ホームページ http://www.sugadaira.tsukuba.ac.jp 電子メール ikimono@sugadaira.tsukuba.ac.jp 電話 0268-74-2002 Fax 0268-74-2016 向 かう ことなく地 上 をブンブンと飛 び続 け たちは蛾 が光 に向 研 究 しました。 私 る性 質 ) 」 について 昆虫行動学者や昆虫生理学者が、蛾の「走 光 性 (光 に 集 ま 読みいただければ幸いです。 あるかもしれませんが、一つの考えとしてお ていただきます。 矛 盾 す るよう なところも 私 なりに以 前 から考 えてきたことを書 かせ のか、調べている人がいるかもしれませんが、 です。 どう して灯 火 に集 まる習 性 を持 った が灯火を発明する前から持っていたはずなの います。 昆 虫 たちはこのよう な習 性 を、 人 それはさて置き、「なぜ、蛾 (ガ)などの 昆虫は灯火に集まるのか?」と不思議に思 どのように映っているのでしょうか…? く楽しい光景ですが、そうではない方々には たちが乱 舞 します。 虫 好 きにはこの上 もな ました。 夜 ともなると、 灯 火 の周 りには虫 虫 たちも活 発 に活 動 す る季 節 になってき 線 です。「平 行 光 はほとんど平行光 地球上では月の光 れ ていま す から、 地 球 はたいへん離 様 です が、 月 と し ま す。 月 も 同 射 状 の光 線 を 出 うのも、灯火は放 な いのです。 と い か?」 と考 えたくなります が、 そう はなら まるように、どんどん月に飛び進んでいたの です。 それなら、「昆 虫 たちは、 灯 火 に集 灯 火 を発 明 す る以 前 の明 るい光 源 は 「月 」 では、「灯火が無かった時代はどうだったの だろうか?」という疑問についてです。人が まっているのです。 はこのよう な飛 び方 をす るよう にできてし てやってきます。つまり、光線があると、蛾 見ていると、真っ直ぐは来ないでクルクル回っ きました (図1)。確かに灯火に集まる蛾を を遡るでしょう!めでたく異性に巡り会え、 増えるのです。そうなったら彼らはこの流れ この 「フェロモンの流れ」を見つける可能性が 飛んでいる昆虫は ら …、 ブ ンブ ン だ風 が吹 いていた フェロモンを 含 ん す。 月 夜 の晩 に 体 から 発 散 しま モンという物質を 呼 ぶためにフェロ 性 を 見 つけ た り な ど の昆 虫 は異 ん。 さ ら に、 蛾 う か も しれ ま せ し分 布 を広 げることができます。 また、 運 ず、飛び回ることにより新たな土地に到達 これはどんな意 味 があ るのでしょう か。 ま す。そのようにプログラムされているのです。 つまり、蛾などの昆虫は月の 「発する」明 るい平行光線のもと、ブンブン飛び回るので ることになるのです。 かって真っ直ぐ飛ん 線 が存 在 している なぜ蛾は光に集まるの? でくると思います。 こと」と蛾などのもつ 「光にある角度をもっ なるでしょうか。蛾は光線にある角度をとっ て飛 ぶという 習 性 」 を組 み合 わせるとどう こにはこのような意味があるのかもしれませ 「昆虫は光が好き」なのだと思えますが、そ 私 はこのよう に考 えているのです が、 いか がでしょうか。灯火に集まる蛾を見ていると 繁殖の機会が増えるのです (図3)。 良 く異 性 に出 会 しかし、研究によっ て飛び続けるのです (図2)。光線は平行で 体表だけでなく、この気管のクチクラも脱 分 泌 さ れ ま す。つ ま り、脱 皮 を す る 時 に は 気管の内側にも、体表と同様にクチクラが し て で き た も の な の で す。そ の た め、こ の の気管も、元々は表皮が体内に管状に陥入 てあ る角 度 を と っ て、 光 線 に 対 し て飛 ぶこと により 体中に張りめぐらされた「気管」という細 長 い 管 に つ な が っ て い ま す( 図 1) 。こ の 気管を通して体中に新しい空気を送り、循 環させることで呼吸をしています。実はこ ぎ捨てなくてはならないのです。セミなど の 抜 け 殻 の 内 側 に、白 い 糸 の よ う な も の が並んでいるのを見たことはありません か?(図2) 実はこれが気管から抜け出 た ク チ ク ラ な の で す。さ ら に、表 皮 が 陥 入 し て で き る の は、気 管 だ け で は あ り ま せ ん。前腸・後腸という消化管の一部も表皮 が陥入してできています。 昆虫にとって脱皮が、繊細で命がけの作 業 な 理 由。そ れ は、脱 皮 の 度 に 気 管 や 消 化 管などの細長い管状部から、新しいクチク ラが硬くなる前に速やかに古いクチクラ を脱ぎ捨てなければならないことなので す。も し 脱 皮 中 の 昆 虫 を 見 つ け た 場 合 は、 触らずにそっと見守ってあげてください ね。 (真下雄太) 皆越ようせい 著 平凡社 定価 2400円 ―土壌動物の世界―」 「写真で見る小さな生きものの不思議 てみてください。 (富塚茂和) 出会えるでしょう。身近にある小さな生きものたちの世界を是非体験し なっています。落ち葉をめくってよく観察してみれば、多くの土壌動物に なっています。このような厚い落ち葉の層は多種多様な土壌動物の住処と 気温が低く、落ち葉の分解が遅いため、森へ入れば落ち葉が厚く積み重 この本を手に取って、もし土壌動物の世界に興味を持てたならば、次は 野外で実際に土壌動物を観察してみてください。幸いなことに長野県は 彼らの生活の様子を知ることができます。 籍では全て生きた土壌動物の写真を掲載しており、普段見ることのない はあっても、その多くは標本の写真を掲載していました。しかし、この書 活の様子が多数掲載されています。これまで、土壌動物を紹介する書籍 様子等、土壌動物研究の専門家であってもあまり見られない、彼らの生 食べようと集まるトビムシ、そのトビムシを捕食するダニやミミズの産卵の です。今回の書籍の中では、落ち葉や死体を食べるダンゴムシ、キノコを あまり目にすることのない彼らの生活の様子はとても興味深いものばかり ダンゴムシやダニと聞くと、人によってはイヤーな気分になるかもしれま せん。しかし、よくよく見ると彼らは皆、愛嬌のある姿をしています。また、 に紹介しています。 が困難な生きた土壌動物の生活の様子、それを多数の美しい写真ととも 真で見る小さな生きものの不思議―土壌動物の世界―」では、覗くこと 物陰に隠れてしまうため、野外での観察は困難です。今回紹介する 「写 が生きています。彼らの体は小さく、たまたま野外で見かけてもすぐに 土 の中 あるいは地 面 の上 には、 実 に多 様 な動 物 たちが生 きているのを 御存じでしょうか。そこにはダンゴムシやダニといった小さな土壌動物たち 書籍紹介 土の中に住む小さな生きものたちを 美し い 写 真 と と も に 紹 介 ん。 (町田龍一郎) 図 3 あって放射状ではないので、光源である月に 図1 段々と光に近づいて来るということが分って 昆虫は口ではなく、体表に規則的に並ぶ 「 気 門 」か ら 空 気 を 取 り 込 み ま す。気 門 は、 の仕組みに関係しています。 の 作 業 な の で す。そ の 理 由 は、昆 虫 の 呼 吸 単な作業に思えますが、実は繊細で命がけ ラが硬くなることで脱皮が完了します。簡 て古いクチクラを脱ぎ捨て、新しいクチク なクチクラが表皮から分泌されます。そし 古くて硬いクチクラの下に新しい柔らか こ と で 成 長 し ま す。脱 皮 が 近 づ く と、ま ず チクラで覆われた昆虫は、脱皮を繰り返す ま す( こ れ を 外 骨 格 と 呼 び ま す ) 。硬 い ク クチクラが体を支える役割を果たしてい な ど の よ う な 骨 を も ち ま せ ん。代 わ り に、 「 ク チ ク ラ 」と よ び ま す。昆 虫 は、人 間 や 魚 昆 虫 の 表 皮 か ら 分 泌 さ れ た 丈 夫 な 膜 を 脱 皮 とク チ ク ラ 思議 の不 図2 図 1 昆虫の気管の概略図 図2 トンボの羽化、右は黒枠の拡大。 矢印は気管から抜け出たクチクラを指す。 第 27 号 2013 年(平成 25 年)6 月 9 日発行 発行者:筑波大学菅平高原実験センター © 筑波大学菅平高原実験センター 粘 菌 観 察 してみませんか? 粘 菌 と い う 生 き 物 を 知 っ て い ま す か。迷 路 を 解 く 生 物 で あ る と か、南 方 熊 楠 が 明 治 天 皇 に 献 上 し た な ど、い ろ い ろ な エ ピ ソ ー ド が あ る た め 好雪性粘菌と呼ばれる一部の粘菌は春の雪解け が 降 っ た 数 日 後 な ど に 見 る こ と が で き ま す が、 筑波大学菅平高原実験センター社会人向け公開講座 「ナチュラリスト養成講座」で学んできたボランティアス 春の観察会を行います。 催し物案内 の こ ろ に 現 れ ま す。菅 平 高 原 実 験 セ ン タ ー で は タッフがご案内します。 菅平高原ではたくさんの種類の粘菌を見つけ る こ と が で き ま す。多 く は 春 か ら 秋 に か け て 雨 今 年 3 月 末 ご ろ に、ル リ ホ コ リ を は じ め と し た 「 非公開の滝を見ましょう!」 コース 大明神の滝までの観察道 好雪性粘菌を観察することができました。 粘菌の子実体は個性豊かで様々な色形をと り、ま た ど れ も 美 し い で す。外 土) 日時 平成 年 月 日 ( 受付 午前 時~ 開始 午前 時 分~ 時 6 人 要申込 ・定員になり次第締め切ります。 30 名前だけでも知っている人は多いかもしれませ ん。 で見つけた粘菌 定員 22 12 ご記入ください。 発行予定です 次号は 月 ご協力いただいています。 本 通 信 の 印 刷・ 配 布 は、 東 郷 堂 さ ん に *お申込みの際は、参加者全員の氏名と代表者の住 所 ・電話番号 ・ファックス番号 ・電子メールアドレスを 担当 佐藤 *電子メールかファックスでお申し込みください。 ファックス 0268 ‐74 ‐2016 電子メール ikimono@sugadaira.tsukuba.ac.jp 申込 ・問合せ 筑波大学菅平高原実験センター 電話 0268 ‐74 ‐2002 30 の子実体はマッ 9 25 9 10 粘 菌 は そ の 名 の 通 り「 粘 る カ ビ 」の よ う な 生 き 物 で、そ の 正 体 は ア メ ー バ で あ る こ と が 知 ら チ箱やお菓子の 9 保険料 円) 参加費 無料 ( 申込受付 月 日 ( 月)~ 日 ( 金) 午前 時~午後5時まで 30 6 れ て い ま す。ア メ ー バ の 姿 で 土 や 朽 木 の 上 を 這 箱にボンドで張 り付け乾燥させ る こ と で、何 年 も標本として残 しておくことが で き る た め、コ レクションをする楽しさもあります。また、全て の 種 類 で は あ り ま せ ん が、野 外 か ら 採 取 し た 変 形 体 は 湿 ら せ た キ ッ チ ン ペ ー パ ー に 乗 せ て、餌 と し て オ ー ト ミ ー ル を 与 え、乾 燥 し な い よ う に タッパーに入れて飼うこともできます。 梅 雨 に 入 る と、森 の 中 に ど ん ど ん 粘 菌 が 出 て くるようになります。子実体や変形体は、落ち葉 や 腐 っ た 木 の 上 で 見 つ か り ま す。雨 の 間 の 晴 れ た 日 や 雨 の 2・3 日 後、森 へ 入 る 機 会 が あ れ ば、 14 い ま わ る 時 期 も あ れ ば、カ ビ の よ う に 胞 子 を つ く る 時 期 も あ る 不 思 議 な 生 物 で す。粘 菌 の 胞 子 が発芽すると、微小なアメーバが出てきます。や が て ア メ ー バ は 核 分 裂 を 繰 り 返 し、巨 大 ア メ ー バ に な り ま す。巨 大 ア メ ー バ は 変 形 体 と 呼 ば れ 赤・青・黄 色・ 白など派手な 色 を し て、肉 眼 でも十分に見つ けることができ るほど大きくな り ま す。変 形 体 は乾燥などの条 件 で、子 実 体 と 子実体(ルリホコリの仲間) ぜひ探してみ て く だ さ い 。 ( 岩 本祥明) 9 呼ばれるカビの ような構造を作 り、 中にたくさんの胞子をつくります。 色鮮やかな変形体
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