防音壁 - 九州産業技術センター

分野環境関係
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シーズの名称
防音壁
シーズの分野
環境対策・騒音制御、低周波音
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シーズの保有者
福岡県保健環境研究所 管理部 情報管理課 研究員 松本 源生
TEL092-921-9942 e-mail:g-matsumoto@fihes.pref.fukuoka.jp
(1)技術の内容(技術的構成)
防音壁の壁面を緩やかなスロープとし、1/4 波長音響管およびヘルムホルツ共鳴器を複数個配置すれば、広い
周波数帯域において壁面がソフトな表面に近い性状を有することが可能となり、低周波音にも有効に機能する防
音壁とすることができる。
低周波音は、例えば送風機・燃焼装置・治水施設・船舶港などの音源別に主要な周波数帯域が大きく異なる。
そこで、音源別にその主要周波数に対応する防音壁を作成し苦情発生施設付近に設置する処置をとれば、様々な
低周波音源に対しても有効に機能することが可能である。
(2)技術の特徴、特性(作用・効果)
送風機・燃焼装置・治水施設・船舶港などを発生源とし、家屋の建具などを振動させることにより生じるガタ
ツキ音による苦情や、睡眠障害などの心理的・生理的影響などの苦情を生じている低周波音を低減する。
音響的にソフトでしかも緩やかなスロープ面を有する本防音壁は、低周波音にも有効に機能することが可能で
ある。剛性材で構成するため、本防音壁は屋外設置に耐えうる耐候性、耐久性を持つ。
(3)技術の用途
低周波音の低減には、音源に直接サイレンサーを施工することなどが行われてきた。しかし低減効果が小さか
ったり、サイレンサーを設置するに十分な場所がないなどの事例が多い。現在開発中の本件防音壁は、低周波音
発生源と家屋との音の伝播経路上に本防音壁を配置することにより低周波音の低減が可能となる。
(4)製品化、事業化に向けての当該技術の進捗レベル
低周波音を有効に制御するために音響管やヘルムホルツ共鳴器を用いた防音壁は高さを抑えることができて
も、断面形状でみれば幅が長く全体としてのサイズが大きくなる傾向がある。現在は形状を工夫することにより、
サイズを縮小化する技術の開発を行っている。
(5)技術の将来性(将来的な市場など産業への波及効果)
睡眠障害などの原因となる低周波音が低減され、発生源周辺住民の住環境の改善に貢献できる。また、本防音
壁はコンクリートを用いることを想定しており、福岡県内をはじめとする広くセメント関連企業の活性化にも貢
献できる。
(6)技術育成上の課題
低周波音源ごとに防音壁のサイズ・形状は異なるものとなるため、本防音壁は工場において一括生産すること
はできない。しかしながら、現場において直接防音壁を施工するとコストが高くなる。そこで製造コストを抑え
るため、最新のコンクリートの成型技術を有するセメント製品加工業者と共同で開発に取り組む必要がある。
(7)特許等知的財産権の取得状況
九州芸術工科大学と福岡県との共同で特許出願済み(特願 2002-058294)
(平成 14 年度認定)