「てくてく」1月号 - 福井大学教育学部

特別支援教育情報紙
福井大学教育地域科学部附属特別支援学校
教育相談部 ★2015.1.21(水)
福井県福井市八ツ島町 1-3 TEL0776-22-6781(FAX22-6776)
http://www.f-edu.u-fukui.ac.jp/~f-tokusi/
特集1 学習会情報
子どもが主人公の生活教育~キャリア教育の視点から考える~
講師:岩手大学
名古屋 恒彦氏
平成26年12月24日(水)
福井大学附属特別支援学校多目的室
12月24日(水)に本校で、岩手大学より名古屋恒彦
先生をお招きして講演会を実施しました。
名古屋先生からは、「子どもが主人公の生活教育~キャ
リア教育の視点から考える~」と題し、
「生活教育」の在
り方について、全国的に既に取り上げられている「キャリ
ア教育」の視点から捉え直すという内容でお話を頂きまし
た。
「生活教育」の在り方について他校の先生方と一緒に
考えることができ、今後本校が実践している「生活教育」
の意義について再考していく上で、参考となる貴重な学び
の機会となりました。何よりも名古屋先生のユーモアを交
えた魅力あるお話に、皆が惹きつけられ、和やかな雰囲気
の中で約 2 時間の講演会は終了しました。
名古屋先生の講演から
キャリアとは:人が生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分との関係を見い
だしていく連なりや積み重ねのこと
キャリア教育とは:一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てるこ
とを通して、キャリア発達を促す教育をさす
【2011.1.31 付け中教審答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」より】
キャリア教育と知的障害教育が共有する教育目標とは:
「現在の子どもの学校生活をどの子にとっても、自立的・主体的な生活として質の高いものとし、学校
外または将来の生活の自立的・主体的生活へと確かに発展するようにすること」
自立的・主体的生活とは:
①確かな目当て・見通しをもち、仲間とテーマを共有できる生活
②一人ひとりが、自分の力で活動し、仲間とともに取り組める生活
③存分に活動し、大きな満足感・成就感を分かち合える生活
キャリア教育を重視した学校生活とは:例えば小学部の子どもたちならば
ライフキャリア(就労に限定せず、人の生涯の全ての場面で必要とされるキャリア)の観点で見れ
ば、遊びこそが子どもの生活の中心であり、やりがいや手応えを選るにふさわしい活動。そのことが
小学部段階の豊かなライフキャリアになる。不思議なことに小学部で思いっきり遊んできた子どもは
中学部以降、思いっきり働く人になる。
授業づくり・生活づくりの基本姿勢は「できる状況づくり」
「できる状況」とは「精いっぱい取り組める状況と首尾良く成し遂げられる状況」
精いっぱい取り組める活動であっても、結果が首尾良く成し遂げられなければ、満足感・成就感には
不足が生じる。逆に首尾良く成し遂げられても、精いっぱい力を発揮できる状況がなければ、やはり
満足感・成就感に乏しい、印象の薄い活動になってしまう。
「生きる力」
:子どもの生活の中で、生きて発揮される力、いわば「生きた力」として理解していく
ことが重要。今の生活を真に子どもが本気で打ち込める、やりがいと手応えのある生活にすれば、そ
れは必ず将来の生活にもつながっていく。そこで発揮される力はその子の将来にも必ず生きる力にな
っていく。
参加者教員の感想
・指導や支援が学校や教師や世の中の常識本位でなく、本人の今や将来に大切な事、そしてやっ
ている本人が苦手でも主体性をもって取り組めるものである事といった趣旨の講演に、自分の
取組の反省や今後の取組について考えさせられました。
・子どもが主体となること、子どもが生き生きと取り組め、「ああやれたんだー」、「がんばった
んだー」
、と実感できる状況を考えないと…と思いました。
・キャリア教育がいろいろなライフステージで変化しながら形成されていくことが、大切である
ことがよく分かりました。
・知的障害教育とキャリア教育との関係が歴史的な部分を押さえてのお話だったので、とても分
かり易かったです。
・
「目標→活動→成就感のサイクル」を大切にすることを、改めて確認できました。
本や資料で読んだことの具体的なイメージが膨らんで、分かり易かったです。支援の在り方・
なくす是非といったお話も実践を振り返る機会になりました。
(嶺北)
講師
名古屋恒彦(なごや つねひこ)氏
岩手大学教育学部特別支援教育科 教授
岩手大学附属特別支援学校 校長を兼任
主な著書
「知的障害教育方法史 生活中心教育・戦後50年」大楊社 1996 年
「子ども主体の特別支援教育をつくる生活中心教育入門」大楊社 2004 年
「テーマのある学校生活づくり 子ども主体の特別支援教育」コレール社 2008 年
「特別支援教育『領域・教科を合わせた指導』の ABC
どの子にもやりがいと手応えのある本物の生活を」東洋間出版社 2010 年
「知的障害教育発,キャリア教育」東洋間出版社 2013 年
特集2:社会資源の紹介
フレンズあすわ
スヌーズレンの部屋
足羽福祉会内で行っている、障がい児支援の通所事業所の一つです。平
成25年12月1日に大和田に新築移転しました。建物内には、自立課題
の部屋、プレイルームの他、静養室、医務室も整えられています。
また※スヌーズレンの部屋は、ボールプール、ウォーターベッド、光る
シリンダー、ミラーボール等が揃えられており、誰もがリラックスできる
部屋になっています。日本でもこれだけの規模のスヌーズレンが揃ってい
るのは珍しいそうです。
*児童発達支援事業・・・・・・・・・・・・未就学の子どもたちを対象に、月曜から土曜の9時~15時まで、
遊びを通して、お友達とのやり取りを育んでいます。
*放課後等デイサービス事業・・・小学校 1 年生から高校3年生までの子どもたち約80名が、月曜か
ら金曜の 11 時~19 時、土・日の9時~17 時、および長期休暇
中に利用しています。
その他、学校等と連携しながら支援を進めていく「保育所等訪問支援事業」や、ご家族の病気等で療
育ができない時に利用できる「短期入所事業」
、困ったことを相談できる「相談支援事業」もあります。
※ 光、音、におい、振動、温度、触覚等、心地よい時間を過ごすことができる場。室内に限らず、屋外も含む。
お問い合わせ先
〒910-0836 福井市大和田1丁目1607
TEL
0776-53-3330
FAX
0776-53-3332
足羽福祉会
あすわ子ども発達支援センター
(株)YOU サポート
C・ネットふくいから独立し、平成 24 年 4 月に設立。長年、
障がいのある方の支援に携われた職員が役員として様々な業務
を行っています。現在行われているサービスを紹介します。
*相談計画支援事業・・・相談にかかる自己負担はありません。
障がいを持つ方や家族の方からニーズを聞き取り、関係機関と話し合って利用する福祉サービスを
決定し、サービス利用計画や障がい児支援利用計画を作成します。
*ホームヘルプサービス・・・一部負担額があります。
(家事支援)障がい者の方と一緒に部屋の掃除や洗濯を行います。また、買い物に出かけ簡単な料
理も作ります。一人暮らしの方には季節に合った衣類や家具の準備や片付け等を行います。
(身体介護)トイレ誘導や入浴介助を行います。車椅子の方と一緒に散歩などにも出かけます。
(移動支援)交通機関を利用して買い物や通院、プール利用等に同伴しています。
*就労継続支援A型事業所
A型事業所として、現在 13 名の障がいのある方を雇用しています。公園や施設、オフィス、学校
等の管理や清掃を行っています。またご家庭のニーズに応じて、営繕、雪かき等も実施しています。
詳しい内容については、下記のURLからホームページをご覧ください。
お問い合わせ先
〒910-0836 福井市問屋町1丁目113番地
TEL
0776-27-4731
FAX
0776-27-4732
フリーダイヤル 0120-10-8855
URL:http://you-support.biz
E-mail:
k-tomita@you-support.biz(冨田さん)
事業所を利用するために
「日中一時支援事業」
放課後や長期休業中など、障害のあるお子さんの預かりを行うサービスがあります。個人負担
金は1日の利用時間により、次のようになります。
3時間未満…159円 3~6時間…318円 6時間以上…636円
※所得に応じて、一か月の利用上限額が決められています。利用手続きはお住まいの市役所福祉課
へお尋ねください。
福井市の方は … 福井市役所障害福祉課(0776-20-5435)福祉サービス係
坂井市の方は … 坂井市役所社会福祉課(0776-50-3041)
もしくは、坂井市役所各総合支所福祉課
「放課後等デイサービス事業」
就学しているお子さん(主に6歳~18歳)を対象として、放課後や夏休み等の長期休業中に
生活能力向上のための訓練や、集団生活への適応訓練、放課後の居場所等を提供しています。日
中一時支援事業とは負担額が変わりますので、各事業所にお問い合わせください。
「みんなで舞台に立とう!」の舞台発表、今年は10周年です
この発表は、「みんなで舞台に立とう!を広げる会」が行っています。障害のある人を真ん中に置
きながら、障害のある人もない人も、大人も子どもも、表現することが大好きな人たちみんなで舞台
に立とう、そして、自己実現をしながら輝く時間を過ごそうという思いで活動してます。今年も、福
井市、坂井市、丹南地区などの特別支援学級・支援学校に通う児童生徒たち、卒業した人たちなどが
集まり、11 月からワークショップを行い、舞台発表を目指しています。舞台発表は今年でいよいよ
10 回目を迎えます。太鼓やダンスや歌に加え、オリジナル劇も上演!みんなが生き生きと自分らし
く表現する姿を是非ご覧下さい。
日時:4 月 12 日(日)14:00 開演
場所:福井市文化会館
入場料:応援チケット 300 円
(時間、入場料は変更の場合があります)
主催・問い合わせ先:
NPO 法人福井芸術・文化フォーラム
0776-23-6905
「みんなで舞台に立とう!」酒井さん 090-8269-3287
ムラタクン、アール・ブリュット作品全国公募展入選
本校高等部のムラタクンは、つるつるしたポスターやカレンダーの裏にフリー
ハンドで展開図を書いて、
それをテープで貼り合わせてロボットを作っています。
小学2年生の頃から作り続けてきたロボットは、1000 体くらいはあると思われ
ます。最近は、段ボールなどでも作品を作っています。その作品で、全国作品公
募展に応募したところ、入選し、滋賀県近江八幡市で行われる「アール・ブリュ
ット☆アート☆日本2」展(2月 21 日~3月 22 日)に展示されることになり
ました。ちょっと遠方ではありますが、もしお時間ありましたらご鑑賞下さい。