No.19

新座市立第五中学校
2011年 7月15日
第
19
3学年
広い視野を持ち、各自が目指す進路を実現しよう!
号
進路担当
3.学校で学ぶ目的から「スタート地点」を考える
学校で学ぶ目的は何だろう。
それを考えるとき思い出すのは、大江健三郎さ
んの『「自分の木」の下で』という随筆です。大
江健三郎さんは作家です。1994 年に日本人とし
て 2 人目になるノーベル文学賞を受賞しました。
その大江さんは、この作品の中で「なぜ子供は
学校に行かなければならないのか」について、こ
んなふうに述べています。ちょっと長くなります
が、引用してみます。
3年1組
―
学級目標
ひかる
いま、 光 にとって、音楽が、自分の心のなかにある深く豊かなものを確かめ、他の
人につたえ、そして自分が社会につながっていくための、いちばん役にたつ言葉です。それ
は、家庭の生活で芽生えたものでしたが、学校に行って確実なものとなりました。国語だけ
じゃなく、理科も算数も、体操も音楽も、自分をしっかり理解し、他の人たちとつながって
ゆくための言葉です。外国語も同じです。
そのことを習うために、いつの世の中でも、子供は学校へ行くのだ、と私は思います。―
この引用に登場する「光」とは、大江さんのお子さんです。光さんは音にとても敏感な子だっ
たそうです。4,5 歳の時には、まず人間の言葉よりも野鳥の歌をたくさんおぼえ、ある鳥の歌
を聞くと、鳥の名前をいうことができたそうです。学校に通うようになると、鳥の歌よりも、人
間の作った音楽が、さらによくわかる言葉だと気がついて、放送された曲目から、友達が気にい
ったものの名前を紙に書いて持ち帰り、家でその CD を探してゆく、ということさえするように
なり、今では作曲をするまでに成長しています。
光さんが卒業した学校は養護学校です。大江さんは子供の成長する姿から、上述したような考
えに至ったのでした。