1 o. 3N Vo l. “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 1 会 長 か ら の ご 挨 拶 日本進化学会は、産声をあげてまだ4 年目の若い学会です。アメリカ合衆国でThe Society for the Study of Evolution が設立されたのが 1946 年ですから、われわれの会は 50 年 以上も遅れてスタートしたことになります。進化生物学関連分野の日本の研究者が、過 去 50 年間に卓越した業績をあげてきたことは、国際的にはよく知られています。にもか かわらず、日本進化学会が組織されなかったのは、ひとつには遺伝学、生態学、分類学、 形態学、古生物学などの関連分野間の交流が乏しかったためでしょう。私は植物分類学 の講座で大学院時代をおくり、遺伝学的なアプローチを取入れて研究を進め、今は生態 科学研究室で教授をつとめていますが、分野を渡り歩くごとに、分野間の溝の深さを痛 感させられました。そのため、植物学者を中心とする学際的な学会である「種生物学会」 の活動にかなりの時間を割いてきましたし、学生・若手研究者の異分野交流を目的とし た「進化生物学春の学校」を企画・開催して、分野間の溝を埋めるために、ささやかな 努力を続けてきました。今回、会長に推されたのは、このような経験を評価されてのこ とだろうと考えています。 ● 日本進化学会は、大きく育つべき学会だと思います。そして、この学会を大きく育て るには、いろいろな分野の研究者と交流する楽しさ、面白さ、刺激を大事にすることが 大切だろうと思います。日本進化学会では、来る 8 月 2 ∼ 5 日に、第 4 回大会を開催しま すが、この大会で発表される方々には、ほかの分野の研究者に対して、自分の研究をわ かりやすくアピールすることを心がけていただけるよう、お願いしたいと思います。ま た、参加者のみなさんには、日頃は交流のない分野のシンポジウムやワークショップに 参加して、異なる分野での新しい進歩を知っていただきたいと思います。幸い、どの分 野でも、進化に関連した研究が急速に伸びています。どのシンポジウム/ワークショッ プに参加されても、きっと刺激的な話題に接することができるだろうと思います。 ● 日本進化学会を育てるもうひとつの計画として、英文国際学術誌の発刊を検討してい ます。副会長の五條堀さんとは、短い論文を早くだすレター誌のニーズがあるという点 で合意しています。この、 “Evolution Letters” (仮称)計画を、出版社とも連絡をとりな がら、具体化して評議員会に提案したいと考えています。この計画を成功させるには、 多くの会員の協力と、国際的な協力体制の下で、短期間にトップジャーナルの地位を確 立する必要があるでしょう。まずはこの計画をここで公表し、みなさんのご意見をうか がいながら、計画を成功させる現実的な見通しを探っていきたいと思います。 日本進化学会会長 矢原 徹一 (九州大学理学研究院生物科学部門教授) tyahascb@mbox.nc.kyushu-u.ac.jp 2 太田朋子会員、米国アカデミーの外国人会員に 斎藤 成也 国立遺伝学研究所集団遺伝研究部門(nsaitou@genes.nig.ac.jp) 太田朋子博士 米国の科学アカデミーは、4 月末に今年 生博士と太田朋子博士の名前をあげたら、 度の新会員を発表した。そのなかのひとり どちらも知っていると言われて、驚いてし に、日本進化学会の太田朋子会員が選ば まった。当時ちょうど猿橋賞がはじめられ れた。このアカデミーは、学術雑誌 Pro- た頃であり、最初の受賞者である太田博士 ceedings of National Academy of Scienc- が、木村博士とともに、 「婦人の友」とい es, USA を出版する母体であり、アカデミ う、母親が購読していた雑誌で紹介されて ーの会員は論文の著者および編集者とし いたのである。 て、重要な位置を占める。それぞれの分野 太田朋子博士は、国立遺伝学研究所の で顕著な業績をあげた研究者だけが選ばれ 名誉教授であるが、現在も研究を続けら る制度になっており、特に米国以外から選 れており、また Journal of Molecular Evo- ばれる外国人会員(foregin associate)はき lution と Molecular Phylogenetics and E- わめて狭き門である。 volution という分子進化学の雑誌の asso- 太田朋子博士は、この外国人会員に、日 ciate editor もつとめられている。博士の 本人女性としてはじめて選ばれた。太田博 業績については、弱有害突然変異説や多 士には、 「はじめて」という形容詞がよく似 重遺伝子族の進化など、すでによくご存じ 合う。この日本進化学会が制定した「木村 の方も多いと思うので特にここでは取り上 資生博士記念学術賞」の第 1 回受賞者であ げないが、女性研究者ということで、おそ ることは、私たちの記憶に新しいが、25 らく今の若手研究者よりもずいぶん苦労さ 年ほど前、日本の女性科学者に対して制 れたことと思う。また進化の研究があまり 定された「猿橋賞」の第 1 回受賞者でもあ 理解されないのは、昔も今も同じであろ る。これについては、個人的な記憶があ う。その意味で、米国科学アカデミーの外 る。当時私はすでに中立進化論の信奉者 国人会員に太田朋子博士が選ばれたこと で、分子進化について勉強していた。ある は、日本の女性研究者にとって、また日 とき母親から、その分野では日本でどんな 本の進化学研究者にとって、おおいなる喜 研究者が有名なのかと聞かれて、故木村資 びである。 “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 第 4 回大会の会期日程、シンポジウム、ワークショップなどの内容が 決定致しましたので、お知らせ致します。 (最新情報は大会ホームページにてご確認下さい。6 月 14 日現在) ■日程 2002 年 8 月 2 日(金)∼ 5 日(月) ■場所 中央大学・理工学部 後楽園キャンパス ■大会ホームページ URL : http://sayer.lab.nig.ac.jp/shinka2002/ ■大会に関するお問い合わせ 日本進化学会第 4 回大会実行委員会事務局 E-mail :shinka2002-Tokyo@sayer.lab.nig.ac.jp ■会場へのアクセス 中央大学・理工学部 後楽園キャンパス 〒 112-8551 東京都文京区春日 1-13-27 ・地下鉄丸ノ内線・南北線「後楽園駅」から徒 歩5分 ・都営三田線・大江戸線「春日駅」から徒歩 7 分 ・ JR 総武線「水道橋駅」から徒歩 10 分 URL : http://www.tamacc.chuo-u.ac.jp/ chuo-u/access/k-map.html ■大会参加費※ 1、※ 2 今大会では、大会参加費や懇親会費の参加者 負担をできるだけ少なくするように工夫しまし た。多数の方の参加を期待しております。 一般(大会参加費)4,000 円(懇親会費)5,000 円 学生(大会参加費)3,000 円(懇親会費)3,000 円 ■参加申し込み 大会ホームページにあります参加申し込みフォ ームに必要事項を記入して、お申し込み下さい。 日本進化学会の会員の方でなくても参加できま す。大会への参加は、当日でも受付けます。 ■要旨集について 本大会では、pdf ファイルを自由にダウンロー ドしていただき、ご自分で要旨集をプリントアウ トしていただくのが前提となります。但し、事前 にお申し込みいただければ、大会本部でプリント アウトした要旨集 500 円(予価)を大会当日に販 売いたします。ご希望の方は参加申し込みの際 に、ご連絡ください。 ダウンロードは、大会ホームページから行える ようにする予定です。 ■宿泊について 実行委員会では、特に宿泊のお世話はいたし ません。各自、宿泊場所を確保していただくよ うお願いいたします。 ※1 学生とは、大学学部生、研究生、大学院生 (修士・博士課程)のほか、高校生、中学生、 専門学校生など広い意味での学生すべてを含 みます。一般は学生以外の方です。 ※ 2 大会参加費の振込方法は郵便振替または銀行 振込となります。また、参加申し込みフォー ムを使ってお申し込みいただくと、電子メー ルで振込み総額のお知らせと、振込方法の情 報が届きます。すみやかにお振り込みいただ くようお願いいたします。 【郵便振替】 払出し局 筑波農林団地内郵便局 名義氏名 日本進化学会第4回大会実行委員会 口座番号 00180-0-129253 【銀行振込】 銀 行 関東銀行 谷田部支店(店番号055) 名義氏名 日本進化学会第4回大会実行委員会 会計担当三中信宏 口座種類 普通預金 口座番号 1021353 3 4 日本進化学会第 4 回大会プログラム 8 月 2 日(金)第 0 日 12 : 00 ∼ 14: 30 日本進化学会 評議員会 15 : 00 ∼ 18: 30 公開講演会※ 1(後楽園キャンパス内大講義室) 「恐竜は鳥になったのか?」 「性の進化をめぐる 7 つの不思議」 真鍋 真(国立科学博物館)/座長:西田 治文(中央大学) 長谷川 眞理子(早稲田大学)/座長:矢原 徹一(九州大学) 「メタ宇宙になった人間」 斎藤 成也(国立遺伝学研究所)/座長:藤山 秋佐夫(国立情報学研究所) 「進化の代償としての病気」 高畑 尚之(総合研究大学院大学)/座長:石和 貞男(お茶の水女子大学) 18 : 30 ∼ 20 : 30 公開講演会記念パーティー※ 2 8 月 3 日(土)第 1 日 09 : 00 ∼ 10: 30 ワークショップ 1「エピスタシスと集団の進化: Fisher と Wright を振り返って」 2「塩基配列のデータベース登録方法」 3「分子系統樹作成講座(1) 」 8「生物多様性とその保全」 20「地球上の生命の起源と初期進化:海底熱水噴出孔の役割」 21「遺伝子とゲノムの進化」 10 : 30 ∼ 12 : 30 シンポジウム(本部企画) A「化石から探る「食」の進化」 12 : 30 ∼ 13 : 30 総 会※ 3 13 : 30 ∼ 15 : 30 シンポジウム(公募/並行開催) B「量的形質の遺伝解析とその進化生物学への適用」 C「タンパク質はどう作られているか、どう作れるか」 15 : 30 ∼ 17 : 30 ポスター発表※ 4 17 : 30 ∼ 18 : 30 夕 食 18 : 30 ∼ 20 : 30 ワークショップ 4「性と超利己的な遺伝子」 5「系統解析のためのツールを鍛える」 6「進化のモデル−マダガスカル研究の現状と展望」 7「網状進化:ハイブリッド形成は進化研究にどのような視点をもたらすか」 9「分子系統樹作成講座(2) 」 19「進化をどう教えるか」 “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 5 8 月 4 日(日)第 2 日 09 : 00∼ 10: 30 ワークショップ 10「昆虫の多様性と分子系統進化」 11「Evolution of closely related populations」 (in English) 12「分子系統樹作成講座(3) 」 22「進化研究とインフォーマティクス」 23「動く遺伝子と進化」 24「システムズバイオロジーと進化」 10 : 30 ∼ 12 : 30 シンポジウム(本部企画) D「ゲノムが進化する:ゲノム生物学・ゲノム医学からの展望」 12 : 30 ∼ 13 : 30 昼 食 13 : 30 ∼ 15 : 30 シンポジウム(公募/並行開催) (in English) E「Genome Evolvability」 F「分子生物地理学」 15 : 30 ∼ 17 : 30 ポスター発表※ 5 17 : 30 ∼ 18 : 30 夕 食 18 : 30 ∼ 20 : 30 ワークショップ 13「微生物を知る:現象の進化的背景を探る」 14「人類学・心理学・行動生態学:人間の心理と行動の進化をどう考えるか?」 15「性比調節の進化:新たな研究の展開」 16「Evolution of the reproductive traits : Molecular Approaches」 (in English) 17「昆虫の分子進化最前線」 18「分子系統樹作成講座(4) 」 8 月 5 日(月)第 3 日 09 : 00∼ 12: 00 シンポジウム(公募/並行開催) G「種分化:分子から生態へ」 H「21 世紀の発生と進化(エボデボ)研究 徹底討論」 ※1 ※2 ※3 ※4 ※5 ※6 会員・非会員を問わず参加可。入場料:無料。申込不要。 会員・非会員を問わず参加可。本大会の懇親会を兼ねます。懇親会費:一般 5,000 円/学生 3,000 円。 昼食を食べながら行います。弁当の販売有。 奇数番号の説明を 1 時間設けます。 偶数番の説明を 1 時間設けます。 8 月 2 日(金)の午前中及び 8 月 5 日(月)の午後はサテライトミーティング(自由集会) 、各種委員会の会合など希望に応じて会 場を設定し開催します。若手の方の提案をお待ちしています。 6 日本進化学会第 4 回大会シンポジウム概要 公募シンポジウムは応募されたテーマの中から、実行委員会が 4 テーマを採択しました。 公募シンポジウムは、500 人程度を収容できる 2 会場で平行して実施します。 本部 (実行委員会)企画のシンポジウムは、1 会場のみで開催します。 A「化石から探る「食」の進化」 (本部企画) ◇ 8 月 3 日(土)10 : 30 ∼ 12 : 30 ◆西田治文(中央大学理工学部) ◎化石から得られる情報は、とても限られて いる。しかし、視点を変えることや、新たな 技術の導入によって、もともとは生きている 生物であった化石をより詳しく知り、理解す ることができる。ここでは、生物の相互関係 のなかでも重要な要素である「食」という観点 から、化石の情報がどのように引き出され、 過去の生物の生き様が明らかになるのか紹介 する。維管束植物、節足動物、生痕、脊椎動 物などについて、どのような化石があり、ど のような手法や思考から食の進化に迫ること ができるのか、模索してみたい。 ▼朝川毅守(千葉大学) 「白亜紀果実化石にみる鳥散布戦略の進化」 ▼西田治文(中央大学) 「白亜紀植物化石中の食痕とその犯人」 ▼小竹信宏(千葉大学) 「生痕化石から探る過去の 深海生物の「食」とトイレ学」 ▼甲能直樹(科学博物館) 「軟組織の「化石」が語る 海生哺乳類の「食」の進化」 B「量的形質の遺伝解析と その進化生物学への適用」 (公募) ◇ 8 月 3 日(土)13 : 30 ∼ 15 : 30 ◆矢原徹一(九州大学理学研究院) ◎適応的進化は多くの場合、量的形質の遺伝 的変化である。しかし、量的形質をDNA レベ ルで解析することは、伝統的な分子遺伝学の 方法論では困難だった。QTL マッピングによ って量的形質の分子基礎を解明しようという 研究は、RFLP マーカーが利用されはじめた 1980 年代から開始されたが、最近まで大きな 成果に結びつかなかった。しかし、AFLP に代 表される効率的な分子マーカー探索技術が確 立された結果、高精度遺伝子地図を短期間に 作成することが可能になり、QTL マッピング が分子遺伝学と直結した方法として、急速に 発展している。また、交雑実験による伝統的 なマッピング技術に加え、多型マーカーの遺 伝子型と表現型との association に着目したマ ッピング技術が急速に発展している。このよ うな方法論の進歩は、適応進化、種分化、性 淘汰など、さまざまな課題の研究に新しい可 能性を開いている。さらに、これらの方法の 進歩にともなって、基礎科学としての進化研 究と、医学・薬学・農学研究の接点が拡大し ている。このシンポジウムでは、QTL マッピ ング・ association マッピングの方法論の進歩 と、その進化生物学への適用例をとりあげ、 この方法論を利用した新しい研究の方向性に ついて討論を深めたい。 ▼中道礼一郎(東京大学大学院農学生命科学) 「QTL マッピング・ association マッピングの方法論」 ▼高橋亮(理化学研究所ゲノム科学総合研究センター) 「ゲノム医学にみる進化研究 :多因子性疾患の連鎖不平衡解析」 ▼宮竹貴久(岡山大学農学部) 「ウリミバエにおける生活史形質の適応進化」 ▼林誠(大阪大学大学院工学研究科) 「ミヤコグサにおける高精度遺伝子地図」 C「タンパク質はどう作られているか、 どう作れるか」 (公募) ◇ 8 月 3 日(土)13 : 30 ∼ 15 : 30 ◆四方哲也(大阪大学大学院情報科学研究科) 芝清隆(癌研究会癌研究所蛋白創製研究部) ◎タンパク質はどのような原理にしたがって 誕生し、そして進化してきたのか? 現存タンパク質の構造に関しては、現在、 ゲノム生物学や構造ゲノム生物学の成果とし て莫大な量の情報が蓄積しつつある。これら の研究からタンパク質の構築原理、誕生・進 化についてどのようなことがどこまで明らか にされつつあるかを紹介する。さらにこのよ うな分析的な解析手法に加え、 「人工的」にタ ンパク質を実験室の中で作りだすといった研 究も紹介する。分析的、構成的なタンパク質 研究が、オーソドックスな進化学にどのよう な新しい種類の知見を与えるかを聴衆ととも ◇ = 日程 ◆ = 世話人 ◎ = 企画の意図 ▼ = 講師と演題、またはパネリスト “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 に考えてみたい。 ▼濡木理(東京大学大学院理学系研究科) 「アミノアシルtRNA 合成酵素ファミリーの 分子進化機構」 ▼太田元規(東京工業大学学術国際情報センター) 「タンパク質をコンピュータでデザインする」 ▼芝清隆(癌研究会癌研究所蛋白創製研究部) 「繰り返しからタンパク質を作る」 ▼四方哲也(大阪大学大学院情報科学研究科) 「ランダム配列から機能を作る」 D「ゲノムが進化する:ゲノム生物学・ ゲノム医学からの展望」 (本部企画) ◇ 8 月 4 日(日)10 : 30 ∼ 12 : 30 ◆小林一三(東京大学医科学研究所) 斎藤成也(国立遺伝学研究所) ◎生物の全ゲノム解読によって、進化研究は、 従って我々の生命の理解は、新たなフェーズ に突入した。従来の進化研究が注目していた、 個別の形質・個別の遺伝子は、今や、互いに 入り組んだ総体の中のひとりの役者としてそ こにあり、その中でのみ真に解読される意味 を秘めている。そして、隠されたトータルな 生命像は、このゲノムを時間軸に沿って展開 した連続体の中でこそ、そのスナップショッ トとしてこそ、初めて可視化できるだろう。 ポスト・ゲノムの進化研究は、だから、生命 研究の最先端を走るべき使命を担う。本シン ポジウムでは、対象としては細菌とヒト、手 法としては近縁ゲノム比較に注目する。最も 遺伝子レベル分子レベルでの研究の進んだ細 胞生物、大腸菌、で見えてきた生命像とは? フィールドからの病原性大腸菌は、この大腸 菌とどこがどう違っていたのか? そして 3 種 の藍藻(光合成原核生物)の全ゲノム比較から 浮かび上がった、光合成と植物の起源とは? ヒト種内の多型の徹底的な解析による病因遺 伝子の探索は、任意の生物の任意の形質を担 う遺伝子の探索に活用できるだろう。 ▼森浩禎(奈良先端科学技術大学院大学・遺伝子教育研究センター) 「細胞の全体像解明に向けて」※ ▼林哲也(宮崎医科大学医学部) 「種内全ゲノム配列比較から見える 細菌病原性の進化」※ ▼田畑哲之(かずさ DNA 研究所) 「光合成と植物の起源 :藍藻全ゲノムの 3 種の比較から考える」※ ▼猪子英俊(東海大学医学部) 「多因子性遺伝病の マッピングの話を中心に」※ ▼井ノ上逸朗(東京大学医科学研究所) 7 「人類進化のひずみ |倹約遺伝子と Common Disease |」 ※は仮題 E「Genome Evolvability」 (in English 公募) ◇ 8 月 4 日(日)13 : 30 ∼ 15 : 30 ◆小林一三(東京大学医科学研究所) ◎進化機構のダーウィン流パラダイムは、 「変 異がランダムに起き、そこに自然選択が作用 する」というものであり、分子生物学によって 支持されてきた。これに対しての大きな挑戦 は、 「ある栄養物があると、それを食べられる ようになる突然変異が誘導される」という、ラ マルク風な「適応変異」の発見であった。その 解析から結局浮かび上がってきたのは、 「ゲノ ム自身が持つ、自らを進化させ造り替えてい く能力」であった。本シンポジウムでは、この ダイナミックなプロセスの実験的解析の最先 端を紹介する。まず、ヒトなどで続々と発見 されている「高頻度で誤りを犯しながら遺伝情 報をコピーするDNA 複製酵素」が紹介される。 次に海外からの招待講演者によって「適応変 異」のひとつの種明かしが提示される。さら に、ゲノム構造の安定性と可変性を共に支配 する因子として「制限酵素遺伝子」が紹介さ れる。 「なぜ DNA が遺伝物質として採用され たのか?」という根元的な問いにも、ひとつ の答えが示される。使用言語は英語を予定し ているが、内容はいずれも、進化に興味を持 つ非専門家向けの、初等的かつ単刀直入なス トーリーである。 ◎ The current status of molecular analysis of the plasticity built in our genomes will be introduced to general audience interested in evolution. ▼能美健彦(国立医薬品食品衛生研究所) 「誤りがち DNA 複製」 ▼ジョン・ロス(ユタ大学) 「適応的変異」 ▼小林一三(東京大学医科学研究所) 「ゲノムの安定性と不安定性」 ▼柴田武彦(理化学研究所) 「なぜ DNA が遺伝物質なのか?」 ▼座長:ジョン・ロス(ユタ大学) ※講師と演題は全て予定。 ▼ Takehiko Nohmi(NIHS) “Error-prone DNA replication” ▼ John Roth(University of Utah) “Adaptive mutation” ▼ Ichizo Kobayashi(University of Tokyo) “Genome stability and instability ◇ = 日程 ◆ = 世話人 ◎ = 企画の意図 ▼ = 講師と演題、またはパネリスト 8 ▼ Takehiko Shibata(Riken) “Why DNA as genetic material ?” ▼ Chairmen : John Roth(University of Utah) F「分子生物地理学」 (公募) ◇ 8 月 4 日(日)13 : 30 ∼ 15 : 30 ◆上島励(東京大学理学系研究科) 伊藤元己(東京大学大学院) ◎進化の過程で動植物はどのように分布を拡 げてきたのだろうか? 近年になって、生物地 理学は分子系統学的手法を導入することによ って著しい発展を遂げた。分子データは、異 なる大陸に分布する種類を共通の基準で客観 的に比較する基準をもたらし、信頼性の高い 系統推定を可能にした。また、分子時計を仮 定して分岐年代の推定をすることにより、生 物の系統分岐と地史的イベントとの対応も可 能となった。分子生物地理学は、時間軸に沿 った生物の空間的変遷のダイナミクスを再構 築する歴史生物地理学として発展している。 本シンポでは、様々な動植物を用いた分子生 物地理学の最新の成果を、琉球列島の成立や 大陸移動などの話題を中心に紹介し、その展 望を探る。 ▼太田英利(琉球大学熱帯生物圏研究センター) 「爬虫類の分子系統からみた琉球列島の成立」 ▼熊澤慶伯(名古屋大学理学部) 「ゴンドワナ起源の淡水魚と大陸移動」 ▼伊藤元己(東京大学大学院) 「複数の大陸に分布する植物の分子生物地理」 ※講師と演題は全て予定。 G「種分化:分子から生態へ」 (公募) ◇ 8 月 5 日(月)9 : 00 ∼ 12 : 00 ◆河田雅圭(東北大学理学部) 岡田典弘(東京工業大学) ◎集団が分岐し、それぞれの集団で独立に進 化が起こることによって、生物の多様性が生 じる。独立した集団が分岐するために最も重 要なプロセスが、集団間の個体に生殖隔離が 進化する種分化である。種分化に関する論議 は古くからなされてきたが、近年、特に、種 分化に関する多くの研究が発表され、注目さ れるようになった。それは、種分化に関する 理論の進展がみられたこと、分子レベルから 生殖隔離に関わる遺伝子の研究が進められて いること、さらに、多くの種分化には遺伝的 要因だけでなく、生態学的要因が関与してい ることが示されてきたことなどが要因である。 そこで、今回のシンポジウムでは、種分化に 関わる分子レベルの研究、理論的研究、生態 学的研究を紹介するとともに、それぞれの研 究がどのように有機的に関係することであら たなアプローチが可能になるのかについて論 議したい。 ▼長谷部光泰(基礎生物学研究所) 「シロイヌナズナ人工倍数体を用いた 植物倍数体進化のゲノムレベルでの アプローチ」 ▼寺井洋平(東京工業大学) 「分子からいかにして種分化種形成を探るか :カワスズメ科魚類を用いた研究」 ▼浅見崇比呂(信州大学理学部) 「巻貝における鏡像体の生態と種進化」 ▼河田雅圭(東北大学理学部) 「交配前隔離と交配後隔離の理論的機構」 ※講師と演題は全て予定。 H「21 世紀の発生と 進化(エボデボ)研究 徹底討論」 (公募) ◇ 8 月 5 日(月)9 : 00 ∼ 12 : 00 ◆倉谷滋(理化学研究所発生・再生科学総合研究センター ) 阿形清和(理化学研究所発生・再生科学総合研究センター) ◎発生と進化を結びつけるという発想自体は 決して新しいものではない。しかし、発生学 が比較形態学から脱し、発生機構学の精神が ゲノムや遺伝子を実際の研究対象とすること ができるようになり、Hox 遺伝子の発見とと もに再び形態学を取り込んでのち、あらため て発生学から進化を考察するという方針には、 これまでになかった新しい視座があってしか るべきである。この討論会は、様々な領域か ら一家言ある専門家を集め、今後エボデボ (Evolutionary Developmental Biology)と呼ば れる研究領域にどのような可能性が開かれて いるのか、あるいはその理論的枠組みにどの ような変更が迫られているのか、徹底的に討 論しようというのが、このワークショップの 主旨である。なお、果てしない激論となった 場合にそなえ、当日は正規の時間枠を越え、 昼食後も続行することが可能。会場からのコ メント歓迎。 ▼司会:阿形清和(理化学研究所発生・再生科学総合研究センター) ▼パネリスト:相澤慎一、倉谷滋、近藤滋(理 化学研究所発生・再生科学総合研究センター) 、三中 信宏(農業環境技術研究所)、浅見崇比呂(信州大学 理学部) 、和田洋(京都大学瀬戸臨海実験所)、田村 宏治(東北大学理学部)、斎藤成也(国立遺伝学研究 所) 、長谷部光泰(基礎生物学研究所)、岡部正隆 (国立遺伝学研究所) 、渡辺政隆(文部科学省) ※パネリストは全て予定。 ◇ = 日程 ◆ = 世話人 ◎ = 企画の意図 ▼ = 講師と演題、またはパネリスト “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 9 日本進化学会第 4 回大会ワークショップ概要 教育的内容、パネルディスカッション、技術講習会、徹底討論など、 シンポジウムよりも自由な形式による集会です。 研究成果だけでなく、その社会的影響や、若手研究者問題など、 進化研究に関連するさまざまなテーマについて取りあげた企画を含みます。 最低 100 名程度が収容できる会場で、6 題を並行して行います。 応募されたテーマの中から、実行委員会が 24 テーマを採択しました。 ワークショップの提案者には、口頭発表希望者の中から 企画内容に沿った発表を数件選んでいただき、 それらを招待講演者と共に発表していただきます。 また、ワークショップで口頭発表される方にも、ポスター発表をしていただきます。 1「エピスタシスと集団の進化 : Fisher と Wright を振り返って」 ◇ 8 月 3 日(土)9 : 30 ∼ 10 : 30 ◆高橋亮(理化学研究所ゲノム科学総合研究センター) 嶋田正和(東京大学大学院総合文化研究科) ◎集団遺伝学の祖、Ronald Aylmer Fisher と Sewall Wright の理論上の対立、特にエピスタ シスを巡る見解の相違を再確認し、最新のゲ ノム機能研究の成果を踏まえた生物集団の進 化研究の将来を展望する。 post-sequencing era に突入した新世代のゲ ノム研究は、遺伝子機能、特に遺伝子間相互 作用の実態解明を目指し、トランスクリプト ーム、プロテオームの網羅的な把握を目指す 機能解析研究へと展開しつつある。 生物進化において遺伝子間の相互作用が大 きな役割を果たすことは、種間交雑が多くの 場合に雑種致死・不稔をもたらし、遺伝子の 機能が遺伝的な背景に左右されることからも 容易に見て取ることができる。しかしながら、 生物集団の進化と分化の起動力をエピスタシ ス選択に見出す Sewall Wright の平衡推移説 と、遺伝子間のエピスタティックな関係は集 団 分 化 の 副 産 物 に 過 ぎ な い と す る Ronald Aylmer Fisher の mass selection 説との理論上 の対立は、今日に至っても解消されていない。 このワークショップでは Fisher と Wright の 進化理論を振り返ると共に、特に Wright の平 衡推移理論に焦点を合わせ、生物集団の進化 と分化における遺伝浮動、分集団構造、群選 択の重要性を議論することを目的とする。招 待講演者として、昨年『絵でわかる進化論』 (講談社)を発表された徳永幸彦さんをお招き し、平衡推移説を擁護する立場から、Wright の理論と最近の Michael Wade、Charles Goodnight らの群選択研究を紹介していただくと 共に、ご自身の研究(人工生命手法を用いた ポストゲノムの研究)の成果をご報告いただ く。招待講演に先立ち、企画者の高橋が Fisher と Wright の対立点を確認し、近年の Jerry Coyne らによる平 衡 推 移 説 の批 判 、 Sergey Gavrilets による適応度地形モデルの拡張に触 れつつ、Wright 理論の批判的な検討を行う。 司会進行役は共同企画者の嶋田が務める。 これらに加え、エピスタシス、適応度地形、 分集団構造、群選択等々に関する研究発表を 一、二題程度受け付け、その最先端の成果を 紹介していただく。単なる講演会ではなく、 聴衆の積極的な参加による双方向的な議論の 場としたいと考えている。 ▼高橋亮(理化学研究所発生・再生科学総合センター) 「ゲノムの織り成す適応度地形 :平衡推移理論の再検討」 ▼徳永幸彦(筑波大学)(招待講演) 「適応度地形の歩き方 : Sewall Wright の夢と悩み」 ▼司会:嶋田正和(東京大学大学院総合文化研究科) 2「塩基配列のデータベース登録方法」 ◇ 8 月 3 日(土)9 : 30 ∼ 10 : 30 ◆深海薫(国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJ研究センター) ◎塩基配列データを使って進化の研究を行う 際、塩基配列のデータベースは解析に利用す るデータの源であると同時に、自らが決定し た配列データを登録し、研究者コミュニティ ーへ発信する場でもある。自らの研究により 明らかにした配列データとその生物付加情報 を正しく確実に発信するためには、データベ ◇ = 日程 ◆ = 世話人 ◎ = 企画の意図 ▼ = 予定講演者と予定演題 10 ースへの登録方法を十分に理解しデータを正 しく登録する必要がある。進化研究により生 み出される配列データは、それまでデータベ ースに登録がなかった生物種由来のものであ ることが多い。こうしたデータをどうやって 登録するか。あるいは、ある遺伝子座に注目 して集団内の多型性を研究すると、ほとんど (あるいは全く)同じ配列が多数得られる。そ れらの配列データを手際よく登録するために はどのような方法を用いるのがよいか。この ワークショップでは塩基配列データとその生 物付加情報を DDBJ に登録するための方法を、 特に進化研究により生み出されたデータでよ く起こる状況に重点を置いて紹介する。また DDBJ の配列データが由来している生物種を 管理するために構築している生物分類データ ベースとその利用法についても紹介する。 ▼ DDBJ から 2 名程度を予定 ▼司会:深海薫(国立遺伝学研究所生命情報・DDBJ センター) 3「分子系統樹作成講座(1) 」 ◇ 8 月 3 日(土)9 : 30 ∼ 10 : 30 ◆斎藤成也(国立遺伝学研究所) 三中信宏(農業環境技術研究所) ◎分子進化学における解析手段の中核である 遺伝子系統樹の作成を、理論的背景とデータ 解析の実際の双方から解説します。4 回ありま すが、連続して聞いてもよし、ひとつだけ聞 いてもよし、ご自由です。 ▼斎藤成也(国立遺伝学研究所) 「この講座の概要」 ▼大田竜也(総合研究大学院大学) 「相同性検索から置換距離の推定まで」 4「性と超利己的な遺伝子」 ◇ 8 月 3 日(土)18 : 30 ∼ 20 : 30 ◆河野重行(東京大学理学系研究科) 小林一三(東京大学医科学研究所) ◎ゲノムは潜在的に利害の異なる遺伝子が作 るコミュニティーである。 「非自己遺伝子 DNA を直接破壊する遺伝子」に注目して、その活 動と、ゲノムの持つ性という機構とのかかわ りを考える。 ▼河野重行(東京大学大学院新領域創成科学研究科) 「原生生物の性と「そのオルガネラに 寄生する利己的な遺伝子」の関係」 ▼大矢禎一(東京大学大学院新領域創成科学研究科) 「非自己遺伝子を切断し、自分のコピーで 修復させる、超利己的な遺伝子」 ▼佐々木顕(九州大学理学部) 「反利己的遺伝子としての性 :そのポピュレーション・ダイナミクス」 ▼他に一般発表からのショート・トーク 5「系統解析のためのツールを鍛える」 ◇ 8 月 3 日(土)18 : 30 ∼ 20 : 30 ◆三中信宏(農業環境技術研究所) ◎系統樹はいまや進化学のあらゆる研究領域 に浸透している。それとともに、より大きな データを踏まえた、より正確な系統推定のた めの理論・手法が必要になってきた・系統樹 は離散的構造をもつグラフである。系統推定 とは、与えられた形質情報のもとで最適なグ ラフの構築を目指す。しかし、系統類縁関係 を表わす樹形だけが系統推定の目的ではない。 系統樹の上で復元される仮想祖先の形質状態 は、進化学的な比較研究にとって必須の知見 を与える。系統推定のためのよりパワフルな 手法は、離散数学との緊密な連携のもとには じめて可能になるだろう。いま注目を集めて いるバイオインフォマティクスは、生物情報 を解析するためにはさまざまな離散数学のツ ールがあることを生物学者に認識させた。今 回のワークショップでは、系統推定にともな う離散的最適化問題―系統スタイナー問題の 最前線に焦点を当て、系統学と離散数学との 連携をさらに強めることを目的とする。 ▼三中信宏(農業環境技術研究所) 「系統推定論と離散数学との接点 ―“phylo-mathematics”は可能か?」 ▼宮川幹平(日本大学文理学部) 「系統樹上での仮想祖先の代数的ふるまい ―最節約的に復元された祖先形質状態の もつ束論的性質について」 ▼山本春雄・浅野 剛弘(ボーゲンファイル) 陶村貴(ユーシン電機) 「系統 Steiner 問題を解決するための 有効な発見的アルゴリズムの開発 ―超巨大系統樹の推定に向けて」 ▼成嶋弘(東海大学福岡短期大学) 「系統 Steiner 問題を再考する ―最節約的祖先復元(MPR)の観点から」 6「進化のモデル ーマダガスカル研究の現状と展望」 ◇ 8 月 3 日(土)18 : 30 ∼ 20 : 30 ◆駒嶺穆(進化生物学研究所) 西田治文(中央大学理工学部) ◎マダガスカルをフィールドとしてどのよう な研究が展開されており、今後展開できるか、 ◇ = 日程 ◆ = 世話人 ◎ = 企画の意図 ▼ = 予定講演者と予定演題 “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 話題提供と情報交換を行い、今後の研究方向 を模索する。現在戒厳令が出ているマダガス カルの最新情報も盛り込み、調査のためのイ ンフラストラクチャーをどうするかなども含 めて情報や意見交換を行う。 ▼湯淺浩(進化生物学研究所) 「マダガスカル産短枝植物 ディディエレア科 進化と類縁」 ▼吉田彰(進化生物学研究所) 「マダガスカル西部堆積層地帯の 陸化と植物の分布」 ▼朝川毅守(千葉大学理学部) 「マダガスカルの材化石」 ▼この他、動物関連の話題提供者を予定。 7「網状進化:ハイブリッド形成は 進化研究にどのような視点をもたらすか」 ◇ 8 月 3 日(土)18 : 30 ∼ 20 : 30 ◆長谷川英祐(北海道大学大学院農生物生態体系) ◎有性生殖生物において、二つの繁殖集団の 個体間の交配により形成されるハイブリッド 集団は、進化の歴史上頻繁に生じているにも かかわらず、それが生物の形質の進化にどの ような影響を与えるのかはほとんど考察され ていない。また、そのような網状進化をどの ように検出し、その歴史を推定するかについ てもほとんど注目されていない。本集会では、 生態学、分子系統学、集団遺伝学などの学際 的な観点から、ハイブリッド形成が進化学研 究にどのような視点をもたらすのか、またど のようなアプローチでそれに取り組むべきか について討論したい。 ▼伊藤元巳(東京大学大学院総合文化研究科) 「キク科シオン属の 異質倍数体形成による網状進化」 ▼長谷川英祐(北海道大学大学院農学研究科) 「トビキバアリ種複合体の網状進化の復元」 ▼千葉聡(東北大学大学院理学研究科) 「陸貝における網状進化」 ▼曽田貞滋(京都大学大学院理学研究科) 「オオオサムシ亜属の網状進化」 8「生物多様性とその保全」 ◇ 8 月 3 日(土)9 : 30 ∼ 10 : 30 ◆矢原徹一(九州大学理学研究院) 鷲谷いづみ(東京大学大学院農学生命科学) ◎生物多様性の保全に大きな社会的関心が集 っている。この問題の解決には、生態学・遺 伝学・分類学など多分野の研究者の協力が必 要である。多分野の研究者の交流の場である 11 進化学会の大会でこの問題をとりあげ、学際 的なアプローチの可能性について討論し、多 分野の研究者による協働を発展させるきっか けとしたい。 ▼矢原徹一(九州大学理学研究院) 「里山における生物多様性保全の方法論」 ▼西廣淳(建設省土木研究科) 「水辺の植物の水位変動への適応と自然再生」 ▼五箇公一(国立環境研究所) 「マルハナバチ商品化の生態学的問題」 ▼芝池博幸(農業環境技術研究所) 「在来タンポポと帰化タンポポの雑種形成」 9「分子系統樹作成講座(2) 」 ◇ 8 月 3 日(土)18 : 30 ∼ 20 : 30 ◆斎藤成也(国立遺伝学研究所) 三中信宏(農業環境技術研究所) ◎分子進化学における解析手段の中核である 遺伝子系統樹の作成を、理論的背景とデータ 解析の実際の双方から解説します。4 回ありま すが、連続して聞いてもよし、ひとつだけ聞 いてもよし、ご自由です。 ▼斎藤成也(国立遺伝学研究所) 「近隣結合法」 ▼大田竜也(総合研究大学院大学) 「その他の距離行列法」 10「昆虫の多様性と分子系統進化」 ◇ 8 月 4 日(日)9 : 00 ∼ 10 : 30 ◆八木孝司(大阪府立大学・先端科学研究所) 毛利秀雄(岡崎国立共同研究機構) ◎地球上に生息する昆虫は数百万∼数千万種 と言われ、その多様性は格好の研究材料であ る。これまで生物多様性研究は生物の形態を 比較、記載することが主であったが、近年の 分子生物学の進歩によって DNA レベルで解析 可能な研究となった。日本列島は成立が古く、 南北に長く多くの島嶼から成り、地域の昆虫 の形態変異に関する膨大な記載論文が日本に はある。これらのデータに DNA 解析データを 合わせてみると種分化や進化の過程、近縁種 間の系統関係、地域個体群の遺伝的多様性、 分布形成の過程などを明らかにできる。 このような研究は大澤省三博士らのオサム シ研究をきっかけに、我々の蝶類 DNA 研究会 グループ、その他いくつかの種群について、 最近 5 年ほどの間に活発になり、研究者は確 実に増えつつある。本ワークショップでは、 興味ある成果を挙げつつある若手の研究を主 に紹介して、研究情報の交換をしあうととも に、研究の問題点を整理し、また分子進化の ◇ = 日程 ◆ = 世話人 ◎ = 企画の意図 ▼ = 予定講演者と予定演題 12 他分野の専門家らの意見を聞き、本研究領域 が目指すべき方向を討論したい。 ▼八木孝司(大阪府立大学先端科学研究所) 「昆虫の DNA からわかること −アゲハチョウを例に」 ▼蘇智慧(JT 生命誌研究館) 「分子系統からみた イチジクとイチジクコバチの共進化」 ▼岡本宗裕(鳥取大学農学部) 「チリオサムシの分子系統と同所的収斂」 ▼小田切 顕一(九州大学大学院比較社会文化研究科) 「ミドリシジミ類の分子系統地理」 ▼コメンテーター:毛利秀雄(国立岡崎共同研究 機構) 、大澤省三(名古屋大学名誉教授)、尾本恵市 (桃山学院大学文学部) ▼座長:荒谷邦雄(九州大学大学院比較社会文化研 究科) 、八木孝司(大阪府立大学先端科学研究所) ※他の演者は一般参加者から選ぶ 11「Evolution of closely related populations」 (in English) ◇ 8 月 4 日(日)9 : 00 ∼ 10 : 30 ◆斎藤成也(国立遺伝学研究所) ◎ We would like to cover studies on evolution of closely related populations or species in this workshop.This field can be considered as cross over region between classic population genetics and modern gene genealogy study.However, because there are not many sessions given in English, more broad area may be covered in this workshop.So please feel free to submit your talk. All presentations and discussions will be given in English. ▼ Graur, Dan(Tel Aviv University) “Junk DNA Case Reports : Alus and Numts” 12「分子系統樹作成講座(3) 」 ◇ 8 月 4 日(日)9 : 00 ∼ 10 : 30 ◆斎藤成也(国立遺伝学研究所) 三中信宏(農業環境技術研究所) ◎分子進化学における解析手段の中核である 遺伝子系統樹の作成を、理論的背景とデータ 解析の実際の双方から解説します。4 回ありま すが、連続して聞いてもよし、ひとつだけ聞 いてもよし、ご自由です。 ▼三中信宏(農業環境技術研究所) 「最大節約法を中心とする形質状態法」 13「微生物を知る :現象の進化的背景を探る」 ◇ 8 月 4 日(日)18 : 30 ∼ 20 : 30 ◆西田洋巳(東京大学分子細胞生物学研究所) ◎微生物利用の観点から、目的に適う微生物 が探索されてきました。そのような微生物が 見つかる背景には様々なレベルにおける進化 的な多様性があることは言うまでもありませ ん。従来、微生物の振る舞い、あるいは現象 に対し、その進化的な背景まで掘り下げて研 究されることはほとんどありませんでした。 あるいは研究方法がなかったと言っても良い でしょう。 現在、多くの微生物の全ゲノム塩基配列が 決められ、今後もより多くの微生物のゲノム 塩基配列を決める計画が進行しています。し かし、遺伝子操作が可能である微生物はその 一部です。今、我々はこの一部の遺伝子操作 可能な微生物から得られる実験データや生物 学的特徴をゲノムの比較から進化的に意味付 けることがある程度可能となりました。35 億 年を超える悠久の歴史を微生物に垣間見るこ とは、まさに生物学の醍醐味といえるのでは ないでしょうか。微生物の細胞内で生じてい る現象を知ることなく、複雑に分化している 生物の細胞内で生じていることを網羅的に理 解できると考えるのであれば、それは愚かな 考えと言えるでしょう。現在、微生物学は成 熟しており、その発展はとりわけ生物学全体 において目立つ存在ではないかもしれません。 しかし、比較微生物は急速に進展しており、 いずれは生物学全体における進化学に多大な 貢献をするでしょう。 ▼西山真(東京大学生物生産工学研究センター) 「原核生物アミノ酸生合成経路と進化」 ▼葛山智久(東京大学分子細胞生物学研究所) 「非メバロン酸経路の進化的意味」 ▼大西康夫(東大・農学生命科学研究科) 「放線菌と進化」 ※他の演者は一般参加者から選ぶ 14「人類学・心理学・行動生態学 :人間の心理と行動の進化をどう考えるか?」 ◇ 8 月 4 日(日)18 : 30 ∼ 20 : 30 ◆長谷川眞理子(早稲田大学政治経済学部) ◎人類学は、人類の進化史を明らかにし、ヒ トはどこから来てどこへ行くかを考察するこ とになっている。しかし、従来の自然人類学 は、化石または DNA の研究に主眼がおかれ、 ヒトの行動や心理を十分に進化的に考察する ◇ = 日程、◆ = 世話人、◎ = 企画の意図、▼ = 予定講演者と予定演題 “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 ことは非常に遅れた。一方、心理学は、ヒト の心理を研究する学問であるが、進化の枠組 みの外で研究概念が作られてきたので、ごく 最近まで、心理の進化を射程に入れることは なかった。さらに、行動生態学は、動物の行 動の進化について、理論とモデルと実証的研 究に基づき、この 30 年ほどの間に大きな成果 をあげてきたが、行動生態学者がヒトの研究 に目を向けることは比較的まれである。人間 の行動や心理を進化生物学的に分析すること は、確かに難しい。しかし、それは不可能で はないはずだ。この 10 年ほどの間に、人間行 動生態学、進化心理学と呼ばれる分野が、こ の問題に挑戦し始め、いくつかの発展はみら れているものの、人間の行動や心理のどのレ ベルをどのようにして適応的に分析できるの か、できないのか、根本的なところで議論は 絶えない。本ワークショップでは、人間行動 生態学、進化心理学が明らかにしてきた、人 間の行動や心理の進化的研究に関する最近の 新しい知見をまとめるとともに、人類学、心 理学、行動生態学の確立した研究分野から、 ヒトをどのように扱うべきか、その分析の方 法や基本仮説の有用性を検討、議論したい。 ▼岡の谷一夫(千葉大学文学部)、内田亮子(千葉 大学文学部) 、長谷川寿一(東京大学大学院総合文化 研究所) 、長谷川眞理子(早稲田大学政治経済学部)、 粕谷 英一(九州大学理学研究院)、矢原徹一(九州大 学理学研究院) 15「性比調節の進化:新たな研究の展開」 ◇ 8 月 4 日(日)18 : 30 ∼ 20 : 30 ◆矢原徹一(九州大学理学研究院) 嶋田正和(東京大学大学院総合文化研究科) ◎遺伝学者は、性染色体を持つ生物では性比 は遺伝的に決定されていると考えがちである、 一方、生態学者は、遺伝的性決定機構を持つ 動物でも、条件的に母親が性比を調節するこ とを明らかにしてきた。最近になって、分子 マーカーの利用や、量的遺伝学的方法の活用 などにより、遺伝学的アプローチと生態学的 アプローチが統合され、性比調節の研究に新 しい展開が始まった。遺伝学者・生態学者・ 分子進化学者が参加する進化学会の大会でこ の問題をとりあげ、学際的な討論を行いたい。 ▼小林彩(東京大学大学院総合文化研究科) 「コマユバチにおける性比調節の遺伝的変異」 ▼安部淳(東京大学大学院総合文化研究科) 「雄間闘争の下でのヒメコバチの性比調節」 ▼木下智章(九州大学理学研究院) 「イヌビワコバチの性比は 13 なぜ理論的予測以上にメスに偏るか」 ▼向坂幸雄(九州大学理学研究院) 「ツチガエル XY 集団と ZW 集団における季節的性比調節」 16「Evolution of the reproductive traits : Molecular Approaches」 (in English) ◇ 8 月 4 日(日)18 : 30 ∼ 20 : 30 ◆高橋文(国立遺伝学研究所集団遺伝研究部門) ◎ I would like to have workshop to discuss evolution of the reproductive traits at the molecular level. Three speakers are studying Drosophila, but I would like to keep our scope as broad as possible, and considering to include topic(s) from plants. ▼ Chau-Ti Ting(Department of Life Science, National Tsing Hua University, Taiwan) ▼ Shun-Chern Tsaur( Institute of Zoology, Academia Sinica, Taiwan) ▼ Kyoichi Sawamura (Drosophila Genetic Resource Center, Kyoto Institute of Technology) ▼ Kentaro Shimizu (Department of Botany, Kyoto University, Graduate School of Science) ▼ Yoshiaki Harushima(Plant Genetics Laboratory, National Institute of Genetics, Mishima) 17「昆虫の分子進化最前線」 ◇ 8 月 4 日(日)18 : 30 ∼ 20 : 30 ◆森中定冶(日本生物地理学会) ◎昆虫を対象とした分子系統研究では大澤省 三氏らによって始められたオサムシ類に関す る研究が広く知られ、また国際誌に掲載され た論文数も著しい。一方、分子データに基づ いた系統研究はオサムシに止まらず、今その 発展期を迎え様々の分野で研究が急速に進展 している。このシンポジウムは、昆虫類の分 子系統研究から見えてきた、生物の進化にか かわる多くの興味深い点あるいは問題点につ いて、第一線の研究者から最新の話題を提供 して頂き、それに基づく討議によって、生物 の進化にかかわる理解を深めるという意図で 企画した。分子データを、単に対象生物群の 系統研究のみに用いるのではなくその「一歩 先」を視野に置いたこの企画は、生物の進化 という視点において参加者に大変有用なイン パクトを与えると考える。 ▼ポスターから ▼荒谷邦雄(九州大学大学院比較社会文化研究院) 「分子を基礎データとしたコガネムシ上科 の系統と食性の進化に関する考察」 ◇ = 日程 ◆ = 世話人 ◎ = 企画の意図 ▼ = 予定講演者と予定演題 14 ▼深津武馬(産業技術総合研究所生物遺伝子資源研究部門) 「昆虫がつくる植物のかたち :延長された表現型の進化」 ▼森中定冶(日本生物地理学会) 「カザリシロチョウにおける 形態 VS 分子、分子 VS 分子」 ▼斉藤秀生(財団法人自然環境研究センター) 「ヒメハナカミキリの 同所的多種化現象と分子系統」 ▼座長:森中定冶(日本生物地理学会)、蘇智慧 (JT 生命誌研究館) 18「分子系統樹作成講座(4) 」 ◇ 8 月 4 日(日)18 : 30 ∼ 20 : 30 ◆斎藤成也(国立遺伝学研究所) 三中信宏(農業環境技術研究所) ◎分子進化学における解析手段の中核である 遺伝子系統樹の作成を、理論的背景とデータ 解析の実際の双方から解説します。4 回ありま すが、連続して聞いてもよし、ひとつだけ聞 いてもよし、ご自由です。 ▼下平英寿(東京工業大学)、曹纓(統計数理研究所) 「最尤法による系統樹推定の理論と実際」 19「進化をどう教えるか」 ◇ 8 月 3 日(土)18 : 30 ∼ 20 : 30 ◆石川統(放送大学) 矢原徹一(九州大学理学研究院) 20「地球上の生命の起源と初期進化 :海底熱水噴出孔の役割」 ◇ 8 月 3 日(土)9 : 30 ∼ 10 : 30 ◆山岸明彦(東京薬科大学生命科学部) ◎海洋底には 300 度以上の熱水の噴出する熱 水噴出孔が多く発見されている。その周りに は還元的熱水を利用した化学合成細菌に依存 した生態系が成立している。生命の発生、初 期生命の活動が熱水噴出孔周辺で起きた可能 性が考えられている。熱水噴出孔に関わる、 化学進化、分子進化、初期細胞化石研究から の最近の成果を紹介する。 ▼小林憲正(横浜国立大学大学院工学研究院) 「化学進化の新たなシナリオ :海底熱水系の寄与を中心に」 ▼山岸明彦(東京薬科大学生命科学部) 「実験進化学 :全生物の共通の祖先を実験で探る」 ▼稲垣史生(海洋科学技術センター) 「地下生物圏における微生物の多様性 ∼微生物群集構造から地球史を考える」 21「遺伝子とゲノムの進化」 ◇ 8 月 3 日(土)9 : 30 ∼ 10 : 30 ◆深津武馬(産業総合技術研究所生物遺伝子資源研究部門) 小林一三(東京大学医科学研究所) ◎遺伝子とゲノムの活動と進化を追究する最 先端の研究を紹介する。計画講演は、全ゲノ ム解読にもとづく抗生物質生産の研究と、ウ イルス進化とヒト進化を結びつける試みの2 題 である。半分の時間を、一般発表から採択し たショート・トークに当てる。対象生物・分 野は問わないが、遺伝子配列を単に系統進化 のマーカーとして使用する研究は除く。 ▼池田治生(北里大学北里生命科学研究所) 「抗生物質を生産する放線菌ゲノムの多様性」 ▼余郷嘉明(東京大学医科学研究所) 「 JC ウイルスの分子進化とヒト集団」 22「進化研究とインフォーマティクス」 ◇ 8 月 4 日(日)9 : 00 ∼ 10 : 30 ◆渡辺日出海(奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科) ◎ゲノム配列やその他の生物情報の大量生産 時代に入り、生物学の様々な分野における方 法論に大きな変革が起きている。進化学も例 にもれず、大量データ解析が盛んに行われる ようになり、その結果、生物進化に関する新 たな知見が急速に蓄積している。そこで、本 ワークショップでは、様々な進化学研究にお ける大量データ処理の成果を、具体的な研究 テーマとデータを用いて紹介する。 ▼土居洋文、遠藤俊徳(東京医科歯科大学難治疾患 研究所情報医学) 、渡邉日出海(奈良先端科学技術大 学院大学 情報科学研究科) 「大量ゲノム配列を用いたゲノム進化研究」 ※他、一般講演者を予定。 23「動く遺伝子と進化」 ◇ 8 月 4 日(日)9 : 00 ∼ 10 : 30 ◆岡田典弘(東京工業大学) 24「システムズバイオロジーと進化」 ◇ 8 月 4 日(日)9 : 00 ∼ 10 : 30 ◆五條堀孝(国立遺伝学研究所) ◇ = 日程 ◆ = 世話人 ◎ = 企画の意図 ▼ = 予定講演者と予定演題 “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 15 第 17 回国際生物学賞記念シンポジウム−後生動物の起源と初期進化− 大野 照文 京都大学総合博物館(ohno@inet.museum.kyoto-u.ac.jp) 平成 13 年度の国際生物学賞は古生物学 後生動物との系統関係について今も激しい の分野で選考されウィッティントン(Ha- 議論がある。ロシア・アカデミー古生物学 rry Blackmore Whittington)氏が受賞され 研究所の M.A.Fedonkin 博士は、はい跡化 た。氏は、1916 年生まれで、バーミンガ 石の研究などから、エディアカラ化石生物 ム大学博士号を取得後、ハーバード大学、 群には、複雑な体制をもつ後生動物が含 ケンブリッジ大学で教鞭をとられ、現在は まれることを紹介した。 ケンブリッジ大学の名誉教授である。今回 2)カンブリア紀にはいると同時に後生 の受賞は、絶滅した節足動物の三葉虫に 動物の分泌したリン酸カルシウムや、炭酸 ついての優れた研究、さらに 1960 年代後 カルシウムでできた殻、トゲ、鱗などさま 半から精力的に進められたカナダ・ブリテ ざまな硬骨格が化石記録に出現し始める。 ィッシュコロンビア州のバージェス頁岩 これらは、 まとめて small shelly fossils (約 5 億 3,000 万年前)の化石動物群につい (SSF)と呼ばれている。SSF は、後生動物 ての一連の研究が、後生動物の初期進化 の硬骨格獲得を理解する上で重要な化石 の理解に重要な貢献をしたことが評価され 群であるにもかかわらず、日本では紹介す てのことである。 ら十分にされてこなかった。スウェーデン 授賞式は、天皇・皇后両陛下ご臨席の 自然史博物館の S.M.Bengtson 博士は、多 もと、平成 13 年 12 月 3 日に東京で行われ、 数のスライドを使って、多様な SSF の化 引き続き受賞記念のシンポジウムが 5 日、 石ついての日本ではじめての体系的な紹介 6 日に京都で開催された(主催:京都大 を行った。 学/責任者:瀬戸口烈司 京都大学総合博 3)やがて 5 億 3,000 万年前のバージェス 物館長) 。シンポジウムは、受賞理由にふ 頁岩、あるいはそれよりかなり古い中国南 さわしく「後生動物の起源と初期進化」と 部の澄江(チェンジャン)の地層から、多 いうテーマで開催され、ウィッティントン 様な後生動物の化石が見つかり始める。雲 氏の「バージェス頁岩、回顧と展望」とい 南大学の H.Xianguang 博士は、彼自身が う題の記念講演で始まった。それに続いて 1984 年に澄江で発見した初期の化石動物 内外 6 名のゲストスピーカが講演したが、 群について膨大な写真資料を使って解説 その内容は以下のようなものであった。 し、確かにカンブリア紀 化石記録からみると、 「後生動物の起源 と初期進化」については時代の古いものか のはじめ、海綿動物門 から脊椎動物亞門に ら順に次の 3 点が重要である。 1)カンブリア紀直前の 6 億年から 5 億 4,500 万年前の世界各地の地層からは、エ ディアカラ化石生物群と呼ばれる化石が見 つかる。独特の形態をもったこの化石群と ハリー・ブラックモア・ ウイッティントン博士 1916 年 3 月 14 日生まれ ケンブリッジ大学名誉教授 16 属するものまで広汎な後生動物がすでに存 進化を例に講演され、過去の化石動物の 在していたことを聴衆に納得させた。 形態の多様性の理解にとっても、発生生 さて、化石記録と生物学の統合につい て、ケンブリッジ大学の S.C.Morris 博士 は、現在急速に進みつつある分子生物学 物学の進展が今後大きな役割を果たすだろ うことを参加者に印象づけた。 古生物学は、化石記録という物証に基づ 的研究と、化石記録を比較検討すること く「帰納の科学」という側面を強くもつ。そ によって、近い将来、後生動物の起源を の有効性を示したのがウィッティントン氏 かなり絞れるだろうという趣旨のことを述 である。そして、この伝統が場所をかえ、 べた。また、岡山大学の倉谷滋博士はヤ 時代をかえて引き継がれていることを示し ツメウナギの発生生物学と脊椎動物の顎の たのがドイツ、ウルム大学の D. Waloszek 博士の研究である。氏は、彼の師にあたる ボン大学名誉教授K.J.Mueller が開発したリ 第 17 回国際生物学賞記念シンポジウム −後生動物の起源と初期進化− ン酸塩岩の処理方法を使い、カンブリア紀 12 月 5 日(水) 09 : 30 ∼ 09 : 40 開会挨拶 京都大学総合博物館長 瀬戸口烈司 09 : 40 ∼ 10 : 00 挨 拶 日本学術振興会理事 中西 釦治 京都大学総長 長尾 真 10 : 00 ∼ 11 : 30 国際生物学賞受賞記念講演 ケンブリッジ大学(イギリス) ハリー・ B ・ウィッティントン 座長:京都大学総合博物館 瀬戸口烈司 11 : 30 ∼ 13 : 30 先カンブリア時代・初期カンブリア紀の生物群 座長:京都大学総合博物館 瀬戸口烈司 13 : 30 ∼ 14 : 30 「先カンブリア時代の生物群」 古生物学研究所(ロシア) ミハイル・ F ・フェドンキン 14 : 30 ∼ 15 : 30 「カンブリア紀初期の徴江動物群」 云南大学(中国) 侯 先光 16 : 00 ∼ 17 : 00 「カンブリア紀初期の動物の生鉱物形成」 スウェーデン自然史博物館(スウェーデン) ステファン・ベングソン 17 : 00 ∼ 18 : 00 「脊椎動物の顎機構の起源」 岡山大学 倉谷 滋 12 月 6 日(木) カンブリア紀中期−後期の生物群 ている。脱皮のさまざまな段階のものも見 つかるので、発生学的研究も行える。シン ディスカッサント:平野 弘道、大路 樹生、大野 照文 小澤 智生、尾本 恵市、北里 洋、西田 治文、速水 格、森 啓 討議のまとめ 京都大学総合博物館 の進化の初期の様子、節足動物の運動・摂 食器官、そして頭部の進化について最新の 研究成果を述べた。また、最近になって進 化したタイプの甲殻類をカンブリア紀初期 の地層から発見したことを述べて、多細胞 動物のさまざまなグループの分岐がカンブ リア紀より古い時代に起こったと考えるべ 大野 照文 09 : 00 ∼ 10 : 00 「カンブリア紀中期のバージェス動物群」 ケンブリッジ大学(イギリス) サイモン・コンウェイ・モリス 10 : 30 ∼ 11 : 30 「カンブリア紀後期の生物多様性」 ウルム大学(ドイツ) ディーター・ワロセック 11 : 30 ∼ 12 : 20 討 論 座長:京都大学総合博物館 12 : 20 ∼ 12 : 30 多様な節足動物を世界中から発見、記載し ポジウムでは、節足動物、とりわけ甲殻類 昼 食 セッションⅠ セッションⅡ の初期から後期にかけての顕微鏡レベルの 瀬戸口烈司 きことを強く主張した。 ウィッティントン氏に代表される物証に 重きをおく重厚な「帰納の科学」としての古 生物学の強さが印象に残るシンポジウムで あった。また同時に、古生物学、分子生物 学、分子発生学等の分野が刺激しあうこと によって、後生動物の起源のような生物進 化史上重要なできごとも近い将来解明でき るのではないかとの期待も高まった。この 点で、図らずも、異分野からの会員の参加 を募った日本進化学会設立の目論見を勇気 づけるシンポジウムでもあった。 シンポジウムの様子 講演しているのはウィッティントン博士 “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 17 虫好きの夢: 『DNA でたどるオサムシの系統と進化』 を読む 岡田 典弘 東京工業大学大学院生命理工学研究科(nokada@bio.titech.ac.jp) 『DNA でたどるオサムシの系統と進化』 大澤省三・蘇智慧・井村有希 著 哲学書房 2002.3.10 発行 B5 268 頁 ISDN4-88679-076-3 http://www.tetsugakushobo.com/ 【目次】 まえがき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 第 1 章 オサムシ研究への道のり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 第 2 章 材料の収集と採集紀行 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 第 3 章 分子系統樹 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 第 4 章 オサムシ亜科の系統と分布 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 第 5 章 オサムシ亜科の系統各論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55 第 6 章 分子系統からみたオサムシ亜科の再構成 ・・・・・・・・・・・・125 第 7 章 日本列島におけるオサムシ相の成立 ・・・・・・・・・・・・・・・・137 第 8 章 日本列島のオサムシ各論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・151 第 9 章 オサムシ多様化のパターン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・201 第 10 章 オサムシの系統と分類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・231 あとがき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・235 文 献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・237 索 引 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・243 われわれも含めて、われわれより上の世 にした歴史的な名著である。 『世界のオサ 代で、少年の頃、虫採りに熱中しなかっ ムシ大図鑑』 (井村有希・水沢清行 著/む た者は稀ではないかと思われる。東京で し社)からの見事な虫の写真が転載されて も、私が小学生の頃は近くの原っぱにいけ いる。本の中の文章を読み進める途中で、 ば、セミやチョウがいたし、家族で時たま ページを繰り直し図鑑から転載されている 夏休みに訪れる国府津や軽井沢では、ト さまざまな形態のオサムシの姿を眺める。 ンボのそれこそ大群が群れをなして飛びか そして、その虫のミトコンドリア ND5 配 っていた。 列から明らかにされた系統的位置を眺め直 小学生の低学年の頃は私もいっぱしの虫 す。そのような操作を何度となく繰り返し 少年であった。国府津の宿泊した民家の ながら、虫少年から出発し、虫に対する 近くに流れている小川で、オニヤンマがそ 興味を大人になるまでもち続けたようない れこそ王者の風格で、時には高く時には水 わゆる虫屋は、この名著を前にしてどのよ 面すれすれに飛んできたのを見つけた時の うな印象をもつのだろうか? としきりと 心の高鳴りを今でも思い出すことができ 思った。 る。私見だが、あのような心の高鳴りは、 私の場合は、残念ながら、小学生の高 多分男性だけの特権であり、女性は感じ 学年になって急に虫に対する興味を失って ることがないのではあるまいか? あれは しまった。今から思い返してみると、虫に 人類がまだ狩猟で生活していた頃の男の何 熱中していた頃に、よき指導者に恵まれて か原始的な本能と一脈通じるものがあるよ いれば、虫に対する興味を失わずにきたか うな気がする。 もしれないと思う。熱中していた頃はそれ この本はオサムシの系統と進化を明らか なりに標本づくりに精をだしたこともあっ 18 たし、注射器を購入して防腐剤の注入を 採集地点も細かくカウントすれば 500 近く 試みたりしていた。しかし、周りに同好の になるという。制覇できた種数は 350 種以 志も指導者もいなかったので、何もかもが 上に達し、属または亜属の数でいえばオサ 自己流で、何かが上手くいかなかった時に ムシ亜族の構成要素のほぼ 9 割以上を網羅 は諦めるより方策がなく、そのような小さ するという充実ぶりである。そのほとんど な諦めの集積が急激に虫に対する興味を失 すべてからミトコンドリアの ND5 配列が わせた原因ではないかと思う。指導者が、 決定され、オサムシの系統樹が作成され あの時期に私に科学的に虫の世界の広がり た。 や不思議を教えてくれていたら、私も大人 オサムシは甲虫目Coleoptera 中のオサム の虫好きになっていたに違いない。むしろ シ科 Carabidae に属し、オサムシ亜科とい 虫に関していえば、私のようなケースが大 う一群を構成している。ゴミムシは、オサ 半であって、大人になるまで虫に対する好 ムシ亜科の外群にあり、ミトコンドリアの 奇心をもち続けたような人々は、その少年 分析ではゴミムシが分岐した後に、オサム の頃に指導者との幸運な出会いを経験した シ亜科が分岐したようだ。亜科内ではセダ うらやむべき人々なのではないかと思われ カオサムシ族、 (オーストラリアオサムシ る。 族 plus チリオサムシ族) 、オサムシ族が 『DNA でたどるオサムシの系統と進化』 この順で分岐する。オサムシ族は、さらに は、このような幸運な大人の虫好きが書い カタビロオサムシ亜族とオサムシ亜族に分 た本である。オサムシの系統と進化を明ら 類される。このような大きな分類群を概観 かにするために、大澤省三がリーダーにな したあと、オサムシ亜族を中心に各論で詳 り、世界のオサムシの蒐集家に資料の提供 細な議論が展開される。 を呼びかけた。世界のおよそ 35 ヵ国から 集められた標本数は優に 2,000 点を越え、 この名著は、 「系統と進化」という題がつ いているが、守備範囲は多岐にわたり、分 図 1 形態の不連続変化の例 ミトコンドリアの ND 5遺伝子を用いて UPGMA 法で作成した系統樹。1)& 2)ザオタートゲオサ ム シ Apotomopterus sauteri, 3)コ ホ ク ト ゲ オ サ ム シ A. hupeensis, 4)セ ア カ オ サ ム シ Hemicarabus tuberculosus, 5)マックレイセアカオサムシ H. macleayi, 6)ヨーロッパセアカオサム シ H. nitens, 7)マークオサムシ Linmocarabus clathratus(ドイツ), 8)マークオサムシ L. clathratus(日本), 9)アキタクロナガオサムシ Euleptocarabus porrecticollis. それぞれの系統で、3、6、 9 の種が不連続的に出現している。 ( 『DNA でたどるオサムシの系統と進化』206 ページより) “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 19 類学、形態学、生物地理学はもとより、議 樹、現在の虫の分布と日本の古史を組合 論は古地磁気の研究による日本列島の地 わせて、日本におけるマイマイカブリとオ 史から、インド亜大陸のアジア大陸への激 オオサムシの分布の歴史を再現してみせた 突により生じた約 4,000 万年前のアルプス ことであろう。 の造山運動と、引き続き生じた世界の気 パイオニアの研究の例にもれず、本書で 候の大変動にまで及ぶ。このような議論の 述べられた内容には、今後の大きな発展の 中、本文中のいたるところに卓見がばらま 芽が隠されている。 「タイプスイッチング」 かれているというのも大きな特徴のひとつ の発生学的見地からの検証などもそのひと である。例えば、次のような指摘がある。 つであろう。 「 (ダルマオサムシ群の)系統 H はlatreil- 研究が進むにつれて記述の細かな点に関 leanus という種のみからなる。この種はア しては、今後訂正を迫られるようなことが ルプス山脈西部のごく狭い範囲のみに分布 あるいはでてくるかもしれない。しかしそ しており、主として外部形態上の特徴から れらのことは何ほどのことがあろう、本書 これまでアルプスオサムシ類の一員と信じ を読んだ大人の虫好きは、たぶん「ああ、 られてきた。しかし、分子系統樹の上では 自分も自分の好きな虫を題材にして、これ きわめて独立性の高いクラスターを形成す ほどの仕事をしてみたい」という深い渇望 るので、雄交尾器の内部構造を詳しく検 を引き起こされると私は信じる。虫の蒐集 討してみたところ、他のアルプスオサムシ から出発し、系統が明らかにされ、分類 とはまったく異なる特異なものであること 学、形態学、生物地理学に最新の知見を が判明した。これらの結果から、Imura 付け加え、ほとんど新しい分野を創設した (1998)は本種を基準種とする Cavazzutio- に等しいのである。虫を題材にしてこれほ carabus(ニセアルプスオサムシ(亜)属) どのことが成し得るのだ、という例証を与 を創設した。分子系統の結果に触発され え、虫屋の心に夢と深い渇望を与えたとい て形態学的に吟味し直した結果、系統が うことの重要性に比べれば、多少の訂正な 明らかになったという好例の一つである ど何ほどのことがあろうか。虫は、植物と (本書 87 ページ) 」 の共生とか、匂いや感覚器の進化、擬態 得られた系統関係と形態を見比べてみる とか、興味深い生物学的題材に事欠かな と、上掲のような例ばかりでなくさまざま い。今後出現するであろうこれらの研究 に面白い進化の様相が浮かび上がってく は、全て大澤省三を中心にして成就され る。2000 万年にも及ぶ長い期間ほとんど たこの研究に深い影響をうけた結果である 形態の変化をみせないような例( 「静」の進 ことを私は信じて疑わない。これこそがパ 化)もあれば、短期間に放散し、驚くほど イオニアということであり、本書は世界で の形態の多様性を示す例も数多くある(図 最初の本格的な虫屋の夢の実現のお手本 1) 。このような観察から Gould の「断続平 として「燎原の火のごとく」広がりつつあ 行説」との関連が指摘される。異なった系 る今後出現するであろう、これらすべての 統できわめて類似した形態が出現するとい 研究のバイブルである。 う観察から「タイプスイッチング」という 仮説が提唱される。数多くの卓見に満ち ているが、何といっても圧巻なのは、系統 20 イントロンの進化を考える −可動遺伝因子としての古細菌 rRNA 遺伝子イントロン− 森永 弥生、野村 紀通 京都大学大学院農学研究科(yayoim@kais.kyoto-u.ac.jp) イントロンの進化にはいまだ数多くの謎 rRNA 遺伝子座に 3 つのイントロンを見出 が残されている。一般に、イントロンはス した 2)。また、地理的に離れた分離源に由 プライシングにより除かれるため、遺伝情 来する A.pernix についても rRNA 遺伝子座 報の担い手ではない一種の“junk”DNA で の構造を解析した結果、菌株によってイン あると考えられてきた。ところが、一部の トロンがまったくないものや、rRNA 遺伝 イントロンはゲノム間を水平伝播する可動 子の同じ部位に短いイントロンが挿入され 遺伝因子としての「顔」をあわせもつこと ている例が見つかった 3)。 が明らかになってきている。特定の遺伝子 現 在 までの報 告 によると、 古 細 菌 の を近縁生物種間で比較解析すると、ある rDNA イントロンは、A.pernix を含め十数 系統ではイントロンが挿入されているが近 種の古細菌に散在している。この分布を図 縁のほかの系統ではイントロンが存在しな 2 に示す。古細菌の系統は、多くの好熱菌 いという現象がしばしば見出されている が属するクレンアーキオータ(Crenarcha- が、この現象はイントロンの可動性を仮定 eota)と、メタン菌、好塩菌、一部の好熱 すると解釈しやすい。古細菌の rRNA 遺伝 菌が属するユーリアーキオータ(Euryar- 子座にみられるイントロン挿入パターンの chaeota)に二分されるが、rDNA イントロ 多型もその一例である。本稿では、古細 ンが報告されている種はいずれもクレンア 菌における rRNA 遺伝子イントロン(以下 ーキオータであり、それらはすべて好熱菌 rDNA イントロンと記す)の分布と転移機 (至適生育温度が 70 ℃以上の微生物)であ 構を解説し、可動性イントロンの進化と生 る。これらの種のイントロン挿入パターン 物学的意義を考察する。 を比較したところ、面白いことに種内また 私たちは、日本各地の熱水環境から採 は種間で挿入パターンの多型がみられた 4)。 取した熱水や底泥の中から100 ℃で増殖す 例えば、上述した A.pernix K1 の 16SrRNA る好気性の超好熱古細菌 Aeropyrum pernix イントロンI αの挿入部位には、同じA.pe- (図 1)を発見し 、その系統学的位置を解 rnix の TB7 株では 62 塩基、Caldivirga ma- 析する過程で、偶然にも K1 株の 16S-23S quilingenesis では 140 塩基、16SrDNA クロ 1) ーンである pHGPA13 では 614 塩基のそれ ぞれ異なるイントロンが挿入されていた。 これらのイントロンは、両末端部分の塩基 配列(スプライシングに必須なコア構造) に限り、互いに相同性が高いことから同じ 起源に由来することが推測される。 A.pernix K1 のイントロンのうち 2 つ(I 図1 超好熱古細菌 Aeropyrum pernix K1 αおよび I γ)には内部に ORF(open read- “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 21 ing frame)が あ り 2)、 ORF 産 物( I-Ape I お よび I-Ape II)はイン トロンを含 まない対 立遺伝子を特異的に 切断する DNA エンド ヌクレアーゼ活性を も っ て い た( 図 3)。 その切断末端はそれ ぞれがコードされる イントロンの挿入部 位付近であった。 ORF をもつ rDNA イ ントロンは A.pernix と近縁な Desulfurococcus mobilis の ほ か 、 Pyrobaculum 属、Thermoproteus 属 などか らも見つかっており、 図 2 古細菌 rRNA 遺伝子におけるイントロンの分布。▽はイントロン挿入 部位を示す。▼:内部に ORF が見出せる長い(600 塩基以上)イントロン、 ▼:内部に ORF が見出せない長いイントロン、▽: 30 ∼ 200 塩基の短い イントロン。点線部分の塩基配列は未解析。 いくつかの ORF につ いては部位特異的エンドヌクレアーゼをコ ードしていることが証明されている。 内部に ORF をもつイントロンは、バク テリオファージ、真正細菌、真核生物(オ ルガネラゲノム、核ゲノム)にも見出され ている。グループ I およびグループ II イン トロンの一部がそれに該当する。これらは イントロンを欠く対立遺伝子に一方向的に 挿入される可動遺伝因子であることが示さ ンの ORF 産物は、古細菌 rDNA イントロ 図 3 3 株の A.pernix rRNA 遺伝子座におけるイン トロン多型。K1 株のイントロン内部 ORF にコード されるエンドヌクレアーゼ(I-Ape I, I-Ape II)は、 イントロンを含まない対立遺伝子に二重鎖切断を 導入する。 ン由来の蛋白質と同様の性質をもつ DNA く対立遺伝子を特異的に切断し、宿主が エンドヌクレアーゼである。グループ I イ それを修復する際にイントロンを含む遺伝 ントロンではホーミングの分子機構の解析 子を鋳型として使用することで新たにイン が進んでおり、そのモデルとして、イント トロンが挿入されるという機構が考えられ ロン内部にコードされる蛋白質(ホーミン ている。 れており、このイントロンの挿入現象はイ ントロン・ホーミング(intron homing)と 呼ばれる 5)。このうちグループ I イントロ グエンドヌクレアーゼ)がイントロンを欠 これらの知 見 を総 合 すると、 古 細 菌 22 rDNA イントロンはホーミングにより種内 たのだろう。イントロンはスプライシング または種間で水平伝播する因子であると考 段階で切除されるので、ホーミングエンド えられる。前述のような rDNA イントロン ヌクレアーゼ遺伝子がその内部に侵入して 挿入パターンの多型は、 ホーミングによ も、宿主の生命システムを破壊することは るイントロンの挿入の後に、変異による ない。自己伝播を企むホーミングエンドヌ ORF の不活性化や ORF /イントロンの脱 クレアーゼ遺伝子にとって、イントロンは 落が起こったために生じたものと解釈でき 実に好都合の「隠れ蓑」であったに違いな る。古細菌 rDNA イントロンの伝播戦略の い。 巧妙さは、まさにその挿入されている遺伝 イントロンに関する多くの謎が解けるに 子が必須遺伝子だという点にあるといえ はまだまだ時間がかかるだろうが、私たち る。集団内でほかの古細菌のrDNA がイン は少なくともその一部を解く鍵を手に入れ トロンを欠く場合、イントロンはこの必須 たと考えている。 遺伝子をエンドヌクレアーゼにより切断 し、宿主がこれを修復しない限り致死とな る状況をつくりだして効率的に伝播するの だろう。 内部にホーミングエンドヌクレアーゼ遺 伝子をもたないイントロン(例えばその代 表格は、高等真核生物の核ゲノムで繁栄 しているスプライソソーム・イントロンで ある)が水平伝播を起こした形跡はないこ とから、前述の転移現象を司る「黒幕」は、 イントロン内部に存在するホーミングエン ドヌクレアーゼ遺伝子であるということが できる。それでは、いかなる経緯で可動性 イントロンが生成し、その伝播のサイクル が回り始めたのか? 古細菌イントロンとグループ I イントロ ンとはスプライシングに必須なコア構造が 異なり、両者の間にいかなる進化的類縁関 係も認められない。しかしながらこの 2 つ のタイプのイントロンの内部 ORF の産物 は、ともに LAGLIDADG 型活性モチーフ をもち同一の起源から発したと思われるホ ーミングエンドヌクレアーゼである。おそ らくゲノム進化のある時点で、ホーミング エンドヌクレアーゼ遺伝子がそれぞれ独立 に古細菌イントロンとグループ I イントロ ンを乗っ取って、それらに可動性を付与し 引用文献 1)Sako, Y., Nomura, N. Uchida, A. et al.(1996)Aeropyrum pernix gen. nov., sp. nov., a novel aerobic hyperthermophilic archaeon growing at temperatures up to 100 ℃. Int. J. Syst. Bacteriol, vol.46, pp.1070-1077. 2)Nomura, N., Sako, Y., Uchida, A.(1998)Molecular characterization and postsplicing fate of three introns within the single rRNA operon of the hyperthermophilic archaeon Aeropyrum pernix K1. J. Bacteriol, vol.180, pp.3635-3643. 3)Nomura, N., Morinaga, Y., Kogishi, T., Kim, E.-J., Sako, Y., Uchida, A.( 2002)Heterogenous yet similar introns reside in identical positions of the rRNA genes in natural isolates of the archaeon Aeropyrum pernix ., Gene in press 4)Morinaga, Y., Nomura, N., Sako, Y.(2002)Population dynamics of archaeal mobile introns in natural environments : a shrewd invasion strategy of the latent parasitic DNA. Microb. Environ., in press 5)Belfort, M., Derbyshire, V., Parker, M. M., Cousineau, B., Lambowitz, A. M.( 2002)Mobile introns : pathways and proteins. pp.761-783 in N. L. Craig, R. Craigie, M. Gellert and A. M. Lambowitz (ed.), Mobile DNA II. ASM Press, Washington, D. C. “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 23 日本進化学会ニュース編集委員会より 今号より、日本進化学会ニュースの編集幹事が斎藤成也さん(国立遺伝学研究所) より加藤和人さん(京都大学人文科学研究所)にバトンタッチされました。編集委員 の方々も新しい顔ぶれとなりましたのでご紹介いたします。 ①所属、②専門分野、③ e-mail アドレス④コメント 遠藤一佳(編集委員) いうところにあります。私の大学院での出 ①筑波大学地球科学系/助教授 発点は、分子遺伝学のモデル植物シロイ ②古生物学 ヌナズナを用いた、ミクロの立場での有性 ③ endo@arsia.geo.tsukuba.ac.jp 生殖の研究でした。これを足場にして、生 ④私たち(人間や動物や生物)は一体ど 態学者や分類学者との議論にアイデアを得 こからきて、どこに向かおうとしているの ながら、生殖隔離、形態進化、熱帯林冠 か。このような問いにサイエンスの立場か 樹木の自家不和合性などを分子・細胞レ ら答えを見出そうとするのが進化学であろ ベルから研究しています。 うと思います。進化学は生物科学に分類 面白いことを伝えるのは科学者のなりわ されるのでしょうが、地球科学・惑星科学 いの一部だと考えています。分野を越え においても、生物進化の問題は、特にこ て、またさらに学部生、高校生にとっても の 10 年で大きな関心を集めるようになっ 面白いニュースを目指したいと思っていま てきました。それは地球環境と生物の密接 す。また、私自身が大学院を卒業したば な関係を思えば当然ですが、生物科学と かりですので、大学院生やポスドクなど若 地球科学の間の壁はまだまだ高いように感 い世代の原稿を集めることでもお役に立ち じられます。ニュースレターをとおしてこ たいと考えています。 の壁をより低くできるよう微力を尽くした いと考えています。 話は変わりますが、現在の私の夢は、軟 体動物のゲノムプロジェクトです。どうぞ よろしくお願いします。 疋田努(編集委員) ①京都大学大学院理学研究科生物科学専 攻/助教授 ②動物系統学、動物分類学、生物地理学 ③ tom@zoo.zool.kyoto-u.ac.jp 清水健太郎(編集委員) ④爬虫類、特にトカゲ類を対象に、記載 ①京都大学大学院理学研究科生物科学専 分類、系統解析、生物地理学をやってい 攻/日本学術振興会特別研究員 ます。調査地域は東アジアから東南アジ ②植物発生生物学、進化生物学 ア、マダガスカル。私自身がやってきたの ③ shimizu@ok-lab.bot.kyoto-u.ac.jp は主に形態ですが、形態から、分子、行 ④進化学会は、いわゆる「ミクロ」 「マク 動など幅広くデータを扱いたいと思ってい ロ」生物学の間の、貴重な交流の場だと ます。進化学会は、分野ごとに細分化さ 感じています。私自身の興味も、生物の れてしまった多様な分野の研究者が一同に 多様性を、分子レベルから理解したい、と 会して議論できる貴重な場となっており、 24 この多様性が維持されることが重要だと思 す。昨年の初めまで、JT 生命誌研究館で います。 季刊「生命誌」という雑誌の編集を担当 し、進化学、生態学、分子生物学、発生 和田洋(編集委員) ①京都大学大学院理学研究科附属瀬戸臨 海実験所/助手 生物学などの話題を広く専門外の方々に 紹介するという仕事をしていました。ニュ ースの編集にあたっては、 (1)研究紹介 ②進化生物学 や学会レポートなど、読み物としてのペー ③ hwada@seto.kyoto-u.ac.jp ジを増やし、異分野の会員が集まる学会の ④ホヤやナメクジウオを脊椎動物と比較し 中での情報交換の場となること。 (2)同 て、神経提細胞や脊椎骨の進化を遺伝子 時に、高校の先生や周辺分野の研究者・ の進化と結びつけたいという Evo-Devo の 大学院生などを含む広い分野の人々に、日 研究をしています。特に、形態の進化は、 本進化学会を知ってもらうための情報の発 新しい遺伝子の進化に結びつくよりも、遺 信源となること、を目指しています。若手 伝子どうしの関係性の進化、遺伝子の新 の編集委員を通して、大学院生やポスド しい発現の獲得に結びつけられると考え クの方々からの原稿も積極的に集める予定 て、遺伝子の転写制御機構を比較するこ です。どうぞよろしくお願いします。 とに重点をおいています。例えば、 Pax1 /9 という遺伝子はホヤやナメクジウ オでは鰓でしか発現しませんが、脊椎動物 では鰓に加えて、硬節でも発現し、脊椎 骨をつくりだす硬節の分化に深くかかわっ ています。したがって、Pax1 /9 の硬節で の新しい発現と脊椎骨の進化は密接に関係 しているかもしれません。 「遺伝子の新し い発現」というキーワードで、形態の進化 と遺伝子の分子進化を結びつけられるので はないかと考えています。また、最近は、 臨海実験所という地の利をいかして、棘皮 動物や軟体動物、環形動物の発生学の研 究を大学院生と一緒に手がけています。 加藤和人(編集幹事) ①京都大学人文科学研究所・文化研究創 成研究部門/助教授 ②発生生物学、現代科学史、科学コミュ ニケーション ③ kato@zinbun.kyoto-u.ac.jp ④斉藤成也さんの後を引き継いで、今年 度の編集幹事を務めさせていただいていま “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 25 【緊急告知】進化学会を維持発展させるのはみなさんです To pay or not to pay. Evolution goes with your support. これまでもお願いしてきましたとおり、進化学会の財政状況は逼迫(ひっぱく)し ております。2001 年度の後期分事務管理費は支払い延期をお願いする結果となりま した。原因は、別表にお示ししたような会費納入状況の極端な不調です。第 4 回を迎 える学会大会は、これまでそれなりの参加者を集め、活発であったことを見ますと、 進化学会への参加意欲が減退しているとは思えません。逆に、執行部では会員数の 増加をめざしております。しかしながら、学会の健全な運営にはまず会計状況の健全 化が欠かせません。 今回は、郵便局の振り替え用紙を番号入りで同封してあります。皆様の納入状況 をご確認の上、2002 年度分まできっちり納入くださいますよう伏してお願いを申し上 げます。特に、学生会員の皆さんには 2,000 円という廉価を設定しているにも関わら ず、昨年度末の納入比率はわずか 23%です。学会を育てるのは本来若い力であるべき であるのに、これは嘆かわしい事態であるとしか申せません。今回の請求をもって、 会員数の確認を行い、次年度には会員資格の見直しを行う予定です。是非とも迅速 確実なる納入にご協力ください。 なお、カード支払いは可能ですが、現在のサーバはセキュリティーの保証をいたし かねます。また、納入額の 7%が手数料として差し引かれるため、実質的な会費減と なります。一応、下記の口座を開設しておりますが、サーバの更新、カード会費の納 入額見直しなどを検討中ですので、できましたら振り替えにより納入ください。 会計担当 西田 治史(中央大学理工学部) ■会 費■ 入 会 金 年 会 費 1,000 円 一般 3,000 円 学生 2000 円 ■納入方法■ 銀行振込口座 銀 行 名 三井住友銀行・飯田橋支店 種 類 普通預金口座 番 号 773437 名 義 日本進化学会事務局 代表 株式会社クバプロ 郵便振込口座 番 号 00170-1-170959 名 義 日本進化学会事務局 クレジットカード 種 類 VISA ・ Master ・ DC ■お問合せ先■ 日本進化学会事務局 Tel03-3238-1689 Fax03-3238-1837 http://www.kuba.co.jp/shinka e-mail:shinka@kuba.co.jp 注:振込みの際、お名前、所属先等をなるべく詳しくお書きください。 注:クレジットカードをご使用の際は、カードの番号、有効期限、氏名(漢字) 、登録電話番号を事務局にお伝え ください。上記3種類のみ、利用できます。支払方法は、一括払いのみとさせていただきます。 26 日本進化学会会計報告 2001 年度決算報告、並びに 2002 年度予算案が以下のように採択されましたこと をご報告いたします。 日本進化学会事務局 日本進化学会 2001 年度決算報告(2001.12.31) 【収入の部】 1.前年度からの繰越金 497,590 円 2.会費収入※ A 626,000 円 3.利息 157 円 合計 1,123,747 円 【支出の部】 1.日本進化学会ニュース Vol.1 No.3 印刷料 132,000 円 2.日本進化学会ニュース Vol.1 No.3 発送料 105,860 円 3.前半期事務管理費 364,200 円 4.日本進化学会ニュース Vol.2 No.1 印刷料 76,700 円 5.日本進化学会ニュース Vol.2 No.2 発送料 88,260 円 6.評議員選挙投票用紙発送料 148,200 円 7.会議室使用料 25,140 円 8.振込み料 630 円 9.次年度への繰越金 182,757 円 合計 1,123,747 円 日本進化学会 2002 年度予算案 【収入の部】 1. 会費収入(学会員を 800 名として)※ B 一般会員会費(80%) 640 名× 3,000 円= 1,920,000 円 学生会員会費(20%) 160 名× 2,000 円= 320,000 円 計 ① 2,240,000 円 0.8 × 1,103,000 円※ C.= ② 882,400 円 2. 滞納分(回収率= 8 割とする) 3. 前年度からの繰越金 ③ 182,757 円 合計 ① + ② + ③= 【支出の部】 1. 未払い金(事務局クバプロへ) 3,305,157 円 536,300 円 ※D 2. 日本進化学会ニュース印刷料 年 3 回× 150,000 円= 450,000 円 3. 日本進化学会ニュースの発送料 年 3 回× 120,000 円= 360,000 円 4. 事務管理費(前半期・後半期分) 728,400 円 5 .諸経費 100,000 円 6. 特別会計への支出 500,000 円 ※E 7. 会議費 150,000 円 8 .次年度への繰越金 480,457 円 合計 3,305,157 円 27 “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 日本進化学会会計報告補足資料 ※ A. 平成 13 年度会費等納入状況 入会金 一般会員 金 額 学生会員 金 額 2000 年度 2001 年度 2002 年度以降 合 計 38 名 15 名 130 名 23 名 206 名 38,000 円 45,000 円 390,000 円 69,000 円 542,000 円 16 名 2名 32 名 0名 50 名 16,000 円 4,000 円 64,000 円 0円 84,000 円 総 計 626,000 円 ※ B. 学会会員数(12/31 現在) 一般会員(発起人含む) 568 名 (約 77%) 学生会員 170 名 (約 23%) 合 計 738 名 ※ C. 平成 13 年 12/31 現在会費等未納状況一覧 一般会員 (内発起人) 学生会員 入会金 2000 年度 2001 年度 159 名 137 名 137 名 116 名 110 名 104 名 159,000 円 411,000 円 411,000 円 32 名 19 名 26 名 32,000 円 38,000 円 52,000 円 総 計 合 計 981,000 円 122,000 円 1,103,000 円 ※ D. 未払い金(事務局クバプロ宛) 【未払い金】 1. 後半期事務管理費 364,200 円 2. 日本進化学会ニュース Vol.2 No.2 印刷代 129,300 円 3. 評議員選挙投票用紙印刷代(8 × 800) 6,400 円 4. 評議員選挙投票名簿印刷代(8 × 800) 6,400 円 5. 日本進化学会封筒印刷代(2,000 枚) 30,000 円 合 計 536,300 円 ※ E. 特別会計への支出 東京大会実行委員会への貸付金として支出。東京大会実行委員会からの返却金(剰余金の寄付を受 ける場合にはこれを含む)は、新たに設ける特別会計に組み入れ、次年度以後の大会実行委員会への 貸付金、学会賞運営経費など、予算案にもとづく通常会計とは別枠の支出のために運用する。 28 新 入 会 員 氏 名 篠原 明男 松井 久実 石村 登穂 後藤 慶一 喜多 陽子 中島 啓介 久保寺直也 平松 千尋 高村 健二 芝 清隆 向井 貴彦 江田 真毅 梅津 和夫 篠原 渉 兼子 峰光 三枝 誠行 金城その子 鈴木ゆかり 村田 貴朗 本間 正充 山田 幹浩 中島 敏幸 五十嵐 慎 正木 朋也 坂井 隆浩 坂本 晋一 田口 栄次 佐山 弘樹 梶谷 泰秀 山口 成能 秋山 涼子 生井 草緒 松崎 雄三 篠沢 隆雄 渡辺 京子 丹羽 尚 西田 伸 佐藤 淳 能登原盛弘 本多 元 張 澤 三村真紀子 狩野 賢司 佐藤 真 茂木 高志 古賀 愛 岩田 明久 甲能 直樹 坂手 龍一 佐藤 繭子 本村 正治 望月 光由 村尾 竜起 上田 順子 弥永 圭介 藤井 亮太 英字氏名 Shinohara Akio Matsui Kumi Ishimura Toyoho Goto Keiichi Kita Yoko Nakashima Keisuke Kubotera Naoya Hiramatsu Chihiro Takamura Kenzi Shiba Kiyotaka Mukai Takahiko Eda Masaki Umetsu Kazuo Shinohara Wataru Kaneko Minemitsu Saegusa Masayuki kinjo Sonoko Suzuki Yukari Murata Takaaki Honma Masamitsu Yamada Mikihiro Nakajima Toshiyuki Igarashi Makoto Masaki tomoya Sakai Takahiro Sakamoto Shin-ichi Taguti Eiji Sayama Hiroki Kajitani Yasuhide Yamaguchi Shigetaka Akiyama Ryoko Namai Shigeo Matsuzaki Yuzo Shinozawa Takao Watanabe Kyoko Niwa Nao Nishida Shin Sato Jun Notohara Morihiro Honda Hajime Ze Zhang Mimura Makiko Karino Kenji Sato Shin Mogi Takashi Koga Ai Iwata Akihisa Kohno Naoki Sakate Ryuichi Satou Mayuko Motomura Seiji Motizuki Mitsuyoshi Murao Ryuki Ueda Junko Iyanaga Keisuke Fujii Ryota *)平成 14 年 1 月 30 日以降 5 月 31 日までの登録による 所 属 宮崎医科大学附属動物実験施設 早稲田大学教育学部生物学教室 北海道大学大学院理学研究科 三井農林(株)食品総合研究所 東京大学大学院理学系研究科 京都大学大学院農学研究科 東京大学大学院新領域創成科学研究科 東京大学大学院新領域先端生命人類進化 独立行政法人国立環境研究所 財団法人癌研究会癌研究所 東京大学海洋研究所 東京大学大学院農学生命科学研究科 山形大学医学部法医学教室 京都大学理学部植物学教室 自然環境研究センター 岡山大学理学部生物学教室 京都大学大学院瀬戸臨海実験所 筑波大学生命環境科学研究科 立命館大学理工学部応用化学系 国立医薬品食品衛生研究所 京都工芸繊維大学染色体工学研究室 愛媛大学理学部生物地球圏科学科 弘前大学農学生命科学部 東京大学大学院医学系研究科 東京都臨床医学研究所実験動物研究部門 北海道大学大学院農学研究科育種工学講座 電気通信大学人間コミュニケーション科 東京大学大学院農学生命科学研究科 東京大学海洋研究所 東京工業大学 京都大学理学部生物科学系 防衛医科大学校法医学講座 群馬大学工学部生物化学工学科 玉川大学農学部 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター 九州大学大学院比較社会文化学府 北海道大学院地球環境科学研究科生態遺伝学講座 名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科 長岡技術科学大学生物系 東京大学大学院農学生命科学研究科 Faculty of Forestry,University of British Columbia 東京学芸大学教育学部生物学科 北海道大学水産学部 東京都立大学大学院理学研究科 東京大学新領域創成科学研究科 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 国立科学博物館 東京大学大学院理学系研究科 東京大学新領域創成科学研究科 無所属 山梨医科大学生化学講座第二 九州大学生物資源環境科学府 京都大学理学研究科 岡田眼科 京都大学化学研究所 専門分野/研究対象 系統・分類/脊椎動物 形態、生態/脊椎動物 形態、生態、系統・分類、古生物/有孔虫 分子生物、分子進化、系統・分類/菌類、原核生物 系統・分類/植物 生化学/無脊椎動物 分子進化/脊椎動物 遺伝、生態、行動/霊長類 系統・分類/生態脊椎動物、無脊椎動物 分子生物、分子進化、生物物理、遺伝 分子進化、系統・分類、生態/脊椎動物 分子生物、形態、古生物/脊椎動物 分子進化、系統・分類、遺伝/人類、無脊椎動物 形態、系統・分類、生物物理/無脊椎動物 分子進化、形態、系統・分類/無脊椎動物 生態/理論 生態、化学生態学/植物 分子生物、分子進化、遺伝/人類、脊椎動物、理論 分子生物/無脊椎動物 遺伝、生態、情報/原核生物、理論 系統、分類/無脊椎動物 生態、情報、国際保健/人類、理論 分子進化、系統・分類/脊椎動物 遺伝/植物 形態、系統・分類、生態、古生物物理、古生物/無脊椎動物 生物物理、情報/理論 分子進化/理論 分子進化、形態、系統・分類、生態/古生物無脊椎動物、 分子生物/菌類 分子進化、分子生物、系統・分類/人類、脊椎動物、無脊椎動物 分子進化、分子生物、遺伝/原核生物、真核生物 系統・分類、生態/菌類 発生、形態/無脊椎動物 分子進化、遺伝/脊椎動物 分子進化、系統・分類、遺伝/脊椎動物 分子進化、遺伝/人類、理論 分子進化、生物物理/タンパク質 分子進化、系統・分類、遺伝、情報/理論 分子進化、生態、evolution of species’range/植物 行動生態/脊椎動物 系統・分類、古生物、種文化、生物地理/人類、脊椎動物 分子進化、系統・分類、遺伝/人類、脊椎動物、無脊椎動物、理論 分子生物、遺伝/原生生物 分子進化、発生、形態、系統・分類、生態/脊椎動物 形態、系統・分類、古生物/脊椎動物 分子進化、情報/人類 分子生物/植物 医学、発生、遺伝/人類 分子生物/脊椎動物 形態、系統・分類/無脊椎動物 分子進化/無脊椎動物 分子進化、遺伝、情報/理論 進化分子工学/酵素 “Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 3, No. 1 会員所属変更 氏 名 森 光太郎 辻 和希 中澤 真澄 藤井 信之 三島美佐子 石田健一郎 日和 佳政 荒 武 湯浅 創 小柳香奈子 齋藤 由美 滋野 修一 阿形 清和 小野 直亮 橋詰 和慶 成田 裕一 所 属 茨城大学農学部応用動物昆虫学研究室 琉球大学農学部生物生産環境学科亜熱帯動物学講座 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター形態進化研究チーム 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科科目等履修生 九州大学総合研究博物館 金沢大学理学部生物学科 福井工業大学大学院工学研究科応用理化学専攻 慶応義塾大学先端生命科学研究所 高知大学理学部物質科学生体機能 産業技術総合研究所生物情報解析研究センター 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター進化再生研究グループ 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター進化再生研究グループ 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター進化再生研究グループ 人間情報科学研究所第四研究室 独立行政法人国立環境研究所化学環境研究領域生態化学研究室 理化学研究所発生再生科学総合研究センター形態進化研究チーム 退 会 石居 進、常脇 恒一郎、本庶 佑、金田 正弘、末武 徹也、藤田 弘、岡崎 正博 日本進化学会ニュース Vol. 3, No. 1 発 行: 2002 年 7 月 12 日発行 編 集:日本進化学会ニュース編集委員会 印刷所:株式会社ライトハウス 発行所:株式会社クバプロ 〒 102-0072 千代田区飯田橋 4-6-5NKS 飯田橋ビル 4F TEL:03-3238-1689 FAX:03-3238-1837 http://www.kuba.co.jp/ e-mail:webmaster@kuba.co.jp 29
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