チュニジアの格付をBBB-からBB+[ネガティブ]に変更

NEWS RELEASE
2015年12月24日
【格付変更】
チュニジア共和国/チュニジア中央銀行
外貨建発行体格付: BBB- → BB+ [格付の方向性:ネガティブ]
格付投資情報センター(R&I)は上記の格付を公表しました。
【格付理由】
2015年に入り経済は低迷し、大幅な赤字となっている経常収支の改善も遅れている。R&Iは、「政治が
安定し、政府が経済の再建に本格的に取り組むことができるようになれば、格付に見合う経済基盤を構
築できる」と判断し、これまで外貨建発行体格付をBBB-としてきた。しかし、民主化の進展と新政権の
努力にもかかわらず、国際環境や社会・治安情勢の悪化が足かせとなり、その実現への道のりは厳しさ
を増している。こうした判断を踏まえて、外貨建発行体格付をBB+に引き下げた。
1ノッチの格下げにとどめたのは、財政赤字は一定程度に抑制され、国際通貨基金(IMF)をはじめと
する国際機関や各国政府の金融支援により外貨準備も安定し、政府の資金繰りや外貨繰りが厳しくなる
懸念は引き続き小さいと判断したため。ただし、厳しい環境が続く中、経済・財政の先行きを見定める
必要があることから、格付の方向性はネガティブとした。
2013年と2014年の実質国内総生産(GDP)成長率は2%台を維持した。しかし、2015年に入ると経済は
減速し、1-9月期は前年比0.8%にとどまった。2015年通年の成長率は0.5%程度となる見込み。農業の
不作、主要輸出先である欧州需要の不振、ストライキによる鉱業生産の停滞に加え、断続的に発生する
テロ事件が影響しているものと思われる。政府予測では2016年は2.5%と緩やかな伸びが見込まれている
が、国際経済や社会・治安情勢の影響などで見通しを下回る可能性があり、注意を怠れない。
失業率は約15%と依然として高い水準にある。景気だけでなく構造的な問題も影響しているとみら
れ、政府は労働市場改革に取り組んでいる。投資低迷の要因の一つである投資環境改善も含めた民間部
門の活性化への取り組み加速が、中長期的な安定成長の鍵となる。治安対策や経済の構造的課題に一枚
岩となって取り組むことができるか、政府の政策運営が注目される。
経常収支はGDP比8%を超える大幅な赤字が続いている。中央銀行によると2015年の経常収支は、貿易
収支が改善する一方、観光収入を中心としたサービス収支の黒字が縮小し、赤字幅は8.7%となる見込
み。主要な輸出先である欧州景気が持ち直していけば徐々に改善するとみられるが、当面は6-8%の赤
字が続きそうだ。外貨準備は安定して推移しており、直近は126億ディナール(約64億ドル)で、輸入カ
バー率は約4カ月弱。対外債務は緩やかな増加基調にあり、中央銀行によると2015年末時点でGDP比
61.2%が見込まれている。対外債務のうち2割強が短期対外債務。その約半分は非居住者預金で占めら
れ、また外貨準備の9割程度にとどまる。
2014年にジョマア政権(当時)がマクロ経済の安定化を政策の最優先課題として掲げ、財政赤字の抑
制に取り組み、同年の赤字幅はGDP比4.9%に削減された。2015年も4.3%に抑制される見通しだ。新憲法
の下で初となる議会選挙を経て2月に発足したシド政権下でも、赤字抑制に配慮した財政運営スタンスが
採られていることはプラスに評価できる。ただ、景気対策として賃金支出を増やす一方、資本支出を削
減するなど財政構造は悪化している。こうした財政運営が続けば、財政が硬直的となり、経済の成長力
強化に必要な支出を十分に確保できなくなる懸念がある。
政府も課題は認識しており、2016年予算では、賃金支出は前年並みとするものの、資本支出は2桁増を
計画している。財政赤字はGDP比3.9%に削減する計画。歳入面の強化のために抜本的な税制改正を実施
する予定で、その効果が注目される。中央政府の債務残高は2015年第3四半期末時点でGDP比51.1%。当
面は増加基調が続こう。
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株式
会社
格付投資情報センター
〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp
信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ
ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
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NEWS RELEASE
【格付対象】
発行者:チュニジア共和国
名称
格付
格付の方向性
外貨建発行体格付
BBB- → BB+
ネガティブ
名称
格付
格付の方向性
外貨建発行体格付
BBB- → BB+
ネガティブ
【格付対象】
発行者:チュニジア中央銀行
名称
発行総額
(億円)
発行日
償還日
格付
第6回円貨債券
125
1997年08月15日
2017年08月15日
BBB- → BB+
2030年満期グローバル円貨
建債券
150
2000年08月02日
2030年08月02日
BBB- → BB+
2031年満期グローバル円貨
建債券
200
2001年03月15日
2031年03月17日
BBB- → BB+
第7回円貨債券
300
2007年08月09日
2027年08月09日
BBB- → BB+
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NEWS RELEASE
信用格付に関わる事項
信用格付業者
登録番号
株式会社格付投資情報センター
金融庁長官(格付)第6号
直近一年以内に講じられた監督上の措置は、ありません。
主任格付アナリスト
原 一樹
信用格付の付与について
代表して責任を有する者
神林 尚
信用格付を付与した日
2015年12月16日
主要な格付方法
ソブリンの格付の考え方 [2012.03.16]
上記格付方法は、格付を行うにあたり考慮した他の格付方法とともに以下のウェブサイトに掲載して
います。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/methodology/index.html
評価の前提は、以下のウェブサイトの格付付与方針に掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/ratingpolicy/index.html
格付符号とその定義は、以下のウェブサイトに掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/definition/index.html
格付関係者
チュニジア共和国
チュニジア中央銀行
注 格付関係者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第三百七条に基づいて、R&Iが判断したものです。
利用した主要な情報 政府を含む公的機関が作成した財政・経済資料
品質確保のための措置 政府を含む公的機関が作成した、またはそれに準じた信頼性が確保さ
れている資料であること。
情報提供者 格付関係者
信用格付の前提、意義及び限界
R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定
通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等
の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見
を表明するものではありません。信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の
表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見に
ついての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、い
かなる保証もしていません。
R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの
情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合に
は、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格
付を保留したり、取り下げたりすることがあります。
利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が
高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあり
ます。
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