博物館教育論 Lec02 博物館教育論 第2講 博物館の教育と学芸員 博物館とは 小出良幸 連絡 museum2014@ykoide.com 前回のまとめ 博物館の語源 ■講義では 博物館での教育にかんする理論( 前半)と実習(後半のワークシー ト作成)でおこなう ■今後 私自身が経験してきた博物館での 教育活動を中心に今後講義を進め る 博物館←museumの訳 Museum:ギリシア語のMouseionが語源 ムウサイのいるところ、ムウサイの神殿 ムウサイの神殿:紀元前5世紀、アテネで 誕生 Museの9人の女神を祭った Calliope (叙事詩を司る女神)、Clio(歴史)、Rato(叙事 詩)、 Euterpe (音楽)、Melpomene(悲劇)、 Polyhymnia (宗教音楽)、Terpsichore(舞踊)、Thalia( 喜劇)、Urania(天文) 博物館教育論 Lec02:2 今日の概要:博物館の教育と学芸員 博物館教育論 Lec02:5 博物館の語源 ・古代ギリシア時代:Mouseion は神殿という意味だった ■博物館とは 語源、定義(世界と日本)、目的、新しい博物館 ■教育とは ・紀元前280年頃:アレクサンド リア市に建てられたMouseionは今 でいう学術センター的なもの 語源(日本語と英語)、定義、区分 ■社会教育とは 社会教育、定義 ■学芸員とは ・欧米では学術センターという 博物館の目的は今でもある 定義(世界、日本)、役割、資格、なるためには ■世界の博物館 大英博物館 博物館教育論 Lec02:3 博物館教育論 Lec02:6 1 博物館教育論 Lec02 博物館の定義:国際的には 博物館とは: ICOMの定義 ICOMの定義 運営:非営利の常設機関 目的:研究、教育、娯楽 のため 業務:物質的証拠を収集 、保存、研究、伝達、展 示 International Council of Museums :国際博物館会議 ICOMの憲章:1989年制定、 1995年改定 博物館の定義(第二項第一節) 博物館教育論 Lec02:7 博物館とは: ICOMの定義 博物館教育論 Lec02:10 博物館の定義: 業務と専門職 博物館の定義(第二項第一節) A museum is a non-profit making, permanent institution in the service of society and of its development, and open to the public which acquires, conserves, researches, communicates and exhibits, for purposes of study, education and enjoyment, material evidence of people and their environment. 博物館教育論 Lec02:8 博物館とは: ICOMの定義 博物館の業務(物質的 証拠を収集、保存、研 究、伝達、展示)を機 能をさせている専門職 員が、学芸員である。 博物館教育論 Lec02:11 博物館の定義: 業務と専門職 博物館の定義(第二項第一節) 博物館とは、社会とその発展に貢 献し、非営利の常設機関であり、研 究、教育、娯楽のために、人間と環 境に関する物質的証拠を収集、保存 、研究、伝達、展示をし、公共のた めに公開するものである 博物館教育論 Lec02:9 博物館の機能と学 芸員が、うまくか み合って、博物館 の運営が成り立つ 博物館教育論 Lec02:12 2 博物館教育論 Lec02 博物館の定義:日本では 博物館の目的 日本の法律 ■資料の収集、保管、展示 博物館法 歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等 1951(昭和26)年:制定、最近改正 平成5年 第2条第1項で博物館を定 義 ■資料の利用 教育、教養、調査研究、レクリエー ション等に利用 ■資料の調査研究 資料にかかわる調査研究をする 博物館教育論 Lec02:13 博物館の定義:日本では 博物館教育論 Lec02:16 博物館の目的 日本の法律 ■資料の収集、保管、展示 ■資料の利用 ■資料の調査研究 博物館法 1951(昭和26)年:制定 2008(平成20)年6月:最新の改正 ・博物館について規定している。 ・博物館法に規定されている博物 館以外にも、博物館施設はある。 すべての目的で 博物館における教育が 関わってくる 博物館教育論 Lec02:14 博物館教育論 Lec02:17 博物館とは:博物館法の定義 多様な博物館 歴史、芸術、民俗、産業、自然科 学等に関する資料を収集し、保管 (育成を含む。)し、展示して教 育的配慮の下に一般公衆の利用に 供し、その教養、調査研究、レク リエーション等に資するために必 要な事業を行い、あわせてこれら の資料に関する調査研究をするこ とを目的とする機関 現在、日本では、多様な 博物館が存在している。 そこには、博物館法にと らわれない多様な目的を もって活動しているもの ある。 博物館教育論 Lec02:15 博物館教育論 Lec02:18 3 博物館教育論 Lec02 新しい博物館 新しい博物館 ■大学:ユニバーシティ・ ミュージアム ある時期(2000年代)大学の 研究重視の風潮で一種の収蔵 庫として設立された 例:北大博物館、東大博物館 、京大博物館 ■独自のポリシーを持った活動 京都大学総合博物館:膨大な大学研 究の資料やデータ(250万点)を体系 的にまとめ、公開していく。定年し た教員を活用。 東京大学総合研究博物館:実物資料 の他にデジタルミュージアムとして 先端的に試みをなされている。 日本未来科学館:最先端の科学を進 め、紹介していく。 博物館教育論 Lec02:19 博物館教育論 Lec02:22 新しい博物館 理想の博物館 20世紀末、日 本では、多様な博 物館が新設されて きた。その中で理 想の博物館を目指 した試みもなされ てきた。 ■大学:ユニバーシティ・ミ ュージアム 当初は「博物館行き」の資料や 教員などもあり、不満も発生し た →現在では、重要な役割を果た しているところも多い 博物館教育論 Lec02:20 博物館教育論 Lec02:23 新しい博物館 理想の博物館 ■博物館相当施設 地学雑誌特集号「自然 史系博物館を考える」 の中で、 仮想「日本自然史博物 館」(斎藤・小出・高橋, 例:兵庫県立人と自然の博物館 ・大学付属の博物館(学校 法上の博物館) ・大学の機能を担いながら 、博物館活動もする 博物館教育論 Lec02:21 1998) で理想の日本の博物館 を示した。 博物館教育論 Lec02:24 4 博物館教育論 Lec02 現在の教育の意味 もともとの定義の内容を拡大してくと、 現代の教育の意味になっていく。 「教育とは、人の持つ諸能力を引き出す こと」 教育の 教育とは ・対象の拡大 ・内容の拡大 をおこなう。 博物館教育論 Lec02:28 現在の教育の意味 教育とは:語源 教:励まし模倣させること 育:子供が生まれること、また 子供を養うこと は 対象の拡大 子供 ↓ 社会や大人への教育まで 子供が対象になっている 博物館教育 博物館教育論 Lec02:26 現在の教育の意味 教育とは:英語の語源 教育:英語でeducation ←ラテン語ducereに由来 ducere:連れ出す・外に導き出す ↓ 教育とは、人の持つ諸能力を 引き出すこと 人の能力の抽出 博物館教育論 Lec02:29 博物館教育論 Lec02:27 内容の拡大 基礎的な知識や技能の習 得から ↓ 専門的な技術、教養の習 得まで 博物館教育 博物館教育論 Lec02:30 5 博物館教育論 Lec02 教育とは:日本の定義 教育とは:区分 教育は、行われる場によって 教育基本法 旧法:1947(昭和22)年3月 31日に施行 現行法 2006(平成18)年12月22日 に公布・施行 ・学校教育 ・社会教育 ←博物館教育 ・家庭教育 に大分される 博物館教育論 Lec02:31 博物館教育論 Lec02:34 教育とは:日本の定義 教育基本法:教育の目的 人格の完成を目指し、平和で 民主的な国家及び社会の形成 者として必要な資質を備えた 心身ともに健康な国民の育成 社会教育とは 博物館教育論 Lec02:32 教育とは:日本の定義 社会教育とは 社会教育の定義(第二条) 教育の目的 資質:国や社会に必要な 育成:心身ともに健康な 最終目標:人格の完成 博物館教育論 Lec02:33 社会教育とは、学校教育以外 の、主として青少年及び成人 に対して行われる組織的な教 育活動(体育及びレクリエー ションも含む)をいう。 博物館教育論 Lec02:36 6 博物館教育論 Lec02 社会教育とは 社会教育:だれが ・家庭教育と学校教育 以外で、広く社会にお いて行われる教育 ・社会のさまざまな場 での多様な教育活動 国や地方自治体の任務(第三条) ・環境を醸成 機会、場所を提供し、必要な施設の設 置及び運営 ・生涯学習の振興 多様な需要に適切に対応 ・地域との連携と協力の促進 学校教育との連携や家庭教育の向上 博物館教育論 Lec02:37 社会教育とは 博物館教育論 Lec02:40 社会教育:どこで 社会教育は だれが、どこで、なにを などを規定しておく必要が ある。 →そのための法律がある。 第九条 詳しくは博物館法で 図書館及び博物館は、 社会教育のための機関と する。 博物館教育論 Lec02:38 博物館教育論 Lec02:41 社会教育:だれが 社会教育:どこで いろいろな場で社会教育 の展開が可能であるが、 国や地方自治体が果た すべき任務が社会教育法 で規定されている(第三 博物館は、社会教育の一 翼と位置づけられている 。したがって博物館での 教育は、社会的に重要な 役割となる。 条) 博物館教育論 Lec02:39 博物館教育論 Lec02:42 7 博物館教育論 Lec02 社会教育:なにを 学芸員の定義:ICOM 前に述べた教育の目的を社 会教育に置き換えたもの 資質:社会に必要な 育成:心身ともに健康な 目標:人格の完成 を社会として達成する。 ICOM(International Council of Museums、国際博物館会議)憲章( 1989年制定) 博物館とは、「一定の倫理 規定を尊重する特別の研修 を受けたものか経験を持つ ものが、専門職員」として いるところ 博物館教育論 Lec02:43 博物館教育論 Lec02:46 学芸員の定義:ICOM ICOMの学芸員:専門職員 ・倫理規定を尊重 ・特別の研修を受けたもの ・経験を持つもの 学芸員とは 博物館教育論 Lec02:47 学芸員の定義:ICOM 学芸員の倫理 ICOM(International Council of Museums、国際博物館会議)憲章( 専門職員の職業倫理規定 1989年制定) 博物館とは、「人間と環境 に関する物質的証拠を収集 、保存、研究、伝達、展示 をして、公共のために公開 」しているとこと 博物館教育論 Lec02:45 博物館の運営、管理、個人に いたる多様な職業倫理規定が 詳しく定められている 博物館教育論 Lec02:48 8 博物館教育論 Lec02 学芸員の役割 世界の大規模博物館には、その職種におうじ て、いろいろな作業に分業なされている。 Curator:資料に関する調査研究員 Museum educator:教育普及教育員 Exhibition designer:展示デザイナー Restorer:修復技術者 Conservator:保存管理者 Registrar:作品登録管理者 学芸員になるには 博物館教育論 Lec02:49 博物館法の学芸員 学芸員になるには 【第4条第3項】 専門的職員として学芸員を置く 【第4条第4項】 学芸員は、博物館資料の収集、保 管、展示及び調査研究その他これ と関連する事業についての専門的 事項をつかさどる 博物館法第5条 学芸員となる資格 で文部科学省が認める 国家資格 となる 博物館教育論 Lec02:50 学芸員の仕事 博物館教育論 Lec02:53 学芸員になるには 日本の学芸員の仕事は多岐に わたる(雑芸員) ・研究 ・調査 ・資料収集 ・展示 ・教育普及 ・資料保存・管理 博物館教育論 Lec02:51 ■認定を受けた大学にて ・学士の学位を有し、大学で博物館に 関する科目を修得したもの ・大学に2年以上在学し、博物館に関 する科目を修得し、3年以上学芸員補 の職にあったもの ■学芸員資格認定 ・上の二つと同等以上の学力及び経験 を有するもの(学芸員資格認定合格) 博物館教育論 Lec02:54 9 博物館教育論 Lec02 学芸員になるには 学芸員になるために ■学芸員資格認定 ・試験認定:試験を受けて合格し、 学芸員補の職に1年以上従事すること ・無試験認定:論文などの審査で学 識や業績があると認められたもの(修 士もしくは博士) ▼学芸員補 高等学校卒業のもの:大学に入学することのできる 者は、学芸員補となる資格を有する 公務員を目指す人は有効な資 格なるかもしれません。がんば って学芸員資格をとってくださ い。 学芸員を目指す人は、たくさん 情報を仕入れて、実際に行 動することが大切です。 博物館教育論 Lec02:55 博物館教育論 Lec02:58 学芸員資格の変更 2009年4月に施行規則が一部改され 、大学での取得は、2012年4月より 科目や単位に変更 改正前 12単位 改正後 19単位 今日のまとめ 博物館教育論 Lec02:56 学芸員になるために 今日のまとめ 教育普及は博物館以外の社会教育 ・生涯学習施設でもおこなわれる ので、そのような専門職員も学芸 員に含まれることもある。 ■博物館とは だから、市町村の小さな施設で は学芸員の資格をもった 職員が必要になる。 ■学芸員とは 博物館教育論 Lec02:57 語源、定義(世界、日本)、目的、新し い博物館について概観 ■教育、社会教育とは それぞれの語源を、海外や日本の相違、 共通点、定義や歴史の違い紹介 世界、日本の定義と役割とその重要性を 概観、なるための方法 ■世界の博物館 大英博物館の紹介 博物館教育論 Lec02:60 10
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