FOCUS フォーカス 教育は絶対失うことのない投資 Let’ s Shake Out! ∼ 「一斉防災訓練」 で巨大地震に備える∼ シェイクアウトとは る等、ふりかえりを行ない、次回の訓練につなげることで、 シェイクアウト は 2008 年にアメリカ・カリフォルニアで始 災害時の自助力を高めようとするものです。 まった新しい形の防災訓練です。参加者はインターネットで ふりかえりを共有するための手段としてソーシャルメディア 事前に登録し、決まった日の同時刻にそれぞれの場所で一 の活用もシェイクアウトの特徴のひとつ。訓練後、参加者が 斉に机の下に隠れるなど身の安全を図る訓練を行います。2 感想や気づいたことなどとともに写真や動画を facebook な 011年の第4回訓練には950万人が参加、単なる防災訓練を 越えた「新しい国民運動」に発展しつつあるといいます。 定住化 進 来日 、働 道 大学生活 、外国人 子 高卒認定資格 伺 教育問題 得 大学進学 。 の予定だったので、両親を助けるために学校に行かず働くこ もらっています。昨年は学内で ようにしています。 とにしました。しかし、両親の離婚などで計画通りには進まず、 募集された交換留学生に選ばれ、カナダに 5 カ月行くことがで そのまま日本に滞在し仕事をする日々が続きました。 きました。この大学に進学してよかったと心から思っています。 「その時」への訓練は意外と少ない 加藤祐子さんは「地震が発生してすぐにどんな行動をするか」 という発災直後の訓練の機会は意外と少なく、この訓練を「自 分の身は自分で守る」ということを改めて考えるきっかけとし 不安を断ち切って勉強に専念 後輩へのメッセージ 大学進学はずっと夢でしたが、「今さら進学なんて」という 絶対に諦めないこと。道が閉ざされても、次の道を探せば 諦めと、 「学歴もなくこのまま仕事をし続ける毎日でいいのか」 必ず開けてきます。自分でこじ開ける気持ちが大切です。夢 という不安の間で揺れ動く毎日でした。しかし、「今後どう両 を持ってその夢に向かって突き進むことは自分の将来をつか 親を支えていくのか、学歴なしでは就職も厳しいのではない み取ることです。遅すぎることはありません。困難でも闇の か」 と思い始めると、あらゆる不安を断ち切り大学へ行きたい 先には必ず光があります。教育は絶対失うことのない投資です。 という思いが強くなりました。 気込んでいます。 仕事をしながら約8年かけてブラジルの高卒認定試験に合 * * * 格し、母親の理解を得てもう一度勉強に専念することを決心 将来は海外、特にブラジルと取引のある企業の会計分野で 蓄、避難所確認など実際にできる災害への備えや家族・職 場での災害時の話し合いに発展させることが望まれています。 巨大地震は必ずやってくると認識し、誰もが参加できる取り 組みとして本訓練が普及することを期待します。 訓練とその目標 しました。車を売り払い、大学進学を目指して 2009 年 7 月、 活躍したいと語るカリナさん。カリナさんの勉強への熱意や生 日本語学校の集中講座に入学しました。 きる力は周囲の日本人にも励みとなっているでしょう。少子化 が進む日本社会で未来を担う次世代の教育は重要な課題です。 壁だらけの大学進学 在住外国人が国籍や母国との教育制度の違いに翻弄されるこ 大学選びの段階から問題は山積していました。通っていた となく、教育を受けることができる社会づくりが進むことを願 日本語学校には、留学生以外の外国人のための情報がなく、 います。 自らインターネットで大学を探し、足を運んで入試情報を集め ました。 シェイクアウトでは参加者は地震から身を守る「安全行動の The Great Japan Shake Out 1−2−3」 ( 図参照)を数分程度一斉に行ない、その後、安否 ホームページ を受けなければならない」とする大学や、中には「社会人枠や 確認や応急手当、初期消火等、必要と思われる行動を任意 www.shakeout.jp/ AO 入試は日本人のみ」 という大学など、大学選びは困難をき で実施します。 フェイスブック わめました。何よりもネックとなったのが就学年数の壁です。 http://www.facebook.com/tokyo.shakeout 大学受験には小学校から高校卒業までの 12 年が必要とされま 「定住外国人は(留学生枠ではなく)、日本人と同様に入試 すが、ブラジルの教育制度では 11 年間。高卒の書類を提示 し制度を説明しても、ブラジル大使館の職員が説明しても聞 き入れてもらえませんでした。 久屋大通防災訓練「Shake Out」 久屋大通公園テレビ塔界隈(名古屋市中区、東区)でシェ イクアウト訓練が行われます。 体・頭を守って! 揺れが収まるまで じっとして! (The Great Japan Shake Out ホームページより) 「安 全 行 動 の 1-2-3」は、一 見 従 来 の 防 災 訓 練と変 わりな いようですが、事前にどんな準備が必要かを自ら考え、終了 後にはどんな危険があるか気づき、どう備えたらよいか考え 05 2012.8 ニック・ニュース まさかこのような壁にぶつかるとは思いませんでしたが、 最終的には自分の条件に合う大学を見つけ、社会人枠で試験 と面接を受け 2010 年、県内の2つの大学に合格。愛知学泉 大学経営学部に入学しました。26 歳の春でした。 日時:2012 年9月 19 日(水)13 時 00 分に東海・東南海・ 南海地震発生(想定) 価値ある学生生活 参加費:無料 申込み:ホームページから登録 今は勉強と仕事のみの生活。休日もなく、寝る時間や家族、 http://www.hisaya-oodori.jp/bousai 問合せ レスキューストックヤード 電話 052-253-7550 ☆事前学習、事後学習も実施予定。 フォーカス フォーカス シェイクアウト訓練は、訓練を通じて棚の固定や物資の備 姿勢を低く! 学内での加藤 カリナ 博美さん (写真提供:愛知学泉大学入試広報室) て、多くの方に気軽に参加してほしいと思っています!」と意 * * * Hold On! 博美 どへ投稿し、訓練参加者からの報告や取り組みを共有できる などの 活 動を展 開する NGO「レスキューストックヤ ード」の Cover! 加藤 など、何かと学生生活を支えて した。9 月には名古屋でも計画されています。 Drop! 果 とがあると声をかけていただく 名古屋での開催について、名古屋を拠点に災害復興支援 安全行動の 1-2-3 。 1999 年に 16 歳でブラジルから来日しました。滞在は2年間 公共機関・学校・個人など約 2 万 6000 人が訓練に参加しま 千代田区での訓練の様子 (写真提供:千代田区広報公聴課) 外国人 16 歳で来日、仕事の毎日 日本では「一斉防災訓練」と訳され、今年 3 月 9 日に東京都 千代田区で実施され、午後 1 時を期して一斉に企業・団体・ ∼カリナさんの夢への挑戦∼ 友だちとの時間もありませんが、大きな価値があると信じて います。 母子家庭のため経済的に厳しく、仕事をし、奨学金を受け ながらの大学生活ですが、学内では先生や職員に顔を知られ、 簿記検定の勉強を授業後手伝っていただいたり、困りそうなこ 本稿はナゴヤカレンダーポルトガル語版(2012 年 3 月号、4 月号)掲 載記事を要訳し、追加取材をしたものです。 原文: http://www.nic-nagoya.or.jp/portugues/po/informacoese-consulta/calendario-de-nagoya 学校へ行こう! 名古屋国際センターでは、外国人の子どもと保護者を対象 に大学のオープンキャンパスに参加するプログラムを開催し ます。カリナさんも一緒に参加します。学生生活や入試、奨 学金などについて、カリナさんや大学関係者に聞くことがで きる絶好のチャンスです。昼食付き。英語、ポルトガル語、 スペイン語、中国語、フィリピノ語の通訳付き。 日時:2012 年 9 月16日(日) 10:30∼14:30 場所:愛知学泉大学 (愛知県豊田市) 名古屋駅・豊橋駅・知立駅・刈谷駅・安城駅・三好 ケ丘駅・新豊田市駅より無料スクールバスあり。 8 月16日( 木 ) から電話、メール、来館にて受付。 当センター広報情報課 TEL:052-581-0100 info@nic-nagoya.or.jp 2012.8 ニック・ニュース 06
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