SES E 3004-3 - 公益社団法人 日本防犯設備協会

日本防犯設備協会技術標準
SES E 3004-3
映像用モニタ規格
Standard for CCTV Monitor
1998 年(平成 10 年) 3 月 20 日 制定
2010 年(平成 22 年) 3 月 31 日 改正
2016 年(平成 28 年) 2 月 9 日 改正
JSSA
公益社団法人
日本防犯設備協会
(公社)日本防犯設備協会技術標準
映像用モニタ規格
Standard for CCTV Monitor
SES
E 3004-3
1998年 3月20日 制定
2010年 3月31日 改正
2016年 2月 9日 改正
1 適用範囲
この規格は、NTSC対応防犯カメラと同方式対応のデジタルレコーダ(防犯用)、HD-SDI対応防犯カメ
ラと同方式対応デジタルレコーダ(防犯用)、IP-IF対応防犯カメラと同方式対応デジタルレコーダ(防犯
用)に接続する映像用モニタについて規定する。
2 用語及び定義
この規格で用いる主な用語および定義はSES E 0001(防犯に関する用語)によるほか次による。(1)
(1) 映像用モニタ
映像用モニタとは、テレビモニタなど映像信号を視覚化する装置をいう。モニタ(ディスプレイ)の種
類については附属書AのA.1による。
(2) 画面サイズ
画面サイズとは、モニタ画面の大きさを表す。42型、42型ワイドなど数字は画面の対角寸法(インチ表
示)を示す。
(3) アスペクト比
アスペクト比とは、画面の横と縦の長さの比のことをいい、代表的なものではVGAは4:3(横:縦)、
フルHDは16:9で表示される。アスペクト比については附属書AのA.2による。
(4) 有効表示領域
有効表示領域とは、モニタ(ディスプレイ)における実際に表示されて見ることのできる可視領域で外
枠を含めず画像が描画される領域のことを示す。
(5) 解像度
解像度とは、モニタ(ディスプレイ)で扱う画像の精細さを表す尺度のこと。
液晶ディスプレイは画像を構成するピクセルの数で表し、数が大きいほど精細。液晶ディスプレイの解
像度は、1920×1080ピクセルのように、横×縦で表す。また、解像度は表示画素数と表現される場合も
ある。解像度については附属書AのA.2による。
(6) 画素ピッチ
画素ピッチとは、表示画素の1色から隣の同色のドットまでの間隔を表す。
画素ピッチはmm単位で表わされ、パネルサイズが同一の場合、この値が小さいほど精細なモニタ(ディ
スプレイ)表示が行なえる。
(7) 視野角
視野角とは、正面から上下左右にどれだけずれた角度から見ても正常に見ることができるかを表す値を
いう。
液晶ディスプレイなどはその原理上、斜めから見ると明るさが著しく減じたり、色調が反転したり、特
定の色が見えにくくなったりする。液晶ディスプレイの中心から正常に見ることのできる範囲を扇形で表
した時の中心角の大きさが視野角で、上下の視野角と左右の視野角がある。
視野角180°は真横(あるいは真上・真下)から見ても正しく見ることができることを意味し、視野角0°
は真正面からしか正しく見ることができないことを意味する。
SES E 3004-3
(8) 輝度
輝度とは、画面の明るさのことで、単位は「cd/m2」(カンデラ 毎 平方メートル)で表される。数字
が大きいほど画面が明るい。
液晶ディスプレイは、液晶表示画面の単位面積当たりの光度(JIS Z8105参照)。
(9) コントラスト比
コントラスト比とは、画面内の「白(最大輝度)」と「黒(最小輝度)」の輝度比を示す。表記は「700:1」
などとなり、左側の「700」が白、右側の「1」が黒を示す。
液晶ディスプレイは、オン駆動電圧とオフ駆動電圧を与えた場合の透過率または輝度の比を示す。
(10) 応答速度
応答速度とは、液晶ディスプレイの画素が消えている状態から点灯している状態になるまでの時間と点
灯している状態から消えている状態になるまでの時間を足した時間のことをいう。
単位はms (ミリ秒) で、
この数値が小さいほど応答速度が速いということになる。
一般には液晶ディスプレイの輝度 10%から 90%への変化の時間と、90%から 10%への変化の時間の合
計をいう。応答速度が遅いと、残像時間が長くなり、動きのある映像がぼけるなど見にくくなる。そのた
め、動きの速い画像を見る場合には、応答速度の速い液晶ディスプレイの方が望ましい。
(11) 共通機能・性能と高度機能・性能
共通機能・性能とは適用範囲の機器が必ず保有するべき機能・性能である。また、高度機能・性能とは
該当機器が設置される場所や設置目的に合わせて保有するべき機能・性能であるが、全てを保有する必要
はない。
注(1) 用語及び定義などで、JEITAとRBSS に該当する表現がある場合は、SES E 0001(防犯に関する
用語)よりも優先的して使用する。
-2-
SES E 3004-3
3 基本構成
映像用モニタは、図1に示すように、外部入力インターフェース、外部出力インターフェース、映像処
理部、表示制御部、表示部、電源部などにより構成される。
アナログ映像信号
デジタル映像信号
外部入力イ
映像・音声
表示
表示部
ンターフェ
処理部
制御部
(バックライ
ト含む)
ース部
音声信号
アナログ映像信号
外部出力イ
音声
ンターフェ
制御部
スピーカ
ース部
デジタル映像信号
音声信号
商用電源など
電源部
(1) 外部入力インターフェース部:NTSCなどアナログ映像信号、HDMIなどデジタル映像信号や音声信号
を入力し映像・音声信号処理部へ映像信号や音声信号を送る。インターフェースについては附属書A
のA.3及びA.4による。
(2) 外部出力インターフェース部:NTSCなどアナログ映像信号、HDMIなどデジタル映像信号や音声信号
を出力する。
(3) 映像・音声処理部:アナログ映像信号をデジタル信号へ変換する。デジタル映像信号も表示可能なフ
ォーマットに変換し、表示制御部へ信号を送出する。音声信号は音声制御部へ送出される。
(4) 表示制御部:液晶ディスプレイなどの制御及び表示部が液晶パネルのときはバックライトの制御など
も行う。
(5) 表示部:液晶ディスプレイなど映像を表示する。モニタ(ディスプレイ)の種類については附属書A
のA.1による。
(6) 音声制御部:音声信号について音量調整などを行う。
(7) スピーカ:音声を出力する。
(8) 電源部:商用電源(AC100V)を機器内部で使用する電源に変換する。
図1 映像用モニタの基本構成
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SES E 3004-3
4
機能・性能概要と要求レベル
4.1 共通機能・性能
性能はSES E3001(防犯用映像監視装置一般基準)に準ずる。
4.1.1 解像度
解像度はNTSCで640x480ピクセル以上、HDで1280x720ピクセル以上、フルHDで1920x1080ピクセル
以上を満足すること。
4.1.2 視野角
角度が記載されていること。
液晶ディスプレイでは左右(水平)視野角160°以上、上下(垂直)視野角140°以上を満足すること。
4.1.3 輝度
200cd/m2以上の輝度を満足すること。
4.1.4 コントラスト比
500:1 以上のコントラスト比を満足すること。
4.1.5 応答速度
30ms以下の応答速度を満足すること。
4.1.6 バックライト
寿命に関する表記があるか、長寿命のLEDバックライトを使用していること。
4.2 高度機能・性能
4.2.1 画面調整機能
画面が上下左右に微調整でき、分割画面で必要な文字や情報が表示できること。
4.2.2 音声機能
音声入出力を有すること。
4.2.3 マウント規格
吊下げ、壁掛けの場合は、VESA規格に合った金具が取付可能であること。VESAマウント規格の種類に
ついては附属書AのA.5による。
5 耐環境性能概要と要求レベル
5.1.1 電気用品安全法
PSEマークの表示があること。
「電気用品の範囲等の解釈について(20141222商局第1号)」より
モニターを有する映像機器及びプロジェクター等であって、
ビデオ用入力端子を有するものにあっては、
「テレビジョン受信機」に該当すると解釈し、対象として取り扱う。
5.1.2 高温(耐熱性)
SES E 0004-4(環境試験規格)4.1.1 高温(耐熱性)の試験方法で、35℃2時間放置の試験後、動作に
異常がないこと。
5.1.3 低温(耐寒性)
SES E 0004-4(環境試験規格)4.1.2 低温(耐寒性)の試験方法で、5℃2時間放置の試験後、動作に異
常がないこと。
5.1.4 供給電圧変動
SES E 0004-4(環境試験規格)4.2.1.1 IEC法 の等級1(公称電圧±10%)の試験で、動作に異常がない
こと。
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SES E 3004-3
5.1.5 電気スパイク(サージイミュニティ)
SES E 0004-4(環境試験規格)4.2.2 の等級2の試験後、動作に異常がないこと。
5.1.6 静電気(静電気放電イミュニティ)
SES E 0004-4(環境試験規格)4.2.4 の等級2の試験後、動作に異常がないこと。
5.1.7 妨害波電界強度の許容値
SES E 0004-4(環境試験規格)4.2.9 のクラスAの試験を満足すること。
5.1.8 絶縁耐圧
SES E 0004-4(環境試験規格)5.2.1 にもとづく試験において異常がないこと。
5.1.9 絶縁抵抗
SES E 0004-4(環境試験規格)5.2.2 にもとづく試験において異常がないこと。
6 試験
6.1 標準試験状態
(1) 温度は、25±10℃とする。
(2) 湿度は、25~85%とする。
関連規格 : SES E 0004
環境試験規格
SES E 3001
防犯用映像監視装置一般基準
SES E 3002
防犯用映像監視装置共通基準
JEITA TTR-4601B
CCTV機器用語
JEITA TTR-4602B
CCTV機器スペック規定方法
-5-
SES E 3004-3
附属書A(参考)
技術紹介・用語解説
A.1 モニタ(ディスプレイ)の種類について
名称
特徴
CRT モニタ
ブラウン管(CRT)を用いたモニタ。細かい文字や点でも精細に表示するこ
とができ、低価格だが、設置面積(奥行き・大きさなど)や消費電力が大き
いというデメリットがある。CRT モニタの使用は、ほとんどなくなっている。
液晶ディスプレイ
設置面積や消費電力が少なくてすむ。以前の液晶は素早い動きを表示すると
残像が残るなどの欠点があったが、最近の画質は CRT モニタに匹敵する。
(ただし、解像度、カラー、速度、コントラスト、視野角などの性能の優劣
があるので一概に CRT と液晶の比較はできない。)液晶ディスプレイの方式
は、STN 方式、DSTN 方式、TFT 方式があり、TFT 方式が主流。
プラズマディスプレイ
大型の薄型テレビなどで普及している。速度・コントラスト・視野角などに
優れており、激しい動きをスムーズに表示できる。大型化が容易だが、小型
化は困難で消費電力も大きいため、パソコンのディスプレイには向かない。
しかし、現在ではプラズマディスプレイの使用は、ほとんどなくなっている。
有機 EL ディスプレイ
低電力で高い輝度を得ることができ、視認性、応答速度、寿命、消費電力の
点で優れており、液晶ディスプレイのように薄型にすることができる。携帯
電話やカーナビなどの画面に使用されており、液晶やプラズマディスプレイ
などに代わる次世代の薄型ディスプレイとして期待されている。
A.2 モニタ(ディスプレイ)の解像度とアスペクト比について
用途
名称
解像度
アスペクト比
標準
320x180
16:9
QVGAサイズ
320x240
4:3
NTSC
720x487
4:3
PAL
720x576
4:3
HD
1280x720
16:9
地上デジタル
1440x1080
16:9
フルHD(2K)BS放送
1920x1080
16:9
4K
3840x2160
16:9
8K
7680x4320
16:9
QVGA
320x240
4:3
VGA
640x480
4:3
WVGA
800x480
5:3
SVGA
800x600
4:3
XGA
1024x768
4:3
WXGA
1365x768
16:9
SXGA
1280x1024
5:3
UXGA
1600x1200
4:3
WUXGA
1920x1200
16:10
低解像度テレビ
(ワンセグ)
標準精細度テレビ
(SDTV)
テレビ放送
高精細度テレビ
(HDTV)
超高精細度テレビ
(UHDTV)
コンピュータ
-6-
SES E 3004-3
A.3 アナログ・ビデオ信号インターフェースについて
信号 信号
色信号
端子名称
主な規格
主な用途
の
の
形式
種別 形態
コンポジット信号
RCA 端
子
NTSC
PAL
SECA
M
伝送
距離
VHS など
30m
程度
S 端子
JEITA
CP-1203A
S-VHS
など
10m
程度
BNC
SMPTE
170M
S-VHS
など
100m
程度
DVD など
30m
程度
RCA 端
子
アナログ信号
YCbCr
/
YPbPr
コンポーネント信号
RGB
D 端子
JEITA
CP-4120A
デジタルチ
ューナなど
10m
程度
BNC
EBU N-10
SMPTE
274M
業務用機器
100m
程度
D-Sub
(VGA 端
子)
VESA NAVI
パソコン
など
15m
程度
DVI-A
DDWG
NAVI
パソコン
など
30m
程度
BNC
SMPTE
253M
274M
業務用機器
100m
程度
-7-
SES E 3004-3
A.4 デジタル・ビデオ信号インターフェースについて
信号 信号
色信号
端子名称
主な規格
の
の
形式
種別 形態
YCbCr
主な用途
伝送距離
5m
HDMI
HDMI
ブルーレイ
ディスク
など
IEEE1394
IEEE1394
ビデオカメ
ラなど
4.5m
BNC
SMPTE
259M
292M
業務用 SDI
機器
100m
HDMI
HDMI
ブルーレイ
ディスク
など
5m
DVI-D
DDWG
NAVI
パソコン
など
5m
DisplayPort
VESA
DisplayPort
パソコン
など
15m
BNC
SMPTE
292M
業務用 SDI
機器
100m
/
YPbPr
コンポーネント信号
デジタル信号
RGB
A.5 VESAマウント規格の種類について
VESAマウント規格
取付けピッチ
MIS-B
MIS-C
MIS-D
MIS-E
MIS-F
20mmx50mm
35mmx75mm
75mmx75mm
100mmx100mm
100mmx200mm
200mmx200mm間隔
モニタ(ディスプレイ)
重量
2Kg以下
4.5Kg以下
14Kg以下
モニタ(ディスプレイ)
サイズ
4~7.9インチ
8~11.9インチ
12~22.9インチ
23.7Kg以下
113.6Kg以下
23~30.9インチ
31インチ以上
-8-
SES E 3004-3
審議委員会 : 映像監視分科会
主査
: 三澤 賢洋 (公益社団法人日本防犯設備協会)
石井 正広
(アイホン株式会社)(起案担当者)
藤井 慶太 (NECプラットフォームズ株式会社)
菱沼 正宏 (TOA株式会社)
宇都宮 孝志(東芝テリー株式会社)
細川 昇
(株式会社日立国際電気)
ネット審議委員:映像セキュリティ委員会
事務局 : 関根 晨貴 (公益社団法人日本防犯設備協会)
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SES E 3004-3
映像用モニタ規格
発
行
2016 年(平成 28 年)2 月
編
集
公益社団法人 日本防犯設備協会 映像監視分科会
この規格は、著作権法で保護対象となっている著作物です。本書に記載の内容
を転載される場合は、事前に(公社)日本防犯設備協会の承諾を得てください。
この規格についての意見又は質問は、(公社)日本防犯設備協会 事務局にご連
絡ください。
なお、SES E 規格は、少なくとも 5 年を経過する日までに(公社)日本防犯設備
協会 委員会運営会議の審議に付され、速やかに、確認、改正、廃止されます。
発行所
公益社団法人 日本防犯設備協会
〒105-0013 東京都港区浜松町 1-12-4(第 2 長谷川ビル)
TEL:03-3431-7301 FAX:03-3431-7304 E-mail:info@ssaj.or.jp