地域パートナーHOT 情報 〔島根県〕 伝統的工芸品 出雲石灯ろう(来待石) のご紹介 宇山正樹(企画担当 課長補佐) uyama-masaki@meti.go.jp TEL 082-224-5626 今回は、島根の伝統的工芸品である「出雲石灯ろう」について、その魅力などをご紹介 させていただきます。 以前にも伝統的工芸品の紹介をした際に触れていますが、経済産業省では、伝統的工芸 品産業の振興を行っており、古くから伝承された「ものづくりの技」を今もなお継承し工 芸品を製造している産地が、中国地域では16ほどあります。 経済産業省が指定する伝統的工芸品とは、①主として日常生活で使用する工芸品である こと、②製造工程のうち製品の持ち味に大きな影響を与える部分は手作業が中心であるこ と、③100年以上の歴史を有し今日まで継続している伝統的な技術・技法により製造さ れるものであること、④主たる原材料が原則として100年以上継続的に使用されている こと、⑤一定の地域で当該工芸品を製造する事業者がある程度の規模を保ち地域産業とし て成立していること これら 5 つの条件を満たすものをいいます。 今回ご紹介する「出雲石灯ろう」も、その一つです。 「出雲石灯ろう」の産地は、島根県松江市、そして隣の鳥取県境港市に及ぶ範囲が産地 となっています。島根県松江市宍道町の来待地区を中心に産出する原石は 1400 万年前に 形成された凝灰質砂岩で、この「来待石」と呼ばれる良質の石材を原料として、灯ろうな 旬レポ中国地域 2014 年 5 月号 1 どを製造しているものです。 この来待地区の凝灰質砂岩の層はとても厚く、世界でもまれな埋蔵地帯です。歴史的に は奈良時代に発祥したと伝えられており、鎌倉時代の仏教の大衆化に伴い繁栄を迎え、江 戸時代には松江藩主の松平直政公により、その真価が認められ藩特産品として保護されま した。 松江城をはじめ城下町の至る所に来待石は使用されています。美的調和のとれた気品の 高い優雅さがあり、原石の来待石は、苔が付きやすく色彩が良いのが特徴です。 こうした石灯ろうを作るまでには、多くの手間と労力がかかっており、ちょっと前まで は山の原石を切り出す大がかりな仕事もすべて手作業で行われていました。その採石跡は 今でも宍道町の来待地区でご覧いただくことができます。 ■採石跡 (以下に紹介する来待ストーンミュージア ムのすぐ近くでご覧になれます) こうした石灯籠ができるまでの工程や、この伝統的工芸品産業がこの地域に発展するま での歴史について、映像や展示などでご覧いただけるのが、来待ストーンミュージアムで す。ミュージアムの裏には、スケールの大きい採石跡もご覧になれます。迫力あります。 旬レポ中国地域 2014 年 5 月号 2 是非、ミュージアムを訪ねていただきたいと思います。子供の学習にもってこいです。 また、ミュージアムでは、実際の来待石を使って彫刻体験できます。自分の彫刻作品を 持ち帰ることができます。 (子供も大人も体験できます。) ■来待ストーンミュージアム 島根県松江市宍道町東来待 1574-1 TEL:0852-66-9050 URL: http://www.kimachistone.com/ 石灯ろうというと、イメージするのが日本庭園や神社などにある大きな灯ろうをイメー ジしてしまい、一般の個人ではあまりなじみが無いように感じられるかもしれませんが、 最近ではいろんなデザインの灯ろう製造も手掛けられており、個人で普通にインテリアや エクステリアとして魅力あるアートチックな製品も数多く作られています。 ■玄関や庭、部屋におきたいアートストーン 「和」だけでなく、「洋」にもマッチします ので、マンションの部屋のインテリアにも最 適!(癒しの明かりは最高です) 伝統の技を継承しながらも、生活様式の多様化に対応して、従来の石灯ろうの製造のほ かにも時代にあった様々な製品の製造を追求されています。 是非、島根県松江市宍道町の来待石に触れて、その魅力を感じていただきたいと思いま す。 *写真提供協力:来待ストーンミュージアム 経済産業省 中国経済産業局 広報誌 旬レポ中国地域 2014 年 5 月号 Copyright 2014 Chugoku Bureau of Economy , Trade and Industry. 3
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