4 月1回発行 第 96 号 地 震 と工 事 振 動 の被 害 工事施工中に地震があり、工事後調査時に工事振動か、または地震の影響なのかを判断する必要がある場合 は少なくありません。どのように識別しているのでしょうか? 【地 震 動 と工 事 振 動 被 害 の 識 別 のポ イント】 これまで、地震動と工事振動の違いについては、第28号「地震と工事振動の大きさ」、第76号「建設工事の振動 と地震動の違い」で紹介しています。これに加えて、建物の被害を考える上で以下のポイントがあります。 ① 振動の大きさ 当然、振動量が大きければ被害の程度は大きくなります。建物の振動被害を考える場合は物理量で扱う必要が あり、地震動と比較する場合は加速度(galまたはcm/sec2)の大きさを比較します。 工事振動は振動加速度レベルから加速度実効値に変換します(第77号、第79号)。地震動の大きさはK-NETな どで最寄りの加速度記録を得ることが出来ます。( http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/ ) 但しここにある最大加速度は瞬間的なピーク時の値なので、加速度波形から上位50程度の平均を取ると、先の 加速度実効値と近くなり、工事振動と比較する事ができます。 ② 建物の応答 工事振動に比べて地震動の方が振動の周期は長く、建物の固有周期に近いため、共振がし易く増幅は大きくな る傾向があり(第76号)、同じ振動の大きさなら地震動の影響が大きくなります。 ③ 振動の暴露時間 工事振動は長期間の作業のため、振動の繰り返し数は地震動に比べて大きくなるので、地震動では被害は出 なくても工事振動では被害が生じるとの意見がありますが、繰り返し振動の影響は既に第93号、第94号で紹介し た通りです。少なくとも、ある程度大きな振動が数ヶ月以上連続しなければ振動が長期間に及ぶ影響は小さいと 考えられます。 損傷発生 ① 振動(加速度実効値)の大きさで比較する ② 地震動の方が応答は大きくなる ③ 振動の繰り返しは通常の期間なら影響は小さい 応答振動 建設作業 振動発生源 発生振動 到達振動 地震動加速度 【 ま とめ 】 地震の影響を容易に前面に出すと問題が拗れる事が多くあります。これらのように定量的に影響度を検討して 考察する必要があります。 中 央 建 鉄 株 式 会 社 http://www.chuo-kentetsu.co.jp 詳しい情報はホームページ(中央技術研究所のページ)から TEL:03-3232-5010 Mail:cgk@chuo-kentetsu.co.jp 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場 2-2-13 COK 新宿ビル 1F ユーザー名: パスワード: ※有効期限
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