2010 No.46 3 Yokohama National University 特集「卒業号」 写真:常盤台キャンパス全景 2010年 No.46 横浜港、みなとみらい21地区やベイブリッジを望む 8 退職雑感 目次 特集『卒業号』 教育人間科学部 2 卒業生・修了生に贈る言葉 新井 実/江藤 哲人 金井 淑子/鈴木 勝久 工学研究院 石井 六哉/田村 明弘 学長 鈴木 邦雄 教育人間科学部長 小野 康男 環境情報研究院 藤原 一繪 理事・副学長 國分 泰雄 経済学部長 大門 正克 大学教育総合センター 坂田 俊策 理事・副学長 溝口 周二 経営学部長 八木 裕之 卒業生・修了生からのメッセージ 10 理事・事務局長 竹下 典行 国際社会科学研究科長 池田 龍彦 受賞関係 12 理事 有信 睦弘 工学部長・工学府長 石原 修 副学長 山田 均 環境情報学府長 有馬 眞 お知らせ 12 校内ニュース 14 Campus News 01 卒業生・修了生に贈る言葉 「学びの果実」を大切に 横浜国立大学長 鈴木 邦雄 無駄ではないのです。社会状況の変化や技術のイノベーショ ンが進んだとしても、年月が経過したとしても、学問や物事 の基礎はいささかも変化しません。 大学で学びと技術の基礎を習得した皆さんは、社会で必要 とする人材・社会で活躍する人材として日々成長していくこ とと期待しています。その際、様々な困難、課題を自分で考 え、解決し、克服していく能力、「人間力」の様なものが必 要となります。そして、時代とともに変化する社会とその価 値観を敏感に感じ取れることも大切です。 そこで、ご卒業・修了される皆さんに、有名な環境学者の レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」という 言葉を送ります。カーソンは、化学肥料を多用することによ る生き物や自然への影響を書いた1960年代後半のベストセ ラー『沈黙の春』の著者です。「センス・オブ・ワンダー」 の意味は、神秘さや不思議さに目を見張る感性のことです。 子供のころに誰もが豊かに持っている美しいもの、不思議な もの、進歩的なものを見つけ、喜び、驚くという「感じるこ ころ」を常に持ち続け、失ってはいけないと説いています。 自然や社会について、常に関心を抱くことは、変化を実感で きるだけではなく、豊かな創造性を醸成したり、物事の仕組 みや本質を知るための近道であり、大学で学んだ基礎との接 点にもなります。 皆さん、ご卒業・修了おめでとうございます。教職員一同 「センス・オブ・ワンダー」を持ち続けるためには、心身の とともに、心からのお祝いを申し上げます。また、ご家族・ 健康を維持することも欠かせません。心身の健康は最も基本 保護者の方々には、これまでのご苦労と本学へのご協力に感 的な力であります。生き物である人間であることは、ともす 謝し、併せてお慶びを申し上げます。 ると忘れがちとなりますが、絶好調で上り坂の人生を歩める 横浜国立大学の学部、大学院及び専攻科において、数年とい 時もありますが、スランプや窮地に陥った時にでも、研ぎ澄 う年月ではありますが、学生生活を過ごされ、先生方の温かい まされた感性と心身の健康維持に努めることをお願いします。 薫陶を受けるととともに、ご家族や学友達の協力や励まし、忘 21世紀を迎えた現在、地球も、人類も、日本という国家 れがたい青春のよき日の思い出を胸に抱いて巣立って行かれる も、そして横浜という地域も、さまざまの課題を抱え、大き ことと思います。しかも、皆さんは、本学が開学60周年を迎 く動いています。これからの21世紀という時代を担う皆さ えた記念すべき2009年度の卒業生・修了生であります。 んに期待するところきわめて大であります。将来は皆さんの さて、皆さんは、小学校、中学校、高等学校と、大学院生 奮闘にかかっているといっても過言ではありません。 は大学も含めて、何度か「卒業」を経験してきました。しか 結びになりますが、横浜国立大学は、卒業生・修了生を重要 し、大学を卒業することは、次の段階の資格を持つというこ な構成員と考えています。勉学や仕事上でのアドバイスを必要 と以上に、特別の意味があります。学士の学位記は、横浜国 としているとき、また、ホームカミングデーは勿論のこと、何 立大学において学問・物事の基礎を習得したことを証明する 事が無くても、横浜国立大学やお世話になった先生を訪ねるこ ものです。また、修士・博士の学位記は、学びを研究成果に とがあれば、母校は皆さんを暖かく迎えることを約束します。 展開させたことを証明するものです。 横浜国立大学で過ごした年月を今後とも大切にしてください。 社会に出てすぐに大学での学びの果実を生かす仕事につけ 重ねて本日の学位記授与を祝し、新しい旅立ちをされる皆 ることは少ないのかもしれません。また、企業組織や社会の さんのご健康といよいよの発展を心から祈念し、また、グロ 中核となり、活躍する頃には、社会状況の変化や技術の進歩 ーバル化した21世紀において、皆さんが時代の担い手とし によって、大学で習得した技術やノウハウは、そのままでは て、社会をイノベートする人材として活躍をされることを期 生かせないかもしれません。しかしながら、大学での学びは 待しています。 02 Campus News 卒業生・修了生に贈る言葉 『かもの法則』より『たいの法則』を 理事(総務・研究担当) ・副学長 國分 泰雄 大学を卒業される皆さん、あるいは大学院を修了される皆 につながるというポジ さん、おめでとうございます。皆さんは勉学の甲斐あって、 ティブシンキング、あ これからさらに大学院に進学される方、あるいは社会人にな るいはイメージトレー られる方、ともに人生の節目の日を迎えられた訳です。この ニングの勧めです。た 節目は皆さんにとって「勉学期間の終わり」ではありません。 しかにその通りです。 数年後に大学院を修了する人も勉学期間は終わりません。社 しかし、本学で学んだ 会に出ても自己研鑽を積み、困難に遭遇しても自分で考えて 皆さんは、創造性とリ 解決する過程を経験して、人は常に成長し続けます。勉学は ーダーシープを発揮で 単に知識を授けてもらうだけではなく、勉めて学ぶ姿勢は何 きる力を備えて卒業し 歳になっても、どのような状況でも必要だからです。そして、 ようとしていますので、もっとポジティブなはずです。創造 人間は自ら考えて問題解決のプロセスを改善することに悦び 的であるためには常に強い意志を持つことが必要になりま を感じることが出来るのが、結果を最適化する事を目標にプ す。本当に出来るかどうか分からないことを実現するには、 ログラムされるコンピュータとは異なるところです。学ぶ事 意志をもってやり遂げないと、誰も作ったことのない物を創 と考える事の大切さ、愉しさが分かったら、それを次の世代 り上げたり、誰も実現したことのない目標を達成したりでき ・・ ません。つまり、「○○になれるかもしれない」、「○○を実 ・・ ・・ 現できるかもしれない」よりも、「○○になりたい」、「○○ ・・ を実現したい」と考えるのが、本学の卒業生にはよりふさわ にも伝えて下さい。それが、先人の知恵と努力の上に築かれ てきたこの人間社会を持続発展させる基本だからです。 ところで、標題のような「法則」など聞いたことがないと いう人のために解説をしますと、『かもの法則』とはお正月 しい考え方です。 に斜め読みした本の題名です(西田文郎著、現代書林。結構 社会への船出は海図のない航海のような不安もあるでしょ 売れ筋の本のようで、『成功する○○の法則』というような うが、これからの人生は全て皆さんが自ら方向を決めて切り ジャンルの本では上位20位以内に入ったようです)。内容は、 拓くしかありません。その道筋では、これまでに誰も遭遇し 著者には申し訳ありませんが非常に要約してしまえば、自分 たことのない課題に直面するでしょうし、むしろ自ら課題を の将来を考えるときに「本当に○○になれるだろうか」とか、 見つけるところから始まります。皆さんはきっと、これまで 「もしかしたら○○になるのは無理かも知れない」と考える ・・ よりは、「もしかしたら○○になれるかも知れない」とポジ ティブな考え方をした方が、無意識に自分で努力して目標に 近づける、そしていつの間にか願いが叶っている、良い結果 培ったさまざまな知識や能力をフルに発揮して、さらに考え 抜いて自ら解決するでしょう。きっとできると自らを信じて、 ・・ ・・ 「○○になりたい 」、「○○を実現したい 」の意志を忘れず、 課題に果敢に挑戦して下さい。健闘を祈ります。 『日々新たに』 理事(教育担当) ・副学長 溝口 周二 皆様の卒業および修了に心からお祝いを申し上げます。ま 知識とは学問や理論 た皆さんを慈しみ、育んでこられたご家族をはじめ、学業の から帰納的に導かれる 成就を支えてこられた方々にもお慶びを申し上げます。 「知」と経験や認識か 入学してから卒業や修了までの時間経過の早さにもひとし ら演繹される「識」が お感慨深いものがあると思います。これから就職、進学へと 統合化された概念と考 向かう新しい人生の門出に、餞として「日々新たにされて、 えられます。後天的に 真の知識に達する」という言葉を贈ります。 獲得された知識を吟味 皆さんは大学で学問の基礎から応用まで幅広い知識を身につ し、取捨選択して咀嚼 け、能力や理解力を研ぎ澄まして新しい門出に備えていると思 するプロセスが自己の います。一方、私たちの周囲では自然、技術、政治、経済等の 中で日常化すれば、これは真の知識となり、知恵となって皆 環境条件がめまぐるしく変化しており、昨日の「自分」では今 さんを昨日の「自分」とは異なる存在に変化させてくれると 日の変化に対応できない虞もあります。これを回避するために、 思います。卒業や修了を知の探求の新たな出発点に定め、目 古い「自分」に属する知識や経験を脱ぎ捨て、時代に適合した 標を高く、真の知識を求めて日々新たに精進して下さい。 知識を日々獲得して、明日の「自分」を形成する必要がありま す。こうした知識に対する絶え間ない創造的破壊作業によって、 皆さんは常に新しい知識を身につけ、真の知識に到達するプロ セスをたどることができるようになります。 Campus News 03 万物は流転し、常に変化します。志を持って、自己の実現 を図るために努力すれば道は自から開けます。 今後の皆さんの大いなる活躍と豊かな人生を心から願って やみません。 卒業生・修了生に贈る言葉 「主役はだれ?」 理事(財務・施設担当) ・事務局長 今春、学部卒業・課程修了される皆さん、おめでとうございます。 新たなスタートに向けて希望を膨らませ、またいい意味での緊張を 感じていらっしゃることと思います。 私も30年ほど前、大学を卒業し、社会人として職場に入るまでの間、 どのような生活が待っているのかと不安ながらもわくわくしていたこ とを思い出します。 当時は今では考えられないような「学歴社会」。大学で何を学んで きたかという「学習歴」ではなくどこを卒業したかという「学校歴」 が幅を利かす時代でした。仕事に必要な知識は職場で教育するから、 大学では「余計な」ことは学んでこないほうがよいとまでされた時代 でした。信じ難いでしょう? いまや、就職するには大学時代何を学んできたのかが問われ、そし てあなたはどういう人間かを繰り返し聞かれ、試され、自分の存在・ 人間性を否定されるがごとき試練をくぐりぬけて就職を勝ち取らなけ ればならない、本当に厳しい時代です。世の中の変化・変容が激しく、 職場としても困難な状況を切り拓いていく創造力、企画力そして強い 意志をもった人、またCSR(企業の社会的責任)をまっとうしていく うえで相手の立場、考え方・ものさしに想像力を働かせることのでき る人、共感力、優しさを備えた人が求められるのでしょう。そう。一 人ひとりのトータルな人間としての力が問われ、そのうえでチームと してものごとを進めることのできる人が求められているのです。 皆さんの参考になるかどうか分かりませんが、私の社会人新人から 数年たってのことをお話します。私が仕事を進めるに当たっての原点 となるものの考え方を学んだ時期です。 20数年以上前、富山県庁に勤めたときのことです。いまではどこの 地方自治体でも当たり前ですが、富山県は明治時代から計画をたてて それに拠って自治体行政を進める先進県でした。富山に赴任した頃、 竹下 典行 丁度、次の10年間の総合計画を策定 しようとしていた時期でした。知事 はユニークな発想をする方で、「日 本の中心は東京と言われているが、 日本のほとんどの地域は地方であ る。日本地図を逆さにすると能登半 島が房総半島の位置に来て、富山県 が東京のところに来る。富山県は人 口112万人、全国の1%で、面積も全国国土の1%、いわば日本の縮 図である。富山県を日本のモデルになるような県づくりの実験劇場と したい。新しい県づくりの計画は、シナリオライターも、そのシナリ オに従って県づくりを進める女優、俳優も県民である。県づくりの主 役は県民である」と繰り返し語る人でした。計画の名前は富山県総合 計画でなく富山県民総合計画です。数年たって「女性問題」の担当に なりました。当時はまだ、今は殆ど使われない「婦人問題」と言って いた頃です。ある施策を考えるのに私の方はいろいろな本を読み、い ろいろな人の話を聞いて「これでいこう」と決める。一方、私のサポ ート役たるパートナーの職員は私のような勉強、準備をしていないの に、出す結論はいつも私と同じです。勉強もしているように見えない のになぜ同じ結論を出せるのか悔しさ半分、彼に聞いてみました。す ると彼は「私はいつも県民の立場でどうすれば一番よいのか考えてい ます」との答。目から鱗が落ちたように感じました。以来、私にとっ ても、県民の目線でものを考え、「主役は県民」というのが仕事を進 めていく上でのモットーとなり、そして富山を離れた後も、新しい仕 事に就くたび、「主役は誰か」を自らに問いかけ、その主役が「生き る」ことを基本に考えるようになりました。富山での5年間は私の人 生にとって宝物です。皆さんも宝物を見つけられるよう願っています。 卒業生・修了生の皆さんへ ―大学で身に着けたCompetencyを生かす時が来ました 理事 (国際担当)有信 卒業生、修了生の皆さん、社会への旅立ちの時を迎えて、期待と 不安があい半ばという状態かもしれません。まずは御卒業・御修了 おめでとうございます。今までの人生の半分以上を企業で過ごした 限られた経験からではありますが、皆さん方に期待することを記し て餞としたいと思います。 アンケートの結果によれば、企業が皆さん方に期待していること の第一は、大学で身につけた知識を応用して問題を解決する能力で す。今までは、大学院で研究する問題の一部を除いては、答の用意 されていない問題に行き当たることは稀だったかも知れません。し かし、これから出くわす問題の大半には用意されている答はありま せん。教育によって身に着けた知識、今までの経験から昇華された 知識など、あらゆる知識を総動員して答を創り出していくことが求 められます。答を作り出していく能力が皆さん方の社会での Competencyになります。 問題を解決するためには、問題を構造化し、解決すべき課題を明 確にする必要があります。その基礎となるのは論理的思考です。あ るものをあるがままに見ること、それらの関係を論理的に位置づけ ることが問題の構造化につながります。問題を自分の都合の良いよ うに解釈したり、人の意見を鵜呑みにしていては問題の本質を捕ま えることは難しいということを、大学院で研究した皆さんはしばし ば経験したことと思います。 「心ここにあらざれば、見れども見えず、 聞けども聞こえず」ということに陥らないことが肝要です。 米国のGE社は航空機用のジェットエンジンを製造できる数少ない 睦弘 会社のひとつです。GE社 がジェットエンジンで利 益を得るために、どのよ うな経路で会社にお金が 入ってくるかを分析した 例があります。GE社はジ ェットエンジンを航空会 社に売って代金を得るわ けですが、そのお金は旅 行客が払う航空運賃が旅行業者などの様々な価値連鎖を経た後に航 空会社を通じてGE社に至るのです。このお金の流れを止める最大の 要因が欠航であることを把握したとき、GE社が取った対応は故障し ないエンジンの開発ではなく、早期に不具合を検知するためのリア ルタイムモニタリングシステムの開発でした。不具合の予兆を検知 したときにエンジン交換するのに必要な資金を融資するファイナン ス会社を併せて設立することにより、GE社はジェットエンジンメー カとして磐石の地位を築いたと聞いています。 ITの進歩によって人々に提供されるサービスとそのプロセスは 多様化しています。日本の製造業の性格もこれから大きく変わらざ るを得ないでしょう。あるものをあるがままに捉え、対象を構造化 し、目的を達成するための答えを作り出していくためには、深い知 識と広い視野が必要です。これらの基礎となる健全な身体を持って 新たな旅立ちをされることを期待しています。 04 Campus News 卒業生・修了生に贈る言葉 君は8勝7敗でもナンバーワンです 副学長 (評価担当) 山田 卒業、修了を迎えられ、おめでとうございます。お祝いを申 均 の技術は世界一 であることに間 し上げます。 さて、平成21年度の話題は、なんと言っても「政権交代」 違いありませ でありました。その前年の米国大統領選挙でのChange! すな ん。その他自動 わち変革の流れが、日本にも及んできたと感じられました。 車でも電気製品 ホーチミン市リエゾンオフィスにて その中で、いわゆる事業仕分けがドラマティックに報道さ でも、日本の技 れ、スーパーコンピュータの世界一の可否が話題になったの 術が世界一と言 は記憶に新しいところです。巷間での議論が巻き起こり、横 われる製品を見るのは楽しく、世界一水準を維持してゆく、 浜国大からも意見を述べる機会もありました。世界一の施設 あるいは新たな分野で世界一を目指す、ということに若い諸 を使って、世界一の業績を残す、そのチャンスを行政として 君が励んでゆかれることを、我々教職員はみんなで応援いた 提供するのは国家戦略としても、ある意味で納得できるとこ します。 ろではないかと思います。私の経験からも、世界一の経験が 同時に、世界一の技術は何処に向かうかですが、これは世 なければ、2番目に踏みとどまることも難しく、3番手以降 界中に需要があります。中国、韓国、ベトナムをはじめとす の有象無象の集団に落ちて行く可能性も大きくなるように思 る東アジア、東南アジア、社会資本整備が一巡した成熟社会 いますので、世界一を求めることは非常に大切だろうと思い の北米、全ヨーロッパで団結しているEU諸国など、完全にグ ます。 ローバルです。内向きの技術と思われていたものが、一躍世 ところで、「世界一とはなんでしょう」と聞かれたらどう 答えますか? 私の専門は土木工学で、長大橋を研究対象に しています。土木工学は、全世界で普通の日常性を実現する 技術であり、人々の生活が円滑に滞りなく行われるための縁 界的になることは珍しくありません。諸君の先輩たちも多く 国際舞台で活躍しており、そういう場での健闘も祈ってやみ ません。 しかし、世界一だけが尊いのでしょうか? 橋の世界だけ の下を支えている技術です。ところが、長大橋は少し違いま とっても、長大橋の数は微々たるものであって、諸君の生活 して、横浜ベイブリッジやサンフランシスコのゴールデンゲ はむしろ無名の多くの橋梁群に支えられています。 ート橋の例を引くまでもなく、映画やドラマの名シーンの背 急に話は飛びますが、諸君は「巨人・大鵬・卵焼き」とい 景にもなる目立つ存在です。ここでの世界一は長さです。最 う言葉をご存じでしょうか。これは1960年代前半の流行語 近まで、斜張橋(しゃちょうきょう)では我が国の多々羅大橋 で、当時の子供の好きだったものです。「巨人」とは言うまで が世界一でしたし、同じく明石海峡大橋は完成以来10年以 もなく、プロ野球のジャイアンツのことで、王・長嶋などの 上にわたり吊橋で世界最長の座にあります。つまり、最近で スター選手が活躍していました。「大鵬」は当時の横綱です。 こそ欧州、中国に脅かされていますが、これらを作った日本 私もテレビ中継でよく見ましたが、負ける姿が想像できない くらい強い横綱でした。15戦全勝もたびたびあったし、一場 所14勝以上が当たり前という感じでした。 ところがその大鵬が、引退して親方になってからあるとき 「人生は8勝7敗でいいんだ」と言ったそうです。彼自身健康 問題を抱えていたから、そう言ったのでしょうが、あの常勝 横綱が、と考えると、奥深いものを感じます。 人生を15日間の土俵に例えるなら、諸君は、本学を卒業し、 それぞれの進路へ船出した時点で、もう6〜7勝くらいの星 は挙げています。中にはそのまま勝ち続け、15戦全勝で世界 一になる人もいるかもしれません。しかし、あと1勝を挙げ るのに苦労して、黒星が続いてしまう人もあるかもしれませ ん。でもそういう時、あきらめないでほしい。8勝7敗でも 勝ち越しなのです。人生の最後に、白星を挙げて勝ち越す人 だっています。そして社会はまさに、8勝7敗前後の人々に 支えられて機能しているのです。無名の橋梁が、君の町への 財・サービスの流れを支え、あなたと世界とを結ぶルートを 保障しているように。 Campus News 05 卒業生・修了生に贈る言葉 卒業生・修了生に贈る言葉 教育人間科学部長 先日、フォークシンガーの三上寛さんをお呼びしてライブとトー クをしてもらう「大学生にひらく夢などあるじゃなし」という学生 企画の授業がありました。そのとき三上さんとトークする機会があ りました。三上さんは1971年のデビューで、アングラ(アンダ ー・グラウンド)と呼ばれる潮流の中でも異彩を放つ人でした。代 表作の「ひらく夢などあるじゃなし/三上寛怨歌集」はいま聞いて も強烈です。放送禁止語満載ですが、お話ししてて、とても知性的 な方だと思いました。本物の詩人です。「怨歌」と書いてフォークと 読ませる機縁となった唸り声とも吠え声とも取れる声も、とてもコ ントロールされてて、優しくきれいな声をもって生まれた人の照れ 隠しみたいな感じがしました。 さて、感想を書き連ねていても、卒業生と修了生の皆さんに贈る 言葉になりません。本題につないでいきましょう。三上さんの話で、 皆さんに贈る言葉を考えるヒントをいただきました。三上さんは青 森の出身で、東北の情念、怨念といった言葉に包まれてきました。 トークで印象に残ったのは、青森はほかの県や地方からいっぱい人 が入ってきている、人が自分の根と考えているのは、昔からずっと 続いているものを指すのではなく、時間の中で作り直されて、それ 小野 康男 だからこそ持続するものを指すの だというお話でした。 三上さんが2000年に書いた自 伝『怨歌に生きる』で、彼が師と 仰ぐ詩人で劇作家の寺山修司さん の死後、青森に帰郷したとき、 「一番驚きビックリしたことは、 帰郷して目に入ってくる故郷・青 森県の景色が変わって見えたこと だった」と書いています。三上さんはずっと師の寺山修司さんの目 で自分の故郷を見ていた。そのフィルターが外れたとき、故郷=起 源は人々の営みの中で繰り返し練り上げられていたことを改めて発 見したのだろうと思います。このとき三上さん50歳。私も50歳の ころスイッチが切り替わる経験があったように思います。そして、 組み直しは、いつもすでに行われていたのに気づきました。私と世 界との関係は粘土のように柔軟な可塑性のうちにあったことに気づ いたのです。自分の可塑性を信頼して、これからの人生を歩んでく ださい。 シンプルだが大事なことに気づいた4年間 経済学部長 学部の卒業生のみなさん、卒業おめでとう。大学院生の皆さん、 修了おめでとう。 毎年、春が近づくと、卒業生や修了生の今までを振り返ります。 ゼミナールに所属した一人ひとりの顔を思い浮かべ、来し方行く末 を案じます。 今年の卒業生でとくに印象に残ったのはY君でした。2年生の後 半から私のゼミナールに入ってきたY君は、決して器用なタイプで はなかったのですが、ゼミに真面目に取り組み、最後にとても素晴 らしい卒業論文を仕上げました。 現代経済史を勉強する私のゼミナールでは、夏合宿のうち、2年 に1回は遠方に出かけ、地域経済の歴史と現状を学びます。Y君が 3年生の2008年夏には九州の大牟田・北九州で炭鉱・鉄鋼・環境 問題の調査を行いました。地域の調査合宿は、ゼミ生の出身地への 関心を呼び起こします。Y君もそのひとりでした。 私のゼミでは3年生の終了時に12,000字の単位論文に取り組み、 4年生では32,000字の卒論を仕上げます。岡山県出身のY君は、 単位論文で群馬県みなかみ町の町おこしを取り上げ、卒論では満を 持していたかのように倉敷市を対象地に選びました。「倉敷美観地区 から見る観光地としてのまちづくり」、これがY君の卒論タイトルで す。美観地区の歴史を近世から現代までときおこし、地域に眠る歴 史のなかに現在のまちづくりにつながる人びとの営為を探る。その うえで、倉敷市のまちづくりに注いだ行政と地域住民の取り組みを 資料とインタビューで構成し、最後に他地域の事例と比較して美観 大門 正克 地区の展望を探る。全3章の卒論 は、歴史(タテ軸)と他地域との 比較(ヨコ軸)の組み合わせから 展望を得ようとするものでした。 Y君は卒論でシンプルですが大 事なことに気づきます。それは、 「経済の活性化ばかりが地域を元 気付けるのではなく、地域に根付 いている人々の生活や景観、文化 などを包括した暮らしを守り育てていくことも活性化である」こと を再認識したことです。まちづくりで必要なことは、「観光地として の町」だけでなく、「住民が安心して暮らせる町」との両立である。 いいかえれば、まちづくりでは「経済原理」と「暮らし」の両立こ そが必要なのだ。調査合宿から単位論文、卒業論文に至る長い道の りのなかで、Y君は、経済を勉強するうえで、シンプルだが大事な ことに気づいたのです。講義やゼミで勉強したことを体得した卒論 に出会えることは教師冥利につきます。卒業生の少しまぶしい成長 ぶりを見ることができた瞬間です。 大学や大学院での道のりは試行錯誤のなかにあったかもしれませ ん。しかし、今までの道のりには必ず財産があり、発見があるはずで す。その財産と発見に確信をもち、これからの新しい道をあゆんで ください。 サステナビリティ社会に生きる 経営学部長 ご卒業おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。皆さん が船出される経済社会はかつてないほどの大きな変動の時代を迎えて います。特に、21世紀に入ってからは、経済成長を中心にした社会 から、経済・環境・社会の持続可能性を重視したいわゆるサステナビ リティ社会へと大きく転換しようとしています。サステナビリティ社 会で生きる私たちには、さまざまな考え方や価値観を視野に入れなが ら、自分自身や所属する組織や社会の将来の方向性を考えていくこと が求められます。 そこでは、今までの時代以上に、社会人として継続的に学び続ける ことが必要になります。皆さんが学生時代に取り組んだ経営学は、社 会人になっても一生学び続けることのできる学問領域です。皆さんは 大学生活で多くの知識を習得し、貴重な体験をしてきました。社会で の経験は、実践性を加味することで、これらの知識を実り豊かなもの にしてくれると思います。サステナビリティ社会では、こうして習得 した専門的知識を絶えずブラッシュアップすると同時に、専門分野や 所属する組織を複眼的に見つめ直すために、さらにさまざまな分野の 知識を学ぶことが必要になってきます。私が演習を担当しているビジ ネススクールでも、多くの社会人が社会で直面した問題の解決策を探 るために、熱心に研究に取り組んでいますが、彼らの真摯な姿勢に圧 八木 裕之 倒されることもしばしばです。皆 さんも、ぜひ、これからも学び続 ける姿勢を持っていただきたいと 思います。また、サステナビリテ ィ社会では、企業の常識と社会の 常識、日本の常識と世界の常識の 垣根がますます低くなっていきま す。そこでは、個々人が社会人と しての感性を磨くことが大事にな ります。そのためには、所属する組織の人たちはもちろんのこと、家 族、地域の人々、大学の同級生、海外の友人などさまざまな人たちと のコミュニケーションやネットワークづくりが必要になります。理解 できない価値観や考え方に直面し、コミュニケーションを通してお互 いの存在を認め合うことで、自らの考え方を再認識し、新たな気づき を得ることができます。こうして形成された社会人としての感性は、 仕事はもちろんのこと、皆さんの生活や社会を実り豊かなものにして くれるものと思います。 サステナビリティ社会は始まったばかりです。皆さんの知性と感性 で新たな時代を切り拓いていってください。活躍を期待しています。 06 Campus News 卒業生・修了生に贈る言葉 大きく拡がる小さな世界 国際社会科学研究科長 卒業・修了おめでとうございます。緑豊かなキャンパスで勉学やク ラブ活動に励み、知識、経験や友人を得て、新しい道に進むみなさん を心より祝福いたします。 これまでは社会との接点は持ちつつも大学内での活動が中心だった と思います。また、社会人から大学に戻った人はそれを新鮮に感じた ことでしょう。大学生活を終え社会に出るとその活動範囲が拡がり、 未知の世界やさまざまな人々との接点が飛躍的に拡大して行きます。 そこで是非実行してほしいことがあります。それは、人との出会い を大切にすることです。キャンパスでは日本人学生、留学生そして教 職員とのさまざまな出会いがあったことでしょう。これからは更に多 くの世界中の人々との出会いが待っています。その過程で、お互いの 違いを認識することが重要です。そうすることにより相手を理解する ことができ、親しさが増すものです。そして、出会いの後には必ず別 れがあるものです。今は卒業・修了にあたり友人や恩師との「別れ」 を経験していると思います。しかし、その後にはまた再会があります。 そして、思わぬ時に「再会」することもあります。 私もこれまで数え切れない出会いと再会を経験してきました。例え ば、35年前の米国留学時に親しくなったクラスメートと、10年後に フィリピンのアジア開発銀行で再会しました。留学時代にはまさか同 じ職場で4年間も一緒に働くとは思ってもみませんでした。更に20 池田 龍彦 年後の今年、スタディツアーでゼブ島 を訪れたときにも会い、出会いの大切 さを学生とともに味わいました。また、 ボスニア・ヘルツゴビナでJICAの開発 調査を行った際に意気投合した同国の 運輸次官とは、その1年後に北九州市 で偶然出会いました。何気なく目に入 った外国人に声をかけて実現した奇跡 的な再会で、大男同士が抱き合って喜 びを分かち合いました。 It s a small world. なのです。この世は自分を取り巻く小さな世界が、限りなく 拡がって行く世界だと思います。出会いは宝物です。多ければ多いほ ど宝物は蓄積して行きます。更に、友人同士が既に親しい間柄だった ことに驚かされることも多く、改めて「小さな世界」を実感します。 その不思議さを是非楽しんで下さい。 法科大学院を修了したみなさんは5月には司法試験が予定されてい ます。目標に向かって全力を尽くしてください。そして法曹として大 いに社会に羽ばたいて行って下さい。 卒業・修了するみなさんの活躍と実り多き豊かな人生を心より願っ ています。 名教自然を胸に未来へ 工学部長・工学府長 横浜国立大学工学部を卒業される皆さん、そして大学院工学府を修 了される皆さん、卒業・修了おめでとうございます。昨年、横浜は世 界に向けて窓を開き開港してから、150年を迎えました。その横浜の 地で、わたくしたち横浜国立大学工学部では60周年を迎え、今年は 工学部の前身である横濱高等工業学校創立から、90周年を迎えよう としています。京浜工業地帯という日本の産業の中心で生まれ、その 90年の歴史の中で、われわれの先輩はこの開港の地ヨコハマから、 日本の社会に貢献すべく、また世界に羽ばたくべく、キャンパスを離 れて後も、さまざまな活躍をしてきました。今度は君たちがその仲間 入りをすることになるのです。今回卒業するみなさんを加えて工学部 卒業生は28,000人を超えました。そして修士修了生は9,800人を超 え、博士修了生は800人を超えました。 みなさん、常盤台キャンパスにある「名教自然」の四文字の刻まれた 碑を覚えておいてください。横濱高工の鈴木煙洲初代校長の、自由啓 発の精神を表すその言葉が我々の伝統を表しています。名教はすぐれ た教えという意味ですが、すぐれた教えとは人として守るべき道を明 らかにする教えでもあります。その言葉を卒業、修了とともに胸の中 に刻んでおいてください。卒業式、修了式は英語ではCOMMENCEMENTと呼ばれます。それは『始まり』という意味です。卒業・修了 石原 修 して、さらに大学に残り勉学を続 ける人、社会に出る人、みんなそ れぞれ常盤台で得た人生の糧を、 大きく育ててください。 名教は自然にあります。いつも 心を開いて、自分を大切にしてく ださい。 Procrustean bed (プ ロクルステスのベッド)を持って いてはいけません。ギリシア神話の盗賊プロクルステスは不思議なベ ッドを持っていました。そのベッドに寝ると誰でもぴったりのサイズ になるというのです。実はプロクルステスは旅人を言葉巧みに誘って、 ベッドに寝かせ、ベッドが大きすぎると旅人の脚を引っ張り伸ばし、 またベッドが小さすぎると旅人の脚をちょん切ったといいます。強引 に物事を型にはめないで、自由な発想で構えてください。皆さんは横 浜で工学を学びました。Engineeringという言葉にはひらめきという 意味が含まれていて、ingenious(生まれながらの才能を有する)という 言葉につながっています。人としての自分を大切に、持って生まれた 才能をいかに開花させるか、それは自由な発想に基づいています。名 教自然を胸に、未来へ向かってさあ出発です。 皆様の船出にエールを贈ります 環境情報学府長 卒業・修了おめでとうございます。新しい航海に出発される皆様 にエールを贈るとともに、皆様の活躍をおおいに期待しております。 皆様の旅立ちにあたり、南極大陸横断探検隊のリーダーであった アーネスト・シャクルトンの言葉を紹介したいと思います。1914年、 アーネスト・シャクルトンはイギリス南極探検隊を組織し、ウェツ デル湾から南極点を経由して南ロス海に至る3,000kmの南極大陸横 断を目指しました。シャクルトンが、隊員を募集した言葉は次のよ うなものであります。 Men Wanted: For Hazardous journey. Small wages. Bitter cold. Long months of complete darkness. Constant danger. Safe return doubtful. Honour and recognition in case of success. シャクルトン隊は、南極大陸に到達する前に困難に遭遇し、その後 22ヶ月、隊員募集の言葉通りの つらく厳しい旅 を体験すること になります。砕氷船エンデュランス号が海氷に閉じこめられ沈没した ため、彼らは船を捨てエレファント島にたどり着きます。しかし食料 が底をつき始めたため、助けを求めて22名の仲間をエレファント島 に残し6名の乗船員と僅か7mの小舟で、サウス・ジョージア島を目 指します。かれらは、1,500kmのドレーク海峡を渡りサウス・ジョ ージア島に到達します。 英国へ帰国後すぐに、シャクルトンは仲間の救出のため何回かの 救助航海を試みます。そして、エレファント島を出発した22ヶ月後、 Campus News 07 有馬 眞 4回目の航海で22名 の隊員を全員救出した のであります。私は、 シャクルトンの南極横 断探検に、困難を切り 開く強い意志と希望、 冷静な判断と決断力、 カメルーン熱帯雨林での地質調査のおりTALLA TAKAM君と 優れたリーダーシッ プ、そして仲間の信頼を見るものであります。 皆様はこれから新しい航海に出発します。この航海はいつも順風満 帆であるとは限りません。グローバル競争社会は激しく変容していま す。皆様の前途には、地球温暖化と気候変動、情報化・グロバリゼ ーション・イノベーションによる社会の急速な変化、環境破壊、食 料・人口問題、エネルギー・資源問題等々、複雑で解決が困難な問 題が横たわっています。多くの国々で、新しいパラダイムを基軸と する挑戦が始まっています。複雑で解決が困難な多くの課題が横た わっていますが、皆様が希望と強い意志を持ってこれらの問題に真 正面から向き合い、実力を充分に発揮し、問題の解決・改善に果敢 に挑戦してくださることを期待しております。 皆様が、輝かしい未来のために世界に羽ばたき、魅力ある人生を 送られることを大いに期待しています。皆様のご健闘を祈ります。 退職雑感 「名教自然」 教育人間科学部 教授 新井 実 私が横浜国大に拾われたのが昭和50年2月1日で、弘明寺の工学部でした。し ばらくして常盤台キャンパスに統合されました。平成8年に教育人間科学部に移 って13年、結局、横浜国大に35年いたことになります。 「ばり (か) 、くず、はげ、垂れ流し」というのが、ある雑誌に自己紹介した私 の研究テーマです。仲間は機械加工現場の技術者で、私はそのボスでした。教育 に移って中学校技術の教員養成をしてきましたので教員のボスになりたかった。 工学部の中央付近に「名教自然」の石碑があります。弘明寺から一緒に移って きたものです。高専の初代校長の思想だということです。三無(無試験、無賞罰、無採点)主義を良しとするらしいということをある先 生から聞いた。教育人間科学部に移って13年、これを鵜呑みに、わが技術教育講座の学生を卒業させてきた。無責任と叱られそうだが、 良かったか悪かったかは卒業生が証明してくれる。そして、私も卒業し、俳句三昧の生活に入ります。 和田坂を登り疲れて卒業す 母校在職42年間の感慨と感謝 教育人間科学部 教授 江藤 哲人 本大学の学芸学部に入学し、名称変更で教育学部を卒業し助手に奉職、教育人間科学 部で退職、実に42年間の在職でした。この間、学生時代の恩師(奉職後は上司)はじめ 諸先生方と事務職の方々に大変お世話になりました。皆様に感謝致します。大学・学部 の変遷の中で、自身の地質野外調査と職員軟式庭球部での土曜午後の運動で、心身の健 康を保つ事ができました。学生気質も大分変わってはきましたが、毎年、卒業・修了生 を送り出した後には寂しさを覚え、新入生の入学と卒論・修論生の研究室入りでリフレ 最後のゼミ生と ッシュし、学生達と一緒に学び語り合い、元気と研究・教育の意欲を貰いました。大学 も厳しい環境に置かれていますが、横浜国大は自由な雰囲気で、地道に研究と教育ができました。 このたび自分の「卒業」を迎えて、正直なところ「やれやれ」の安堵感と、そんな年月の経過をまだ実感できない感慨が交錯してい ます。これからは読書と趣味を楽しみながら自分を磨き続ける所存です。教育人間科学部はじめ本学の増々の発展を期待します。 I was here, in my lab. 教育人間科学部 教授 金井 淑子 南門に着くバスの発着に合わせて研究室と講義棟を行き来した11年、赴任したての学内で一度なら ず迷子になったことが昨日のことのよう。しかしいまもって学内のごく限られたエリアしか知らないま まだ。豊かな緑と春の桜や秋の紅葉、四季折々の構内の風景が私の身体に馴染むには横浜国大は少し広 すぎるし、それに独法化前後のここ10年、改革論議に明け暮れた学内の気忙しい雰囲気もあったろう か。とはいえ私にとってはアカデミックキャリアの最後の場面が横浜国大であったことに感謝したい。 研究教育両面で身の丈を超える様々な機会をえた。その多くをまだ積み残したままであるけれど。仕事 に追い詰められときどき研究室にスティした。身に馴染んだ場所といえばこの深夜の研究室こそ唯一私 の居場所だったといえるかもしれない。研究棟7階からの横浜MM地区の目に焼き付いた夜景とともに、それは確かに「私がここにい た」といえる場所であり時間だった。鳥の目で学内を一望できるシンボル・タワーを!そして改革論議が大きく花開くことを! レンガ坂からの眺め 教育人間科学部 教授 鈴木 勝久 私は、和田町駅からレンガ坂を登り、常盤台公園を抜け研究室まで歩いてい る。レンガ坂は129段、明治、大正期に水道管を埋設する際に、レンガ造りの 坂を作ったことからこの名があるそうだ。和田町駅から研究室までの高度差は 約50mである。横国大に赴任してから27年になり、年間150日この道を通う として、通算の高度差は200kmとなる。私の研究のスタートが、超高層大気の 発光を観測することであった。この現象が起こる高度は、およそ100km以上の 熱圏と呼ばれる領域である。ようやくこの高度に達したことになる。レンガ坂 を登りきると、西に丹沢の山を見ることができる。北端に大室山、南端に大山 が位置し、その後ろに長く裾を引いた富士山が見える。5月頃、南斜面と北斜面の雪解けの違いをはっきり見ることができ、太陽熱 のありがたさが実感できる。常盤台公園は新学期の頃、桜の花と楠の若葉が美しい。イチョウの黄葉の頃、銀杏を拾う人に出会う。 4月から、この景色が見られないのが残念である。 08 Campus News 退職雑感 大学は人生の一つの通過点 工学研究院 教授 石井 六哉 「入学おめでとう」と言われて大学に入学して、学部で卒業すれば4年間、修士課程まで行けば6年間、 博士課程まで行けば9年間大学で過ごすことになる。卒業後30年〜40年働くとすれば、これらの年限は、 長い人生の内でほんの僅かな時間である。だが、18歳で入学し20代前半から中盤で卒業する時期は、人 生にとって一番感受性の豊富な時期である。やる事を何でも強力に吸収できる時期である。この様な時期 に、失敗してもかまわないから何でも挑戦する事が必要であると思われる。これらの経験が、後にいろい ろな仕事をする上で非常に良い経験なり、知識となって役に立つ事になる。卒業式は、全員がスタートラ インに着き、人生のスタートを切るときである。スタートしてからは、失敗するとそれが負の要因として 評価されるが、大学時代の失敗やいろいろな経験は、スタートする前であるので社会に出てからまったく問題視されない。この様な理由 から、他人に迷惑がかからない限り、大学時代は勉強も含めいろいろな事を行い、いろいろな失敗やいろいろな経験を積んで、社会に巣 立っていって欲しい。 糸の切れた凧 工学研究院 教授 田村 明弘 瀬戸内海に沿う岡山市街を抜け、川沿いに山あいをバスで2時間ほど北上すると湯郷温泉に着く。私 はそこで18年間世の動きと無縁に十分に甘えて育った。父親の肩車で村湯に通い、母親の作る巻寿司 を食べた。昭和38年の3月になって慌しく上京し、その後の47年間はすべて横浜にある。慶応日吉校 舎で受験し、清水ヶ丘で一般教育、弘明寺で建築教育を受け、常盤台で教員生活を送った。良き妻を向 かえ3人の息子を育てた。 18年間と47年間は時間として繋がっているのだが、私にはあまりにも大きな段差があった。大人に なった、視野が開けたという実感は無いが、糸の切れた凧になったというところである。もちろん、故郷の諸々の風景は今でも目に 浮かぶ。 平成22年の3月も慌しい。この後の段差にどのような感覚を持つのか私にはわからないが、糸の切れた凧が更に舞い上がるのを見 つめる時間になるのだろう。もちろん、諸々の状況を時に思い出すことを楽しみにしたい。 歴史を成長にきざむ常盤台キャンパスのみどり 環境情報研究院 教授 藤原 一繪 常盤台キャンパス移転および環境科学研究センター設立とともに、昭和48年に助手 職について以来37年間、日本中を歩きみどり環境の探求で追われる日々でした。平成 2年から当時の工学研究科に参加し、さらに平成13年環境研が環境情報研究院・学府 として生まれ変わった10年間、研究一辺倒から留学生を含めた修士・博士の教育研究 指導も入れ、世界50カ国のみどりを調査してきました。その間、海外の多くの大学を アフリカ ケニアの調査で(2009年9月) 訪れましたが、米国東海岸の大学を除き、本学の様なみどりの大学は少なく、常盤台 キャンパスは、まさに世界に誇れるものであることを実感しました。常盤台キャンパス統合時の旧環境研周辺・5周年記念に植栽され たみどりの成長は、常盤台キャンパスの歴史を刻むとともに、自然再生の壮大な実験場であり、気温の調整、CO2の蓄積、生物多様性、 災害からいのちを守る場ともなっていることを修士論文で検証されました。本キャンパスは、学生・教員・職員のセンス オブ プレ イス、個性あるキャンパスから素晴らしい研究と、本学を誇り世界に羽ばたく学生を送り出し、ますます発展されることを祈ります。 煙とともに去る 大学教育総合センター 教授 坂田 俊策 昭和47年に27歳で赴任したころは、黒髪をなびかせた若者で、学生と間違われました。大 学紛争の直後で、過激派の学生たちと交渉するときは、いつも最前線で盾になりました。それ から38年間、いろいろな出来事がありましたが、すばらしい同僚や学生たちに助けられて、 無事に定年を迎えることになりました。今や黒髪のほとんどは抜け失せて、別人のようです。 しかしこの間、終始変わらなかったのは、授業中に大声を張り上げるのと、休憩中に煙草の煙 をもうもうと吐き出すことでした。隣の教室からはうるさがられ、煙草の嫌いな人たちには煙たがられましたが、この癖だけ治りま せんでした。騒音と排気ガスに耐えてくださったみなさまにお詫び申し上げます。好奇心はまだ衰えていませんので、今後も視力の 続く限り読書と物書きに没頭するつもりです。今はただ、煙草の煙のように静かにキャンパスから消え去ります。みなさま、お世話 になりました。 このほかにも、次の先生方が定年退職されます。 工学研究院 Campus News 09 小林 勝義特別研究教員、環境情報研究院 影井 清一郎教授 卒業生・修了生からのメッセージ ■ 有山 知夏 教育人間科学部学校教育課程 ■ 中野 信哉 経済学部 経済システム学科(経済コース) あっという間の4年間でした。 振り返ってみると、気が置けない 仲間や頼れる先輩、可愛い後輩な ど 人 に恵まれた大学生活だっ たと思います。また、自分でも驚 くほど子どもたちに囲まれて過ご した4年間でした。大学は、人生 の夏休みと言われるほど、自由に 時間を使うことができます。意識 して物事に取り組まなければ、た だただ時間は過ぎていってしまい ます。何でもできるからこそ、今 自分がやりたいことは何かということを見定めて、後悔のない時 間を是非過ごしてください。 山口の田舎町から横浜に出て来 た私は、未だに都会の喧騒には圧 倒されてしまいますが、豊かな緑 と開放感に溢れるキャンパスはど こか故郷を思い出させ、街並みの 華やかさには強く魅了されました。 その恵まれた環境をどれほど生か せたか振り返ると、内心は反省と 後悔ばかりです。そんな私が、こ のような形で学部を代表する場面 があるとは考えてもいませんでし た。しかし、大学生活は自分では予想もできない出来事の連続で す。光陰矢の如し。後輩の皆さんには、このような経験を通して 成長し、国大から社会へ大きく羽ばたいて欲しいです。 ■ 真竹 ■ 安間 七海 経営学部 経営学科 淑通 工学部 電子情報工学科 振り返ってみると、私の大学生 活は本当に多くの人たちに支えら れた四年間でした。ダブルスクー ルをしていたため、両立の大変さ はありましたが、それを乗り越え られたのは、家族や友人の励まし や支えがあったからです。卒業を 迎えたいま、自分の将来と向き合 って一生懸命になれた充実感と共 に、感謝の気持ちでいっぱいです。 これからも出会いを大切にして、 多くの経験を通して日々成長していけるよう努力していきたいと 思っております。大学生活がどういうものになるかは、きっと自 分次第!皆さんの大学生活が実りあるものになりますように。 今振り返ると大学での4年間は あっという間だったと感じていま す。大学での講義やサークル活動、 アルバイトなど非常に充実した大 学生活を送ることができました。 また4年生時代には研究室に配属 され、講義のように受身ではなく、 自分のテーマについて自ら文献な どを調べ、研究を進めていくとい うことは初めての経験でした。大 学卒業後は大学院に進学しさらに 研究を進めていく予定です。在学 生の皆さんにも様々なことを経験し充実した大学生活を送ってほ しいと思います。 ■ 佐藤 ■ 杉原 里佳 剛 工学部第二部 物質工学科 大学に入学してから、昼間は働 き、夜は勉強、休日はサークルで 汗を流し、長期休暇には様々な国 や地域を旅行する。とても充実し た4年間でした。5年目から研究 室に配属され、ほとんどの時間を 研究に注ぐようになり、研究は根 性だけでは進まず辛かったけれど、 少しでも良い結果が出たときの嬉 しさは費やした時間や辛さを凌ぐ ものでした。みなさんもぜひ、大 学生活の中で、一生懸命になれる ことみつけて努力してみてください。大学生活が実りの多いもの なると思います。 教育学研究科 学校教育臨床専攻 私は、他大学からこの横浜国立 大学大学院に入学しました。最初 は、さまざまなカルチャーショッ クや個性豊かな先生方、心理科の 面々のキャラの濃さに戸惑いもあ りました。また、学校に泊り込む というハードな日々に心身ともに 疲れきった時期もありました。で すが、今思えばそのような体験の 一つ一つが学びの糧となり、今後 の肥やしとなっています。特に、 この2年間関わってきた心理科という大きな家族とのつながりは 私の宝物であり、居場所となりました。後輩の皆さんも、ぜひこ こで自分の居場所を見つけてください! 10 Campus News 卒業生・修了生からのメッセージ ■ 村松 怜 国際社会科学研究科 博士課程前期 経済学専攻 大学生活は勉強にせよ、あるい は別のことにせよ、何か自分の好 きなことに徹底して打ち込むこと ができる最高の機会であると思い ます。私は学部、大学院と合わせ て6年もの間、本学に在籍したこ とになりますが、個性的な先生方 のもとで大いに刺戟を受けながら 励んだ勉強、そして仲間達との多 くの議論を通して成長することが できたと感じています。在籍され る皆さんも何か自分の打ち込んだことを通して、自身の「信念」 のようなものを持つことができるようになるよう、頑張って欲し いと思います。 ■ 丹治 健太郎 国際社会科学研究科 法曹実務専攻 ここは俗に言うロースクールです。 所属研究科名の長さに辟易しなが らも少人数で勉学に励みました。 同じ釜のメシを食べたなどと良 く言いますが、実際、私達は同じ 電子ジャーでメシを食べたのです。 巷ではロースクールは資格取得 のための大学院、いわゆる受験予 備校だと言われます。その面がな いとは言いきれませんが、より深 い何か、がここにはあります。優 れた先生、学兄に恵まれ勉学に明け暮れる日々を過ごしました。 ただ自身の生活を振り返れば大変楽しい時間ばかりを過ごして しまったことをここに白状します。 ありがとうございました。 ■ 槇田 諭 頼士 環境情報学府 博士課程後期 情報メディア環境学専攻 私は修士課程2年間と博士課程2年半 の間、環境情報学府に在籍し、数学の研 究を行っていました。大学院在籍時には、 海外で行われた国際会議に参加し、一流 の数学者たちと交流する中で、自分の研 究を深めることができました。 大学院に進学するみなさん、大学院で は自主的に動かないと研究をしないまま 2年間(3年間)が終わってしまいます。 授業や就活などで忙しいとは思います が、できる限り研究室に向かい指導教官 や他の院生と交流をし、自分の研究を継続していきましょう。 Campus News 11 国際社会科学研究科 (グェン スワン バック) 博士課程後期 国際開発専攻 I was fortunately accepted as a PhD student at the International Graduate School of Social Sciences (IGSSS) where I had a good opportunity to enhance my knowledge and research skills in an internationally recognized academic environment. Like many other PhD candidates at IGSSS, I sometimes faced numerous research challenges and had to stay up late at night to seek a solution. In such occasions, I often had discussions with my academic advisor, Professor Craig Parsons and always obtained very helpful advice. By motivating my logical thinking, he inspired my enjoyment in doing research and I eventually completed my doctoral dissertation within the timeframe I strived for. While my study was rather busy, I still had many chances to participate in various extra-curricular activities which left me unforgettable memories. Through these activities, I learned more about the Japanese people and culture. Before coming to Japan, I was mainly impressed by the Japanese post-war economic miracle, but now I realize that Japanese cultural values are equally impressive and perhaps significantly contributed to the economic miracle. ■ 近藤 敬子 工学府 博士課程前期 機能発現工学専攻 横浜国立大学に通い始めて6年が経 ちました。大学生活では本当に自由に 時間を使うことができます。それゆえ 成長の好機であると同時に、堕落の危 機と隣り合わせでもあります。私は学 部時代には友人との交流や大好きな読 書に時間を費やしてきました。また研 究室配属後は実験に没頭し、1日がと ても短く感じられる日々でした。過ぎ た時間の速さは、課題に精一杯取り組 むことができた証だと信じています。 同じく横浜国立大学で学ぶ皆さんが楽しく有意義な時間を過ごせ るよう願っています。 工学府 博士課程後期 システム統合工学専攻 「迷っているなら進んだほうが いい。そもそも選択肢に入らない 人は迷うことはない。」博士課程後 期への進学を迷っていたときにご 相談に伺った先生の言葉は、いつ も私の一歩を踏み出す後押しとな っています。思えば、学部4年時 の研究室配属でも、まだ見ぬ新任 の指導教員を研究テーマだけで選 びましたが、間違ったと思ったこ とは一度もありません。それぞれ に悩むことはあると思いますが、直観的に良いと思う道を決断さ れることを願います。 ■ 向江 ■ NGUYEN XUAN BAC ■ 石田 功 環境情報学府 博士課程前期 環境イノベーションマネジメント専攻 1971年、当時清水が丘にあった本 学経済学部を卒業し、学問の道から離 れて37年、定年後の生きがいを求めて、 大学院に入学してみたものの若い人た ちに付いていけるかどうかの不安もあ りましたが、課題のレポートや研究発 表に頭を悩ませながらも、この2年間 は充実した日々でありました。これは、 2年間にわたってご指導頂いた鈴木学 長、2年次の責任指導教員の周佐先生 をはじめとする諸先生方、ゼミの先輩、 仲間、後輩のお陰であります。この紙面をお借りして深く感謝申 し上げます。いろいろな国の留学生や日本人の若い院生たちとの 触れ合いは、とても楽しいものでした。 受賞関係 本学工学府・物理工学コース博士課程前期2年の茂呂優希君がStudent Awardを受賞 2009年12月6〜12日の期間、ハワイ・マウイ島で7th International Symposium on Atomic Level Characterizations for New Materials and Devices'09(原子レベル構造評価国際会議)が開催され、物理工学コース修士2年の茂呂優希 君(指導担当 一柳優子准教授)が、Student Awardを受賞しました。 この会議は2年ごとにハワイとアジアで交互に開催される、原子レベ ルにおける研究と応用に関する会議です。茂呂さんは Size Control of Mn-Zn Nanoparticles and Their XAFS Spectra というタイトルで放射光 を用いた磁気ナノ微粒子の局所構造の解析について紹介しました。各国 からの研究者が集う会場で、5分間の受賞講演も行いました。会期中に は昨年度ノーベル物理学賞を受賞された小林誠先生の講演もあり、夜遅 くまで議論が続く活気ある会議でした。 (工学研究院) お知らせ 情報基盤センターより ご卒業・ご修了に伴い、次の日時で各種サービスが終了しますので お知らせします。 1)情報基盤センター管理PCとプリンタ、授業支援システム、Web ファイルシステム、認証ネットワーク接続の各サービス 平成22年4月30日 (金)午後5時 各ユーザの保有データは、削除されます. 2)@ynu(○○○@ynu.ac.jp)メール、Webメール(@ynu Mail2008) サービス 平成22年7月30日 (金)午後5時※ メールのデータは、削除されます. ご卒業・ご修了された方へ <ご注意> ・本学の大学院に進学される方も削除対象となります。新しい学籍番 号のユーザIDでお使いください。 ・必要なデータ(ファイルやメール)は、USBメモリ等に各自で保存/ 移動してください。 ・サービス終了後のメールは、宛先不在 (迷子) メールになりますので、 知人等にメールアドレスの変更を通知することを推奨します。 詳しいことは、本センターのウェブサイトをご参照ください。 http://www.itsc.ynu.ac.jp/ ※下記、生涯メールサービスへの円滑な移行のための措置です。 生涯メール サービスについて 本学では、卒業生(大学院進学者は除く)・退職者を対象に、生涯メールサービスを開始する予定です。 メールアドレスは、 ○○○@ynu.jp となる予定ですが、この生涯メールサービスにおいては、現在の@ynuメール のユーザID(@ynuID)とパスワードが継承されますので、現状のユーザIDとパスワードを忘れないように十分ご留 意ください。詳しいことは決まり次第、本学のウェブサイトでご案内します。 ご卒業・修了されたみなさんへ ご卒業・修了おめでとうございます。 本学では、卒業生・修了生との連携を深めるため、大学ウェブサ イトからデータ登録を行っていただくようお願いをしています。 ご登録の特典として、抽選による記念品の贈呈や、メールマガジ ンを希望された方には、月に1回程度、電子メールで大学の最新ニ ュースや各種行事、卒業生をご紹介したウェブページのご案内など、 毎回充実した内容のメールマガジンをお届けしています。ぜひ、ご 登録ください。 登録されたデータについて、本学では、上記の目的以外の利用は いたしません。ただし、ご了承いただいた方のみ、各学部等の同窓 会に情報をお知らせいたします。 卒業生登録のお願い ○登録開始日:平成22年3月25日 (木) ※卒業式・修了式の日以降いつでも可。 ○登録方法 :下記URLにアクセスし、「卒業 生登録について」を必ずお読みの上、画面の 指示に従ってご登録ください。パソコン、携 帯電話のどちらからでも登録できます。 QRコードで 今すぐ登録! 卒業生データ登録システム https://www.jmk.ynu.ac.jp/toroku/ ご不明な点は、総務部広報・渉外室 (TEL:045-339-3027 E-Mail:press@ynu.ac.jp)にお問い合せく ださい。 横浜市の粗大ごみの処理について 卒業で引越しをする学生の皆さんへ ごみ集積所へのごみの出し方について、大学への苦情が多く寄せら れています。特に卒業時の引越しシーズンのごみの出し方については、 いつも以上に注意をし、卒業まで横浜国立大学の学生として良識ある 行動をしてください。 横浜市では、不要となった家具等を捨てる場合、金属製品で30cm 以上のもの、それ以外(プラスチック製品、木製品など)で50cmの ものは粗大ごみになります。粗大ごみは、事前の申込みにより有料で 処理するのがルールです。家庭ごみとして集積場所には絶対に出さな いよう注意してください。 なお、エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機は家電リサイクル対象品 なので、粗大ごみには出せません。製品を買った小売店、また最寄り の家電リサイクル協力店に相談してください。 ●問合せ先についてはこちら ○粗大ごみ・粗大ごみ受付センターへの申込み インターネットから https://www.sodai.city.yokohama.lg.jp 一般電話・携帯電話から 保土ヶ谷区に住んでいる方 0570-045-160 神奈川区に住んでいる方 0570-045-110 ○家電リサイクル対象品 ・製品を買い求めた小売店または最寄りの家電リサイクル協力店 ・横浜家電リサイクル推進協議会(0120-632-515) 学務部学生支援課 12 Campus News お知らせ 3棟の大規模改修工事が竣工しました 3、同4 4、体育館・武道館) (自然科学系総合研究棟3 3(物質工学科エネルギー工学 自然科学系総合研究棟3 4 棟) 、同4(生産工学科2号棟) 、体育館・武道館の計3 棟の大規模改修工事が完了しました。耐震補強や内外装 改修等を行い、安心・安全及び快適な室内環境を確保し ました。 3及び同4 4では、建物外周部 自然科学系総合研究棟3 を断熱化するとともに、廊下やトイレ等の共通部分に 人感センサー照明を、さらに、電力消費量の小さい LED照明を一部で使用するなどし、省エネや環境負荷 に配慮しています。外装材には、自浄作用のあるタイ ルを使用し、メンテナンス性に配慮しています。また、 部屋や廊下の天井に、ケーブルラックを張り巡らし、 将来的な実験機器等の更新にもフレキシブルに対応で きるようにしました。 体育館・武道館では、アリーナの温度上昇対策として 体育館屋根に太陽光高反射塗料を塗布しました。また、 外壁に耐久性と防汚性をもつフッ素樹脂塗料を塗布しメ ンテナンス性に配慮しました。さらに、老朽化していた アリーナの床や照明もリニューアルし、明るい室内にな りました。 工事期間中は、騒音・粉塵等が発生しご迷惑をお掛け しましたが、ご協力いただきありがとうございました。 3(物質工学科エネルギー工学棟) 自然科学系総合研究棟3 外壁タイルを張替えた建物外観 耐震補強の鉄骨ブレース 4(生産工学科2号棟) 自然科学系総合研究棟4 外壁タイルを張替えた建物外観 電力消費量の小さいLED照明を使用したピロティ 体育館・武道館 フッ素樹脂塗料を塗布した建物外観 電動昇降式照明を設置した体育館アリーナ (施設部) Campus News 13 校内ニュース 日本語研修コースと学部入学前予備教育の合同修了式 2月9日(火)、平成21年度後期(第34期)日本語研 修コースと、学部入学前予備教育(日韓生第10期生) の合同修了式が留学生センターで開かれました。10月 に来日以来、4ヶ月余りの日本語研修を受けた研修生 たちは、林部英雄留学生センター長から修了証書を授 与されるとともに、特訓の成果を生かした日本語での スピーチを披露しました。日本語研修コースの修了生 は4月以降、本学または他大学の大学院で研究を続け ます。 また、韓国の高校卒業後、韓国および本学で約1年 の予備教育を受けた学部入学前予備教育(日韓生)は4 月から本学工学部に進学、4年間の大学生活を送りま す。9日の修了式に先立って、2月2日には日韓生恒 例の修了プレゼンテーションが行われました。工学部、 工学府所属の日韓生の先輩たちも駆けつけ、鋭い質問 の飛び交う中、6人の第10期生はこれまでの予備教育 の成果を発表しました。 グローバル・スタディ実践ツアー ロシア・ツアー報告 私たち教育人間科学部国際共生社会課程大須賀ゼミ は、2009年12月16日から23日にかけてモスクワとサン クト・ペテルブルクを訪問しました。今回のツアーの 主な目的はモスクワ大学の日本史専攻の学生たちと交 流することでした。交流では私たちの卒業研究につい て発表し、それに対しての意見交換を行いました。ロ シア人ならではと思う意見や、卒業研究を進めるにあ たって考えさせられる意見が多数出され、有意義な交 流となりました。 写真左から中俣、留学中の石川、竹花、 モスクワ大学日本史学科の学生たち モスクワ大学との交流の他に、モスクワのトレチャ コフ美術館やサンクト・ペテルブルクのエルミタージ ュ美術館などを訪れ、ロシアにある数々の美術品を鑑 賞したり、救世主キリスト教会やワシリー寺院、トロ イツェ・セルギエフ大修道院などのロシア正教の教会 を見学したりしました。ロシアの建物や街並みを自分 の目で見たり、現地の公共交通機関を使ったり、ロシ アの人と実際に触れ合うことで、ソ連時代のなごりを 確認したり、近年のロシアの著しい経済成長を肌で感 じたりすることができました。 (文章は国際共生社会課程4年竹花章仁・中俣里美が執筆。) 写真はキリスト救世主教会前にて 14 Campus News 題 字:「Campus News」青山 浩之 + 渡辺 邦夫 :教育人間科学部 国語・日本語教育講座書道担当 青山 浩之 構 成: 同 美術教育講座デザイン担当 渡辺 邦夫 表紙作品:「The princess of Light and Dark」2点 他、全12点 組作品 荒井 慧(教育人間科学部 学校教育課程 美術教育講座4年) 縦21cm×横10cm木製パネル、水彩紙張、透明水彩絵の具 平成21年度/卒業研究「お姫様/少女時代の憧れを絵にする」 ―水彩絵の具による手描イラストレーション―より 書 この作品は、卒業研究の前段階に位置する授業=課題ゼミナールの時か らずっと継続し描き続けた組作品であり、作者はお姫さま=少女時代の 憧れをカードの様な形の中に視覚表現した。お姫様達は光・闇・緑・ 炎・風・水・大地等の12の事象を象徴した夫々の姿は…魅力的で可愛ら しく色彩も美しい。私は、デザイン基礎段階を既に習得したゼミ生以上 の学生達の個性を最大限に尊重するよう心掛け…追求する題材や技法に 制約や制限を設けない。かつて、絵画が人の心の中、夢や幻想を表現領 域とした時、新たな美の世界が開けたように表現の領域は果てしなく無 限に広がっている。進歩とは常に新しい価値観、次なる地平を切り開く 勇気と創造性に満ちた挑戦である。卒業の時…夢を持ち続ける大切さを …餞の言葉とする。 指導教員:教育人間科学部美術教育講座デザイン担当 渡辺 邦夫 Campus News 2010 No.46 編 集/横浜国立大学 広報委員会 作成担当:四方田千恵(留学生センター) 堀之内高久(保健管理センター) 岡田 一哉(学務部長) 事務担当:学務部教務課(内線3105) 発 行/平 成 2 2 年 3 月 発行
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