日本の決済システムの動向

日本の決済システムの動向
金融市場インフラを巡る動向と次世代日銀ネットの誕生
2014年5月
柳川 英一郎
アジア金融サービスグループ シニアアナリスト
eyanagawa@celent.com
© CELENT, A DIVISION OF OLIVER WYMAN, INC.
Celentについて
• セレントは金融業界で活躍する企業のビジネスおよびIT戦略策定を支援する、グローバルなリサー
チ&コンサルティングファームです。
• リサーチサービス:
金融サービス業界のテクノロジー戦略およびビジネス戦略、双方の視点からのリサーチレポートを常
時発行しています。
– 保険
– 銀行
– 証券
– アジア金融サービス
• コンサルティング&アドバイザリーサービス
– ベンダー選定
– テクノロジー導入計画
– ビジネスイノベーション
– 新規参入
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チューリヒ、北京、香港、ソウル、シンガポールと東京に拠点を有しています。
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1
目次
1
はじめに
決済システムと決済サービス
2
金融市場インフラを巡る動向
日本の資金決済システムと証券決済システム
12
3
次世代日銀ネットの構築
19
4
最後に
29
3
セクション1 はじめに
決済システムと決済サービス
決済システムの鳥瞰図
取引・指図・照合
資金決済システム
支払指図の送付、
受渡し
• 民間銀行
• 短期金融市場
• 外国為替市場
清算
決済
決済尻の算出
• クリアリングセンタ
• 銀行間ネットワーク
• 手形交換所
資金受渡
• 中央銀行
証券決済システム
証券トレーディング
• 取引所
• OTC市場
• ECN
当事者間の
取引内容確認
• 照合機関
証券受渡
• 証券決済機関
(CSD)
引き渡し資金と証券
の確定
• 清算機関(CCP)
出典: セレント
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4
ペイメントバリューチェーン
決済手段のセットアップ
決済手段のセット
アップ
決済手段の開発





決済サービスの実施
支払者と受取
人の勧誘
スキーマの開発
 マーケティングと勧誘
スキーマの構成
 セールス
提供機能とフィー
ブランディング
アクセスチャネル開発
決済後サービスの提供
決済サービス
の設定
 物理的な決済手段
の調達と配布
 アカウントのセット
アップ
 受け入れ、アクセス
チャネルの有効化
資金調達
 確実に資金が取引に利
用できるように
- 与信判断およびプロ
ビジョニング
- 銀行口座振替または
プリペイドツールのた
め充填資金の準備
出典: セレント
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5
決済手段の分類
決済手段の区分(呼称)
説明
例
決済の主導体
決済の媒体
決済のタイミング
ネッティング
決済までの時間
即時支払
決済のための口座を確
保し、利用可能な資金を
移動する
デビットカード
後払い
クレジットラインを提供し、
後で決済する
クレジットカード
事前支払
予め現金払い等をし、
非マネーサプライ•アカ
ウントを事前に積立
プリペイドカード、
電子マネーなど
支払人 / 受取人
紙媒体 / 電子媒体 / カード媒体
即時 / ディレード
グロス / ネッティング
T+0 / T+1 / T+2 or later
出典: セレント
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6
ペイメントバリューチェーン
決済サービスの実施
決済手段のセットアップ
取引・指図・照合
 認証 - 関係者の身元の検
証
 決済手段の妥当性
 支払人およびその金融機関
によって資金の移転の認可
 支払指図の作成と送信
決済サービスの実施
清算
 支払手段または関連する支
払情報の交換
-マッチングや取引のソート
-データ収集と集約
 グロスまたはネットの請求
額の計算
決済後サービスの提供
決済
 有効な支払い請求の履行
-請求額の修正と整合性チェッ
ク
-決済のための資金の可用性
の確保
-金融機関の間での請求額の
整合
 全ての関係当事者への決済情
報の通知と記録
出典: セレント
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7
ペイメントバリューチェーン
決済後サービスの提供
決済手段のセットアップ
決済サービスの実施
マネーサプライ
へのリンク
詐欺や紛争管理
顧客サービス
とレポート
レコンサイル
支払手段管理
決済後サービスの提供
支払人からの収集(クレジット場合)
受取人への現金出
カード:チャージバック処理
小切手:不渡(NSF)処理
照会管理
レポーティング
請求書やその他の請求と支払いのリ
コンサイル
現金回収、輸送、リサイクル
決済書類の輸送とアーカイブ
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8
ペイメントのタクソノミー
決済の分類とフレームワーク
Z 国
B 国
A 国  国内取引及び国際貿易
企業
 子会社
B
 送金
A  現金
 マネーサプライ·アカ
ウントベースの支払
 商品サービス 手段
 カード
 オンライン支払
 モバイル支払
 給与
 経費
 払い戻し
 請求
 投資
 借入
 投資
 借入
• 贈答
• 交際費
個人
C
銀行
銀行間決済
ネットワーク
銀行
D
政府/中央銀行
金融市場インフラ
税
(FMI: Financial Market Infrastructures)
 サービス (例 通関)
出典: セレント
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9
ペイメントサービス決済ハブ
Treasury
(銀行)
…
…
カード・プロセス
コア・バンキング
4
決済プロセスプラットフォーム
ロー・コアエンジン
ペイメント
オーケストレーション
レイヤ
RTGS
ATM
接続
チャネルインテグレーションハブ
3
2
ペイメントサービス決済ハブの機能タイプ
ホスト
接続
ハイ・コアエンジン
1
Online
(法人)
バーティカルペイメントサービスハブ
Online
(個人)
ACH
SWIFT
出典: セレント
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STEP2
• CSM(Clearing and Settlement Mechanisms)インテグレー
ションハブ : 複数の外部決済機構や決済システムを束ね、
単一のCSMインターフェースとして各決済プロセスシステム
へ渡すハブ機能。国際業務を営む金融機関にとっては、国
や地域毎に異なるCSM接続やサービスレベル、メンテナン
スタイミングなどを司る機能も担う
• ペイメントオーケストレーションレイヤ: チャネルインテグ
レーションハブとCSMインテグレーションハブを繋ぎ、複数
の決済プロセスシステムを束ね、その連動を司るハブ機能。
複数の決済プロセスを束ね、連動させた、特別な決済サー
ビスの提供や、特定のチャネルやCSMに対するトランザク
ションボリュームの増減を管理を通じて、チャネルやCSMに
依存しない決済プロセスシステムの利活用を図り、決済商
品・サービスの多様化に柔軟に対応する
CSM(Clearing and Settlement Mechanisms)
インテグレーションハブ
Card
networks
• チャネルインテグレーションハブ: 複数の決済チャネルを
束ね、単一の決済チャネル・インターフェースとして各決済
プロセスシステムへ渡すハブ機能。経年の、決済チャネル
とプロセスの増加に伴う、チャネルシステムとプロセスシス
テム間接続の輻輳を回避し、今後の決済商品・サービスの
増加に迅速に対応する
…
• バーティカルペイメントサービスハブ: 新たな決済商品・
サービスの開発、決済チャネルやCSMの追加・更改時に、
前3つのハブ機能を組み合わせ、チャネル・プロセス・決済
の3レイアを垂直に統合するハブ機能を提供する
10
リサーチアプローチ
図中Dの部分にフォーカス
Z 国
B 国
 国内取引及び国際貿易
A 国
企業
 子会社
B
 送金
A  現金
 マネーサプライ·アカウ
ントベースの支払手段
 カード
 商品サービス  オンライン支払
 モバイル支払
 給与
 経費
 払い戻し
 請求
 投資
 借入
 投資
 借入
• 贈答
• 交際費
個人
C
銀行間決済
ネットワーク
銀行
D
政府/中央銀行
金融市場インフラ
(FMI: Financial Market Infrastructures)
銀行
税
 サービス (例 通関)
出典: セレント
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11
セクション2 金融市場インフラを巡る動向
日本の資金決済システムと
証券決済システム
主要決済システムの鳥瞰図
決済システムの鳥瞰図
取引・指図・照合
国庫金
マルチ
ペイメント
ネットワーク
料金収納
デビットカード
日銀
国庫制度
クリアリング
センター
資金決済システム
振込
CD/ATM
オンライン提携網
CD/ATM
決済
清算
全国銀行
内国為替制度
(全国銀行
資金決済
ネットワーク)
口座振替
金融機関
クレジットカード
各地手形交換制度
手形・小切手
短期金融市場
短資取引
約定確認システム
外国為替市場
SWIFT
東京金融取引所
大阪証券取引所
金融デリバティブ
市場
東証
日銀ネット
当座預金系
証券保管振替機構
日本証券クリアリング機構
各証券取引所
株式
ほふりクリアリング
投資信託
一般債
短期社債
国債
決済照合
システム
(証券保管
振替機構)
投資信託
DVP
一般債
短期社債
日本国債清算機関
DVP
証券決済システム
株式
CLS円決済
外為円決済
日銀ネット国債系
出典: 日本銀行、セレント作成
出典: 日本銀行、セレント
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13
主要決済システムの決済動向
決済システムの規模(注1)
資金決済システム
日銀ネット当座預金系
(日銀当座預金決済)
CLS円決済(注2)
外為円決済
全国銀行内国為替制度
各地手形交換制度(注3)
金額(兆円)
証券決済システム
日銀ネット国債系
(国債登録・振替決済制度)
日本国債清算機関(注4)
日本証券クリアリング機構(注4)
ほふりクリアリング(注4)
証券保管振替機構(注5)
株式振替制度
投資信託振替制度
一般債振替制度
短期社債振替制度
金額(兆円)
前年比(%)
件数(千件)
前年比(%)
109.8
8.4
61.7
16.8
34.5
9.9
10.7
1.5
16.7
-13.9
2.1
0.1
100
25.3
5,891.0
337
21.2
-1.9
3.5
-6.1
前年比(%)
件数(千件)
前年比(%)
83.1
9.9
17.0
5.9
45.7
1.5
0.8
27.5
-11.6
-15.1
-
-
0.6
0.9
5.0
0.4
-5.0
1.2
0.2
13.5
2.2
1.2
6.9
6.2
10.5
-0.6
(注1)2012年1営業日平均
(注2)2011年1営業日平均
(注3)2011年1営業日平均
(注4)清算対象取引高(債務引受高)
(注5)引受、振替、償還、買入消却、設定、解約、償還、発行など、各制度の種別合計
出典: 日本銀行、証券保管振替機構、日本国債清算機関、CLS、セレント作成
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14
資金決済システム
日銀当座預金決済の推移(日銀ネット当座預金系 )
140
(万件)
(兆円)
70
60
120
CAGR2.5%
100
50
80
40
60
30
40
20
20
10
0
0
2001
2002
2003
2004
2005
2006
金額(左軸)
2007
2008
2009
2010
2011
2012
件数(右軸)
出典: 日本銀行などデータに基づき、セレント作成
(1営業日平均)
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15
資金決済システム
その他の主要決済システムの推移
外国為替円決済制度とCLSの推移
全国銀行内国為替制度の推移
(兆円)
50
CAGR17.1%
40
12
(兆円)
(千件)
CAGR0.5%
6,000
5,800
10
5,600
8
30
5,400
5,200
6
20
CAGR-7.7%
5,000
4
4,800
10
2
0
4,600
4,400
0
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
外為円決済交換高
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
CLS(円取引分)
金額(左軸)
件数(右軸)
手形交換制度の推移(東京手形交換所)
3
(兆円)
(千枚)
300
CAGR-7.2%
2
200
1
100
0
0
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
金額(左軸)
出典: 日本銀行などデータに基づき、セレント作成
枚数(右軸)
(1営業日平均)
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16
証券決済システム
国債決済の推移(日銀ネット国債系)
(兆円)
(千件)
20
100
CAGR5.4%
80
16
60
12
40
8
20
4
0
0
2001
2002
2003
2004
2005
2006
金額(左軸)
2007
2008
2009
2010
2011
2012
件数(右軸)
出典: 日本銀行などデータに基づき、セレント作成
(1営業日平均)
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17
証券決済システム
証券清算・決済機関の推移
日本国債清算機関(JGBCC)
50
(兆円)
日本証券クリアリング機構(JSCC)
CAGR1.2%
4
40
(兆円)
CAGR-13.5%
3
30
2
20
1
10
0
0
2007
2008
2009
清算対象取引高(債務引受高)
2010
2011
2012
清算後決済高(決済金額)
ほふりクリアリング(JDCC)
2
2007
2008
2009
清算対象取引高(債務引受高)
2010
2011
2012
清算後決済高(決済金額)
証券保管振替機構(JASDEC)
(兆円)
6
(兆円)
CAGR-1.4%
5
CAGR-13.6%
4
3
1
2
1
0
0
2007
2008
2009
清算対象取引高(債務引受高)
出典: 日本銀行などデータに基づき、セレント作成
© CELENT, A DIVISION OF OLIVER WYMAN, INC.
2010
2011
2012
2007
清算後決済高(決済金額)
2008
短期社債決済
2009
2010
一般債決済
2011
2012
投資信託決済
(片道ベース、1営業日平均)
18
セクション3 次世代日銀ネットの構築
日銀ネットの業務概要
日銀ネットの業務
系
業務
開始年
当座預金
当座取引
1988
準備金関係事務
1988
外国為替円決済制度関係事務
1989
社債等資金同時受渡(社債DVP)関係事務
1998
現金受払関係事務
2003
当座勘定振替通知受信関係事務
2003
国債登録関係事務
1990
国債振替決済関係事務
1990
国債発行関係事務
1990
国債資金同時受渡(国債DVP)関係事務
1994
国債売買関係事務
1991
金融調整等入札連絡関係事務
1999
担保関係事務
2001
同時担保受払関係事務
2001
電子貸付取引
2001
手形買入取引
2001
国債
その他
出典: 日本銀行、セレント
© CELENT, A DIVISION OF OLIVER WYMAN, INC.
20
日銀ネットと金融機関等の相互ネットワーク
資金決済システムと日銀ネット
金融先物
市場
外国為替
市場
短期金融
市場
日銀ネット
当座預金系
5.3万件/
101.4兆円
東京金融取引所
CLS円
外国為替円決済制度
・東京金融取引所
2.5億円
手形・
小切手
各地手形交換制度
・外国為替円決済
11.5兆円
振込・送金
全国銀行内国為替制度
SWIFT
CD/ATM
CD/
ATM
提携網
自動振替
金融機関
クレジットカード
デビット
カード
クリア
リング
センター
・手形交換決済
1.1兆円
ゆうちょ
銀行
ネットワーク
国庫金
・内国為替決済
大口内為取引分
8.2兆円
集中決済分
2.0兆円
国庫制度
出典: 日本銀行、セレント
© CELENT, A DIVISION OF OLIVER WYMAN, INC.
21
日銀ネットと金融機関等の相互ネットワーク
証券決済システムと日銀ネット
日銀ネット 国債系
1.6万件/
75.6.兆円
国債
日本国債
清算機関
一般債振替制度
社債等
DVP
証券保管振替機構
投資信託振替制度
投資信
託
電子CP
株式
先物
国債振決・登録制度
DVP
日銀ネット 当座預金系
・国債振替決済
37.3兆円
DVP
証券保管振替機構
・一般債振替決済
0.5兆円
短期社債振替制度
・投資信託振替決済
0.4兆円
DVP
証券保管振替機構
証券
取引所
取引所
外取引
日本証券
クリアリング
機構
・短期社債振替決済
3.2兆円
株式等振替制度
証券保管振替機構
ほふり
クリアリング
DVP
・株式等振替決済
0.2兆円
出典: 日本銀行、証券保管振替機構、セレント
© CELENT, A DIVISION OF OLIVER WYMAN, INC.
22
日銀ネットと金融機関等の相互ネットワーク
日銀ネットを利用する金融機関
種別
総数
当座預金
外為円決済
国債
都市銀行
6
6
4
6
地方銀行
64
64
0
64
第二地銀
41
41
1
41
信託銀行
15
15
4
15
外国銀行
52
52
10
32
信用金庫
219
219
1
39
証券会社
60
36
-
60
生損保
13
-
-
13
その他(注)
40
38
7
36
合計
510
471
27
306
(注) 組合中央機関、証券金融会社、金融商品取引清算機関、短資会社等
(2013年3月末現在)
出典: 日本銀行、セレント
© CELENT, A DIVISION OF OLIVER WYMAN, INC.
23
新日銀ネットへの経緯
年
経緯
1988
日銀ネット稼動開始(当座預金業務)、端末システム稼動
1989
外為円決済業務稼動開始、コンピュータ接続システム稼動
1990
日銀ネット国債系業務稼動
1994
国債決済のDVP化
1999
金融調節等の入札連絡
1996
大阪バックアップセンター稼動
2001
当座預金決済、国債決済のRTGS化
2001
相対型電子貸付
2002
国債系オペレーションで国債条件売買
2003
国債系オペレーションで国債売買
2005
コンピュータ接続のTCP/IP化
2006
日銀ネット端末のパソコンをWeb対応、入札型電子貸付
2008
流動性節約機能の稼動開始、外為円決済の完全RTGS化
2011
大口内国為替のRTGS化
出典: 日本銀行、セレント
© CELENT, A DIVISION OF OLIVER WYMAN, INC.
24
新日銀ネットのアーキテクチャ
現行アーキテクチャ
新アーキテクチャ
利用者
利用者
利用者
利用者
ホストシステム
端末システム
ホストシステム
端末システム
ネットワーク
ネットワーク
ネットワーク
チャネル層
チャネルシステムX
ホスト接続システム
仮想
端末仮想仮想
端末
端末
チャネルシステムY
サービス基盤層
端末システム
電文授受
仮想
端末仮想仮想
端末
端末
サービス連携
プロダクト層
B3
サービス
B2
サービス
サービス
B1
A3
サブシステムA
サービス
A2
サービス
サービス
A1
本体システム
サブシステムB
出典: 日本銀行、セレント
© CELENT, A DIVISION OF OLIVER WYMAN, INC.
25
新日銀ネットの技術
項目
現行
新
アーキテクチャ
単一構造、密結合
多層構造、疎結合
プログラム言語
PL/I
Java
アプリケーションフレームワーク
なし
あり
データベース
階層型
リレーショナル
通信プロトコル
独自
TCP/IP
通信ミドルウェア
独自
メッセージキューイング
電文フォーマット
独自
XML
連携基盤
なし
サービスバス
ESB
なし
あり
プラットフォーム
メインフレーム
メインフレーム
冗長構成
正副スタンバイ
並列構成
バックアップサイト連携
ログ転送、ファイル転送
ディスクミラーリング
業務AP
通信
連携基盤
システム基盤
出典: 日本銀行、セレント
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26
新日銀ネットへのスケジュール
FY2010
1 2 3 4
FY2011
1 2 3 4
FY2012
1 2 3 4
FY2013
1 2 3 4
FY2014
1 2 3 4
FY2015
1 2 3 4
Phase 1
第1期対象業務開発
第1期総合運転試験
Phase 2
第2期対象業務開発
第2期オンライン接続試験
第2期総合運転試験
第1期稼働
第2期稼働
出典: 日本銀行、セレント
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27
新日銀ネットへのディール・スケジュール
FY2010
1 2 3 4
FY2011
1 2 3 4
FY2012
1 2 3 4
FY2013
1 2 3 4
FY2014
1 2 3 4
FY2015
1 2 3 4
Phase 1
日銀第1期対象業務開発
日銀第1期総合運転試験
ベンダー製品開発・出荷
ベンダー提案
ユーザ接続試験
Phase 2
日銀第2期対象業務開発
日銀第2期オンライン接続試験
日銀第2期総合運転試験
ベンダー製品開発・出荷
ベンダー提案
ユーザ接続試験
第1期稼働
第2期稼働
出典: セレント
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28
セクション4 最後に
セレントグローバルサーベイから
トランザクションバンキングの隆盛
• 世界的な金融危機後、企業の姿勢は変化し、リスクと流動性管理
に注力するようになった。それが、金融機関に新たな機会をもたら
した。
– トランザクション・バンキング は近年、投資銀行業務や商
業銀行業務よりも収益の向上に貢献している。
• トランザクション・バンキングは、資本ではなくインフラを活用する
ビジネスであるため、低リスクで、銀行にとって魅力的である。さら
に、トランザクション・バンキングは 他の商品よりも固定顧客を獲
得しやすいという特徴をもつ。
– トランザクション・バンキングは銀行にとっての成長の期
待できる領域であり、取引量も着実に増加している。例え
ば、 銀行の仲介する貿易関連取引は、2007年の35%から
2015年には45%にまで増加すると予測されている。
• トランザクション・バンキング・サービスは、世界的なプレーヤーだ
けでなく、地域金融機関の間でも、激しい競争の場となっている。
– 商品やサービスメニューの強化
– プロセスの自動化
– STPレベルの向上
– ローカルにもグローバルにも対応するためのテクノロジー
プラットフォームの構築
Bank
Intermediated Transactions as a
銀行の仲介する貿易関連取引の割合推移
Percentage of Total Transactions
60%
50%
40%
35%
37%
39%
2007
2008
2009
40%
42%
2010
2012e
45%
30%
20%
10%
0%
2015e
Source: Celent estimate
出典: セレント
© CELENT, A DIVISION OF OLIVER WYMAN, INC.
30
セレントグローバルサーベイから
トランザクションバンキングの隆盛
重点地域はアジアと北米
What will 今後数年間において
be your major regions for
トランザクション・バンキングの焦点となる地域
transaction banking in 2 – 3 years?
• 今後数年間においてトランザクション・バンキングの焦点となる
地域は、米国とアジアである。
• 米国は米銀行にとってのみならず、欧州銀行にとっても重要で
ある。なぜならば、彼らは彼らの国内市場において、米国を本
拠とする多国籍企業とのビジネスも獲得したいと考えているか
らである。銀行は、自国内の多国籍企業顧客の間により浸透し
、また、それを共にグローバルに拡大する際のプラットフォーム
として利用するために、差別化したサービスの提供に努めてい
る。
• アジアは、経済成長、またその進化が特殊であることから、トラ
ンザクション・バンキングの機会として銀行の間で注目されてい
る。アジアの国際貿易の半数超が地域内の国々の間で行われ
ており、その割合は着実に伸びている。
Asia
50%
US
50%
Western Europe
25%
Middle East
21%
Latin America
17%
Eastern Europe
8%
Africa
8%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
地域内貿易の取引割合
Intraregional Trade
Flow as a Percentage of Total Trade
60%
51.6%
50%
40%
30%
17.9%
20%
10%
17.5%
4.6%
2.8%
2.7%
1.6%
0%
Asia
出典: セレント「トランザクション・バンキングサーベイ」、WTO
© CELENT, A DIVISION OF OLIVER WYMAN, INC.
Europe
North Middle
America East
Africa
South /
CIS
Central
America
Source: WTO, Celent
31
セレントグローバルサーベイから
トランザクションバンキングの隆盛
グローバルプラットフォームの構築が課題
• トランザクション・バンキング において、グローバルにシーム
レスな体制を構築することは多くの銀行の中で優先事項と
なっている。しかし、現段階ではグローバルに統合されたオペ
レーションを実現している銀行は、ごく少数である。
– トランザクション・バンキングは地域毎、地方毎に運営して
いるとの回答が80%を占めた。
– 実際、グローバル銀行であって、地域毎、もしくは国ごとに
業務を行っているのが現実である。
• 一方、フォロー・ザ・サンオペレーション(24時間365日、途切
れることなく、世界中のサービスデスクやサポート・グループ
を活用しサービスを提供)を持ち、グローバルに統合された運
用プラットフォームを実現したとの回答も20%あった。
– サービスでは、例えば、欧州での業務終了時に、顧客から
の問い合わせが未解決あった場合、その問い合わせは北
米センターに転送され、その後はアジアセンターに転送さ
れる。
– オペレーションでの例としては、資金移動が欧州から、北
米へ、そしてアジアへとルーティングされる。
– 一般的には、これらのプラットフォームを構築しているのは
大手グローバル銀行である。しかし、グローバル・ビジネス
に意欲的な地域金融機関の中にも、同様なグローバル・プ
ラットフォームを実現している、もしくは構築中との回答が
あった。
における、for
Howトランザクション・バンキング
are back office operations
グローバルなオペレーションの体制は?
your transaction banking business
organized?
21%
43%
36%
Separate
国ごとに異なる
business
ビジネスプロセス
processing for
each country
地域ごとに
Back office
統合された
processing
is
バックオフィスの
consolidated
by
プロセス
region
フォロー・ザ・サン
Follow-the-sun
オペレーション
operations
出典: セレント「トランザクション・バンキングサーベイ」
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新たな垂直統合とサービス化の潮流
ITサービスの変化
ソーシングモデルの変化
ソリューションプロダクトによる
垂直統合
水平分業とSIベンダー統合
(現在)
クラウドサービスによる
垂直統合
ソリューション
ベンダー
金融機関
クラウド
ベンダー
統合ソリューションサービス
購入
オンプレミス
メンテナンス
利用
垂直統合
クラウドサービス
垂直統合
システム運用
メンテナンス
メンテナンス
SIベンダーの管理
システム運用
システム運用
SIベンダー
システム構築
システム構築
ソフトウェア
ソフトウェア
ソフトウェア
ハードウェア
ハードウェア
ハードウェア
ベンダー DC
金融機関 DC
ベンダー DC
• 現在…オープンシステムとシステム構築: 水平分業、SIベンダー、金融機関による調達と管理
• 今後…垂直統合サービス: ソリューションベンダー / クラウドベンダーによる垂直統合サービス
出典: セレント
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新たな決済サービスへの取り組み
イノベーションの実現に向けて
内部プロセスの外部化(アウトソース)とサービスイノベーションの実現
次期
現行
顧客
顧客
内部プロセス
内部プロセス
フロントエンド
フロントエンド
バックエンド
バックエンド
外部プロセス
細分化、カスタム化
標準化
外部プロセス
出典: セレント
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ありがとうございました。
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柳川 英一郎
eyanagawa@celent.com
福盛 雄也
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