製造を担当しており、ロケットの燃料には秋田宇宙 開発研究所、株式会社型善、JAXA の 3 機関が開発した低融点熱可塑性樹脂緒を採用しています。高温 にさらされるノズルは新日本テクノカーボン株式会社が製造したノズルを用い、各素材の実証実験の 機会とします。さらに、株式会社ナカヨが製造し、ロケットからのデータを電波で送信する無線装置 における動作の実証実験も同時に行います。 ※詳細は別紙をご覧ください。 【お問い合わせ先】 秋田大学広報課 TEL:018-889-3019/FAX:018-889-2219 E-mail:kouhou@jimu.akita-u.ac.jp 別紙 秋田県産観測ロケット試験機の打上実験における取材について 1. 本件に関するお問い合わせ先 ▶ 秋田大学広報課 TEL:018-889-3019 2. 会場での取材について 会場で取材を希望される場合は、以下の日時・場所にお集まりください。なお、打上実験終 了後、実験結果等の詳細を説明します。 ▶ 日 時:平成27年3月26日(木)~29日(日)午前8時から30分程度 ▶ 場 所:能代市落合浜海水浴場跡地 ▶ 担当者:秋田大学 秋田宇宙開発研究所 所長 和田 豊 3. 打上実験における写真素材の提供について 打上実験の写真素材を希望する社には、本学からご提供することも可能ですので、担当まで ご相談ください。 ▶ 担当:秋田大学広報課 TEL 018-889-3019 E-mail kouhou@jimu.akita-u.ac.jp 秋田県観測ロケット試験機打ち上げ実験計画書 秋田大学イノベーション創出総合研究機構 秋田宇宙開発研究所 所長 和田 豊 1.責任者 教員責任者:和田 豊 講師(博士(工学) ) 秋田大学イノベーション創出総合研究機構「秋田宇宙開発研究所」 TEL:090-9150-2372 E-mail:wada@mono.akita-u.ac.jp 2.実験目的 秋田県発の小型観測ロケットを目指し、音速へ到達できるロケットにおける飛翔データ 取得及び打上回収システムの技術実証を目的とし、落合浜海水浴場跡地から打ち上げ実験 を実施する。ロケットの機体材料である CFRP は秋田県産業技術センターとの共同研究によ って開発し,株式会社東総が製造したものを用いる。点火には、株式会社アクトラスが開 発したロケット用無線点火装置を用いる。モータと機体の一部は株式会社三栄機械が製造 を担当しており,ロケットの燃料には当研究所,株式会社型善,JAXA の 3 機関が開発した 低融点熱可塑性樹脂緒を採用する.高温にさらされるノズルは新日本テクノカーボン株式 会社製のノズルを用い,これらの素材の実証実験の機会とする。さらに、ロケットからの データを電波で送信するための株式会社ナカヨ製無線装置の動作実証実験も同時に実施す る。 3.日程 実験期間は 3 月 25 日(水)~3 日 30 日(月)を予定している。詳細な日程を表 1 に示す。 表 1 日程 3 月 25 日(水) 午後:機材搬入、ランチャー設置 3 月 26 日(木) 打ち上げ実験(日の出~12:00) ~29 日(日) 3 月 30 日(月) 打ち上げ実験予備(日の出~12:00) 午後:片付け・能代発 4.実験概要 4.1 実験場所 落合浜海水浴場跡地 4.2 実験実施時間帯 3 月 26 日(木)~29 日(日)日の出~12:00 の間に実験を行う。また、本期間中に実験 が実施できなかった場合、30 日(月)日の出~12:00 の間に実験を行う。 4.3 ロケット打ち上げ・回収方法 自作の地上支援装置を用いて、秋田大学所有の発射台より打上を行う。ロケットは点火 後、頂点付近でパラシュートを開傘し、同時にフロートを機体の周囲に放出する。地上に 着地後、フロート膨張機構が反応し、フロートが膨張する。その後、指向性のある特定周 波数ビーコンを受信側のアンテナで受信し、ロケットの位置を特定し回収を行う。また、 テレメトリが不備を起こし作動しなかった場合を想定し、人体及び環境に無害な海面着色 剤(参考:http://www.koa-kako.co.jp/08kw1.pdf)を機体内部に搭載、また機体のカラー リングも視認性の高い色とする。 5.機体 全長 2.5m、直径 100mm、乾燥重量 15kg、モータは当研究所,株式会社型善,JAXA らによ って新規に開発されたハイブリッドロケット用燃料「低融点熱可塑性樹脂」を使用し、亜 酸化窒素(N2O)を酸化剤としたものを用いる。機体は秋田県産業技術センターと共同開発し た CFRP チューブをコンポーネートごとにアルミのプレートにボルト固定する。パラシュー ト及びフロートの放出には無火薬式の分離機構を用いる。搭載計器はテレメータ、加速度 計、地磁気センサ、ジャイロセンサ、気圧センサに加え気象観測装置、衝撃環境用カメラ である。火薬を使用しないため安全である。また、機体は全機回収であり、地上及び海上 への投機物はない。 図 1 に機体の 3D モデリング、図 2 に機体寸法、表 2 に機体の概要を示す。 図 1 3D モデリング 図 2 機体寸法 表 2 ロケット概要(機体仕様変更の可能性あり) 名称 秋田県産小型観測ロケット試作 3 号機 型番 ASSR-TF03 全長[mm] 2436 直径[mm] 102 質量[kg] 17 モータ 1.5kN 級ハイブリッドロケットモータ 到達高度[m] 3700m 軌道頂点付近でパラシュート及びフロートの放出後着水。 回収方法 着地と同時にフロートが膨張。その後指向性の特定周波数ビー コンを受信し機体の位置を特定。回収を行う。 ・ハイブリッドロケットモータ ・無火薬式分離機構 ・パラシュート ・ガス展開フロート 搭載物 ・固体フロート ・テレメトリ(特定周波数ビーコン) ・加速度計 ・地磁気センサ ・ジャイロセンサ ・気圧センサ ・気象観測装置 ・カメラ 6.安全対策 6.1 実験実施条件 ロケットの打ち上げ実験には多くの危険が存在し、国が定める法を厳守するのはもちろ んのこと、安全に打ち上げ実験が行なえるように私たちでも独自に自主規制を定め、その 規制を守った上で打ち上げ実験を行なう。 1) 射点から打ち上げ点火点までの距離:150m 2) 安全保安距離:200m ロケット打上げ時には、周辺 200m への一般人への立ち入りを禁止する。 3) 風速制限:5m/s 4) 発射仰角:70° 5) 立ち入り制限半径:150m 打上げ時、射点から半径 150m 以内の立ち入りを禁止する。(作業員含む) 6) 視界遮蔽距離に関する制限:以下の制限を満たしていなければ原則として打ち上 げを延期または中止する。ただし、この判断は PM 及び教員責任者が行う。 ・ 雨による視界遮蔽距離制限 降雨によって目視による 1km 以内の観測が不可能であると判断される総 合気象観測装置の単位時間あたりの降雨量が 11.3mm/h 以上を観測した場 合打ち上げを中止 1) 視程距離(V)と光波減衰量(σ)の関係式は σ=13/V [dB/km] で示され、10 分間降雨降雪量(R)と光波減衰量(σ)の関係は σ=4.9R0.63[dB/km] で示されるので 1km の視程を確保するためには 10 分間降雨降雪量が 4.7mm/10min である必要があり 1 時間当たりの降雨 降雪量に直すと約 28.2mm/h である。 また、10 分間平均の降雨降雪量は実際の 1 時間あたりの降雨降雪量の 2 ~2.5 倍となる 2)ので 28.2mm/h の 4 割とすると 1 時間あたり 11.3mm/h で ある.よって、11.3mm/h を上限とする。 ・ 濃霧による視界遮蔽距離制限 打ち上げ現場にて濃霧の発生を確認し、飛翔、落下時及び海上回収時に ロケットを確認するための十分な視界の確保が困難であると判断した場 合は打ち上げを延期または中止する。 ・ 煙による視界遮蔽距離制限 打ち上げ現場にて煙の発生を確認し、飛翔、落下時及び海上回収時にロ ケットを確認するための十分な視界の確保が困難であると判断した場合 は打ち上げを延期または中止する。 7) 天候による制限:以下の警報、注意報が発令された場合は原則として打ち上げを 延期または中止する。ただしこの判断は PM が行う。 警報(暴風警報、暴風雪警報、大雨警報、大雪警報、波浪警報、高潮警報) 注意報(強風注意報、風雪注意報、大雨注意報、大雪注意報、雷注意報、 濃霧注意報、低温注意報、波浪注意報、高潮注意報) また、雷を観測した場合はシーケンスを中断し、直ちに高圧ガス関係の元栓を締 め、配管を外発射台から遠ざける。もし、日没までに雷雲が通過しない場合は打 ち上げ実験を延期する。 8) 地震による制限:発生時、発射台横転の危険性、地上燃焼支援装置周りにボンベ がある場合、その場から避難する。 地震発生後、ロケット、発射台及び地上燃焼支援装置に破損がないか確認する。 9) 竜巻による制限:巻き込まれる危険性がるため、発生後直ちに避難する。 10) 気温による制限:外気温が 10℃を大幅に下回る場合は、十分な発射台離脱速度で の打ち上げが出来ない恐れがあるため打ち上げを延期または中止する。 11) 消火隊:万が一ロケットが姿勢を崩し火炎を伴いながら地面に落下し、落下地点 付近が炎上した場合に備え、射点付近及び着陸予定地までの経路付近に、小型消 火器を持った消火隊を待機させ、直ちに消火活動が行なえるようにする。 12) 保安要員:一般の人が立ち入り制限区域(安全保安距離内)に立ち入りらないよ うに保安要員が監視を行う。 13) 地元との協力:その他、地元消防署、警察署、能代港湾事務所から指導仰ぎなが ら安全対策を行う。 14) 緊急時連絡方法:現地本部に安全統括責任者を置き、緊急時には能代市役所・能 代消防署・能代警察署・地元自治会長に電話にて連絡を入れる。 15) 事前説明:秋田県県庁、能代市、能代港湾事務所に実験計画書を提出。 16) 前日・当日の連絡:能代警察署、能代消防署、能代港湾事務所、能代市役所、仙 台空港、航空自衛隊加茂分駐屯地、秋田海上保安部、峰浜漁協組合長(高山建設工 業株式会社)に、打ち上げ 30 分前、及び打ち上げ完了後に電話で連絡を入れる。 17) 回収船の出航条件:風速 12m/s 以下、波高 2m 以下。なお、乗船者は救命胴衣着用 の上、回収作業を行う。 6.2 関係各所への連絡 下記に示す関係各所に事前周知を実施する。 能代市役所 0185-52-2148 仙台空港 022-383-1301 航空自衛隊加茂分駐屯地 0185-33-3030 能代警察署 0185-52-4311 能代消防署 0185-52-3311 航空交通管理センター 航空交通管理管制官運用室 関連自治会 092-608-8885 6.3 実験実施前連絡体制 実験実施前連絡体制を図 3 に示す。 現地本部 プロジェクトマネージャー 和田 豊(090-9150-2372) 秋田県港湾事務所 0185-54-8246 能代市役所 0185-89-2145 航空自衛隊加茂分駐屯地 022-383-1301 秋田海上保安庁 018-845-1624 峰浜漁業組合 0185-76-3099 秋田県漁協共同組合能代港支部 0185-54-3032 能代警察署 0185-52-4311 能代消防署 0185-52-3311 秋田県警察航空隊 018-881-0120 航空交通管理センター 航空交通管理管制官運用室 図 3 実験実施前後連絡体制 092-608-8885 6.4 実験実施後連絡体制 実験実施後連絡体制を図 4 に示す。 現地本部 プロジェクトマネージャー 和田 豊(090-9150-2372) 秋田県港湾事務所 0185-54-8246 能代市役所 0185-89-2145 仙台空港 022-383-1301 航空自衛隊加茂分駐屯地 022-383-1301 秋田海上保安庁 018-845-1624 峰浜漁業組合 0185-76-3099 秋田県漁協共同組合能代港支部 0185-54-3032 能代警察署 0185-52-4311 能代消防署 0185-52-3311 秋田県警察航空隊 018-881-0120 図 4 実験実施後連絡体制 6.5 緊急時連絡体制 緊急時連絡体制を図 5 に示す。 現地本部 プロジェクトマネージャー 和田 豊(090-9150-2372) 秋田県港湾事務所 0185-54-8246 能代市役所 0185-89-2145 仙台空港 022-383-1301 航空自衛隊加茂分駐屯地 022-383-1301 秋田海上保安庁 018-845-1624 峰浜漁業組合 0185-76-3099 秋田県漁協共同組合能代港支部 0185-54-3032 能代警察署 0185-52-4311 能代消防署 0185-52-3311 秋田県警察航空隊 018-881-0120 航空交通管理センター 航空交通管理管制官運用室 図 5 緊急時連絡体制 092-608-8885 7.落下範囲 ロケットの落下範囲は航空宇宙技術研究所(旧 NAL)の「地上付近の横風の影響による小 型ロケットの方位角変化」及び「地上付近の風の影響による小型ロケットの姿勢角変化」 を参考にしたシミュレーションにより求めた。シミュレーションの条件を表 3 に示す。 表 3 シミュレーション条件 ランチャー仰角[度] 80 ランチャー方位角[度] 135 (東を 0 度として反時計周り) 風向 東西南北の 4 方向 風速[m/s] 1~5 全プロット数 20 発射台滑走長[m] 5 表 4 シミュレーション結果 予想最大到達高度 [m] 3700 重心位置の発射台脱出速度 [m/s] 21 頂点到達時間 [s] 28 打ち上げから着水までの時間 [s] 90 実験時の落下範囲を図 6 に示す。 赤色円内が警戒区域。 海 回収船 B 松林 (N 40° 14’ 34.3 E 140° 0’ 37.6)射点 松林 松林 建物 松林 回収船 A 警戒区域 (陸地から約 1.5km 沖合の 500 1000 直径 3km 円内) 図 6 パラシュート開傘時最大落下点(青四角) 赤色円内が警戒区域。 海 回収船 B 松林 (N 40° 14’ 34.3 E 140° 0’ 37.6)射点 松林 松林 建物 松林 回収船 A 警戒区域 (陸地から約 1.5km 沖合の 500 1000 直径 3km 円内) 図 7 弾道落下点(緑三角)
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