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取扱製品レビュー
2008 年春
01
最新 DAW システムに最適
Toft Audio Designs ATB シリーズ コンソールの
伝 統 か ら 生 ま れ た 最 新 の
アナログ ミキシング コンソール
音質においても仕様(24 トラックのモニターと
Toft Audio Designs は、 伝統的なコンソール
センドを装備したコンソール)においても、彼らの
Trident Series 80 を再構築し、コンパクトかつ現
高い要求にかなうものはありませんでした。
代のスタジオ事情に適合した ATB シリーズ ミキ
従って、Malcolm は、スタジオのオーナー(Barry
シングコンソールを発売しました。
と Norman Sheffield)に自らコンソールを設計お
ルーティングが可能で、4 バンド EQ と 10 の AUX
よび作製することを申し出ました。
Trident のコンソールを使用したアーティストは、
ATB シリーズは、歴史的なコンソールデザイナー
である Malcolm Toft(マルコム トフト)の手に
こうして生まれたのが、1972 年に Malcolm ら
Stevie Wonder(スティービー ワンダー)、Herbie
よる最新の 8 バスアナログレコーディング コン
によって設立された伝説的なコンソールメーカー
Hancock(ハービー ハンコック)、Rod Stewart(ロ
ソールです。彼は、スタジオエンジニアとして、
Trident Audio Developments です。このメーカー
ッド スチュワート)、Queen(クイーン)、David Bowie
1968 年から 1971 年まで Trident Studio(トライ
から生まれた新しいコンソールは、瞬く間に
(デビット ボウイ、Malcolm はデビューアルバム
デント スタジオ)で働き、その後、設計者に転
レコーディング市場に広がり、サウンドを整える
の Space Oddity でミックスもおこなっています)
身して Trident Audio Developments の創設者の
という近年のレコーディング手法の礎ともなりま
をはじめ、最近では、Dire Straits(ダイア ストレ
一人となりました。
した。Trident Audio Developments からは、
イツ)、Coldplay(コールドプレイ)、Radiohead
A レンジ、B レンジ、Series 80、TSM、Trimix、
(レイディオヘッド)、Oasis(オアシス)などの
そのきっかけとなったのは 1971 年、スタジオ
Series 65、Series 75 など現在もなお評価の高い
ビッグネームがあります。この中で特に Radiohead
マネージャーとなった彼はスタジオのコンソールを
機器が数多く出荷されました。これらの機材は
は、MTA コンソール(これもまた、Malcolm の
24 トラック仕様のものに変更する仕事を任され
ほとんど Malcolm の設計によるものです。
設計によるもの)をアルバム“O.K. Computer”か
ました。しかしながら当時の機材で、そのとき最
らすべてのアルバムでレコーディングに使用して
先端であった 24 トラック仕様に適合するものは、
います。
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ミキシング コンソール
Trident Series 80 から受け継がれた 4 バンドの
プロセスに干渉すること無く、チャンネルをモニ
ATB シリーズは、Malcolm がこれまで世に出し
チャンネル EQ は、音楽的かつダイナミックにサ
ターできます。この操作をおこなった場合、チャン
てきた数々のコンソール;Trident や MTA のモデ
ウンドを整えることができます。15dB のブース
ネルのステレオ定位を保持したまま信号をモニター
ルたちと同様の回路設計とクォリティを踏襲しな
トとカットが可能なこの EQ は、周波数の可変幅が
できます。また、モニターは、PFL(pre fade listen)
がらも、DAW が主体の現代のシステムとマッチ
ワイドでレンジがオーバーラップしています。こ
仕様に変更することも可能(内部の基盤設定で
する様にデザインされたレコーディングコンソー
れは、30 年以上にわたってコンソールやレコー
チャンネルごとに設定)でできます。モノスイッ
ルです。
ディング機器の設計だけでなく、自身自らも一流
チとあわせて、これらの機能は ATB を PA ミキサー
のレコーディングエンジニアである Malcolm な
として使用した際にも大変便利です。
システム規模にあわせて、16/24/32 チャンネ
らではの柔軟さと実用性を兼ね備えた設計です。
サブマスターセクション
ルをご用意しました。すべてのモデルはチャンネ
この EQ は、入力チャンネルだけなく、インライン
ル数以外、同じ設計で入力チャンネルにそれぞれ
入力にアサインすることも可能で、必要に応じて
ATB には 8 つのサブマスターチャンネルが装備
インラインモニター入力とダイレクトアウトが
ケーブルの抜き差しやパッチングをせずに、切替
されています。ここでは、8 つのサブマスターグ
装備されています。このため、通常の入力チャン
えることができます。DAW やマルチトラックに
ループのレベル設定がおこなえます。通常、サブ
ネル、インラインモニター、マスターセクション、
チャンネル個別に信号を送ることができるダイレ
マスターを使用してレコーディングのためのモニ
ステレオエフェクトリターンをすべて合計すると、
クトアウト、外部の EQ やコンプレッサーなどを
ターミックスを作成します。このセクションでは
32 チャンネルモデル(ATB-32)で最大 88 チャン
接続する為のチャンネルインサート(センド/リ
入力チャンネルと同じフルサイズの100mmフェー
ネルをサミング入力できます。
ターン)など、多彩かつ柔軟なシステム構築を実
ダー、AUX5~6 通して、ディレイやリバーブなどの
現します。
外部エフェクト処理も可能です。また、12 ポイン
入力セクション
トのレベルメーターは正確レベル設定がおこなえ、
ATB コンソールの入力部は、すべて高音質の
6 つの AUX(オグジュアリ)センドは、外部の
Burr Brown(バーブラウン)製のオペアンプを使
エフェクトプロセッサやキュー送りに使用できま
用したマイク/ライン プリアンプを搭載していま
す。AUX1 はプリフェーダー仕様で、AUX2~6
サブマスターセクションには、8 つのモニター
す。このため、低インピーダンス/バランス仕様
はそれぞれプリ/ポストフェーダーの切替が可能
リターンも装備されていますので、追加の入力と
のマイクロフォンや、高レベルのライン信号(バ
です。さらに AUX5-6 はインライン入力に設定す
しても使用できます。またこのモニターリターン
ランスまたはアンバランス)、さらには楽器から
ることも可能です。
は、チャンネル入力の 1~8 のライン入力にも直
完璧なステレオキューをすることができます。
結されていますので、必要に応じてサブグループ
の出力を受けることができます。また、各チャン
ネルには信号入力を確認するための LED(-20dB)、
ATB の入力モジュールは、非常に柔軟な設計と
を通じてレコーディングしたトラックを、特別な
ピーク LED(+10dB)や適正なレベル操作をおこ
なっています。通常のチャンネル入力とインライン
パッチングをすることなくメインのチャンネル入
なうためのフルレングス;100mm のハイクォリ
モニター入力を組み合わせることで、通常の 2 倍
力で EQ やミックス処理することができます。
ティフェーダーが装備されています。
のチャンネルミキシングが可能です。例えば、レ
◆入力端子◆
コーディング時の必要なエフェクトや EQ をモニ
サブマスターセクションの上部には、8 つのス
ターミックスに施したり、ミックスダウン時には
テレオエフェクトリターンと、6 つの AUX センド
インラインモニターを追加のライン入力として扱
マスターがあります。エフェクトリターンは通常、
うことも可能です。さらには、状況に応じて入力
AUX センドで外部に送られてエフェクト処理さ
チャンネルとインラインモニターをスワップする
れた信号を入力します。AUX センドマスターは、
ことも可能で、フルアナログミキサーながらも充
各チャンネルに装備されている AUX センドのマ
実した仕様となっています。
スターレベルとなり、最終的に外部の送る量を設
定できます。このコントロールはまた、ATB の
ソロモニターは、ステレオの AFL(after fade
listen)仕様(工場出荷時)で、レコーディング
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AUX センド部をヘッドフォンキューとして流用
する際のマスターキューレベルにもなります。
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マスターセクション
ごとにフロントパネルから取り外しすることがで
備しています。
ATB のマスターセクションにはコンソールの最
ATB はフルスペックのレコーディングミキサー
きます。さらに IC などの経年変化によって消耗
終段の機能が配置されています。100mm のステ
でありながらも驚異的な価格とコンパクトサイズ
する部品はソケット式になっていますので、伝統
レオマスターフェーダーと針式の VU メーター、
を実現しています。しかしながら、ATB の魅力は
的なスルーホール設計と相成って交換や修理の手
12 ポジションのバーグラフメーターで完璧なレ
これだけではありません。メンテナンスの容易さ
間が軽減されています。
ベル監視と設定がおこなえます。マイクを内蔵し
も、大小問わずこれまでのミキシングコンソール
たトークバックシステムは、モニター出力だけで
とは一線を画した設計になっています。ハイエン
はなく、AUX センドに送ることも可能です。こ
ドコンソールと同
の機能は、AUX センドを CUE システムとして使
様にモジュール
用する場合に大変便利です。ヘッドフォン出力、
式に設計された
さらに切替可能な 2 系統のモニター出力、ライン
チャンネル部は、
レベルのテープ(2 トラック)リターンなども装
8 つのチャンネル
ATB Trident Series 主な特長
製品仕様
◆ マスター入出力◆
16/24/32Ch. 8 バスのフルスペックアナログレ
入力インピーダンス
コーディングミキサー
マイク入力:>1.2kΩ、XLR バランス
マイク入力:<0.03% THD @ -50dBu In/+4dBu Out
チャンネルごとに...
ライン入力:>10kΩ、1/4"TRS バランス
ライン入力:<0.03% THD @ +4dBu In/Out
高品位マイクプリアンプ
バランスライン入力
出力インピーダンス
4 バンド EQ(トライデント 80B スタイル)
出力:<100Ω、1/4"TRS バランス(グループ/AUX)、
インサート入出力
モニター入力
ダイレクト出力
ゲイン
6 AUX センド
マイクゲイン:6dB~65dB、
+48V、フェイズリバース
EQ のモニター/チャンネル入力スワッピング
フェーダーのモニター/チャンネル入力スワッ
ピング
歪み率:
周波数特性:
<100Ω、1/4"TS(その他の出力)
マイク入力:20Hz~40kHz ±1dB
ライン入力:20Hz~30kHz ±0.5dB
クロストーク:
70dB @ チャンネル入力-グループ出力
チャンネル:-70dB @ 1kHz、-60dB @ 15kHz
グループ:-70dB @ 1kHz、-60dB @ 15kHz
ラインゲイン:-15~+25dB
標準信号レベル:+4dBu
最大レベル
8x サブグループバス + マスター出力
マイク入力:+20dBu @ 全帯域
8x グループインサート入出力
ライン入力:+22dBu @ 全帯域
ATB-16: 31" (78cm) W x 22.5" (57cm) D x 5" (12.5cm) H
8x ステレオエフェクトリターン
グループ出力:+26dBu バランス、
ATB-24: 41" (103cm) W x 22.5" (57cm) D x 5" (12.5cm) H
8x モニター入力(+パン/ソロ/AUX)
12 ポジションメーター
アナログ VU メーター(マスター)
最大 56 チャンネルミキシング(ATB16)
マイク入力:<-127dBu ref 200Ω/20Hz~20kHz
最大 72 チャンネルミキシング(ATB24)
ライン入力:<-75dBu(EQ オン、ダイレクトアウト)20Hz~20kHz
最大 88 チャンネルミキシング(ATB32)
システム全体:<-75dBu(ライン入力-グループ出力)20Hz~20kHz
電源ユニット分離型
+22dBu アンバランス 2kΩ
サイズ:
ATB-32: 51" (128cm) W x 22.5" (57cm) D x 5" (12.5cm) H
ノイズレベル:
*製品の仕様および価格は予告無く変更する場合がありますので、予めご了承ください。
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Toft Audio Designs ATB-24(24 チャンネル仕様)
◆入力チャンネル◆
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◆マスターセクション◆
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Toft Audio Designs ATB シリーズ ユーザー ストーリー
最も才能のある音楽プロデューサー/
エンジニアである Tchad Blake
(チャド ブレイク)が、自身のスタ
ジオに Toft Audio Designs のコン
ソール;ATB-32 を導入しました。
そのサウンドはすばらしい!」とコメントを残し
ています。
彼の最初のビックヒットは、プロデューサー
Mitchell Froom(ミッチェル フルームと仕事した
Los Lobos(ロス ロボス)の “La Bamba”(ラバン
バ)です。彼は Froom と共に Los Lobos を始め、
ここ数年様々な、Richard Thompson、Suzanne
Vega、Tom Waits、Crowded House などのエン
Blake はクリエイティブなサウンドを求める為
ジニアリングをし数多くのすばらしいアルバムを
なら、テクノロジーの新旧や常識にとらわれずに
残しています。また、Sheryl Crow や Peal Jam と
採用するエンジニア/プロデューサーとしても知
の仕事も記憶に残るものでした。彼が関わった作
られています。Blake は彼が新たに導入した、
品で、プログレッシブジャズ グループの the Bad
Digidesign の ICON D-Control を含めた ProTools
Plus(ザ バッド プラス)のアルバム“Give”(ギブ)は
システムのためのコンソールを探し始めている時に、
グラミー賞の最優秀エンジニアリングアルバム賞
ATB-32 の存在を知り、Toft Audio Designs の製
Tchad Blake が仕事を共にしたアーティストは数多く、
(ノンクラシック)部門にノミネートしています。
造元である PMI Audio Group コンタクトをとり、
ほんの一例を挙げるなら、Peter Gabriel、Bonnie Raitt、
さらに同賞を獲得した、Suzanne Vega の最新作
テストの結果、ATB-32 を自身のスタジオに導入
Elvis Costello などの著名アーティストの名があります。
は、彼のこの最新システムのスタジオで生まれた
しました。Blake は公に「ATB はとても強力で、
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ものです。
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ユーザーストーリー
イギリスのロックバンド HARD-Fi(ハ
ード ファイ)、ATB コンソール、SP
マイク、JoeMeek プロセッサーを導
入して制作したアルバムをリリース!
ジック プライズ)にノミネートし、その後、ア
ループにノミネートしています。HARD-Fi は、デ
メリカのメジャーレーベル、アトランティック レ
ビューアルバムでその偉業を成し遂げた唯一のグ
コードと契約し、2006 年初頭では UK チャートで
ループです。
ナンバーワンになりました。さらに、ロンドンの
Brixton Academy(ブリクストン アカデミー)での
HARD-Fi は Toft Audio Designs の ATB コン
Hard-Fi はインディーズから瞬く間に世界的な
五夜連続の初ツアーも 15 分で即完売という、Bob
ソール、StudioProjects のマクロフォン C1、T3、
人気バンドにのし上がったイギリスのロックバン
Dylan(ボブ デュラン)、The Clash(ザ クラッシュ)、
JoeMeek の TwinQ を導入し、2007 年 10 月にア
ドです。2005 年にリリースしたデビューアルバ
Prodigy(プロディジー)などのトップアーティ
ルバム Once Upon A Time In The West をリリー
ムの「Stars of CCTV」は本国イギリスで最も権威の
ストと肩を並べる偉業を成し遂げ、2006 年には
スしています。
ある Mercury Music Prize(マーキュリー ミュー
ブリット アワードでベストブリティッシュ グ
Joemeek twinQ(ツインキュー)
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