立ち会い試験をABBが総合的にコーディネート

ABBジャパンの今をお伝えするニュースレター
No.3
立ち会い試験をABBが総合的にコーディネート
荏原製作所製大型ポンプにドライブシステムを提供
省エネルギー技術に関心が高まる今、新技術によって電力を的確に制御してムダを抑えるパワーエ
レクトロニクス技術に注目が集まっています。ABB は 2002 年 4 月、最新のパワーエレクトロニクス
技術による大規模な高圧 AC ドライブシステムを、荏原製作所から受注しました。風水力機器のトップ
メーカーである同社の大型ポンプに、動力源として使われるものです。2003 年 2 月に行われたポン
プの立ち会い試験で ABB は、電機関係の調整作業を総合的にコーディネートしました。大型機器に
よるビッグスケールな試験でしたが、ポンプもドライブも万全の性能を発揮することができました。
幅 70 m、深さ 9 m、全長 1500 mの水路で、毎時
「AMC1000」によるドライブシステムが 9 セット
約 30 万立方m(4 時間で東京ドームが満杯)の海
です。
「ACS6000」は優れた制御性能による省エ
水をくみ上げ、工業都市の発電所やプラントの冷
ネルギー効果に加えて、低騒音、省スペース、付加
却水にしようという「ラスラファン共用冷却水供給
装置(高周波フィルタ、力率補償機器など)が不要、
プロジェクト」
(カタール国)に、今回受注した荏原
リーズナブルな価格・・・といった製品の特長が高い
製作所のポンプと ABB のドライブシステムは使わ
評価をいただき、受注に成功しました。
れます。ABB が受注したのは、7,050kW の高圧
AC ドライブ「ACS6000」
、変圧器、誘導電動機
立ち合い試験のために、ABB ジャパンの回転機
器・可変速装置部の
スタッフと協力会社
が準備を始めたのは
2002 年 12 月のこ
荏原製作所製大型ポンプと ABB の大型誘導電動機
その音がひときわ高くなったとき、計測機器のモニターを見つめ
ていたエンジニアたちの顔に安堵と喜びの微笑みが浮かびました
とでした。横浜港に
AC ドライブ「ACS6000」
(左下の白い直方体状のもの)
と、
電動機+ポンプのセット。階段の途中にいる人物から、
そのスケールの大きさが分かります
着いた ABB 製品の木箱は、海上コンテナよりも大
ターらが、見上げるような試験設備の前に集合し
きいほどだったとか。それらを、交通量が少ない
ました。凍てつく深夜の工場に、ポンプの回転音と
深夜、黄色い回転灯をつけた低床トレーラーを連
ポンプが吸い上げる水の音が響き渡ります。その
ねて荏原製作所羽田工場へ搬入しました。重量 54
音がひときわ高くなったとき、計測機器のモニター
トンの誘導電動機を天井クレーンでポンプの上に
を見つめていたエンジニアたちの顔に安堵と喜び
セットすると、その高さは 4 階建てのビルほどに
の微笑みが浮かびました。計 3 夜、12 パターンに
もなります。ドライブから電動機へとケーブルを接
出力を変えて行った試験で、ポンプとドライブは
続する際には、可変速装置用の特殊ケーブルの皮
100%以上の性能を発揮しました。
お客さまに喜んでいただけたのが何より
ABB ジャパン回転機器・可変速装置部
プロジェクト推進グループマネージャー
今回のシステムは、
「VVVF(可変電圧可変周波数)
して 1 カ月近くをかけて、入念な準備を
インバーター制御」によって電動機の回転数を最
行いました。
たくなりました(笑)
。試運転のときはいつも心臓がドキ
ドキなんです。お買い上げいただいたお客さまの大切な
資産ですから、現場で何かあっては大変。今回はすべて
が無事に成功し、お客さまに喜んでいただけたのが何よ
適化します。
「VVVF インバーター制御」は、電車
や小型電動機では実用化が進んでいますが、大型
橋倉秀明
横浜港に届いた木箱を見たときは、あまりの大きさに帰り
りもうれしかったですね。
膜を守るために、滑車で巻いて数人がか
りで吊り上げる必要もありました。・・・こう
いよいよ立ち合い試験の本番です。電力
電動機の分野ではこれからの技術です。ABB は
容量の関係から試験は夕方から始め、夜
世界をリードする最先端のパワーエレクトロニク
を徹して行います。荏原製作所と ABB
(日
ス技術によって、いち早く実用化に成功しました。
本、スイス、スウェーデン)の技術陣、現
総合的なエンジニア力で最適な電動機とドライブ
地でオペレーションを行う ABB ドバイ事
を組み合わせてお届けし、ワールドワイドなネット
務所のエンジニア、プラントのエンジニア
ワークで世界のどこでも変わらないメンテナンス
リング企業、カタール現地のインスペク
とサービスをご提供いたします。
No.3
ABB 東京オフィスで IndustrialIT をご体験ください
実際に操作できるデモコーナーをオープン
ABB グ ル ー プ が 推し 進 め る IndustrialIT の 製 品
る開閉装置やモーター、産業用ロボットといっ
とソリューションを実際に見て、触って、操作で
た ABB の製品を接続し、実際の操作や作動
きるデモンストレーションコーナーを、東京渋谷
状態のモニター、蓄積してある製品データのト
の ABB 株式会社本社オフィスにオープンします。
レース、機器の設計図の検索・・・といったさま
「Industrial は ABB のすべての製品を背後から支
IT
本社オフィスの
デモンストレー
ションコーナー
ざまな IndustrialIT の機能を試すことができる
える『骨格』に当たりますが、
『筋肉』に当たる末端
のが最大の特徴です。さらに、
ウェブカメラやリモー
の機器と、
『頭脳』に当たるアプリケーションソフト
トコントロールシステムによって、日本国内や海外
が、骨格とどのように一体化されているのかをご覧
にある ABB の事業所に設置されている機器をいな
ちろん、ネットワークできるのは ABB の製品だけで
いただくことがとても大事なのです」と同コーナー
がらに操作することなども計画しています。
はありません。
ABB グループの IndustrialIT とは、オープンなネッ
デモンストレーションコーナーをご覧になりた
「IndustrialITEnable」の認定を行っています。も
を担当するヒュー・クレイトン(プロセスインダス
トリー部マネージャー)は力を込めます。
トワーク技術によって企業内で使われているさま
い 方 は、プ ロ セ ス イン ダ ストリー 部(tel: 03-
本社オフィスの接客スペースをパーティションと
ざまな情報システムや生産システムを包括的に
5784-6261)か、本社広報まで、事前にご連絡く
大型スクリーンモニターで仕切ったデモンストレー
統合しようという先進の設計コンセプトです。こ
ださい。事前登録なしに来社されてもご覧いただ
ションコーナーには、
「頭脳」である IndustrialIT の
のため ABB では、業種やアプリケーションごとに
けません。ABB 株式会社の本社オフィスは、JR・
ソフトウエアをインストールした普通の Windows
約 30 種類の「スイート」
(ソフトウエア、ハード
東京急行・営団地下鉄渋谷駅から徒歩 3 分(下記
パソコンと、
「骨格」の制御用のハードウエアをセッ
ウエアのソリューション群)を開発し、さらに各分
の住所をご参照ください)です。この機会に日本初
トします。単に展示するだけではなく、
「筋肉」であ
野の既存の製品には IndustrialIT との親和性を表す
登場の Industrial IT をぜひご体験ください。
ABB最高技術責任者
(CTO)
が来日
研究会議、
市場調査、
ライバルとのエール交換も
「ABB はテクノロジーの
来日したバイエガンは、精力的に日本
はパートナーである
リーダーですが、持続可
各地を歩き回りました。
「産業用ロボッ
という興味深い関係
能 な 発 展(Sustainable
ト技術は ABB の重要な研究プログラ
development) の た め
ムの一つですが、世界の自動車産業で
のソリューションを提供
大きな成功を収めている塗装ロボット
究開発)組織をいかに統括すべきかについての議論
することにも全力を挙げ
は、日本がその研究開発の拠点です。
をすると、とても得るものが大きいのです」
。
ています」と ABB の 最
マークス・バイエガン
ABB 最高技術責任者(CTO)
にあります。
「他社の
CTO たちと、R&D
(研
塗装ロボットに限らず、日本のスタッ
高技術責任者であるマークス・バイエガン。研究
フからは、日本での技術的な課題や日本市場に特有
今回の来日の感想を、バイエガンはこう語りまし
開発の総責任者であるバイエガンは 2003 年 3
なニーズについての非常に有益な情報を得ることが
た。
「ABB は成果指向の R & D を実践し、大学な
月、ABB も顧問の一社である AGS(Alliance for
できました。ABB の研究開発コンセプトの特長は、
どの外部パートナーとの協力を惜しみません。それ
Global Sustainability:日本語名「 人間地球圏の
さまざまな国の顧客のさまざまなニーズにお応えで
がグローバルなテクノロジー企業にとって最善の
存続を求める大学間国際学術協力」
)の年次総会
きるという点にあります。日本の情報は私たちの研
アプローチであると今回の訪日で確認できました。
に出席するために日本を訪れました。AGS のプロ
究所の検討テーマに加えられ、研究開発に反映され
日本では役に立つ印象的な情報をたくさん得るこ
ジェクトの一部で、ABB が主要な推進役とスポン
るでしょう」
。
とができ、とても啓発を受けました。次はいつ日
(China Energy Technology Program)が 2003
また、バイエガンは日本を代表する重電メーカーの
す」
。蝶ネクタイがトレードマークのバイエガン。
年 3 月に完了し、ABB にとっての一つの節目にな
研究開発本部長を訪問しました。ABB と日本の大
日本で行われる研究フォーラムなどで再びその姿
りました。
手重電メーカーは、あるときはライバル、あるとき
を見かける日が、遠からず訪れることでしょう。
本に行けるだろうかと、今から楽しみにしていま
サーを務めていた「中国エネルギー技術プログラム」
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