三宅島の火山と共に生きるサルトリイバラで島興し! ―花言葉は『不屈の精神』― 会 社 名 株式会社伊豆緑産 所 在 地 東京都三宅島三宅村坪田3506 代表者名 石森 良房 創 業 年 平成17年 5月創業 従業員数 23人 1 .三 宅 島 の 火 山 ガ ス に 耐 え る 『 不 屈 の 精 神 』 サ ル ト リ イ バ ラ と の 出 会 い 平成12年に三宅島・雄山が有史以来の山頂大噴火を起こした。島の約半分の森林が消失し、今 なお火山ガスなどの影響によって広大な面積の土地が植生回復の見込みが立たない荒廃地となっ ている。罹災し島を離れた島民が帰島したものの、産業の復興と推進には課題が多く、現在も厳し い生活が続いている。このような経緯の中で、自立した産業を目指し当社は創業した。その旗印と なったのが、このサルトリイバラ。雄山山頂近くで生き残っていたその株は過酷を超えた環境に挑 戦しているかのようであった。 ある時は根、または葉、そして蔓、さらに数年経過すると赤く熟した果実が目にとまった。すぐ に商用路線へと結び付けられるものかどうか誰もが半信半疑であったものの、雄山はサルトリイバ ラを育て、私達に赤い実をプレゼントしてくれているように思えた。島内では、以前から生け花な どに活用はあったものの、この蔓植物の広範囲な利用はなかった。森林災害復旧工事中、枯損木整 理でたくさんの赤い房の実を目にするようになった。これはクリスマスリースにできないか、と発 案、そして色々な試みがサルトリイバラに、私達の旗印に成長していった。 2 . 荒 廃 地 を 使 っ て 収 益 が 期 待 で き る 産 業 な ん て あ る ? 興 せ る だ ろ う か ? 平成17年に一般島民の帰島、しかし島民の高齢化は進み、止まることのない火山ガスが新たな 産業創出を拒んでいた。こんな中、このサルトリイバラを核として、平成18年度 林野庁補助事 業『森業山業創出支援事業』に申請した。すると、なんと優良プラン(助成対象)に認められた。 「不屈の挑戦」ビジネスをスタートすることとなった。 3 . 複 合 産 業 の 創 造 と 実 践 2000年噴火以前から山取りしたサルトリイバラの切り枝出荷を行っていたが、切り枝として出荷 ‐14‐ できるのは実が色づく年末のみであるため、通年のビジネスとしては成り立たなかった。 そのため切り枝出荷以外のビジネスプランを立てる必要があり、サルトリイバラの特徴を複眼的 に捉えてアプローチを行い、数々の失敗と挫折を繰り返しながらも模索を続け、以下の三本柱の目 標を立てた。 冬の荒廃地に赤く輝くサルトリイバラの実 実を使ったクリスマスリース 『緑化』荒廃地の緑化用種苗及び切り枝資源確保として行政へ提案 『観光』クリスマスリース作りや荒廃地ツアーなど観光資源として活用 『健康』サルトリイバラに含まれる有効成分を生かしたサプリメントづくり サルトリイバラという存在を三宅島共有の資源として捉え、三宅村役場・三宅村森林組合・三宅 島観光協会などと連携して、『三宅島の利益は伊豆緑産の利益』『伊豆緑産の利益は三宅島の利益』 の考え方の下で共存共栄を目指し、サルトリイバラを多面的に活用する事を理念とする。これまで にサスペンスドラマのキーワードとして三宅島のサルトリイバラが使われるなど、思わぬところで 三宅島アピールに貢献している。 4 . 今 後 の 課 題 「サルトリイバラ事業」を当社の中核とするには、しばらく投資面に重きを置くこととなる。花 言葉の通り、不屈を持って取り組む姿勢が必要であるものの、ビジネスとして成り立たせるために は収益の高い商品の開発が必要であり、現在サルトリイバラから抽出したサプリメントの販売に収 益向上を期待しているが、商品開発資金の調達には大きな課題となっている。 5 . 伝 え た い こ と 「サルトリイバラであんなことできたらいいなぁ」というビジネスを計画していた当初の『夢』 『願い』が原動力となって試行錯誤してきた。『サルトリイバラ』というひとつの蔓が暗示を掛け てくれたかのごとく様々な人と出会い絡みつつ進んできた。チャンスは赤い実となって育っている。 ‐15‐ サルトリイバラで荒廃地の緑化をしつつクリスマスリースに変身して原宿などに飾られ、さらには 三宅島トライアスロンでの入賞者用のレイ(首飾り)になり、サルトリイバラがドラマに登場する など、当初思い描いていた『夢』がひとつひとつ花開いてきた事も、思えば不思議な蔓のようにみ えてくる。 地域の嫌われ者『サルトリイバラ』を扱うことで、「そんなことをやっても無駄だ」という声も 多く聞いたが、夢を信じ諦めず三宅島や会社のアピールができ、ビジネスとしてもポジティブな方 向に舵取り出来てきたように思える。 夢を信じ、そして人と心し、何よりめげずに取り組む事で、厳しい社会情勢のなか、一筋の光を 見つめている私たちがいることを、私たちはサルトリイバラを通して学んでいる。 三宅島位置図 三宅島基本データ 東京竹芝より180km 南の島 〔海路〕東海汽船 東京竹芝桟橋より一日1便(往復)就航 〔空路〕ANA 羽田空港より一日1便(往復)就航。但し火山ガス の影響により欠航率高い 人 口 約2700人 主要産業 観光(釣り・ダイビング)・明日葉農業・公共工事 問い合わせ先 会社名 株式会社 伊豆緑産 担当者氏名 森林産業部 成田 信治 所在地 東京都三宅島三宅村坪田3506 Eメール izuryokusan@abelia.ocn.ne.jp 電 話 04994‐6‐1510 URL http://www5.ocn.ne.jp/~ryokusan 株式会社 伊豆緑産シンボル コンセプト:火山ガスを出し続ける三宅島・雄山に、野鳥が赤い実を運び、山の緑を増やす ‐16‐
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