こちらより02月版ニュースレターを御覧下さい。

Kakimoto & Nagashima LLP
Certified Public Accountants
Consultants
ニュースレター
2016年
Volume 14発行1
発 行
2月
項目の要約
内 容
項目内容
1
簡素化に向けて‐繰延
2
税金の区分
PATH法案の立法化
3
決算処理に迅速性を
4
繰延税金の区分(ASU 2015-17)
2015年11月、米国財務会計基準審議会(Financial Accounting Standards Board
“FASB”)は、簡素化プロジェクトの一環として会計基準のアップデート“繰延税金の
貸借対照表上の分類”(ASU 2015-17)を公表しました。このアップデートは、財務諸表
の利便性を維持、向上しつつ、その複雑性や作成コストを軽減するという趣旨のもの
です。このアップデートにより、繰延税金資産・負債を固定資産・負債に区分するこ
とが求められます。この記事では企業の財務諸表また、その注記にどの程度影響があ
るかについて、いくつかポイントを挙げて説明しています。
2015年PATH法案の立法化
2015年12月、議会による承認とオバマ大統領の署名により、 PATH (Protecting
Americans from Tax Hikes)法(通称増税回避法)と呼ばれる連邦税改正案が立法化され
ました。今回の改正は、これまで一年毎に延長されていた特別措置と異なり、20項
目以上の時限立法条項が永続されることになりました。加えて、他の多くの時限立法
条項が、2年から5年に渡り延長されました。この記事では、2015年の連邦税申
告書に適用されるPATH法の主な項目を紹介致します。
決算処理に迅速性を
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財務諸表は、経営者が組織の財務状態を把握し、タイムリーに経営判断をするのに重
要な役割を担っています。しかしながら、財務諸表を正確、かつ迅速に完成させるこ
とはどの会社においても容易なことではありません。以下の記事では決算処理を迅速
かつ正確に完了させるために抑えておくべき大事な点を記載しています。
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ニュースレター
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VOLUME 14発 行 1
簡素化に向けて‐繰延税金の区分
2015年11月20日、米国財務会計基準審議会(Financial Accounting Standards
Board “FASB”)は会計基準のアップデート“繰延税金の貸借対照表上の分
類”(ASU 2015-17)を公表しました。2014年に立ち上げられたFASBによ
る簡素化プロジェクトの一環として公表された、このアップデートは財務
諸表情報の利便性を維持、向上しつつ、その複雑性や作成コストを軽減す
るという趣旨のものです。
その他簡素化プロジェクトの実績
FASBの簡素化プロジェクトにより以下の公開草案が公表されています。
 連結グループ内での資産の譲渡“Intra-Entity Asset Transfers” (追加調査
中)
 従業員への株式報酬に関する会計の簡素化”Improvements
to Employee
Share-Based Payment Accounting” (2016年第1四半期に公表予定)
現行の基準との相違点
現在、企業は繰延税金資産・負債をその発生源の資産・負債の流動・固定
区分に則して流動または固定に区分する必要があります。もし、税額控除
や欠損金が発生した場合のように、繰延税金資産・負債が特定の資産・負
債に起因して発生したものでなければ、その解消時期を基に区分します。
最終基準化された案件
 企業結合の測定期間修正の簡素化 "Business Combinations: Simplifying
the Accounting for Measurement-Period Adjustments (ASU 2015-16)”
 棚卸資産の測定の簡素化 "Inventory: Simplifying the Measurement of
Inventory (ASU 2015-11)”
 無形資産-のれん及びその他-クラウドコンピューティングの利用者向
の会計処理方針 "Intangible – Goodwill and other – Internal-Use Software:
Customer's Accounting for Fees Paid in a Cloud Computing Arrangement (ASU
2015-05)”
 確定給付年金並びにその他退職給付制度の事業主による測定日の取り扱
いの簡素化 "Compensation - Retirement Benefits: Practical Expedient for the
Measurement Date of Employer's Defined Benefit Obligation and Plan Assets
(ASU 2015-04).”
 起債コストの表示ガイダンスの簡素化 "Interest - Imputation of Interest:
Simplifying the Presentation of Debt Issuance Cost (ASU 2015-03)”
 特別損益項目の概念の削除による損益計算書の表示の簡素化 "Income
Statement - Extraordinary Item and Unusual Items: Simplifying Income Statement Presentation by Eliminating the Concept of Extraordinary Items (ASU
2015-01)”
FASBは、投資家からの意見を基に繰延税金資産または負債を流動・固定区
分することによる利便性はほぼないと判断しました。繰延税金資産または
負債の解消のタイミングが常に流動・固定区分に則しているとは限らない
といことから、殆ど意味を成していないとの結論に達しました。また、企
業にとってその区分を行わなければならないことがいくらかの負担になっ
ていることも事実です。
財務諸表の簡素化のために、ASU 2015-17は繰延税金資産・負債を統一して
固定区分することを義務付けています。現行の米国会計基準と同様、同じ
課税管轄の繰延税金資産・負債は相殺して表示されます。評価引当金に関
しても同様に固定区分とされます。
ASU 2015-17の基準は、国際財務諸表基準(International Financial Reporting
Standards ”IFRS”) に適合しています。IFRSから発行された国際会計基準1
(IAS 1)“財務諸表の表示”では、繰延税金資産・負債は貸借対照表上、固
定とするよう求められています。
適用開始時期
上場会社に関しては、2016年12月16日以降に開始される事業年度及びその
期中期間に係る財務諸表からASU 2015-17の適用が求められます。
進行中の案件
 負債区分の簡素化
 持分法会計の簡素化
ASU2015-17による影響、またその他会計基準に関するご質問等ございまし
たら、お気軽に柿本長島会計事務所までお問い合わせください。♦
上場会社以外に関しては、2017年12月16日以降に開始される事業年度及び
期中期間に係る財務諸表から適用が求められます。期中期間の財務諸表に
関しては2018年12月16日以後に開始される期間に属する財務諸表から適用
が求められます。
全ての企業において、早期適用が認められています。その場合、以下の事
項に従う必要があります。
遡及適用を行わない場合
 会計基準を変更した旨と理由の開示
 比較情報としての過年度情報に関して遡及修正していない旨の開示
遡及適用を行う場合
 会計基準を変更した旨と理由の開示
 遡及適用を行ったことによる、比較情報としての過年度情報における影
響額の開示
予想される影響
この基準の変更は全ての企業に影響を与えることになります。繰延税金資
産・負債に関しての作業負担が軽減されるのは当然に考えられるでしょ
う。一方で、契約内容に関連するような財務諸表数値から算出される経営
指標(正味運転資本の減少等)に影響が出る可能性も考えられます。その
ため、事前に利害関係者と積極的に当変更に関してコミュニケーションを
図っておくとよいでしょう。
2015年11月ニュースレターの訂正
提出期限の変更の対象となる連邦税務申告書
2016年1月1日以降に始まる課税年度より暦年以外の会
計年度決算法人(6月30日決算日の法人を除く)の法
人税の申告期限の延長日は会計年度終了後から10ヶ月
目の15日となります。
ニュースレター
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PATH法案の立法化
2015年12月18日にオバマ大統領の署名により、PATH法案が立法化されまし
た。この法律により、2014年12月31日に失効された、主要な個人所得税、
法人税及びエネルギー税制優遇措置を再発効させ、遡及適用されることに
なりました。永続される条項や、2016年度から2019年度まで一時的に延長
される条項が適用されるようになりました。この立法化により、2015年の
連邦税申告書上、下記事項を遡及適用できることになりました。
次の表は、個人所得税及び法人税の主な延長項目を抜粋したものです。
永続適用
 消費税の所得控除
人
人
延長期限:
2019年12月31日
 住宅ローン債務免除
益の非課税扱い
 住宅ローン債務にか
かる保険料の利子控
除扱い
個
法
延長期限:
2016年12月31日
 研究開発費税額控除
 IRC §179:固定資産の購入にかか
 ボーナス減価
償却
る一括損金算入額の年間上限額
 リース物件改良費等の耐用年数15
年の定額法による減価償却
個人納税者番号
以下は、PATH法の個人納税者番号(ITIN)に関する主要項目の概要です。
 連邦税申告書でITINが3年連続使用されない場合は、3年目の12月31日に
ITINは失効します。
 2012年12月31日以前に発行されたITINは、連邦税申告書での使用の有無
に関わらず、2017年から2020年にかけて段階的に失効することになりま
す。継続使用が必要な場合は、再申請が必要となります(次の表参
照)。
ITIN 発行年度
有効期限
2007暦年以前
2017年1月1日
2008暦年
2018年1月1日
2009暦年 及び 2010暦年
2019年1月1日
2011暦年 及び 2012暦年
2020年1月1日
以上の記事は、PATH法によって遡及適用された全ての延長事項を記したも
のではなく、全て一般的な内容です。PATH法に関してご質問がございまし
たら、柿本長島会計事務所までご連絡ください。♦
個人所得税関連
永続適用
 消費税の所得控除-州および地方所得税の代替として、消費税の所得控
除が引き続き選択可能となります。
延長期限―2016年12月31日
 住宅ローン債務免除益の非課税扱い―2016年12月31日までに一定条件を
満たせば、最高200万ドルまでの住宅ローン債務の免除益が非課税扱いと
なります(2016年12月31日までに合意書で明記されれば、2017年1月1日
以降、当該免除益の非課税扱いも可能となります)。
 住宅ローン債務にかかる保険料の利子控除扱い― 一定条件を満たした住
宅ローン債務にかかる保険料が、住宅ローン利子と同様に、所得控除の
対象となります(ただし、調整後総所得が10万9000ドルを超える場合は
控除の対象外となります)。
法人税関連
永続適用
 研究開発費税額控除―通常の20%の研究開発費税額控除と14%の簡便法
による税額控除 (2015年度以降改正) が対象となります。
 2016年1月1日以降に始まる課税年度より、小規模な法人は以下の税額
控除を適用できます。
 過去3年間の課税年度の平均年間総収入が5千万ドル以下の場合の代
替ミニマム税から、又は
 年間総収入が5百万ドル未満の場合の最高25万ドルまでの雇用主の
FICA税から(ソーシャルセキュリティー税の内、老齢・身障者等保
険金のみ)
 IRC§179―事業年度中の固定資産 (減価償却可能な有形固定資産等)
購入額が2百万ドル以下の場合は、年間上限50万ドルまで所得控除の対象
となります。これらの上限額 (購入額及び所得控除額)は、2016年1月1
日以降から始まる課税年度から、インフレ指数による調整の対象となり
ます。
 耐用年数15年の定額法による減価償却―リース建物付属設備、小売店の
改築費用、レストランに関わる固定資産等の有形固定資産には、耐用年
数15年の定額法による減価償却を永続して適用できることになります。
延長期限―2019年12月31日
 ボーナス減価償却―2017年12月31日までに購入して使用開始された固定
資産 (新規購入の有形固定資産等)に対しては、使用開始年度に購入
額の50%を控除できることになります(使用開始年度が2018暦年では
40%、2019暦年では30%が適用されます)。
(4ページの続き)
もし、正確で信憑性の高い見積もりが出来ていない場合、時間をかけてで
も達成しなければなりません。財務数値は判断を行う上で重要な役割を担
うため、十分に正確でなければならないのです。
仕訳計上を最小限に
仕訳は基本的に、修正を反映させるため、もしくは、非経常的な取引を反
映させるための2つの状況で計上されます。
過去3会計期間の全ての仕訳に関するレポートを出してみてください。そし
て仕訳計上の兆候を見つけ出してください。同じようなミスが繰り返され
ていませんか?別のモジュールで処理できるものをあえて仕訳計上してい
ませんか?
繰延賃料や前払費用の償却のように一定額を毎期計上するようなものに関
しては、循環仕訳自動入力機能を利用することにより、期中に変化が無い
限り毎期自動でアップデートされます。
迅速な決算処理の利点としては以下が考えられます
 分析の時間の確保
 マネージメントへの迅速な情報の提供
 会計部門スタッフのその他業務への活用
 オーバータイムやそれに伴うコストの削減
我々に出来ること
決算処理作業の改善は会社に大きな利益を生み出します。しかし一方で多
くのハードルを越えていかなければならない事も事実です。もし決算処理
作業の改善に間してご質問がございましたら、お気軽に柿本長島会計事務
所までお問い合わせください。その他サービスに関するご質問、ご要望は
(310)320-2700まで御電話ください。♦
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ニュースレター
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決算処理に迅速性を
決算処理を迅速かつ正確に行うことの重要性
財務諸表は、経営者が組織の財務状態を把握し、タイムリーに経営判断を
するのに重要な役割を担っています。そのため、迅速かつ正確に決算処理
を行うことは、全ての会社にとって共通のゴールだと言えるでしょう。
高いレベルでの効率化を求め、よりよい作業方法を確立するには、これら
のフォーマッティングプロセスは二の次の作業であるべきです。もし、取
引情報を全て自動処理するシステムがあれば、非常に高い効率性を得るこ
とができ、その対価を払うだけの価値があるでしょう。
決算処理作業が単なる帳簿締めの作業になっている会社が多くあるようで
す。そのような状況の下で、多くの会社が必要以上の時間がかかり、不要
な作業を繰り返してしまっているようです。決算処理作業に効率性を追求
している会社はあまり見受けられないのが現状です。
多数の参加を呼びかける
作業の短縮化のために、多くの人を参加させましょう。直ぐに改善ができ
るエリア、トレーニングが必要なエリア、改善が他の部門のパフォーマン
スに依存するエリアを明確化すべくミーティングを開きましょう。会計部
門以外では、例えば、売上げに関連する担当者と話し合い、どういった財
務情報が彼らにとって重要かを認識し、迅速な決算処理により彼らにとっ
ても効率化が図れることを理解しあうとよいでしょう。結果が一度でる
と、次の達成に拍車が掛かります。
非効率の要因
責任の所在、帳簿締め作業手続きが不明瞭で、スケジュールがはっきりし
ていない状況では、決算処理における非効率が発生してしまいます。具体
的には以下の事が非効率の引き金となっているようです。
 チェック機能の欠如
 明確な期限が未設定
 マニュアル作業への依存
 作業全体に対する理解不足
 重要性の低い作業のクリティカルパス化
 非効率的な人材活用
決算処理作業を迅速に行うために
決算処理に関する必要な作業をこなしつつ、それにかかる時間を短縮させ
秩序立てた帳簿締めを行う方法を以下に挙げてみました。
詳細なタイムラインの作成
タイムラインはロードマップの役割かつ、会計部門の全員に求められる目
標を明確にする役割を担うことになるでしょう。タイムラインには、株主
等に財務諸表を公表するまでの間の主要事項を記載します。最初は現状の
決算処理作業能力を反映させたものにします。将来的には効率性を反映さ
せる事により短縮化されたタイムラインの作成が可能となります。
クリティカルパスの明確化
作業全体の改善点を見つけるのに最も効率的な方法として、クリティカル
パス分析が挙げられるでしょう。決算処理所要時間に最も直接的にインパ
クトを与える作業は作業全体の中でクリティカルパスと位置づけられる作
業になります。言い換えると、クリティカルパスとされる作業が時間通り
に終了しなければ決算作業の遅延を招きます。先ずは作業全体からクリ
ティカルパスとなる作業を明確にし、その後、その作業を早く終了させる
方法を見つけなければなりません。
クリティカルパスと位置づけられた作業を1つ、または、2つ選んで、チー
ムでその効率性を達成する方法を考えてみましょう。実際に作業をしてい
る従業員の方が、その作業に対して精通しており、どこに非効率な作業が
存在するか等を認識しているはずです。
上記の作業は解決策を立案するのに非常に重要です。達成に向けたこのよ
うな作業は、上から強いられるものであってはなりません。これはチーム
全体で一丸となって達成するものでないと意味が無いのです。
テクノロジーの利用
エクセルやドロップボックスのようなシンプルなアプリケーションであっ
ても、それらの利用によって、情報蓄積や情報共有の効率化を可能なもの
とします。また会計処理作業に関するものだけではありません。取引先と
相談し、インボイスを紙媒体ではなく電子的方法で貰うことにより、情報
の正確性確保、かつ時間、費用を削減できるでしょう。
マニュアル作業の削減
ルーティンで繰り返し作業の自動化は経理処理の効率化を図る上で鍵とな
ります。エクセルが非常に便利なツールであることに違いはありません
が、エクセルの作業が自動処理の作業でないことを忘れないでください。
決算処理作業を見直し、調整作業やマネージメント分析も含めたレポート
をリストしてみてください。時として膨大な数の資料が作成されたり、内
容の重複する資料が多くある場合があります。
情報の積極的な入手
郵送で届くハードコピーの明細を数日から数週間待つという状況は多くの
会社で見られることです。このような所与と思われがちな状況も変えてい
かなければなりません。数年前は、これらの情報を電子的な方法で貰うこ
とは不可能でしたが、状況は変わり、情報をより早くほしいというカスタ
マーは貴社だけではないはずです。簡単な電話やメールだけでも大きな成
果を得られる場合があります。取引先とコミュニケーションを取ってみま
しょう。
もしそれでも、必要な情報が必要なタイミングで得られない場合、それに
替わるアプローチが必要となります。今までの実績から見積もる事によ
り、実際額に近い額を算出することが出来ることもあります。より迅速に
情報を提供してくれる新しい業者への乗り換えも一つの選択肢と言えるで
しょう。
決算日前から決算処理作業を始めましょう
決算日終了してから決算処理作業を始めるというのは終わりにしましょ
う。この古い慣習的な方法を止め、決算日の数日前から出来る範囲で決算
処理を始めてみましょう。
決算処理のタイムラインを見直してください。決算日前に出来る作業はな
いでしょうか。以下、通常決算日前に出来る作業を挙げてみました。
・回収不能売掛金の引き当て
回収不能の売掛金に関する分析、適切な引当金額の算定は決算日一週前に
はできるはずです。決算中に大きな動きがあることも想定しておかなけれ
ばなりませんが、実際そのようか事が起こることは殆どありません。
・減価償却費
減価償却に関して、月の前半に償却資産の購入をした場合、1日から償却を
始め、一方で、後半に購入した場合、翌月から償却を行うという会計方針
を持つことにより決算日前に減価償却費の算定が可能となります。継続的
に適用する限り、GAAPのような会計基準に反することも無く、正確な日
付で減価償却を行うのと大きな差異はありません。
・棚卸し
全ての在庫資産の棚卸しを決算日に行うという古い慣習から脱却しましょ
う。サイクルカウントの導入により棚卸資産をグループ分けし、複数に分
けて行うことにより決算日の作業を大幅に軽減させます。また、決算日に
多額の調整額を入れる事を避けることができ、迅速な調整の反映が可能と
なります。
適切な見積もりの作成
決算数値に反映される引当金等の見積もりの計算を行う際に、ある程度実
際値に近い値を算出することは非常に重要です。その方法として、返品に
関する見積もりを例に考えて見ましょう。決算時に取引に関する分析を行
い、翌月に発行されたクレジットメモを確認し、細かい方法で分析するこ
とにより現実に近い引当金を算出できます。一方で、長期に渡り、売上に
対する返品率が一定の場合、直近の数ヶ月間の返品率から算出される額が
精度の高い引当金となりうることもあります。
(3ページに続く)