December 2015 ● Sibos 2015(シンガポール)のポイント ● SWIFT 2020 ● 2016 年 MT スタンダーズリリース ● カスタマー・サポートからのお知らせ ● PMPG 活動報告 ● SMPG 活動報告 ● SWIFT コンプライアンスサービスのご紹介 ● SWIFT for Corporates – 事業法人向けサービスの現状 ● SWIFTRef のご案内 ● SWIFT コンサルティングサービス ● クアラルンプールオフィス・ジャパンデスクのご紹介 ● 製品関連アップデート情報 ● SWIFT 講習会 SWIFT Japan News - December 2015 Sibos 2015(シンガポール)のポイント 麗澤大学 経済学部 教授 中島真志 今年の Sibos は、10 月 12日~15日の4日間、シンガポールにおいて行われた。Sibos においては、数多くのセッションが 同時並行的に進められるため、すべてを把握することは困難であるが、以下では、出席したセッションや会場でのヒアリング をもとに、ポイントを述べることとする。 1. 全体感 3 本柱は、①コア、②マーケット・インフラ(MI) 、③コン (1)アジアで最大の Sibos プライアンスの3つで構成される(図表 2) 。このうち「コア」 今年の Sibos は、10 月 12 日~ 15 日の 4 日間、シンガ とは、従来の資金メッセージ、証券メッセージなどのメッセ ポールにおいて開催された。参加者は、8,200 名以上にの ージ業務を指す。また今回は、従来に比べて「MI」が大幅に ぼり、「アジアでは、これまでで最大の Sibos」となった。 高く位置付けられたのが大きな特徴となっている。これは、 また、2010 年のアムステルダム Sibos(8,700 人規模)に 豪州の NPP の受注(詳細は後述)などを受けて、SWIFT が 次いで、 「史上 2 番目の規模 の Sibos」となった。 各国での決済システム(特にリアルタイム・リテール・ペイ 従来の Sibos では、欧州開催のときに参加者が多くなる メント)の構築に積極的に関与していこうとする意向の表れ 傾向があったが、今回は、ア ジアでの開催で、初の 8,000人 とみられる。 を超える規模となった。 また、 「コンプライアンス」については、サンクション・ 前回のアジア開催である大阪 Sibos(2012)の参加者は、 スクリーニング、サンクション・テスティングに加えて、 6,200 人規模であり(この 時は中国勢が参加せず) 、参加者 昨年から「KYC レジストリー」などを導入しており、この は、この時より約 2,000 人の増加となった。参加者の 内訳を 分野を強化していこうとするものである。 みても、アジアからの参加者が、欧州からの参加者にほぼ 匹敵する数となっている(図表 1) 。この3 年間で、アジアの 図表 2 SWIFT2020:戦略的な優先順位 経済力が向上したことを実感させる出来事であ った。 図表 1 Sibos2015(シンガポール)への参加者 全体 8,245 名 地域別内訳 アジア太平洋(APAC) 3,536 名(42.9%) 欧州・中東(EMEA) 3,648 名(44.2%) 米州(AM) 1,061 名(12.9%) (2)SWIFT2020 の公表 2016 年からの SWIFTの 5 カ年計画である「SWIFT2020」 が公表された。2015年までの中期計画である 「SWIFT2015」 については、料金の引下げが計画を上回ったことなどから、 「成功であった」 (great success)との評価であった。 SWIFT2020 のポイントは、以下の 2 点である。 ①料金の引下げ 2015 年末までに、SWIFT2015での目標(50%の引下げ) を上回る 57%の引下げを達成する見込みである(当初は、 2010 ~ 2015 年の間に 30 ~ 50%の引下げを目標として い た )。SWIFT2020 で は、2020 年 末 ま で に、 さ ら に 30 ~ 45%を引き下げることを目標としている。 (3)Block Chain と Real-time Retail Payment が キーワード 今次 Sibos の注目の話題(hot topic)は、何と言っても「ブ ロック・チェーン」であった。関連するセッションは軒並 み満員となり(特に銀行側の参加者が目立った) 、立ち見が 続出していたほか、他のセッションにおいても(あまり関 係がないと思われるセッションでも) 、この技術への言及が みられ、関心の高さが窺われた(詳細は後述)。パネリストも、 昨年までの IT 技術者(technologist)と起業家(startup) のみから、今年は、銀行側のパネリストが増えたのが特徴 ②今後の 3 本柱 であった。 SWIFT2020 では、今後、SWIFT の業務を 3 本柱で考え 一方、小口決済の 24 時間 365 日化、リアルタイム化が ていくことが表明され、注目を集めた。 世界的に大きな潮流となっていることもあって、 「リアルタ 2 SWIFT Japan News - December 2015 イム・リテール・ペイメント」に関するセッションが多く などとしており、まだ具体的なサービス実用化への道のり 組まれ、関心が集まった。前述のように、SWIFT が MI に は遠そうである。しかし、ゴールドマン・サックス、JP モ 注力する方針であることも、Sibos でこれに関する多くの ルガン、ドイツ銀行、バークレイズなど、参加行の顔ぶれ セッションが設定されていた一因とみられる。 がかなり豪華なことから、 「ひょっとすると、既存の枠組み を覆すような大きなプロジェクトに発展する可能性がある のではないか」との期待が高まっている。 2. ブロック・チェーン技術 (1)ブロック・チェーン技術とは 「ブロック・チェーン技術」とは、取引記録(ブロック) を時系列的に鎖のようにつなげて管理する技術であり、こ れにより、不正な取引を防止することができる仕組みとな っている。ブロック・チェーンは、すべての取引記録を管 理するいわば巨大な帳簿であり、その帳簿(所有権の記録) がネットワーク内において分散型で管理されるため、「分 散型帳簿」 (distributed ledger) や「 電 子 帳 簿 」(digital ledger)とも呼ばれる。ブロック・チェーン技術は、仮想 通貨「ビットコイン」における中核技術として用いられて いる。今次 Sibos では、このブロック・チェーン技術を銀 行間の送金や株式などの資産の移動に使うことにより、従 来のビジネスモデルを根本的に変える可能性があるのでは ないかということで注目を集めた。 て「クロスカレンシー決済」を可能にする技術を提供する 企業である。リップルを利用すると、銀行が世界中の銀行 とネットワークで直接繋がって決済できる(direct bankto-bank settlement)ことになるため、クロスボーダー決 済をリアルタイムで効率的に行うことができるものとして おり、従来のコルレス銀行による決済への代替(alternative to correspondent banking)を提案している。これにより、 個人間のクロスボーダー送金、企業間の国際送金、インタ ーバンクのクロスボーダー送金などが可能になるものとし ている。 昨年までは、各国にノンバンクの「ゲートウェイ」 (GW) を置いて、それをつないでグローバルな送金のネットワー (2)真のブレークスルーか、過剰な期待先行か? ブロック・チェーン技術は、従来の中央集権型のデータ 管理によるサービスに代わって、画期的なビジネスの仕組 みを生み出すのではないかとの期待が集まっている。 昨年の Sibos までは、IT 企業がこの技術を使って様々な 起業を提案していたのに対し、今次 Sibos では、 「銀行が自 らブロック・チェーン技術を使おうとしている」という点 が最大の違いであった。 銀行がブロック・チェーン技術を使って送金サービスなど を行うことができれば、大幅なコストダウンにつながる可能 性があるし、場合によっては、SWIFT に代わる機能を果た す可能性もあるということで大きな期待が集まっている。 しかし、「やや期待先行ではないか」として冷めた目で見 る意見も聞かれた。 クを構築するという構想であったが、これを、銀行を使っ たモデルへ転換した(やはり、GW と銀行では、送金者に とっての信頼感が違うということに気が付いた模様) 。 技術的には、リップルでは、Bitcoin で必要とされる「proof of work」(膨大な計算)が不要とされている。 (b)リップルの利用行 世界ですでに 3 行がリップルを利用しているとされてい る。ただし、CBW Bank(米)、Cross River Bank(米) 、 Fidor bank(独)といった無名の中小銀行であり、現時点 では、世界的な広がりには乏しい。このほかにも、30 行程 度と一緒に事業評価を行っているとの話であったが、信ぴ ょう性については疑問である(参加行は非公表とのこと) 。 (c)Westpack 銀行のデモ 今次 Sibos では、豪州の Westpack 銀行がリップルの技 術を使った個人間送金の「デモ」を行っていた。出稼ぎ労 (3)ブロック・チェーンを使った2つのプロジェクト 銀行界では、現在、ブロック・チェーン技術に関して 2 つのプロジェクトがある。 欧米の主要行が中心となって、ブロック・チェーン技術の 利用可能性について検討を進めるプロジェクトである。欧米 の主要 25 行が参加しており、 「R3」という技術系の企業と 提携して進められている。このプロジェクトには、日本から は、三菱東京 UFJ 銀行とみずほ銀行 ※1 働者の母国への送金(ウェスタンユニオンなどの送金業者 に流れている)などに使えるのではないかとの考えである。 同行によると、①相手の口座に直接送れる(図表 3)、②リ アルタイムで送れる(通知も相手のケータイにリアルタイ ①ブロック・チェーン・プロジェクト が参加している。 関係者は、 「まだ、ラーニング・プロセスを加速させてい る段階である」「1 ~ 2 年後をめどに実証実験に入る予定」 ※ 1 みずほ銀行は、今次 Sibos 後の 10 月末に参加を決めた。 SWIFT Japan News - December 2015 ②リップル社の送金プロジェクト (a)リップルのビジネスモデル リップル(Ripple)は、ブロック・チェーン技術を使っ ムでメッセージが届く) 、③リップルを使えば、送金業者に 対抗できる料金体系にできる、などがメリットであるとし ていた。 ただし、グローバルなリアルタイム送金にどのくらいの 需要があるのかについては、疑問の余地があるものとみら れる。また、ネットワーク外部性があるため、多くの銀行 が採用しないとサービスの利便性は高まらず、同行の担当 者も「われわれは、世界で初めて Fax マシンを買ったよう なもの。相手がいないと使えない」と自嘲気味に述べていた。 3 図表 3 リップルの送金モデル (4)資金の移動用か、資産の移転用か? プロジェクト(Nasdaq Private Market initiative)を進 ブロック・チェーン技術の利用については、今のところ、 めており、早ければ、2015 年末までの稼働開始を予定して クロスボーダー送金への利用の議論が先行しているが、資 いる(カラード・コインの仕組みを利用する模様)。また、 産移転(株式、債券など)への利用も考えられている。証 ドイチェバンクでは、「スマート社債」(smart corporate 券の方が、限られた参加者で運用ができる分、実用性が高 bond)を開発中であると伝えられている。ただし、証券 い可能性もある。 だけが分散レジャー間で移転できるようになったとしても、 この場合、従来のCSDによる証券の保有残高の集中管理 資金との同時決済(DVP 決済)ができないことが、証券決 から、各金融機関が所有記録(record of asset ownership)を 済リスクの観点から致命的な欠点となりうるとの指摘も聞 分散して保有・管理するモデルに転換することになる(図表4) 。 かれた(ただし、この点も将来的には、DVP 決済を可能と 実際、米ナスダックが非上場株式の決済に使おうという するイノベーションが出てくる可能性もある)。 図表 4 証券決済の分散化モデル(イメージ図) 4 SWIFT Japan News - December 2015 (5)ハイプ・サイクルからみたブロック・チェーン技術 今次 Sibos では、「この技術は、まだハイプ・サイクルの 新しいテクノロジーが出てきたときに、新技術への期待 ピークには達していない」というテクノロジー側の主張も 度と実際の導入がどのように進むのかをグラフィカルに表 聞かれたが、 「ブロック・チェーン技術がすべての問題を解 したものとして、ガートナー社が提唱した「ハイプ・サイ 決する」といった過度な期待もみられ、まさに、ピーク期 クル」がある(図表5) 。 にあるという見方もできるものと思われる。 図表 5 ハイプ・サイクルの概念図 (6)SWIFT では影響を注視 銀行がブロック・チェーン技術を使って、国際間の送金 や証券決済を行うようになれば、(コルレス銀行間や CSD で幅広く使われている)SWIFT にとっても影響は甚大であ り、その影響を注視しているようである。 この間、Sibos でのこの技術の取り上げ方の変遷をみる と、興味深い。まず Sibos2013(ドバイ)では、初めてビ ットコインが紹介された(小さなセッションのみ) 。翌年の Sibos2014(ボストン)では、Innotrive で 1 日がかりで、 複数のセッションが行われた。そして、今次 Sibos では、 テーマがビットコインからブロック・チェーンに移り、メ イン会場でのセッションも行われるようになった。関心の 高まりと変化が、こうしたところに如実に表れているとい 出所:ガートナー・ジャパンのウェブサイト えよう。 図表 6 Sibos における Bitcoin、ブロック・チェーンの取り上げ方 Sibos での取り上げ Sibos2013 (ドバイ) Sibos2014 (ボストン) テーマ Open theater での 1 セッションのみ Bitcoin とは何か? Innotrive での 1 日がかりで複数のセッションあり Bitcoin の次は何か? (Bitcoin 2.0) ブロック・チ ェーン技術は本物か? Sibos2015 Innotrive に加えて、Conference Room でのセッシ (シンガポール) ョン * あり 銀行がブロック・チェーン技術をど う使うか? * the Future of Money (7)実用化までには相当な時間を要する? ており、「まずはよく知ること(better understanding)が ブロック・チェーンは、単なる技術であり、これをビジ 必要」といったところが大勢のスタンスであるものとみら ネスやサービスに仕上げていくまでには、まだ相当な時間 れる。 を要するとみておくべきであるように思われる。 ①「本当に安全か」の見極めが必要 -専門家によるさらなる評価(peer review)が必要との 声あり。 ②当局の承認・支持(regulatory endorsement)の必要性 ③法的な側面をクリアする必要がある ④幅広い参加行(wide adoption)が必要 (8)欧米主要行のイノベーション対応の動き 欧米の主要行では、イノベーション対応の部署を新設し たり、イノベーションの担当役員を置いたりしており、全 社的にイノベーション(Fintech)に対応していこうとする 動きであるのが印象的であった。 具体的には、「イノベーション・センター」や「デジタル・ ラボ」といった組織を置いている。また、パネリストの中に、 特に、④の点については、SWIFT のネットワークのよう 「CIO」という役職があったが、これは「最高情報責任者(Chief に 200 ヵ国以上、1 万行以上が使うというレベルに行くま Information Officer)」ではなく、「最高イノベーション責 でには相当な時間を要するものとみられる。また、プロジェ 任者(Chief Innovation Officer)」の略であり、こうした クトの当事者からも「まだ、 パズルの missing parts が多い」 役職が出てきていることには驚かされた。 との指摘が聞かれた。SWIFT でも、まだ「early stage」に あると判断しているようである。 ただし、 「じっと立ち止まっているというオプションはない」 (Standing-still is not an option)という認識では一致し SWIFT Japan News - December 2015 (9)銀行界では Bitcoin は無視? 今次 Sibos では、皆が「ブロック・チェーン」を連呼す る中で、 「Bitcoin」という言葉がほとんど聞かれなかった 5 のが印象的であった。銀行界では、 「ビットコインは邪悪な など)をまとめる予定である(2016 年 12 月までを目途)。 ものであり、ブロック・チェーンは良いもの」 (Bitcoin is それに対するベンダーからの提案は、クライテリアによっ bad (evil) and block chain is good)という判断に傾い て評価される。 ているようであり、この「良いもの」を銀行業務に取り入 れていこうという方向性であるようにみられた。 図表 7 TF のクライテリアの分野 ・高いアクセス性(Ubiquity) ・効率性(Efficiency) 3. リアルタイム・リテール・ペイメント (1)世界的な背景 ・安全性(Safe and Security) ・スピード(Fast) ・法的な面(Legal) ・ガバナンス(Governance) リアルタイム・リテール・ペイメントとは、小口決済を 中央銀行である Fed では、ここまで協議文書やロードマ リアルタイムに実施するものである。①受取人の口座への ップの公表などを主体的に行い、触媒役(catalyst)として 着金をほぼリアルタイムに行うこと、②そのリアルタイム このイニシアティブの中心的な役割を果たしているが、実 決済を 365 日 24 時間(24/7 と呼ぶ)提供すること、③多 際のシステムの構築やサービスの提供は、民間部門にやら くの場合、モバイル・ペイメント(相手のケータイ番号に せる意向である。 よる送金)を可能としていること、などが特徴である。 このため、民間で小口決済の担い手となっている TCH 英 国 が「 フ ァ ス タ ー・ ペ イ メ ン ト 」 と し て 2008 年 に (The Clearing House: 旧 NY Clearing House)が、リア 最初に導入し、シンガポールがそのシステムを購入して ルタイム・リテール・ペイメントのシステムを構築し、サ 「FAST」として 2014 年に導入済みである。また、豪州で ービスを提供していくものとみられる。 も同様な機能の「NPP」を 2018 年に稼働させる予定であり、 セッションの中では、関係者が「ファスター・ペイメント SWIFT がシステムの構築・運営を受注して、現在システム への単線化は不可能である」(single railway is absolutely 開発を進めている。 no!)としており、従来の ACH を残す意向を明らかにした。 SWIFT の調査 によると、①リアルタイム・リテール・ また、Sibos 直後の 10/26 日には、TCH が、英国でフ ペイメントがすでに稼働中であるのは 18 ヵ国、②計画中ま ァスター・ペイメントを構築した VocaLink 社とリアルタ たは構築中であるのが 12 ヵ国(含む米国、豪州) 、③この イム・リテール・ペイメントの構築に関する基本合意書 (letter ほか、ユーロ圏の 17 ヵ国が検討中、 となっている。米国でも、 of intent)に調印した。このため、米国では、英国のファ こうした小口決済の導入に向けて「ファスター・ペイメント・ スター・ペイメントと同様の機能を持つシステムが導入さ タスクフォース(TF) 」が組織され、どのようなシステム・ れる可能性が高くなった。 ※2 サービスとするのかについて検討が行われている。欧州で も、EBA Clearing などが同様な内容の「インスタント・ペ (3)EU の動き イメント」の導入に向けて動いている。特に、米国での導 ① ECB と EPC の動き 入が決まると、そのインパクトは大きく、世界的な規模で ユーロ圏では、リアルタイム・リテール・ペイメントのこ リアルタイム・リテール・ペイメントへの大きな流れが起 とを「インスタント・ペイメント」と呼んでいる。ECB が「ユ きるのでないかと予想されている。 ーロ小口決済理事会」(ERPB (2)米国の動き ※3 :Euro Retail Payments Board)を設けており、ここが汎欧州レベルでの「インス タント・ペイメント」を推進している。欧州では、すでに Fed では、2015 年 1 月に「米国の決済システムの改善に 各国ごとにインスタント・ペイメントの構築計画が進んで 向けた戦略」(ロードマップとも呼ばれる)を公表した。こ いる(ドイツ、スペイン、オランダ、ベルギーなど) 。この れを受けて、2015 年 4 月に「ファスター・ペイメント TF」 ため、ACH と同様に国ごとの分立状態(fragmentation) を組織した。320 人が登録し、このうち 19 人による「運営 になることが懸念されており、ERPB では、汎欧州ベース 委員会」 (steering committee)を組織した。ここには、消 でのサービス提供を働き掛けている。 費者、大手行、中堅行、中小銀行など、8 セグメントの代表 ERPB では、2014 年 12 月に、インスタント・ペイメン が参加している(NACHA、TCH も参加) 。 トの定義を公表している(24 時間 365 日の稼働、ほぼリ 同 TF では、まず、 「クライテリア」 (評価基準)を作って アルタイムの入金など)。また、2015 年 6 月の ERPB 会 いる(図表 7) 。すでにドラフトが完成しており、本年 11 合では、 「ユーロのインスタント・ペイメントは、汎欧州 月までに最終版が完成の予定である。クライテリアは、6 分 レベル(pan-European level)なものでなくてはならな 野であり、それぞれに細かい評価項目があり、全部で 35 項 い」 「もし、国レベルで構築された場合には、相互運用可能 目がある。各項目は、それぞれ 4 段階で評価される。その (interoperable)なものでなくてはならない」との方針が出 次に「ソリューション・パッケージ」 (システムの必要条件 されている。 ※2“The Global Adoption of Real-Time Retail Payments Systems (RT-RPS)” ※ 3 2013 年 12 月に設立された。 6 SWIFT Japan News - December 2015 ERPB では、銀行界の集まりである「欧州決済協議会 」 ※4 画している。 (EPC:European Payments Council) に 対 し て、2015 STET は、EU の ACH では 52%と最大のシェア(仏 48%、 年 11 月までに、SEPA 標準に即したインスタント・ペイメ ベルギー 4%)を有しており、ここが独自にインスタント・ ントの標準( 「SCTinst」と呼ばれる)を提出するように求 ペイメントを構築することになると、EBA Clearing のイン めている。この標準( 「ガイドブック」や「ハイレベル・デ スタント・ペイメントが汎欧州レベルのサービスとはなら ザイン」とも呼ばれる)に基づいて、汎欧州ベースのイン なくなることも懸念される。 スタント・ペイメントが構築されることになる。 ④デンマークの動き ② EBA Clearing の動き デンマークでは、小口決済を運営する「Nets」が、2014 こうした ECB や ERPB の動きに呼応するように、「EBA 年 11 月 か ら「RealTime24/7」 と い う リ ア ルタイム・リ Clearing テール・ペイメントを稼働させている。スマートフォン 」が動いている。同社では、2015 年 3 月に「イ ※5 ンスタント・ペイメント TF」を作成し、検討を行っている。 の 普 及 に 伴 い、「 今 こ こ で 世 代 」(right here right now それに基づき、システムやサービス内容に関する「ブルー generation)が増加しており、それに対応するものである。 プリント」を作成している(6 月にバージョン 1、10 月に RealTime24/7 の利用の 80%が mobile からであり、残り バージョン 2 を公表) 。たとえば、送金人から受取人までの 20%が PC からとなっている。 end to end で 5 秒以内、銀行間では 1.5 秒以内を目指すも のとしている。 (4)アジア太平洋地域の動き EBA Clearing では、 2015 年 10 月に、 「提案依頼書」 (RFP: ①シンガポールの動き Request for Proposal)を出して、システム開発の業者を シンガポールでは、リアルタイム・リテール・ペイメン 募集中である。今後、RFP に対する提案の評価とシステム トである「FAST」を構築し、2014 年 3 月から稼働させて 開発業者の決定を経て、2016 年中にシステム開発を行う予 いる。システムは、英国の VocaLink 社のシステム(英国 定である。2017 年にパイロット・テストを行ったうえで、 のファスター・ペイメントとほぼ同様)を利用している。 2018 年にはインスタント・ペイメントの稼働を開始する予定 第 1 陣の 14 銀行に加えて、第 2 陣の 5 行(2015 年 5 月) である。このように、EBA Clearing では、各国のプロジェ が追加で参加し、参加行は 19 行になった。1 日に 2 回のネ クトに先んじて、汎欧州ベースでのサービスを開始すること ット決済を行っており、参加行間のネット決済尻は、MEPS を最優先としているため、かなり性急な計画となっている。 +に送られて決済される。 ③ STET の動き ②豪の NPP フランスの ACH 運営主体である STET では、2015 年 NPP は、リテール・ペイメントをリアルタイムで処理す 10 月に、EBA Clearing に対抗するかたちで、インスタント・ るのみならず、リアルタイムに 1 件ごとに中央銀行口座で ペイメントの構築計画を発表した。STET では、社内に開発 決済を行うシステムである。小口では世界初の「リアルタ 部門を持つため、RFP は不要である。クロスボーダー送金 イム・セトルメント」となる。他のシステムでは、クリア は件数が少ないため、まずはフランスの国内送金から始め リングはリアルタイムであるが、セトルメントは、1 日に数 る。他国へは、「ホワイト・ラベル」でのシステム提供を計 回の事後的なネット決済である(図表 8)。 図表 8 ファスター・ペイメントと NPP の決済方法の違い ※ 4 SEPA に関する銀行界の調整機関として設立され、SEPA 送金や SEPA 引落しのルールブックを作成した。 SWIFT Japan News - December 2015 ※ 5 ユーロ圏全体を対象とする決済システムである「Euro1」や「STEP2」 を運営している。 7 豪 中 銀(RBA) で は、NPP の 決 済 の た め に、 通 常 RTGS 口座の全額が FSS 口座に移管されて、NPP の決済 の RTGS 口 座 の ほ か に、FSS 口 座(Fast Settlement 用に用いられる。 Service) を 提 供 す る( 図 表 9) 。 各 参 加 行 で は、FSS 口 SWIFT では、「NPP Australia 社」との間で、NPP のデ 座の残高の上限と下限を設定し、その範囲内で必要な資金 ザイン・構築・運営に 12 年間の契約を得た(デザイン・開 が RTGS 口座から自動的にトランスファーされる。この事 発に 2 年半、運営に 9 年半) 。デザイン・フェーズは 2015 前に振り込まれた資金により、NPP の決済が 1 件ごとに 年 7 月に無事終了した。現在は開発とテストのフェーズに 行われる。RTGS の稼働時間外(夜間および休日)には、 入っている。NPP は、2017 年中に稼働開始の予定である。 図表 9 NPP の決済の仕組み (5)モバイル・ペイメントの動き ている。このため、若年層では現金を受け取りたがらない ①スウェーデンの Swish 傾向も出ている(Swish で払ってくれ!)。 スウェーデンでは、 「Swish」を 2012 年に導入しており、 Swish の利用件数は、前年比で 2014 年が 6.4 倍、2015 相手のケータイ番号による送金ができる。 年が 4.1 倍と急速なペースで増加している。今も、1 分間に ほぼリアルタイムで相手に着金するサービスであり、大手 4 人のペースで、アプリのダウンロードが進む。 10 行が利用している。 なお、ノルウェーにも、同様なモバイル・ペイメントで ISO20022 ベースとなっている。 ある「VIPPS」がある。 中央銀行にサブアカウントである「Swish 口座」を持ち、 Swish や VIPPS を通じた送金は、すべて無料である。 prefund settlement により決済を行う。夜間は、 Swish 側で、 Swish 口座のシャドー・アカウントを管理し、翌朝に決済 ②英国の Paym 後の残高を中銀の Swish 口座に戻す仕組みとなっている。 ケ ー タ イ 番 号 に よ る 送 金 サ ー ビ ス で あ る「Paym」 が 国民の人口(960 万人)の1/ 3が Swish を利用している。 2014 年 4 月にサービスを開始している。17 行がサービス 若者(16 ~ 29 歳)については、利用率は 70%以上に達し を提供している(この 17 行で、英国内の銀行口座数の 9 割 8 SWIFT Japan News - December 2015 < 4,000 万口座以上>をカバーする)261 万人がケータイ Paym の利用状況をみると、年齢では 20 ~ 30 歳代の若 番号を登録して、Paym を利用している(上記 17 行の口座 年層の利用が多い(34 歳以下が 56%を占める) 。送金相手 数の 7%にあたる) 。 は、配偶者、両親、子ども、兄弟、親しい友人など、親し 2015 年 1 ~ 6 月 の 利 用 件 数(77 万 件 ) は、 前 期 比 で い間柄での送金が大部分を占める。送金理由は、ガソリン代、 80%増となっている。平均送金金額は、55.5 ポンド(≒ 公共料金、食事代、家計費などの分担・割り勘のための利 10,200 円)である。 用が多い。身近な間での身近な送金に使われている。 図表 10 Paym の利用状況 利用者の年齢 送金先の相手 送金の理由 16 ~ 24 歳:27% 配偶者:24% ガソリン代の分担:25% 25 ~ 34 歳:29% 子ども:19% 公共料金の負担:22% 35 ~ 44 歳:16% 両 親:19% 借金の返済:22% 45 ~ 54 歳:15% 親しい友人:19% 家計費:19% 兄 弟:16% 食事代の割り勘:19% 55 ~ 64 歳:8% 64 歳以上:5% (6)日本の対応 直接決済メンバーを通じて、中国国外にあるオフショア 全銀システムでは、夜間用の「新プラットフォーム」を 銀行も人民元の決済に参加することができる。オフショア 構築する予定であり、2018 年中の稼働開始を目指している。 銀行は、SWIFT を使って、国内の直接参加メンバーに決 コア・タイム(18 時ごろまで)は、すべての銀行の共通稼 済指図を送ることができる(図表 11)。直接決済メンバー 働時間とするが、それ以降については、 「個別銀行ごとに稼 とのネットワークには、国内ネットワークが使われており、 働時間を決める」という個別対応のスキームをとる予定で ISO20022/XML 対応となっている。 ある。 次の「フェーズⅡ」では、オフショア行が、直接 CIPS に 海外の関係者からは、個別対応の「任意時間制」につい 決済指図を送れるようにする計画である。 ては、「利用者の混乱を招くのは必至だ」として批判的な見 2015 年 8 月の SWIFT の統計で、人民元が日本円を抜い 解が多かった。諸外国のように、足並みを揃える努力が必 て、第 4 位の通貨になったことが報じられた(図表 12)直 要とみられる。 後であるだけに、注目を集めていた(なお 9 月には、再び また、海外では、リアルタイム・リテール・ペイメント 5 位に後退した)。 とモバイル・ペイメント(携帯番号による送金)がワンセ ットのサービスとしてプロジェクトを進めている例が多い 図表 11 中国 CIPS の仕組み (米国、EU、豪州など) 。こうした流れに遅れないようにす るためには、わが国でも、24 時間 365 日化とともに、モバ イル・ペイメントの導入を検討していくことが望まれる。 4. 資金決済関係 (1)中国の CIPS の稼働について 中国では、Sibos 直前の 10 月 8 日に、外為決済システム である「CIPS」 (China International Payments System) を稼働させた。中国の国内銀行 11 行と外資系銀行(HSBC、 スタンダードチャータードなど)8 行の計 19 行が直接決済 メンバーとして参加している(邦銀は 1 行も含まれず)。 CIPS は、米国の CHIPS をモデルとして、外為取引など にかかる中国・人民元の決済を可能とするものである。従 来は、コルレス関係に基づいてバイラテラルに決済を行う 必要があったが、集中的なクリアリングができるようにな り、人民元決済の効率化が可能となった。CIPS における直 接決済メンバー間のネットポジションは、CNAPS Ⅱで決済 される。 SWIFT Japan News - December 2015 9 図表 11 通貨別決済シェア(2015 年 8 月) (2)アースポート社の動き Earthport 社は、海外送金など国際決済サービスのインフ ラを提供する会社である。世界の 60 ヵ国以上に提携先を持 っているため、Earthport を経由して国際決済を処理するこ とで、低コストの決済サービスを提供することができる(図 表 13)。Earthport の 1 件当たりの海外送金手数料は、取 引量により異なるものの 1 件 2 ドル~ 8 ドル程度と、銀行 の提供している海外送金手数料よりはるかに安い。 Earthport 社は、英国で API(Authorized Payment Institution) としての認可を受けており、わが国でいう「資金決済業者」 にあたるものとみられる(銀行との違いは与信を行わない ことのみとされる)。 Earthport 社 の 特 徴 は、 ① STP 比 率 が 高 い こ と、 ② 送 金先へのシングル・コネクションであること(中継金融機 関を使わない) 、③着金日付の明確化ができること(full predictability)、④現地の小口決済システム(Local ACH) を利用すること、などであり、これらにより低コストを実 現している。5 万ドル(≒ 600 万円)を取扱送金の上限と しており、小口決済に特化した送金サービスである。 なお、ゆうちょ銀行が、10 月にアースポートと提携し、 日本国内から海外への送金を同社のネットワークを使って 行えるようにしている。 図表 13 Earthport 社のビジネスモデル 出所:Earthport 社のウェブサイト (3)ユーロシステムのビジョン 2020 することになったことが判明した。ビジョン 2020 の中で ECBの Yves Mersch 理事は、セッションの中で「ビジョ 再度、検討する予定である。 ン2020」 (Eurosystem’ s Vision for 2020) を明らかにした。 ビジョン 2020 のポイントは、以下の 3 点である。 こ の 中 で、TARGET2 の ISO20022 対 応 は、 当 初 は ① TARGET2 と T2S のシナジーの発揮。システムを 1 2017 年 1 月を予定していたが、銀行側の要請により、延期 つに統合すること(single platform 化)を展望する。 10 SWIFT Japan News - December 2015 ②新しいサービスの提供。特に、インスタント・ペイメ デリバティブ、レポなどの取引の担保管理を自動化して行 ントの分野での TARGET2 の機能向上を検討する 。 う。ユーロクリアが DTC (Depository Trust Company) *豪州の NPP のように、通常の RTGS 口座のほかに、イ に口座を持つことにより、DTC 内の証券をユーロクリア用 ンスタント・ペイメント用の決済口座を提供することを の担保として使うことができるようになる 。2016 年後半 考えているものとみられる。 の稼働開始を目指す。 * ③担保管理機能の向上。共通担保管理システムの構築を 検討する。 ※6 ※7 (2)ポスト T2S の動き T2S については、2015 年 6 月に第 1 陣の T2S 移行が無 5. 証券決済関係 (1)DTCCとユーロクリアの共同担保管理について 昨 年 の Sibos(2014 年 9 月 ) で は、 ユ ー ロ ク リ ア と DTCC が ジ ョ イ ン ト ベ ン チ ャ ー(JV) で あ る「DTCCEuroclear Global Collateral Ltd」を英国に設立すること を発表し、注目を集めた。JV は、ユーロクリアと DTCC の 50%ずつの出資により、英国に設立された。今次 Sibos では、その後の動きについて特にセッションはなかったが、 関係者にヒアリングしたところ、2 つのサービスに分けて、 システム構築が進められており、2016 年後半には、サービ スが開始される予定とのことであった。 事に終了した(ギリシャ、マルタ、ルーマニア、スイスの 4 つの CSD)。モンテ・ティトリ(伊)のみが遅れたが、8 月 末に無事移行を完了した。 T2S が稼働を開始すると、多くの銀行では、T2S へのア クセス先として、1 つの CSD(中心的な大手の CSD)を選 ぶものとみられている。これにより、中小 CSD では、経営 が困難化するものとみられている。このため、T2S の稼働 開始後には、CSD 間での統合(CSD consolidation)や合 併が起こることが予想されている。しかし、現在のところ、 まだ具体的な動きはみられていない。とりあえずは、T2S への移行が、業界の最優先課題となっている。移行は、4 回に分けて行われる(2016 年は 3 月と 9 月)。最終移行は、 ① MTU(Margin Transit Utility) 2017 年 2 月である。 DTCC サイド(実際には Omgeo)のシステムをベースと T2S への移行が完了した後に、統合や合併に向けた動き して構築する。OTC デリバティブ取引にかかるマージン・ が出てくるのではないかとの見方が多く、2018 年あたりが コールの処理を自動化する。グローバル・ポジションを対 ポイントとなろうとの見方があった。 象として、マージン・コールへの対応を自動化(STP 化) して行う。2016 年初めから Pilot テストを開始する。 ② CMU(Collateral Management Utility) ユーロクリアの「コラテラル・ハイウェイ」のシステム をベースとして構築する。DTC と Fedwire にある米国債、 米株式などが、ユーロクリアなどの欧州証券と一体的にグ ローバル・プールとして管理されることになる(図表 14)。 図表 14 DTCC とユーロクリアによる担保の共同管理 (3)アジアの債券市場プロジェクト 「Asian Bond Markets Initiative」(ABMI) と「ASEAN+3 Multi-Currency Bond Issuance Framework」(AMBIF) という 2 つのプロジェクトが進められていることが報告さ れた。 このうち、ABMI は、アジアにおいて効率的で流動性の 高い債券市場を育成することを目的に、ASEAN+3 各国の 財務省・中央銀行が共同で立ち上げた「アジア債券市場育 成イニシアティブ」である。 また AMBIF は、ABMI の一環として、クロスボーダー債 券取引を促進するため、域内の債券発行に係る手続きを共 通化する取り組みであり、域内で標準化された債券発行の 枠組みを構築しようとするものである。 6.SWIFT 関連 (1)事業法人の SWIFT 利用 SWIFT を利用している事業法人は、1,515 社に上ってい ることが発表された(企業グループのベース。企業ベース では 3,000 社以上)。また、Fortune Global 500 社のうち、 ※ 6 米国における株式、社債、地方債などの証券決済機関(CSD)で ある。なお、DTCC は DTC の持株会社である。 ※ 7 DTC 内で「担保提供者の口座」から、 「ユーロクリアの口座」 (Euroclear’ s DTC account)に移すことによって、担保をユーロクリア に移すことができるようになる。これを「決済 リンク」 (settlement link)と呼んでいる。 SWIFT Japan News - December 2015 11 45%が利用している。SWIFTを利用している事業法人のう なお、SWIFT では、今次 Sibos において、わが国における ち、年商が 10 億ドルや 5億ドル以下の企業が 4 ~ 5割を占 事業法人の開拓に向けて JSOL 社と提携を行った。今後は、 めており、中堅企業にも利用が拡大してきている(図表 15) 。 両社の協力により、わが国における事業法人の SWIFT 利用 日本でも、事業法人の利用が約 20 社へと拡大している。 の拡大が期待される。 図表 15 事業法人の SWIFT 利用の状況 参加社数 1,515 企業グループ (企業ベースでは 3,000 社) 銀行側 Fortune Global 500 社 年商 10 億ドル 以 下 の 企業割合 年商 5 億ドル以 下 の 企業の割合 1,700 行 45%が利用 49% 37% (2)TSU/BPO の動向 ートを作成するサービスである。 TSU/BPO については、 利用可能行は 240 行 (BIC ベース) に達しているが、このうち、実際にサービスを提供してい ③サンクション・リスト管理と決済データ品質管理サービス る「ライブ行」は、20 行で伸び悩んでいる(前年は 12 行 また、今次 Sibos では、①サンクション・リスト管理 であった) 。 (Sanction List Management)、②決済データ品質管理サ 2013 年に ICC(国際商業会議所)が BPO(Bank Payment ービス(Payments Data Quality Service)の 2 つのサー Obligation)を ICC ルールとして採用した。これにより、 ビスを追加することを発表した(導入開始は 2016 年から) 。 BPO は、信用状(L/C)と並ぶ国際的な貿易金融のルール このうち①は、制裁リスト、政治的な危険人物、悪材料な の 1 つとなり、急速な拡大が期待されたが、システム対応 どについての中央で管理するリストを提供するものである。 の問題などもあって、期待ほどには利用が拡大していない。 また②は、SWIFT メッセージにおける送金人(originator) 利用企業数は、55 社程度である。 や受取人(beneficiary)が、FATF の「勧告 16」などに違 ICC では、2015 年 9 月に、BPO の利用推進のために、 反していないかをチェックするものである。 銀行が企業と契約を結ぶための「モデル契約書」 (guidelines for creation of BPO customer agreements)を作成した。 ④ KYC レジストリー これにより、銀行と企業の契約が行いやすくなるものと期 「KYC レジストリー」は、コルレス関係の開始・維持に必 待されている。 要となる銀行相互のデータ交換を中央データベースへの登 (3)SWIFT のコンプライアンス関連サービス 録によって行うサービスである。これまで、個別行同士の 交換(bilateral exchange)によって行われていたが、こ ①サンクション・スクリーニングとサンクション・テスティング れをレジストリーによる中央での一括管理に変更したもの SWIFT では、初のコンプライアンス系のサービスとして、 である(図表 16)。銀行同士が競合すべきエリアではない 2012 年に「サンクション・スクリーニング」と「サンクシ ため、SWIFT では、メンバー行からの要請を受けて始めた ョン・テスティング」を導入した。 ものである。 「サンクション・スクリーニング」は、自前のチェック・ KYC レジストリーに登録するデータは、顧客属性、所有 システムを持たない中小規模の金融機関のために、SWIFT が と経営、ビジネスタイプと顧客基盤、コンプライアンス、税 SWIFT ネットワーク上のメッセージのフィルタリングを行う 金情報など、5 つのカテゴリーに分かれている(図表 17) 。 サービスであり、現在、120 ヵ国の 380 行が利用している。 SWIFT 加盟行のうち 7,000 行が合計 130 万件のコルレス 「サンクション・テスティング」は、各行の構築してい 関係をもっている。つまり、1 行平均で約 180 行との関係 るフィルタリングのパフォーマンスをチェックする(false 維持が必要となっており、そのための相互のデータ交換に positive を減らすなど)サービスであり、大手行が利用し は膨大な手間がかかっている(データのフォーマットが、 ている。 各行ごとに微妙に異なっている) 。この部分の効率化を図る ためのサービスである。 ②コンプライアンス・アナリティクス KYC レジストリーは、稼働開始(2014 年 12 月)からわ 今年は、これに加えて、 「コンプライアンス・アナリティク ずか 9 ヵ月で、利用行は 176 ヵ国の 1,470 行余りへと急速 ス」を追加した(2015 年 4 月) 。これは、SWIFT のトラフ に拡大している。これは、情報の登録が無料となっている ィック・データを分析して、イレギュラーな動きがないかや、 ことが大きな要因である(2015 年中は、データの利用も無 送金の最初の発信国や最終送金国の追跡などを行い、一歩 料である)。邦銀は、現在のところ、模様眺めの状況である (業 踏み込んだ分析を行ったうえで、利用行にアラートやレポ 務の二元化を懸念)。 12 SWIFT Japan News - December 2015 図表 16 KYC レジストリーの概念図 図表 17 KYC レジストリーの登録カテゴリー カテゴリー カテゴリーⅠ カテゴリーⅡ 項 目 内 訳 顧客属性 所有と経営 名称、住所、規制当局など 取締役会の名簿、大口株主の名簿、グ ループの構成など カテゴリーⅢ ビジネスタイプと顧客基盤 商品構成とサービス、展開している地 域、顧客層など カテゴリーⅣ コンプライアンス AML コントロールの状況など カテゴリーⅤ 税金情報 FATCA への対応など (4)ISO20022 のハーモナイゼーション SWIFT で は、 金 融 マ ー ケ ッ ト イ ン フ ラ(FMI) が 使 う release)に合わせて、アップデート(それに伴うシステム 対応)が必要となるためである。 ISO20022 のバージョンが多様化(fragmentation)する のを防ぐために、より厳格なバージョン管理を行うための仕 7.おわりに 組みである「ISO20022 の協調のための憲章」 (ISO 20022 最終日のクロージング・プレナリ―では、MAS(シンガ Harmonisation Charter)を定めて、世界の FMI にこの承 ポール金融管理局)のラビ・メノン長官の講演が行われ、シ 認(endorsement)を求めている。 ンガポールの金融センターとしての価値を高める柱として、 ISO20022 は、各国の個別事情を取り込むうえでは柔軟 「スマート金融センター」(Smart Financial Center)を目 な仕組みとなっているが、世界で 200 以上のプロジェクト 指しており、そのために、MAS としてかなりの予算をとっ が ISO20022 の導入に向けて進行中であり、各国ごとにバ て、業界をあげた FinTech 対応を行っている旨の発言を行 ージョンが多様化すると混乱が生じる可能性がある。この い、注目を集めた。 ため、SWIFT が調整に乗り出しているものである。この憲 来年の Sibos は、9 月 26 ~ 29 日にスイスのジュネーブ 章には、法的な拘束力はなく、承認しても SWIFT および他 で行われる。その後は、トロント(2017 年)、シドニー(2018 の主体に対していかなる義務も負わないものとされている。 年)、ロンドン(2019 年)で行われることが決まっている。 この憲章は、①情報の共有、②国際的な市場慣行の順守、 ③より厳格なメッセージ・バージョンとリリースの管理、 ④情報の公開、が 4 本柱となっている。 今 次 Sibos で は、12 の FMI が 承 認 を 行 っ た( ユ ー ロ ク リ ア、 ク リ ア ス ト リ ー ム、 カ ナ ダ 中 銀、CLS、ASX、 HKICL、NSD など) 。日本のインフラ(ほふりなど)は、 承認に対しては慎重な姿勢をとっている。これは、1 年に 1 回の「最新バージョンのリリース」 (ISO20022 standards SWIFT Japan News - December 2015 図表 18 今後の Sibos の開催予定 開催年 2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 開催地 ジュネーブ トロント シドニー ロンドン 以 上 13 SWIFT2020 - Grow the core, build the future 2015 年初頭の理事会の承認を経まして、この度 SWIFT は 2020 年に向けての中期経営計画を発表いたしました。 “Grow the core, build the future”という掲題の新しい計画で、SWIFT は今まで築いてきた最高の運用標準を更に向上 しながら、成長速度を加速していくことに集中してまいります。デジタル化、ネットワークの安全確保、様々な規制への 対応等、次の5年間に金融業界に求められる変化に対してお客様が適切にご対応できるようご協力し、また急速に変化し ていく業界・お客様のご要望に迅速に対応できるよう自らも変革していくことを目標としております。 SWIFT2020 は以下の 3 点を重要な成長項目といたしました。 1. 核となる資金・証券メッセージサービスの進化 2. 金融市場インフラの整備、改善への取り組み 3. 急速に拡大している規制に対する法令順守サービスの強化 そして、上記の成長を可能なものとするために、以 下を重要項目としました。 1. 最高水準の運用標準 2. 革新性 3. 顧客と共同体 4. 人的資源と能力開発 5. 数値目標管理 SWIFT2020 の詳細はそれぞれの成長項目の計画が 決定され次第展開してまいります。 2016年MTスタンダーズリリース:Updated High Level Information 2015 年 MT スタンダーズリリース Updated High Level Information が 11 月 20 日に発表されました。概要は以下の通り となります。下記の概要は主要な項目のみをカバーしています。詳細については、Updated High Level Information 並びに オンライン ・ ユーザーハンドブックに 12 月 18 日から掲載予定の Standards Release Guide (SRG) をご覧ください。各 資料のリンクは以下の通りです。 Updated High Level Information 並びに 2016 年スタンダーズリリースの日程: http://www.swift.com/products_services/by_type/standards/standards_mt_maint_rel_2015 オンライン・ユーザーハンドブック: https://www2.swift.com/uhbonline/books/hub/home.htm MyStandards: https://mystandards.swift.com/?rdct=t 2016 年 MT スタンダーズリリース概要 Category 1 14 概 要 重要情報: • 送金電文の依頼人・受益人フィールドについて、ストラクチャードフォーマット ・ オプション(50F / 59F)が使用可能となる。これらの顧客情報用フィールドのフリーフォーマット ・ オプションはスタン ダーズリリース 2020 年をもって廃止される。 SWIFT Japan News - December 2015 Category 1 2 3 4 5 概 要 • 影響を受けるフィールド及び電文種類: o 50H: MT 101 o 50K: MTs 102, 102 STP, 103, 103 REMIT, 103 STP o 59 (no letter option): MTs 101, 102, 102 STP, 103, 103 REMIT, 103 STP • 早期にスタンダーズリリース 2020 年対応を計画することが推奨される。 重要情報: • 送金電文の依頼人・受益人フィールドについて、ストラクチャードフォーマット ・ オプション(50F / 59F)が使用可能となる。これらの顧客情報用フィールドのフリーフォーマット ・ オプションはスタン ダーズリリース 2020 年をもって廃止される。 • 影響を受けるフィールド及び電文種類: o 50K: MTs 202 COV, 205 COV o 59 (no letter option): MTs 202 COV, 205 COV • 早期にスタンダーズリリース 2020 年対応を計画することが推奨される。 MT 300: • MT 304 と同様に、トレードレポジトリー報告用のフィールドとしてコンファメーションとクリアリン グのタイムスタンプの記載が出来るようにする。 (追加の報告データが記載可能) (NDF の当局報告用 に MT 300 を使用するユーザーに関係する変更。) MT 300、304: • トレードレポジトリー報告用のフィールドとしてコミッションとフィード用のフィールドを追加する。 MT 304: • MT 300 と同様に、トレードレポジトリー報告の管轄地域を UTI サブシークエンスに追加。管轄地域 ごとに複数の UTI が記載可能となる。 MT 350、360、361、362、364、365: • マイナス金利の表示を使用できるようにする。 (SR 2016 については変更なし) Trade Initiation and Confirmation • フィールド 94a / 95a について、LEI の記載が出来るようにする。送信電文において、任意で LEI の新 しいフォーマットオプションを使用することができる。全てのユーザーは、LEI の新しいフォーマット オプションを使用した電文を受信・処理できなければならない。 • フィールド 90a のレターオプション A にマイナス表示を任意で使用できるようにする。 Settlement and Reconciliation • フィールド 90a のレターオプション A にマイナス表示を任意で使用できるようにする。 • フィールド 94a / 95a について、LEI の記載が出来るようにする。送信電文において、任意で LEI の新 しいフォーマットオプションを使用することができる。全てのユーザーは、LEI の新しいフォーマット オプションを使用した電文を受信・処理できなければならない。 Corporate Action: • フィールド 94a / 95a の LEI の新しいフォーマットオプション追加は、Corporate Action 電文につい ては否決された。 • フィールド 90a のレターオプション A にマイナス表示を任意で使用できるようにする。 • Corporate Action 電文全般について記述式フィールドの記載方法を統一・合理化する。 o MT 564 のシークエンス F フィールド 70E からクオリファイア DECL を削除する。 o MT 566 のシークエンス C フィールド 70E を削除する。 o MT 566 のシークエンス D1b フィールド 70E からクオリファイア PACO を削除し、任意・繰り 返し使用可能なクオリファイア TAXE を追加する。D2a の 70E にも TAXE を追加する。 o MT 566 のシークエンスEフィールド 70E からクオリファイア TXNR、INCO、COMP、TAXE、 DECL、REGI、BAIN を削除する。 o MT 565 のシークエンス C フィールド 70E からクオリファイア DECL を削除し、任意・繰り返 し使用不可能なクオリファイア CETI を追加する。 o MT 565 のシークエンス D フィールド 70E を削除する。 o MT 565 のシークエンス E フィールド 70E からクオリファイア ADTX、TXNR、DISC、BAIN を削除し、任意・繰り返し使用可能なクオリファイア COMP、DVLR、FXIN、INST を追加する。 • Corporate Action 電文全般について源泉徴収税率の記載方法を統一・合理化する。配当イベントにつ いて収益の発生する国の特定を可能にする。 o MT 564 のシークエンス E フィールド 92a と MT 566 のシークエンス D フィールド 92a のク オリファイア TAXR の定義を変更し、フォーマットオプション F を追加する。 o MT 564 のシークエンス E フィールド 92a と MT 566 のシークエンス D フィールド 92a に任意・ 繰り返し使用可能なクオリファイア WITL を追加し、クオリファイア WITF と TAXE を削除する。 o MT 564 のシークエンス E フィールド 92a と MT 566 のシークエンス D フィールド 92a に WITL が使用された場合には、TAXR の使用が必須となるネットワーク検証ルールを追加する。 o ネットワーク検証ルール • 変更:MT 564 C9、MT 566 C4 • 削除:MT 564 C6、MT 566 C7 • 追加:MT 564、MT 566 SWIFT Japan News - December 2015 15 Category 5 6 7 8 9 n 16 概 要 o MT 564 のサブシークエンス E2 フィールド 92a と MT 566 のサブシークエンス D2 フィールド 92a のクオリファイア TAXR の定義を変更し、フォーマットオプション F を追加する。 o MT 564 のサブシークエンス E2 フィールド 92a と MT 566 のサブシークエンス D2 フィールド 92a のクオリファイア WITL の定義と名称を変更し、クオリファイア WITF と TAXE を削除する。 o MT 564 のサブシークエンス E2 フィールド 92a と MT 566 のサブシークエンス D2 フィールド 92a に WITL が使用された場合には、 TAXR の使用が必須となるネットワーク検証ルールを追加する。 o MT 564 のサブシークエンス E2 フィールド 19B と MT 566 のサブシークエンス D2 フィールド 19B のクオリファイア TAXR の定義を変更し、クオリファイア WITL の名称と定義を変更する。 o MT 564 のサブシークエンス E2 フィールド 19B と MT 566 のサブシークエンス D2 フィールド 19B のクオリファイア WITF と TAXE を削除する。 o MT 565 のシークエンス B フィールド 92a に任意・繰り返し使用可能なクオリファイア TAXR (Requested Withholding Tax Rate)を追加し、WITF を削除する。 o MT 565 のシークエンス B フィールド 92a のクオリファイア WITL の名称と定義を変更する。 o MT 567 のシークエンス B フィールド 19B のクオリファイア TAXR の定義を変更し、WITL の 名称と定義を変更する。WITF を削除する。 o MT 564 のサブシークエンス E2 と MT 566 のサブシークエンス D2 に、任意のフィールド 94C と任意・繰り返し使用不可能なクオリファイア COIN(Country of Income Source)を追加する。 MT564 のサブシークエンス E1 と MT566 サブシークエンス D1 のフィールド 94a に任意・繰 り返し使用不可能のクオリファイア COIN を追加する。 Collateral Management • MT 527、558 のサブシークエンス A1 にクオリファイア CPLB を追加する。 • MT 527、558 のシークエンス B フィールド 92a クオリファイア VSMR にフォーマットオプション C を追加し、Data Source Scheme とスタンダード・ヘアカットコードが使用できるようにする。 • MT 527、558、569 のシークエンス A フィールド 19A に経過利息のクオリファイア、シークエンス C と D フィールド 20C に送信者の電文レファレンス番号(Sender’s Reference)のクオリファイアを追加。 • MT 558: o シークエンス B フィールド19AにTransaction Amount Matching Toleranceのクオリファイアを追加 o“Type of Position Flag”のための新しいフィールドを追加 o“Settlement Approved Flag”のための新しいフィールドを追加 • MT 569: o フィールド 94a / 95a について、LEI の記載が出来るようにする。送信電文において、任意で LEI の新しいフォーマットオプションを使用することができる。全てのユーザーは、LEI の新しい フォーマットオプションを使用した電文を受信・処理できなければならない。 o フィールド 90A に任意でマイナス表示が出来るようにする。 Other Cat 5 Changes • MT 500、501、519:フィールド 90A に任意でマイナス表示が出来るようにする。 • MT 575:フィールド 94a / 95a について、LEI の記載が出来るようにする。送信電文において、任意 で LEI の新しいフォーマットオプションを使用することができる。全てのユーザーは、LEI の新しいフ ォーマットオプションを使用した電文を受信・処理できなければならない。 MT 601: • フィールド 23 の Manual/Automatic Indicator のサブフィールドにネットワーク検証ルールを追加する。 • ネットワーク検証ルール C3 を削除する。 (オプションプレミアムの通貨とストライクプライスの通貨 は必ずしも同一ではないため) (SR 2016 については変更なし) 重要情報: • Category 7 全般について大幅な見直しが検討されており、 SR 2018 / SR 2019 に導入が予定されている。 SR 2018: MT 700 – 759 の変更 SR 2019: MT 760 –787 の変更 • 2016 年第一四半期に、上記の変更に関する事前情報(Advance Information)が公開される。 (SR 2016 については変更なし) MT 900、910、940、941、942: • 金融機関と事業法人の間で使用する電文の口座番号のフィールドに、BIC のためのサブフィールドを含 む新しいフォーマットオプションを追加する。送信電文において、任意で新しいフォーマットオプショ ンを使用することができる。全てのユーザーは、新しいフォーマットオプションを使用した電文を受信・ 処理できなければならない。 MT 910: • 依頼人(50a)と依頼金融機関(52a)を両方記載することが可能になるようネットワーク検証ルール を変更する。 (元の電文にこれらの情報がある場合、両方を記載することによってコマーシャルペイメ ントに関する報告の透明性が高まる。) • 依頼人フィールドのフリーフォーマット ・ オプション(50K)は、スタンダーズリリース 2020 年をも って廃止される。 (SR 2015 については変更なし) SWIFT Japan News - December 2015 カスタマー・サポートからのお知らせ カスタマー・サポートでは、ユーザーの皆様からの各種プロダクトの利用方法やテクニカルに関する照会対応を行って おります。SWIFT.com のログイン方法やユーザー権限変更等、特に照会の多い事項を以下の通り取り纏めました。 なお、弊社日本語ホームページ(http://www.swift.com/jp/support/index.page?)にも、その他照会の多い事項と 併せて掲載しておりますので、こちらもご参照ください。 2 Steps Verification セキュリティー強化のため、swift.com にログインする際に、2 Steps Verification(二段階ログイン)が必要となりました。 従来の ID・パスワード以外に、別途メール等で通知されるパスワードもログインに必要となります。Administrator の方が、 企業またはグループ全体の設定を行う場合は、日本語ホームページ”をご覧ください。 ① swift.com のホーム画面から、 「Support」 >「My Profile」>「Manage Profile」>「Personal profile」に進み、 「Personal Profile」をクリックします。 ② 「Personal Info」画面に進み「Identity」のタブをクリックします。 ③ 「2-step verification」欄の「Set up 2-step verification」をクリックします。 ④ 「Manage 2-setp verification settings」画面が表示されます。画面上でパスワードの通知方法(e-mail、SMS、携 帯番号または固定電話のいずれか)を選択し、「Enable」をクリックします。 ⑤ SMS を選択した場合、 「Send Code」をクリックすると認証コードが送信されます。E-mail を選択した場合はメール アドレスに送信されます。 ⑥ 従来の ID・パスワード入力後に、認証コードを入力する画面に進みます。入力後、 「Verify Code」をクリックして、 ログインを完了させます。なお、 この際に「Trust my device」のチェックをすると、本手続が 30 日間不要になります。 予め、携帯・固定電話番号をご確認ください。たとえば「03-1234-5678」の場合、カントリーコード「81」を加え、市外 局番の最初の「0」とハイフンを除き、 「8112345678」になります。電話番号の修正・変更は、 「Personal Info」欄の「Contact Information」で行います。 ユーザー権限の登録・解除 SWIFTNet Security Officer(以下、 「SO」といいます)は最低2名必要です。SO が2名のみの場合、その内1名を解除す る場合は、新しい SO を先に登録する必要があります。また、SO が Administrator を兼務する場合、先ず SO の解除を行っ てから Administrator の解除を行い、続いて swift.com のユーザー削除を行います。以下作業手順概要となります。詳細は 日本語ホームページをご覧ください。 Security Officer 登録・登録解除 Step 1: swift.com ユーザー登録 swift.com のホーム画面の「Customer login」>「Register Now」から、新 SO のユーザー登録を行います。 登録手順は日 本語ホームページをご参照ください。既にユーザー登録がある場合は Step2 に進みます。 Step 2: 新 SO 登録 現 SO の方が Secure Channel にログインし、新 SO を登録します。 作業にあたっては「Secure Code Card」と呼ばれる乱数表をお手元にご用意ください。 Step 3: Secure Code Card の有効化 登録後、1 週間程度で新任 SO に Secure Code Card がベルギーより送付されます。お手元に届きましたら、Secure Code Card の有効化のお手続きを行います。 Step 4: 旧 SO 解除 ① swift.com のホーム画面から、 「Support」>「Secure Channel」に進みます。 ② 「I want to…」のプルダウンリストから「Manage security officers 」を選択。「Security officer profiles」画面に進 みます。 ③ 解除する SO の右側にある「Actions」をクリックして、「Deregister this security officer」を選択します。 「View security officer details」が表示されます。 ④ 「Registration details」にある「Uncheck this flag if you want to remove the security officer role to the above person」のチェックボックスのチェックを外します。 ⑤ 「Next」ボタンを押して、次の画面でセキュリティーカードを使った承認を行います。 Administrator 登録・登録解除 現 Administrator が swift.com のホーム画面から「 Support」>「Manage Your Profile」>「 Personal Profile 」進み、 検索条件を指定(例:Email address または BIC/PIC 等)して解除したいユーザーを表示させます。該当するユーザーの SWIFT Japan News - December 2015 17 E-mail をクリックして、 「Administrator Functions」タブの「User Profile」から「Contact Roles」に進み、「Edit」クリ ックします。 「swift.com administrator」のチェックボックスに、 権限付与の場合はチェックを入れ、権限削除の場合はチェックを外します。 swift.com ユーザー削除 上記同様に、現 Administrator が swift.com のホーム画面から、「 Support」>「Manage Your Profile」>「 Personal Profile 」に進み、解除したいユーザーを表示させます。「Administrator Functions」タブの「User Profile」から「Delete User」をクリックしてユーザー削除を行います。 BIC ISO 9362 の改訂について Business Identifier Code (BIC) は、International Organization for Standardization (ISO) において定められている標 準です。この標準について改訂があり、SWIFT は BIC の登録局として今回の改訂版標準の導入を行いました。主なポイント は下記の通りですが、詳細は下記リンクのホワイトペーパーをご参照下さい。 http://www.swift.com/jp/events/japanese_material_download_centre/index.page? • • • • 改訂版標準の導入には、2015 年 1 月から 2018 年 11 月まで移行期間が設けられる。 改訂版標準と新しい登録手順は、導入済みの既存の BIC には影響しない。既存の BIC は現行のまま継続使用される。 BIC の構造は変化しないが、各区切りごとの名称や意味について変更される箇所がある。 SWIFTNet FIN に非接続の BIC について、8 桁目に“1”を付与して Non Connected BIC とする構造を、移行期間を 経て廃止する(既存の BIC1 は維持される) 。 SWIFT の製品・サービス等の操作・テクニカルに関するご照会は、swift.com のホーム画面から、「Support」> [Report your case] にてケースを上げていただくか、またはお電話でカスタマー・サポート「03-6743-0571」に お問い合わせください。お問い合わせには、予め swift.com にアカウントを作成した際に採番される「Registration Code」か「ケース番号」が必要になります。 「Registration Code」は swift.com のホームページにログインされた際に、 右上に表示されるお名前の右横、括弧内の 9 桁の番号になります。予めご準備ください。 PMPG活動報告 PMPG(Payments Market Practice Group)はグロー バルな Payment(支払決済)分野における様々な慣行と現 状の問題点の理解に基づき、その時々の注目分野毎の推奨 慣行の公表を通じて、標準化と STP 化を推進している民間 の任意団体です。 SWIFT は、2006 年の PMPG 創設以来事務局機能を提供 しており、2010 年には、BPC(銀行ペイメント委員会)傘 下のアドバイザリーグループとして位置づけています。 16 ヶ国・地域の 18 名(2 名の SWIFT 理事と 16 名の民 間金融機関メンバー)により構成されており、日本からは 三菱東京 UFJ 銀行が参加しています。 活動の中心は、年 2 回の会合と月次の電話会議、及び、電子 メールによる検討です。こうした活動の成果として、白書やガ イドラインを作成し、ホームページを通じて公表しています。 本年 9 月には、BIS の「日中流動性管理のためのモニタリ ング指標」を背景とした「Liquidity Reporting Messaging」 に関するガイドラインや、本年 SWIFT 定例改訂のフィール ド 59(受取人)における F オプションの導入を背景とした、 現ガイドライン「Use of fields 50a Ordering Customer and 59a Beneficiary Customer to comply with FATF Recommendation 16」の更新版を公表致しました。 また、sibos 前の恒例イベントとして定着しつつある年次 フォーラムも、主要な活動となっています。年次フォーラ ムでは、世界中から業界関係者を招待し、グローバルに注 目度の高いトピックに関して、より深く、活発な議論を行 っています。 18 今年の年次フォーラムは、sibos 前の土曜日にシンガポー ルにおいて開催致しました。 アジアからの参加者も多数来場し、約 100 名を交え て、「APN(Asia Payment Network)」「Remittance Information」「Immediate/Faster Payments」「CIPS/ RMB」「FATF 特別勧告 16」「日中流動性管理」など、幅広 いトピックスに関してのディスカッションが活発に行われ ました。 来年はジュネーブ sibos に合わせて、6 回目の年次フォ ーラムを開催する予定です。 また、sibos 直後の金曜日には定例会合が行われ、GLEIF (グローバル LEI 財団)より理事長を招いての「LEI に関す るプレゼン・議論」や、「年次フォーラムのフィードバッ ク」 「ISO20022/Real Time Payments Group の最新状況」 「MT103 の依頼人・受取人 Free Text 2020 年廃止」 「CCC (Chinese Commercial Code)のガイド」「BIS のコルレス バンキングに関する市中協議への対応」等に関する討議を 行いました。 今後とも益々重要さを増すグローバルなペイメントに関 する実務面での幅広いテーマにおいて標準化を推進して参 ります。 PMPG の活動の概要や資料等をご覧いただく際やご要 望・ご意見をお寄せいただく際には、http://www.pmpg. info が便利です。 三菱東京 UFJ 銀行 石嶋和志 SWIFT Japan News - December 2015 SMPGワーキング・グループA 活動報告 アジア各国 CSD の ISO20022 の導入検討状況や、本年 6 月に稼動開始した T2S についての最新状況の共有がありま した。また、テーマの中にブロックチェーン技術活用に関 SMPG のグローバル会議が、2015 年 4 月にはブラッセ するディスカッションも織り込まれ、既存インフラや業務 ルの SWIFT 本部にて、同 10 月には Sibos の前週にシンガ への今後の影響などについて、活発に議論がなされました。 ポールの SGX にて開催されました。アジア ・ オセアニア地 域からは、近年常連の日本、香港、シンガポールに加えて、 年次の SWIFT 定例修正要望の審議では、上記の LEI 情報 10 月には豪州、ベトナムも参加し、各 3 日間の会合が行な 用の新コード追加など Common 分野で 5 項目、他に S&R われました。 分野で 2 項目の内容を審議しております。 ワーキング・グループ A は、証券決済関連事項が対象で、 10 月 開 催 SMPG グ ロ ー バ ル 会 議 の 前 日 に は、 第 4 回 決済指図、決済状況確認通知、残高通知等の効率化に向け APAC RMPG (Asia Pacific Regional Market Practice た事項を検討しており、主にはグローバルな市場慣行を明 Group) 会議がシンガポールで開催されました。本会議は、 記したグローバルドキュメントの策定を行なっています。4 2012 年以降年次開催されており、年一度の物理的な会合 月の会議では、LEI の動向と将来の利用について、LEI の利 に加えて、四半期毎の定期的な電話会議も行ないつつ、ア 用が欧米で拡大している状況を鑑み SWIFT のメッセージフ ジア各国のワーキング・グループの活性化を SWIFT と連携 ォーマットに LEI 情報用の新しいコードを加える方向性で しながら推進しています。具体的にアジアで立ち上がって 検討することを確認。CSD での ISO20022 利用増加を始 いる国は、日本、豪州、香港、インド、韓国、マレーシア、 め、金融インフラでの ISO20022 の実装が徐々に拡大して シンガポール、ベトナムです。タイ、インドネシア、フィ いること等も共有されました。10 月の会議では、4 月に続 リピンは、引き続き参加を検討している状況です。 き LEI の最新動向についての説明があり、年次の SWIFT 定 例修正に盛り込む方向で継続審議することを確認。他にも、 SMPGワーキング・グループC 活動報告 三菱東京 UFJ 銀行 決済事業部 奥村 広明 / 森田 静 の拡充が実施されました。本サービス拡充は、市場利用宛 に最新のスタンダードである ISO20022 に準拠したメッセ ージを配信することにより、CA イベント情報の高度化を目 指すものです。 ワーキンググループ C では、グローバルなユーザーグル ー プ の 会 議 体 で あ る Securities Market Practice Group 昨年のリリース後は、情報コンテンツの拡充、情報精度の (SMPG)と密接に連携を取って、コーポレートアクション 向上、利用者ニーズの反映等、東証・保振機構の両 Official (CA)に関する証券メッセージの標準化を検討しておりま Body と連携しながら市場インフラの基盤整備に取組んでお す。 ります。また、情報の信憑性の観点で、Official Body によ る公認のレファレンスナンバー「COAF」付きの CA イベ 2015 年の主な活動として、年次改正に関する意見集約の ント情報を市場利用者に提供し、利用者がその情報を利用 作業の他、SMPG のグローバル会議が、4 月にブラッセル、 することで、日本初の ISO20022 導入実績にもつながって 10 月にシンガポールで開催され、各国証券市場における市 おります。 場慣行をグローバルに調和させ、STP 化の推進を図るべく、 議論を深めてまいりました。 本サービス拡充の効果として、特に海外投資家に対し、 対日投資の際の投資判断となる基礎情報をタイムリーに提 さらに特記事項として、CA 情報配信サービスにおける、 供することが可能となり、更なる市場の活性化に繋がるこ ISO20022 への取組みがあげられます。国内では、情報配 とが期待されます。 信サービスにおけるグローバルレベルでの標準化検討を行 ってきた結果として昨年 2 月、東京証券取引所(東証)と 引き続きメッセージフォーマットの標準化、CA 業務の 証券保管振替機構(保振機構)が共同で、東証が運営する STP 化の推進に取組んで参りたいと思います。 Tokyo Market Information のプラットフォームを用いて、 ISO20022 に準拠した CA イベント情報等の配信サービス SWIFT Japan News - December 2015 みずほ銀行 決済営業部 堀田尚/伊藤秀樹 19 SWIFT コンプライアンスサービスのご紹介 各国の規制当局は引続き金融制裁をはじめとしたコンプライアンス対応の強化を各金融機関に求めています。特に、KYC (Know Your Customer) といわれれる取引銀行に対するデューデリジェンスは一層の緻密化・厳格化が進んでいる状況です。 SWIFT ではこのような各種のコンプライアンス対応において、コミュニティ全体の負担を軽減しつつ、有効に対処する ためのサービスを提供しております。 KYC Registry KYC Registry は取引銀行に対して行う KYC に必要な情報(KYC 情報)を、SWIFT が管理する共通基盤「KYC Registry」 に登録し、取引銀行と相互に共有するサービスです。従来、取引銀行毎に E メールやファックスにより KYC 情報の提出依頼 を受け、各行独自の書式に記入のうえ提出を要することから、多大なコストと労力を要する業務となっておりました。 KYC Registry に標準化された KYC 情報を登録することで、 取引銀行毎に行う書類作成や提出作業の削減が期待できま す。銀行が登録した KYC 情報は SWIFT の安全な環境下で 厳正に管理され、また KYC 情報は開示請求を承認した相手 銀行にのみ提供されることから、情報管理の強化も図れます。 質の高い KYC 情報を提供するために、SWIFT の専門チーム によって、情報不備の点検、添付書類との整合性の確認、ま た公開情報との照合を行います。この検証作業により、KYC 情報を入手する銀行は、予め情報の充足度合いを確認するこ とが可能です。2015 年 10 月末時点の契約数は 623 金融機関(BIC 数において稼動約 7,000BIC の内、1,573BIC)に上り、 2014 年 12 月に KYC Registry 提供を開始して以来、順調に推移しております。KYC 情報の登録は無料でご利用頂けます。 他行の KYC 情報を入手する際は有料となり、開示請求が承認された時点で費用が発生します ( 年間利用量に応じて、年単位 での費用請求 )。 Compliance Analytics Compliance Analytics は 2014 年 7 月から提供が開始され、 リストを継続的に更新しています。Sanction Screening は、 日系金融機関でも利用が開始されています。実際に送受信し 送信された FIN 電文 (MT103/202/700 など ) を検証し、 た SWIFT 電文を分析し、異常または変則的な取引の洗い出 問題がないと判断した後に、最終的に受取銀行宛に電文を し、ハイリスクカントリーとの取引実態の確認、カウンター 伝送します。 パーティーとなる各金融機関との取引実績の把握等が可能 になります。併せて、RMA(Relationship Management Application)利用頻度のモニタリングも行えます。モニタ リングによって、該当金融機関との取引継続要否を定期的 に確認し、RMA 先を常に最適な状態に保つことで、KYC 作業や、不必要な電文処理や照会事務の削減、リスクの高 い取引先との予期せぬ関与などのコンプライアンスリスク の低減が期待できます。 Sanctions Screening Sanctions Screening は、スクリーニングシステムの運用 や制裁リストの更新管理を、SWIFT が管理運営するサービ スです。2012 年 4 月からサービス提供を開始し、2015 年 10 月末時点で 390 以上、アジア・パシフィック地域でも 98 の金融機関が利用しています。日本でも既に複数の金融 機関でご利用頂いております。 また、Alliance Access を自営で運用するユーザー向けの Sanction Screening Connector Option では、電文送信前 に検証を行い、送信可能と判断した電文のみ送信するため、 自営で運用するスクリーニングソフトと同様の検証手順が 採用可能です。さらに FIN フォーマット以外(SEPA や外 為円決済電文など)のスクリーニングも可能です。 Sanctions Testing Sanctions Testing は自営でスクリーニングソフトウェア を運用する金融機関向けのサービスで、2013 年から提供を 開始し、2015 年 10 月末時点で 30 以上の金融機関、アジア・ パシフィックでは日系金融機関を含む 5 金融機関が利用し ています。Sanctions Testing は、利用しているスクリー ニングソフトウェアが各種制裁リストに対して効率的且つ 有効に動作しているかを、客観的に計測することができま す。計測結果にもとづき、スクリーニングソフトウェアの Sanction Screening は SWIFT のデータセンターで運営さ チューニングを定期的に実施し、リスク管理強化や事務効 れ、日本の財務省リストを含む世界 15 カ国 30 以上の制裁 率改善のためのツールとして活用いただけます。 20 SWIFT Japan News - December 2015 SWIFT for Corporates – 事業法人向けサービスの現状 2015 年 11 月現在、本邦の事業法人の SWIFT 加盟社数は約 20 となり、そのうち 7 割近くが 2014 年以降に加盟しました。 これには、本邦企業を取り巻く社会や経済環境の変化、トレジャリー・マネジメント(あるいはグローバル・キャッシュ・マ ネジメント)に関する国や関係機関レベルでの取組みや金融機関以外の新しいプレイヤーの登場など様々な要因があり、今後 もこの流れが続くものと思われます。 本邦企業を取り巻く社会・経済環境の変化 企業の国際化、多角化に伴い、企業グループ全体が抱えるリスクの把握や財政状態の明確化が重要視されるようになり、 2000 年、連結会計制度が導入されました。その後、企業による相次ぐ会計不祥事を背景に、監査制度、コーポレート・ガバ ナンス、情報開示の強化を目的とした SOX 法が米国で制定され、本邦においても 2006 年、会社法施行、金融商品取引法の 成立によって新たな内部統制のルールとして日本版 SOX 法が実施されることになりました。 2008 年、米金融機関が破綻したことに端を発して発生した世界的な金融危機によって顕在化したのがカウンターパーティ ーリスクです。これは企業の取引の相手方に対する信用リスクだけを意味するものではありません。企業の取引先である金融 機関自身のリスク管理体制も強化され、業務内容の再検証や、信用リスクの管理の観点からの顧客の識別がそれまで以上に厳 しく行われるようになったことから、企業では、金融機関を含む取引するすべての相手方に対する多角的な判断が必要となり ました。さらに、2011 年、東日本大震災やタイにおける洪水などの自然災害により、多くの企業がサプライチェーンの寸断 や緊急の資金需要の発生などに直面し、不測の事態における迅速な財務状況の把握や迅速で的確な判断の重要性が再認識され ました。 本年には改正会社法が施行され、企業には、本邦のみならず海外拠点も含めた企業グループ全体の業務の適正を確保するた めに必要な体制が求められています。 今日までの約 15 年にわたる様々な法・制度の整備や出来事を踏まえ、企業は、ガバナンスやリスク管理の強化および経営 効率の向上のために、まず、 「今」何が起きているのかを常に的確に把握できる体制を整え、その上で全体最適を目指すこと が重要です。 国や関係機関レベルでの取組み これまで、キャッシュ・マネジメントやトレジャリー・マネジメントの取組みは、主に金融機関が中心となって企業の財務 部門に働きかけを行っていました。ところが、昨年頃から国や関係機関レベルでの動きが顕著に見られるようになりました。 たとえば、本年 3 月、経済産業省は民間コンサルティング会社にグローバル・キャッシュ・マネジメントに関する委託調査 を実施し、 「平成 26 年度総合調査研究『GCM 及び ABL の現状と普及促進に向けた課題の調査等』報告書」が公表されました。 これは、 本邦企業の「GCM(グローバル・キャッシュ・マネジメント)への取り組みの現状や直面している課題を把握した上で、 目指すべき GCM のあり方を検討することを目的」としています。また、本年 6 月に発表されたアベノミクス第三の矢「日 本再興戦略」には、「グローバルに活動する本邦企業の成長力を強化する等の観点から、銀行によるキャッシュ・マネジメン トサービスの高度化 ・・・(中略)・・・ をはじめとする決済高度化に向けたアクションプランの策定等を行う」とあり、 国として、 グローバル・キャッシュ・マネジメントを企業の収益性の向上、持続的成長のために取組むべき重要な課題としています。 一方、民間レベルでは昨年、日本 CFO 協会によってグローバル財務部会(旧次世代グローバル財務責任者部会)が発足し、 企業の枠を超えた実務者レベルの人材の育成や交流が行われるようになりました。これまでも、異業種他社の CFO 同士のや り取りや会合はあったものの、実務者レベルの交流や情報交換は頻繁には行われていませんでした。本邦企業によるグローバ ル財務の実情や課題を踏まえ、活発な議論が期待されます。 新たなプレイヤーの登場 トレジャリー・マネジメントのためのツールは、これまで主に銀行が企業に提供してきましたが、本邦における SWIFT 加 SWIFT Japan News - December 2015 21 盟事業法人数の急激な増加は、欧米系のトレジャリー・マネジメント・システム(TMS)ベンダーの台頭と密接に関連して います。これまでも、特に表計算ソフト等を駆使して膨大なマニュアル作業を通じてトレジャリー・マネジメントを行ってい る事業法人が SWIFT を利用する場合、まず、当該業務について最大限自動化するためのシステムの構築およびその保持が必 要となるため、企業にとってシステムベンダーの関与は不可欠でした。その場合、企業がかかる IT 資源を自前で保有し、管 理する必要があったため、リソース面からもコスト面からも大きな負担が伴いました。 一方、この 1、2 年で実績を挙げている TMS ベンダーに共通するのは、クラウド型のソリューションを提供しているとい う点です。従来型システムとは異なり、クラウドの場合、企業は自前で TMS を保有することなく、インターネットを通じて TMS を利用し、その利用に応じた手数料をベンダーに支払います。一般的には、企業は TMS における必要な機能のみを利 用することができるため、低コストで短期間での導入が可能と言われています。多くの TMS ベンダーは、標準化されたフォ ーマット、標準化された方法で世界中の銀行とやり取りができる SWIFT とのインターフェースを自社の TMS に有しており、 企業によるクラウド型 TMS の導入に比例して企業による SWIFT の利用が広がっています 。 SWIFT の取組み 2005 年、松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)が本邦における最初の事業法人として SWIFT に加盟しまし たが、その後数年にわたって事業法人の SWIFT 加盟社数は伸び悩んでいました。その理由として、① 2001 年に導入された SWIFT へのアクセス方法である「MA-CUG」では、事業法人が各金融機関が運営するユーザー・グループにそれぞれ参加す る必要があり、ユーザー、金融機関双方にとって運用上の負担が大きかったこと、および②ユーザーはトレジャリー・マネジ メントのためのプラットフォームを含め、自社でインフラを構築し、維持する必要があったことが挙げられます。MA-CUG の導入によって事業法人はユーザー・グループの運営者である金融機関との間で送金の依頼や入出金明細の受領など、より幅 広い業務を SWIFT を通じて行えるようになりましたが、2007 年、ユーザーおよび金融機関の利便性向上の観点から新たな 枠組み「SCORE(Standardised CORporate Environment)」が導入されました。SCORE では、SWIFT が運営するユーザー・ グループに参加することで、事業法人は当該ユーザー・グループに参加しているすべての金融機関との間で SWIFT メッセー ジの送受信が行えるようになり、現在、新規に SWIFT に加盟する事業法人にとって標準的なアクセス方法となっています。 メッセージング・サービスの観点からは、2008 年、低ボリューム顧客向けサービスとして「Alliance Lite」が展開され、イ ンターネット経由での SWIFT 接続が可能になり、 2012 年にはクラウド型サービス「Alliance Lite2」の展開が開始されました。 Alliance Lite2 は、標準的な PC、インターネット接続、ブラウザ、セキュリティ・トークンがあればアクセス可能で、利用 量に応じた料金体系となっており、GUI(画面)上での電文作成、電文閲覧を可能とするだけでなく、専用ソフトウェアを利 用することにより、企業の社内システムとの連携をも可能にします。具体的には、当該ソフトウェアによって、ユーザーであ る企業のサーバー内に受信用・送信用フォルダをそれぞれ作成します。Lite2 サーバーが当該企業 BIC 宛に電文を受信すると、 当該受信電文は特定のフォーマットに展開された上、企業の受信用フォルダに自動的に送信されます。逆に、特定のフォーマ ット・ファイルが企業の送信用フォルダに置かれると、当該送信電文は、自動的に SWIFT 所定のフォーマットに展開された上、 Lite2 サーバーに送信され、 SWIFTNet を通じて相手先に送信されます。この仕組みは、企業・SWIFT 間の直接接続のみならず、 一部の TMS ベンダー等との間でも利用されています。その場合、企業は SWIFT に加盟し、自社の BIC を取得した上で通常 は当該ベンダーが提供する TMS を通じてトレジャリー・マネジメントを行うものの、必要に応じて GUI 上で操作を行ったり、 別途 SWIFT によるコンサルティング(MT940 送信依頼にかかる取引銀行との連携含む)やサポートを受けたりすることも 可能です。 さらに、2016 年には Alliance Lite2 のオプショナル・サービスとして「Lite2 Cash Reporting Dashboard」の展開が 予定されています。これは、多くの事業法人のお客様からのご要望により実現した、MT940 の情報に基づいたエクセルベー スの可視化ツールで、通貨、銀行、法人格、国、預金種目など様々な基準による資金ポジションをグラフによって視覚的にモ ニターすることができ、PDF やエクセルによるデータのエクスポートも可能です。トレジャリー・マネジメントに対する問 題認識はあるものの TMS の導入はハードルが高い、まずは資金の「見える化」を図った上で次のステップを考えたい、とい う企業に適したソリューションです。 SWIFT では、トレジャリー・マネジメントの領域以外にも、MT798 をはじめとした貿易関連サービスや個人デジタル認 証スキーム「3SKey」 、送金履行のためのリファレンス・データ・ユーティリティ「SWIFTRef」など、事業法人のお客様向 けサービスを多く展開しています。また、SWIFT for Corporates に特化した金融機関向けトレーニングや認定プログラム も実施しています。詳細につきましては、担当営業までお問い合わせください。 TMS ベンダーによっては企業による SWIFT への加盟を必要としないケースもあります。 22 SWIFT Japan News - December 2015 SWIFTRef のご案内 SWIFTRef(SWIFT Reference Data)では、 「BIC Directory」等のサービスをご提供しています。「BIC Directory」は郵 送による冊子の他、毎月更新される電子ファイルをダウンロードしてご利用頂けます。また「BIC Directory」以外にも、以 下の新しいサービスがご利用頂けます。 Bankers World Online Bankers World Online はインターネットで提供される、オンライン照会ツールです。次の情報が入手可能です。 - 200 カ国以上の金融機関と事業法人の全 BIC コード - 全銀コード、CNAPS、CHIPS を含む150ヵ国以上の銀行コード - ユーロ圏の BBAN-IBAN コード変換、IBAN コードの検証機能 - 40 万件以上の SSI 情報 - 銀行の財務情報、信用格付、役員情報、業種分類情報 - 国、通貨及び休祝日情報 SWIFTRef Reach Plus FEDAch, CHAPS, EBA 等の各国の決済システムの会員情報を集録しています。電子ファイルにダウンロードしてご利用頂 けます。被仕向銀行への送金ルートを迅速に検索できます。 SWIFTRef Entity Plus BASELIII, Dodd-Frank, FATCA 等の当局宛レポートに欠かせない、LEI (Legal Entity Identifier)、BIC、GIIN (FATCA) 等の情報を収録しています。電子ファイルにダウンロードしてご利用頂けます。 SWIFTRef Webservices API お客様のシステムから SWIFTRef のサーバー宛に WEB-API を送信して、BIC や IBAN データの取得が可能です。 詳細は SWIFTRef.APAC@swift.com もしくは 03-5223-7400 にご連絡ください。 SWIFT Japan News - December 2015 23 SWIFT コンサルティングサービス 金融業界では様々な業務において、効率性・コスト削減・システム自動化により、改善、改革が求められています。SWIFT ではユーザが直面する問題を、SWIFT 製品・業務に精通するエクスパートが解決・支援していくコンサルティングサービス を提供しております。定型ではなくユーザの要望に応じて展開しているコンサルティングサービスは、世界中で高い評価をい ただいております。アジアパシフィックでは、テクニカル・インテグレーション・ビジネスコンサルティングの側面から皆様 を支援しております。これらのプロジェクトは、専任のプロジェクトマネージャーをおくことにより、総合的にプロジェクト 管理することも可能となっております。詳細情報および料金体系については担当セールスまでご相談ください。 テクニカル インテグレーション SWIFT インフラ・システム導入 IPLA 導入・開発 SWIFT システム開発支援 SWIFT 電文データマッピング オンサイトサポート プロジェクト管理 プロジェクト管理 ビジネス 電文 Standards 業務 STP 化 SWIFT トラフィック業務分析 コンプライアンス分析 クアラルンプールオフィス・ジャパンデスクのご紹介 SWIFT Kuala Lumpur Corporate Services Centre は 2013 年 3 月にマレーシアの首都、クアラルンプールに設 立されました。アジアパシフィックのお客様のニーズに迅速にお答えすべく、プロダクト開発・IT 関連部署の他、 SWIFTRef 及び KYC Registry の情報収集を専門とする部署が活動しています。 クアラルンプールオフィスは 30 名のスタッフで業務を開始しましたが、アジアパシフィックマーケットの成長に 合わせて順調に業務が拡大し、現在は約 200 名が在籍しています。マレーシアの即時決済システム(Rentas)へ の SWIFT 接続等、大型プロジェクトも担当しております。 この動きに合わせて、2014 年 1 月にジャパンデスクも設立され、日本を含むアジアパシフィックの日系のお客様に、 電話や Email を通した新商品やイベントのご紹介を行っています。また弊社製品・サービスに関するご意見もお伺 いし、サービス向上に努めていく所存です。今後とも宜しくお願い致します。 SWIFT クアラルンプールオフィス ジャパンデスク担当:梅田朱美 24 SWIFT Japan News - December 2015 製品関連アップデート情報 Alliance 7.2 Release Interface Pricing の変更 2017 年 3 月 末 ま で に Alliance7.2 が リ リ ー ス さ れ、 主に自営でシステム運用を行っているお客様にご案内済の Alliance 関連プロダクトのアップグレードが必須になりま 通り、2016 年よりインテーフェース関連プロダクトの利用 す。Alliance7.2 では具体的には以下のプロダクトが対象に 料が改定されます。 なります。 • SWIFTNet Link, 影響のあるプロダクトは次の通りです。 • Alliance Gateway • A l l i a n c e A c c e s s ( B a s e l i c e n c e , S W I F T • Alliance Access destinations, Concurrent sessions, Reporting, • Alliance Access for CRNet Software options, Application interfaces) • Alliance Entry • Alliance Entry (Base licence, Concurrent sessions, • Alliance RMA Application interface) • Alliance Web Platform Server-Embedded, • Alliance Gateway (Base licence, Host adapter • SWIFT WebAccess GUI options, SOAP Proxy, Other options) • Alliance Messaging Hub. • Alliance kits (Access kit, Entry kit, Gateway kit, Alliance7.2 では、セキュリティーの更なる強化、将来にお ける効率的なサービスの提供の実現を目的とし、新しい OS の性能基準の採用し、現行ハードウェア上での 64 ビットア ーキテクチャーの利用を可能とします。前回リリースの機 能は引き継がれる予定です。 ポートが終了します。これ迄に 7.2 リリース製品への移行 が必要になります。Allinace7.2 サーバープロダクト は次 の OS で利用可能の予定です。 OS X64 Windows Power SPARC AIX Oracle Solaris Red Hat Enterprise Linux X64 • Alliance Remote Gateway • Integration packs 本変更は、利用料体系の簡素化を行うことで、将来の必要 Alliance 7.0.x と Alliance 7.1.x 製 品 は 2018 年 6 月 に サ Processor Type SWIFTNet Link kit) • SWIFTNet Link Release Level Server 2016 Standard Edition 7.1 12 7.2 支出を容易に把握可能とし、且つメッセージング件数が増 加した際に発生する追加費用を抑制する為の対応です。主 要改定点の一つは、「One-time band upgrade fee」の廃 止です。 現状、年度内にメッセージング件数が指定された「バンド」 を超過した場合、 「One-time band upgrade fee」を徴求し、 且つ新しいバンドに応じた年間利用料を次年度に適用しま す。 今後は、メッセージング件数増加に伴う一時的な費用増加 を抑えるために、「One-time band upgrade fee」を廃止 します。年間利用料は年間メッセージング件数に基づき決 IBM MQ 利用の場合は、IBM MQ8.0 以上、また Alliance 定され、バンドアップグレード・ダウングレードも年度毎 7.2 GUI は Windows10 での利用が予定されています。詳 に行われます。新手数料へのスムーズな移行のため、2015 細は 2016 年 6 月の「Final Release Overview」にてご案 年度発生分の「One-time band upgrade fee」から廃止さ 内する予定です。 れます。 Accord サービス停止について SWIFTNet Accord は 2017 年 10 月 31 日を持ちましてサービス停止となります。長らくご利用いただき誠にありがとうご ざいました。 サービス停止に先立ち、SWIFT は Accord をご利用の皆様が円滑に次のサービスに移行されるようサポート体制を整備して います。 また SWIFT は本件に関連して、2016 年の第一四半期に新 Confirmation Copy service をローンチし、ユーザーが自行の取 引コンフォメーションを、マッチングベンダーへコピー出来るサービスを始めます。 SWIFT Japan News - December 2015 25 これにより Accord からの移行先のマッチングプロバイダーに自行取引データを落とす要件がある場合はこのサービスをご利 用いただけます。 この場合コピー料金はユーザーではなくマッチングプロバイダーに課金されます。 LTA について LTA とは Long Term Archival サービスの略称で、ユーザー様の中には取引データのバックアップをスイフト側に置き必要 に応じて参照するサービスです。取引履歴はバリューデートから 10 年間、スイフトでデータを保管をしています。SWIFT では現在 Accord 停止後、LTA で保管してきたデータをユーザーにどう還元するかを検討中です。Long Term Archival サ ービスは 2017 年以降もアクセス可能です。 移行のステップ 次サービスへの移行をご検討の方は、以下のステップを参考にしてください。 1.移行準備について 弊社ホームページでご用意している Webinar を御覧いただき、Operational Newsletter をお読みください。 Guidance on preparing your transition from Accord を御覧ください。 2.ベンダー選定について Profile Sheets はスイフトが中立的な立場で纏めたマッチングサービスを扱うベンダーの情報です。個別ベンダーのサービス 紹介にかかる webinar もご用意しています。 ベンダーへ提案書を求めたい時には RFP sample question や RFP のサンプルも参考にしていただけます。 Accord Report は自行での Accord の利用状況を一括してみることができるサービスで、2015 年 7 月より無料で配信して います。これにより現在の利用情報を確認することが可能です。 3.導入について SWIFT のコンサルサービスに関しては SWIFT ジャパンまでご連絡ください。 ご照会、ご質問は Accord.retirement@swift.com にご連絡ください。 参考資料 Accord Retirement: http://www.swift.com/products_services/accord_whats_new Confirmation Copy Service: http://www.swift.com/products_services/accord_confirmation 26 SWIFT Japan News - December 2015 S W I F T 講 習 会 2016 年日程 1 月【1 月 6 日(水 ) ~ 15 日(金 ) 開催予定】@東京 日本生命丸の内ビル 20F スイフトジャパン 1 月 6 日(水 ) 1 月 7 日(木 ) ~ 8 日(金 ) 1 月 12 日(火 ) 1 月 13 日(水 ) ~ 14 日(木 ) 1 月 15 日(金 ) Introduction to SWIFT in the payments market Payments and cash management – using FIN messages Introduction to SWIFT in the securities market Securities Settlement and Reconciliation - ISO 15022 messages, Corporate Actions – ISO 15022 messages 2 月【2 月 8 日(月 ) ~ 12 日(金 ) 開催予定】@東京 日本生命丸の内ビル 20F スイフトジャパン 2 月 8 日(月 ) 2 月 9 日(火 ) ~ 10 日(水 ) 2 月 12 日(金 ) Introduction to SWIFT in the payments market Payments and cash management – using FIN messages Foreign Exchange and Money Markets – using FIN messages 4 月【東京 4 月 13 日(水 ) ~ 15 日(火 ) 開催予定】@東京 日本生命丸の内ビル 20F スイフトジャパン Introduction to SWIFT in the payments market, Payments and cash management – using FIN messages, 5 月【東京 5 月 11 日(水 ) ~ 20 日(金 ) 開催予定】@東京 日本生命丸の内ビル 20F スイフトジャパン Introduction to SWIFT in the payments market, Payments and cash management - using FIN messages Introduction to SWIFT in the securities market, Securities settlement and reconciliation - ISO 15022 messages, Corporate Actions - ISO 15022 messages 6 月【東京 6 月 8 日(水 ) ~ 17 日(金 ) 開催予定】@東京 日本生命丸の内ビル 20F スイフトジャパン Introduction to SWIFT in the payments market, Payments and cash management - using FIN messages, Foreign Exchange and Money Markets – using FIN messages, 7 月【大阪 7 月 6 日(水 ) ~ 7 日(木 ) 開催予定】@大阪 大阪銀行協会 Introduction to SWIFT in the payments market, Customer Payments using the MT103, 8 月【8 月 9 日(水 ) ~ 19 日(金)開催予定】@東京 日本生命丸の内ビル 20F スイフトジャパン Introduction to SWIFT in the payments market, Customer Payments using the MT103, Introduction to SWIFT in the securities market, Securities settlement and reconciliation - ISO 15022 messages, Corporate Actions - ISO 15022 messages, 10 月【東京 10 月 5 日(月 ) ~ 14 日(金 ) 開催予定】@東京 日本生命丸の内ビル 20F スイフトジャパン Introduction to SWIFT in the payments market, Payments and cash management - using FIN messages, Foreign Exchange and Money Markets – using FIN messages, *日本スイフトユーザーグループ (SUG) に加盟されている場合は、社内 SUG ご担当者様より所定の書式でお申込みください。 * SUG に加盟されていない場合は、swift.com ホームページより Training >> Course Schedule >> country Japan を 選択し該当講習コースをお申込みください。 (オンライン申込みができない場合には tomoko.suruki@swift.com までご連絡 ください。ファックス申込み用紙をお送りいたします。) * 2016 年講習日程予定は http://www.swift.com もしくは日本スイフトユーザーグループホームページよりご覧いただけ ます。 またスイフトにて提供してます講習一覧カタログ(英語)を swift.com よりダウンロードすることができます。是 非ご活用ください。 (http://www.swift.com/training/misc/download_the_swift_training_course_catalogue/index.page?) SWIFT Japan News - December 2015 27 SWIFT Smart E-learning のご案内 SWIFT クラスルーム講習は 2017 年より E-learning に移行され、新しい名称 SWIFT Smart で提供いたします。インター ネットを利用し、簡便な方法で多言語(8 ヶ国語含日本語)にて、いつでも利用可能となります。2016 年はパイロット版を リリースし、2017 年より正式にリリース予定です。また現在 e-Training および web クラスでご提供している講習は、この SWIFT Smart に統合されます。一部基礎編の講習は swift.com よりどなたでもアクセスし受講可能となる予定となってお ります。詳細については、2016 年より順次スイフトホームページ英語版にてご案内いたします。(http://www.swit.com) 2017 年に新しくなる SWIFT Training - SWIFT Smart にご期待ください。 Access Select Interact 受講者の人数制限はなし 多種多様の選択肢 簡便なアセスメント モバイルからもアクセス可能 最適なコース検索 相対でのコミュニケーション Understand Practice Enjoy 多言語での提供 練習問題、認定試験 ゲーミィフィケーション シュミレーション SWIFT Qualification programme のご案内 SWIFT では以下の SWIFT 資格試験および講習を展開しております。是非社内教育の一環として、また企業および SWIFT ユ ーザへのサポートとしての知識確認として資格試験をご利用ください。既に様々な金融機関がこの資格試験で認定を取得して おり、アドバイザー、スペシャリストとして SWIFT 業務を担当されております。また資格試験のみならず、資格試験対策用 の講習も提供しております。 詳細は http://www.swift.com 英語 ホームページにて Training より参照いただけます。 • SWIFT for Corporates Client Advisor 企業向け SWIFT 利用アドバイザー資格試験 企業の SWIFT 接続およびサービスについて、アドバイザリーの認定 • Alliance Access Administrator Alliance Access システム管理者資格試験 Alliance Access 全般において設定・監視・保守ができる管理者として認定 • SWIFTNet Security Officer SWIFTNet セキュリティオフィサー資格試験 SWIFT セキュリティの最高責任者としての保守・管理・設定方法・緊急対応の知識認定 • Alliance Access/Entry Operator Alliance Access/Entry オペレータ資格試験 電文送受信操作、レポート作成、基本監視操作の知識認定 • SWIFT for Corporates Specialist 企業向け SWIFT 接続・サービス スペシャリスト資格試験 企業の SWIFT 接続およびサービスについて専門家としての認定 SWIFT の関連情報をインターネットで 偶然または意図しない間違い、遺漏等に対しての責任は負いま SWIFT に関する情報は SWIFT のホームページ、www.swift. せん。 com に掲載されています。どうぞご利用下さい。 全ての記述は関連するユーザーハンドブック等の SWIFT の発行 本冊子のいかなる部分についても一切の権利は SWIFT に属して する英語版の該当部分が優先します。 おり、方法の如何を問わず、いかなる目的でも無断での複製又 SWIFT Japan Tel: 03-5223-7400 Fax: 03-5223-7439 は転載等を行われないようお願い致します。 Customer Support Center Tel: 03-5223-7456 Fax: 03-5223-7439 28 SWIFT Japan News - December 2015
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